※この作品はR-18です。

鏡の国の変態王子様 ~アラサーオタクな私の鏡。繋がった先は異世界でした~   作:もすもす。

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お待たせしました。
※直接的な表現はありませんが、後処理とかに触れてるので一応R18にしました※


【226】目覚めの時を待つ。/アバーっっ?!(脳内パニック)【R18】

 

何やら尻に違和感を感じて確認してみれば、何らかの器具を入れられていた・・

 

コレは、抜いたほうが良いだろうとは思うのだが・・

そうすると、部屋を汚してしまうかもしれないな。

 

『確か奥に浴場があったな』と、部屋の間取りを思い出しながら、寝台の角に丸められていた大きな布を広げてアヤの体にかけ、床に降りる。

と、見れば寝具の足元に洗浄の魔道具と似たような箱が置いてあった。

 

手に取って開けると、中には卵形の石のような物が収められている。

 

これが何なのかは解らないが、蓋を閉じれば洗浄の魔道具として問題なく使えそうだ。

早速使用して、アヤは勿論。寝具や床を清潔な状態へと整えた。

 

よし。と一つ頷いて、次いで自身と床に投げ出されていた服にも洗浄を行い、それを持って浴場へ向かう。

 

「・・水はどこにあるんだ?」

 

浴槽・・らしきものはある。随分と小さいのでこれが本当に浴槽なのか確信はないが。

 

『そうだ確か、アヤが洗面をしていた時に・・』

 

浴場で水を見つけられなかったので、浴場の前室にあった洗面台から水を得ることにした。

 

「確か、こう・・」

 

アヤが目に入れたレンズを外していた時に、魔力で把握していた状況を思い起こしながら洗面台の銀色の取っ手に似た突起をぐいと上に押し上げると、その下にあったもう一本の突起から勢いよく水が噴き出した!

 

慌てて元の位置に突起を戻すと、ピタリと止まる。

だが時既に遅く、丸く窪んだ盆の底で水が跳ね、私の前面と盆の周囲が濡れてしまった。

 

驚いた・・魔力の動きは感じなかったから魔道具ではなさそうだが・・

 

恐る恐る、少しだけ突起を持ち上げる。

すると今度は、細く水が流れ落ちて来た。

 

「成程・・この突起の上げ下げで水の量を調節するのか・・」

 

と。この魔道具に似た道具の使い方を何となく理解して、水操魔法で飛び散った水を回収して浴槽に捨てる。

 

改めて自身の魔力を動かしてみて分かったが、どうやら私の中で渦巻いていた余剰分の魔力は、すっかり排出されたようだ。

 

切り飛ばされた右足に未だ違和感は残るが、それ以外で体の不調は感じない。

この部屋に満ちるアヤの魔力は吸収しても心地良いだけで、特に魔力の反発等はなく、寧ろ魔力制御の緻密さが上がった気がする。

 

酒でほろ酔いになった時のような感覚もあるが、これくらいならば行動に支障は無いし、問題ないだろうと判断。

 

そのまま、浴場に戻り洗面台から得た水で器具を取り出し・・

入っていたモノの大きさやらに少々戦慄したものの、手早く服を着こんで浴場を洗浄した後、アヤの所に戻った。

 

寝台の傍で膝を着き、伏せた腕に顎を乗せるようにしてアヤの横顔を眺める。

 

焦がれた顔を目の前にしても、どこかふわふわとしていて現実感がない。

こみ上げる愛しさに、広がる髪を一房掬い取って口付けた。

 

花のような甘く優しい香りが鼻腔に広がって、少しばかり腰が疼く。

 

どういう流れで彼女を抱いのか、記憶が無いのがもどかしい。

まさか、無理矢理・・というのは無いと思いたいが、事アヤに関しては私自身、紳士的に振舞えたかどうか・・全く自信が無い。

 

実際、先程はアヤの意識が無いにも拘らず、そのまま抱いてしまったし・・

 

欲望の捌け口にしたつもりは無いが、そう思われても仕方のないこの状況。

アヤの意識が戻り次第、誠心誠意の謝罪と、許しを請おう。

 

そしてもし、許された。その時は。

 

想いを伝え・・婚姻の申込を、しよう。

 

どうか、受け入れてくれるようにと願い。

アヤが目を覚ますその時を待ち続けた。

 

 

〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇

 

 

意識がふわふわと漂うような感覚のまま、喉に強烈な違和感を感じて咳込んだ瞬間。

一気に意識が覚醒した。

 

「かひゅっ・・げほっ。げほげっほっ!おえっ!」

 

なんっだ、これ。喉が、めっちゃ乾いてる!

張り付いて辛いのに唾液も出ないっ!

 

辛くて反射的に身を起こそうとするも、腹筋とか太腿から尻にかけてとか、痛くなった事のない、よく解んない箇所が痛くてどうにも起き上がれず、そのまま横向きになって身もだえる。

 

そこへ「アヤ!大丈夫か?」と心配そうな声がして、何も考えずに答えた。

 

「あ゛。む゛、い゛。あ゛ぢごぢいだい゛・・」

「分かった。水を持ってくる」

「あ゛い゛、がど・・」

「喋らなくていい。少しだけ待っててくれ」

 

目を開けられぬまま会話して、こちらを気遣っての行動に胸がほわんと温かくなる。

 

『ふふ。アド君優しいなぁ・・』

 

―って。

 

「あ゛どぐんっ?!」

 

叫び、タオルケットを跳ね退けて起き上がり―・・

そのまま全身の痛みにビキりと硬直。

 

痛ってーっ!!!

痛い痛い痛いめっちゃ痛いっ?!

背中から腰から太腿まで全部痛い?!!

 

内心で絶叫を上げ、上半身を起こしたままプルプルと震えていると、アド君が「ほら、無理をするな」と体を優しく支え倒して、タオルケットを掛け直してくれた。

 

その瞬間に、自分が全裸なのを自覚。

パニックに拍車が掛かり、脳内で『あばばば!』と荒ぶっている間にふよんとした温かい感触に背中を支えられて、水を飲みやすい角度で上体を起こされる。

 

「まず口に含んで、飲めそうなら飲み込んでくれ。無理なら吐き出してくれていい」

 

そう言って、唇にグラスを添えられた。

混乱の中、流れ込んできた水を反射的に飲み込む。

 

すると張り付いていた喉に一気に水分が染み渡り、乾いた所と濡れた所の境界がイガイガして激しく咳込んだ。

顔を逸らして横を向いた私の背中を、アド君はタオルケット越しに優しく擦ってくれる。

 

「大丈夫か?」

「げほっ。げほっ・・・ん・・あ。あ~・・。うん。もう大丈夫。違和感はあるけど、喋るのは平気そう・・」

「そうか。まだ声はざらついているから、無理はしないでくれ」

「うん・・・」

 

呼吸が落ち着いて、体勢を戻す。

 

どうやら背中の温かいふよふよした物は、前にアド君が魔法で作ってた水の椅子の温かいバージョンのやつっぽい。

相変わらず素敵な感触・・

 

いや。てか待って。マジ待って!

 

私、全裸!マッパ!はだかんぼ!

キモオタ腐女子のぶよった体を、こんな完璧超絶最高イケメンな男性に見せて良い物では断じて無くない?!

 

『どどどどどどうしようっ!謝罪と賠償?!下座る?!いやでもこんなド変態三十路女の土下座にそんな価値がミリもあるとは!あるとはっ!!』

 

壁と天井の境目を見つめ、頭の中で埒も開かない思考を高速空転させていると、アド君がベッドサイドですっと屈んだ。

そしてそのまま片膝をつき、私に向かって跪く姿勢に。

 

ぎょっとして思わず視線を向ける。

そしたらぱちりと目が合って、再度硬直。

 

あ、ヤバイ。かっこいい。

ボロい旅装束でも妙に似合っててヤバイ。

え。待って。上目遣いヤメテ。

わー。肌きれ―。

睫毛ながーい。青い瞳やばぁ・・

 

現実逃避も相まって、頭の中がキレイな物へ集中しはじめた時。

 

そっと、手を取られた。

 

「アヤ・・」

「ふへっ?!!」

 

びっくりして肩を揺らしたら、アド君は一瞬手を引こうとした・・

けど、驚いた顔を引き締め、真剣な表情でそのままきゅっと。

私の右手を、両手で優しく包んで・・静かに続けた。

 

「アヤ・・好きだ」

 

・・・・・・・・・・・・・・・は?

 

思考停止。

 

「あ。いや、違った。いや。違わないのだが。すまない。先に無体を働いた事への謝罪をする筈が、気持ちが急いて・・いや、言い訳だな。申し訳ない」

 

先程までのキリっと王子様然とした態度はどこへやら。

おろおろ、わたわたと焦り言葉を紡ぐ様子が可愛くて、固まっていた思考と体がふっと解けて和らいだ。

 

私の雰囲気につられてか、アド君も表情を柔らかくして微笑み、それから真剣な表情になって続ける。

 

「・・アヤ。まず、意識のない貴女を抱いた事、心から謝罪する。すまなかった」

「え。あ。はい。それはまぁ、別に?」

 

私の軽い返事に、アド君はぱちりと瞬きをして、ぐっと眉根を寄せて言った。

 

「・・手を出した私が言う事ではないが、頼むからもう少し自分を大切にしてくれ・・」

「え、と。いや~。コレについてはお互い様かな~って思って・・」

 

ね~?

別に私、処女って訳では・・あ、いや。本物を体験という意味では初めてでしたが、痛い思いをしたわけでは無いし・・寧ろご馳走様?

いや何様だよ。すげぇ失礼だわ。

 

「えぇと・・まぁ、私の方が先にアド君に対して色々・・そりゃあもうイロイロとイタしちゃってるワケで!文句を言われるべきは寧ろ私の方かなって・・」

「・・き、記憶はないが・・その。確かに。ただただ気持ちが良かったのだけは、うっすらと・・」

「あ。それは私も。途中から記憶なくてさ。気持ち良かったって事しか覚えてないや」

 

互いに見つめ合い、暫し沈黙した後。同時にふふっと笑い合う。

 

「お互い様、か・・」

「うん。お互い様・・だね」

 

触れ合い重なる手が温かくて。

なんか、それだけで『幸せだなぁ』なんて思った。

 

 

 




最後までお読みいただきありがとうございました。
次回の更新は月曜日です。
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