鏡の国の変態王子様 ~アラサーオタクな私の鏡。繋がった先は異世界でした~ 作:もすもす。
しょんぼりしてるアド君に「気にしないで~」とフォローしつつ、お風呂への移動方法を考えてるなう・・
手にした服がボロボロなのは仕方がないとして・・
『クローゼットから服を出してもらうのはナシだな。流石に下着を用意させるのはセクハラが過ぎる・・まぁ無難に、タオルケットおばけ状態で移動するしかないかぁ』
問題は体がギッシギシで動けない事ですね。
「てか今何時・・わぉ。真夜中。あ、アド君。机に置いてあるスマホ取ってもらえる?」
「わかった」
カーテンの隙間から見える外は暗く、壁に掛けられた時計は2時15分を指している。
草木も眠る時間でござるよ。
こんな時間に騒いでご近所さんに文句言われ・・・あ、遮音の道具が起動しっぱなしですな。
机の上に置いてあった借り物の遮音魔法道具の蓋が開いていたのを確認して、ほっと胸を撫で下ろす。
蓋が閉じてたらОFFなんよね。良かった良かった。
アド君からスマホを受け取って、「ありがと」とお礼を言ったら画面を確認・・
「あれ?充電切れかな?・・充電コード・・ごめんアド君。何度も使って申し訳ない。下に落ちてる白い紐みたいなのをくれるかな?」
「気にするな。これか?」
「いや、細い方・・うん、ありがと」
痛くて動けないのでつい甘えてしまう・・ちょっと図々しいかな・・
『でも、甲斐甲斐しいの、嬉しいな~。へへっ♪』
充電コードを受け取って挿し、アド君からの優しさを感じてによによしながらスマホの電源ボタンを長押しする。
「お。点いた。やっぱり充電切れ・・・・あれ?」
「どうかしたか?」
「いや、ごめん。ちょっと待ってね」
あれ、あれあれあれ~?
おかしいなぁ~?
記憶にある日付から3日ほど経ってるぞ~?
え~と。確かアド君が来たのが夜の11時くらいで・・半日弄り倒して昼になって・・つまり・・
「・・・・アド君。自分が起きてからどれくらい経ったか、覚えてる?」
「あぁ。体感だが・・半日程だな。気付いた時、外は明るかった」
「・・私。どれだけ寝てた?」
「私が気付いてからはずっとだな」
「・・マジか・・」
つまり・・私は意識がないまま丸1日抱かれてた可能性が―・・
『って!そりゃ体もギッシギシになるわーいっ!!』
どうりで喉がカラッカラだったワケだよっ!
あ、自覚したらめっちゃお腹空いてきた!
いや、いやいや。ちょい待ち。
普通飲まず食わずで抱かれてこの程度で済むもんなの?
私、この後ぶっ倒れたりしない?
自分の状態を何となく察して戦慄していると、アド君が「どうした?」と心配そうに訊いてきた。
そうだ。アド君もご飯食べてな、い?・・・の割には色艶良いなこの人。
「ね、ねぇアド君。あのね。君が来てから3日ほど経ってるんだけど・・ご飯食べてないよね?体の具合とか大丈夫?」
「あぁ。食事なら姉上が用意してくれたのでな。アヤが寝ている間に済ませた」
「あ、そうなの?それなら良かった」
「アヤの分もあるぞ?」
「えっ?!嬉しいっ!お風呂入ったら頂くね!」
心配より食欲が勝って頭からぽーん!と不安が飛んだ。
ウキウキしながら「よっこらせ」と身を起こ―・・せませんね。
「いぎぎぎぎ・・あちこち痛くて動けない・・」
「まだ私の魔力が完全には馴染んでないからな。安静にしていればある程度までは回復する筈だが・・辛ければ回復薬を使うか?入浴したいのだろう?」
「使って問題ないなら・・使いたい、かな~・・」
「分かった。視てみよう。少し触るが良いか?」
確認されて頷くと、優しく手を取られた。
アド君はほんの数秒の間目を閉じて・・こくりと1つ頷いてからそっと手を離す。
「うん。精に残っている魔力は大方摂り込まれているようだから、回復薬を使っても問題ない」
「成、程?・・アド君の魔力がそれなりに馴染んだって事かな?」
「そうなる。回復薬を使わなかったとしても、あと数時間もすれば精に残っている魔力も完全に馴染んで、体調も全快に近いところまで回復した筈だ」
「え・・魔力ってそんな回復効果?みたいなのがあるん?」
「相性の良い魔力だからというのもあるが、私の魔力を摂り込んだことでアヤの魔力は元々の魔力量から大幅に増えている。魔力保有量も同じように増えている筈だ。魔力を多く留められる者程、回復力は高くなる」
「ほぇ~。そうなんだ~」
だから筋肉痛程度で済んでいるのか・・魔力の相性様々ですな。
「さぁ、回復薬だ。自分で飲めるか?」
「うん。大丈夫。ありがと」
足元の袋?から取り出した赤い小瓶を示されて頷くと、蓋を取って渡される。
有難く受け取って、一気に呷った。
味は・・意外と悪くない。
炭酸の抜けたケミカルテイストな栄養剤的な感じ・・
甘ったるい上に少しとろみがあるから若干飲みづらい、かな?
「ほら、水も飲むといい」
「ん」
コップを受け取り、こくこくと流し込むと喉に張り付いてた感じが解消されてすっきりでございます!
「ふ~。ありがと、落ち着いた」
「それなら良かった。痛みはどうだ?」
問われて、体を動かし確認してみたところ・・
うん。なんか痛かった所が温かくなって・・・痛みと一緒に消えたね。
「凄いね!もう全然痛くない!」
「そうか。だが急に動くのは良くない。浴場までは私が運ぼう」
「え。すぐそこだし別に―え、ちょっ」
言葉の途中ですっと屈んだアド君に、問答無用でタオルケットに包まれたかと思えば、何とそのままひょいと横抱きにされた!
「あ、歩けるっ!歩けるから下ろして!」
「駄目だ。大人しく運ばれてくれ」
あ、わ。私っ重いのにっ?!
安定感が半端な・・ひいっ!顔が近いっ!
イケメンの圧が凄すぎて目が潰れるっ!
「いやいやいやいやマジ無理。ハズい。何か無理です降ろしてくださ―」
ちゅっ。
「・・よし」
―――?・・・ちゅってした・・・・・・?
ちゅってしたーっ?!!
アド君が!おでこに!ちゅってしたーっ!!
いやぁぁぁぁ!何コレ恥ずいいいいいいいっ!
イケメンか?!イケメンなのかっ?!!
何でそんな歯の浮くようなムーブを平気でカマして来るんじゃいワレェっ!!
お前さんには羞恥心ってモンが備わってないのかいっ?!
こんなキモオタ三十路女をどうするつもりなんだよチクショーーーーっ!
脳内で木刀を振り回して大暴れするも、体はカチリと硬直したまま。
満足気に頷いたアド君にスタスタと運ばれ、お風呂場の前で足からそっと降ろされた。
「立てるか?」と問われて、何とか「ふぇい・・」と情けない声で返事をする。
しっかりと床を踏みしめて体を支えた私に、アド君はほっとした様子を見せた後、少し言い淀みながら口を開いた。
「その・・今、私の魔法でアヤの中に精を留めているのだが・・浴場で流してしまった方が良いと思うのだ」
「へ?・・・あぁ。うん」
「あぁ。だから、アヤが浴場に入って暫くしたら魔法を止める。精が出てきたら流してくれ」
最後の方は少し早口で伝えると、アド君はこちらの返事も聞かずに「ではな」と脱衣スペースから出て行った。
1人になって、暫くの間ぼーっと立ち尽くす。
・・なんか、いろいろあり過ぎて疲れたンゴ。
「・・・取り敢えず、入るか・・」
タオルケットを解いて丸め、洗濯機の蓋の上に置いておく。
その上に体を拭く為のタオルを用意して、風呂場のドアを開いた。
シャワーを開けて、お湯になるのを待つ・・
「・・ちょっと溜めて浸かるか・・」
思い立ち、浴槽を洗おうと中に入ったタイミングで、急にお腹がぞくりとした。
瞬間、堰を切ったように何かが股間から溢れ出てっ?!
「え、ちょっうわわわっ?!」
ばちゃちゃっ!と浴槽の底で飛沫を上げたとろみのある半透明な液体に驚いて後ずさる。
ひぃぃ・・多い・・多いよアド君・・多すぎだよ・・
・・・てか、精液って時間が経つと白から透明になるんだねぇ・・
「・・ハジメテシッタナー」
棒で呟き、まだまだ出て来そうな気配に戦慄しつつ、頭の隅っこの冷静な部分が「このままじゃ排水管が詰まるぞ」と忠告してくれたので、水で薄めるべく浴槽に栓をした。
結局、そのまま浴槽に浸かる気になれなかったので、薄めて洗濯洗剤を混ぜて流したら普通にシャワーを浴びました。
まる。
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回の更新は月曜日です。