※この作品はR-18です。

鏡の国の変態王子様 ~アラサーオタクな私の鏡。繋がった先は異世界でした~   作:もすもす。

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お待たせしました。
ちょっと遅刻しました。


【233】消えた後の遺跡では。

 

頼子とアドが世界を越え再会を果たしたその時。

パーガルディア皇国の地底湖にある遺跡では、主を見失い愕然とした冒険者カルセの姿があった。

 

「アド様が・・消えた?・・」

 

先程まで確かに目の前に居た筈なのに。

敬愛する主の影も形も、気配すら、どこにも無い。

 

目の前の状況は、カルセにどこまでも非情な現実を突き付けていた。

暫し呆然としたが、直ぐに意識を切り替え「なんて事だ・・」と顔色を無くしている眼鏡貴族ことケイオニクス・ストークスに鋭く問を投げる。

 

「ストークス卿。アド様はこの魔術陣によって転送された、間違いないですね?」

「・・断言はできん。だが、その可能性は高い」

「どこに転移したかを探ることは出来ますか?」

「魔術陣はある程度読み解けている。だが、転移先を調べるとなると時間が必要だ」

「それは如何ほど?」

 

当然の質問に対し、貴族は絞り出すように「分らん」と答えた。

 

視線の先、固い地面に刻まれている古代の魔術陣は、強烈な光を放ったのが嘘のように沈黙している。

 

ぎり、と拳を握りしめたカルセは1つ覚悟を決めた。

そこへ、アドの行方を心配した冒険者らが集まって来る。

 

「おい、カルセ。アドはどこに行ったんだ?」

「さっきの光はなんだったんだい?」

「なぁ!アドは?!無事なのか?!」

 

瞬く間にカルセを取り囲んだ冒険者らは、現状を確かめようと次々に疑問を口にした。

 

「アド様は・・消えました。恐らく、魔術陣の暴走でどこかに転移させられたのだと・・」

 

その言葉に騒めきが大きくなるが、喧噪を切り裂くようにカルセは続ける。

 

「そこで!皆さんに依頼があります。先程魔力充填に使った魔石を、全て買い取らせていただきたい」

 

「どういう事だ」と冒険者らが疑問を投げかけられ、カルセは簡潔に説明した。

 

「半精霊たちを世界中に放ってアド様を捜索します」

「・・成程。つまり、精霊様方に対価として支払う魔石が必要って事だね?」

 

確認してきた「不屈の砦」リーダーであるミリアーナに頷き、カルセは続ける。

 

「その通りです。アド様の魔力で満たされた魔石なら、対価としては十分ですし、捜索の手がかりにもなりますので」

「分ったよ。金は要らない・・と恰好付けたいとこけど、ウチらも遊びで冒険者やってるワケじゃないんでね。相場の半分で手を打とうじゃないか」

 

にやっと笑って告げたミリアーナに続き、「栄光への導き手」所属の黒髪の魔剣士。セドリックが割り込むようにして声を上げた。

 

「俺の分の魔石なら直ぐに渡せるぜ!それによ、足りなくなったら外で狩ってくればいいだろ?!」

「確かに。他の魔石でもアド様の魔力を移せれば・・」

 

一瞬考え込んだカルセに、今度はボサ髪の魔法使いリルベルが手を上げて発言する。

 

「それならわたしが手伝える。魔力を移す魔術陣を組める」

「それは助かります!依頼という形でお願いできますか?」

「ん。問題ない」

 

そこにドワーフの1人が質問の声を上げた。

 

「確認したいんじゃが、魔石は大きさ関係なく数が必要なんかの?」

「そうです。出来るだけ多くの半精霊と契約したいので、数はあればあるほど良いです」

「そんなら大きい魔石は小さく加工してやるかの。なぁに。砕くだけならそう手間もかからんて」

「助かります。依頼料は弾みますので!」

「いらんいらん!だが、どうしてもっちゅーなら、美味い酒でも頼もうかのう!」

「感謝します・・」

 

集まった冒険者と皇国のドワーフたちの協力により、瞬く間にアド捜索への流れが出来上がる。

 

手際よく役割が割り振られ、洞窟内の熱気が高まる中。貴族が声を張り上げた。

 

「聞け!皆の者!冒険者が行方不明になった責任は我にある。よって、かの者の捜索に携わる者には、金貨1枚を与えることを約束しよう!」

 

貴族とは思えぬ太っ腹な発言に、集まっていた者たちは騒き更にやる気を漲らせる。

早速とばかりに動き出した喧噪の中、カルセは貴族に深々と頭を下げて言った。

 

「感謝いたします。ストークス卿」

「当然だ。一刻も早く探し出さねば・・」

「はい」

 

2人が話しているところへ人魚のロアーナとリルベル。そして「栄光への導き手」所属である白角の鬼人、シグレがやって来る。

人魚らとの連絡要員と、魔術陣関連の手助けの為だ。

 

「セレーネが~。出来るだけ手をかすって~」

「おらんとこのリーダーも「最大限協力する」と言ってたべ」

「再戦の約束。果たしてもらわないとだから」

 

アド捜索への協力を口にする面々に「皆さん、ありがとうございます」と礼を伝えたカルセは、すぐに魔術陣の近くへとその場の全員を連れて移動する。

 

「他の方に魔石を用意して頂いている間に、ここに居る皆さまには少しでも魔術陣の解析を進めて頂きたく」

「分かった。直ぐに取り掛かる。ロアーナ。外の仲間に新しく紙とインクとペンを用意するように伝えて」

 

リルベルの言葉に頷いたロアーナが音を届ける前に、貴族が「それなら」と割り込んだ。

 

「我の部下に用意させよう。外で待機している者に我が「筆記用具を所望している」と伝えるが良い」

「え~と~。・・かみとインクとペン?を~。貴族さまが欲しいって~。て言えばいい~?」

「それで良い。あるだけ持ってこいとな」

「分かった~」

 

ロアーナが跳ねるような音で仲間に伝言を飛ばしている間に、シグレは腰の袋から符を取り出して言う。

 

「んなら、おらは残った水竜の魔力ば回収しとくっぺ!その方が調べやすいべや?」

「正解。よく知ってる」

「鬼人の「符」と「魔術陣」は大本が似てっからな!」

 

得意気に笑って見せたシグレの言葉に、貴族は気付きを得てはっと顔を上げた。

 

 

 




最後までお読みいただきありがとうございました。
次回の更新も月曜日の予定です。
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