鏡の国の変態王子様 ~アラサーオタクな私の鏡。繋がった先は異世界でした~ 作:もすもす。
一応のR15。
美味しいお茶とケーキを頂いた後、アドくんの本人確認書類として在留証明書的なモノを作るとかで写真を撮られたりしまして。
国王様の手紙への返事は3日後ということで本日はこれにて解散。
無事、自宅に戻って参りました!
組合にアド君の事を報告できたので、とりあえずは一安心。
だがしかし、他にも色々とタスクが山積みである。
でもまぁそれらは一旦横に置いておくとして。
今は何より、私には重要な!超絶問題な事がっっ!
『あ~もぉ~!めっちゃムラムラするんですけどぉ?!』
おっと。引かないでくれたまえ。
明け方に飲んだ回復薬が未だに仕事をしているのか、あと5時間もすれば完徹だというのに体のコンディションがばっちり過ぎる所為でもあると思うのだけど。
私がこんなにムラついているのは
まずさぁ!恋愛初心者の三十路オタに対してスキンシップが激し過ぎんだよっ!
歩く時に手を繋ぐな!(しかも恋人繋ぎだ!)
何かにつけて誉め、また同時に微笑むな!(蕩けるようなってヤツ!)
目が合う度に頬とか手の甲とかに触れるどころか接吻まですなっ!(律儀にリップ音まで!)
こちとら毎度毎度心臓が「ぎゅっ」ならぬ「ぎゃっ」となって頭痛までしてくるんだからなっ!
別に、嫌という訳ではない!
ないけどっ!頻度というものを考えて欲しいっ!
特に外では勘弁してっ!
いくら魔道具だかで私含めて周囲から認識されづらいとは言え、人目があるところでいちゃいちゃ出来る程アタシャまだ経験値が稼げておりませんのよっ!
なのにめっちゃグイグイ、グイグイ来るしっ!
すっごい手の平でころころされてる感が半端ないんだが?!
何っ!王族は女性の扱い方を熟知してるのが普通なの?!
・・はっ?!
さては閨教育とかダンスとか婚約者とかそういうので経験を積んでおるのでは?!
なぁ~んて考えてたら段々「どきどき」から「イライラ」ときて「ムラムラ」になったワケです。
え?分からない。
いや、分かるでしょ?分かれよ(真顔)
最初はあんまりにもお、お姫様扱い?みたいな。
大切な宝物を愛でる様に接してくるから、私も同じようにさ・・
もっと。それ以上に返したくて。
触れたい。優しくしたい。お世話したい。何でも願いを叶えたい。
気持ち・・良く、してあげたい。
アド君に奉仕したい。
・・・・・か、ら、の~?
私に対する扱いから、他の女性との経験を想像してしまい、ぷちっと来たワケです。
結果。
目の前でぷるぷる震えながら唇をぽってり腫らした年下彼氏が爆誕したんだな、これが。
家に着くなり「ちょっと屈んで」とお願いして、こちらから唇を奪ってやりましたわ。
最初「びくっ」としてたけど、すぐに応えてくれたし。
触れ合うだけのキスは、そう時間を置かずに舌と舌を絡める物に。
知識だけは豊富な私はアド君が逃げないように、頭を両手でがっちり固定して。
その上で舌の表面を舌で擦り、歯列をなぞり。
口内の天井である上顎を、ぞりぞりと舌先で届く最奥まで刺激する。
そこまですると、私の腰の上に回されてた手がびくっと跳ねて、ぎゅうときつく抱きしめて来た。
けど、時間が経つにつれて拘束は緩み。
身長差で見上げる形だったキスの角度は次第に下がり、最終的には玄関前の床に崩れるようにして座ったアド君を上から眺める形になった。
それでも力が入らないアド君の頭をずっと両手の中に閉じ込めて、散々舐り倒すこと数分・・
漸く解放され、はひ、はひ、と乱れた呼吸と蕩けた顔でこちらを見上げるアド君が完成したってワケ☆
「あ、ヤ・・なに、を・・」
「ん~。何か急にしたくなって?」
敢えてケロリと答えて、玄関の鍵を閉めたらそのままアド君を放置して部屋に上がる。
「さ、買ってきたご飯食べてお風呂入っちゃお~」
背中に視線を感じる。
少しの間気付かないフリをして、台所に荷物を置いて上着を脱ぐ時に気付いた風を装い声を掛けた。
「ん?どしたの?早くご飯食べよ?」
「・・・・・分った・・」
のそりと立ち上がり、前屈み気味で移動するアド君に内心にっこり。
交代で手を洗ってうがいして、テーブルにご飯を広げる。
今日の夕ご飯は速度重視のファストフード。
だがご安心召されい。日本のご飯は海外勢に「クレイジー」と言わしめる程大人気。
それはファストフードでも同じらしいので、私も安心してお勧め出来るってもんです。
「はい。アド君のテリヤキとエビカツとホットドック。あ、オニ〇テ湿気っちゃってる。温めてカリカリにしようか?」
オレンジジュースを目の前に置いて訊ねると、アド君はぎこちなく「それは・・何が違う?」と小首を傾げた。
「ん?ポテトって油で揚げて作るんだけど、出来立ては水気が飛んでカリカリした食感なのね。んで、こうして持ち帰ると出来上がりから時間が経って、周りの水気でしんなりすんの。どっちも美味しく食べられるけど、まぁ好みの問題だね」
「そうか・・なら、今はこのまま食してみよう」
「おっけ!したら次食べる機会があった時には出来立てにしようね!」
「うむ・・」と頷くアド君にこちらも頷きを返して、自分のテリヤキチキンとオニ〇テとジンジャエールを引き寄せて手を合わせる。
そっからは、殆ど無言で夕食を進めた。
時折正面のアド君からちら、ちらと視線を感じたけど、始終素知らぬふりで受け流し・・
きれいに食べ終えてから片付けをして、テーブルを拭きつつ入浴を勧めた。
「お先にどうぞ。私、お茶淹れとくし」
「あ、あぁ・・」
またしてもちら、とこちらを窺う視線・・
けど、私が「何?」と素っ気ない態度で返すと、目に見えて「しゅん・・」として「何でもない・・」と浴室に向かう。
どことなく煤けた背中が脱衣スペースに消え、扉が閉まる音がしたところで、私は腕を交差させぎゅうと二の腕を掴んで身悶えた。
アド君かっわいっ!!
意識しちゃってモジモジしてんの良き!!
おねだりしたいのに出来なくて、気付いて欲しいくせに言葉には出来なくて。
私から言って欲しくてうずうずしてんのマジ萌えるわぁ~!!
じゅるり。おっと涎が。
『さぁて。どこまで焦らそうかな~♪』
なんて、鼻歌交じりで非道な事を考えながら、いそいそと準備を始める。
作業机の下に押し込んでいた道具たちを取り出して、直ぐに使えるようにスタンバイ。
最後に洗浄機能の付いた異世界オモチャの魔石に魔力を充填・・うむ。ばっちり!
道具をイイ感じに仕舞い、箱を机の下に戻したところでアド君がお風呂から出て来る気配。
「おかえり~早かったね」
「・・うむ」
「今お湯沸いたから、お茶淹れるね~。座って座って」
頷き、さっき迄座っていた位置に着いたアド君の前に緑茶のポットとマグカップを置いた。
「じゃ、私もお風呂行ってきます!アド君はゆっくり寛いでて~・・あ。そだ」
部屋を出ようとした所でぱっと振り返ると、こちらに手を伸ばしかけていたアド君がすっと膝に手を戻したのが見えた。
けど、その動きに反応する事無く続ける。
「お風呂上がったらさ。ちょっとお願いがあるんだけど、いいかな?」
「お願い・・」
じわじわと頬を染めて頷いたアド君に「ありがと」とお礼と一緒ににこっと笑ってから部屋を出た。
で。ささっとお風呂を済ませて着替えたら、濡れた髪のまま戻る。
「戻りました~っと」
「お、かえり・・」
「うん。ただいま。あ、私もお茶飲もっと」
「ちょっと失礼」とアド君の前に置いたポットを回収して、お湯を足す。
「うん。出涸らしでも十分イケる」
水分補給をして、ふぅ。と一息ついた所で、アド君が待ちかねた様子で「と、ところで」と切り出した。
「先程言っていた・・お願い、とは。何を?」
「あ~。言ったね」
素っ気なく返して、ばらりと前側に垂れていた髪を額から手櫛で後ろに流し、すっと流し目を送る。
と。アド君の喉が、ごくりと動いたのが分った。
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回の更新は月曜日の予定です。