※この作品はR-18です。

鏡の国の変態王子様 ~アラサーオタクな私の鏡。繋がった先は異世界でした~   作:もすもす。

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お待たせしました。
こちらは二話同時投稿の一話目です。


【37】異世界人パネェ・・。

 

そうして簡単に説明を受け、自分の状況を理解する。

 

「つまり、回復薬を飲ませて命を助け・・しかも魔法で服と部屋の血を洗い流しておいてくれたと・・」

「あぁ。濡れたままだと良くないと思ったのでな。だが、服の血は落としきれなかったのだ。すまない」

「えっ?!いやいやいや!命救ってもらっただけでも十分だってのっ!そんなの気にしないでよ!あれでしょ?私が寒くないように温水で洗ってくれたんだよね?」

 

多分そうだろうと思いながら訊くと青年はこくりと頷いた。

 

「良くわかったな。その通りだ」

 

血液汚れはねぇ・・お湯だと落ちにくくなるんだよね。

まぁ穴も開いてる事だし、服は処分するけども。

 

「んで、血塗れな部屋を見たら私が驚くと思って、周りも洗ってくれたと」

「そうだな」

 

素直に頷く青年に、頼子は『やっぱそうか』と思いながら、微笑んで言った。

 

「・・ありがと。色々気遣ってくれて」

「・・・いや、当然の事をしたまでだ」

「うん。それでも。ありがとうアド君。君は命の恩人だ」

 

感謝の気持ちを込め、じっと視線を合わせて言うと青年はふっと淡く笑って答える。

 

「目の前に知り合いが倒れていて、救う手立てがあったから手を伸ばしただけだ・・あまり気にするな」

「ははっ。それはちょい無理かな!でもそうだね。友達に全身全霊で感謝されまくったら困っちゃうよね!」

 

「それでもやっぱり、お礼はしたいなぁ」と続けると、青年は自分を指差し「私が、友達?」ときょとんとしている。

 

「え?そりゃ知り合って一週間くらいだけど、何度も一緒にご飯を食べた仲だし、知り合いというよりは友達に近いかなって・・」

 

性的なアレコレも致しちゃってるので、純粋な友達とは違うかもだけど。

 

「・・そうか。私たちは友人か」

「うん。少なくとも、私はそう思ってるよ・・えと、迷惑・・だったかな?」

 

どこか思い詰めたような、硬い表情の青年に恐る恐る問う。

 

やはり一週間で友達とか、ちょっと図々しかっただろうか?

 

視線を向けていると、青年はふいに肩を下げた。

ふぅと小さな溜息を吐いて「いや。今はそれで良い」と曖昧な答えを返す。

 

「―うん?じゃあ友達って事で・・これからもよろしくです?」

「あぁ。よろしく」

 

返された肯定の言葉に嬉しくなって、自然と笑顔が浮かぶ。

 

本当ならここで握手と行きたいところだけど、この鏡めは何故だか肉体は通してくれないので、代わりとして台に肘をついて反対の腕を伸ばし、ぺたりとその表面に手の平を当てた。

 

青年も、こちらに合わせて手の平を当てる。

 

つるりとした感触越しに、冷えている手へじわり熱が伝わって来た。

自分より、明らかに長い指、大きな手。

 

男の人の手だ。

 

ふとそんな感想が浮かんで、こちら側より一回り大きな手越しに微笑む青年の顔を見た瞬間。

ぐわっと羞恥にも似た感覚がせり上がり、顔に熱が集まった。

 

唐突な自分の変化に自分自身で驚いて、思わず当てていた手をバッと胸元に引き戻す。

 

「どうした?」

「いや、何か。急に変な感じがして・・」

 

顔が熱い。心臓うるさい。なんか汗掻いてきた・・

 

何ぞコレ?

 

疑問符いっぱいで首を傾げると、青年は心配そうに言った。

 

「回復薬で体の傷は修復されていると思うが、かなりの出血だったからな。まだ血が足りんのだろう。大人しく横になっておけ」

「うん、そうする・・」

 

青年の言葉に素直に従い、ぽよよんと元の位置に戻る。

すると、壁の時計が目に入った。

時刻は八時ちょっと過ぎを指していて、部屋の明るさから今は朝なのだと理解する。

・・私、カーテン開けてたっけ?

 

「・・アド君。もしかして君、ずっと起きてたん?」

「ん?あぁ。アヤがいつ起きるか解らなかったからな」

 

「様子も見ておきたかったし」と、青年は寝不足を感じさせずにけろりとして言う。

 

・・・マジか。

と、いう事は。メイク落としてないドロドロの寝顔をずっと見られてたんか・・

 

なにそれ死ねる。

 

「・・ちょっと顔洗ってくる・・」

「動くなと言ったろうが。どうしたというのだ急に」

 

顔を合わせる時いつもスッピンだったけど、それは別に恥ずかしくないのよ。

元々大した顔してないんだし。

でも崩れたメイクはアカン。普通にアカン。しかもコンタクト入ったままだわ。

 

「・・お化粧落としたい・・あとコンタクトも外したい・・」

「あぁ、いつもと雰囲気が違うと思っていたが、化粧のせいか・・「こんたくと」とは?」

「眼鏡の代わりに視力を補強する、眼球に張り付けるレンズ?」

「・・まて、レンズを目に?・・正気か?」

 

ドン引きで僅かに体を反らす青年に「分かる~引くよね~」と笑う頼子。

 

「まぁ慣れだよ。とりあえず顔洗って、後お手洗いにも行きたい、かな?」

「・・仕方ない。我慢しろというのは酷だしな」

 

渋々頷いた青年に「ありがと、それじゃ」と言って立ち上がろうとした瞬間。

「待て」と短く呼び止められた。

 

「やはり心配だ。洗面まで私が運ぼう」

「・・・どゆ事?」

「このまま運ぶだけだが?」

「いや、どうやってさ?」

「?。水を操作するだけだ」

「いやいや。お手洗いあっちだよ?見えないじゃん」

 

そう言ってクローゼットの向こう側にある通路を指差す。

だが青年は平然と「問題ない」と答えた。

 

「操作する水を通して、魔力による空間把握が可能だからな」

「・・マジか。そんな事もできるんだ・・あ。だからカーテンも・・」

「それもこれも、アヤに知識を教えてもらったお陰だ。持て余していた魔力を魔法で消費することで振り回されず、適切に運用出来るようになったからな」

 

「索敵と空間把握はとても有用で助かっている」と感謝を述べる青年に「ほへー」とよく解っていない様子で返す頼子。

 

あれか。エコーロケーションみたいに、直接視認しなくても把握出来ちゃう感じか・・

 

魔力ってすげぇな。

 

「・・異世界人パネェ・・」

「まぁ、そんな訳だ。遠慮せず運ばれていろ」

 

『確かに、さっきは立ち眩み酷かったしな』と納得して、頼子は頷いた。

 

「・・じゃあ、お言葉に甘えさせて頂きます」

「あぁ、任せろ」

 

「早速行くか?」と訊かれて「うん」と頷く。

 

「あっ!でもお手洗い中は覗かないでね!流石に恥ずかしいから!」

「だ、誰がそんな非常識な事をするかっ!使用中は把握せんようにするわっ!」

 

「ま、まぁ、中で倒れたりなどして動きがない時はその定かではないが・・」と気まずそうな顔をする青年に、頼子も「そりゃ緊急事態の時は別だわな」と理解を示す。

 

「よーし。そうと決まれば・・行け!不定形魔法椅子!もにゅ太1号!」

 

意味不明な掛け声に「なんだそれは・・」と呆れつつ、青年は指示通りに水を動かす。

そうして、洗面の介助を一通り熟すのだった。

 

 

 

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