※この作品はR-18です。

鏡の国の変態王子様 ~アラサーオタクな私の鏡。繋がった先は異世界でした~   作:もすもす。

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こちらは二話同時投稿の二話目です。


【58】イケメンって欠点とかないの?え?変態?そこは欠点じゃなくて美点さ☆

 

コーラもどきで喉を潤しながら取り付けた風鈴や、昨日顔を合わせた傍仕えさんの事なんかを話すうち、約束していた街中の写真の事を思い出した。

 

「色々あり過ぎて忘れてたけど、こっちの風景色々撮って来たよ」

「あぁ、そういえばそんな話をしたな」

 

「沢山写したんだー」とタブレットにデータを移して渡し、簡単に操作方法を説明する。

 

「その中から手元に置きたいヤツを2、30くらい選んでもらって良いかな?全部紙にして出すのはちょっとね・・」

「難しい事を言う・・出来れば全部の絵が欲しいところだが・・どうしても無理か?」

「あ~・・そんなら、ちょいと手間賃を頂いても良いっスかね?」

「わかった。なら昨日預けた金貨はそのまま代金として受け取ってくれ」

 

タブレットを眺めながらさらりと告げられた内容にギョッとして、頼子は慌てて口を開く。

 

「ちょ、それだと貰いすぎ!お釣りなんか無いし、どうやって差額を返せばいいのさ?!」

「なんだそんな事か。なら釣りは今までの食事代だとでも思っておけ」

「そ、んなつもりでご飯用意してたんじゃないよ?!」

「分かっている。だがこれで心置きなくアヤの食事を楽しめるというものだ」

「・・今までもちゃんと楽しんでた、よね?」

 

これまでは気を遣っていたのか?

いや、違うはずだと僅かな不安を滲ませて問うと、青年は「なんだ、分かっているではないか」と、ニヤリと笑った。

 

こちらを挑発するような笑みに、思わず「分かるよそれくらい!」と勢いで答えたが、内心とてもほっとしている。

友だち同士なのだ。変な遠慮や気遣いは無用だと思う。

 

「だが実のところ、少々心苦しく思っていたのも本当だ。金だと受け取りづらいというのなら、今後は口にする物を持参するが・・昨日預けた金貨はそのまま受け取ってくれると助かる」

「えーと。うん。そういう事なら、はい。ありがたくイタダキマス・・」

 

優しく微笑んでそんな事言われたら、素直に頷くしかないではないか。

 

・・イケメンは気配りの仕方もイケメンか。

 

『どう反応したら良いかわかんなくなるじゃん』

 

なんとなく両手で頬をむにむにと変形させていると「あぁそうだ」と青年は別の話題を持ち出した。

 

「預かった菓子だがな。昨夜、兄らに渡してその場で食して頂いたぞ?3人とも、とても気に入った様子だったな」

「そっかそっか!それは何より」

 

生菓子がウケたようで心底ほっとした。

喜んでもらえたのなら良かったよ。

少しは義理を果たせたかな?

 

『お礼の品を直ぐに用意できて良かったな』と思い返していると、ネットショッピングの便利さに思い至り、その流れで夜に取引する予定だったカレールーへと思考が流れ着いた。

 

「あ。カレールーだけど、もう届いてるよ!確認する?」

「そうか。なら「るー」の値を決めねばな。見本に一つずつ預かって中身を確認しても良いか?」

「良いけど、こっちでは3種類とも同じ値段で購入してるから統一してくれて良いよ?」

「そうなのか?ではそれを踏まえた上で検討するとしよう」

「はーい、よろしく」

 

間延びした感じで了解を伝えながら席を立ち、部屋の隅に置いてある箱から甘口、中辛、辛口を1箱ずつ取り出して青年に渡した。

 

と、丁度その時。玄関の呼び鈴が鳴る。

 

「なんだ?」

「ん、たぶん荷物が届いたかな?ちょっと見てくるね」

 

一言断り、玄関へと向かう。

ドアスコープを覗くと、そこには予想通り黒猫さんの姿が。

 

ドアを開け、荷物を受け取りつつ礼を言いうと、しっかり施錠して青年の元へ戻った。

 

「大丈夫か?」

「うん。やっぱり頼んでた荷物が届いただけだったよ」

「そうか。何が届いたのだ?」

「え?気になる?」

「・・少しな」

 

・・・・まぁ良いか。使う本人にも好みはあるだろうしね。

 

頼子は深く考えずに「じゃあちょい待ってね」と軽く了承して、作業机のペン立てからカッターを取り出し、段ボール箱の封に切り込みを入れた。

 

 

〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇

 

 

彼女の手から「るー」を受け取ったところで、何とも言い表し難い妙な音が鳴り響いた。

 

どうやら来客の合図のようだ。

 

「荷物が届いたのだろう」と席を外した彼女の背を視線で追いながら、咄嗟に手元の果実水を魔力で操作して向こう側へ送り込む。

細く長く伸ばし、魔力感知で彼女の様子をつぶさに観察した。

 

外の様子を確認するまではどこか緊張した様子だったが、危険が無いと確信したのかふっと警戒の気配が緩む。

なにやら金属をカチャと鳴らして扉を開けると、土色の箱を受け取って外の者に礼を言っていた。

 

良かった。問題はなさそうだ。

 

僅かな危険も見逃すまいと張りつめていた気を、こちらも緩める。

操っていた果実水は、彼女が振り向こうと動き出した瞬間に昇華させて消した。

 

これで良い。私が警戒している様子を見せれば、アヤも変に気疲れするだろうからな。

 

彼女は私の動きに気付く事なく箱を抱えて戻って来る。

 

「大丈夫か?」と確認がてら声をかけたが、本当に何事も無い様子に内心胸を撫で下ろした。

 

そのまま会話の流れで何が届いたのか尋ねたのだが、彼女の反応が予想とは違った。

てっきり、直ぐに中身を明かすだろうと思ったのだが・・

逆に「気になる?」と問われてしまう。

 

何だ?私が見てはいけないものだったのか?

いや、ならばもう少し慎重に行動するだろう。

・・気にならないというのは嘘になるからな。正直に「少し」と答えた。

すると彼女はほんの僅かの間だけ思案して、何やら小さな刃物を持って来て閉じていた箱の蓋を切り開け、中身が見える様にしてこちらに傾ける。

 

「はい。届いたのはこんな感じの物たちです」

 

見れば艶光りする透明な膜が、中の物を覆っている。

 

・・一番上にあるベルト状の物はどう見ても首輪だ。

他の品も色々あるが、筆以外の用途はさっぱりだ。

 

「その・・赤い物は首輪に見えるのだが・・」

「うん。前にあげたのは黒だったでしょ?赤も似合いそうだなと思って買っちゃった」

「なっ・・」

 

まさか、私の為・・に?

 

王族として、男として、間違っているとは思う。が・・

 

『嬉しい!』

 

彼女が、アヤが「私の」為に選んでくれた、従属の証!

こちらから強請ったものでは無い、純粋な贈り物だ!

これが喜ばずにいられようか?!

 

「それ、を・・私に?」

「うん。着けてみる?素材とか合う、合わないあるし」

 

特に含む物の無い様子でさらりと「試すか?」と問われ、一も二もなく頷いた。

 

素手で透明な膜を破り、取り出した赤い首輪をポンと渡される。

胸の高鳴りを覚られないように、冷静に観察する風を装い首輪を眺めた。

 

手の中のベルト状の首輪は、以前にもらった黒い物とそう形が違う訳では無い。

ただ、素材がどうと言う通り、明らかに黒い方とは質感が違う。

 

肌に触れる内側は皮のようで柔らかい素材だが、表面の赤い部分はテカテカと艶がある物だ。

指で触れると、恐ろしく滑らかでつるりとしている。

 

試しに輪にしようと金具を通して丸め、ベルトの端を止める部分に先端を差し込むと、ギチギチと摩擦が強くて少しコツがいる感じだった。

 

「どう?行けそう?」

「あぁ、実際に着けてみよう」

 

首元が隠れる詰襟の上着を脱ぎ、中のシャツのボタンを二つほど外した。

ベルト状に戻した首輪を首に巻き付け、手探りで金具に通す。

 

うん。悪くない。

と、言うか・・良い。

欲を言えば新しい物故、彼女の魔力が感じられないのが寂しく、物足りなくはあるが・・

 

「どう、だろうか?」

「うん。良い感じだね。やっぱり赤も似合うなぁ・・」

 

「可愛い」と、目を細めて笑う彼女の笑みを見た瞬間、ドッと心臓が跳ねる。

 

—あぁ。

 

優しく微笑む瞳の、その奥から滲み出る愉し気で嗜虐的な気配に・・・

 

堪らなく興奮する。

 

 

 




最後までお読みいただきありがとうございました。
次回の更新は月曜日です。
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