FGOエロ小説まとめ 作:お一
フェルグスとジャンヌ・ダルク、ジャンヌオルタをメインとなっております
第二陣。
編成は前回と同じ、フェルグスと立香でいく。
「ご武運を」
と、前回の作戦で救出されたランサー・アルトリアが立香の手を握る。武運も何も、向かう先は暴力を禁じられているのだが、男と女の情事を戦いに置き換えれば、そういうのも要るのかもしれない。
ありがとう、と頷いて指令室へ向かう時に見えた。
「ご武運を」
同じようにフェルグスの手を握ったランサー・アルトリアの表情が熱っぽく、握る手の力も立香の時より強い。
「ふむ。気にするでない、マスター。生娘故、情を通じた相手に少し感情的になっているだけだ」
いつの間にか、傍に居たスカサハが肩を叩いた。
「特にあやつの情交は情熱的だからな、なまじついてこれる体力があっただけに篭絡・・・・・・いや、メロメロにされたのだろう。あれもいずれ学ぼう。情交など情愛を通じずとも燃えられる。無論、儂と貴様でもな」
スカサハなりの励ましなのだろう。だがなんとなく忠告めいていて、宮本武蔵と顔を合わせづらい自分たちにも刺さった気がする。
「いこう、フェルグス」
「おう、やる気に満ちているな、マスター。此度は俺も少し考えがある。お前次第だが、任せて欲しい」
身長差のため、高低差はあるが肩を並べて出陣。
薄暗いロビーに出た時、フェルグスは耳を寄せた。
「前回はすまなかった。初陣にはなるべく口も手も出さぬようにしているのだ。戦も女も最初が肝心だからな。しかし今回は俺も助けよう。女の扱いに自信がなければついてくるのだ」
「もちろん。任せるよ、フェルグス」
前回でもこの豪放磊落な勇士の度量は知っている。武蔵と上手くいったこともあって多少自信のようなものがなくもないが、引き回しを提案してくる先達をわざわざ断る理由はない。
「女の選定も俺に任せてもらおう。介添えにも適した役があるのでな」
そこも異論ない。フェルグスがカルデアのことまで考えて選んでいることは判っている。自分には出来ない最適の判断をしてくれるだろう。
「来たようだ」
カタログで指名を終えて、扉が開く。
煌々とした光を背後に、浮かび上がったシルエットは、双子のように同じなのに対照的でもあった。
腰まで届く長いブロンド。紺色の服に銀の甲冑。腰に剣を吊っているものの、こちらをメインの武装として扱うことはあまりない。
彼女の武器は旗であり、その敬虔なる信仰であり、それらを支える意思の強さでもある。
百年戦争に突如現れ、人民を導いた救国の英雄、ジャンヌ・ダルクである。
「フェルグス殿、よく来てくれました。お恥ずかしいですが今は虜の身。御身の手を煩わせますが、よろしくお願いします」
アルスターの英雄に一礼した後、立香を向き直ってウインクをしてみせた。
「マスター、どうか彼女をお願いします」
判っている。緊張は前回の比ではない。向き直った、ジャンヌと双子のように同じなのに、対照的な影はふん、と鼻を鳴らした。
髪は肩に届かない程度にバッサリ。この断髪の経緯を知っていると、その姿だけでも心が動かざるを得ない。
黒い衣装に鐵の鎧。時に姉を自称するジャンヌ・ダルクと対照的に、旗も黒い。ジャンヌ・ダルクと同一の過去を持ちながら、その最期に置いて人々の同情と罪悪感と恐れによって分岐した、ジャンヌ・ダルクを超えるもの。
ドンレミ村に生まれ、仇敵たる英国軍と戦うも故国たるフランスの民に裏切られ、十九歳という短い生涯を火刑という残酷な最期で台無しにされた、悲劇の英雄。邪竜の蠢く特異点に於いて、人類への復讐を夢見た黒くも清廉なる乙女、ジャンヌ・ダルク・オルタであった。
「役得ね、マスターちゃん。名分を得て聖女を手籠めに出来るのだから、自分の幸運と悪趣味な特異点に感謝なさい」
ジャンヌオルタの態度は、ジャンヌ・ダルクとは正反対。どことなく楽しそうな彼女とは違い、こちらは不機嫌そうで、嫌味も飛び出す。
「もう。すみません、マスター。暴力を使わず、誰も死なない特異点はオルタの私にとっても望ましいもののはずなのですが、条件が、やはり受け入れがたいものなので」
「聖女サマはそっちでアルスターの大英雄と楽しくやってなさい。こっちはさっさと済ませましょう」
立香の手をひっつかむようにして行ってしまおうとしたジャンヌオルタだったが、フェルグスに止められた。
「すまぬな、黒い聖女よ。今回はマスターの介添えもしてやりたいのだ。業腹だろうが、同室を勘弁してもらおう」
「はあ? おぞましい。聖女サマがヤってるところを見てろって? いい趣味ね、マスター。貴方の御同輩は」
唾を吐き捨てるような語調だが、なんだかんだで品の良いジャンヌオルタは睨みつけるだけに留めた。対照的に、やはりジャンヌ・ダルクは機嫌が良い。
「構わぬかな、オルレアンの聖女殿」
「むしろこちらからお願いしたいところでした。マスターより、オルタの私の方が心配だったので」
「この・・・・・・!」
なにか、ジャンヌオルタがムキになりそうなところで止めに入った。
「ごめん、オルタ。大事な、ことだから・・・・・・」
世界に絶望したジル・ド・レェの願望によって生まれたジャンヌオルタは、本当の意味で世界やそれを救おうとする者に絶望はしていない。立香にまっすぐお願いされると、だいたい断らない。
「・・・・・・ええ、貴方がそう言うのなら従いましょう。どこまでも都合よく人々と人理に使い捨てられるだけの、最新の哀れな英雄にも使命がおありでしょうし、そんな可哀想な殿方に付き合ってあげるのもささやかな報いになるでしょうよ」
手を離して一人で先へ行く。完全にへそを曲げてしまったようだ。
「すみません、マスター。あれで直前まで不安ではあったのです。数少ない、あの子が心を許したマスターが相手ということで安心したところだったので、少し物言いがキツくなったのでしょう」
「ふむ、悪いことをした。二人で埋め合わせを考えようではないか、立香」
無事に帰還したら、と背を叩く。
こうして、並んでベッドが設えた大部屋で、申し訳程度の薄いカーテンに仕切られながら始まった。
ジャンヌ・ダルクという英霊は、処女ではない。
純潔を重んじるキリスト教の聖女でありながら、処刑直前のジャンヌ・ダルクは処女を失っている。
彼女が火刑に処された罪は、男装の罪。女でありながら男の格好をして、キリスト教会に関わったということが彼女の罪である。その理由は、牢に入れられた時に男装以外を支給されなかったこと、裸身を晒せば囚人の暴行に遭うことが明確なため、やむを得ず直前に誓約させられた禁を犯した。
そして、彼女を聖女と認めなかった当時のフランス正教会は、彼女の神秘性を剥ぎ取るために彼女の聞いた神の声を彼女自身に否定させるためにあらゆる凌辱を加えた。
「ちっ」
思わずジャンヌオルタが舌打ちをするのは、四肢を抑えつけられ、固い木のテーブルで肥満した審問官に覆いかぶさられた時のことを思い出すからだ。
それでも、ジャンヌ・ダルクは人を赦した。
赦してはいけない、と願ったジル・ド・レェによってジャンヌオルタが生まれた。
この特異点は、二人のその相違点を浮き彫りにする。
「んむ、う・・・・・・ちゅむ、ちゅ・・・・・・ちゅ・・・・・・くちゅくちゅ・・・・・・ん、ま・・・・・・っ」
並んだベッドに半分閉められたカーテン。部屋は薄暗いが両ベッド脇の照明が輝いてカーテンにシルエットが映し出される。
部屋に入ってそれぞれのベッドに分かれるなり、ジャンヌ・ダルクはフェルグスの唇に吸い付いた。
(う、わ・・・・・・)
と、圧倒されて息を呑む立香。
仕切りが布なだけに、向こうのベッドでなにが行われているかはっきりと伝わることもそうだが、なによりもあの鉄の聖女が男の首に腕を回し、情熱的にキスを交わしていることに驚いた。
「はあ・・・・・・」
ジャンヌオルタは呆れたように、恥ずかしそうに反対の壁を見ながら嘆息する。
死の間際に於いて変遷した彼女の本性、というと大仰で礼を失した表現かもしれないが、ドンレミ村で過ごした十七年で育んだ健康的な性癖は、或いは生命としての悦びを甘受する類のものだったのかもしれない。
そのことを、ジャンヌオルタは自分のことなだけに判っているのかもしれない。
「さっさと済ませましょ。向こうは向こうでやることヤってるだけなんで、気にしないように」
投げやりである。
無理もない。ジャンヌオルタの性格的に、こういった、敵側の思惑に踊らされるような振る舞いは好まないだろうし、彼女自身の傷に触れる行為でもある。ただ、生来真面目だから必要なことだと判断すれば無感情に事に当たれるのだろう。
鎧を外し、服を脱いでさっさと全裸になった彼女のためにも、迅速に事を済ませなければ、と立香も服を脱いだ。
「さ、どうぞ」
裸身になった二人は向かい合って、ジャンヌオルタは気怠そうに、しかし羞恥に声を上ずらせながら触れることを催促した。
「あ・・・・・・」
と、躊躇いながら肩に触れる。熱い。見れば、死人のように白い肌のジャンヌオルタの肩と首筋がかっと紅潮していた。
「そこじゃない」
立香の手をつねるように剥がしながら、下半身へ導いた。
「あんたも男なんだから、目当てはここでしょ。いちいち気取らなくていいのよ。さっさと挿れてちょうだい」
「そんな・・・・・・」
前回の、宮本武蔵との行為を思い出した。
覗き見た、フェルグスとランサー・アルトリア、スカサハとの行為とはまったく違ったものの、お互いを求める心が体を通して結実した、素晴らしいひと時だった。
それを、ジャンヌオルタと過ごしたいのだが、このようにしてはどうあっても過ごせないことは経験の浅い立香にも判る。
「鬱陶しいわ、貴方のそういうところ。自分のを見てみなさいな」
指を差されて、立香は触れられもしないのに肉棒が天井を向いていることに気がついた。
「どんな甘い言葉も、優しい手つきも、結局はそこに行きつくのよ。根っこはみんな同じ。あんたも私とシタいんでしょ? ならいいわ。許してあげるからさっさとしなさい。ここよ」
思い切ったように脚を開き、ジャンヌオルタは自らの秘部をぞんざいに指差す。
「まあ、ね・・・・・・貴方は優しいものね。やりづらいだろうけど、大丈夫よ、泣き叫んだりしないから・・・・・・ほら、きなさい・・・・・・」
声が優しい。
憎まれ口を叩いてみても、ジャンヌオルタには戦友を気遣う優しさがある。本当は、立香の心も判っている。これを好機と女で愉しむ性根ではないことを理解している。
それが余計につらいのだろう。もしも女の体を目当てに弄ぶだけの男なら、割り切って体を捧げてしまえばそれで済むことなのに、ジャンヌオルタの心を慮る立香だから、その配慮が痛痒を訴える。
「・・・・・・うん」
立香も意を決したように頷いて、ジャンヌオルタの脚の間に膝を進める。
色素をなくしたようなジャンヌオルタの秘部は、美しくも造り物のようだった。白に近い金色の恥毛がそよいで、無垢な秘部に彩りを添えている。
赤く腫れあがった亀頭は、それに比べればなんともグロテスクで、その光景は女を力ずくで手籠めにしようという趣旨のものに思えた。
膣口に宛がう。少し腰を進めて、ジャンヌオルタの秘部は花弁が開くように鈴口の辺りを迎えたものの、そこで引っ掛かった。
「ん、う・・・・・・!」
少し力を入れて進めてみても、肉棒は入っていかない。
当たり前だ。ジャンヌオルタのそこはまったく濡れていない。みっちりと詰まったジャンヌオルタの膣と、肉棒の間に隙間がない。乾いた肉と肉ではぶつかるだけで入っていかない。
「そのまま、強引になさいな」
「そんな・・・・・・!」
躊躇する立香の頬を両手で挟んで、ジャンヌオルタは言った。
「大丈夫、死なないわよ。特に英霊は頑丈なんだから。腹まで貫くくらいの気持ちでやればいいの。
・・・・・・そんな顔をしないでよ、私が悪いみたいじゃない」
こんなものであっていい筈がない。
男女が情を通じて、体を交わす時間は、至福で甘美なものでなくてはいけない。それをフェルグスと武蔵ちゃんは教えてくれた。
こんな、どちらかが苦痛を我慢して、苦行や作業のようにしていいものではない筈だ。
「・・・・・・やめよう、オルタ・・・・・・」
「はあ!?」
ジャンヌオルタは跳ね起きて、立香を見下ろした。
「貴方、それでも・・・・・・!」
カルデアを、人理を救う最後のマスターなのか、という叱責を呑み込んだ。
この作戦は奪われた戦力を取り戻すことが主眼であり最優先目標であり、そのために一兵卒の感情が邪魔ならば、その間だけ心を殺せば済む話だ。
それを作戦を遂行する指揮官が拒むのか。
しかし、ジャンヌオルタには立香の気持ちもよく判る。すぐに座って、目線を合わせた。
「救うのよ、立香。そう決めたんでしょう? なら犠牲だって呑み込まないと。そうやってここまで来たんだから、これからもしなきゃいけない。
いいじゃない。別に私は死なないし、貴方のことも恨んだりしない。ほんのひと時、お互いが堪えれば済む話よ。大丈夫だから・・・・・・ね・・・・・・?」
頬を撫でる。余程、立香は泣きそうな顔をしていたのだろう。ジャンヌオルタの声は姉のように、ひと夏のテンションで自称するそれとはまったく別種の、優しさに満ちていた。
まるでお通夜である。立香の性器も、故人を悼むように萎れて下を向いている。
向こうはまったく対照的に。
「ん、は・・・・・・はあ・・・・・・ん!」
口づけを交わしながら、ジャンヌ・ダルクの大きな乳房をまさぐる。
男の顔なら余裕で挟み込めるほどのサイズも、フェルグスほどの男の手は完全に覆ってしまう。その逞しく熱い、大きな手で乳房を揉まれるのは、得も言われぬ快感らしい。
ジャンヌ・ダルクは弾んだ吐息で甘い声を漏らした。
「あ・・・・・・」
気まずさに耐えかねて、そちらに目を向ける立香。
胡坐を掻いて座ったフェルグスの上に、首に腕を絡めて乗ったジャンヌ・ダルク。胸をまさぐりながら、濃厚にキスをしたり首元をくすぐったり、耳に息を掛けたり、あの体勢で出来る愉しみを味わい尽くすように蠢いている。
この部屋に入って、自分たちがもたもたしている間もずっとそれをしていたのかと思うと、やはり格の違いを思い知る気持ちだった。
「は、あ・・・・・・あぁん!」
フェルグスの指が、ジャンヌ・ダルクの桃色の突起を摘まんだ。
全裸で抱き合って、互いの体温が溶け合う心地よさを存分に味わい、濃厚なキスで気持ちを高め合い、接した肌を滑らせて遊んだ甲斐が合って、ジャンヌ・ダルクの乳首は硬く尖っている。
性感の熱で焦れる体に、その性感帯に唐突に走る快感。快感を受け取るために存在する粘膜への刺激に、ジャンヌ・ダルクは隣のベッドの存在も忘れて嬌声を漏らす。
「あ、あっ・・・・・・あ、ひ・・・・・・んぃ、いん・・・・・・!」
フェルグスの首に腕を絡めたまま、耐えきれずに顔を逸らして悲鳴をあげる。
彼の大英雄はその太い腕と大きな手からは想像もつかないほど繊細に加減を弁えて、ジャンヌ・ダルクの好みの愛撫でその音色を引き出していく。
「ん、んんう・・・・・・!」
一方的に啼かせられるのは不服なのか、なんとか顔を戻して唇に吸い付く。
「んぢゅ・・・・・・ぶ・・・・・・ちゅむ・・・・・・ぶぷ・・・・・・んう・・・・・・!」
舌を絡め合い、唾液を啜り取りながらも乳首を転がされる快感は止まらない。唇の端から漏れる甘い声は、とても聖女のものとは思われない。
「んむ・・・・・・あっ・・・・・・ああ、フェルグス殿・・・・・・!」
情熱的で官能的な吐息の中で、自分を悦ばせる男の名を呼ぶ。
「・・・・・・」
なんと対照的なのだろうか。
ジャンヌオルタが立香を呼ぶ時の、憐れみを含んだものとはまったく違う。夢寐に蕩けるような無防備で甘い声音は、立香の敗北感を一層強くする。
ジャンヌオルタを見る。
「・・・・・・」
隣の痴愚と化した己を恥じるように、不快そうに顔を逸らしている。
立香に、ジャンヌ・ダルクのような声を出させられるだろうか。思えば、宮本武蔵の時も似たようなものではなかったか。
(上手く、出来ては・・・・・・)
いなかった気がする。ただ、それでもお互いに求め合ったから幸せなひと時だった。今のジャンヌオルタの、凌辱と苦痛の記憶をかき消すほどの幸せを、藤丸立香が与えてやれるのか。
(無理だ)
そう思うと、がっくりと肩が落ちた。どんなに優しく押し倒しても、ジャンヌオルタの肌は冷たいだろう。その花弁から蜜が滴るなど起きるはずがない。
「・・・・・・」
それに比べて向こうはどうだ。
ジャンヌ・ダルクが腰を浮かすのが見えた。あの体勢のままでキスもベッティングも済ませて、挿入に入ろうとしている。
ジャンヌ・ダルクが、女が離れたがらないのだ。互いに肌を接した姿勢でなければもう寂しくて堪らない。ほんの僅かでも男のぬくもりが消えてしまうことを嫌がっているのだ。
「んんぐ・・・・・・っ・・・・・・ひ・・・・・・ん、う・・・・・・うう・・・・・・ああ・・・・・・!」
ジャンヌ・ダルクの嬌声を聞くだけで、どうなっているのかがありありと浮かぶ。
開きかけの花弁をフェルグスの剛直が割り入って、その大きさと太さに戸惑いながらも、ジャンヌ・ダルクのそこは受け入れていくのだろう。
強引に開かれるジャンヌ・ダルクの膣口も、蜜を滴らせて徐々に呑み込んでいく膣肉も、目に浮かぶ気がした。
「あ、ああ・・・・・・あっ・・・・・・は、ひ・・・・・・ひう・・・・・・んんう・・・・・・!」
ジャンヌ・ダルクの影が、腰が落ちる。
二人は抱き合ったまま、完全に繋がったらしい。
「あ・・・・・・か、は・・・・・・っ・・・・・・あ、は・・・・・・あ・・・・・・」
限界まで己の膣口を拡げられる圧迫感に、ジャンヌ・ダルクは苦しげに息を吐く。
シルエットで見る彼女の姿は、己の体を引き裂く危機感に離れたがる体を、必死に抑えているようだった。体が訴える苦しさを跳ね除けるほど、フェルグスを求めているのか。
「・・・・・・最低」
ふと、ジャンヌオルタが吐き捨てるように言った。
確かに彼女には耐えられまい。人類を憎んでいて欲しいと願った信者の具現である彼女は、人類を赦したジャンヌ・ダルクに対抗意識を持っている。
それは或いは劣等感や親近感の裏返しであるかもしれず、その対象が自分とマスターの存在も忘れて男と愉しんでいるなど、最悪の気分であろう。
しかし、目線を辿って、その言葉が立香に向けられたものだということに気がついた。
「あ・・・・・・」
萎えていた筈のそれが、勃起していた。
人間には共感性というものがある。性交をしている他人に共感して、自分のもののように共感するから紙や映像媒体での性行為が流行する。隣であれば臨場感は段違いだ。
しかしそういうものとは少し違う。
昏い昂奮だった。敗北感と羨望を主軸とした、卑屈な昂奮。勃起した立香のそれは後ろめたそうに震えている。
「シタいんなら我慢しないでさっさとやってくれる?」
ジャンヌオルタには立香の昂奮は判らない。単純に隣の二人に触発されたと思っている。
互いの心に隔たりがある。この隔たりのままでは幸せなひと時など訪れるわけがない。
どうすべきだろう、そう首を捻った時、
「あ・・・・・・っ!」
と、ジャンヌ・ダルクの甘い声音が響いた。
影が、弾んでいる。
「あ・・・・・・は、あ・・・・・・! あ、あっ・・・・・・や・・・・・・ひぃ、ん・・・・・・!」
哭いている。救国の聖女があられもない声を出して、その身に迸る快感に哭いている。
互いの熱を交わし合い、白い肌にしっとりと汗を浮かばせたジャンヌ・ダルクの体が小刻みに跳ねる。
柔らかく解れた膣肉が、フェルグスの浅黒い剛直に擦り上げられて、五体を震わせている。
「あ・・・・・・は、あ・・・・・・! あ、ああん・・・・・・!」
ジャンヌオルタでさえ知らなかっただろう。
どんな時も平静を失わず、障害があるならそれを壊して進めばいいという、戦車の如き心の聖女が、こんな声で哭くなどと。
「・・・・・・」
自分も、もしかしたらそうなのだろうか。
あんな風に、悦びを体の内から溢れさせ、快感と幸福感のままに喘ぐような、あんな声がジャンヌオルタから奏でられるものなのか。
もしそうだとしたら、ジャンヌ・ダルクにとってはフェルグスがそうで、自分にとっては誰なのか。ちらり、と横目に見た少年は、表情を悔しそうに俯いて、勃起したそれを震わせて気まずそうにしている。
(ふ・・・・・・)
と、嘲笑ったのは立香を、ではない。
こんなところまで自分を救いにきた立香に対して、生前のトラウマを持ち出して投げやりになっている自分がおかしくなってきた。
「ひう・・・・・・! ん、んっ、ん・・・・・・は・・・・・・は、ひう・・・・・・んんう・・・・・・!」
もちろん、隣でこんな、自分のことを妹と思っているくせにあんなあられもない声をあげている恥知らずと同じになるつもりはないが、立香の誠意と気遣いには報いなければならない。
なんだかんだで根が真面目である。自分を気遣う者を、自分を賭して他人を救おうとする者を蔑ろにすることだけは絶対にない。
協力しよう。
(まあ、そうは言っても)
協力自体はしているつもりだったのだ。そうでなければ男の前に肌を晒して股を開いたりはしない。これ以上どうすれば、立香をその気に、というか自分自身のトラウマを乗り越えられるのか見当もつかない。
首を捻って、まずは拘りやわだかまりを捨てるところから始めよう、と憎くて嫌いで、鬱陶しくて、まぶしくてあたたかい、最も遠くて近い自分の分身を見てみた。
「う、あ・・・・・・は・・・・・・あ・・・・・・! はあ・・・・・・っ、ん・・・・・・んう・・・・・・!」
声に切迫感が混じってきた。
フェルグスの上で小刻みにバウンドしているだけなのだが、繋がっている本人たちにしか判らない快感の高まりがあるのであろう。
その激しさは、ジャンヌ・ダルクの腹の中で攪拌される二人の粘液の音さえ、聞こえてきそうだった。
「あ・・・・・・! ふあ、あ・・・・・・っひ・・・・・・う・・・・・・うう・・・・・・!」
声は、嗚咽に似ているが吐息が幸福感に満ちている。自分のものはもちろん、他人のそんなものを聞いたこともないジャンヌオルタは、いつの間にか見入っていた。
薄いカーテンの向こう。シルエットしか映らないその光景も、ジャンヌオルタの、同人漫画を描くほどの想像力に掛かっては生身のありありとしたものとして映るのだろう。
「ん、んっ、ん・・・・・・! んう、う・・・・・・う、あ・・・・・・あひぁあ・・・・・・!」
体の中から湧き起こる快感に耐えかねたように、ジャンヌ・ダルクは激しく身を捩って逃げ場を探している。しかし、自分を砕いてしまうほどの快感に脅える女を、フェルグスは優しくも力強く抱きとめて、その法悦を解放してやる。
「イ・・・・・・!」
そんな男への返礼なのだろう。ジャンヌ・ダルクは自分がどうなるのかを言葉で伝えようとして、しかし不意に訪れた絶頂に喉を引き攣らせ、息を詰まらせて体を突っ張った。
「・・・・・・っ、は・・・・・・あ・・・・・・あ・・・・・・!」
フェルグスの首にかじりついたまま、背をのけ反り喉を見せ、口を金魚のようにパクパクさせて絶頂に狂う。
余人の目にも判った。ジャンヌ・ダルクはその意識を奪うほどの強い快感に硬直し、二人だけの止まった時間を味わっているのだと。
「・・・・・・」
息と生唾を呑んだのは、立香とジャンヌオルタの二人だった。
あれが男女の究極形なのか。自分たちもああなれるのだろうか。初心者が熟練者を見た時の、憧れと畏れと、あれほどにはなれまいという諦めや否定の入り混じった、複雑な心境だった。
「ふ、う・・・・・・」
と、息を吐いてジャンヌ・ダルクから優しく身を離したのはフェルグスだった。
抱いた女を気死せしめ、彼を満足させた女は後にも先にも二人しかいない。それほどの精力だから、抱いた女への労わりも人一倍強い。
しかし相手も然るもの。ジャンヌ・ダルクにとってこの程度はまだ余裕のある範疇である。
「おや、フェルグス殿、どちらへ?」
「よいひと時であった。俺もこのまま睦み合っていたいが、状況が状況だ。出来るなら俺が手を取って導いてやりたいが、この場においては適任ではあるまい。頼まれてくれまいか、ジャンヌ・ダルクよ」
隣の、妹のような彼女と我らが敬愛するマスターを、とフェルグスは白い歯を見せて笑った。
快男児の爽やかな笑顔に、ジャンヌ・ダルクは眩しそうに微笑んで、
「ええ、喜んで。お気遣いありがとうございます」
フェルグスは去り、ジャンヌ・ダルクは残った。
二つのベッドを仕切るカーテンを開け広げて、
「まあ・・・・・・!」
と、ジャンヌ・ダルクは笑った。
まったく、なんと愛らしい二人なのか。ベッドに向かい合って裸身を晒しているというのに、触れることもなく戸惑ったまま、隣の情事に聞き耳を立てている。
品性に欠けると評する者もあろうが、ジャンヌ・ダルクには初心な妹のように思えて、微笑ましくて堪らない。
「オルタ、大丈夫ですよ」
「気安く触らないでくれる? 淫売に話しかけられたくないんだけど」
オルタのトラウマは、ジャンヌ・ダルクにも理解できる。その身が炎に包まれる前に己自信で踏み越えた心の傷なのだ。
「マスターには、なんの心配も要らないのよ?」
「うるさい。黙れ売女」
手厳しい、とジャンヌ・ダルクは苦笑して立香に向き直った。
「ごめんなさい、マスター。この子も本心ではないのですが」
立香の頭をその胸の中に抱こうとして、腕をジャンヌオルタに掴まれた。
「触るな」
「・・・・・・まあまあ!」
憎からず思っているのは知っている。しかし自分の男に他の女が触ろうとすることを拒む辺り、最後の一線に戸惑っているだけで、思っていたより順調なようだった。
ジャンヌ・ダルクは近所のお節介な若妻のような微笑みで、
「では二人でしましょう?」
「だ、誰が・・・・・・!」
「貴女はこっち。私はこう。マスター、いいですね?」
もともと、手心や容赦、躊躇や迷いといったものは持たない女だ。トラウマがあるなら乗り越える。線を引かれたら跳び越える。自分も他人もそのために使う。強引に手配りを済ませてしまった。
「あの、ねえ・・・・・・! 私はあんたなんかに」
と、ジャンヌオルタは不満そうだが、その行為に不服なわけではなかった。
立香の背を両膝に乗せ、頭を乳房に抱き寄せる。母が子をあやすような姿勢は、ジャンヌオルタの気質にとても似合っていないが、意外とまんざらでもない。
「そう言わずに、オルタ。徐々に慣れていけばいいのよ」
男は怖いだけでも憎いだけでもない。特に背中を預けて不足ないマスターが相手なら尚のことのはずだ、とジャンヌ・ダルクは言い聞かせて、立香の股の間に顔を埋めた。
ジャンヌ・ダルクの眼前には、放置と劣等感の昏い昂奮に滾った肉棒がある。
寂しい思いをさせたことを詫びるように、ジャンヌ・ダルクはその下にある二つの陰嚢に鼻を寄せた。
フェルグスのそれとは違う、若々しい青臭さに満ちて、思わずジャンヌオルタの秘所も反応してしまった。
新たな男のために、膣内に蓄えた真っ白い粘液を入り口に押し戻している。
「ほ、ほら・・・・・・好きなように・・・・・・しなさい、よ・・・・・・」
最後の方は消え入りそうに、ジャンヌオルタは立香に己の乳房を差し出した。
病人のように、いやそれ以上、死人のように白い肌。しかしその突端は薄い桃色に色づいて、立香に吸われるのを待っているように半勃起していた。
ジャンヌオルタの乳房に、うっすらと浮かんだ青い静脈まで、間近に見える。彼女への気遣いのために、抑えていた欲が噴き出すのを感じる。
口を大きく開けて、乳輪ごと口内に含んだ。
「ん・・・・・・」
思わず声が出たのは、快感からではない。外気に触れて涼しくなっていた粘膜が、口内の温度に触れてその差に驚いたからだ。
(滑稽ね・・・・・・)
と、ジャンヌオルタは思ってみたが、胸の奥から湧き起こってくる得体の知れない感情には当て嵌まらない。
なるほど、客観的に見ればおかしいかもしれない。成人になろうかという年齢の少年が、女に頭を抱かれて乳房に吸い付く光景は、やはり滑稽なのだろう。
だがジャンヌオルタは知っている。最初の特異点で彼と相対し、その存在を賭けて戦い、その年の暮れには、
「あのマスターちゃんの行く末を見守ってやろうかしら」
と、意地悪い笑みを浮かべて縁を辿り、召喚を望むようになったジャンヌオルタは、この少年がどれほどの苦しみ、痛み、つらさ、悲しみを乗り越えてきたかを、よく知っている。
その少年への癒しになれるというのは、こうなるまでジャンヌオルタは思いもよらなかったし、自分のこの、嬲られるために大きくなった乳房にそんな使い方があるとも、想像もしていなかった。
(そうよ、バカらしい。私の胸は、私のためにある)
決して、異端審問という名目で女を無理やりにする男たちのためにあったわけではない。そんなこと、ジャンヌ・ダルクは百も承知だったのに、自分だけが見失っていた。
「ふふ」
声に出さずに微笑を浮かべたのは、そのジャンヌ・ダルクであった。
別たれたとはいえ自分のことだ。ジャンヌオルタの心中は手に取るように判る。
(私の体は、私のもの)
嬲られるためだけでもなければ、火刑に処され続けるためでもない。英霊とはいえ、一個の生命として受肉したジャンヌオルタの五体は、ジャンヌオルタの好きにして良いはずだ。
その根底に、ジャンヌ・ダルクらしい自己犠牲の精神を沈ませたジャンヌオルタは、誰もが手にしている筈の真理を、ようやくのことで獲得したらしい。
「美味しい、マスター?」
優しい声音で問いかける。立香は夢中になって、ジャンヌオルタの肌の香りのする乳房を吸い続けている。
いくら吸っても母乳など出ない。出させたければ、出せる体にするしかない。そのために、どうすればいいか。
「っ・・・・・・!」
そこまで想像が及んで、ジャンヌオルタは爆発したように顔を真っ赤にさせた。
「ほ、ほら、もう終わり! 終わり終わり!」
立香の頭を引き剥がす。
立香は吸い付きを強くして少しばかり抗ってみたが、瓶から口を離すような音を残して離されてしまった。
(く・・・・・・!)
ジャンヌオルタも、名残惜しい気持ちがある。胸の奥からのあたたかい思いのままに、あのまま永遠のように過ごしていたかった気もする。
しかしそんな余韻も、
「あら、では交代しましょうか」
「あんたには死んでもやらないわよバカ女!」
生涯でただの一度も空気を読んだことのない聖女の横槍で粉砕された。
「では一緒にやりましょう」
それも断りたかったが、あまり自分の我がままを振りかざして立香を興醒めさせるのも気の毒だと思ったから、なんとかそれは呑み込んだ。
「お、おお・・・・・・!」
二人で、左右から立香の頭を胸で挟む。
本来、顔は内臓を除けば人体で最も他のものに触れる機会に乏しい器官と言える。タオルか枕くらいのもので、他人の体が触れることも珍しい。だからキスという行為はあんなにも尊い。
それを、乳房で挟む。得も言われぬ昂奮だった。
「もう少し優しく? それとも少しくらい乱暴に?」
「・・・・・・」
ノリノリで体を左右に揺さぶって、谷間の中の立香に乳房を擦りつけるジャンヌ・ダルク。ジャンヌオルタは戸惑いながら、それでも要望があればその通りにしようと遠慮がちに乳房で鼻を擦ってみる。
「ビンタするくらい激しく」
意外なほど率直な要求に、二人は吹き出しそうになるのを堪えながら言われた通りに。
「お、ほ、おお・・・・・・!」
ぺち、ぺち、と両側から挟んだ乳房が頬や鼻、後頭部を叩く。
柔らかくあたたかい乳房の感触はもちろん、打ち付けられて跳ね返ってくる弾力も心地いい。女の体で遊ぶ時、男は時に痴愚と化す。呆れながらも付き合ってくれる女の有情に、男は感じ入るのである。
「ぎゅう、と。さ、オルタも」
「命令するな」
吐き捨てるものの、自分には思いもよらない楽しませ方をするジャンヌ・ダルクに渋々従う。
顔の下半分を乳房で覆い、首元の薄い皮膚を目元に押し当てる。立香の顔が二人の乳房で埋まり、二人の顔は鼻先を突き合わせるほどに近くなった。
「楽しいでしょう?」
「黙れって言ってるでしょ」
姉のような振る舞いは癇に障るが、その言葉は外れてない。自分の体で憎からず思っている男が楽しんでいるのは、何とも言えない優越感がある。
「あ、溺れる・・・・・・! おっぱいで、溺れる・・・・・・!」
「お望みなら溺死させてあげましょうか、マスターちゃん」
痴愚になった男を見下すのは楽しい。優越感は、簡単に人を鷹揚にさせる。ジャンヌ・ダルクは妹の変化に微笑して、
「いい物がありましたから、これで遊びましょう」
と、ベッド脇からローションのボトルを取り上げて、自分の乳房に垂らした。
「さ、貴女にも」
「ん・・・・・・」
ジャンヌオルタは意外に素直に乳房を差し出して、立香の頭を挟んだままローションを受け入れる。
「口を閉じて。本当に溺れないでくださいね、マスター」
ボトルの中身を使い切るほどの勢いでまぶしていく。
二人の谷間から溢れたローションが、滑らかな曲線の腹に滴っていく。伝い落ちていく粘液の感触が、なんとなくくすぐったくて肌の感覚を敏感にしていく。
「お好きなところを、お好きなように」
ジャンヌ・ダルクはそう断って、立香を挟んだまま乳房を滑らせる。頬、顎、首、肩と降りて、かと思えばまた上がって唇に乳首を押し当てる。
立香が咥えようと唇を尖らせると、すい、と躱して一気に脇腹まで。
「・・・・・・」
バカらしい光景である。自分の素になった女がこんなことをしていると、少し前のジャンヌオルタなら逃げだしたくなるほどの恥ずかしさだったろう。
しかし、今は少しだけ共感できる。肉の悦びのためには、客観視という冷静さは邪魔なのだ。見様見真似で、ジャンヌオルタは立香の肌を滑ってみる。
「お、おお・・・・・・!」
この感動を、この昂奮を、どのように表現すれば良いか。それさえ立香には判らない。
両脇の二人は、自らの乳房で立香の肌を洗体でもするように擦り、滑り、ゆっくりと下半身へ向かっていく。
そのくすぐったさ、柔らかいものに触れる特有の快さ、あたたかいものに接した時の心地よさ。それらを全身の肌で感じる幸福感。
自分の声や吐息さえ邪魔に思えるほどに、多幸感に見ている。
「さ、横になって」
ジャンヌ・ダルクの導かれるままに、ローションでべとべとの体を横たえる。
「・・・・・・」
ジャンヌオルタは勝手が判らない。ジャンヌ・ダルクを普段ならあり得ない熱心さで見つめて、その動きを模倣する。
太ももを谷間で挟み、ゆっくりと膝へ向けて滑らせる。同じようにジャンヌオルタも。
「うひ・・・・・・!」
くすぐったい。身悶えするのを堪えて、二人の乳房の感触を味わう。
しかし、何事にも終わりは来るものだ。二人の乳房が足の指を包んだ時、立香は喪失感のようなものに襲われた。
いつまででも続いて欲しいこの至福のひと時の終わりに、寂莫の念を催したがジャンヌ・ダルクは男を立香よりも理解している。敢えて、その場所だけは残しておいたのだ。
「マスター、手を・・・・・・」
立香の手を取りながら、ジャンヌオルタの肩に腕を回すようにしてその場所へ導く。
眼前に、勃起状態で放置され、ヒクつきながら先走りを垂れ流す肉棒があった。
「左手は私のを。右手はオルタのを」
むに、と立香の手が二人の乳房の外側にめり込む。
「お・・・・・・?」
二人は肩を寄せ合い、立香の肉棒を挟んで横並びに。
向かって左のジャンヌオルタの左の乳房が立香の手に、向かって右のジャンヌオルタの右の乳房を立香の手が。
「さ、むぎゅ・・・・・・と」
言われた通り、腕を内側に。
すると、二人の乳房は寄せ合い、谷間を狭め、肩を接した二人の内側の乳房が相撲をするように押し合う。当然、その間に挟まれた肉棒は乳房の肉の海に押しつぶされることとなる。
「うほ、お・・・・・・!」
思わず鼻の穴も広がる快さ。ぬめった二人の乳房が肉棒に吸い付き、その感触を余すところなく伝えてくる。
隙間もない乳房の海に溺れた肉棒は、二人の肌を滑って快感を訴える。
「為すがままというのも、退屈でしょう? さ、好きなように遊んでください」
ただのパイズリとは違う。二人の谷間で挟むダブルパイズリとも趣向は別。自分で挟む強さを加減できるし、乳房と肉棒の間に隙間も生まれようがない。
顔を挟み込めるほどの大きな乳房を持つ二人だから、まったく同じ大きさ、同じ形の二人の乳房だから可能な芸であった。
「おお、ふ・・・・・・」
固定されていない肉棒は、ローションをふんだんにまとった二人の乳房の間で泳ぐ。棒状のものは長ければその分だけ動きの幅は大きくなるし、そもそも快感を得れば意思を介さずヒクつく器官だ。
「あん・・・・・・」
「ん・・・・・・」
二人の乳房の海で独りでに蠢くのは止められない。
見慣れたグロテスクな器官が、二人の白い肌に埋もれて見えないこの光景は、愛情や奉仕といったものを暗喩しているようにも思える。
抱かれている。その昂奮と安心感のために、腰がもぞもぞと動き始める。
「もっと乱暴にしてもいいんですよ? ね、オルタ」
「ま・・・・・・まあ、ね・・・・・・」
むにゅ、と手がめり込むほど強く乳房を押してみる。柔らかな乳房は押されるままに谷間を潰し、挟んだ肉棒を圧する。
滑らかな肌に包まれた脂肪が、横からの圧迫に対して上下と前後に逃げる。視覚としてこれ以上に楽しめる光景はあるまいし、肉棒に伝わる肉の流動も心地いい。
(溶けていたい・・・・・・)
このまま、永遠に。
この心地よさに比べれば、射精など些末だ。絶頂もどうでもいい。この時間が永遠であればと願わざるを得ない。
そういう立香を見ていると、ジャンヌオルタの胸にもくすぐったいものが湧き起こる。
(まったく、いい顔しちゃって・・・・・・)
鼻でため息も吐きたくなるほど、無防備な立香の表情。気負い過ぎる性格でもないのだが、油断の許されない生活を送る彼の、こんな緩んだ表情は初めて見る。
どこかに、怒りはあったのだ。自分も認めるこの少年が、穏やかな毎日を、自分でさえ神託の時が来るまで過ごしていた筈の、退屈な日々を送れないという現実に。
こんな顔で生きていて欲しい。
そのためには命だって捧げられる。誰かの願望で生まれた自分は、そのためになら生きられるし死ねもする。
不思議なことに、ジャンヌ・ダルクが加わるまで頭から離れなかった嫌悪感や、恐れといったものが綺麗に消えている。今ならきっと、そう思うと下腹部に熱い感触を感じずにはいられなかった。
「うあ、ああ・・・・・・!」
あられもない声をあげながら、腰をへこへこと動かして二人のジャンヌの乳房を泳ぐ。滑稽であり、愛おしくもある。
このまま果てるのが立香の望みなら、ずっとこのままで居てもいい。
あの日、薄暗い尋問部屋で太った異端審問官に揉まれ、舐られ、嬲られた乳房だが、彼の手なら、口なら、肉棒なら、どんなことをされてもいいと思えた。
(は・・・・・・聖女サマのことは言えないわね)
自分に呆れてみるが、口角が緩むのを抑えられない。
おそらく、涎まで垂らしそうな立香は、このまま精を放つのだろう。熱く生臭い粘液の感触は知っている。顔に塗りたくられたこともあったし、乳房を何人ものそれで汚されたこともあった。
どうせ火あぶりになるのだからと、膣奥にも肛門にも、無遠慮に幾人もが精液を注いだ。しかし立香のものはまったく違うのだろう。
あんな恍惚とした表情で、自分へあたたかい思いを持っている少年が吐き出すそれが、自分の記憶にあるものと同一のはずがない。
(・・・・・・熱い、んだろう・・・・・・ねえ・・・・・・)
その熱さに肌を焼かれてみたいとまで思った。この少年が汚した乳房を見た時の反応も見てみたい。
立香の腰のもぞつきが少しずつ激しくなっていくのを感じて、その瞬間を予感する。
「ストップ」
しかし、全ての予想を裏切ってジャンヌ・ダルクが制した。
普通、すんなりとは止まらない。昂奮に酔った男に女の制止など雑音に過ぎない。が、お行儀がいいのか立香は言われた通りに腰を完全に止めて、お預けを食らった子供のような顔で二人の顔を見比べた。この点一つとっても、自分を嬲った男たちとはまったく違う。
「こういうのがお好みなら、帰った後でまたしてあげますから今は我慢ですよ、マスター。貴方が最初にそれを注ぐのは、もうお判りでしょう?」
ジャンヌ・ダルクと立香が、ジャンヌオルタの顔を見る。
「・・・・・・っ!」
頬に血が巡るのがジャンヌオルタ自身にも判った。
「あ、でも・・・・・・」
まだ準備をしていない、と立香は自分からジャンヌオルタの肌に触れてもいないことを話した。愛撫もなしにいきなり挿入しては、ジャンヌ・ダルクが来る前に逆戻りだ。
すると、ジャンヌ・ダルクはくすくすと笑って、ジャンヌオルタに覆いかぶさった。
「ちょ・・・・・・! 触るな、バカ女・・・・・・!」
意外に抵抗は少ない。横向きの姿勢でジャンヌオルタの肩に己の乳房を乗せ、手で脚を開かせる。
「あ・・・・・・」
露わになる、ジャンヌオルタの秘所。見るのはこれで二度目だが、一度目とはまったく違っていた。
閉じていた花弁が僅かに口を開き、ほんのりと赤く色づいていて可憐。薄暗い間接照明にてらてらと光を反射して、準備が整っていることを示していた。
「えと・・・・・・なんで?」
まったく、この少年は気が利かない。口にするだけ野暮な疑問を、いちいち解説するジャンヌ・ダルクも癇に障る。
「人の優しさに触れるのも好きなら、人に優しくするのも本当は好きなんですよ、私は。だから、貴方に優しくされたから優しくしたい、とそれだけのことなんです」
よく判っている、とジャンヌオルタに向けてウインクをするその横っ面を張り倒してやりたかったが、空気を読んでなんとか堪えた。
「でも・・・・・・」
まだ、立香は躊躇している。射精前の肉棒をヒクつかせながら、うずうずと体を前のめりにさせながらも、ジャンヌオルタ自身の許可を願っている。
きっとこの少年なら、この期に及んでもジャンヌオルタが拒めば引き下がるのだろう。あんなに膨張した肉棒を持て余し、最高潮にまで登りつめた昂奮に自然冷却という残酷な仕打ちを与えても、堪えるに違いない。
それは、厭だった。親とはぐれた子供のような表情を考えるだけで、ジャンヌオルタの胸はちくりと痛んだ。
「愚図ね、貴方は。さっさと挿れなさいな」
「もう、そんなおざなりに」
ジャンヌ・ダルクは唇を尖らせた。立香はよく心得ている。自身を持って膝を進めた。
「ねえ、ちょっと邪魔よ。どいて」
「あら、そんな意地悪を言わないで。お姉ちゃんも気持ち良くしてあげますよ」
ジャンヌオルタの頭の側に回り込んで、膝を背中の下に滑り込ませる。少し上体を上げさせて、乳房を下から持ち上げた。
「さわ、るな・・・・・・!」
「いいから、任せてください。自分の好いところは自分が一番知ってるんだから」
その言葉通りだったのだろう。ジャンヌ・ダルクはさわさわと下から、乳房に這わせた指を動かして、ジャンヌオルタから甘い声音を引き出す。
「んく・・・・・・!」
それを、唇を閉じて堪えている。なんとも愛らしい仕草に、膣口に添えた肉棒がヒクついて挿入を邪魔してしまう。
「こ、ら・・・・・・! 見てないで、はやく・・・・・・!」
上擦った声で、紅潮した頬で、緩んだ目元で、ジャンヌオルタは抗議する。
この愛らしい姿をじっくりと楽しんでいたいが、へそを曲げられても困る。立香は気遣うようにゆっくりと、腰を進めた。
「あ、ああ・・・・・・!?」
ゆっくりと、だったのだ。何分も掛けて、ジャンヌオルタの負担にならないようじっくりと進むつもりだった。
しかし、ジャンヌオルタのそこは、立香のカリ首まで膣口で呑み込むと、棒アイスを咥え込むようにうねうねと蠢いて、肉棒をどんどんと呑み込んでいった。
「ふ・・・・・・く、う・・・・・・んひ・・・・・・!」
体に走る鋭利な、しかしそれ以上に甘美な快感電流に、ジャンヌオルタは呼吸を詰まらせる。それを慰めるように、優しく乳房を愛撫するジャンヌ・ダルク。
「力を抜いて、あんまりキツくするとマスターも痛いから」
「わか、ってるわ・・・・・・よ・・・・・・!」
ギチギチと食い千切らんばかりの締め付けを見せる膣肉。
ジャンヌオルタの意思に反してのことなのだろうが、なんと心地よいものか。柔らかく肉の詰まった膣が、張り詰めた肉棒を締め付ける様子は、なんとも小生意気で、いじらしい。
胸に迫るものを覚える。捻くれながらも善性を隠せないジャンヌオルタを示しているようで、ひどく愛おしい。痛いとまでは思わない。むしろこの生意気な膣を腰つきで躾けてやりたいと思うのは男の性だろう。
「あ・・・・・・ヤバ・・・・・・い、かも・・・・・・これ、我慢できない・・・・・・!」
射精しそうなのか、とジャンヌオルタは慌てて立香を見たが、そうではないらしい。
ジャンヌオルタの細い腰を掴んで、上体を倒して覆いかぶさる。顔が、息が掛かるまで近づいた。
(ふう・・・・・・)
と、安堵したのはジャンヌオルタであった。挿入してすぐ射精されたのでは、物足りなさもあるし気の毒でもあり、締め付けを緩められない罪悪感もあり、締め付けてしまう恥ずかしさもあった。
膣へ射精されること自体は、少しも嫌とは思わなかったが。
そっと、立香の頬を撫でる。
「いいから・・・・・・貴方の好きなように動きなさいな、マスターちゃん。私も、それが嬉しいから」
少しだけ、小馬鹿にしたように。そうすれば女への気遣いも吹き飛ぶだろう。
しかし心で繋がった仲とは厄介だ。そんな狙いも判り切っている。
ジャンヌオルタの膣は、入り口がきゅっと狭くなっているが奥は広い。そしてその広い奥に向かって膣は吸うようにうねうねと蠢き、襞を絡ませてくる。
男が突くためには、その吸うような動きに抗い、入り口の狭まった締め付けも振り切って腰を引き、もう一度、膣の導きに従って奥へ向かわねばならない。
これが経験の浅い立香にはなかなかつらい。
「ん、お・・・・・・!」
腰を引くだけで、からみついた襞がカリ首だの裏筋だの敏感なところを滑っていくし、きゅっと狭まった入り口は輪っかで扱くよう。快感を堪えるだけでも体力を使う。
「ん・・・・・・ん・・・・・・ん・・・・・・っ・・・・・・」
まったく同じ膣の造りであろうジャンヌ・ダルクにした、フェルグスのような男らしい力強さはまるでない。快感に対してへっぴり腰で、打ち付けもおそるおそるといった、どちらかと言えば情けない腰遣い。
しかしそれがジャンヌオルタには愛おしい。女を肉ではなく、恋人として扱う優しさが、彼女の傷をあたたかいもので塞いでいく。
「んふふ」
そういう二人が微笑ましくて、愛おしくて堪らない。ジャンヌ・ダルクは込み上げる笑いを噛み殺しきれなくなってきた。
ジャンヌオルタの頭上で、こんな笑いをこぼし続けると機嫌を損ねかねない。誤魔化すために、ジャンヌ・ダルクは乳首に吸い付いてみた。
「んああ・・・・・・!」
自分の体のことだから、どういう強さでどう愛されれば快いか、ジャンヌ・ダルクはジャンヌオルタより知っている。
舌で乳頭を下から舐り上げ、乳輪ごと口に含んで少し強めに、断続的に吸ってやる。
「う・・・・・・は、あ・・・・・・! は、この・・・・・・! ううん・・・・・・!」
ビクビクと、ジャンヌオルタの上体が弾む。胸の先端から蕩けるような甘い快感が広がり、腰が浮き上がる。
「うう・・・・・・!」
ジャンヌオルタの快感はそのまま立香に伝わる。膣の不規則な締め付けという、最も酷な責めと化して。
「う、く・・・・・・くく・・・・・・!」
奥歯で快感を殺し、呼吸を意識して長く大きくしながら全身に力を入れる。
快感を堪えながら、ジャンヌオルタに悦んでもらうため、へっぴり腰で肉棒を擦りつける。
「ちょ、っと・・・・・・! 寄って、たかって・・・・・・! ひああ・・・・・・!」
まるでジャンヌオルタを堕とすために結託しているようだが、それが純粋な真心から来ているのだから始末が悪い。
絶頂というものは、正直よく判らない。
自分を慰めたこともなくはないが、それがフェルグスとの交わりでジャンヌ・ダルクが受けたものと同じものなのかは自信がない。
今も、声が堪えられないほど快い。快感が全身を包んでいくのも判るが、それ以上に膣で感じる立香の肉棒が、その限界を堪えた震えが気になる。
(別に、堪えなくていい)
と、ジャンヌオルタは思うのだ。
交わりにも快感にも不慣れな自分に合わせて、歯を食いしばってまで堪えなくていい。痛々しくさえある。立香が自分の体で満足してくれれば、それだけでこの胸の奥からのあたたかい気持ちはもっと強く激しく大きくなるという確信がある。
もうそれだけでいい。この気持ちを得たいがために、女は男に抱かれたがるのだと判ってきた。
きっとそれで、この特異点の縛りは満たせよう。三人で帰れるに違いない。だから無理に、自分が絶頂しようなどとは思わない。
むしろ、つらそうな立香の顔を見続けるのがつらくなってきた。
思い切って足を膝下から広げてみて、カニばさみで立香の腰に絡めてみた。
「うあ・・・・・・!?」
「いいから、さ・・・・・・ね・・・・・・?」
両頬を手で挟み、その唇に吸い付く。
もういい。
立香のくれたこのあたたかい気持ちだけで、心だけでなく体も満たされる。元より、生理的にも女の体は絶頂には拘らない。この満足感が、絶頂より余程価値があるのだと知るには、立香もジャンヌオルタも不慣れ過ぎた。
しかし立香の体は限界に及んで、女からの不意の許しに我慢を忘れた。
加えて、ジャンヌオルタは今度は意識的に膣を締め付けている。生理反応のそれと違い、きちんと加減を弁えて、おそらく立香の好ましい強さで締めてみた。
「ああ・・・・・・!」
腰をひと際つよく、ジャンヌオルタの一番奥へ向かって。
「ん・・・・・・!」
深いところで感じる、お互いの体温よりも熱い感触。断続的に吐き出されるその感触は、記憶の中にあるものに似ているが、まったく違うもののように思えた。
これは、命に繋がる熱さ。自分の腹の奥から、杯のような形の宮に向かうものと結びつき、次代の命へと繋がる感触だった。
端的に生物的に言えば、ジャンヌオルタの卵子が求めている感触なのだ。
「ああ・・・・・・!」
その悦びに、生命の根源的な悦びに際して、ジャンヌオルタは喉を反らして歓喜の声をあげた。
なんという高揚感。これに比べれば、隣のベッドでフェルグスを相手にジャンヌ・ダルクが得ていた快感など、きっと小さなことなのだ。
(孕みたい・・・・・・!)
根源的な欲求が突き上げてくる。
キリスト教徒として生き、愛する男を知らぬまま生涯を終えた彼女が、初めて覚えた欲求であった。
(孕ませて・・・・・・!)
未だ自分の体に絡みつくジャンヌ・ダルクの、憎たらしい姉面の聖女の手を振りほどいて、立香の首にかじりつく。
腕を首に絡め、腰に絡めた脚はそのままに。溶けてなくなれとばかりに肌を接して、立香に注ぎ込まれる命の息吹を感じ取る。
「・・・・・・」
いったいどのくらいその体勢で居たのか。
ジャンヌオルタには、ジャンヌ・ダルクのことさえ意識にはない。溶けて混ざる二人の体温が、腹の奥で泳ぐ立香の精子が、更に奥で待ち受ける卵子の渇望が、それらの感覚が今のジャンヌオルタにとっての、世界の全てだった。
もう、なにもかもがどうでもいい。帰れないならここで一生、立香と愛し合ってもいい。心に刻まれた、錆びた古傷もどうだっていい。このまま、時が過ぎればいい。
しかし何事にも終わりは訪れる。二人の体温はゆっくりと下がり、それに従って無粋なプロラクチンが脳内で分泌され、恍惚と昂奮は醒めていく。
ゆっくりと、どちらともなく身を離す。汗で濡れた二人の体は、名残を惜しむように吸い付いたがお互いが別の生き物だということを思い出して離れていく。
「ほ、う・・・・・・」
と、官能的に息を吐くジャンヌオルタ。為し遂げた気分で抱いた女を見る時の満足感たるや、フェルグスが人生の重点を置くのも判るというものである。
「おつかれさまでした、マスター」
にこやかにジャンヌ・ダルクが讃えてくれる。女を抱いて、そのことを別の女に褒められるとは、なかなかない面白みである。
個人の満足感はさておいて、とにかくこれで任務完了の筈だ。ジャンヌオルタの満足感は彼女にしか判らないが、見たところ成功している。少し休んでフェルグスと合流して帰還。戦友を取り戻せる。
「ね、マスター」
朗らかに、笑顔のジャンヌ・ダルクが立香の肩に手を置いた。
「私にも、お願いしますね」
「へ?」
どくん、と心臓が強く鳴った。
「あ、あんた、なにを・・・・・・」
冷静になってきたジャンヌオルタが戸惑っている。
「オルタは満足できたのですから、次は私の番だと思うんですが」
きょとんとした表情でジャンヌ・ダルクは首を傾げている。
彼女はフェルグスによって満足させられたはずだ。帰還条件は整っているはずだが、こんなことを言い出すということはフェルグスでは足りなかったのだろうか。もしそうなら、自分が、しかも一度射精した後の自分が満足させられるはずがない。
「あら、もう元気に。さすがですね、マスター」
戸惑いや躊躇いを浮かべる精神とは別に、体は自分の生殖を待つ雌の色香に反応して、萎えようとしていたそこが固くなり始めていた。
ジャンヌ・ダルクは横になって、脚を開いた。
「お願いしますね?」
あっさりと曝されたジャンヌ・ダルクのそこからは、フェルグスのものであろう粘っこい白い液体が溢れていた。
ごくり、と思わず生唾を呑んだ。
そんな立香が面白くなかったのだろう。ジャンヌオルタは膝立ちで傍に寄ってきて、
「ま、まだ私も満足してないから・・・・・・そんな女、片手間で充分よ」
立香の手を取って乳房へ押し当てる。
「可愛がってくださいね、マスター」
後で判ったことだが、ジャンヌ・ダルクは勘違いをしていたらしい。
どの段階でどの情報がすっぽ抜け、どう勘違いをしたかは判らないが、どうもジャンヌ・ダルクはここに来た四人で結ばれないといけないと思い込んでいたらしい。この段階では立香とジャンヌオルタ、フェルグスとジャンヌ・ダルクが繋がっても二組を結ぶものはない。
みんなで帰るために、自分が立香と結ばれて二組を繋ぐ必要があると思っていたらしい。
「なんと恥ずかしい・・・・・・」
げっそりと、やつれた立香に腕を絡ませながらロビーへ向かう道中、ジャンヌ・ダルクは行為中より余程顔を赤くして俯いた。
「ま、いいんじゃない? 聖女サマの本性が出たってだけの話なんだから」
こちらはツヤッツヤの顔で憎まれ口を叩いている。妙な機会ではあったが、結果にも過程にも満足している。
もうすぐロビーへ着くという時に、
「あぁ、ん・・・・・・!」
と、聞き覚えのある声が扉から漏れてきた。
「今の・・・・・・」
あんなトーンは聞いたことはないが、特徴的な声音はすぐ判った。
脳裏に浮かぶ普段の彼女。
夥しい蔵書に埋もれて、薄暗い図書館のカウンターで紙の本を捲る姿。長い髪を時折耳に掛けて、熱心に物語を追う伏し目。黒と紫の意匠を凝らした装束を押し上げる、煽情的な彼女のシルエット。
いつも声量が少し小さく、柔らかい声の彼女のこんな声は、聞いたことがない。思わず扉の隙間を除くと、
「ん、んう・・・・・・!」
ベッドの上で、フェルグスと紫式部が絡み合い、その下で、
「んは、は・・・・・・! んああ・・・・・・!」
シーツを握りしめて喉を反らせた源頼光の姿が見えた。
「・・・・・・」
見入ってしまった。カルデアでも特筆するほどのスタイルを持つ二人の痴態に。
すると、耳を引っ張られた。
「まったく、デリカシーのない。目移りもするだろうけど、今だけは・・・・・・さ」
「ええ。よそ見をしてはいけません。今だけは、私たちだけの貴方なんですよ」
頬を膨らませた二人のジャンヌに挟まれながら、ロビーへ向かう。
なんとも面映ゆい。さっきまで自分は、この二人を抱いていたのだ。これ以上もこれ以外も、望むのは贅沢が過ぎる。一転した誇らしい気持ちでロビーの扉を開けると、
「・・・・・・ムラムラしたんなら、後で・・・・・・」
「そうですよ。帰ってから、また・・・・・・ね?」
恥ずかしそうに目を逸らしたジャンヌオルタと、姉の表情でウインクをするジャンヌ・ダルクがそう言った。