FGOエロ小説まとめ 作:お一
運命の花婿を待つ純白の皇帝は、とうとうカルデアに於いてその相手を見つけた。
幸い、死線を共にしたその人物と恋仲となり、情を通じた者同士がする生命の営みも、何度となく越えてきた。
「うむ、正に人生の絶頂期である。二度目の生をこのようにして愉しむとは、運の強さもさすがは余である。そなたは果報者ゾ?」
ツン、と頬を指でつつく様子は誰がどう見てもバカップルであったが、その辺のバカ女と違うのは、ネロ・クラウディウスは王に相応しく度量が広いことであった。
どのくらい広いかと言うと、自分が一番でさえあれば愛人の十人や二十人、ハーレムの二つや三つを持つ程度のことは簡単に許容する程度だった。
常々、そのことは立香にも伝えてある。
「我が夫(つま)よ、気に入った者があれば余に遠慮をすることはない。そなたほどの勇者を好かぬ者はあるまいし、そなたもまた、男であれば気も多かろう。お手付き女の百人程度で目くじらを立てる余ではない。いちいち断らずとも良い。存分に愉しむが良い」
無論、それで自分を疎かにすれば腕の一本は覚悟してもらうが、と付け足すのも忘れない。
人好きのするこの皇帝は、基本的に常におおらか。構ってあげないと拗ねるし、構ってあげれば大喜びと大型犬のようだが、そこはあのローマの皇帝であり、災厄の獣と同一視されることもある女だ。
やると言えば本当にやるし、興味のないものへの酷薄さは童女よりも過激である。彼女が腕の一本と言えば二本を覚悟せねばなるまい。愛情余って憎さ百倍ということもある。
体の関係は許しても心の浮気をすれば刺される。そう思ってまず間違いない。
「そなたの好みはいちいち知っておきたい。余にして欲しいことがあれば、それこそ遠慮は要らぬぞ?」
何でもしてやる、と囁けば本当に何でもしてくれるだろう。
そして、何でもしてもらうために二人はアストルフォの部屋で待ち合わせた。
「・・・・・・なんでボク?」
さすがのアストルフォも、所かまわずイチャつくバカップルの待ち合わせ場所に使われるのには戸惑う。鈴を転がす声で首を傾げながら二人を交互に見遣るが、ネロは事情もよく判っていないらしい。
立香は、しばらく目を閉じて集中して、自分の中の葛藤や躊躇と戦っているらしかったが、やがて、
「ネロ、アストルフォくん、ちょっと二人でベッドに並んでくれるかな」
人理を賭けた戦場で指揮するが如き真剣な表情で指示を出した。
只事ではない。二人はそう察して、緊張した面持ちで言われた通りにする。
「もうちょっと、アストルフォくんは左に、ネロはもっと右。もっと近づいて、そう、そんな感じで」
二人の肩が接した辺りで、立香は大きく頷いた。
なにが始まるのか、二人は固唾を飲んで次の指示を待ったが、立香は唐突に服を脱ぎ始めた。
「え、マスター?」
丁寧に服を畳み、下着もきっちり三つ折りに畳んで、アストルフォが予想していたよりよっぽど小さな性器を曝した後、少しベッドから離れて膝をついた。
そのまま上体を屈めて、
「お願い! 二人で寝取られプレイしてみたいの!」
噂に聞いていたジャパニーズ土下座で叫んだ。
(シェヘラザードより綺麗な土下座だ!)
アストルフォは感心するように息を吐いた。言葉の内容は、理解が及ばな過ぎて耳の穴を素通りしていった。
一方、ネロはなるほど、と頷いている。
(女を複数誑し込むよりも、自分の女を誑し込まれる方が好みであったか)
ふむふむ、と理解ある妻の表情で立香を見ている。
そんな二人を、アストルフォは得体の知れない生き物を見る目で交互に見た。
「立香よ、二人で、と言ったがそれはそなたの知らぬところでアストルフォと戯れよということか?」
「ああ、それもいい・・・・・・でも出来れば目の前の方が・・・・・・」
「ふむ、そうであろう。ならば三人でと言い換えるべきだが・・・・・・ああ、そうか、そなたは行為に混ざりたくはないのだな。見ているだけ、いや見せつけられる方が良いということか」
アストルフォは、こんな訳の判らない提案を受け入れることを前提に、もう次の思考に入っているネロ・クラウディウスに、器の違いを思い知った。
「ごめん、なんの話?」
「決まっているだろう。アストルフォ、そなたが余を抱くのだ。マスターの目の前でな。それが我が夫の頼みなのだ。聞いてくれよう?」
ネロ・クラウディウスは美形が好きだ。老若男女に区別はない。
アストルフォは女の格好をしても男だと判らない美貌だから、ネロとしては別に不満はないらしい。豪奢を知るネロ・クラウディウスは、自分の女を他人に預けるという、ある意味では最も贅沢な趣向にも理解があるようだ。
「え、ネロとするの? そりゃあボクも嬉しいけど、マスターは? マスターがつらいことは嫌だからね」
「あ、アストルフォきゅん・・・・・・」
なにか、感動したように涙ぐむ立香だが、ネロはアストルフォの肩を労わるように叩いた。
「そのつらさが良いのだ。人間というものは、特に立香のように生まれながらに富める者でなければ、日々続く豪奢に肉も臓物も腐るような気分がするという。余にも判らないが、まああれだ、舐めプレイというやつだ。
余は絶対に立香以外のモノにはならぬ。その絶対の安心感を背景にしたつらさを愉しみたいと言うのだ。
アストルフォ、そなたは勿論構わぬな? なにせ余と楽しもうというのだ。否やはあるまい」
遊びなのだ。気楽に愉しめ、とネロは諭す。
アストルフォに小難しい理屈は要らない。彼にとって必要な情報は『誰も傷つかず』『自分が楽しい』という二つだけ。それさえ合致すれば、
「うん! だったらいいよ!」
童子のような笑顔で全てを承諾した。
早速服を脱ぐ。女の格好も嫌いではないが、女を抱く時の装束としては倒錯的過ぎる。アストルフォは、こう見えて好色ではあるもののその性癖は至ってノーマルである。
ネロも、首元の錠を外して、彼女自身の誇る肢体を露わにした。
「わあ、凄いね! さすがネロ!」
はしゃぐアストルフォのそれは、ネロの裸体を見ただけでもう勃起し始めている。
「うむ、そうであろう。本来であれば夫たる立香にしか許さぬ躰よ、存分に崇めるがよい」
などと、得意げに胸を張るネロであったが、胸中は穏やかではない。
(なんだこの長さは!? 立香の何倍だ!)
蛇が鎌首をもたげるように、先端についていく角度と根元までの長さから目が離せない。
その容姿に反して、アストルフォの性器は長い。太さは平均的だろうから、馴染ませなくても裂けることはないだろう。ただ、アストルフォ自身のへそを簡単に超える長さは、短小の立香に首ったけのネロからすると、ついうっとりしてしまう。
「ネロちゃま・・・・・・」
涙声の立香には、アストルフォの肉棒に魅せられていくネロの心情が、鏡で映すようにして判ってしまうらしい。
ごくり、と思わず生唾を呑むネロは、すぐにベッドに膝をついた。
「あれ、どうかしたの、ネロ?」
「そなたはそこで立っておれ。ちと挨拶をする。これから余を可愛がる憎いやつにな」
アストルフォらしいと言おうか、陰毛は生えていない。女のようにつるりとした肌の中で、不釣り合いなほど凶悪な肉棒。先端は可憐にピンク色をして、包皮など置き去りに完全にズル剥けている。
勃起しても半分隠れる短小包茎の立香とは、ネロも思わず比較を躊躇うほどだった。
(・・・・・・玉も、ずっしりと重そうだ)
ゴルフボールより一回りほど大きな二つの陰嚢が、きゅっとせり上がっている。
立香と比較すると、その内容量や濃度まで連想して、思わず喉が唸る。
「ええっと、本当にいいの・・・・・・?」
理性のないアストルフォが思わず戸惑うほど、このシチュエーションは異常だしネロの審美眼には気後れする。
しかし自分の下腹部をじっくり鑑賞しているネロの目に、情欲に燃える女の光を見た瞬間、その戸惑いも吹き飛んだ。
「お、ん・・・・・・!?」
ずい、と自らの下腹部を、具体的には肉棒の付け根をネロの頬に押し付けて、
「ねえ、早く早く!」
挨拶とやらをせがむ。何をする気か知らないが、さっさと済ませてネロの膣にこれをぶち込んでやりたい、とアストルフォは全身で急いている。
(この・・・・・・愛らしいやつめ)
遊びをせがむ子供を相手にする心地で、ネロは男くさい肉に触れた頬を撫でる。
ネロ・クラウディウスは暴君として知られているが、子供には優しかったという。アストルフォはちょうど大きな子供のようで、立香が相手に彼を選んだ理由が正にそれなのだが、うまくいったようだ。
「ちゅ、む・・・・・・」
指でアストルフォの先端を押し、腹に押し当てて、その根元に唇をつける。
恋人にするような熱く甘いキスを、先端に向けて順番に何度も口づける。
「お、ふう・・・・・・」
吐息を漏らすアストルフォの気持ちが、立香にはよく判る。自分もしてもらったことがあるからだ。
ただ、サイズを考えれば立香の時の五倍くらいキスの数は多いし、自分にするより情熱的な気もするが。
「・・・・・・」
ネロが立香を横目に片手を挙げ、指でちょちょいと合図をする。
犬を呼ぶ仕草に立香は膝を進めたが、ネロは顎で立ちように命じて、ベッドへ上げる。
「え、れ・・・・・・ろぉ、ん・・・・・・」
その間も、待ち切れないとばかりに舌を伸ばして、アストルフォの裏側にぺとりと押し付けて舐め上げる。
ネロの唾液が肉棒に透明な跡をつけ、カリ高の先端にマーキングしていく。
「見よ、そなたとは比べ物にならぬ」
半身をアストルフォに向けたネロは、比較するためにもう片側に立香を立たせる。
言われるまでもない。
男の目線から見ても、へそを超える長さのサイズは元より、恐ろしくなるほどの膨張率で張り詰めたビンビンの肉棒は立派そのもの。膨らんだ亀頭も大きい。もしもあれがネロの内に入ったらと思うと、立香の粗末な勃起は震えずには居られない。
「棒だけではないぞ。このずっしりと重い玉・・・・・・この中の黄ばんだ粘っこい精液を胎内に受けたら・・・・・・どうなるか、判るだろう?」
どくん、と心臓が跳ねた。
脳裏に浮かんだのは、ローマの愛の女神ヴィナスもかくやというプロポーションを歪め、腹を大きく膨らませたネロの姿。
胎内で息づく命は自分のものではなく、女装をしたこの英霊の種から育った生命なのだ。
「ネロぉ・・・・・・っ・・・・・・」
泣きだしそう声で花嫁の名を呼ぶが、当のネロは鼻で笑って立香の勃起を指で弾いた。
「ああ・・・・・・!」
それだけで、ピュっと立香の勃起は先端から透明な汁を噴いて、腰を震わせた。
「ま、マスター・・・・・・?」
思わずアストルフォが引いている。
アストルフォからするとちょっと信じられない。水のように薄い精液も、ポタポタと垂れ落ちるだけの少ない量も、触れられるどころかチンコにデコピンされるだけで射精した事実も、そのことに悦んでいるネロも立香も。
しかし、この英霊は細かいことは気にしない。射精してしまうほど嬉しいということは、ちゃんと楽しんでいるということだろう。周りが楽しいのに自分が置いてけぼりではつまらないので、このノリを楽しむことにした。
「ネロ、ちょっと咥えてくれない?」
「うむ、余に任せるがよい」
アストルフォのズル剥け亀頭を頬張るために、小さな口を全開に広げた。
歯の付け根の間で糸を引く唾液が、愛液に満ちた下の口に思えて、立香の昏い悦びがまた騒ぎ出して、射精を終えた粗末な勃起が再び熱くなる。
若さなのか、回復力だけは人の数倍はある立香である。今度は立ち上がらず、ネロと同じ目線で彼女の口淫奉仕を見守る。
「あ、も・・・・・・」
恋人が、自分ではない肉棒を頬張る。
「・・・・・・ん、ふー・・・・・・っ」
大きく鼻息を吐いて、目を細めるネロ。紅潮した頬が、隠しきれない昂奮を示していた。
「ぶぢゅ、ぷ・・・・・・ぴ、ぶぴぴぃ・・・・・・!」
アストルフォの腰を掴み、食らいつくようにしてむしゃぶりつく。
唇の隙間から漏れる空気が、思わず耳を塞ぎたくなるほど卑猥な音を奏で、いきなり顔を前後に振って口内の肉棒を楽しむ。
「ぼじゅっ、ぴ・・・・・・! ぶぴ、ぶぷ・・・・・・っ、ぷ・・・・・・じゅぶぷぶ・・・・・・っ!」
口腔内にアストルフォの臭いを染みつけるように、粘膜で亀頭を扱き、自らまぶした涎を啜り取る。
「むふ、うー・・・・・・!」
満足げに大きく息を吐き、なんとか根元まで咥えようと試みるも、アストルフォのサイズを完全に呑み込むことは叶わない。半分ほどで喉奥に達し、ネロは諦めるように顔を引いた。
「ぷ、あ・・・・・・じゅる、れるれる・・・・・・ちゅぷぷう・・・・・・!」
咥えられなかった腹いせのように、一度唇を離して亀頭を舌で撫で、唇を尖らせて吸い付く。
厚い舌が先端を弾くように舐り、表面のざらついた粘膜と裏側のつるりとした粘膜を交互に亀頭に擦りつける。
「く・・・・・・!」
肉棒を挑発するような舐り方に、アストルフォも対抗心をくすぐられる。ネロの肩を掴んでそのまま押し倒した。
「アストルフォ・・・・・・」
もう一度射精してしまうほどに昂奮しているが、今までのは正に前戯に過ぎない。寝取られの本分たる性行為がこれから始まろうとしている。
心臓が違和感を覚えるほど激しく騒いだ。
本当に良いのか。恋人の愛を受ける自分の目の前で、恋人が他の男に抱かれる。今、待ったを掛ければ二人ともやめてくれるだろう。
いや、本当にそうだろうか。
アストルフォがネロを見下ろす目は獣欲に燃える男のそれであり、見上げるネロの潤んだ瞳は期待に満ちて、唾液が顎に伝っている。
今更制止など悠長で、とっくに引き返せないところまで行為の熱は高まっていて、邪魔をすれば追い出されるだけのことではないのか。
寝取られという被虐の悦びは、際限のない逡巡となって頭を回り、それが遅効性の毒のように脳髄へ染みる。しかし立香の下半身は、既に完全に勃起してしまっていた。
「・・・・・・」
ちらり、とネロが立香を見る。
情を通じた二人は目だけで会話が出来る。ほんの一瞬交わされた視線が、最終確認と合意を終えて、視線が切れた瞬間にアストルフォがネロに覆いかぶさった。
「ネロ、もう濡れてるんだ?」
「うむ・・・・・・そなたのをしゃぶっているとな、余のメスが疼いて堪らんのだ。焦らすなよ?
そのまま、挿れるがよい」
自分の恋人はなんと健気なのだろう。
二人でする時は、それはもう余人が一分と耐えられないほど甘ったるくイチャついて、お互いの体をくすぐるように撫で合い、たっぷりと戯れてから挿入に至る。
アストルフォのこのサイズを受け入れるには、二人の時と同じかそれ以上にほぐさねばならないだろうに、立香の昂奮を満たすには悠長過ぎると急いでくれている。
胸が切なくなる。こんな、最高の恋人が抱かれる様子は、寝取られ性癖に刺さり過ぎる。
「ほんとだ、もうぐっしょぐしょ。いきなり全部挿れていい?」
アストルフォも合わせてくれているのだろう。目頭が熱くなる。
「よ、と・・・・・・」
「んふ、ぐ・・・・・・んお゙っ・・・・・・!」
アストルフォが先端を膣口に宛がい、ぐっと腰を突きだした瞬間、本当に一気に呑み込まれていった。
「え・・・・・・?」
ほぐしていない膣だ、多少濡れていたとしてももう少し肉の抵抗があるはずだ。その抵抗を先端で割り入るのは確かに快いのだが、乱れているのはネロの方だった。
「お、おお・・・・・・! おっ・・・・・・んお゙おぉおお・・・・・・!」
ずぷ、と粘液に満ちた肉が押し広げられる、卑猥な音が聞こえた気がする。
「わ、すごいね・・・・・・! なかなかいきなりこんなに入らないのに」
「いつも、は・・・・・・っ、こん、な・・・・・・は、あ・・・・・・!」
駆け抜ける甘い快感に悶えながら、ネロはアストルフォの腕にすがりつくようにして答えを返す。
「いいところ、まで・・・・・・っ、届かんから、な・・・・・・! そこ、ちょっと窄まっているが・・・・・・一気に・・・・・・!」
知らない。そんなところがあるなんて。
「ああ、気持ちいい・・・・・・!」
アストルフォは無邪気に笑いながら、ネロを貫いていく。
「んああ・・・・・・!」
耐えかねたように喉を見せ、頭を逸らす。
開いた脚はカニばさみでアストルフォの腰を囲い、腕を引っ掴んで離さないようにしがみつく。
こんなに乱れたネロを見るのは初めてだ。それを望んでもいた。自分では与えられない快楽をアストルフォが与えることを、期待してもいた。
しかしこんなにもあっさりと、こうなるとは思ってもみない。
たかが挿入でこんなに乱れるとも思わないし、誰も届いていなかった膣の深いところは浅い所より抵抗があるらしく、アストルフォの腰が戸惑いながら進んでいく。
「ああ・・・・・・結構、ヤバいかも・・・・・・! すごいね、マスター・・・・・・こんなのすぐでちゃいそう・・・・・・!」
これに耐えているなんて、とアストルフォが褒めるがそんな心当たりは勿論ない。
「し、至上の名器・・・・・・だからね!」
「そっかぁ」
男共のバカな会話も、ネロには聞こえていない。
生前は思う存分に美しい男女と遊んだネロだが、粗チンの彼氏が出来た今生では久しぶりの感触である。
膣の深いところまでを熱い肉の塊に押し広げられる感覚。自分の体温よりも熱いものが腹の奥を犯す感触。
知らずに飢えていた膣がアストルフォの肉棒を熱く迎え、愛液が止め処なく溢れる。
「くあ・・・・・・!」
ネロの膣の感触を侮っていたわけではないのだが、これは慣れないと長く保たない。そう判断して、アストルフォは絡みつく膣肉を振りほどくようにして腰を引き、
「あぐ、んう・・・・・・!」
すぐさま奥へと貫く。
やはり抜く時よりも貫く時の方が快感が大きいらしく、カリ高の長チンに好いところを擦り上げられて、ネロが苦悶するように声をあげる。
「くう・・・・・・!」
アストルフォも頭を抱えて髪を掻きむしりたくなるほどの甘美な、そして生意気な快感に抗って腰を動かす。
引いては突き、突いて引く。
腹の中でかき混ぜられて白くなった粘っこい本気汁が結合部から溢れ、腰を叩きつける肉音が激しくなる。
「んお゙、お・・・・・・! お、むうおおぉお・・・・・・!」
鈴を転がすような、或いは花が開くような、可憐なネロの声とは思われない野太い嬌声が、肉音に負けない音量で部屋中に響く。
透けるような彼女の肢体はほんのりと赤みを増し、この声が演技ではないことを示していた。
「ネロ・・・・・・ネロ・・・・・・!」
アストルフォのサイズもそうだが、行為の激しさを見て、そしてその激しさに翻弄される恋人を見て、自分には一生こうはさせられないことを思い知る。
これほどの敗北感はかつてなかった。特異点で味わったどんな絶望感にも負けないこの感覚が、立香の勃起を震わせる。
今日のこの時まで、立香の勃起はネロの体で精を放ってきた。恋人の体の内と外を問わずに満たされるあの甘美な快感は、もう戻らない。同じことをしても、刻まれた敗北感が必ず顔を出す。
そしてその敗北感が、幸せなだけでは足りないピースを埋めてくれる。
自分の手にした幸福が、自分の油断で消え去る現実を再確認させてくれ、その分だけネロを愛する気持ちが生まれてくる。
寝取られは、お互いを更に愛する再確認の儀式。
そのことを立香はよく理解し、ネロもよく弁えている。
「お゙ぐ・・・・・・! んぐ、くひぃ・・・・・・!」
ただ、それはそれとして女としての欲情を満たす快感には逆らえない。自分が誰のものなのかも忘れて、ネロはアストルフォを抱き締める。
「あ、ヤバ・・・・・・! 出るよ!」
「余、も・・・・・・! イグ・・・・・・っ、いっく・・・・・・う・・・・・・! イケ・・・・・・!」
蜘蛛が獲物を捕食するように。
ネロは長い四肢をアストルフォに絡めて膣内射精を命じる。愛しい男の望みに応えて、愛する男のものにしか受け止めていなかった綺麗な膣に、他人の精液を許す。
「う、わ・・・・・・!」
アストルフォの意思を無視して、一瞬で限界を超えた肉棒から精液が迸る。
まるで、搾り取られるよう。
アストルフォの精液を啜り取るために、膣は男殺しな蠕動を見せ、入り口から奥へ掛けてうねる。それはネロの意思ではない。
恋人との交わりでは、決して満たされることのなかったネロの女が見せる貪欲な動きであり、孕むための吸精行動だった。
「い゙、ぐ・・・・・・う・・・・・・! んん゙う・・・・・・!」
ネロ本人は、久しぶりの深い絶頂に全身を硬直させ、気絶にも等しい忘我を味わう。
絶頂する直前、
「っ・・・・・・!」
ちらり、と立香を見たのが二人にとっての止めになった。
膣の蠢きにネロの意思は関係ない。ネロの女がアストルフォで孕むために肉を総動員して精液を啜り取っているだけだ。そのことが、傍目の立香にはよく判る。
「う・・・・・・!」
と、知らずに扱いていた立香はまたもベッドに精液を垂らす。
膣奥で放たれたアストルフォの精液が、あまりの量に溢れて入り口からこぼれ落ちていることに比べれば、なんと惨めで弱弱しい射精だろうか。
しかも、溢れた精液がその濃度のために結合部にへばりついて、なかなか落ちてこない。恋人の膣奥では、いったいどれほどの精液が膣肉にまとわりついているものか。
「あ、ふう・・・・・・」
アストルフォらしい可愛らしい声で息を吐きながら、腰を離す。
絶頂を超え、脱力した脚を引き離す。
「ああ、出した出した・・・・・・!」
本人としても満足のいく射精だったらしい。清々しく額の汗を拭いながらベッドを降りる。
「わ、すごい・・・・・・!」
喉を反ったまま、絶頂の余韻に震えながら四肢を投げ出し、潰れた蛙のようなネロ。それを射精しながら見守る恋人たる立香。ベッドシーツは無惨なほどに汚れ、思わず今日の寝床を心配した。
「えっと、これは・・・・・・」
「しん、ぱいするな・・・・・・」
ネロが息を荒げながら、乾いた喉に唾液を通しながらなんとか言った。
「我らのマスターが、きちんと片付けてくれる・・・・・・そうであろう、立香?」
恋人が他の男と戯れたために汚れたシーツを片付ける。
これ以上の屈辱はなく、そのために、二度の射精を終えた肉棒がまた甘く震え出した。
「うん・・・・・・もちろん・・・・・・」
性癖とは無惨なものらしい。立香本人は打ちのめされたように頭を垂れるのに、残り汁を先端からぽたぽたとこぼす陰茎が、また半勃起し始めている。
アストルフォは同情するように立香を見たが、三人とも楽しんでいるのならいいだろうと、全てを忘れてシャワールームへ入っていった。
「・・・・・・よかったか、立香?」
膣口からアストルフォの精液をこぼしながら、ネロが優しく微笑んだ。
どんな女神にも負けない、慈愛に溢れた微笑み。立香は感動したように何度も点頭した。
「そうか・・・・・・ならばよかった。近う・・・・・・余にキスしておくれ・・・・・・」
恋人にしか見せない、甘えた表情に、立香は襲い掛かるようにしてネロの唇に吸い付いた。
寝取られプレイはネロへの負担が大きい。
立香はそんなことはちゃんとお願いする前から弁えていたし、自分の異常な性癖に二人を付き合わせるのも一度だけだと決めていた。
そのことを、アストルフォの部屋を掃除しながら言うと、ネロは純白の花嫁衣装にそでを通しながら笑った。
「つまらぬことを言うな、我が夫よ。そなたはもっと傲慢になるが良いぞ。夫の願いが叶うのならば少しくらいの負担は構わぬ。余にもっと頼るのだ。そなたが望むならバイコーンとさえ番ってみせるぞ」
花嫁の心遣いと、シャワーから上がったアストルフォに取った最終確認で、
「え? いいよ。またやろ」
過ぎるほどにあっさり快諾を貰ったので次回も流れで決定した。
「うむ、なかなかハードだな。いや、構わぬ。そなたの心の中を曝け出してくれたことに、余は喜んでいるゾ」
道具も用意した。
寝取られ性癖とはマゾヒズムの一種ではあるのだろう。特異点では常に現場指揮官の立香である。ストレスも溜まっている。
何者かに全て預け、管理されるという行為に昂奮するようになったのは、ここで人理をその肩に乗せて戦ってからのような気もする。
まずは後ろ手に手首を縛る。跡がつかないくらいに、しかし自分では解けないように。
全裸なのはもう当たり前。その顔面に、
「う、む・・・・・・まあ、あまり嗅ぐな・・・・・・さすがに恥ずかしい・・・・・・」
丸二日、大好きな湯浴みを止めてもらって、着続けた下着を顔に被せる。ちょうどクロッチの部分が鼻孔を覆うように、耳に引っ掛けて固定する。
二人で戯れる時、くすぐった際に反応の良かった乳首をクリップで留める。バネを調整して、痛くない程度に調整している。そのため、あまり激しく動くとすぐに取れてしまうので、これが落ちた時には別の罰ゲームを用意するという趣向にした。
とはいえ、それならば呼吸や体の動きに気をつけるだけでいい。立香はネロとアストルフォの行為を見るだけのオブジェになるのだから、あまり意味がない。
ということで、小さめのアナルスティックを挿入させる。根元まで挿れると引き抜かないと外れないので、それを浅いところで尻穴を締めることでキープさせる。
抜けてしまえば退室である。お望みの寝取られプレイはそこで見ることが出来なくなる。
(それはそれで・・・・・・)
とも思うのだが、実際そうなった時の喪失感が恐ろしいので進んで試す気にはならないが、もしそうなってもある意味おいしいとも思った。
最後に、油性のマジックで落書き。
「ねえ、見て! これ可愛いよ!」
アストルフォはノリノリで、乳首の隣に熊の顔などを書いて喜んでいる。
「漢字だな。いや、案ずるな。きちんと心得はある。カタカナが少し難しいな。これは平仮名か?」
ネロはきちんと趣旨を理解して、立香のマゾ性癖を罵倒するような言葉を書いている。
結局、右半身はアストルフォが気の向くままに落書きして、左半身はネロが趣旨を弁えた文字を書いた。さすがに生粋のローマ人であるネロは日本語の書き物に不慣れらしく、書体がそれらしくはないのだが、鏡で見るとローマ人の奴隷になった気分がした。
「終わったら何度も洗い流すのだぞ。そんなもの、他の英霊に見られたらどうなるか」
軽蔑ならまだいい。変に気を利かせた連中に妙なプレイを考えられては困る。
カーマなど、ズレた方向に生真面目だからどうなるか判らないし、同じ顔のムーンキャンサーに見つかってしまうと洒落にならなくなる。
アストルフォの部屋で初めて、この性癖を満たされた時、ネロもアストルフォもすぐに果ててしまったが、二回目はそうではなかった。
「ん、う・・・・・・」
裸体で絡まる二人を、壁から見ている。
前述の通り、動きを封じられた膝立ちで、ネロの下着の隙間から二人を見る。
もう繋がったまま半時間にもなろうか。
互いの肉を楽しむ激しい動きはせずに、体が繋がる高揚を味わうゆっくりした動きで、二人は絡み続けている。
「ああ・・・・・・!」
と、感に堪えたようにネロが呻き、アストルフォの背中を越して角のように伸びる両脚が蠢く。
洋画の絡みのシーンなどは立香もたまに見る。
自分の行為と比較すると、なんというかねっとりとなめらかな、急いでいない感じがした。ネロと戯れる時には、そんなようにはいかない。
愛の女神に匹敵するほど美しいネロを抱いて、昂奮しない方が無理だ。彼女の体を気遣いはするものの、行為が終わると最中の記憶はあまりなく、ネロはいつも余裕ありげに笑っている。
アストルフォの行為は、彼らしい無邪気な、言ってしまえば子供がオモチャで遊ぶような感じなのだろうと思っていたが、意外に女慣れした鮮やかな手並みで、ネロから官能の音色を引き出していく。
彼女はよく自分を楽器に、至上の名器に例え、運命の相手を奏者と呼ぶが、この様を見れば一目で判る。自分などより数倍、ネロを上手く奏でていると。
「ん・・・・・・ふ、う・・・・・・ん・・・・・・あ、ん・・・・・・っ・・・・・・んん・・・・・・!」
繋がったまま、掌で乳房を覆い、撫でるように揉む。
立香からは見えないが、しっとりと汗の浮いた熱い乳肌を彼女の望む強さで圧して抑え、官能に蕩かせているのだろう。
腰は僅かに動かすのみで、一番奥に挿入されたまま、感じているネロの膣の蠕動を味わっている。
(ああ・・・・・・格が、違う)
こうやって目の前で見せつけられても、とても真似できない。
あんな、夢中になっているネロを見たことがない。
自分が想像していたより余程ゆったりとした、それでいて濃密な絡み。自分が想定したよりよっぽど強い敗北感。
「んんう・・・・・・!」
腰が自然と動く。
クリップに挟まれた乳首が熱く疼き、肛門で締め付けるアナルスティックから返ってくる質感が、惨めな自分の立場を言葉以上に表現してくれる。
「・・・・・・」
ちらり、とネロが立香を見る。
その回数も、始まった時と比べれば随分と減った。
行為が始まった時は、立香が気になったのだろう。気遣うような、昂奮や悦びを確かめるような、優しい視線を何度も送ってくれた。
しかし、肉の悦びがそれらを忘れさせるものらしい。ネロが寄越す視線は、そこに立香が居ることをふと思い出したような、そんなものになっていた。
「ネロ・・・・・・」
恋人が遠ざかる感覚がした。
いや、とも思う。
本当に忘れることはないだろうと、恋人としての確信がある。彼女が立香に視線を向けなくなったのは、問題なく立香が昂奮していることを何度も確認したからであり、忘れていたように演出すれば悦ぶだろうと思ってのことだ。
心の深いところで通じる立香とネロは、こんな変態的なプレイをしていても揺るがない確信を持っていた。
勿論そのことをあまり意識すると興が冷めるので、忘れたふりをしているのだが。
「見よ、アストルフォ。あの惨めな男を。粗末なものを必死に振って、頑張って尻穴を締めている。自分より遥かに優秀な男に恋人を差し出して悦ぶ、哀れなマゾオスよ」
「ボクもちょっと引いてる。まあでも、可愛いと言えないことはないかもなぁ」
ネロの嘲笑も、全ては立香の性癖に適うため。昂奮を煽るために被った偽りの仮面。
しかしなんと堂に入った侮蔑の表情だろうか。
為政者が貧民を見下してもこうはなるまい。むしろローマ市民や奴隷に向ける表情はもっと慈愛を感じさせるはずだ。
あれは、蛮族に向けるもの。文明を知らない未開の部族を芯から憐れみ、蔑む時の表情だろう。
平たい面長のアジア人に向けた、文明の中心たるローマ人が向けた嘲笑は、自分たちに支配されてようやく人がましくなる惨めな民族に対するもの。
「哭くがよい。オスとは思えぬほど無様に。余とアストルフォが憐れむほどにな。うまく哭ければ、褒美をやってもいい」
この部屋に入るまで、花嫁の表情を自分に見せていたネロの、侮蔑と憐憫の嘲笑。
背筋にぞくぞくと走る甘い快感。見下される悦びに思わず身悶えするが、乳首のクリップが緩んだことで慌てて体勢を戻す。
クリップが取れたりアナルスティックが抜けたりすると罰が待っている。
身じろぎして、二人の課した趣向に必死になっている様子を見て、ネロは高らかに笑った。
「マゾオスでも罰は怖いか。そうよな、アストルフォの尻の穴でも舐めさせられては堪らぬものな」
「え、ボク?」
男に舐められる側のことは一切配慮していない。この辺りに、ネロの頭の中には立香しか居ないことが表れているのだが、野暮なので黙っておいた。
ぐっと、繋がったままアストルフォがネロを抱き起こす。
ネロの胸に顔を埋めながら、横目で立香を見遣る。
ああはなりたくない。アストルフォは心から思った。
ネロはアストルフォの頭上でまだ笑っている。
「見よ、アストルフォ。イこうとしているぞ」
「え?」
立香は興奮のために腰のへこへことした動きを止めらないのであろう。なにもない空中に向けた無様な腰ヘコを何度も繰り返し、なにも得られないためにどんどんと激しくなるその動きに、粗末な勃起が揺れる。
腰を動かしているということは尻穴に挿入されたアナルスティックが僅かにズレているということでもあり、その刺激に耐えかねたらしい。
「ん゙む゙う・・・・・・っ、ん゙ん゙・・・・・・!」
猿轡を噛ませられた人質のよう。ネロの下着のクロッチの部分を唇で挟み、乏しい快感に向けて目を血走らせて腰ヘコさせている。
その震えが、恋人であるネロにはよく判るらしい。あの震え方は、絶頂寸前の立香の反応なのだ。
「ん゙う・・・・・・!」
ぐっと背を反り、腰を突きだして全身を突っ張る。
ピュ、と漏れ出るようにして一飛沫、ほとんど透明な精液が放たれた。
「わあ、前にも見たけど薄いし少ないね。あれは全力の射精?」
「いや、まあさすがに扱かれもせずにではあんなものだろう。本気ならあれの倍はある」
それでも倍か、とアストルフォは自分の射精を思い出す。
先日ネロの胎内に注いだのは十倍は優にあるだろう。アストルフォは立香の生殖能力の低さが可哀想に思えてきた。
「止まるな。続けよ、その腰ヘコダンス。もちろんアナルスティックが抜ければその姿のまま出て行かせるぞ」
冷淡に、射精を終えたばかりの立香に追い打ちを掛ける。
「ぶむ、んんう・・・・・・!」
涙目で豚のように鳴きながら、立香は腰の動きを再開させる。
「さ、アストルフォ。もうあやつはよい。こちらは勝手に愉しもう」
「いいんだけどさ、そろそろ本気でやっていい?」
そろそろアストルフォも我慢できない。ネロの膣に咀嚼されるようにして愛撫されてきた肉棒が、激しい快感と絶頂を求めている。
ネロは慈悲深い為政者の表情で頷いた。
「もちろんだ、余もその言葉を待っていたゾ」
チャーミングにいたずらっぽく、今度は立香に一切視線を向けることなく、ウインクして微笑んでみせた。
恋人にのみ向ける表情を見せられては、男として昂らざるを得ない。
ぐっと腰を大きく突いて、ネロの最奥を貫く。
「んん・・・・・・!」
アストルフォの両脚はベッドに投げ出され、向かう合うネロの足裏もベッドについている。お互いに体重を支えられる体勢だから、ある程度の制限はあるもののお互いに自分の意思で動かせる。
そこからは、今までの静かな絡み様が嘘のよう。
「ん、あ・・・・・・! は、あ・・・・・・っ、あ・・・・・・く、ああ・・・・・・!」
ネロが思わず喉を反る。
アストルフォは噛み締めるようにネロの肌に顔を埋めて腰を遣う。
ぱちゅん、ぱちゅん、と湿り気のある肉のぶつかる音がリズミカルに響く。
アストルフォは貫いては僅かに腰を引く。ベッドに座っているから前後動という意味では揺さぶる程度だが、そこはネロが息を合わせて腰を浮かせている。
そしてぐっと腰を押しだす動きに合わせて、ネロも腰を落とす。
すると、
「んむ、うぅうあああ・・・・・・!」
チン長の硬いアストルフォの肉棒がネロの望んだ通りに膣をゴリゴリと擦り上げ、身悶えする快感を生む。
一方的にアストルフォに犯されるのではない。
献身的にネロが奉仕するのでもない。
お互いが息を合わせてお互いの快楽のために、肉を楽しむ。どこからどう見ても、心からお互いを許し合う恋人の動きだった。
「う、うう・・・・・・ネロ・・・・・・ネロ・・・・・・!」
もう二人は自分を見ていない。命じられた腰ヘコを止めたところで気づかないだろう。この瞬間にアナルスティックが抜けたとしても、もう罰を命じられることすらない。
二人は完全に二人の世界に没頭しており、自分はこの部屋にあっては調度品以上に異物に過ぎない。そう思い知れば思い知るほどに、立香の腰ヘコは激しくなる。
「うあ、は・・・・・・っあ、う・・・・・・! ふ、んっく・・・・・・ん、ぬ・・・・・・あ、はあ・・・・・・!」
ネロが堪りかねたようにアストルフォの頭を抱く。
あんな風にされていたのは自分だけだったのに、自分にするのと同じくらい、いやそれ以上に熱っぽい。敗北感が更に立香の腰を加速させる。
「うわ、締まる・・・・・・! すご、なかがうねって・・・・・・!」
うわ言のようにアストルフォが漏らすネロの膣内の感触を、立香は知らない。
それを感じるほどの深さまで立香の勃起は届かないし、それを味わう余裕を得たこともない。膣内に挿入して二分と保てば、頑張ったとネロは褒めてくれる。
余裕たっぷりで、慈愛に満ちた、この世のどんなものより美しく愛らしい微笑みで、ネロは立香を労わっていた。
それがどうだろう。
アストルフォの頭を抱いて天を向くネロの横顔は、官能の吐息を堪え切れない彼女の表情は、至福を味わうことに余念がない。
目を閉じた彼女の頭の中にはもう、自分などどこにも居ない。マゾオブジェに過ぎない自分は二人の間に割って入ることは到底叶わない。
「う、うう・・・・・・!」
涙がこぼれる。こぼれた涙は頬を伝うより先にネロの下着に吸い取られる。垂れた鼻水はクロッチに吸い取られたおりものと混ざり合う。
今の立香に出来ることは、ネロの香りに包まれながらネロを思い、ネロを求めながら虚空に向けて腰を振ることだけ。
「いく、よ・・・・・・!」
「んんう・・・・・・!」
逃さぬように、アストルフォがネロの腰を抱く。
降りてきた子宮口を貫くが如く、力強い突き込みにネロは体をビクつかせ、二人は深く繋がった体勢のまま体を震わせた。
「んう・・・・・・!」
立香の二度目の絶頂は、奇しくも同時だった。
一度目で出しそびれた精液が、二度目の絶頂で押し出される。
思わずその快感で腰が抜け、尻が床に落ちた。立香の尻穴から中途半端に伸びていたアナルスティックの柄が床に押されて、肛門を擦りながら直腸へ侵入する。
射精と同時に駆け巡るアナルの快感に、立香は崩れ落ちた。手を後ろ手に縛られているから身構えも出来ない。横倒しに倒れ、粗末な勃起を震わせて射精する立香にも、絶頂に達した二人は気がつかない。
「う・・・・・・ふう・・・・・・」
男の絶頂は短い。震える肉棒を膣襞に擦りつけ、最後の一滴までネロに放ったアストルフォが腰を引く。
射精直後で硬さを失っても、アストルフォの長い肉棒を引き抜くのは手間が掛かる。アストルフォが居なくなる、と名残り惜しそうに絡みつく膣襞を振りほどいて、ようやく抜けた。
ずるり、と精液と愛液の混ざり合った肉棒を抜き、一仕事終えたように立ち上がる。
ネロは、ベッドに沈み込んで深く息を吐いた。
「ああ、気持ちよかった。やっぱりいいね、ネロの膣は。また使わせてよ」
無邪気に、床に転がす立香に微笑むアストルフォ。
共有のオモチャにするような感想に、立香は思わず言葉を失ったが、荒い呼吸の隙間を突いてネロが言った。
「礼はどうした。そなたの望み通り、そなたでは満たせられない妻の膣を楽しんだ男に、ちゃんと言うことがあろう」
その通りだろう。アストルフォはこの変態夫婦の遊びに付き合ってくれているだけなのだ。筋で言えば、きちんと礼を伝えなければならない。
しかし、花嫁の膣内を汚しきった男に礼を言わねばならない花婿の気持ちは、言葉では形容できまい。
泣くようにして詰まりながら、立香はなんとか礼を言った。
「いいってことさ、マスター! 君のお願いならこのくらいお安い御用さ!」
快活に笑ってみせるアストルフォが身支度を整えて出て行く。
喉が渇いたし腹も減った。用も済んだから今度はそちらを満たしに行く。
遊び終わったオモチャを子供が振り返ることがないのと同様に、アストルフォはネロも立香も忘れ去ったようにあっさりと部屋を出て行った。
「・・・・・・」
立香は、自分ではもう起き上がることも出来ない。
「ふう」
と、呼吸を整えたネロがベッドから這い出てくるまで、冷たい床でこれ以上はない敗北感を味わった。
「どれ、今ほどこう。尻のも抜くぞ、力を抜くのだ」
拘束を解き、アナルスティックを引き抜く。意外に深く入ってしまっていたから、粘膜を傷つけないようにゆっくりと、立香の戒めを解く。乳首のクリップは、倒れた拍子に外れていたから踏んで足を痛めないように回収しておく。
「ふむ、これでそなたの望み通りになったわけだが・・・・・・」
未だ立ち上がれない立香を見下ろすネロの股間から、アストルフォに出された精液が垂れ落ちる。
余程の粘度なのだろう。膣口にへばりつく精液が、その重さに耐えかねて雫を一つ落とした時、ネロの目が細まった。
「余に口直しをさせてくれるだろう、我が夫よ?」
ピクン、と立香の勃起が回復する。
仰向けの立香に跨り、アストルフォの精液で満ちた膣内へ、立香の粗チンを導く。
「あは、なんと短く細いのか! 感じないはずだ、まったく届かないではないか!」
根元まで呑み込んだ膣を上下に揺さぶりながら、特に感触のない立香の勃起を弄ぶ。
「感じるだろう? 余の中がそなたをもぐもぐと・・・・・・これはな、失ったアストルフォの硬さと長さを惜しんでのことだぞ?」
立香の頬を両手で挟み、視線を合わせて囁く。
「あやつの・・・・・・ぶっとくてなっがーい肉棒を、この膣は忘れられずに悶えているのだ。そなたを可愛がるためにうねっているのではないぞ?」
それは嘘ではないだろう。
何故なら、寝取られプレイを始めるまで一度だってこんな動きを見せたことはないのだから。
「んう・・・・・・!」
「ん? なんだ、もうイくのか? まったく、だらしない夫よな・・・・・・」
上体を倒して、唇を押し当てる。
「嗚呼、だが・・・・・・許そう。立香よ、我が生涯の伴侶よ・・・・・・粗末な勃起も、惨めな射精も、哀れな性癖も、そなたの全てを余が許そう・・・・・・だから今は存分に、余の中に出しておくれ」
立香の腰を潰すほどに強く押しつけて、少しでも奥へ立香の精を導こうと腰をくねらせる。
「う・・・・・・!」
他愛もなく立香は射精する。
三度目であることが無関係に薄く少ない精液をネロの中に放ち、入り口辺りにへばりつくアストルフォの精液と混ざり合う。
卵子を求める精子の競争ならば、言うまでもなく惨敗だろう。アストルフォの精液の持つ酸性が、立香の精液を死滅させるに違いない。その間に、排卵されたネロの卵子はアストルフォの精子と結合し、新たな命として宿る。
その光景が、立香には見える気がした。
性癖は個人の意思ではどうしようもない。立香は泣いている。その涙を指で掬い取り、ネロは耳に口をつけた。
「先に孕むとしたら、それは許すのだ、立香よ。仕方がない。その代わり、それからはもうそなたのでしか孕まぬ。だから・・・・・・泣くのは止せ、そなたが泣くと余も悲しい・・・・・・」
体の落書きを上書きするように、立香の頬に、首に、額にとネロがキスの雨を降らす。
まだ聖杯を使って受肉していない。一旦霊体化してしまえば、膣に注がれた精液も虚空に溶ける。ネロが孕むのはまだこの先のことだから、アストルフォの膣内射精も娯楽に過ぎない。
しかし妄想は楽しい。立香は自分の厄介な性癖ごと愛してくれる花嫁を、強く抱き締めた。