FGOエロ小説まとめ 作:お一
ヒールがコンクリート製の床を叩く独特の音が廊下に響く。
ヒールの高い靴というのは、フロイト的分析に於いて、男性器の象徴とされることがある。むろん、あくまでも一説に過ぎないため、確定されてはいない。
が、愛用しているスカサハに聞けば、
「ああ、かもしれぬな。女ならば男を求めるのは正常な心理だ。その点、現代の文化というものは判らんな。女が自立しようが独立しようが、男を求めるのは生殖上当然だろう。何故頑なに女だけに固執するのか」
ケルトの文化に於いても、男女同権は珍しい思想だが、影の国を治めるスカサハにとって、ケルト文明というものは果たして自分に当て嵌めるものなのかどうか。
いや、フェミニズムなど、おそらく興味もないだろう。それぞれ一個の人間として自分を確立し、自分に恥じることのない生き方さえしていれば、それが男であるか女であるか、些末事に違いない。
故に、彼女と契約した少年が、複数の女性と一夜で関係を持ったということに対し、彼女は別になんとも思わなかった。
「はは、初心な子供だと思っていたが、儂の見込みも甘くなったものだ。小僧だとばかり思っていたが、まさか女を五人も一度に満足させる胆の持ち主とは見抜けなんだ」
寧ろ感心した。それでこそだ、とまで思った。
「しかし、腑に落ちぬことがないではない。それほどの胆がありながら、何故儂に粉をかけてこんのだ?」
心底不思議そうに、フェルグスやクー・フーリンを相手に酒を飲みながら首を傾げたが、二人は呆れたように嘆息した。
「マスターにも好みがあるのだろう。子供なら好き嫌いもする。姐さんは好い女だが、マスターの好みではないということだ」
相変わらず何事もはっきりとした物言いのフェルグス。
「誰が好き好んで地雷を踏みに行くもんかね。あんたに深入りしちゃ、人生棒に振るの請け合いじゃねえか」
こちらは、なにやら気遣いながらも表現がまずいクー・フーリン。
「ふむ・・・・・・」
と、なにやら思うところのあるスカサハ。顎に手を当てて少し考えてみたが、すぐに立ち上がった。
「確かに、まだまだ幼い小僧を女の深みに嵌めるのは気の毒だったが、既に筆おろしも済んでいるのなら構うまい。あれは好ましい男だ。少し味見をしてくる」
「・・・・・・まあ、別に止めやしねえけどよ、あんたにとっちゃ味見でも向こうにとっちゃ沼の入り口にもなりかねんぜ」
「ふ、儂の味も知っていながらつまらんことを言うな、セタンタ。儂を味わえば頭の先までどっぷりと嵌まるのは間違いない。そうなった男を骨抜きにするか鍛えられるかが、女の真価だ。なに、よく鍛えてやるさ」
まだ酔えるほどでもない量の酒を一息に飲み干して、スカサハはさっそく席を立った。
「うむ、やはり姐さん好い。話が早いのが殊更に好いが、さて、あれで大丈夫なのか。姐さんは気づいていないのだろうが、情が移るタイプだと思うが」
「大丈夫なわけがねえ。意識してなきゃ師匠ヅラするほど気に入ってる小僧に手ぇつけて、入れ込まないわけねえだろう」
クー・フーリンは寧ろ、自分の知らないところでどんどん話を進められていく自分たちのマスターに同情するような口ぶりだが、そこはこの猛犬である。他人事であった。
「止めぬのか、クー・フーリン」
「マスターが令呪を使うくらい嫌がってたら止めてやるさ。まあ、二人とも男と女だ。他人に横槍入れられて喜ぶ変人でなけりゃ、当人の好きなようにやればいい」
テーブルを見て、いつの間にかつまみがなくなっていることに気づいた。おそらく、話の種としてスカサハが持って行ったのだろう。こんな席にも油断のならない女である。
「しゃあねえ」
と、立ち上がって、馬の合わない弓兵の領域である厨房に、軽食を掠めに行くのだった。
「マスター、儂だ。起きているか?」
「師匠?」
夕食後、シャワーも浴び終えて一日の疲労と達成感を噛み締める、眠るまでの余暇。藤丸立香の過ごし方は多様だった。
サーヴァントたちに混ざってなにか話をしたり、マシュとテーブルゲームをしたり、カルデアのライブラリでお気に入りの漫画を読んだりと、特に困らない。時には若い性を持て余して一人の慰みに興じることもあるが、今回は、いつの間にか部屋に紛れ込んでいたフォウくんの毛並みを整えてやっていた。
動物用ブラシを置いて、膝の上のフォウくんを下ろし、扉のロックを解除する。
「どうしました?」
この少年は、大概のサーヴァントに気さくだが、教えることの得意な者には自然と敬語になる。別にスカサハに弟子入りしたわけではないのだが、教え好きで余裕のあるスカサハにはつい、師匠と呼んでしまう。
「タマモキャットの燻製だ。お主はまだまだ成長期だ。肉が欲しかろう。美味いぞ」
更に乗った一口サイズの燻製肉を見せ、勝手に脇をすり抜けて入室し、テーブルにことりと置いた。何事かを察したのか、フォウはスカサハの足元をすり抜けて入れ違いに部屋を出て行った。
「ああ、わざわざありがとうございます」
何気なしにすっと更に手を伸ばし、一つ口に入れるとなかなか美味である。酒に合うように少し塩味が強いので、夕食後だというのに白い米が欲しくなった。
「師匠はお酒ですか?」
「いや、酒は置いてきた。飲めぬ者の部屋に持ち込むのは品がない」
備え付けの椅子に腰を下ろし、足を組む。一つ一つの動作が機敏でありながら優雅で、存在感がある。立香は一瞬、この部屋の主が自分ではなくなる錯覚に陥った。
「ふ、どうした。儂の足に見惚れたのか?」
テーブルに肘をつき、頬に拳を当てながら意地悪そうに笑っている。
立香は慌てて視線を逸らして、向かいに座った。
「あまり愛らしい所作をするものではないぞ、マスター。娘時代の儂なら押し倒しているところだ」
すっと、皿を立香へ押しだす。孫に菓子を与える祖母のような仕草だった。
「いや別に、愛らしいなんてことは。俺はその、意気地がないだけで」
スカサハの顔を見られず、皿を凝視したまま言うと、深いため息が聞こえた。
「好かんな、その物言いは」
失望したような、少し低くなった声音に驚いて、顔色を窺うように視線を上げると、思いもよらない優しい微笑があった。
「ふふ、そうだ。女と話す時は目を合わせんといかんぞ」
赤い、宝石のような赤い虹彩とその奥の黒い瞳孔に、身を縫い付けられたように射すくめられて、視線が固定された。
「お主なら好きなだけ眺めてよい。もっと儂を見よ。顔でも体でもよい。女を五人も満足させる男だ。それくらいの胆はあろう」
「そ、その話はちょっと・・・・・・」
と、思わず視線が下がった。
スカサハの全身を包むラバースーツのような服の各所に走る柔らかいパイプが、両乳房の形に胸元で盛り上がり、丸い形をハート型に歪めている。
思わず、そこに視線が留まった。
「法螺やデマの類でもあるまい。それならばもっと大っぴらに広まっている筈だ。なにも恥じることはない。お主は、好い男だ」
すっと手が伸びて、頭を撫でられる。
「儂の周りにはお主のようなおぼこい男が居らぬのでな、つい興が乗る。行き過ぎは許せよ、マスター。なに、損とは思わせん。ちゃんと釣り合いは取らせる」
いまいち意図の汲み取れない言葉に顔を上げると、いつの間にか目の前に顔があった。撫でながら席を立ち、歩み寄っていたらしい。
「そら、もっと近くで見せよ。こうして間近でお主の顔を見るのは、さすがに初めてだ」
両手で顔を挟み、じっくりと眺める。
吐息の掛かるほどの近さにある、スカサハの美貌。仄かにくゆる、無機質なにおいはラバースーツのものだろう。が、その中に僅かに香るのはスカサハの体が放つ香気だろう。胸が詰まるような、かぐわしい匂いだった。甘くはない。涼やかで、しかし花のような、なんとも形容の出来ぬ心地の良い匂いを、スカサハの肌は発しているらしい。
「おや、目が蕩けてきおったな。ふむ、お主のその猫のような顔は見応えがある」
くい、と顔を傾けさせて、美術品を見るように目を細める。
立香は、自分の容姿が然程でないことを自覚している。集団の中では中の中辺りがせいぜいだろう。故に、そういう目で見られるのは寧ろスカサハだろうと、頭の中で言ってみた。
「肌は・・・・・・ふむ、少しザラつくな。いや、悪くないぞ。寧ろ、成長途上の男の肌だ。胸が詰まる。あぶらが少し浮かんでいるが、これも気にすることはない。舐めてみれば、意外に好いものなのだ」
示すように、赤く濡れ光る艶めかしい舌を出して、立香の頬を舐める。
「やはりな。若い男の、青臭い味だ。湯を浴びているからか、花の匂いが強いな。もう少し早く来るべきだった。
この匂いは・・・・・・儂はあまり好みではないな。儂の使うものを教えよう。明日からはそれを用いよ。よいな、マスター」
こだわりがあって使っている石鹸ではなかったから、立香は舐められた驚きと衝撃に半分痴呆になって、こくこくと頷いた。
「唇は、少しカサついているが赤く実って美味そうだ。どれ、少々辛抱せよ」
言うが早いか、いきなり唇を吸われた。
「んんっ!」
驚く声をあげた時には、既に唇がスカサハの唇であむあむと甘噛みされ、心地よい感触が唇から頭蓋へ広がり、脳を甘く蕩けさせる。
スカサハの少し薄い唇が反時計回りに立香の唇を甘噛みしていき、味を確かめるように舌先でなぞっていく。
「ん・・・・・・んふ、んんっ」
身を捩るほどに、甘く、快い。スカサハの両肩を掴んだのは完全に無意識で、どういう意図があるのか立香にも判らない。ただ、逃がしたくなかったのだろう。
スカサハも、若い男に求められるのは自尊心をくすぐられて快い。満足気に目を細めて、じっくりと立香の唇の感触を味わっていく。
「あむ・・・・・・ん、む、はむ・・・・・・」
たっぷりと時間をかけ、やがて一巡し、唇を離す。
「夢心地か?」
立香は嬲られた唇を半開きにして呆けている。そのありようが如何にも初心で、スカサハは吹き出してしまった。
「女を五人も抱いたとは思えんおぼこぶりだ。その可憐さ、好ましいぞ」
肩パーツとスカートが、霧のように消えた。
元々、スカサハの衣装は魔力で編んだ戦闘服だ。解除すれば全裸になる。が、それでは興がなかろうと、装飾を除いた全身スーツ姿になり、更に繊維を薄くした。
「マスター、触ってみよ」
呆けた立香の手を取り、自分の乳房を触らせる。
ぴっちりと肌に吸い付いて形を浮かび上がらせるラバースーツは、繊維を薄くしたために体温まで感じ取れる。ラバーの質感を越して、表面の柔らかな感触とその奥の張りのある感触が手に伝わってくる。
決して小さくなく、大き過ぎもしない黄金の比率で整った乳房が、立香の手にある。
「遠慮をするな。少し乱暴にしても構わん。お主の欲望を素直に出してみよ。女を前にして痴愚になれぬのは臆病者だぞ」
言われて、広げた五指を閉じる時の要領で沈めてみた。
ラバー越しに、スカサハの乳房が歪む。が、張りが強いためか指に跳ね返る弾力が強く、乳房の感触がより鮮明に指先から掌まで伝わってきた。
これ以上、力を込めれば痛いだろう。立香は指を乳房に窪ませたまま、ゆっくりと捏ねてみた。
「ふ、はは、子供の手つきだ。これで女を満足させたのか?」
あまりの手管の未熟さに、スカサハは笑ってしまったが、別に嘲っているわけでもない。立香の顔と頭に手を添えて、新しい玩具に夢中な子供を撫でるように、立香の仕草を許している。
「そう、あまり優しくとも鬱陶しいだけだ。時に大胆に、程度を弁えるのが肝要だ」
癖なのだろう。何事にも上達への骨を教えなければ気が済まず、つい口出しをする。
男女の痴態にはおよそ相応しからぬ無粋だが、立香はそのことで興を削いだりしない。言われたように、円運動を大きく早くしていく。
「指の力を抜くな。揉みながら捏ねるのだ。うむ・・・・・・うまいぞ」
褒める割りに、息が弾んだり頬が上気したりということはない。
「未熟ですか、師匠?」
つい不安になって、おずおずと視線を上げて顔を見る。
スカサハは、そんな立香を叱るように、右手を手刀の形にして軽く小突いた。
「馬鹿者。未熟でないわけがあるか。そんなことを恥じるより、そうして顔色を窺う小心を恥じよ。
・・・・・・まあ、儂は許す。お主のそういう仕草は、ひどく儂の胸を高まらせる」
スカサハの頬に微笑が浮かぶ。
気遣いからの言葉ではなく、事実、立香の初心な仕草はスカサハにとって魅力的だった。教えるという行為の中毒になった者の多くがそうであるように、未熟だが素質を秘めているという素材は垂涎の的である。
男女の閨房の術技に関しては、素質とは洞察力と忍耐であった。
立香はそのどちらをも高い水準で有していることは、これまでの戦いで判っている。応用が利かない筈がないので、育てればどんな女も泣かせてしまう手管を得ることも出来る。なにより好ましいのは、そういう片鱗を見せながら女に初心な立香の純真さである。
(大事に育てねばな。花を愛でるように、玉(ぎょく)を掌で転がすように)
心中で舌なめずりをしながら、立香を見下ろす。
捕食者にも似た眼光の鋭さと、頬に浮かんだ酷薄とも言える嗜虐的な微笑に、思わず立香が委縮した。
が、こうとなれば思い切りもよくなる性質で、立香は少し乱暴に乳房を引っ張ってみた。
「おう! ・・・・・・ほ、ほほお・・・・・・」
驚いた声と感心した声が響き、立香の思い切りの良さを褒める意味合いで、スカサハは頭を撫でてやった。
「どれ、次は後ろから揉むのだ。顔が見えぬから、少し難しいぞ」
と、立香の手を引いて寝台に歩み寄り、背を向けた。
なんにしても、立香は若い。スカサハの肢体を堪能する最中で昂じて、辛抱堪りかねることもあるだろう。こういう時、その邪険さを拒絶して叱責しては男の純情を踏みにじることになる。
スカサハは、もしも昂じて押し倒されることがあっても受け入れてやるつもりだった。そのために、やり易いよう寝台の傍で事を始めようとしている。
無論立香に、高みから覗くような女の細やかな気遣いを察することは出来ない。誘われるままに寝台の傍で小腰を屈め、ヒョウのように背を伸ばしたスカサハの腰に自分の股間を接し、腕を回して乳房を掴む。
「マスター、これは試験ではない。失敗も恐れるな。儂は女だが、お主の師を気取る時もある。弟子の不手際にいちいち叱っては師などやってられん。お主は女を気遣うことの出来る坊やだ。ちゃんと、女が苦痛を訴えた時は止まることが出来る良い子だ。
儂から強く叱ることもあるまい。女の様子を察しながら、己の欲求を上手く混ぜるのだ。
交合の術技はな、奉仕ではないのだ。己の欲を曝して受け入れさせて、相手の欲を引き出して溶かして混ぜる。そうして初めて、男女は原初の痴愚に戻るのだ」
腕を回し、首を反らし、立香の頬に優しく口づけをしてやって、
「さあ、始めよ。上手く出来たら・・・・・・いや、出来ずともよい。なにせ初めての夜だ。存分に甘やかしてやらねばな」
姉のような微笑を見せて、姿勢を戻した。
「で、では・・・・・・」
少し緊張した様子で、立香が乳房を揉み始める。
グニグニと、意外に大胆な手つきで捏ねながら揉む。立香の手の中で形を変え、不規則な円運動で胸元の肉が引っ張られ、戻り、乳房の奥にじんわりとした快感を揉み込んでいく。
(く・・・・・・なるほど、さすがに、やる。坊やと思ってちと侮ったか)
あまりの初心さに忘れていたが、この男は五人の女を一夜で満足させた性豪である。たとえ持久力のためにダ・ヴィンチ特製栄養剤を服用したとしても、その事実は端倪すべからざる素質を表している。
「・・・・・・」
一方、立香は熱心だ。
スカサハの体温の上がり方や呼吸を、息を潜めるようにして測り、指先と掌に全ての神経を集中させて乳房を愛撫する。が、全ての神経と意識が手に集中しているということは、この溶けていく雪のように、儚くも甘美な乳房の感触を味わい尽くしているということでもあり、立香の肉棒は知らぬまま昂っている。
(硬い・・・・・・が、腰をもぞつかせるでもなく、乳房に集中しているのか。
まったく・・・・・・悪い弟子だ。悪い子だな、マスター。振り向いて食い殺してやりたくなる)
スカサハもスカサハで、自分の欲を抑えるのに必死だった。この、歯で噛み砕いてやりたくなるほどに愛らしい立香を引き倒して、存分に犯してやりたかったが、我慢した。
「ん・・・・・・ん、んん、ふ、いい調子だ」
じんわりと熱くなり、しっとりと汗ばんできた乳房。呼吸も弾んで、乳房を弄ばれる快い感覚が馴染んできた。
乳房から胸、上半身、背中を通じて頭へじんわりと登ってくる快感は、随分と久しい感覚だった。
それだけに、浸りたくなる快感に反して乳房の先端が熱く疼きだし、時折立香の指が意図せず引っ掛かり、鋭い快感が不規則に流れてくる。
「ん、んんっ・・・・・・ん、んん、んあっ!」
思わず、普段の声音からは察しもつかない高い声が漏れた。久々の、ほとんど忘れかけていた性感に刺激を与えられて、男を愛する女の声が漏れだした。
平素のスカサハとはあまりにも違う艶めかしくも愛らしい声音に、立香は我を忘れるほどに昂った。
「んあ、あ、あん・・・・・・ん、んん・・・・・・んっ」
もう夢中だった。熱を帯びて疼いている肉棒のことなど忘れ切っていた。
憑かれたように乳房を揉みしだき、しかし乱暴ではない。呼吸の弾みと漏れ聞こえる喘ぎからスカサハの好みの強弱に見当をつけ、ゆっくりと快感を浸透させていく。
そうして、スカサハの喉から愛らしい声が出ることに本人も抵抗がなくなった頃、指先をくすぐるように動かして、徐々に先端へ向けていく。
「んふ、ふ、んんっ」
くすぐったい手つきに思わず身を捩るスカサハ。したいことは判っている。それが、されたいこととときを的確に見抜いてのことだったから、思わず褒めてやりたくなった。
(この洞察力・・・・・・磨けば千里眼にもなり得るか)
多少大袈裟な感想だったとしても、素質を見抜くことに関しては並ぶ者のスカサハの観測である。間違いではあるまい。
プクリ、と愛らしい桜色の、意外とおぼこな可憐さを持つ乳首が膨らみ、乳房の動きに合わせて上下している。
ゆっくりと、開いた五指を先端に向けて這わせ、乳輪に指先が触れるか触れないかという時に、立香は思い切って乳首を摘まんでみた。
「ん、んひっ、んく、く、んは、は、あん!」
不意に走った快感に息が詰まり、乳首から脳が直結したかの如き早さで快感の電流が走って、理性の検閲を受けられなかった素の喘ぎ声が響いた。
すぐに気づいて口を閉じ、声を抑えようと試みるが、無駄である。久しぶりの、しかも乳房を揉み解されて待っていた乳首愛撫である。反射で声が出た。
「んは、は、あはぁん、く、な、生意気な、ひっ、ん!」
人差し指と親指で摘ままれた、充血して膨らんだ乳首をゆっくりと転がされる。たったこれだけで、スカサハは全身を震わせた。
「あ、ああっ、あん、く、つ、強すぎず弱すぎず・・・・・・お、お主、何故これほど乳首の愛撫に慣れて、おひぃん!」
立香自身も乳首が性感帯だから、どう愛撫されるのが好いかはよく判っている。
立香は根元だけを摘まんで乳腺を狭めてすり合わせているが、まだ本当の先端には触れていない。
牛の乳を搾るようにきゅっと摘まんだまま、ゆっくりと尖った乳首の先端へ指を這わせ、
「んほおっ!」
強く力を込めて潰した。
じん、と痺れるような快感が不意に襲い、スカサハは全身を突っ張らせた。
更に、適度な弾力を持つ乳首をすり潰すように指で扱く。焦らすような緩急から一転、激しい愛撫にスカサハは曲げた腰を戻し、女の媚態を晒した。
「くふあっ、あ、んははぁ~ん・・・・・・ん、んん、ひうう・・・・・・!」
こうなると、頭には乳首の快感しかない。四肢の力が抜け、立香に寄りかかって全身の体重を預け、完全降伏して立香から与えられる乳首快感の甘美さに浸る。
「んは、は、んく、くひい! んはあ、あ、あん、ああ、あぁあ、ああ!」
生娘の如く、快楽に翻弄された女の悲鳴が溢れた。
こういう、肉体の愉悦ともいうべき快楽を享受するのは久しぶりであったし、それが今や目に入れても痛くないほど愛らしくなった立香のものだから、つい女の地金が出た。
が、スカサハはそれを恥だと思わない。寧ろ嬉しくなった。
(儂にも、こういう生々しさが残っていたか・・・・・・)
生に飽いて死を恋うて、一体どれほどになるだろう。
しかし、今この胸の先端より生まれて波及していく快楽は、新鮮な生命の悦びを教えてくれているようであった。
そう思えば、生命の源泉の一翼を担う下腹部の奥、子宮が比翼のつがいを待ち望んで女の熱に潤と疼き、熱を帯びてくる。
立香は熱心に、乳首を扱いている。
「んん! ん、んはあ! は、あく、くうっ!」
ぐいぐいと、背中を立香の胸に押し当てる様は、色事で男に媚びる女の仕草そのものであったから、スカサハらしからぬ落差に立香も逆上せあがった。
「師匠、ああ、師匠・・・・・・」
うわごとのようにスカサハを呼びながら、指先に神経を集中させて丁寧に嬲る。強弱と緩急によるアクセントを忘れず、隙を生まない執拗さで、女と女体そのものへの愛情を満たした、丁重な愛撫であった。
が、スカサハは立香の手を優しく包み、指を解いた。半身を向けて、硬くズボンを押し上げる立香の股間を優しく撫でる。
「ふ、ふふ・・・・・・このまま浸るのも好いが、お主もそれでは苦しかろう。横になれ、マスター。儂の女陰を舐めてみよ」
目下の者へ言い放つ不敵な物言いであったが、もし立香が男の情念を剥き出しにこのままスカサハを押し倒したとしても、受け入れてやるつもりだった。
が、好ましいことに、しかし少し残念なことに、立香は従順なうえに素直だった。
「はい」
と、弟子のように頷いて横になり、スカサハが自分の顔に腰を下ろすのを待った。
「お主の好いところでもあり、悪いところでもあるな。それは・・・・・・」
聞こえないように呟いて、ぷっくりと充血して膨らんだ女性器を剥き出しにするよう、礼装を一部解除した。
蹲踞のように股を開き、潰さぬよう高さを調整して股間を押し付ける。
「さあ、儂を満足させられるかな?」
余裕めかした発言だが、心中はそれほど穏やかではない。立香からは見えないが、紅潮した頬と愉快げに吊り上がった口角がそれを示していた。
立香は、スカサハの股の下で呻いた。もどかしくなって腰が蠢いた。
全身をぴっちりと覆うスーツの中で、淫事に火照った体が蒸れていて、開口部からもわりと匂いがくゆった。
それは、清涼感のあるスカサハの独特の香気にむわりとした汗と、陰唇までも濡れそぼった蜜の放つ性臭を混ぜた、独特の匂いだった。胸が詰まる。立香は大きく息を吐き、音がするほど大きく吸った。
「こ、これ・・・・・・」
思わず、これにはスカサハも焦った。
立香は肺の空気を全て入れ替えて、肺に満たされたスカサハの匂いの微粒子が、血管を通って全身に流れるような錯覚を覚えた。
なおも、立香は嗅いでいる。その、仔犬のような仕草にスカサハは苦笑して、
「好いぞ、嗅がれるのは別に嫌いではない。儂の匂いを覚えたら、次はお主が儂に匂いを染み込ませる番だぞ」
暗に、満足させようがするまいが、咥え込まずには逃がさんと言っている。
立香は、耳に入らない。ただこの、香しいとは言えないのに胸が高まって仕方がない匂いに脳髄を浸してしまいたい。
が、嗅ぐだけでは物足りないのも事実だった。立香は舌を伸ばして、綻んで口を開け、ヒクヒクと蠢いている膣口の、すぐ隣を舐めた。
「んひっ!?」
小陰唇に、ぬめった舌の感触。スカサハは思わず身をびくりと跳ねさせるが、すぐにその物足りなさとじれったさにもぞもぞと腰を動かした。
「く、くく・・・・・・な、生意気にも、儂を焦らすか・・・・・・。よ、よいぞ、未熟者の興に付き合うのも長じたものの度量よ。みごと、その小賢しい手管で、儂を・・・・・・おうっ!」
なにか言い繕うのを邪魔して、水を舐める猫のような舌使いから一変、膣口に開いた唇を押し付けてかぶりつき、強く吸った。
「んくうっ!」
スカサハの喉が反り、膝が小刻みに開閉を繰り返し、腰が震える。
膣口からはみ出た真っ赤な膣ビラまでも、吸引によって口内へ誘われる不意打ちの強い刺激に余裕がなくなって、腰が落ちた。
スカサハの尻と秘部に圧迫されて呼吸が苦しいが、この甘露のような蜜を啜るのはやめられない。
無味だが淫臭が強く、舌に触るとひどく粘っこい。女を感じさせた男のみが知っているこの味わいを知ると、もう癖になる。誇らしい気持ちがいっぱいになって、立香は夢中でスカサハの膣口を吸いながら舐めている。
「んぐ、んは、はっ、んはあ! ひうっ、うう・・・・・・く、んぐく、んひ、ひいん!」
バランスを失いかけて、立香の腹に両手をつき、震える膝に喝を入れて姿勢を保つも、下半身の力が快感に融けていくのをどうしようもない。
「あ、あ、ああ、んああ・・・・・・んく、ふう、んんっ、ん、あう、あ、んああ!」
思いのほか、柔らかい舌使いの立香。いくらなんでも、こういう小手先の技術が才能の筈はなく、練習の成果であることはまぎれもない。
ならば、女を満足させるために人知れず修練をしていたことになるわけで、スカサハはそういう意味でも感心した。
「な、なんという弟子だ・・・・・・儂を、儂の胸をこうもときめかせるとは、悪い弟子だぞ」
或いは、誰かが立香に舌使いを教えたのか。
スカサハは少し想像する。
誰か、女と舌を絡め合いながら、己の舌使いを柔らかくしていく立香の姿。
(・・・・・・微笑ましいが、少し・・・・・・)
妬心だろうか。己に問うと、確かに嫉妬であった。
妙なものだ。一度たりとも立香はスカサハに愛を囁いたことはないし、自分も男女の愛情を持ち込んだつもりはない。
が、胸を小さく疼かせるこの感覚は確かに愛らしい嫉妬であった。ただ、一方でスカサハの男女観はおおらかだ。立香がカルデアの女性をスタッフ、サーヴァント問わず全てと関係を持ったとしても、甲斐性だと笑って褒める度量がある。
つまり、スカサハ個人としての思い入れが、僅かでも感情を荒立たせるまでに、立香を対象にして募ったということでもある。
自覚して、一人赤くなった。
「よ、よし、もうよい。危うく達しかけた。お主の腕前、見事なものだった」
慌てて腰を浮かせ、まだ女性器を味わい足りない立香の唇から離して、立ち位置を変える。
(主導権を手離してしまいそうになる・・・・・・)
それはまずいのだ。あくまでもこれは味見なのだから。
素早く立香の衣服を寛げる。上着のボタンを外し、肌着を捲って喉元まで露わにし、ベルトを外してズボンと下着を剥ぐ。天井を向いて、幹に先走った透明な汁を滴らせる、実に美味そうな肉棒が部屋の照明に照り光った。
「では、覚悟はよいか?」
男のような物言いで跨り、顔に秘部を押し当てていた時のようにがに股になり、蹲踞の姿勢のまま腰を落とす。
「あ、ああ・・・・・・」
悲鳴は、立香のものだった。
肉棒の先端が女の秘部を割って入るこの瞬間の悦びは法悦にも勝るとも劣らない。至福の瞬間である。女に許される感覚と女を征服する感覚が同時に湧き上がり、この時は更に被捕食者の奇妙な快感が背筋を駆け登ってきた。
思わず身震いした時には、スカサハの思い切りのよい所作によって根元まで咥え込まれており、立香は堪らず身を捩った。
温かい。肉棒の滾るような熱に負けていない、混ざり合って融けるような温度で、濡れそぼって解れた膣肉が柔らかくくすぐっている。
生身の肉のみが持つ独特の感触に、立香は処女を散らした生娘のように、全身を硬直させて震えている。
「・・・・・・お主の悲鳴は、なんとも聞き応えがあるな。声を我慢するでないぞ」
古風な口ぶりで念を押すと、そのまま上下に腰を弾ませた。
足裏を寝台についているから、腰をバウンドさせるだけでなく膝の伸縮で打ちつけてくる。スクワットのようにストロークの深い上下動は、柔らかいくせにぴっちりと締め付ける膣襞に苛まれる肉棒をこそぐように嬲ってくる。
上下動によって細かい襞の膣が捲れるほど、久しぶりの肉棒に膣肉が絡みつき、立香から余裕を奪っていく。分泌されたカウパー腺液と愛液が混ざりあい、含まれた微量の精子がスカサハの膣内を泳ぎ回る。
「んは、はあん!」
悲鳴はまたしても立香であった。
スカサハは頬を上気させ、嗜虐的な笑みを浮かべたまま顔を振り乱して喘ぐ立香を見下ろし、腰を打ちつける。
きついほどに肉棒を締め付ける膣肉から考えれば、肉棒に抉られる快感が下半身から全身へ駆け巡っている筈だが、そこはさすがに昔取った杵柄というのか、快楽の御し方を知っている。主導権を握っていて翻弄される愚は犯さない。
しかし、それは立香を嬲ってその反応を充分に愉しみたいという欲求からくるものであるから、スカサハがこの行為に満足していないということではない。
寧ろ、肉体的な快楽と精神的な愉悦を上手く混ぜる術を知り、実践している分、満足度で言えばスカサハの方が上かもしれない。
更に、スカサハは手を胸に這わせ、ピン、と尖った立香の乳首を指先で弾いた。
「ふふ、厭らしい乳首だ。こんなに尖って女を誘うとは、お主の全身はまるで娼婦だな」
ピン、ピンと指先で弾く。
下半身と上半身に与えられるあまりにも甘美な快感に立香が手で顔を覆い、更に振り乱しながら悲鳴をあげる。
「耳に心地いいな。正に娼婦だ。神を下ろすに足る、極上の痴態だぞ」
きゅ、と乳首を摘まんで引っ張ってやる。
娼婦とは、キリスト教が普及して軽蔑視されるまでは神事に携わる巫女でもあった。要するに、生殖と祈りを同時に行う神聖な職であり、現代の持つ言葉の意味合いとは大きく異なっている。神代に生きたスカサハには、現代の言葉はそれほど馴染みがない。
スカサハにすれば、男女の痴態を褒めそやす最大の賛辞なのだが、立香は嬲られたような心地になる。
「あ、出る・・・・・・!」
悲鳴を上げた時には遅かった。精巣から尿道へ駆け登る精液の感触を実感した時には既に手遅れで、不意に絶頂が頭を駆け巡った。
同時に、温かな精液がスカサハの膣内に惜しげもなく放たれて、愛液の充満した膣に混ざる。
下半身で放たれる熱い粘液の感触と、膣肉で感じる肉棒の拍動にスカサハは実に嬉し気に頬を歪ませ、膝をついた。
「気にするな。我慢するでないぞ。イクがよい」
優しく囁いてやって、暴発した立香を撫でてやる。
物足りない、という実感は確かに強い。が、それは自分勝手に男を絶頂させた女が、男を再起させる手管を持たない不甲斐なさの表れであり、そこを補えないのに不満を言うのはスカサハにとって厚顔であった。
男が女を満足させる性交など、スカサハに言わせれば女の甘えでしかない。女とは、萎えた男の心身を癒し、更に奮い立たせてこそ女である。
スカサハは立香の射精を受け入れ、後戯のように手で立香の全身を撫で、興奮を冷まさせない。
そして、絶頂から降りて来た頃、快楽の余韻で勃起しながらも力を失いかけている肉棒を膣肉で締め上げる。
「くふう!」
思わずシーツを掴んで身を捩る立香。スカサハは既に足裏を見せて膝をついている。自重によって根元まで肉棒は膣内に飲み込まれており、この甘美な締め付けは肉棒全体に及んでいる。
更に、スカサハの技巧は想像を絶した。
「どれ、嬲ってやろう。嫌でも勃つ女の手管を身を以て味わうがいい」
なんと、膣の根元だけが収縮した。
そのまま、ピアノの調律をするように奥へ従って順に締め付け、それも強過ぎないため身を捩るほどに心地いい。
「な、膣内がうねって・・・・・・!」
スカサハは、器用に膣肉を締めながら微妙に腰を捩って膣肉に角度をつけ、うねりをつける。しかも小刻みに揺すってくる。立香は初めての快感に戸惑いながらも、射精の後に訪れる筈の虚脱感を取り上げられ、更に快楽へ向かって登り始めた。
本来なら、射精直後に強引に勃起させれれば疲労や痛みを伴う筈だが、それらを優しく抱擁するかのような膣内の感触と体温に溶けたように、快感だけが肉棒を撫でていく。
「硬くなったな。そのまま勃たせておれ。極上の快楽を呉れてやる」
膣の蠢動が始まり、更にスカサハ腰を上下させた。
初めてのことである。
膣の浅い部分と深い部分が意思を持ったように別々のタイミングで締め付け、それが上下動に従って抽送されるから、女を知っている立香にとって初めての経験であった。
それも、これまで体を重ねて夜を共にしたどの女よりも、腰の動きがねばねばと滑らかで執拗だった。
単純な上下動で膣の締め付けを愉しんだかと思うと、深く咥え込んだまま腰を円運動させて膣内をかき混ぜる。
スカサハの腹の奥で、粘液のかき混ぜられる淫猥な水音が響き、男性器を嬲るためだけに備えられたイソギンチャクのような膣襞が立香の肉棒をくすぐってくる。
「んはあっ!」
乙女のようにシーツを握りしめ、快楽に無残な声をあげるしか出来ない立香。自分から下手に腰を振ろうものなら、すぐさま果ててしまいそうだった。
一方、スカサハは余裕である。主導権とペースを自分で握っているから、快楽に抑制が利き、立香を嬲る余裕さえある。
その優越感が堪らない。愛らしい少年を自分の手管で思うさま嬲って哭かせる悦びは、代えがたい愉悦である。
「ふふ、女子のように悶えおって、そうして女をたぶらかしてきおったな、お主。ああ、なんと悪い子なのだ。そんな胸のつまる顔と声を出されては、女はお主を快楽の高みに至らせねば気が済まぬ。
この儂の胸さえも高まらせ、儂の腹にお主の子を求めさせるとは、まったくなんと悪いマスターだ」
言いがかりであったし、全サーヴァントを見渡してもスカサハはそれなりにチョロいと言わざるを得ないのだが、そこは黙っていた。
興を削ぐこともない。立香は自分の痴態にスカサハが昂っていることを自覚して、意識して高い声を出してやった。
「あンっ!」
「ほほう、これが好いのか。スケベだな、お主は」
立香の思惑通り、スカサハは気をよくして腰を速めていく。
奇妙な悦びが立香の中に生まれてくる。責められているのは自分なのに、責めている者の望み通りに喘いでやって、そのために悦んでもらうことが嬉しくて仕方ない。
立香は少し大袈裟に身を捩り、喉を反って悦んでみた。すると、スカサハはますます頬を紅潮させて、口元を歪めた。
「どこをどう嬲っても好い声音を出すものだ。なんと淫乱な体だ。その高潔な精神にはおよそ似合わぬ淫蕩な体に生まれついたものよな。
ほおれ、ここが好いのだろう? こうしてマンコをきゅうきゅう締めながら、左右にぐりぐりされるのが極上なのだろう?」
実際のところ、それが特別好いというわけではなく、全ての動きに甲乙つけがたい極上の快楽を味わっているのだが、そう言われればそうだと反応してやる。
「ほら、顔をもっと見せよ」
スカサハが倒れ込み、立香の頬を挟む。
「目がトロンと蕩けて・・・・・・くっ・・・・・・わ、儂も危ないか・・・・・・!」
スカサハの下半身が緊張する。
どうやら、唇の端から涎さえ垂らした立香の顔を見た瞬間、溜め込んだ快楽が一時に溢れたらしく、薄いラバースーツを押し上げるぴんと尖った乳首さえはっきりと見え、欲情の証と絶頂の予兆を浮かび上がらせている。
こうなったら、立香を嬲るどころではない。
スカサハは深く咥え込んだまま浅いストロークで小刻みに膣奥を責められるのが好みらしく、腰の上下動が浅く早くなっていく。
「んむう・・・・・・!」
堪りかねたように、スカサハが立香の唇にむしゃぶりついた。
唇を押し付けて隙間を空け、舌を差し入れて口内を舐り、溢れた唾液を啜る。
キスをしながらの律動が一番のお気に入りらしい。
立香も心得てスカサハに唾液を提供し、舌をおずおずと絡める。如何にも乙女といった、純真だが嬲られる悦びを否定し切れないという初心さを演出すると、スカサハはもう堪らない。
わななく腰をぐっと浮かせ、雁首が膣口に引っ掛かるまで抜き、
「ふぐう・・・・・・っ!」
杭を打つようにずん、と腰を叩きつけて膣の一番奥を赤く膨らんだ亀頭で打つと、くぐもった声が漏れ聞こえ、わなわなと下半身が震えた。
と、同時に絶頂に震える膣内の蠢動に意表を突かれ、我慢することさえ出来ずに立香のスカサハの一番奥に精を放った。
二度目の射精であったが、自分でも驚くほどの量が鈴口から迸っているのが判る。
この征服感と被征服感の混合。最適の割合でブレンドされた快感が、肉体の法悦と混ざり合って心を満たしていく。
スカサハにとっても同様である。愛らしい少年を己の手管で翻弄する征服感と、膣内をどっぷりと浸される被征服感は、肉体の激しい絶頂に勝るとも劣らない充足感を満たしてくれる。
二人は唇を重ね、繋がったまま絶頂を味わい、鼻で大きく息を吐きながら余韻を味わう。
「んふー、ふ、ふー、むふー・・・・・・」
離れたくはない。離したくない。
汗みずくになった互いの肢体を抱き締め、この法悦を最後の一瞬まで味わい尽くしたくて、二人は硬直したように動かない。
が、何事にも終わりの時は来る。二人は名残を惜しむように互いの唇を、仔猫がじゃれるように吸い合い、すっと離す。唾液の糸が橋を架け、一瞬照り光ったがすぐさま落ちた。
その儚さと物悲しさといったら、言語に尽くしがたい。この上さらに繋がりあった性器さえも離し、皮膚と肉が密着し、互いの汗で吸い付く体も離さねばならないかと思うと胸が引き裂かれそうになる。
「・・・・・・」
互いに抱き合ったまま、互いの心と体を満足させたことを無言で讃え合う。
ゆっくりとスカサハが身を起こし、腰を浮かせた。
「ああ・・・・・・」
親とはぐれた子のような、切ない声を出したのは立香である。こういう反応がスカサハも喜ぶだろうと思ったのは事実だが、それ以上に素の反応であった。
スカサハは満足気に苦笑すると、既に硬度を失った肉棒を解放した。
一番奥に射精したためだろう。その粘度と、逃さぬために無意識に収縮した膣肉に阻まれて、精は膣口まで降りてこなかった。
スカサハはそのまま仁王立ちで、二度の射精を終えて疲労困憊に横たわる立香を見下ろし、強姦を終えた悪漢のような満足気な微笑を浮かべると、寝台を下りた。
礼装の不備を補い、普段と変わらぬ姿となった。が、その胎内には二度も立香が吐き出した精が熱と粘りを以て存在を主張しており、咀嚼するように膣肉が蠢いている。
肉体的に、スカサハが完全に満足したかというそうでもない。が、味見は味見である。これ以上を強いるのは気の毒だった。
息も絶え絶えの立香の頭を撫でてやり、労わってやる。
立香は猫のようにその掌に身を任せた。
「疲れたろう。今は眠るがいい。明日から、気が向いたら儂の部屋を訪ねよ、マスター。お主の夜這いなら歓迎する。が、儂を夜這うのは骨が折れるぞ。よく馬鹿弟子共が夜這おうと試みたが、成功した者は一人もおらぬ」
それはつまり、クー・フーリンもフェルグスも不可能だったということではないか。
「しかし、儂の忍耐を超えたら今度は儂が夜這う。拒みたければ必死で抗うがいい。その手に剣か槍を持ち、身を鎧に固めて習い覚えた魔術を使って、誰かに操を立てるのも悪くない。そんなお主を組み伏せて、身と心のままに犯すのは、それはそれで興が乗る」
ぺろり、と唇を舐めるスカサハを見て、
(この人は根っからの捕食者なんだなあ・・・・・・)
と、しみじみと思った。
無論、別に拒む理由はないが、そうして力尽くで犯すのが好みなら、それに合わせてやるのもいいかもしれない。
立香がそう考えた時、すっと撫でていた手が離れ、代わりに頬に唇が降りてきた。
「疲労を残すな。男女の興を朝に持ち込むのは無粋だ。泥のように眠るのだ」
踵を返し、来た時と同じく、ヒールの音を響かせながら部屋を出る。
颯爽としている。さっきまでの情事など、その堂々たる背からは想像もつかない。立香は憧れるような気持ちで見送って、目を閉じた。
(・・・・・・人生ゆがみそう)
立て続けに極上の女を知らされた自分の感性の行く末が、少しだけ恐ろしくなった。