FGOエロ小説まとめ 作:お一
健康と護身のために、マットを敷いてプロレスの練習をするのが習慣になっていた。
アストライアの提案である。
彼女とももう長い。裁定者の祖ともいうべき、ギリシャの神霊が召喚に応じたのは、七つの特異点に挑んでいる最中だった。
アストライア。彼女の逸話は少ない。
夜空に輝く天秤座である彼女は、人類に絶望して地を去り、天へ還った。言うなれば、人類を見放した最初期の神の一柱であろうが、何故にその彼女が人理のために戦うのか。
「たいしたことではありませんわ。秤が向こうに傾いた、ということにしておきましょう」
人類の正義の具現、という神ではあるのだから、理由に是非はないのかもしれない。ただ、髪をなびかせて笑う姿は、強さと美しさが同居していた。
「あなた、貧弱ね」
召喚に応じ、一度死線を潜った後、アストライアはそう言った。
「人理を救おうというものが、自分の身一つ守れないのではお話になりません。とはいえ、本来あなたは救う者ではなく救われるべき者・・・・・・いえ、そう断じるのも早計ですわね。とにかく、筋トレは怠らないように」
本来のアストライアに肉弾戦の概念はない。というか、ギリシャの神でそんなものを好む者が何柱いるだろうか。
神霊が英霊召喚の術式に適合するため、人類史に残る人間の体を借りて顕現する。その依り代となった少女の影響らしい。
高貴なるものは誰よりも危険を冒して民衆を導かねばならない。骨の髄に刻まれた信条の対象は彼女だけではない。
怠けた態度は許されない。休息の度を越えていれば自ら私室に踏み込んで筋トレの指導をする。その指導も実に熱心で、そこいらのパーソナルトレーニングなど目ではない。
「脚はもっと開きなさい」
理想のフォームと頻度を追求するために、立香に身を接して指導する。
というより、触れていない時間の方が少ない。トレーニング中、少しでも姿勢が乱れればアストライアがその手で以て修正する。
腕が下がればその腕を支えようにして正し、腰が曲がれば胸を押して背中に手を添え、顎を引けば顔を近づけて向きを矯正する。
「体幹も、大切なのは下半身。念入りにいきますわよ」
特に股関節にうるさい。スクワットは何種類かを混ぜ、脚の開き方や腰の落とし方にもいちいち細かく、矯正の頻度も高い。
「ほら、また」
と、脚の付け根に手を添えて、後ろから体で体重を支える。
「・・・・・・」
トレーニングはきついが、決して嫌にならないのはこのためである。立香も男なのだ。
困ったことがあるとすれば、トレーニングの指導をしているとつい熱が入るのか、
「実戦の練習も必要だから」
ということでスパーリングをさせられることだった。
「いたいいたい・・・・・・!」
もちろん手加減をしてはいるものの、あっさりと組み敷かれて技を掛けられる。人間と英霊の能力差を考えれば当然のことなので、アストライアもかなり抑えてはいる。
投げ技も締め技も極め技も、愛猫と戯れるような優しい手つきで掛ける。
「技は掛けられるだけではないでしょう?」
と、自らの体に仕掛けさせることもある。
「いや、それは」
少しでも躊躇すると、逆水平チョップが飛んでくる。
「私の頭を脇で抱えて・・・・・・そう、足位置はもう少し前へ。重心はまだ前傾で」
男女のプロレスが成立しないのは、体重差もあるのだろうが、それ以上に理由があることを立香は体で知った。
(イイ・・・・・・)
アストライアの礼装は、いつものものではない。あのドレスは戦闘服であると同時に裁定者の役割と矜持を明確にする、神聖なものだ。それが必要な時と場でなければ着用しない。
首元から乳房を掬い上げるようにして支え、脇を通って背中へ向かう黒い帯。露わになる先端を隠しながら脇腹に向かう青いボディテープ。腹は丸出しで、際どい食い込みを見せるセクシーなレスラー装束。
いつもより格段に露出が多く、プロレス技を掛けて掛けられてをするのだから密着も多い。ほんのりと汗を掻いた白く柔らかな肌は甘い香りを放つ。
男の理性を蕩かす魔性の香り。スラリとした長い手足に絡め取られるたびに、この時間が一生続けよと思うのだ。
「ふむ・・・・・・掛けられる方はかなりサマになっているというのに、掛けるのは苦手なようですわね」
ルチャの神髄は相手と呼吸を合わせることにある。ケツァルコアトルが言っていたことだ。英国風プロレスを好むアストライアが相手でも、そこは変わらない。
接した体の呼吸を読んで、技に掛かりにいく。それは好いのだが、まだ若い立香はアストライアの体に自分から触れることに躊躇いがある。
スーパーモデルも裸足で逃げ出すプロポーションを抜きにしたとしても、裁判所に厳格に象られる裁定者に、邪心を持って触れてよいものか。もしこの心を見透かされたら、とんでもない神罰が下りそうである。
「あなたに限って、気が弱くて掛けられないということはないでしょうから、そうですわね、女性への気遣いが邪魔をしているのでしょう。紳士として良いマナーですが、戦いの場に持ち込んではいけません。それを教育しましょう」
アストライアは本来、性格というほどの人間性はない。
ギリシャの神としてのアストライアは、善か悪かを識別し、判断する機能がパーソナリティの大部分を占める。
ノブレスオブリージュの精神も、プロレス好きも、英国風マナーも全て、依り代となった少女の影響である。
そこにアストライアの無機質ともいえる生真面目さが混ざって、なにかを始めると余念がない。
「さ、遠慮なさらず。ガッと」
サーヴァントは頑丈だから、プロレスの練習くらいなら怪我もしない。今はDDTを決めさせているところだが、頭から落ちたとしてもどうということはない。
「い、いきますよ」
それでも立香としては、女の頭や顔面を落とすということに抵抗があるらしく、声が裏返っている。
型は何度も練習させた。あとは重心を後ろに、尻もちをつくようにして抱えた頭を落とすのみだ。
むしろ受ける側の方が気を遣う場面だ。
重心を傾けて技が掛かりやすいようにしてやらねばならないし、決まった後の下半身の動きに気をつけないと立香の顔を蹴りかねない。かといって下半身をおとなしくさせたままでは、プロレスの派手さに欠ける。
首から上のダメージコントロールをしながら、下半身の動きに気を配る。
立香がアストライアの頭を落とす。
マットに頭が落ちるのに一瞬遅れて、アストライアは下半身を上げた。如何にも強い衝撃が伝わったように。
「っ!」
それがなんとも青少年の情緒に悪い。
前から見ても、アストライアの食い込みは鋭い。鼠径部まで見える衣装は、プロレスらしい動きを阻害しない機能的な造りではあるが、それ以上に煽情的で、健康的なエロティシズムを醸し出している。
後ろから見てもそれは同様で、少し激しい動きをすれば割れ目に布地が食い込んで臀部が露わになる。
きゅっと上に引き締まった健康的な尻は、楕円形の柔らかな感触を失っておらず、それが眼前に迫ればプロレス技よりド迫力である。
首をロックしている腕を振りほどいて、この尻にしがみつけたら。そんな邪念が湧いてくる。
「今のはなかなかでした」
アストライアは立ち上がりながら、涼しげに言った。
徒手空拳の実戦では、およそ向いているとは言えないプロレス技をサーヴァント相手に決めに掛かるアストライアである。攻めも完璧なら受けも完璧。素人が相手だと違う意味で細心の注意を必要とするが、アストライアほどの練度なら苦にもならないらしい。
「ほ・・・・・・」
と、息を吐く立香は対照的。プロレスもアストライアに付き合えるほどの造詣の深さもなく、技を掛けるたびに背筋が寒くなる。
もし自分の掛けた技で、アストライアの鼻が折れたり潰れたりしたら、この美しい容貌がたちまちに歪んでしまう。一瞬でもそう考えれば、手が震えるのだ。
死なないための体づくりが目的だから、技自体にはそれほど熱心でないが、それでも間違いは起こるものだ。緊張が解けると、関節が溶けるような気分だった。
「ええ、まあ・・・・・・安心するとそうなるものでしょうけど、見せられるこちらは、少々反応に困りますので、もう少し隠した方がよろしいのではなくて?」
ふと座り込む立香を見下ろしながら、アストライアはいつもと変わらない調子で言った。
目線を追うと、スポールウェアを盛り上げる自身の怒張が見えた。
「ああ・・・・・・!」
気づかなかったわけではない。自分でも痛いくらい勃起しているのは判った。しかしこう、こんなにも判りやすく浮き上がっているとは思わなかった。
「あれ・・・・・・いつから気づいてました?」
「最初の稽古からですわ。あなた、柔軟の時からそうなってましたわよ」
然もありなん。柔軟も念入りに監督されるから、向かい合って少しでも姿勢が乱れると矯正するし、お手本も見せてくれる。見惚れているうちにこうなれば、柔らかいスポールウェアでは丸わかりなのだろう。
むしろ気を遣って今まで黙ってくれていた優しさが痛かった。
「これは・・・・・・不敬判定?」
「え? ああ、むしろ・・・・・・」
と、なにかを言おうとして口ごもり、一瞬考えこんで、
「いえ、では罰を与えるので脱ぎなさい」
「はい?」
まさか去勢されるのか。如何に厳格とはいえ、いや厳格だからこそ、罪の等級に合わない罰を下さないだろう。しかし相手は神の一柱である。感覚がズレていて、彼女の持つ短剣でスパっといかれないとも限らない。
(ないか。さすがに)
彼女は戦友である。そんな極端なことをなんの宣告も警告もなしにしでかさないという信頼はある。
ズボンを脱ぐと、
「下着もです。早くなさい」
言い出したら聞かないこともよく判っている。逆らっても時間が無駄になるだけだ。抵抗はあったが、意を決して下着も脱いだ。
「おお・・・・・・」
なにやら、感心するような声が聞こえてきた。顔は、とても見られない。叱られる子供のように、目線を逸らしながら沙汰を待つ。
「なかなかに豪胆。良い肝ですわ、リツカ。女神を相手に見せつけられる胆力をいつの間にか身に着けていたとは、私も誇らしい」
単に限界勃起していて自分の意思ではどうにも収めようがないだけなのだが、感心されているのなら悪い方には転がるまい。
と、思った矢先に、両足を掴みあげられてしまった。
「なに!?」
「罰なんですから、抵抗せずに受け入れなさい」
そもそも身体能力に格別の差がある。抵抗など出来るわけがない。
両足首を掴み、抱えるようにして持ち上げる。無防備になった立香の下半身に、アストライアは足を置いた。
電気あんまである。罰でさえプロレス技というのは実にアストライアらしい。
「う、うわ・・・・・・!」
恐怖が、さっと立香の顔に浮かんだ。
子供の頃、教室の後ろで同級生にやったりやられたりした記憶がある。急所のピンポイント攻撃だけに、なかなかの苦痛だったことを覚えている。
「動かない。忘れてはいないでしょう? プロレスは、下手に動くと余計ケガをするもの」
習性とは恐ろしい。毅然とアストライアにそう言われると、技を受ける時のように体が硬直し、微動だにしなくなった。
その様子に満足して、アストライアは立香の剛直に置いた足をゆっくりと動かした。
「う・・・・・・う・・・・・・?」
予想した苦痛はこなかった。
それどころか、アストライアは体重を掛け過ぎないように注意して、裏筋を指の付け根で撫でている。
「ああ、熱い・・・・・・良い感触ですわ。適度に硬くて、柔らかくもある。力を抜きなさい、リツカ。体重も預けなさい」
言われた通り、脚の力を抜く。
クニクニ、と揉むように弄ばれる肉棒に、甘い快感が染み渡る。
「ビクビクと震えて、意外に愛らしいものですわね」
上質なリネン生地のさらさらとした感触に包まれたアストライアの足。絶妙な力加減で、立香の肉棒を愛撫する。
「どうですか、気分は?」
「き、気分て・・・・・・」
アストライアは厳格な神霊だが、茶目っ気も持ち合わせている。
アストライアのいう罰がこれならば、素直に伝えた方がいいか。いや、罰という名目なら嫌がらないと罰にならない。予想外の事態ではあるが、これを中断されてしまうのはなんとも惜しい。
どう答えるのが良いのか。立香が思案していると、
「時間切れ。追加の罰を与えます」
と、足が下に、立香の尻側に滑った。
「いひ・・・・・・!」
土踏まずが、立香の陰嚢を掬い上げるようにして押し当てられた。
ムニ、と柔らかな陰嚢を押すが潰しはしない。ぶ厚い皮の向こうの、コリコリとした感触に直接刺激や圧力が伝わらないように注意しながら、踏む。
「んふふ、そう、ひれ伏した敗者は勝者の意のままに。世の理ですわ」
嗜虐的なセリフだが、その言葉の意味とは縁遠いほど足つきは優しい。
踏むというよりも、足裏を押し当てて揉むように擦る。
「あ、ああ・・・・・・!」
不思議な感覚だった。
足は、手の三倍の力があるという。その代わり手ほどに繊細に動かない。絶妙な力加減というよりは、人体が生まれた頃より持ちうる弾力と柔らかさをそのまま押し当てているのだろう。
そして、ほんの少し強く押し込めば男の人体で最も繊細で敏感な器官が圧し潰される。それはアストライアの気まぐれに限らない。片足立ちだから重心が僅かにズレれば意図せずそうなる。
おぞましい破滅を隣り合わせにするだけに、蠱惑的な快感が背筋を駆けのぼる。
「しょうのないマゾヒストですこと。踏まれるのがそんなに嬉しいんですか?」
アストライアは、残酷なほど目を細めて立香を見下ろし、嘲笑を浮かべている。
この瞬間までまったく自覚はなかったが、その表情に魅せられてしまう以上、彼女の言う通りなのかもしれない。
(いや、いやいや・・・・・・!)
そうではない。厳格で清廉な彼女の、この珍しくも美しい表情だから魅せられるのだ。男であれば万人が見惚れるに違いない。そこに、サドもマゾもありはしない。
「もうこんなに、雫を滴らせて・・・・・・」
すっと、足を戻す。
やはり彼女としても、陰嚢という繊細な器官を足で弄ぶのは神経を使う。硬さのある肉棒に足裏を押し当て、親指と人差し指をくっと開いて裏筋を挟み込む。
ビクビクと震える肉棒は、その先端から透明なカウパー腺液を漏らしていた。
「いやらしい人。こうですか?」
裏側を、先端から根元に掛けてゆっくりと。押し当てながら撫でさする。
アストライアの長い脚が滑らかに、根元から先端へ搾るように動く。尿道で溢れるように溜まっていた先走りの透明な粘液を、鈴口から押し出す。
ピュ、と雫として漏れ出る液体が立香のへその下に零れて、灯りを反射する。
その様子が楽しいのか、アストライアは余念なく繰り返した。
「お化粧して差し上げますわ」
「う、あ・・・・・・!」
傲慢な女王が貧民から税を搾り取るように。
これまで何度、アストライアを見て我慢してきただろうか。この美しい女神に対しての劣情をどれほど押し殺してきただろう。
彼女への敬意のためだったが、それ以上に彼女からの軽蔑が怖かった。罰よりも、彼女の自分に対する印象が落ちてしまうことがなによりも怖かった。
しかし、その我慢の果てにとうとう見せてしまった自分の欲情。それを前にして、当人よりも楽しそうな姿に僅かながら安堵する。
それが、良くなかったのだろう。根元に熱い感触がこみ上げてきた。
さすがに、と上体を起こそうとした瞬間、アストライアはこれまでが嘘のように厳しい口調で 責した。
「弁えなさい。私が良いと言ったこと以外、あなたには許しません」
小脇に抱えるように、脚を更に持ち上げて自由を奪う。
「動かない。いいですわね、リツカ。私はそう命じましてよ」
マスターとサーヴァント。主人と従僕という言葉も、今は虚しい。神と人、いやそれ以前に男と女では、この立場と関係性が自然なように思えた。
足指の付け根の出っ張りを裏筋に中てて、包むように丸める。立香の下腹部と完全に挟み込んで、小刻みに上下に揺さぶった。
「うは、あ・・・・・・!」
今までのような、少しじれったいほどの優しい刺激ではない。
陰茎全体が痺れるような激しい感覚。踵で根元を潰しながら押し上げ、敏感な裏筋に対しての集中攻撃。残像さえ残らないほど小刻みで激しい振動は、これこそが真の電気あんまと呼ぶに相応しい。
「んう・・・・・・!」
身を捩る。頭を抱えて悶えるのは、苦痛のためではない。
陰嚢の中の睾丸が熱くなるのが判る。精管から次々と送られてくるものの感触まで判る気がした。
「んうう、あ・・・・・・! は、うああ・・・・・・!」
泣き叫ぼうとアストライアは許さない。
脚で潰された肉棒が痺れる。強い刺激と快感の狭間で、感覚を失い始めたその先端から、白く濁った粘液が噴いた。
「んお、お・・・・・・!」
ぶびゅ、と音が聞こえるような射精。尿道から込み上げてくる精液がアストライアの足によって強制的に押し出され、立香の腹を白く汚していく。
確かに、化粧に似ている。肌色にべっとりとへばりつく濃厚な液体に、アストライアは感心したように言った。
「なんと雄々しく、野卑で逞しいのでしょう。さすがは我がマスター。なかなかの胆力です」
イっても、まだ止めないアストライア。
精液を最後まで搾ろうというのではない。射精前とまったく変わらない電気あんまが、射精後も続いた。
「ちょ・・・・・・! あ、ダメ・・・・・・ああ・・・・・・!」
射精後の敏感な肉棒に、萎えさせる暇を与えない強烈な刺激。
男なら、どんな屈強な者でも耐えられない。自分の手では絶対にセーブしてしまう最も脆弱な瞬間。
立香の身悶えは明らかに種類が違う。抱えられた脚でジタバタと足掻き、体が芋虫が蠢くようにして逃げ出す。
それを強引に抑え込んで、いつまでも続く電気あんま。
「や、あ・・・・・・! あ、あああああああ・・・・・・!」
泣き叫んでも終わることのない電気あんまは、正に拷問だった。
さりとて苦痛はない。頭の大切な回路を焼き切るような快感とくすぐったさが、喉を割るばかりに絶叫を引き出す。
「ゆるし・・・・・・ひああ!」
哀願も言葉にならない。無意味な叫び声だけが喉奥から漏れる。
視界が白く明滅する。意識が、点滅するように小刻みなオンオフを繰り返した。
呼吸さえ忘れた。そのため、
(しぬ・・・・・・!)
そう思った。
しかし体の限界はそれより早かった。
「きゃ・・・・・・!」
と、愛らしいアストライアの声が上がった時は、既に気絶していた。
粘度の少ない透明な飛沫が先端から飛び出した。圧政に蓄財の全てを放出するような、男の持つ全てを差し出すような潮吹きが、三度断続的に続いた。
少し驚いたアストライアだったが、弱めた電気あんまでその潮吹きを手伝う。吹くまでより少し加減して、吹かなくなるまで容赦なく。
「・・・・・・少しだけ」
やり過ぎたか、と動かなくなった立香を見下ろして頬を掻いた。
さらさらしているくせに、垂れ落ちない雫を手に取って弄ぶ。
失禁したように大量の液体に上半身を汚された立香が、ぐったりと身を横たえている。その体を抱き上げて、口元に耳を寄せて呼吸を確認する。
生きている。ならいいか、と神霊特有の大雑把な視点で頷いて、自室へ運んでやる。
次に起きた時が大変だった。
どれほど気絶していたのかも判らないのに、尿道から先端に掛けての甘い痺れが止まらず、排尿を試みても勝手に余韻に勃起してしまい、痛いほど固くなる。
(これは困ったことに)
体が覚えてしまった。アストライアの脚を見るだけで今日を思い出す。
普段の礼装の彼女なら、長いスカートに隠れているのでおそらく問題ないが、トレーニングの衣装の時は困ったことになる。
立香は、ときめくような鼓動を持て余して横になった。
というようなことがあったので、しばらくというか、もう二度とアストライアと二人きりで運動をするようなことはなくなるだろうと思っていた。
そのことは、立香にとって寂しい。
しかし翌々日の余暇にはアストライアの方から誘ってきて、今までとまったく同じようにプロレスの稽古をした。
「倒れないように、重心を低くして」
マットに立って、指示を受ける。
大切な時間が失われなかったことに安堵してはいるが、アストライアは平気なのだろうか。青少年としては、自分の痴態にどう思ったかが気になって仕方がない。
「はっ・・・・・・!」
と、アストライアが床を蹴った。
両脚がガバ、と開いて立香の首に巻き付く。同時に勢いをつけて立香を横に投げ飛ばす。
「このまま脚を離さずに首を絞め、自由な両手で抵抗を封じる。こんなことも出来ましてよ」
もちろん本当に絞めてはいない。アストライアの言う技が完全に決まれば、最初の投げ技で悶絶しているだろうし、絞めれば二秒で意識は落ちるだろう。少し首を圧迫しているだけだが、それだけに太ももの感触とあたたかさが直接伝わってくる。
「あ・・・・・・」
と、自覚した時にはもう遅かった。
アストライアの脚に完全に調教された立香は条件反射のように勃起してしまい、準備運動中の光景になんとか抑えられたのも徒労となって、ウェアを盛り上げてしまった。
「今回も罰を与えます。脱ぎなさい」
今度は直立不動を命じられた。
そして今回はアストライアが手ずから脱がしにかかり、下半身裸にされてしまった。眼前に、そそり立つ肉棒が生臭いにおいを立ち上らせながら放たれる。
「この間はごめんなさい。少しやり過ぎてしまいました」
彼女は厳格で公正な裁定者である。罰の大きさは罪の大きさに等しい。その法則を逸脱したことを詫びているのだろう。立香は困惑したが、同時に感動した。
こんなことにまで公平名大であろうとする彼女の清廉な遵法精神に。
「ちゅ・・・・・・」
「うへ!?」
跪いたアストライアは、立香の予想も期待も完全に裏切って、その先端に唇を押し当てた。
敏感な先端から、じんわりと広がっていく甘い快感と唇の柔らかな感触。性器であると同時に排尿器官でもあるそこへの口での愛撫は、一昔前ならアブノーマルなプレイだった。
常人でそれである。人を裁定する女神によるものだと振り返れば、夢かと見まごう非現実感。目を落として我が目で見ても、未だ信じられない。
「今日は少し、優しい罰ということにしておきましょう」
竿部に手を添えて、先端を自分の唇に向けさせて固定し、少し唇を開いて吸い付く。
「む、ちゅ・・・・・・ちゅ、む・・・・・・ちゅ、ちゅ・・・・・・ちゅ、う・・・・・・」
キスを指して、よく小鳥がついばむようなどと形容するが、この光景を他のなにに例えられようか。
裁定するという行為は、自分以外の全てを見下ろすということだ。自らを最も高みに置いて、その他の全てを見渡して材料を組み、判断を下すのが裁定である。つまり、その場その権能に於いてこの世で最も尊い存在が自分である。
自らを以て裁定者と成すアストライアには、その自認が充分過ぎるほどある。それほどの女神が跪いて立香の性器に、一度ならず口づけを繰り返しているのだ。思わず背筋がぞっとするほど恐れ多い。
それでも腰を引かなかったのは偏に、この快さを手放したくないという肉欲のためだ。その、立香の胸中もアストライアには手に取るように判るのであろう。
クスリと笑って、
「存分に受けなさい。これは罰なのですから」
優しい声音で言った。
「あ、んむ・・・・・・」
先端を口内へ誘う。
あたたかくぬめった口腔が粘膜を包み、触れ合うだけで劣情を催す女神と繋がってしまった。
口腔で蒸れて湿気た空気は、アストライアの鼻腔と肺を通った外気。この場に満ちて、自分も取り込む空気なのに、アストライアの体を通ったというだけでこんなにも神聖な、神秘な感覚になるものなのか。そしてそれが自分の性器を包んでいると思うと、それだけで卒倒しそうだった。
「ちゅぶ・・・・・・む・・・・・・ん、ちゅぶ・・・・・・ぶ、ちゅぶう・・・・・・」
舌の上に乗せた先端を少し奥へ滑らせ、唇を少し窄めて粘膜を絡める。唾液をまぶして、それを啜り取るように吸って、ゆっくりと顔を前後に動かす。
「ろう、れす・・・・・・?」
上目遣いの表情は、女神のそれではなかった。
気遣いが表れている。配慮が見えている。不安も覗いていた。男の敏感な場所に痛みを与えていないか、快感になっているか、市井の女となんら変わらない愛らしい表情だった。
「・・・・・・っ!」
今の今まで、この瞬間まで抱いたことのない感情が胸を締め付ける。奥歯で噛み潰してしまいたい愛らしさは、きっとアストライアの依り代となった少女のものなのだろう。
この少女も、もしかしたら愛しい男にこんなことをしてやったのかもしれない。自分の遥か高次元の、神というシステムが自分と同じ生命として息づいていることを、立香は体で理解した。
とはいえ、慣れてはいないのだろう。咥えたまま前後に扱くのみで、その動きは単調。口腔の深くに異物を差し込むと反射的に嘔吐反応を起こすので、アイスキャンディーを味わうように歯の後ろまでしか咥えない。
「ん、く・・・・・・!」
立香としてはなかなかにつらい。
永遠に味わっていたいほどの甘い快感と、身を捩るほどのじれったさが混ざって生殺しである。
射精にはとても至らない。しかし先端を包み込むぬめったあたたかさと粘膜の柔らかさは極上の一言。
「ず・・・・・・ぷ・・・・・・じゅぶ、ぴ・・・・・・ぶぷ・・・・・・ぷぢゅ、う・・・・・・」
肉棒にも熱が宿る。粘膜を火傷するほどに熱く猛り、ビクビクと蠢く様子は、アストライアにしてもなかなか気分が良い。
自分の行為で相手が昂るのを肌で感じるのは、他のことではなかなか味わえない満足感と高揚である。
「ぢゅぷ・・・・・・っぱ・・・・・・!」
しかし、アストライアとて自分の知識が不足で技術が未熟なのは承知している。
このまま続けても、顎が疲れ果てる前に満足させられるのは不可能だと自覚して、唇を離した。
「あ・・・・・・」
「そんな物悲しい声を出すものではありません。まだ止めませんから、少しお待ちなさい」
弟に聞かせるような、優しい口調で言った。
ボディテープを剥がし、首から伸びる帯をズラす。アストライアの豊かな双丘が露わになり、本人の人柄を示すような鮮やかな桃色の突起が姿を現した。
「っ・・・・・・!」
ビク、と肉棒が跳ねる。手を伸ばして一人で扱きたくなる衝動をなんとか堪えた。
「抱いて差し上げましょう」
両手で乳房を寄せて、その深い谷間に肉棒を誘う。
むにゅ、とアストライア自身の手で歪む乳房。非常にハリと弾力に溢れた、瑞々しい感触が肉棒から伝わってくる。
「お、ふ・・・・・・」
乳房は総じて柔らかい。そんな童貞の妄想を簡単に覆す感触だった。
柔らかな肌の奥に、むっちりと肉を詰まらせた感触は、その目で見てもよく判る。寄せるためにアストライアの両手の指を食い込ませた乳房は、指を跳ね返すようだった。
それでいて指の形に乳肌を沈め、パイズリのために形を歪ませる光景は逆上してしまいそうなほど昂奮する。
もし許されたなら、アストライアの身を抱いて好き勝手に腰を遣い、すぐさま射精へ至るだろう。しかしそこは、相手はあの裁定者。なんとか自重して、アストライアの言う『罰』に身を任せる。
「ん・・・・・・む、う・・・・・・ほんとにこれが・・・・・・」
と、アストライアが怪訝そうに呟く。口中で呟かれたその言葉は立香の耳に届かなかったが、仮に届いたとて乳房の感触に夢中で気がつかなかっただろう。
このパイズリという行為は、やっている女側に不安がある。
これで果たして本当に気持ちがいいものなのだろうかということだ。
「・・・・・・」
ムニムニ、と乳房を寄せて上げて、戻して、また寄せる。アストライアに快感はまったくない。火傷しそうな熱さが乳肌に伝い、それがなんとなく胸をときめかせるのだが、肉体的な快感はほぼない。
見た目にも激しくないし、こんなことで本当に男が悦ぶものなのだろうか。
ちら、と上目で表情を窺うと、
「うあ、あ・・・・・・うう・・・・・・!」
と、呻いているので悦んではいるのだろう。
(本当に?)
疑いたくもなるが、演技でないことは見ていれば判る。
不思議な気持ちだった。
正直、この乳房は持て余すことの方が多い。カルデアではこのサイズでも平均だが、それが一般的な水準と比べれば狂っていることくらいアストライアにも判る。
この持て余した乳房で悦ばれるのは、面映ゆいような申し訳ないような、妙な気分だ。
「・・・・・・」
少し吐息を弾ませながら、丹念に乳房で挟んだ肉棒を揉む。ぬめった水音が、谷間で卑猥に奏でられる。
先端にたっぷりまとわせた唾液が乳房の中で擦れ合って、男の耳も楽しませる。
「くう・・・・・・!」
立香にとって、なんとも甘美だがそれと同じくらいつらい時間が続く。
どんどんと高まっていく性衝動。射精へ向かって蓄積される欲情にとって、このあまりにも優しく柔らかい愛撫はじれったい。
しかし意地悪なじれったさではない。永遠に留まっていたい気もする。射精直前の快さがずっと続けば、というようなことは誰でも思うだろう。しかし射精して、高みへ至った快感に蕩け、放出感に酔いたいという衝動も同じくらいある。
それと同種の感覚が、立香をゆっくりと高めていく。
「ん・・・・・・」
その様子を見て取って、アストライアは乳房の動きを激しくした。
「く、う・・・・・・!」
それが、立香をまた悩ませる。
射精に向けた肉棒が望むのは、先端から根元へ向けた上下の摩擦である。それを、挟んだまま包み込むように揉み続けられるのだから、生殺しである。
そしてその生殺しのまま、高みへ導かれる。
「うう・・・・・・う・・・・・・っ・・・・・・うう・・・・・・!」
腰をぐっと突き出し、くぐもった呻き声を漏らすのは、女に対して慈悲を乞うているから。もう堪忍してくれと、一思いに待ち望んだ瞬間を与えてくれと、悲鳴をあげているのだ。
が、それでもアストライアには判らない。無垢な心で残酷に法悦の瞬間へ誘う。
「ん、ふ・・・・・・ふ・・・・・・ん・・・・・・」
もう表情を見ることもない。ペースを落とさないように気をつけながら、乳房を寄せて戻してを繰り返す。吐息が弾むのは、単純に運動量が増えたからだ。
「くう、あ・・・・・・!」
最早、受動的な法悦ではない。根元からせり上がる熱い予感を意識して先端へ突き上げ、腰を突き出した体勢でピンと硬直する。
もうなりふり構っていられない。アストライアの胸の中で射精すること以外、頭から追い出されてしまっている。
「ん・・・・・・!」
先端から迸る、白く濁った粘液。思わず軽く顔を逸らし、片目をつぶって男の法悦を受け止める。
アストライアの顔を汚していく生臭い精液。それでも彼女は避けることもなく、射精が終わるまで肉棒を抱いたまま受け止めた。
三度、断続的に蠢いた肉棒が精液を吐き出し、勢いよく額まで届いた後は鼻先や顎、胸元を汚していく。
「ふ、うう・・・・・・」
深い、あまりにも深いため息。腰から下どころか、全身の力が抜けていく。
思わず座り込んだが、これほどの射精の満足感を味わうのは初めてだった。焦らされた後の法悦は、深く長い。その反動で体力を失って、立香は尻もちをついた。
「・・・・・・」
額から目元、鼻先に顎、胸元と直線上を満遍なく精液で汚されながら、アストライアは立香の様子を眺めている。
満足したらしいことは、なんとなく判った。安心したように息を吐き、どうしたものかと首を捻った。
「あ・・・・・・!」
と、そこでようやく我に返った立香が、自分のしたことに気がついた。
「わ、や、え・・・・・・!」
言葉にならない慌てようで、なにかしてやるべきかとにじり寄る。
「ん、と・・・・・・」
どうすればいいのかを悩んでいるのはアストライアも同じらしい。アストライアの乏しい性知識では、射精を終えた後のことまでは判らない。
「あ、ここ、これ・・・・・・!」
立香がポケットティッシュを引き抜いて、アストライアに手渡す。
「ああ・・・・・・なるほど・・・・・・」
拭くのか、とアストライアは貴族らしい落ち着いた手つきでティッシュを受け取って、顔にへばりつく精液を拭き取っていく。
「・・・・・・」
顔面に注がれた精液は、焦らされたために量と濃さも平素にあるあじきほどで、アストライアの顔からなかなか離れない。
近づいた立香自身にも嗅ぎ取れるほどの青臭さで、身支度をするような優雅な手つきではすぐに拭き取れない。
ぷるぷるとした白いゼリー状の精液はティッシュに移っても、透明な粘液がアストライアの肌にへばりついて離れない。
「・・・・・・これでよろしくて?」
拭き取った精液をどうすればいいのか、いまいちそれが判らないらしく、ティッシュを広げたまま置き、拭き取った顔を見せてくる。
まだまだ、精液のへばりついていたところがてらてらを光っていて、とても拭き取れたとは言えないだろう。
しかしそれをやった本人が言い出すのは気が引けて、叱られる子供のように顎を引いて、
「あの・・・・・・よく、顔を洗われた方が・・・・・・」
「え? ええ、そうしましょうか。今日はこれで終わりです。これは・・・・・・」
と、精液を吸ったティッシュに目を落とす。
「か、片付けます。お、お先に、どうぞ・・・・・・」
ティッシュを丸めながらかき集め、手の中で握りつぶす。
すっと、アストライアの目が少し不快げに細まったが、立香は気がつかない。
「そうですか。ではごきげんよう」
急に冷たい、素っ気ない口調になって立ち上がった。そのまま出て行って、後ろ姿が見えなくなって、立香は脱力した。
「は、あぁぁぁああ・・・・・・」
女神の顔面に精液をかける。
不敬と言ってこれ以上のものがあるのか想像も出来ない。天秤に掛けられなかっただけ運がいいのか。
いや、そういう問題でもあるまい。神霊であるという以上に、敬愛する戦友に対してあまりにも礼を失している。自己嫌悪に陥りながら頭を抱え、これからどんな接し方をすれば良いのか悩みだした。
射精後の頭である。自己嫌悪と虚脱感が合わさって、この姿勢は随分長く続いた。
「・・・・・・」
それを、戸の隙間から振り返って、アストライアが見ていたことも気づかなかった。
厄介なことになった。
条件付けというものがある。人間にも起こることだが、動物に鐘の音を聞かせてから給餌すると、鐘の音を聞くだけで餌を求めるようになる。
「裁きの時はいま、汝の名を告げよ(クストス・モルム)―――――!」
天秤の片側から、もう片方に向かっての美しいバックドロップ。
その直前の、目標に向かう七色の宝石たち。彼女の宝具には他の宝具にはない美しさがある。人間に仕掛けたらマットだろうが頚骨粉砕、頭蓋骨陥没は免れないだろうジャンピングバックドロップの放物線は、何度見ても惚れ惚れする。
ショープロレスの極致とも言うべき美しさである。
当然、彼女の礼装は青と金を基調とした、天秤の女神のそれ。優雅にスカートを翻し、その者の生きた軌跡に善と悪を問う。
アストライアに、理由も動機も判らぬままに性的な行為を受けた結果、彼女の戦う姿を見るだけで、というか彼女の姿を見るだけで反応するようになった。
「・・・・・・っ!」
あのぷるりとした唇の感触を知っている。柔らかくもハリのある乳房の触感を、肉棒で思い知っている。
彼女の顔面が白濁粘液で汚された姿も、目に焼き付いている。あのスラリとした脚で得た快感は脳に刻まれている。
意識して思い出すまでもない。彼女の姿を見るだけで、まるで彼女の持ち物のように反応して、胸を疼かせる。
このままではいけない。そう思いつつ、まるで性獣のように浅ましい反応をする自分が後ろめたくて、つい彼女を避けてしまう。
「リツカ、少しよろしくて?」
問う口調ながら、厳格な語調は有無を言わせない。
ここのところの態度は失礼を通り越して不敬であった言われた通り、彼女の後に続く。お説教で済めばいいのだが、人間用に加減したプロレス技の三つくらいは受ける覚悟をしておいた。
「うん?」
着いたのは、立香の私室だった。まあお説教ならどこでだろうと変わらないし、他の者の目がないだけよかったのかもしれない。
「下半身を裸に、ベッドに寝転びなさい。もちろん、カギは掛けてから」
裁判には証拠が不可欠である。まさか彼女の秤に生殖器を乗せるはずもないだろうが、不敬の元はそれなのだから別に不思議でもない。
が、肉棒自体は淡い期待を抱いてヒクついてしまう。言われた通りに横になると、雄々しく天を向いた肉棒が既に限界まで勃起していた。
「素直なのは貴方の美点でしてよ。そこのところ、実は高く評価しています」
礼装が変化する。青い淑女の姿から、戦闘用に着飾った第二段階の霊基のものへと。
スカートは後ろ側だけ。前はプロレス用の鋭い食い込みを見せ、谷間を露わにする大胆で美しい礼装へと変化していった。
「動かないように。といって、別に不動で居ろとは言いません。要するに、抵抗するな、ということです。お判りですわね?」
頷くより先に、アストライアが立香に跨った。
秘部を隠す食い込みをずらし、ガニ股で跨って指で肉棒の向きを整え、既に用意を終えていたそこに挿入した。
「え、ええ・・・・・・!?」
「ふ、む・・・・・・」
少し、アストライアは体を震わせたが、動揺らしいものといえばそれだけで、後はもう平素と変わらない。
前傾になって、ガニ股のまま両手を頭の傍に置いて、蜘蛛が捕食するように覆いかぶさる。
「う、あ・・・・・・!」
一方、立香はとても平静ではいられない。女の体温は、男よりも高いという。しかし女を見てその気になった肉棒の熱には勝らないらしく、ほぼ同じ温度だった。
それが最高の温感で、体温と同じぬるま湯に浸かる、何とも言えない幸福感と脱力感を思い出した。
肉棒の中ほどまでを呑み込んだ膣口は開きかけの蕾のように可憐で、おちょぼ口から粘液を幹に滴らせている。無毛の、無修正の女神の性器をその目にするだけで目が眩む心地なのに、それが呑み込んでいるのが自分のものだと思うと気絶しそうな気分だった。
「くあ、は・・・・・・!」
思わず息を吐く。逆上したまま果ててしまいそうになるのを、大きな呼吸でなんとか落ち着かせる。
肉棒を優しく包み込む膣内は、襞が細かい。特に入り口の辺りに柔らかな肉の刷毛のような襞が密集していて、それらが絡みつくと甘い快感が会陰にまで染み渡る。
「苦しいですか?」
いつもとまったく変わらない口調で、それこそ稽古をしている時と同じ、気遣った声が落ちてくる。
「や、すご、くて・・・・・・」
いきなり気持ちいいのがこんなに体に悪いとは思わなかった。
意識外から唐突に叩き込まれる快感は、その準備を整えてさえいなかった体にダイレクトに響いてくる。股下にぶら下がる二つの睾丸が、大急ぎで精子を登らせるのが判った。
「動きますわ」
腰を持ち上げて、僅かに落とす。
さすがに足腰が強い。体重を四肢で支え、重心が安定しているから少しのブレもなく腰だけが規則正しく上下する。
「はう・・・・・・!」
きゅっと入り口の辺りを締めた膣が、先端から中ほどまでを扱いていく。
ねっとりと粘液を絡めた結合部が擦れて、ぬめった水音が聞こえてくる。
「ん・・・・・・ん・・・・・・ふふ、気持ちが良いみたいですわね」
立香の顔を見ながら、準備運動や稽古の時のように少し吐息を弾ませて、アストライアは少し安心したように言った。
「んく・・・・・・!」
それが、なんとも不自然だった。
普通、男女の営みというものはお互いの愛情の行きつく先、とまでは言わないまでも思いが昂じて至るものであり、そうでなければ肉の悦びを交わし合う行為なのではないか。
ところがアストライアに高揚はなく、あったとすればそれは羞恥に類するもので、性行為に至る愛情は窺えない。
(これ、は・・・・・・)
アストライアの目を見返してみる。
男女の愛ではないのかもしれない。しかし溢れるような親愛が見える。同時に、見守るような、上から下を見下ろすような、類例を求めるなら源頼光が、或いはエウロペが自分を見る際に見せるような、そんな心が覗いている気がした。
(なら、これはどういう)
どんな考えで、アストライアはこんな行為に及んでいるのか。
そういう疑問で振り返ってみれば、これは性行為とは言わない気がする。自慰の時と同じように、肉棒の感じる部分を愛撫するのに近い。それが手ではなく膣で行われているというだけで、同じもののように思われる。
ならばこれは性行為ではない。膣コキとも言うべき、二人で行う自慰行為なのか。
「うん? なにか余計なことを考えていますわね。集中なさい、リツカ。目を閉じて、手は枕の下へ・・・・・・そう、いい子ですわ」
腰の動きはまったく止まらないまま、言われた通りにすると優しく髪を撫でてくれた。
疑問は快感に溶けていく。
おそらく、アストライアが意識してのことであろう。キツくも緩くもない、完璧な膣圧を保持したまま、腰が上下する。
もしもこれが立香の感じた通り、ただの膣コキならば何故にアストライアはこれほどの献身を見せるのか。
己の性器をただの自慰行為のために貸し出すという決断は、どんな思いと経緯で導かれるものなのか。
浮かぶべき疑問は下半身を脱力させるほどの圧倒的に甘美な快感に塗りつぶされていく。薄目を開けて覗いてみるアストライアの表情はあくまでも優しい。
「うあ、ああ・・・・・・!」
「ビクビクして、そろそろみたいですね。さ、我慢しないで、そのまま・・・・・・」
露骨な言葉を使うのは、厳格な裁定者として、神として、いやそれ以前に女として羞恥や抵抗があるらしく、ごにょごにょと言い淀みながら、立香の頬を撫でる。
アストライアがなにを考えているのかは判らない。しかし彼女には余念がない。なにかの打算でも保身でもない。嫌がっていなければ仕方なくでもない。
繋がっていると、そのことが肌で実感できる。アストライアの導きに従って、遠慮なく蓄積される快感に身を任せる。
「まるでペリステラー(ギリシャ語で鳩)のヒナが息づくよう。苦しくはない?」
愛と美を司るアフロディーテの象徴に、己で咥え込んだ肉棒を例えながら、射精に向かって全身を強張らせる立香を気遣う。
病の弟にするような優しい手つきに、立香は包み込むような愛情を感じて、
「あ・・・・・・!」
アストライアの膣内に精を放った。
「ん・・・・・・でましたわね・・・・・・遠慮せず、全部なかに出しなさい」
腰を止めて、震えながら射精する肉棒を抱きとめる。
優しい微笑で、全身をビクビクと蠢かせて射精する立香を見下ろす。そのままの姿勢で、射精が収まるまで待つ。
腹に注がれる、火傷するほどに熱い粘液の感触。二度、アストライアが見届けたあの射精が膣で行われていると思うと、ほんの少し恐ろしいような気もした。
「う、は・・・・・・あ・・・・・・」
しかし、射精を終えて満足げに脱力する立香を見ると、それも些末なことに思えた。肉棒の震えが完全に収まるのを待って、アストライアは腰を持ち上げた。
「あら、失礼。でも、ああ・・・・・・すごいですわね」
注がれた精液が膣口から溢れてくる。
枕もとのティッシュに手を伸ばす仕草が、あまりにも日常的で、射精の余韻に蕩けた頭ではアストライアとのこの行為がとても自然なことのように思えた。
垂れ落ちる精液を拭きながら、さすがに少し疲れたのだろう。品よく座り直しながら腰を下ろすアストライア。
「は、あ・・・・・・は・・・・・・あ・・・・・・」
頭が冴えてくる。射精と同時に昂奮が去ると、忘れていた疑問が噴き出してくる。何故、アストライアはこんなことを。
呼吸が落ち着くのを待って、身を起こす。
「ん? もうよろしいのかしら」
脚でしてやった時はもっとぐったりしていたのに、とアストライアは問うてくる。やはり表情には翳りもなければてらいもない。いつもの余裕のある淑女と姉のような優しさと厳しさを秘めた表情だった。
「あの、なんでこんな・・・・・・いや、すごく嬉しかったし気持ちよかったけど、どうして」
「う、ん・・・・・・」
さすがに、自分の行為が正常でないというか、特別なことであることは自覚している。アストライアは照れたように目線を逸らしながら、
「あなた、反応していたでしょう? ですから、その・・・・・・」
「罰、と? こんなの、罰どころか」
「いえ、罰というのは、その・・・・・・名目でしてよ。美しいものを見て男性が反応することは罪ではありません。むしろ当たり前のこと。でも、貴方は不敬だと思い込んでいましたし、罰と言った方が受け入れやすいでしょう?」
なんとなく理解した。するとこの女神の懐は、空よりも広く海よりも深いのかもしれない。
「じゃあ、全部俺のため・・・・・・」
「まあ、貴方のためというか・・・・・・私の裁定でも善に秤が傾いたまま戻らない英雄への、私なりのささやかな報酬というか・・・・・・それより無粋でしてよ、リツカ。女のしたことの真意を女自身に問うなど、罪があったとすればそれだと弁えなさい」
怒ったように顔を背けるアストライアだが、その頬は赤い。照れくさいのだろう。
同時に、立香の胸に迫るものがあった。がば、とアストライアを押し倒して、
「え、ええ・・・・・・!? まだ、し足りませんの?」
確かに、加減も要領もよく判っていなかった。
そのために一度目はやり過ぎたし、二度目は顔で受け止めた精液をどうすれば良いのかも判らなかった。
あれから少し調べ物をしてみたら、拭き取るより指ですくって口に運んで、飲み下してやった方が男は喜ぶということを知ったので、次からはそうするつもりだった。ただ今回は膣に出したので、口は遠いから不自然だろうと思っただけのことだ。
本当は、ティッシュなどを使って、汚れ物を拭き取るような扱いをして欲しくはなかったのだ。アストライアはそう思って、不安そうな顔をした。
「俺、アストライアにも悦んで欲しい」
し足りないのなら、付き合ってやってもいい。動かれるのが不満なら、好きなように動いてもらっていい。
が、立香の奮起はそういう、独りよがりの性欲ではないらしい。男の満足のために体を捧げた女への返礼。アストライアの真意を知って少しでもその厚意に報いようという真心らしかった。
(まったく、可愛い人)
性行為には準備も段階もある。そのことがまだ若い立香には判らない。
「んく・・・・・・!」
たっぷり精を吐き出した魅惑の膣へ、再び怒張を潜り込ませる。
柔らかい肉の襞が二度目の来訪を歓迎し、アストライアの愛液と立香の精液の混じった粘液がかき混ぜられる。
「ふ・・・・・・く・・・・・・!」
正常位で、ぎこちなく腰を遣う立香。
抽送の角度や速度に変化をつけて、アストライアの反応を窺いながら体を揺さぶっている。
立香の気持ちには、胸があたたかくなる。この安らぐような心地こそ、人理に必要不可欠なものであり、これを守るために自分は立香と共に戦ってきた。
が、女の体へ熱を灯すには段階を飛び越している。
アストライアも決して不感症ではないし、立香に不満があるわけでもない。ただ、女の体が満足を得るには、行為に至る前の段階で気持ちを盛り上げ、身も世もない愛欲の炎を宿さなくてはならない。
性器での快感を重んじる男には、なかなか理解の及ばない生態だが、女の生理である。
そのため、再び膣に挿入されて、どんなに気遣って腰を遣われても、一定以上の快感は訪れない。
「ん・・・・・・ん・・・・・・ん、ふ・・・・・・っ・・・・・・」
体を揺さぶられて吐息が弾み、膣を擦られて快いが、正体をなくしたり取り乱したりというほどのものではない。
肉体的な快感など、こうして愛らしい男が自分のために無理やりな二回戦に奮い立ち、気遣ってくれる心の満足感に及ばない。
(んふ、ふふふ・・・・・・!)
思わず零れる笑みを殺す。この豊かになった心の弾みがアストライアの表情を綻ばせるが、今の男には無礼な仕草だろう。
「リツカ、この体勢で・・・・・・」
と、アストライアは立香の肩を抱くようにして止めて、くるりと体を回した。
「これがいいの・・・・・・して・・・・・・」
肘と膝で体重を支え、後背位を提案した。
「う、うん・・・・・・!」
女の掌で踊らせてもらっているとは、男に判りようもない。
アストライアに求められたことが嬉しくて、立香は疲労感も忘れて腰を打ちつけた。
「あん・・・・・・!」
愛らしい声は、快感のためにひり出たものではなく、嬉しさからこぼれ落ちたもの。無論、夢中の立香に区別がつくはずもない。
「あ、ああ・・・・・・!」
アストライアを悦ばせられた、その達成感に立香の胸にも迫るものがある。
それがただの勘違いであることは、決して悟られてはならない。立香に求められるのはアストライアからしても嬉しい。その求め合う心にも、立香に気遣いにも水を差すようなことを気取られるわけにはいかない。
「んむ、んう・・・・・・!」
ベッドに顔を押し当てる。柔らかいシーツに包まれて、表情は誰にも見えなくなり、こみ上げる笑いも押し殺せる。
立香からは、女の悦びが昂じた羞恥の仕草に見える。そんなにも悦んでくれるのか、と昂奮のあまり腰遣いも忘れている。
「は、は、は・・・・・・!」
パンパン、と一定のリズムで室内に響く肉音。
鋭い食い込みで露わになったアストライアの尻は、きゅっと品よく上がって美しいが、立香の腰遣いにプルプルと揺れている。
結合部から二人の粘液が泡立って溢れ、それらを押し込むように深く突き込む。
(今度からはリツカの好きなようにさせてあげるのも)
いいのかもしれない。アストライアはそう思いながら、止めを刺してやろうと膣をキュっと狭めた。
「うああ・・・・・・!」
立香の気持ちとしては、アストライアに悦んでもらいたい一心であったが、アストライアからすれば立香の射精が最優先である。
立香の好みの膣圧は知っている。締めてやれば、自分が腰を打ちつけているだけに堪えられるものではない。立香の若さは、青臭い欲情は、そんな小賢しい加減など弁えていない。
「ふ、す・・・・・・は、はぁ・・・・・・っ、あ・・・・・・あ・・・・・・!」
「その、まま・・・・・・奥で・・・・・・!」
声だけはそれらしく。こういう時の女の演技力は世界的な女優並みのものを天性備えているものらしい。
迫り来る射精欲求に許しを得て、立香はアストライアの奥へ肉棒を滑り込ませ、
「う・・・・・・っ!」
と、二度目の精を吐き出した。
「ん、う・・・・・・」
腹の奥で受ける二回目の熱さと重さは、初めて受けた時より愛おしく思えた。
不思議な感覚だった。たった数グラムの重さのために、男と女は愛情を交わし、体を愛し合い、悦びを貪る。
(次からは、あまり無駄に・・・・・・)
立香とて男だ。女の体内に注ぐための精液を、あまり無駄撃ちさせるのは可哀想だと思った。次回から射精はアストライアの子宮で受けることにしよう。
「あ、は・・・・・・あ・・・・・・」
ガクガクと腰から下が震える。如何に若いとはいえ、射精直後に奮い立てば体力を随分使う。アストライアを潰さないように、重心を後ろに持っていくとそのまま自重を支えられずに尻もちをついた。
ぬぽ、とアストライアの膣から引き抜かれる肉棒は、もう限界とばかりに急速に萎えて、二人の混ざり合った粘液を滴らせてぶら下がった。
「おつかれさま」
アストライアには消耗はない。ただ、胸の奥から包むようなあたたかい気持ちが溢れ、その感情のままに立香の頭を撫でた。
膣奥から溢れて、こぼれ落ちる精液を片付けようとは思わなかった。このまま腹の奥にしまい込んで、自分の一部にしてしまいたかった。
「あの、おれ・・・・・・」
冷静になった頭では、自分のしたことややろうとしたことが、正しかったことなのかどうかの精査が始まっていて、満足感や疲労感と共に後悔や不安といったものが吹き出してきた。
が、アストライアは試合を終えたライバルを労わるように肩を叩いて、
「私には、遠慮をしないように。心がけなさい、リツカ」
ギリシャの苛烈で感情的なものではなく、善悪を測る裁定システムとしてでもない、人々がおぼろげに夢想する、優しい女神の微笑みだった。
我を忘れて見惚れた立香に、自分がらしからぬ表情をしたと思ったのだろう。急に咳払いをして、
「あなたのために言っているのではありませんわ。私がしたいから言っているだけです。はき違えないように。マスター、私は自信のある人は好ましいですが自惚れている方は嫌いです。わかりましたわね?」
判らない。が、まあ調子に乗り過ぎるなということだろうと思って納得しておいた。確かに、優しさに甘えて都合のいいように考えられるのは愉快ではないであろう。
そういう聞き分けの良さは、あまりアストライアの気に入る反応ではないらしい。ふん、と鼻を鳴らしてそのまま出て行ってしまった。
「あ・・・・・・」
引き留める間もなかったが、いいのだろうか。
下腹部の衣装のズレを直せば確かに普段どおりだが、腹には精液が注がれたままだ。垂れてきたり、いやその前に妊娠とか、サーヴァントなら不都合もない、いや倫理的に膣に精液が溢れたまま廊下を歩くのは。
いろんな考えが浮かんだが、かといって今更追いかけても機嫌を損ねるだけだろう。
まさかアストライアが、あっさり納得したことに不服だったとは夢にも思わない。自分の美しさに魅せられた者へ与えた褒美なのだ。もう少しくらい引き下がるのが礼儀だろうと不満だったなどとは察せられるはずもない。
(まったく・・・・・・)
と、呆れたため息を吐きながら、アストライアは廊下を無意味に歩く。
しかし、そこが好ましくもある。少し気の利かない、自分に対してあまり頓着がなく、そのくせ周りを気に掛けて、不器用な少年が気になって仕方がない。元来のアストライアの性質や好みではないだろう。依り代となった少女の影響かもしれない。
太ももに垂れてきた精液のぬめりに気がついて慌てて内股になったのが、いまいち女神としては様にならなかった。