※この作品はR-18です。

FGOエロ小説まとめ   作:お一

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〇吸血搾精淫夢 メドゥーサ

 疲れを湯に流す。日本人なら大抵好きな時間だろう。

 レイシフトしてしまうと、一日以上入浴できない場面も珍しくない。管制室のコフィンで意識を取り戻し、精密検査なんかを済ませて自室に戻り、シャワー室に入るとそれだけで、疲労が体の表面から溶け出してくるようだ。

 が、カルデアの自室に備え付けられたシャワールームには浴槽がない。湯船に湯を張り、ゆっくりと浸かると正に生き返る心地なのだが・・・・・・。

 

(? シャワーだけ? きちんと、湯船が・・・・・・)

 湯けむりの向こうには、ヒノキで造られた湯船がある。壁や天井に水滴が滴っており、極上の湯加減だろう。

 何故、自分はここにシャワーしかないなどと思ったのだろうか。

(あれ、そういえばどうして・・・・・・)

 自分は風呂場に居るのだろう。さっきまで、なにをしていたのだったか。

 

(・・・・・・?)

 思い出せない。が、特に大切なことだった印象はない。疲れているのだろうか。

 その割りに、体はなかなか元気である。まあ、さっさと湯船に入ろう、と脚を上げた。

「おや、マスター。随分のんびりなのですね」

 後ろから声がした。振り返ると、大きな乳房が視界いっぱいに飛び込んできた。

 

「えっ!?」

 ライダーのクラス、かつて神によって髪を全て蛇に変えられた悲劇の女神、後に怪物に堕ちて英雄に討ち取られた反英雄、メドゥーサであった。

 メドゥーサの身長は立香より高い。二人とも直立になると頭が胸元にある。この身長差もあって、メドゥーサは弟のように扱ってくれることもある。

 しかしかといって、一緒に風呂に入ったことなどは勿論ない。

 

「メドゥーサさん!?」

「はい。今日はあなたの背中を流そうと思いまして。さあ、先に湯船を使ってください。まずは体を温めて汚れを浮かしましょう」

 メドゥーサは忠実なサーヴァントだ。基本的に命令に反抗することはなく、人間の好みも善性を湛える者を好み、反英雄などととても思われない。

 

 が、人間的な好みはともかく、従順なのは怠惰で厭世的なためだと、絆を深めると判ってきた。彼女はどこかで、人間という生き物を諦めている。契約を交わした以上、いちいち反抗する手間を取らない。

 ただ、相手が善性に大きく傾く人間であれば、好んで言うことを聞いてくれる。扱いやすいサーヴァントである。かといって、こんな風に世話を焼くところは見たこともない。

(いつもなら・・・・・・あれ、いつも・・・・・・なら・・・・・・?)

 やはり何故か、頭がぼんやりとしている。こんな風にマイルームに押しかけて頼んでもいない世話を焼く連中が何人か、居たような気がするのだが。

 

(毒? 母? 着物? うん・・・・・・?)

 思い出せない。首を捻っていると、メドゥーサが近づいてきた。

「どうしました? 足が萎えてしまいましたか?」

 ぐずる弟にでもするように、ひょい、と軽く担ぎ上げて湯船へ。スーパーモデルも裸足で逃げ出す美女が、惜しげもなく体を接して世話をしてくれる。

 

 疑問のようなものは吹き飛んだ。加えて、好みの温度に温められた湯は非常に心地よく、小さな悩みなど吹き飛んでしまう。

「ふ、あ・・・・・・」

「湯加減は良いようですね。日本の出身はこうして湯船に浸かるのが好きなようで」

「よく知ってますね、そんなこと」

 

「ええ、昔に、少し縁があったもので」

 当たり前だが、メドゥーサは湯に入らない。一般家庭の浴槽ではメドゥーサ一人でも脚が長すぎて収まらないし、二人では到底入りきらない。

ノズルをひねってシャワーを浴び、石鹸をこすりつけたスポンジで身を清めている。

 悪いとは思いつつ、それを横目で眺める。

 

 白くしなやかな体。腕を上げて泡を体にまとわせる彼女の姿は、なんの偽りもなく真に女神だった。これほどに美しい女性が自分の前でこんなにも無防備に肌を晒してくれると、なんだか面映ゆい。

日本式の風呂は窮屈そうだが、彼女の表情は柔らかい。目を細めて、鼻唄でも歌いだしそうな様子だった。

(? 目、を・・・・・・)

 細めている。こちらの視線に気がついて、目が合った。

 しかし体を隠すでもなく、恥ずかしがるでもなく、にこりと笑った。

 

(ああ、綺麗だ・・・・・・)

 何故か、彼女の目に違和感を覚える。確かに彼女の虹彩は人間のものとは形が違う。しかし、それでなくとも彼女は神話の女神だ。なにかが違っていてもおかしくはないのに、どうしてこうも気になるのか・

「立香も、大人しく見えて男なのですね。ですがそうじろじろと女の裸身を見るものではありませんよ」

 悪戯に微笑む姉のような表情に、ようやく自分が素っ裸の女を凝視していたことに気がついた。

 

「ご、ごめんなさい」

 湯に潜るようにして視線を逸らすが、メドゥーサは手招きしている。

「あまり長く浸かっているとのぼせてしまいますよ。さ、体を洗いましょう」

 エスコートするように、手を引いて立香を浴槽から引っ張り出して、風呂用の椅子に座らせる。

「あの・・・・・・」

 

「もちろんお手伝いします。リツカ、貴方は身を任せてくれていれば結構です」

 泡立てたスポンジが背中に押し当てられる。

 優しく肌を擦っていく感触は、くすぐったいような、心地いいような、不思議な気分だった。

 姉は居ない。姉どころか上も下も居ない。こんな風に誰かに体を洗ってもらうのは、いったい何時以来だろうか。

 

(ああ、いいなあ・・・・・・)

 気持ちの安らぎを感じる。突然その背に人理を背負った少年の、かつて当たり前だった筈の穏やかさが戻ってきたような気分だった。

「さ、背中は終わりました。次は前です」

「え、前?」

 戸惑う暇さえ遅い。怪力のスキルを持つメドゥーサはケーキでも回すように自分を椅子ごと回転させて向かい合った。

 

「いや、あの、さすがに前は・・・・・・」

「ご心配なく。これでも生娘ではありません。いちいち眺めたり、仮に反応したとしてもそのことを咎めたりはしません」

 泡立てたスポンジが首を撫で、肩、胸と滑っていく。もこもことした泡がすぐに体を包んで視界の下の辺りが見えなくなるが、身を接するメドゥーサの肌を隠してはいない。

 

 ほんのりと赤みを帯びた白い肌。スーパーモデルのスタイルに少女の肌をしたこの女神は、自分の魅力など知らない。彼女の理想は姉のような愛らしい少女であり、身長が一七〇を超えた自分はとっくに外れている。

 かといって、自分に男が欲情していることが判らないわけではない。また、バイセクシャルだからそのことがまるっきり不快というわけでもない。

 

 だというのに、平素にない甲斐甲斐しさ。それほど信頼されているのか、あるいはサービスしてくれているのか。はたまた年上の余裕でからかわれているのか。

 年若の身では判断つかないが、なんにせよ、目の毒だ。

 メドゥーサの美しい二つの双丘は完全に視界に入っているし、余念なく体を洗ってくれる姿は柔らかく動く。持て余し気味の欲を煽るに充分で、簡単に反応してしまう。

 

「心臓が早いですね。相変わらず、人間というのは、いえ男の子というのは、急いで生きようとし過ぎる」

 目を伏せて、脇腹の辺りを洗うメドゥーサに、なにやら感傷的な雰囲気。

 いつかのどこか、ほんのひと時情を交わした人を思い出しているのか。そのことを聞くのもなんだか憚られて、長く生きるだけでなく英霊ともなるといろいろあるのだろう、と聞かぬままでも察した。

「ですが、好みです。ええ、こちらの反応の素直さも含めて」

 そっと、メドゥーサの細く長い指が撫でたのは陰嚢。思わず、天井を向いた怒張が跳ねた。

 

「あ、それ、は・・・・・・」

「怒らないと言ったでしょう。好みの男性が自分で反応してくれるというのは、嬉しいことです」

 さわさわ、と陰嚢の裏側をくすぐられる。

 皺を指でなぞり、真ん中の太い筋に引っ掛ける。きゅ、とせり上がった陰嚢に妖しい快感が流れ、むず痒いような、そんな感覚に思わず反応した。

「ん、う・・・・・・」

 声が漏れて身を捩る。その反応が好ましい。メドゥーサは蛇の表情で唇を舐めた。

 

「そう愛らしい反応をするものではありませんよ、立香。私のような怪物の前でそんな仕草をすると、ぱくりと食べられてしまいます」

 ぐっと、メドゥーサが身を乗り出した。

 思わず目を閉じた。なにをされるのか想像もつかないが、おそらくこの雰囲気はそういうことだろう。しかし本当にそうだろうか。思春期だから、性欲が旺盛な年頃だから、過剰に反応して期待しているだけではないか。

 ピンク色の期待と妄想に、警告を発する理性。忙しい頭に、温かい湯が降り注いだ。

 

「目を閉じていても構いませんよ」

 頭上からメドゥーサの声。

 眼前にはメドゥーサの乳房がぶら下がっていた。視界に、カーテンのように降りてきているのはメドゥーサの美しい髪らしい。頭を乗り越えるようにしてコックを捻り、シャワーを出しているようだ。

 はぐらかされたような、期待が外れたような気分。しかしそのことに残念がる必要もないほど、目の前の光景は煽情的だ。

 

 豊かな乳房が二つ、重力に従って先端を下に向けて揺れている。その奥にはすらりとした長い脚が、付け根まで見えている。ウエストに膨らみがないからか、足の間から風呂場の扉が覗いている。

 角度的に股の間にあるであろう、最も蠱惑的な器官は見えないが、そこまで露わになっているという事実だけで、若い立香の勃起は最高潮に登りつめる。

 

「くす・・・・・・」

 頭上から笑みの零れる声。この不自然な体勢が、シャワーが降り注いでもまだ続いているということは、メドゥーサが自身の意思で見せつけているということだ。

 目が離せない。揺れる乳房に、その谷間に、視線が縫い留められてしまった。

 いったい、どれほどそうしていたのか。

 メドゥーサの白く大きな乳房に浮かんだ、青い静脈。そして正反対の淡いピンク色の乳頭が少しずつ固く屹立していく光景を見ていると、時間の感覚を失う。

 

「蛇を前にして逃げないのですから、これはもう、言い逃れも出来ませんね」

 いつものように、抑揚の少ない美しい声。その中にかすかに、獲物を前にした捕食者の高揚が感じられる。

 数多の英霊と絆を結ぶ立香である。そのくらいの機微を感じ取れないようでは、何度契約した英霊に殺されているか判らない。

 シャワーが、まだ降り注いでいる。冷たくも、熱すぎもしない絶妙な温度が、肌を滑り落ちていく。なかなか快い感覚だが、その中に少し、違和感がある。

 

(・・・・・・?)

 最初は気づかなかった。しかし次第に、肩や背中、胸に太ももと、ぞわぞわとした感覚が広がる。

 縫い留められたように動かない視線をなんとか乳房から引き剝がし、下を見てみると、

「あえっ!?」

 とんでもない光景を目にした。

「私が気に入るということはこの子たちも気に入るということです。あまり動かないように、抵抗すると怒らせてしまうかもしれませんよ?」

 少し意地悪な口調。

 立香は思い出した。この美しい女神の髪が、いったいなにに変えられてしまったのかを。

 メドゥーサの美しい紫色の髪が、幾つもの束となって立香の体を這い、巻き付いていた。

 

「蛇!?」

 鱗も頭も舌さえもない。なんとなく生理的に嫌悪感や恐怖心を起こすあのフォルムですらないものの、少し先端を盛り上がってまとまった髪と動きは、確かに蛇のそれだった。

「動くの!?」

「犬や猫と同じですよ。好きな人には体を擦りつけるものです」

「蛇にそんな習性ないけど!?」

 爬虫類に愛情の概念はない。いや、ないだろうという説が有力だが、女神と感性を同じくするのならば例外だろうか。しかしそれにしても、こんなことが起こるとは予想もしていない。

 

「わ・・・・・・うく、ひ、うふ、ふ・・・・・・!」

 くすぐったい。さらさらとした質感の、神にさえ嫉妬されるメドゥーサの髪である。蛇の姿をしていなければ巻き付いても恐ろしくもおぞましくもない。ただ、その質感の細かさ故にひどくくすぐったい。

 ついつい体が動いてしまい、蛇たちもそれが拒絶でないと判ると気をよくしたのか、這いまわる動きが活発になった。

「さすがの度量です、立香。食べられる者が食べる者と戯れるなどそうあることではない」

 ですが、とメドゥーサは前置きした。

 

「私の蛇たちは毒蛇ですよ」

「へ?」

 毒蛇の毒腺は口中にあり、牙を突き刺して毒を注入する。メドゥーサの髪の蛇には頭がない。口も牙もないのだから毒を持っていても注入しようがない。

 首を傾げると、異変は突然おとずれた。

「いひっ!?」

 ぴり、と肌に感じる鋭い刺激。相変わらず髪の蛇たちは立香の体のあちこちを這いまわって巻き付いている。そのくすぐったさが、

 

「あ、ひ・・・・・・!?」

 びくん、と体を跳ねるほどに強くなった。いや、もうこれはくすぐったいなどというものではない。肌に感じる甘い疼き。ほんの少しでもなにかが触れるだけで、それこそ空気が触れるだけでも刺激に感じてしまう。

「回ってしまったようですね。ご心配なく、体に害はありませんから」

 しゅるしゅる、と蛇たちが嘘のように体が離れていく。頭上から降ってきていたシャワーは、いつの間にか止まっていた。

 ゆっくりと、メドゥーサが体を戻す。

 

 蛇に絡みつかれたままの妙な姿勢で、立香は固まったままだ。腕を上下にさせるだけで、敏感になった肌は刺激を受け取ってしまい、何とも言えない気分になる。

「うふふ・・・・・・これからなにをされるか、判りますか、立香?」

 メドゥーサが唇を舐めた。

 蛇ならば、周囲の温度や湿度を確かめる動き。しかし蛇ならぬ女神が、嗜虐的に目を細めて、自らの唇を湿らせる行為は、いったいどんな意味なのか。

 

 判り切っている。背筋が寒くなって、逃げようかと考えたが、果たしてそうだろうか、とも思う。いくら反英雄でも、その中でもとびきり分別のあるメドゥーサが、なにに触発されたにしても自分を食らうだろうか。

 訝しげな表情で、マリオネットのように妙な姿勢で硬直していると、メドゥーサは笑った。

「初心ですね、貴方は。好みですよ・・・・・・」

 指が、メドゥーサの中指が迫る。同じ方向を向いた指は、最も長い中指の到達が早い。立香の胸に、指の先端が触れる。

 

「んひっ!」

「くすぐったいでしょう? でも、こうすれば・・・・・・」

 ツツ、と中指の腹が胸を下りていく。鳩尾までなぞられた瞬間、立香は喉を反らせて喘ぎ声を漏らした。

「ほら、気持ちいい・・・・・・」

 いつの間にか、メドゥーサの顔が耳の隣にある。

 あの少しハスキーな、美しい声が蠱惑的に囁く。囁きの中の僅かな吐息だけで、耳の下から首の付け根に掛けて、甘い快感が走った。

 

「じっくりと愛してあげます」

 まるで神経を剝き出しにされたような感覚。

 確かに毒蛇である。メドゥーサに害意がないからいいものの、もしこの状態で針でも刺されたら激痛にのたうつ。このメドゥーサのスキルには怪力まであるのだから、何をかいわんやである。

 

「ん、くう・・・・・・!」

 優しく、メドゥーサの指が肌を滑る。

 鳩尾から脇腹、処理をする習慣がないから、脇のムダ毛がメドゥーサの指に触れる。今は、指の触れた毛先から伝わる振動さえ、鋭敏に感じ取ってしまう。

「手玉ですね。くすぐって殺してしまうことさえ出来てしまう。まったく、なんて無防備な」

 

 耳に吹きかけられる吐息と囁きが、ぞわぞわとした快感になって背筋を駆ける。

 なんとなく、ここまでくればなにをされるのか、これからどうなるのかが判ってしまう。愛の女神の寵愛を受けようと、堕落しない鋼の理性を持つ立香であるが、そこは思春期の男子。そういうことに対して憧れも切望もある。

 

 英霊や神たちに触れ、そういう行為が必ずしも愛情の結び目である必要はないと知った。まさか自分が、とは思わなかったが割り切った遊びもあるだろう。

 そのことへのほんの僅かな恐怖心が身をこわばらせたが、メドゥーサはそんな初心な少年少女に対して経験があるのか、見透かしたように指で肌を撫でた。

 

「なにも案じることはありません。身を任せて、肉の悦びを楽しんでいればいいのですよ・・・・・・」

 魅惑のささやき。ぐずぐずと、理性が知性と共に溶けていくよう。

「そのうえで、貴方の欲望を見せてくだされば・・・・・・」

 目が、妖しく輝いた。比喩ではなく確かに、眼球が、もっと言えば虹彩が光を放っている。

 

 その目を見ていると、なにもかもがどうでも良くなる気分。この、敏感になってしまった肌への恐怖感や抵抗感、これから訪れる甘美な瞬間への期待さえも、揺蕩う意識のさざなみに過ぎない。そんな気分になってくる。

「さあ、楽しみましょう・・・・・・」

 いつの間にか、景色が変わっている。風呂ではない。

 

 茜色の陽が窓から差し込む。世界から色彩が失われる、昼と夜の隙間。同時にそれは、青春を代表する色合いであり、かつて身を置いた、少し退屈な平和の景色。

(あれ、教室・・・・・・)

 空き教室の、少し埃っぽい空気。窓の向こうから僅かに聞こえる運動部の声。廊下を行く人影はなく、端に机が椅子と共に積まれて、黒板に意味のない落書きが残っている。

 

「立香」

 目の前には、メドゥーサ。確か、新任教師だった。そう、この春に副担任となった、この長身の美女に自分は憧れて、それから・・・・・・。

(あ、れ・・・・・・?)

 経緯がよく思い出せない。確かにあったことの筈なのに、どうしてこんなことになったのか。どのようにして自分が裸で座っていて、目の前に同じく裸身のメドゥーサ先生が居るのだろうか。

 

「まったく、願望さえ愛らしい。貪られても文句は言えませんよ」

 身を接したメドゥーサが、立香の首の付け根を舐めた。

 鎖骨から、頸動脈のある辺りまでをゆっくりと、ねっとりと、長い舌が這っていく。

「はう・・・・・・!」

 息が詰まるほどの快感。異常なほど敏感な体に驚いて、立香の体が跳ねた。

 

(うそ・・・・・・なんで・・・・・・)

 いくら思春期といえども、憧れの人を前にしてでも、こんなに敏感なのか。ぬめった舌が首の辺りを滑っただけで、下半身は痛いほど勃起してしまった。

「身を任せてください。貴方はただ、泣いていればいいのですよ」

「でも、人が・・・・・・」

「大丈夫、こんな時間にこんなところ、誰も来ません」

 手をまわしておいた、と囁きながら、ふと思い出したように、

 

「それでも、世の中に絶対はありませんから、もしかしたら・・・・・・ふふ、そう思うと楽しいでしょう?」

 ゆっくりと、メドゥーサの舌が胸へと下りていく。

 目当ては、乳首である。入念に毒蛇を這わせておいたから、この粘膜で感じる快感は通常時の三倍ほどになっている筈だが、立香はもう覚えていない。

 由来も判らず、倍増された快感に翻弄される愛らしい姿を、メドゥーサは楽しみにしている。

 乳輪の周りを、ゆっくりと舐める。

 くるくる、と舌先で何度でも舐め回って、少しずつ近づいていく。

 

「んくう・・・・・・!」

 性感の主たる粘膜に未だ触れていないのに、立香は官能の吐息を漏らす。

「んふふ・・・・・・!」

 気を良くして、舌の動きが早くなる。

 顔を動かさず、舌だけが大きく旋回している様子は、クールなメドゥーサの外見に反してひどく下品で淫猥で、大いに欲情してしまう。

 

 口を楕円に大きく開け、普段のおすまし顔が嘘のように歪めて、肉の厚い舌を裏側が見えるまで回している。その昂奮と高められた肌の快感は、一瞬にして理性や知性というものを奪っていく。

 羞恥による抵抗感すら、この快感の前には無意味。体の力を抜いて、無抵抗に身を預けて快感を受け入れる。

 

「んべ、れ・・・・・・え、れ・・・・・・れ・・・・・・」

 乳輪へ迫る舌。肌に突然現れる焦げ茶色の輪に、円運動を描く舌が触れる。乳首の周りのモントゴメリー線に引っ掛かりながら、舌がとうとう乳首へ達した。

「ん・・・・・・っ!」

 強烈な快感。目の奥で火花が散るような鮮烈な快感に、思わず息が詰まる。

 メドゥーサも、自身の毒の効果はよく弁えている。強い刺激はすぐさま痛みに転じるから、舌の動きは小さくゆっくりに変化し、乳首を撫で転がすように舐めていく。

 

「れ・・・・・・れ、れ・・・・・・れれ、れ・・・・・・」

 乳首を愛撫するうえで大切なのは、角度と頻度である。舌のどの部分をどんな角度で当て、舐め、弾き、転がし、どの程度頻繁にその刺激を与えられるかが大切なのだ。

 メドゥーサは弁えている。バイセクシャルで、その中で好みに順位をつけるなら、僅かに女性の方が好みのメドゥーサは愛撫に長けている。

 女のそれにするように、優しく立香の乳首を愛してやる。

 微細な舌の凹凸を擦りつけるように、そのことに痛みを感じないよう唾液をふんだんに、乳首を舐る。

 

「え、ろ・・・・・・ぉ、ん・・・・・・」

 舌の半分ほどをぺたりと押し付け、唾液を塗り付けるように下から上へ舐め上げる。

「んくう・・・・・・!」

 甘い快感が立ち上り、恥も外聞も置き去りにした素直な嬌声が漏れる。

 気を良くして、同じ動きを同じ速さでもう一度。

 敏感な乳首の表面を、舌の襞が擦っていく。それだけで、体が跳ねてしまうほどの快感。

 

 間隔を少し開けてやることで、甘い快感の余韻までも残らず味わわせてやることが出来る。その余韻が引き切らぬうちに、同じ快感を与える。

 が、同じ刺激とは一分もやれば効果が落ちる。人間には学習機能がある。快感の予測がついてしまえば耐えやすい。その予測を外してやることが、快感を与えるコツなのだ。

 

「ちゅ・・・・・・」

 変化をつける。唇を窄めて、軽く乳首にキス。上唇と下唇の間に、乳首を挟むようにして少し吸ってやる。

「はう・・・・・・!」

 他愛なく、立香は喉を反らせて喘ぐ。甘美な快感が一転して、鋭い快感に。

 その違いに頭が追い付かず、快感のハンマーで殴られたような衝撃が走った。

 

「ちゅ・・・・・・ちゅ・・・・・・ちゅ・・・・・・」

 何度も吸ってやる。若い恋人たちがするような、優しく微笑ましい、ついばむようなキス。それを乳首にされるというだけで、立香はガクガクと体を揺らす。

 喉を反るどころか、背中も反っている。メドゥーサに乳首を胸ごと差し出すような、それでいて腰は逃れるようにへっぴり腰で、男としてなかなか無様な姿勢である。

 が、捕食者からすればその無様さこそ愛らしい。容赦なく、メドゥーサはキスを繰り返す。

 

「ん、ん、ん・・・・・・!」

 逃れるためなのか、それとも耐えられないのか、どちらかは立香にも判るまい。上下に激しく揺れる胸板を追いかけては、キスの雨。

「れ、え・・・・・・」

 しかし激しい快感に慣れてしまえば、それまでの愛撫が物足りなくなる。まだ追い込む段階ならば程々にしておかねばならない。

 また舌を出し、今度は弾く。

 

「へ、えあ・・・・・・れるれるれる・・・・・・!」

 熱い吐息が、メドゥーサの大きく開けた口から放たれる。舌が、正に蛇のようにチロチロと動いて、乳首を這う。

 舌の先端だけを乳首に当て、当たると舌をくっと反らせて弾く。

 敏感な場所へ、ピンポイントの刺激。これまでとまったく別種の快感に、また立香の体が震える。

 が、これまでとは比較にならない余韻。接触面が少ないだけに快感が集中しているが、余韻の去るのが早すぎて、一瞬でとんでもない物足りなさが駆け抜ける。

 物足りなさが募れば募るほど、次に与える快感は大きい。

 

 メドゥーサの舌は実に素早く細やか。快感と余韻と焦らされる感覚が、恐ろしい頻度で繰り返される。頭がバグる、とはこのことか。立香は両手を挙げて降参を示した。

「おや、もう良いのですか?」

 耐えられない、と哀れを乞う動きで何度も頷くが、獲物をどうするかなど捕食者の自由である。当然のように、冷酷に、却下した。

 

「まだ序の口。この程度で音を上げるとは、情けなくも可愛いですよ、立香」

 それもそのはず、まだ片方しか愛撫していないのだ。

 乳首の快感は連動する。両方を同時に愛されてこそ、乳首の快感の神髄を見られる。

 指が、もう片方の乳首へ延びる。

 

「あひ・・・・・・!」

 舌の粘膜とは違い、指の皮膚は硬い。この状態の乳首を指で押したり転がしたりすれば、快感よりも痛みが強かろう。メドゥーサは指紋の凹凸が触れる程度で、指を震えるほどの幅で動かす。

 乳首の表面が、指紋の細かな溝に触れ、擦れる。動作としては小さく、もしも余人が見ていたら物足りないだろうが、愛撫を受ける立香にはもう、快感の暴力だった。

 

「うく、う・・・・・・うう、うっ・・・・・・くひぃ!」

 あまり長くは続けられない。それほど、今の乳首は刺激に弱い。やり過ぎると擦過傷のような痛みと熱を感じてしまう。一瞬だけ離し、指に唾液をまとわせて続ける。

「ちゅる、る・・・・・・れるれう・・・・・・!」

 もちろん、乳首を舐めしゃぶるのを止めたりはしない。

 

 片方は優しく甘い快感。もう片方は強く鋭い快感。それが同時に体を駆け巡り、意識が甘い霞に覆われていくような感覚。

 蕩けるような快感と目の覚める快感が同時に襲うのだから、もうパニックである。

「れろれろれろ・・・・・・! ちゅむ、う・・・・・・! ちゅぷぷ、ぴ・・・・・・じゅるる・・・・・・!」

 だんだんと激しくしていく。

 

 乳首を愛撫されて悶える様を見るのは好きだが、それはそれとしてこの小さな突起を舐めしゃぶるのも楽しい。英霊の体力ならば、数時間ぶっ通しも可能だ。

 指も同様。動かしているのか定かでないほど、細かくゆっくりとした動きで指の皺を擦りつける。これもなかなか面白い。

 が、やられる方は堪ったものではない。

 

「は・・・・・・は、あ・・・・・・! あ、あ、あ・・・・・・っ!」

 吐息と嬌声に、切なさが混じる。

 もう呼吸さえ忘れたよう。肺の中に空気が残っていなくても、吐息が漏れる。

「ああ、あっ、ああ! あああ・・・・・・!」

 ぐっと背を逸らす。腰が浮き上がり、ガクガクと全身が痙攣する。

 同時に、天を向いた肉棒が触れられないまま、精液を吐き出した。

 

「ああ・・・・・・!」

 勢いは強くない。精巣から尿道を通る精液が、快感に耐えかねて押し出されるよう。トプトプ、と漏れ出るように粘っこい白濁液が吐き出される。

「おや、やり過ぎましたか。前立腺と性感を繋げていないから、メスイキより射精してしまいましたね」

 唇と指を離す。もしもこの女に慈悲があれば、無様に精液を漏らす肉棒を扱いて、射精の快感と放出感を増してやるところだが、蛇とは残忍である。

 

 じっと見つめたまま、精が吐き出されるのを放置する。刺激を乞うようにヒクヒクと蠢く肉棒を、見守ったままだ。

 当然、一度に放出されるべき精を吐き出せないから、立香は不完全燃焼だ。絶頂したというのに、射精が満足でないから、欲情の熱も冷めきらない。

 すっきりしない。あまりに残酷な仕打ちに、思わずメドゥーサに抗議の目線を向ける。

 すると、メドゥーサは微笑んだ。

 

「そういう目を見せられると、またいじめたくなりますね」

 主導権は奪われている。このうえにまだ意地悪をされては堪らないから、立香は叱られたように目線を逸らす。

「心配いりませんよ、これ以上はいじめません。スッキリさせてあげましょう」

 飴と鞭。意地悪をした分、次は思いっきり甘えさせる。

 

 末っ子の割りに、小さく愛らしいものが好きだからかどことなく姉っぽいメドゥーサは、弟を甘やかすように頭を撫でた。

 立香の脚を割り、腰を持ち上げさせて尻を膝の上に乗せる。

 先端から精液を吐き出した肉棒は、尿道と精巣に残っている分を吐き出し損ねた屈辱で震えている。二割ほどは萎えているようだが、まだ血管を浮かせて憤っている様子にメドゥーサは唇を舐めた。

 

「優しく蹴散ら・・・・・・いえ、優しく抱いてあげましょう」

 手綱を握るように、両手を前に出して肩を竦め、谷間を寄せる。顎先に先端を構える肉棒を乳房で包み、抱いてやる。

「ああ・・・・・・!」

 思わず立香が喉を反らせたのは、快感というよりも温かさや安心感といったもののため。湯につかる時のようなため息を吐き、目を閉じて感触を味わう。

 

 メドゥーサの少女の如ききめの細かい肌が、怒張を余さず包み込む。柔らかく温かい。それでいて非常にハリがあるから、肉棒を跳ね返すような弾力がある。

「いかがですか・・・・・・訊くまでもありませんね。せいぜい楽しんでください」

 物言いはぶっきらぼうだが、手つきは優しい。

 谷間で包んだ肉棒を、逃さぬよう更に腕で抱く。

 男なら誰でも飛び込みたくなるメドゥーサの乳房に包まれて、肉棒が見えなくなる。そして更に、メドゥーサは上体を揺らして包んだ肉棒を擦り始めた。

 

 潤滑液は要らない。特濃のザーメンがメドゥーサの乳房にへばりついて、肌が滑るのを助けている。自分の精液を塗り付けられるのは少し思うところもあるが、それ以上にメドゥーサの肌を汚しているという実感と、この快感と安らぎの前には些末である。

「うあ、ああ・・・・・・!」

「ふふ、可愛いですよ、立香・・・・・・」

 落ち着いたトーン。少しハスキーな、大人の色気に溢れる優しい声。

 

 姉に褒められたような気分で、立香は全身の力を抜いて身を預ける。

 ピンと伸びていた脚が弛緩し、膝に感じる重みが増す。身を以て感じる信頼感に気を良くした頃、メドゥーサも最適な密着度と速度を見つけた。

「ふふ・・・・・・」

 精液が、メドゥーサの谷間でぐちゃぐちゃと音を立てる。豊満な乳房が腕に押されて、肉棒に跳ね返されて、形を変えてぴったりフィットする。それが上下に、遅くも激しくもない最適の間隔で肉棒を擦っていく。

 

 程よい圧迫感とそれ以上の柔らかさ。そして溶けるような温かさが、射精し損ねた肉棒を愛撫する。時々、へその下や脚の付け根にメドゥーサの乳房が当たって、僅かに水気の混ざった淫らな肉音が響く。

 この穏やかな快感が、中途半端に下がった熱を癒す。尿道内で放出の時を待ち侘びる精子たちが、追い出されるのでも急かされるのでもなく、満たされて登っていく。

 望まれている。この、お残しの精液たちが。

 

 そう思うと、なにやら背筋に使命感のようなものが湧いて、このままマグロのように受け入れるだけではいられない、と立香は背を起こす。

 手を伸ばす。二本の指でつまんだのは、

 

「あっ!」

 メドゥーサの桜色の突起だった。

 不意の刺激に、思わずメドゥーサらしからぬ声が漏れる。気を良くして、先刻自分にしてくれたのとは違う、直接的な指使いで乳首を転がす。

「いいですよ、立香。男の子はそれくらい、ヤンチャな方が」

 負けじと、パイズリの動きが変化する。

 両手で乳房を外から抱き込み、左右の乳房を互い違いに上下に擦る。揉み込むような動きはよりダイレクトな快感になり、左右で擦られる感覚が違うので快感が一定でない。

 

「はう・・・・・・!」

 立香の悪戯心はあっさりと敗北し、乳首を転がすはずの指先までもが快感に甘く痺れ、ふるふると無意味な動きをし始めた。

 なんとか反抗しようとしたくせに、他愛なく快感に翻弄される様子は、微笑ましい。メドゥーサは溢れるような愛情で、止めを刺す。

 

「さあ、射精してください。全部受け止めますから・・・・・・」

 ぐにゅぐにゅ、とメドゥーサの美しい乳房が歪むほど強く揉み込みながら、覗いた先端に舌を伸ばす。鈴口に先端が滑り込み、チロチロとくすぐった時、

「ああ・・・・・・!」

 精液が噴いた。お漏らしのうっ憤を晴らすように勢いよく迸った。

 

 腰が痙攣するほどの激しさ。立香の意識してのことではなく、体が一度目の情けない射精を取り返そうとしているよう。

 パイズリで限界を迎えた以上、吐き出された精液の向かう先は決まっている。

「んふふ・・・・・・!」

 びしゃびしゃ、と空に放たれた精液は重力に従ってメドゥーサへ降り注ぐ。

 女神の乳房が、生臭い液体に汚される。勢いが強すぎて目元にまで飛んだ精液まである。それらの一切を避けることなく、微笑みで受け止める。

 

「うああ、あっ、ああ・・・・・・!」

 立香の弾む腰を乳房で押さえつけ、根元を擦って射精を助ける。

 射精の放出感の中でも、メドゥーサの優しさはきっちりと伝わっている。思わず胸が熱くなる。

 全て出し切るまで、メドゥーサはパイズリを止めず、射精しきっても、離さなかった。

 

「満足できましたか、立香」

 荒い息を吐く立香に、返事の余裕はない。しかし、自慰では到底得られない多幸感に蕩けながら、なんとか頷いた。

「それはよかった。では、次は私を満足させていただきましょう」

 え、と思わず声が出そうになった。無理に決まっている。男は一度射精するとクールタイムがある。これは人体の構造上、仕方がない。

 

 しかも一度の射精を分けて行ったばかりである。首を激しく横に振ると、メドゥーサは不思議そうに小首を傾げた。

「さて? 立香のここはそうは言っていませんが」

 二人して、視線を重ねる。

 メドゥーサの言葉通り、立香の肉棒は萎えることなくそそり立っており、さっきの射精が嘘のように雄々しく、みずみずしく屹立している。

 

(そんな、はずは・・・・・・)

 戸惑う。この体に甘酸っぱく残る快感の余韻は確かに絶頂後のものだし、この疲労感も同様のはずなのだが。

「疲れて出来ないのであれば、無理にとは言いませんが」

 メドゥーサの目を見る。

 沈んだ夕陽の後、連れてきた闇にうっすらと光る妖しい目。視線が、目どころか意識にまで絡みついて、顔を逸らせない。

 

「でき、ます・・・・・・」

 なにかを考えるよりも、そう返事をしてしまっていた。不思議なことに、そう言い切ってしまうとさっきまでの疲労感が嘘のように消し飛んだ。

 快感の余韻も、波が引くようにして後退し、血管を浮かせた肉棒に引っ張られて欲情が湧きおこった。

 そうだ、この女を抱くのだ。尻込みをする男が居るだろうか。

 

 メドゥーサは立香の上に跨り、足を開いた。

 夜の闇に、月明かりか星明りか、窓から差し込む淡い光。その光に反射して、メドゥーサの無毛の恥丘がてらてらと光っている。

「あ、ああ・・・・・・」

 なんと美しくも淫らな光景か。

 

 ぷっくりと膨らんだ小陰唇の可憐さもさることながら、膣口が綻んで内側の襞を覗かせて、それがあふれ出た愛液に照り光るこの光景は、胸に迫るものがある。

 よく見ると、メドゥーサの呼吸に合わせて膣口はヒクヒクと蠢き、その穴に相応しい形状を待ち侘びている。

 

「貴方をいじめているだけでこうなってしまいました。もちろん、お付き合いくださいますね?」

 壊れた人形のように、何度も頷いた。

 一切愛撫することもなく、自分への奉仕だけで準備万端にしている女を前に、気後れしている場合ではない。肉棒がヒクつくのが自分でも判った。

 

「あなたは、寝ているだけで構いませんよ」

 天井を向く肉棒に手を添えて、腰を落とす。

 判ってしまった。この言葉はメドゥーサが立香を気遣っての言葉ではなく、本心のそれ。捕食者が獲物に向かって、おとなしくしていろ、という感想や命令の類なのだ。

 従順に、体を横たえたままその瞬間を待つ。

 

「う、ふ・・・・・・!」

 綻んだ膣口にあてがわれる先端。とろり、と蜜壺から溢れた愛液が肉棒を伝う。なんという熱さか。トロトロと伝う感触と熱さに溶かされてしまうような感覚がある。

 これを湛えて待ち侘びるメドゥーサの性器とは、いったいどれほど心地いいのか。思わず唾を呑んだ。

 

「ふっ、く・・・・・・う、う・・・・・・!」

 腰を落とす。

 にゅぷ、と音が立つように。いや実際にメドゥーサの腹の奥で、粘液と媚肉を掻き分ける音がしているのだろう。ただ、耳に届いていないというだけで。

 しかし、耳ではなく性器で、その音を聞いている。熱いものが胸に迫るほど、感動的だった。

 

「お、おっ、これは、なかなか・・・・・・!」

 ゆっくりと腰が落ちていく。

 細く引き締まった腰に相応しい締め付けを見せながら、割り入っていく肉棒を受け入れる。メドゥーサは、準備が終わっているとはいえ行為が始まって、いきなりの快感だからなのか、戸惑うように挿入を深めていく。

 

 一方、立香は、メドゥーサの反応がするほどの抵抗感を感じない。メドゥーサの膣はむしろ貪欲に蠢いて、奥へ奥へと誘っている。膣の持ち主たるメドゥーサが、快感に戸惑って腰を落とせないのだ。

 絆創膏を剥がすことを躊躇う子供のように、メドゥーサは快感に躊躇と恐れを抱きながら、ゆっくりと肉棒を呑み込んでいく。その様を、立香は受け入れるだけ。捕食される側が、自ら怪物の口に飛び込むことはあり得ない。あったとすれば興醒めだ。

 怪物の機嫌を損ねず、この行為の熱に抗わぬため、一気に最奥まで進みたい欲求に耐える。

 

「くふ、う・・・・・・!」

 ようやく、腰が落ち切った。

 見ると、メドゥーサの割れ目が男性器の形状に押し広げられ、その様子は無惨。美しい花弁に突き立てられた剣の如く、肉を引き裂く残酷な肉棒。しかし花弁自体が、蜜を滴らせてその肉棒を受け入れ、内側の襞が食らいつく。

 感動の吐息が思わず漏れるような光景。見上げれば、スーパーモデルも裸足で逃げ出す女が熱い息を吐きながら、下っ腹を撫でている。

 

「奥ゆかしいあなたには珍しいほどの、この存在感。好みですよ、立香」

 そっと頬を撫でる。姉が弟にするような優しい手つきだが、一瞬後に、そんな優しさが霞むような激しさが待っていた。

「あ、あん・・・・・・!」

 いつもからは考えられない、鼻に掛かった高音の喘ぎ声。獲物を食らうため、荒馬を乗りこなすように腰を弾ませている。

 

「あ、ん・・・・・・っ、んう、んっ、ん・・・・・・ふふ、いいですよ、立香」

 あなたの具合は、と嗜虐的に目を細める。唇を舐める様は正に捕食者。いきなりの膣の快感に慣れさえしてしまえば、そこにはもう歴戦の女怪。海神の愛人であった女神の顔がある。

「くあ・・・・・・!」

 思わず声が漏れた。

 膣はうねうねとよく蠢き、細かなツブツブを蓄えた襞が捻るようにして絡みつく。下の口、とはよく評したもの。それは単に口のように広がるからではなく、この内側の襞が、侵入してきた男を咀嚼し、溶かしてしまうからなのだろう。

 

 そんな感想さえ浮かぶほど、メドゥーサの膣は本人の上下動とは無関係に蠢き、肉棒に絡みついて離さない。

「は、あ・・・・・・! んく、うふ・・・・・・っ、ふ、う・・・・・・!」

 両手を立香の腰について、膝を上に。蛇のくせに蜘蛛のように、長い手足をついて腰を上げて落とす。

 完全に肉を味わい尽くす女の体勢。時折、甘い声音を漏らしながらも、鼻に掛かった吐息は獣に似ている。

 

「んふう、あ・・・・・・! あ、あっく、んっ、ん、んっ、う、ん・・・・・・!」

 ぱちゅん、ぱちゅん、とリズミカルに響く肉音。互いの腰と腰がぶつかる軽快な音は、そのまま膣を擦り上げる肉棒の音になる。

 倒錯的だった。確かに肉棒はメドゥーサの膣に吞み込まれているのに、実際はメドゥーサの膣襞が肉棒に媚びている。自分の敏感な場所へ擦りつけ、愛液を次から次へと溢れさせ、男に快感を与えながらねだっている。

 

「うう・・・・・・!」

 下腹部に力を入れ、奥歯を噛んで快感に耐える。耐えねばならない。男としての使命感もあるが、この女に満足してもらいたい。健気な思いで、立香は床を爪で掻く。

 そんな様子が、楽しかったのだろうか。メドゥーサは上体を倒して耳に唇をつけて、

「どうして、あなたのここに蛇を這わせなかったのか、判りますか?」

 立香には言葉の意味が判らない。この女教師は、なんのことを言っているのか。しかし、意図がなんとなく判るような気がした。

 

「敏感にしてしまっては楽しめないからです。私の中で果てるのは大歓迎ですが、あまりに早いと楽しむ暇もない。

 ですが、それをしてもよかったのかもしれません。あなたの、そんな顔が見られるなら」

 立香に被さり、両手で頬を包む。

 唇を結んで奥歯を噛み、快感に抗う表情をしっかりと両目で捉える。

「このまま石にして、永遠に私のものにしてしまえたら・・・・・・そんなもったいないことを考えてしまいますね」

 腰だけが、クイ、と持ち上がっては落ちる。快感を貪りながら、メドゥーサは目の前の獲物に涎を垂らす。

 

「あなたのここだけでは物足りない。体も心も、なにもかもを一飲みにして・・・・・・ですが、それはあまりにももったいない。私も、つらいところです」

 この衝動を耐えるのは、と唇を舐める。

 立香は、もう半分白目を剥いている。気分は正に、女神に捧げられる供物であった。これが、メドゥーサの情欲をより搔き立てる。

 なんとつらいのだろう。五体を自ら差し出す従順な獲物を前に、食らい尽くす直前でブレーキを掛けなければならないとは。

 

「罪作りですね、マスター。そんなあなただから、私は好んで従うのですが」

 両手を離し、体勢を整えるために床につける。

 もうそろそろ、おしまいにしよう。

 最後に相応しい肉の悦びと、捧げられるべき熱い液体に備えて、メドゥーサは腰の動きを激しくする。

「ふ、う・・・・・・! う、ふふ・・・・・・気持ちいいですよ、立香・・・・・・」

 妖艶に、淫らに、しかし優しく囁いて、男に許しをくれてやる。

 決して嘘ではない。メドゥーサの膣は久しぶりに好みの男を味わえて悦んでおり、メドゥーサの意思でいつでも高みを目指せるほど熱くなった。

 

「あ、あっ、ああ・・・・・・!」

 この愛らしい悲鳴の持ち主に息を合わせるだけ。

 とはいえ、だらだらと快感を与えて限界を待つのも興がない。ここはやはり、相応しい刺激で導いてやるべきだろう。

 締めてやった。膣の、入り口から奥へ掛けて二段階。蛇が締め殺すように。

 

「うあ・・・・・・!」

 不意打ちだったのだろう。いくら締まるといっても、膨張した海綿体や肉を圧し潰すことはない。魅惑のツブツブが、絡みつきながら激しく締まる。それは、男にとって耐えがたい快感になる。

 達した。我慢など及びもつかず、メドゥーサの思惑通りに実にあっさりと。

 乳首とパイズリで射精させられたことを忘れたように。睾丸で作られた何億という精子を献上するが如く、精液が噴いた。

 

「ん、う・・・・・・!」

 メドゥーサらしい、というのか。大きく派手な嬌声はあげず、息が詰まったような吐息を声と共に漏らし、絶頂へ至る。

 いつもの澄ました表情に相応しいが、体の反応は正直だ。少し浮かせた腰がビクビクと震え、痙攣するように弾む。

 下半身の快感が上半身へ伝播したように、体が波打って背中が反る。

 

「う、う・・・・・・っ、ん、う・・・・・・!」

 細かく電流が流れるように、それから逃れるように、ガクガクと体が震える。意識しての動きでは到底あり得ない細かな痙攣は、確かに女が快感に屈した証。男は本能でそう判る。

 あり得ないほどの達成感と共に、立香はメドゥーサの奥へ精を放つ。

 メドゥーサの最奥に、一度目とまったく変わらない量と濃度で放たれる精液。その中に蠢く何億という精子が、メドゥーサの子宮寸前の小部屋へ捧げられていく。

 

「美味しいですよ、立香」

 許容量を考えれば、満腹には遠い。が、大抵最上のご馳走というものは量が少ないものだ。久しぶりに、子宮で味わう精液の美味さには代えられない。況してやそれが、メドゥーサの好みに合致する少年であれば、猶更である。

 満足げに微笑むメドゥーサを前に、立香は意識を手放した。

 

 

 

 目が覚めた時、異様なほどの体の重さに首を捻った。

 なかなかよく眠った気がする。しかしなんというか、体が鈍い。重いには重いのだが、しかしなんとなくスッキリしたような感じがあって、どういうことだろう、と不思議だった。

 が、別に不調というわけでもない。気だるさはあるが、さっさと準備を整えて朝食へ向かう。このくらいなら、きちんと食べて運動していれば気にならなくなるだろう。

 そんな立香に気がついた者があり、立香と顔を合わせてさえいないのに、何故かこそこそしている者もある。

 

「これはどういうことかしら、私(ステンノ)」

「あら、私(エウリュアレ)の予想通りだと思うけれど?」

「そうよね、私(ステンノ)。だったらお仕置きだわ」

 探すまでもない。いつもは逃げ隠れするくせに、用のありそうな時はメドゥーサはきちんと二人の姉の前に現れる。

 

「な、なんでしょう、姉様方・・・・・・」

「ねえ、私(ステンノ)、メドゥーサったらとぼけるつもりなんだわ。許せないわね」

「ふふ、メドゥーサ? まさか、私たちの目を宝石か星屑とでも思っているの? 違うわよね、メドゥーサ。私たちの可愛い妹が、そんなことはないわよね?」

 ヒィ、と平素にあらざる様子で縮み上がるメドゥーサ。自らを打ち果たした英霊にさえ恐れることはないが、この世のなにが怖いといって、この姉二人より恐ろしいものはない。

 

「あれは私たちが、少し機嫌が良いけれどなんとなく退屈な時に遊ぶものなの。それを、貴女が勝手に手をつけていい筈はないわよね、メドゥーサ」

「ダメよ、私(エウリュアレ)。そんなこと、判らないメドゥーサではないわ。言って聞かせるなんて、手間が掛かってしまうだけよ。判っていてやったのでしょう? そうよね、メドゥーサ」

 逃げられはしない。逃げてしまえば、その後がもっと怖くなる。

 

「あわ、わわわ・・・・・・!」

 震えるだけだ。メドゥーサのトラウマにまた一つ、新しいものが加わるという現実に。

「そうよね、私(ステンノ)。この子はなにもかも承知でやったのよね。ああ、なんて可愛いのかしら、メドゥーサ。わざわざお仕置きされるためにおバカをやるなんて」

「まったく、その通りね、私(エウリュアレ)。さあいらっしゃい、メドゥーサ。

 

 妹のお誘いなら、なににも優先して受けてあげるわ」

 人間万事塞翁が馬。この場合は女神であるが、概ねそういうことのようだ。

 もっとも、トラウマこそ増えたが、愛しい姉二人と、なんの気兼ねもなく触れ合える時間はメドゥーサにとって大切なもの。二度得をしたと言えないこともない。

 メドゥシアナとゴルゴーンと黄金剣を抱いたメドゥーサが、少し優しい目でその様子を眺めていた。

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