背徳転生―エログロ世界に転生したけど、だらだら生きてます― 作:どくいも
ダンジョン大淫の中層【妖羊の草原】。
本来ならば薄暗い地下にあるはずのそこは、なぜか天高く日は登り、澄み渡る青空が見える。
見渡す限りの平原に、時々見える大岩。
生えている植物も基本下草がメインであり、肉肉しい植物も比較的少なめ。
そこはこの世界だとエログロが標準であるダンジョンの階層内では珍しい、見晴らしも景観もいい過ごしやすい階層となっていた。
──メブヘヘヘヘヘヘェ!
しかし、いくら外観が良くても、ここは淫魔溢れるダンジョン大淫内部。
ここでも当然無数のエロトラップやエロモンスターが存在するわけで、この階層の代表とも言えるエロモンが、この【夢魔の妖羊】だ。
この魔物は見た目こそ少しい大き目な羊に過ぎないが、こいつはなんと相手を眠らせるタイプの催眠能力である【睡魔】のスキルを持っている。
このスキルを使って相手を眠らせ、眠った相手を効率的に苦しめる【夢食い】や寝ている間に相手の記憶を改竄する【夢操作】で完全に無効化してくるのだ。
更には、こいつ自体が体力的にも性的にも強靭な肉体を持っており、睡魔が効かずとも物理的な攻撃で相手を気絶させるのも得意なのだ。
基本的には睡魔で眠らせ、近づけばそのフィジカルで眠らせてくる。
そして相手が眠るとそこからはお楽しみタイム。
睡姦するなり、夢洗脳するなりで調教してくるというなかなかにいやらしい淫魔と言うわけだ。
「……ん」
「おし、獲物は……三匹か。
解体中、背後を頼むぞ」
「ん!」
もっとも、こいつらが強敵なのは、あくまで睡眠耐性かフィジカルどちらかに欠陥がある冒険者だけ。
睡眠耐性とこの淫魔に負けない程度の筋力のどちらも備えている自分では基本的に負けることはない。
それこそ、この程度ならばバックアタックや集団で襲われても怖くない。
その上、この難易度の淫魔にしては、見た目も匂いもそこそこ健常であり、肉や角など売り物になる。
階層自体が他階層に比べて、見た目やエロトラップの傾向などから探索しやすいともなれば、この階層がいかに俺にとって癒しになるか、わかってもらえるだろう。
「ふぅ、解体終わり。
まて、まて……はいよし!」
「~~♪」
解体中に見張ってくれていたサキュ太郎に妖羊の解体余りを渡し、またいくつかを控えに送還する。
正直、召喚獣とは言え、見た目可愛い人外女子が生肉や骨をぼりぼりと食べている光景には思うところがないわけではない。
が、それでも魔物の死体を媒介にした他淫魔追跡避けや、サキュ太郎の手頃なご褒美と一石二鳥なのでやらない理由はない。
え?サキュ太郎はサキュバスだから性的な意味でこの妖羊を食べるのではないのかって?
淫魔どもが性的に襲うのは人族や一般動植物がメインであり、同族同士だと犯すよりも物理的な食欲が優先されることが多いらしい。
難儀な生態である。
「ん~、確かこのラム肉は貴族の祭りで使うために多めにとってきてほしいんだっけか。
なら、もう少し頑張りますか」
こうして、さらなる安定と癒しを求めてこの階層の探索を続けるのでした。
☆★☆★
――メブホォォォォ……メブホホホホホ!
――めぇ、めぇ、めぇ
「あ……♥
いや、やめて……♥」
だからこそ、こういう予定外のイベントはお呼び出ないのだ、帰っていただきたい。
自分の視線の少し先にある高原で、そのイベントは起きていた。
まず目につくのは一つの巨大な植物淫魔であり、巨大なまりもに似た何かがそこに鎮座していた。
それを取り囲むのは当然無数の妖羊たちであり、そいつらはもそもそとその巨大まりもの淫魔を喰らっていた。
変わった場所はそこだけではなく、そのすぐそばには群れのリーダーと思われる馬以上の巨大な体格を持つ妖羊がおり、そいつの股間には人影が見え、その人影がそいつの男根に突き刺さっているのが確認できた。
「……ん」
「おう、ありがとう。
数は、男1女1で確定か。
まったく、めんどくせぇ」
俺とサキュ太郎による索敵のダブルチェックにより、ある程度相手の状況が見えてきた。
今視線の先にいるのは、運悪くこの階層への備えをせずに突っ込んでしまった冒険者の二人組のようだ。
おそらくはギルドでも珍しくないカップル冒険者であり、壊れ堕ちている装備の残骸から階級は鉄1級。
そこそこには将来有望そうだが、残念ながらこの階層を挑むにはあまりにも無謀な階級である。
そのせいで、この階層に来た時点で男女共々妖羊の睡魔に完敗。
お互い夢心地の中で、淫魔の餌にされてしまったといった所だろう。
「で、どう?
あいつらもう手遅れだったりしない?」
自分の横にいるサキュ太郎に確認を取りつつ、視線の先にいるそこそこ大きな淫魔たちを改めて観察する。
片方の巨大なまりもは、おそらくはこの草原にいる植物系淫魔、その集合体だろう。
多分ではあるが、姿が見えないほうの男冒険者があのまりもの内部におり、その全身を草触手で犯されているとみられる。
周りにいる妖羊の多くは、そんな草に犯されている冒険者が逃げないように【睡魔】を使い続けつつ、男冒険者相手に集まった草の淫魔を捕食しているのだろう。
そして、巨大な妖羊はある意味見ての通り、淫魔らしく女冒険者を性的に捕食。
その睡魔スキルで獲物を眠らせて、元気に睡獣姦中といったところだ。
「……んん」
「……っち。
だよなぁ、畜生、面倒くせぇ」
もっとも、こ冒険者が淫魔に犯されている光景なんて珍しくもないため、どうでもいいという気持ちもある。
が、それでも彼彼女らがまだ堕ち切っていないのならば話は別だ。
どうやらあの二人は、元気に淫魔に犯される程度にはその体が人間としての構造を保っており、生命力も残存しているようだ。
おかげで、栄養価の高い餌として、この階層の淫魔たちの栄養状態の改善につながってしまっているわけだ。
「あー、今回はスルーするか?
……でもなぁ、まだ狩りは終わってないし、一応は倒せそうなのがなぁ……」
かくして、俺はこれからどうするのかを考える。
というのも、あの手の冒険者の捕獲に成功した淫魔は、通常よりもかなり強くなっている事が多いからだ。
それこそ、ここから見れる範囲でも、男冒険者を犯している巨大まりもは、通常なら一匹一匹が弱い草淫魔に過ぎないのに、今ではいっぱしの巨大淫魔へとその姿を変えているし、周囲には栄養満点の草淫魔を喰らったちょっと強い妖羊を複数従えている。
女を犯している方の妖羊は言わずもがな、犯した女の淫気を独り占めすることで、その体躯は巨大化。
その上でその毛と洗脳を併用して、女がまるでアクセサリーの様にその妖羊の下半身に固定されていることから、睡魔系スキル以外も有しているに違いない。
ともすれば、あの淫魔たちに挑むとすれば通常の妖羊よりも苦労する事はまず間違いないだろう。
しかし、強敵だからといって放置すれば、アイツらは餌である冒険者達が食べている間はどんどん強くなっていくのは確実だろうし、下手すればこの先あいつらが生きているうちはこの階層にこれなくなるかもしれないのだ。
「いうなれば、成長中の中ボス二体ってところか。
……どうしようかなぁ」
「……ん!!」
「いやいや、あんな奴らすぐ倒せって言ってもな?
あいつらが今の時点で俺達よりも強い可能性もあるだろ。
こちらの耐性を無視できる催眠スキルとか、実はまだまだ第二形態を残しているとかで」
「…~~んん」
「考えすぎって。
いやまぁ、そうだろうけどさぁ」
俺としてはこの冒険者を見捨てるよりに心が傾いていたが、どうやらサキュ太郎的には救出及び撃破一択らしい。
一応サキュ太郎の感知能力や危機管理能力は自分よりは優れているため、少なくともコイツが今倒せというのならばそれはそれなりに勝算のある行動なのだろう。
しかし、それでもこのサキュ太郎は所詮は淫魔なことや、頭自体はそこまでよくないこと、何よりも強化された妖羊共がどのようなパワーアップをしているのか不明な事を考えると、素直に賛同しにくいのも本音だ。
「なら、折衷案にするか」
しばし、考えた後、自分は右手を天に掲げる。
するとそこから複数の魔力が伸び広がり、静かに、しかし、はっきりと空間の魔力が高まっていくのが感じられる。
「とりあえず、ここから魔法でアイツらを攻撃する。
それでダメージがあれば、討伐。
ダメそうなら撤退、それでいいな?」
「……ん!」
かくして、俺達は遠距離狙撃のふいうちにより、件の妖羊たちとの戦いの火ぶたが切られたのでした。
――ぶもぎゃぁあああああああ!!!
「あへ……♥あへ……♥」
「ん!」
「……いやまぁ、所詮妖羊なら強化してもこんなもんか」
なお、そんなこんなの緊張の中始まった戦闘は、遠距離不意打ちの時点で致命傷を与えるのに成功。そのまま、向こうがこちらに気がつく前に、遠距離攻撃だけでその戦いの決着がついてしまいましたとさ。
さもあらん。