※この作品はR-18です。

虎となりて   作:KKS

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回顧録 一線を越えた日(蓮華)

 兄が援軍のために本拠を離れてから、早くも一ヶ月が過ぎようとしている。

 孫家の重鎮が複数席を外していても、呉郡は平和そのものだった。そのこと自体に不満があるわけではない。ただ、どう気を紛らせようと募る寂しさはある、と蓮華は思うのだった。

 普段母が使っている執務室の椅子に、腰を下ろす。朝早くに起床し、臣下からの報告を聞く。母や兄がいないからといって、手抜かりがあっていいはずがない。それに、雷火の厳しい視線がいつもどこからか飛んでくるから、背を丸めている余裕すらないのである。

 目に見えない重圧。飄々と遊びの中で仕事をこなしているような母だったが、人知れず努力をしているのは間違いないのだろう。

 実際、責任者として政務を担当してみると、そのことがよくわかる。

 

「雷火です。失礼いたしますぞ、蓮華さま」

「ああ、構わないから入ってくれ」

 

 いつものように、雷火が執務室にやってくる。

 すべての案件を、自分だけで処理することはできない。雷火は厳粛な政治家だが、政務を円滑に行うための柔軟さは持ち合わせている。

 重要度によって仕事を分け、それでも自分の採択が必要なものには判断を下す。もっと細々とした案件はすでに文官たちに行き渡っていて、今頃各自仕事に追われているのだろうな、と蓮華は窓の外に輝く朝陽に眼をやった。

 そうだ、と蓮華は竹簡の束を整えながら、雷火に声をかける。

 孫家のこれからを考えて、打っておきたい一手がある。兄から目ぼしい人材を集めておくよう言いつけられているし、粘れば反対はされないはずだった。

 

「しばらく、私も旅に出ようと思っているのだ。江水沿いの拠点、いまは廬江付近にいるのだと思うが、会っておきたい知り合いがいてな。そのこと、どうか許してはもらえないだろうか、雷火」

「むむっ……。それは、如何ともしがたい相談ですな。だいたい、蓮華さままでご不在となったら、誰が政務を見るとお思いなのです」

 

 予想通りというか、雷火の眉間に深い皺が刻まれる。

 長期間、呉郡を留守につもりはない。責任放棄といったらそうなるのかもしれないが、いまでなければ時期を逸する、という思いが蓮華は強かった。

 

「雷火がいる。それに、穏だって使い物になっているではないか。二人を中心に動けば、短期間ならなにも問題はないはずだ」

「それはそうかもしれませんが、うむむぅ」

 

 雷火がまた深く考え込む。

 穏というのは、陸遜の真名だった。見ていてちょっと茫洋としている部分があるのだが、それが却って掴みどころのなさにつながり、軍師としての凄味にすらなっているように思えてくる。

 能力の高さは間違いないし、それは雷火だって認めている。ただ、おおっぴらにできないような性癖があるのが、変わり者である穏らしい。

 

「錦帆賊のことは、おまえも知っていよう。その頭領を務める甘寧と、つなぎをとっておきたいのだ。これまでも、個人的な連絡はしているが、今回は孫家として協力要請を行おうと思っている」

「ふむ。どなたとお会いしに行くのかと思いましたが、よもや江賊の大将ときましたか」

「そんな顔をしてくれるなよ、雷火。思春、甘寧は私の幼馴染で、兄上とも面識のある女なのだ。船を使わせれば、近隣に敵う者はいない。水運の支配は、この先孫家にとって必ずや重要事項になってくると思うのだが?」

 

 もともと、雷火は保守的な思想を持っている。表向きの態度はどうあれ、母や兄に心酔しているからこそ、こうして孫家に付き従っているといってよかった。

 思春のむすっとした表情が脳裏に浮かぶ。小さな頃はそうでもなかったのだが、大人になってからの思春は難しい顔をしていることが多い。

 錦帆賊と呼ばれる集団を率いるようになってからのことだから、指導者としての風格を身に着けようとしているのかもしれなかった。

 兄が呉郡に帰ってくれば、きっと事態は動きはじめる。妹として、それまでにできる準備はしておくのが当然なのだろう。

 地方の領主になったところで、孫家の野心が満たされることはない。狙っているのは、天下にほかならなかった。

 その時、確実に思春の力は活きてくる。

 

「はあ……。蓮華さまが一度お決めになったことです。このわしがいくら意見しようと、折れてくださることはまずありますまい。わかりました。ですが、一日でも早くお帰りになられるよう、伏してお願いいたしまする」

「ありがとう、雷火。ふふっ。おまえなら、きっとわかってくれると信じていた。護衛として、亞莎を同行させるつもりだ。文官として鍛えてやっている途中だとは思うが、借りていくぞ」

「御意に。蓮華さまのお考えを、道中しかと亞莎に叩き込んでやってくだされ。気合を入れて打ち込みさえすれば、案外三日で人は変わるものです」

 

 亞莎こと呂蒙は孫家に仕える校尉なのだが、冥琳に見出されて軍師見習いのような立場となっている。それで文官としての心得を雷火から注入されているのだが、どうやらまだ満足のいく成果はでていないらしい。

 武官としての腕に間違いはないから、あとは経験を積めばどうにかなると蓮華は思っていた。机上で意見を闘わせていても、結局自信につながることはない。

 

「よし。そうと決まれば、旅立ちは早いほうがいい。やるべき仕事を片付け、明後日にでも出立しようと思う。雷火。その手伝い、よろしく頼めるな」

「まったく、若殿も蓮華さまも、老骨をいいように使ってくださる。もう少し、年長者には労りの気持ちを持ってですな……」

 

 言いながら、重たそうに雷火が右肩を回している。その表情がどこか嬉しそうなことに、蓮華はしかと気づいていた。

 

 

 執務室に設けられた窓から、夕焼け空が見えている。

 雷火に約束を取り付けてから、とりあえず今日の仕事は片付いた。あとは夕食を済ませてから、つぎの段取りを考えておけばいい、と蓮華は椅子の上で身体を伸ばす。

 こうしていると、思い出すことがある。

 兄とはじめて兄妹の境目を越えた日。あの時も、空はいまと同じ色をしていたことを覚えている。

 

「んっ……。兄上……。ああっ、はふっ」

 

 人の気配がないことを確認してから、そっと手で身体に触れてみる。かつても、自分は似たような緊張感に包まれていた。

 兄を異性として意識するようになったのは、いつからだったのだろうか。

 剣を握らせれば誰よりも荒々しく闘ってみせるが、妹や身内同然の臣下には、優しい一面を見せてくれるような人だった。孫家の女として、いつか自分も誰かの妻となる日がくる。漠然とした覚悟があったが、どうせずっと先のことだから、とあまり考えないようにしていたのだ。

 考えに衝撃を受けたのは、そんな頃だった。

 母の執務室の横をたまたま通り、開いていた扉の隙間から、まぐわう男女の姿を見てしまった。

 肌という肌を密着させ、快楽を貪る母と兄。兄を受け入れる母の顔は女の幸せに満たされていて、しばらく見惚れてしまったことを鮮明に記憶していた。

 自分たちがほんとうの血縁関係にないことは知っていた。だからといって、世間的に見て兄妹であるという事実が崩されることなど、決してないと蓮華は思っていたのだ。

 とにかく、母は自由な人だった。

 戦場においても大将自ら先陣をきって突っ走るし、内政をさせても型に拘ることが少しもない。番いたいと感じるオスが側にいたから、手を出したに過ぎない。父が存命ならばそんな考えには至らなかったのだろうが、これも兄に与えられた天命なのかもしれなかった。

 母が親子の関係を越えて兄と交わっていたのだから、自分だって。そんな考えを持つようになったのは、自然といえば自然だったのだ。それからは、兄からいつ声がかかってもいいように、毎日のように身体を磨いた。

 

「いつまでも、妹としておまえを大切にするべきだと、俺は思っていた。だが、母御と一線を越えてみてよくわかったよ」

「あっ。あに、うえ……」

 

 ある日、執務室で兄と一緒になったことがあった。

 自分から言い出すことはできなかったが、視線の熱さに感じるものがあったのかもしれない。夕刻の執務室。ほかに誰もいない部屋で抱擁を交わし、兄は自分との関係を一歩進めることを決断してくれた。

 

「身体で結ばれたところで、親子としての情愛が消えるわけではない。それどころか、むしろつながりは一層強まったようにすら思えてくる。本音を言ってしまうと、かわいいおまえを、俺はほかの誰かに奪られたくなどなかった。兄として、そのような感情を抱くべきではない。それでも、蓮華」

「嬉しい。こんなに嬉しいことはありません、兄上」

 

 ずっと秘めていた熱い想い。口づけと一緒に、それを兄からぶつけられた。

 兄のことは誰よりも慕っていたつもりだったし、やっとこの日を迎えることができたんだ、という思いが強かった。自分がすべてを捧げ、子を成すならこの人しかいない。結びつきが深くなるたびに、それが当たり前だと感じるようになった。

 母よりも前に、兄は幼馴染である冥琳と情を交わしている。その関係性はほとんど公然としたものだったし、羨望の気持ちはあったものの、二人が一緒になることに反対意見はなかった。

 誰かひとりが専有するには、兄という器は大きすぎる。薄々、冥琳も感じていたのだとは思う。ただ、その空間を壊しにかかるのが、母であり主君でもある孫堅だとは、考えもしなかったのだろうが。

 

「好きっ。大好きなんです、兄上のことが。私はいけない妹です。兄上のことを思うと、大切な仕事も上の空になってしまう。今日だって、ぼんやりしていたせいで雷火に何度も……」

「おまえの中にある靄は、俺がすべて消し去ってやる。だから、蓮華」

「してください、兄上のお心のままに。おそれる気持ちなんて、少しもありません。兄上にいただけるのなら、私はなんだって。んっ、あっ、ああっ……」

 

 兄の太い腕に抱かれたまま、服を剥ぎ取られた。

 普段厳粛な空気の流れる場所で、あろうことか兄とふしだらな行為に及ぶ。その事実が、きっと自分の身体に想像していた以上の変化をもたらしていたのだろう。

 気持ちを昂らせた状態で、兄に全身を触れられた。男女の違いを意識するようになるまで、当然のように入浴は一緒だった。その時とは明らかに違う触り方。兄のごつごつとした指。何度も乳房のあたりを這い回り、敏感になった乳首を弾かれた。

 自身を慰めることを、知らなかったわけではない。けれども、深くまで達することはできていなかったように思うし、なにより大好きな兄との情交は特別だった。

 

「きれいだ、蓮華。胸もこんなに育って、おまえもしかと大人になっていたのだな」

「はうっ、んあっ……。そ、そうです。兄上に愛してもらいたくて、私の身体はこんなに。あっ、くうっ、あっ、うあっ……」

「かわいいやつだ。それなら、ここはどうかな」

「あ、兄上……っ。やっ、んあっ、くっ、んあぁあ……っ」

 

 準備運動は終わりだと言わんばかりに、兄の指先が閉じた状態の秘所に潜り込んでくる。

 今日まで処女を守り通してこられて、ほんとうによかったと蓮華は思う。顔にかかる兄の吐息が熱い。自分と同じくらい興奮してくれていることがわかると、それだけで全身が歓喜でふるえた。

 

「き、気持ちいいんです、兄上の指が。うあっ、はっ、はふっ。お腹の奥、ぞくって熱くなる。はあっ、くう。兄上、あっ、兄上……ぇ」

 

 はしたないくらい、股の間からなにかの汁が垂れ落ちている。それが尿ではないことだけは、自分で確かめる中で理解できている。ただ、兄に粘っこく責め立てられていると、その量がずっと多い。

 その快楽に気を取られていて、腿に熱い棒状のものを擦り付けられていることがわからないでいた。兄の興奮が直に伝わってくる。男根は昔風呂場で見たものよりも遥かに大きく、雄々しい姿をしていた。

 目が離せない。赤黒い先端。秘所をいじくる傍ら、兄はそこを何度も何度もあててくる。ねちゃりとした感覚。男も、女と同じで気分が高まってくると性器を濡らす。そこで、その事実にはじめて気がついた。

 

「熱いです、兄上のおちん……ちんが。子供の頃は、見ていてどきどきするようなことはありませんでした。なのに、いまは」

 

 兄の双眸が、煌々と輝いている。

 魅了されてしまうような炎を宿した眼。その眼が、いまは自分だけを見つめてくれていると思うと、嬉しさでいっぱいになる。

 唇に吸い付き、はしたなく身体を寄せた。兄の熱が、さらによく感じられる。硬度を増した先端。ずるりと移動したかと思うと、下腹部が強烈な違和感に襲われた。

 

「ちゅっ、んむむっ……。す、すごく興奮なさっているのですね、兄上。んうっ、くっ、くふぅう……!?」

「許せよ、蓮華。だが、いまこの瞬間から、おまえは俺だけのものだ。この先、おまえを辱める男がいたなら、飛んでいって首を刎ねてやる。いや、それだけでは飽き足らないか。五体をばらばらに斬り裂いて、野犬の餌にしてやるくらいがちょうどいい」

 

 兄のたくましい男根が、容赦なく無垢だった膣内を突き抜けていく。

 頬に涙が伝っている。だが、やってくる痛み以上に、兄のものになれたという悦びが甘美な痺れとなって全身を駆け巡る。その両極端な感覚に支配されて、蓮華は下腹部をびくっ、びくっ、と引きつらせている。

 

「はへっ、へっ……♡ あ、兄上、ぇっ……」

 

 兄の手に尻を抱えられている。ちょっと身構えていると、身体が言葉通り宙に浮いた。

 深々と性器同士が繋がっている。腹の奥底まで兄の熱に満たされるのは、最高の気分だった。

 肌と肌がぶつかり、乾いた音を室内に響かす。床に落ちてしまわないよう力いっぱい抱きつき、蓮華は処女の喪失を改めて実感している。

 

「はあっ、あっ。す、すごいのですね、兄上。こんな、こんなになるだなんて、思いませんでした。んぐっ、あっ、あーっ。兄上のおちんちん、私の奥の奥にまで届いて、あっ。これっ、くうっ、だめ、んあっ、だめぇ……♡」

 

 潤いだした膣内を、太い男根がずるりと前後する。気持ちいい。最初あった痛みはかなりやわらいできていて、その奥にあった泉から、快楽がふつふつと湧き出しているようだった。

 言葉を交わすことすら、いまは煩わしい。それに、与えられる熱と快楽を感じ取っていれば、兄が自分を深く愛してくれていることが簡単に理解できた。

 

「くっ、蓮華……ッ」

 

 机に乗っていた竹簡がばらばらと床に落ちる。

 自分も兄も、なにもかもを忘れて、互いの身体を貪ることだけに集中しているのだ。場所の空いた机の上に寝かされ、間断なく責め立てられた。こうして犯されているほうが、兄の顔がよく見える。もっと繋がりが欲しくなり手を伸ばすと、兄はしっかりと指を絡めてくれた。

 

「ナカ……っ。どうか最後は私のナカに、あにうえっ……!」

「わかっている。それ以外のことなど、いまは考えたくもない」

 

 絶対に、はじめては中で出されたいと思った。

 男根を激しく出し入れしながら、兄が空いた指で気持ちのいい突起を責めてくる。正直、さっきから身体はふるえっぱなしで、自分だけ何度も気持ちよくなって申し訳ないくらいだった。

 抽送を続ける男根がびくりと脈打つ。欲しい。兄の子種が欲しくて、膣肉をさらに蕩けさせてしまう。

 はしたない喘ぎ。止めることなどできなかった。兄の額に浮かぶ汗すら、いまは愛おしい。最奥に男根を押し付けられて、蓮華はさらに大きな声を洩らす。それで、また限界を迎えた。

 

「おっ、んあっ、はーっ♡ あ、兄上。これっ、あっ、おちんちんびくびくって、ああっ、くふぅうう……!」

 

 決壊は唐突に訪れた。

 兄が自分の腰を引き寄せ、小刻みに下腹部を痙攣させている。腹の奥に押し寄せる、大量の濁流。感じたことのない快感に気を失いそうになりながら、蓮華はひたすらに耐えていた。

 

 

 散漫としていた意識が、ようやく鮮明になってくる。ほとんど落ちかけた陽光を背に、蓮華は椅子の上で大きく息を吸った。

 指の先が熱い粘液に包まれている。兄との初体験を思い出し、どうやら自分はそうした行為に耽ってしまっていたようだ。あふれた愛液は床までこぼれ落ちていて、さっさと掃除しなければ染みになってしまう可能性だってある。

 

「んっ、くふうぅ、あ、ああっ……。つ、つい、やってしまったみたいね」

 

 身体にはまだ火照りがある。かといって、最後まで鎮めていてはほんとうに日が暮れてしまいそうだ。

 脳裏に思い描いた兄が、優しくほほ笑みかけてくれている。

 これでまた、明日から頑張ることができる。指に付着した快楽の残滓を舐め取り、蓮華は兄がいるであろう方角を見つめた。

最近意図して♡減らしているんですけど、読んでる方的にはどうなんですかね?

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