隴西郡にもどった孫策は、賈駆を連れて周辺地域の巡察に出かけていた。
いったい誰が拡めたのか、どこに出向いても必ず恋との一騎打ちのことを聞かれる。この土地においてこれ以上の武勇伝はないらしく、ほとんどの豪族から歓待を受けているのだ。
かの鬼神に単身真っ向勝負を挑み、武で圧倒したのちに従えることに成功した。どこの誰と話していても、恋とのことは大概の場合そうした流れになっている。
命を張った博打。勝つには勝ったが、勝負としてはかなり際どかった。あれで圧倒したことになるのか、と最初聞かされた時には、判断基準の緩さに呆気にとられたものである。
そして、詳しい
月、あるいは義母の仕業なのではないかと勘ぐったが、その両者が結託して、一騎打ちの話を吹聴して回っている可能性は大いにある、と孫策は思うのだった。
今後の動きを考えれば、涼州における名声を得ておいてなんの損もない。むしろこのくらいのことで一目置いてもらえるなら、いくらでも話が大きくなればいいと思えてくる。
親友のことになると、普段淑やかな月は途端にお節介になる。別にここまで介入をしてくれなくとも、賈駆との距離を詰めるつもりではいたのだ。
それに、出会った当初感じていた棘は、叛乱軍との闘いを通じてかなり薄れている。二人だけで過ごすことにも、旅の間に随分と慣れた。
預けておいた真名も、いつ頃からか自然と呼んでもらえるようになっていた。当然、孫策も賈駆のことを詠と真名で呼ぶようになっている。
「はあ……。ここの人たちには、ボクたちの関係がどうなっているように見えているんだろうね、まったく。こんな、余計なお世話まで焼いてくれちゃってさ」
用意された部屋に入るなり、詠がため息を洩らした。その声がどこか嬉しそうであることには、たぶん触れないでいるべきなのだろう。
手際よく明かりをつけながら、孫策は部屋の中を見渡した。離れの一室。人の気配は少なく、ひと晩を存分に愉しんだところで、誰に迷惑がかかることもない。しかも、ご丁寧なことに寝台はひとつしか設置されていない。
そうした意味では、非常に気の利いた、ありがたい選択ではあった。
「ま、まあ? いまさら部屋変えをしてもらうのも気が引けるし、今夜はこのままにしてあげようかしら。んっ……。それで一刀殿に問題がないのなら、だけど」
自分に問題などあるはずがなかった。
横目で態度を確認してくる詠が、やけにいじらしく感じられる。ここは、積極的に攻勢にでてやるべきなのか。着ていた上着を椅子にかけ、ちょっと迫るような姿勢を見せてみる。これでだめなら、また別の手を考えればいい。押し黙る詠の肩に、孫策は手のひらを置いた。
赤い縁の眼鏡のその向こう側で、琥珀色をした瞳が揺れている。普段強気な詠の表情は、一気にしおらしくなっていた。
「い、いいけど……? その、そういうこと、一刀殿がどうしてもしたいっていうなら、ボクは拒絶したりしないから。月を救ってもらったお礼だってまだしてな……。んっ……、んむっ……。はうっ、うっ、んあっ、はふっ……」
「勘違いするなよ。礼がほしくて、おまえを求めているのではない。それは、わかってくれているものだと思っていたのだが」
「うっ……。わ、わかってる。わかってるけど、面と向かってそう言われるのは恥ずかしい、から」
われながら、意地悪な物言いをしていると思った。
どう頑張っても、詠は視線を合わせてくれようとはしない。だったら、と空いた手を身体の上で自由に動かしてみる。
想像していた以上に小さな肩。そこから時間をかけて下に触れていくと、やがてすべすべとした布地に包まれた臀部に到達した。
詠の身体がびくんと跳ねる。驚きと緊張。顔にかかる息が、ちょっと荒くなっているような感じがしていた。
小ぶりな尻だ。だが、撫で心地はかなりいい。衝動的に布地を破いてしまいたくなったのだが、どうにか堪えた。
巡察は、まだ数日続くことになる。その間、詠の生足を眺めて過ごすのも悪くはない選択なのだが、それでは理性を保つのがいっそう難しくなる。
「ぷはっ、はっ、ははっ……。なんだ、意外と平気なんじゃない、ボクってば。もっと、嫌な感じでもしたらどうしよう、って悩んでたのがちょっと馬鹿みたい。んっ……。男の人とこんなことするだなんて、その、一刀殿と出会う前は、考えたこともなかったし」
「かわいいな、詠は。おかげで、こっちもかなりやる気になってしまっている」
「わっ……!? ちょ、ちょっと、なによ……これ。おち……、んっ……。お、おちんちん、こんなに腫れ上がって、苦しくないの?」
「もちろん、苦しい。早く詠にかわいがってもらいたくて、こうして主張しているのだからな」
「そ、そうなんだ……? やっ、んっ……。おへそのとこ、そんなに押し上げたら、んあっ、はうぅっ……」
かたくなった先端で、詠の腹の中心を何度も小突く。
恥ずかしがるような声。滲んだ我慢汁のせいで、服の上にちょっと染みが拡がる。出会った当初あれだけ嫌悪感を向けてきた詠が、真っ赤になって自分の勃起したモノを凝視しているのだ。これだけの達成感、そうそう味わえるものではない。
「あっ、一刀殿……」
緊張している詠をなるべくこわがらせないように、優しく寝台に寝かせた。うつ伏せになって身体をかたくしている詠。その尻を、軽く持ち上げさせた。
下腹部全体を覆う、艶めかしい黒の布地。惜しみながら足先までずりさげると、出現した白い肌に孫策は息を呑んだ。
触らずにはいられない。抵抗の少ない間にすべて済ませるべきだと思い、下着を剥ぎ取った。薄っすら茂る深緑の陰毛。指でくすぐりながら、刺激を待ち望んでいる秘裂に舌を這わせる。
「へっ……? う、うそ。こんなの、うそだよね……? んっ、くうっ、はっ、んはあっ……! にゅるって、あそこ……。んあっ、うっ。まさか、一刀殿が舌で……?」
「なにかいけないことでもあったのか、詠? こちらは、相応に喜んでくれているようだが」
「い、いけないもなにも、あんっ、くふっ……。そんなところ、きたないから舐めちゃだめ……ぇ。やっ、うっ……。あっ、また、そんな……にっ」
抗議の声をあげる詠だったが、身体のほうは正直に反応を示していた。
あたたかな肉の隙間。舌を挿し入れると、じわりと愛液が染み出てくる。誰にも使われていない無垢な純穴。ひくついて逃げようとする尻を両手でつかまえ、さらに奥の味を確かめた。ぐるりと円を描くように愛撫してやると、詠はかわいらしい悲鳴をあげる。
「はあっ、んくっ、んっ。やあっ、あっ……。はあ、はふっ、んっ……。こ、こんなに、ボクばっかりされるのって、なんだか不公平じゃない。だから、あなたも」
詠の言いたいことは、わからなくもなかった。
ほぐれつつある肉穴から、舌を引き抜く。拡張したばかりだから、窄まりはすぐに小さくなって消えてしまう。それを見て、また男根に強い張りが生まれた。
「もらうぞ、詠の初めてを。ほんとうに、それでいいのだな?」
「うっ……。また、そうやって意地悪な聞き方するんだ。ふ、ふんっ……。好きにすればいいじゃない、一刀殿の。ボクはか弱い女だから、あの呂布奉先すら下したあなたになんて、かないっこないんだもの」
ツンとした響きのある声。それとは逆に、挿入に備えて尻をこちらに突き出してくれるのだから、なんともいじらしいではないか。
跳ねっ返りの詠と身体を重ねるのだから、顔が見えないくらいがちょうどいいのかもしれなかった。
繊細な肌に、熱く滾る亀頭を押し付けた。詠が吐息を洩らす。直に見えていないだけ、敏感になっている部分があるのか。
「い、いいから、くるなら早くきてよね。ボクの胸、さっきからずっと苦しいままなんだから。これ以上焦らされたりしたら、あんっ、くう、んはあぁあ……っ!?」
詠の呼吸に合わせて、初心な秘肉を割り裂いた。
嗚咽に近い声。少々の苦しみがあるのは、もうどうにもならないことなのだろう。どうしても無理なら、詠は全力で拒絶するはずだ。そう信じて、孫策は最奥だけを目指して腰を進めた。
「これっ、はあっ……。ふ、太いの。一刀殿の太いのが、ボクのお腹の中に入って……ぇ。へ、へへっ。大丈夫……。あの子が、月だってこの痛みに耐えられたんだよね? なら、絶対にボクだって……!」
「二人は、ほんとうに仲がいいんだな」
「あ、当たり前じゃない、そんなの。ふっ、ふふっ……。月が強い子だってことは、側で見てきたボクが一番よく知ってる。けど、けどね? その真っ直ぐな心の強さが、あの子自身をいつか傷つけるんじゃないか、って思うことも時々あったの」
結合部から、真新しい血が滲んでいる。
どれほどの意味があるのかわからないが、両手を使って詠の尻を揉みほぐした。奥に到達するまで、あと少し。会話を続けていれば、多少は気が紛れるのだろう。それに、こういうことが詠との話題にのぼるのは、今夜が初めてだった。
「漠然とだけど、ボクも考えてはいたんだ。いつかは月と上洛をして、漢の中枢を浄化しなくちゃならない。あの子の志を果たすためには、それしか道がないんだって。けど、どうやらそうはならないみたい。一刀殿が、あの子に余計な入れ知恵をしてくれたおかげでね」
「内側からしがらみを無理に引き剥がそうとすれば、それに対する反発は力をこめただけ大きくなる。だから、腐った柱を叩き壊すなら、外側からやるべきなのだと俺は思う。どんな汚名を着せられようと、知ったことか。勝ちさえすれば、悪名はいずれ称賛に変わる」
「ふっ、あははっ。一刀殿の自信に満ちた言葉を聞いていると、なんだか安心するな。んぐっ、はあっ、んっ、はーっ……。も、もうそろそろ入った……、のかな。ちょっとは、感覚が馴染んできている気がしているんだけど」
詠の質問に答えるように、奥を軽く突いてやった。
初めての挿入で、まだ感覚がぼやけているだけなのだと思う。詠は枕に押しつけた顔を何度か頷かせ、自分の熱を確かめているようだった。
これなら、もう動いても平気そうか。
乱暴なことさえしなければ、そのうち奥まで壁がほぐれてくるはずだ。服の隙間から手を入れて、詠の控えめにふくらんだ乳房にふれる。しっかりとやわらかく、指を押し返すだけの弾力がある。胸への愛撫がよかったのか、詠は恥ずかしそうに声を洩らした。
「け、結構いいのかも、それ。んっ、ふっ……。はーっ、んっ、んあっ。か、一刀殿の熱いのが、ボクの一番奥の部分、こんこんって小突いてる。そこ、精液出されたら、できちゃうかもしれないんだよね? その、一刀殿との……赤ちゃん」
「ン……。俺は欲しいな、おまえとの子が」
「ふえっ……!? んっ、ちょ、ちょっとまっ……。あんっ、あっ……。そ、そんな、いきなり激しくっ、ううっ、うあぁあっ」
詠の些細な一言で、身体の芯に火がついたような気分になった。
腰を小刻みに動かし、快楽を送りこんでいく。二人分の粘液が交わって、結合部で白い泡となっていた。
多少の苦しさはあるのだろうが、詠の反応は悪くなかった。乳房への刺激を断続的に行いつつ、さらに肉体の感度を高めていく。詠の膣内は覚えがよく、息をするごとにきゅうっと男根を甘く締め上げる。
「これっ、あっ、やばっ……♡ こんなにすごいの、人生ではじめてかも……っ。ああっ、はあっ……。戦にでている時よりも、ずっと身体が熱くなってる。奥の奥からおちんちんで押し上げられて、うあっ、くうっ……! ボクのそこも、一刀殿との赤ちゃん欲しいって、疼いてるのかな……っ♡」
「詠が自分で感じているのなら、そうに決まっている。ほら、もっと気持ちよくなってもいいんだぞ? 俺たちはけものだ。互いに快楽を貪るだけの、欲望まみれのな」
「あーっ、あっ、んうっ、あんっ。そ、そうなん、だ。馬鹿みたいに大声だしても、身体びくびくって跳ねさせても、変だって思わない……?」
「思うものかよ。俺との交わりを、心から愉しんでくれている証拠だ。それで、悪い気がするはずがない」
「そ、そっか。えへへっ……。そりゃあ、そうだよね」
思考による束縛から解放されたためか、詠の身体の反応が格段によくなった。
跳ね上がる華奢な背中。逆に臀部を寝台に押し付けるように、孫策は腰を遣った。遠慮のなくなった嬌声を、詠が室内に響かせる。これで、気分が盛り上がらないはずがなかった。
「くふうっ……! あんっ、あっ、んあっ、はーっ♡ お、おちんちん、ボクの奥ずっといじめてる。こんなの、ああぁっ。気持ちよすぎて、わけわかんない」
詠の片足を持ち上げ、わざと音を鳴らして膣内を突いた。
部屋に鏡がないことだけが残念だった。淫乱な姿をさらし、初めて男のモノでよがるおのれの姿。詠に見せることができていれば、反応はさらによくなっていたことだろう。
「これ、ふあぁあっ♡ ぼ、ボクのあそこ、ぱんぱんってすごい音鳴らしちゃってる。こんなの、絶対だめなのに。一刀殿とだめなことするのが、頭壊れるくらい気持ちいいの」
どうにか耐えていた堤防が、決壊寸前にまで追い詰められている。
腹の奥底で熱く煮えたぎった精液。早く詠の中で自由に泳がせろと、下腹部から思考を麻痺させるしびれを送ってくるのだ。
詠の中で射精する。そのことだけを考え、腰を振った。体勢を少し変化させたことで、どうにか視線が合うようになっている。なにかを訴えかけるような表情。きっと詠も、自分と同じことを考えているのだろう。それで、身体がさらに熱くなった。
「い、いいっ。ぞくぞくって、いいのきちゃう♡ ああっ、あっ……。もう無理。ぜったい、むりだから……っ♡」
上擦った声で詠が叫ぶ。
膣肉による必死の締め上げ。すべてを手放し、孫策は絶頂の波動に身体を投げ出した。
†
腕に抱かれた詠が、ごそごそと身体を動かしている。
放った数を覚えてなどいない。そんな野暮なことをしている暇があるのなら、相手に愛を注いでやるべきだと思った。
「うわ……。ちょっとは収まったと思ったのに、まだ溢れ出してきてる。ボクも大概よく耐えたとは思うけど、こうなると一刀殿の身体のほうが心配になてくるわね」
「ははっ。それなら、どうってことはない。少々気怠さがあるくらいで、やれと言われればまだまだ俺はやれるぞ」
「そ、そうなの? ほんと化け物じみた体力をしているのね、あなたって。でもまあ、それなら安心かな」
恥じらった表情を隠すように、詠が顔を擦りつけてくる。
着ていたものは途中ですべて脱ぎ捨てているから、いま着用しているのは眼鏡だけだ。それがないと、顔がはっきり見えなくなるのが嫌らしい。なんともかわいらしい理由で、愛おしさが余計に強くなる。
「えへへっ。すっかりおかしくされちゃったな、ボクまで。こうなったら、もう後には退けない。しっかり、最後まで責任取ってくれるんでしょうね、一刀殿?」
顔をあげた詠が、なにかを期待しているような視線を送ってくる。
深緑の髪を撫でる。ゆっくりと眼を閉じる詠に、孫策は顔を近づけた。