豪奢な椅子に腰掛けている何進が、落ち着きなく足を組み替えている。
話しているのはほとんどが袁紹で、巻き込まれた曹操がたまに嫌々相手をしているといった状況だった。
何進には軍人としての実績がない。最盛期の黄巾党と闘ったのも、ほかの将軍や各地に根差した諸侯なのだ。
肉屋をしていた女が大出世したまではよかったが、派閥もなにもないところから権力を握るとなれば、大いなる苦労があるはずだ。褒められた行いではないが、官職を金で売りたくなる気持ちもわからなくはなかった。
つい先程ぶつかってきた小さな身体を、孫策は思い出した。
袁紹と袁術の二人は、あまり仲がよろしくないとも聞く。どちらも、名門の旗頭は自分でなければ我慢できない気質をしているのだろう。それで、犬猿の相手を追い出すことに成功した袁紹は、俄然勢いづいているのだ。
末席から何進に拝礼し、孫策は全体を見渡していた。
洛陽に迫る黄巾の残党十万は当然気がかりだが、隙あらば軍議を取り仕切ろうとする袁紹の姿が、疎ましくて仕方がないといった様子なのである。軍議の場には、苦々しい顔をした袁術派閥の人間も残っている。これでは、方針がまとまるはずがなかった。
「もういいぞ、袁紹。貴様の声ばかり聴かされて、余は少し疲れた。意見はそれなりに出尽くしただろうし、各々一度冷静になって考えてもらいたい。休憩を挟んだ後、余が出された案を取りまとめよう」
「ふっ……。悠長なお考えの大将軍だこと」
「あ? いま余についてなにか申したか、曹操」
「滅相もない。それとも大将軍閣下は、この曹操の忠義をお疑いになっているとでも?」
「ちっ……。さっさと下がらぬか、曹操。おっと。そっちの小うるさいお友達も、忘れず連れていくのだぞ」
この場のなにもかもが気に入らない、という顔を曹操はしている。
軍議が長引くだけ、敵に時間を与えることになるのだ。黄巾党が弱兵の集まりだといっても、その結束力が侮れないことは対処してきた諸侯が一番よく理解している。洛陽にいて報告を受けていただけの何進とは、認識のずれがあるのも当たり前だった。
苛立ちを隠そうともせず、曹操が大股で歩いていく。指摘されたのが悔しかったのか、なかなか出て行きたがらない袁紹を、小柄な曹操が力任せに引きずっているのだ。なかなか見られそうにもない光景を注視していると、特大の舌打ちが聞こえてきた。
「あなた、よくもこの私の前に堂々と顔を出せたわね。うふふっ……。あの時のお礼は、いつかたっっっっぷりとしてあげる。だから、愉しみにしていなさい」
「はははっ。聞いていたか、周瑜? 曹操殿のような目を引く美人に誘われて、俺も意外と捨てたものではないな」
「うむ。して、曹操殿。その時は、ぜひ私も同席させていただきたい。孫策と貴殿との舞い、得意の音曲を披露して、盛り上げてみせましょうぞ」
「あ、あのー? 曹操さんと孫策さんって、以前からのお知り合いだったりするんでしょうか」
「ふんっ……。あなたは黙っていてちょうだい、劉備。こんな男、知り合いなんてものじゃないわよ、まったく」
自分と曹操との間にある一触即発な雰囲気を心配してくれているのか、劉備はどうにか場を取り繕おうとして必死だった。
唯一なにもわかっていない袁紹が、引きずられて不機嫌そうに唇を突き出している。中央では無名の自分には微塵も興味が湧かない様子であり、そのまま曹操に牽引されて広間の外に消えていった。
「孫策」
「これは、大将軍殿」
面倒な二人が完全に消え去るのを待ってから、何進が声をかけてくる。
幾許か疲労が顔から滲んでいたが、身にまとう色香には衰えが少しもない。やわらかな印象の強い劉備と並んでいると、その違いがはっきりと見えてくる。
「先だって、張遼から報告を受けている。叛乱軍の討伐、大義であった。肩の荷がひとつ下りて、余も少し気分が楽になったぞ。それなのに、あいつらときたら……」
「大将軍殿をお気を煩わすものは、私が取り除いてみせましょう。ですから、どうかご安心を」
「お、おお、そうか。うむ……。貴様のような使える男が、余は嫌いではないぞ。くくっ……。それに、近くで見ると顔もなかなかに悪くない」
障害を取り除いてみせるとはいったものの、それがなんであるかとは具体的に述べることはなかった。
隣で邪悪なほほ笑みを浮かべている冥琳が、いかにもな雰囲気を形成している。軍師たるもの、こうした演技力を磨いておく必要があるのだろうか。だとしたら、おそらく詠は腹芸には向いていない。
権力の一極集中のためにも、何進はいくらでも戦力が欲しいはずだった。その心を、ひたすらにくすぐる。
曹操との会話以上に危うさを感じているのか、劉備は苦笑するばかりだった。
劉表は漢室に連なる一族ではあったが、荊州でもっぱら独自路線を築きはじめている。それは益州の劉璋にしても同じであり、洛陽からしてみれば目障りでしかない動きだった。
そこに、孫家がつけ込むだけの隙があるはずなのではないか。
牽制のためでもなんでもいい。とにかく、荊州内部に楔を打てさえすれば、今回はそれでよかった。
「休憩ついでに、袁術殿のご機嫌も確かめて参ります。袁家の片割れにそっぽを向かれたまま戦をすること、大将軍も本意ではございますまい」
「なにからなにまで、気の利く男だな。貴様に任せる、孫策。あのわがまま小娘を、連れ戻してきてくれるか」
「御意に。それでは、私はこれにて」
冥琳を連れて、足早に広間をでた。
ちょっと遅れて霞がついてくる。息の詰まる軍議のせいで肩が凝ったのか、霞はしきりに指で揉んでいた。
何進に命じられたように、どうにかして袁術を復帰させる必要がある。袁術は南陽に拠点を置いており、隣接している劉表の対抗馬とするには、ちょうどいい相手だった。
それに、幼くして名門を率いることになった少女の人となりにも、個人的に興味がある。
「ひっさしぶりー、一刀。ようやく、堂々とべたべたできるなぁ」
「おまえも苦労をしているようだな、霞。役人仕事に嫌気がさしているのなら、母御に勧められたように、さっさと足抜けしてしまえばいい」
「いやいやー。これでもウチって、義理堅い女やろ? せやから辞めるにしても、引き継ぐものはきっちり引き継いでからじゃないと気が済まへん。なっ、なっ? ウチの意外な側面に、惚れ直した? 愛する冥琳が側にいるからって、遠慮することないんやでー?」
横から霞に抱きつかれているせいで、歩行速度が著しく落ちている。
恥ずかしげもなく押し当てられる胸。どう考えてもわざとなのだろうが、それでも反応してしまうのが男の浅ましいところだった。
お返しとばかりに、袴の内側に手を差し込んで尻をさする。霞は大きめの外套を肩にかけているから、遠目には自分たちの行為を判別することは不可能だった。
「んっ、ああっ、んっ、あうっ……。こ、こら、かずと……ぉ」
宮中で働く女官とすれ違う。顔を赤らめている霞に小さな不信感を抱くことはあっても、それをわざわざ指摘するような殊勝な人間などいない。
快活な霞の美貌が、搦手を攻められて時折歪む。さらりとした肌は手触りがよく、いつまでも触れていたいという気持ちにさせられる。正直、一発抜いておかなくては袁術の説得どころではない。見つけた空き部屋に二人を連れ込み、孫策は猛る下腹部の槍をさらけ出した。
「うっわ……。一刀のちんこ、めっちゃでっかくなっとるし」
「宮中でわれらに奉仕させるなど、正気を疑うぞ。曹操殿、それに大将軍と劉備殿にもか。ほんとうに、だれ彼構わず色目を使う男だ」
反り返る男根の姿に圧倒される霞を横目に、冥琳が先端にしゃぶりついた。
なんだかんだ文句を言いつつ付き合ってくれるのが、この幼馴染のいいところだ。腐れ縁とでもいうべきなのか。ちょっと眼を蕩けさせる冥琳の黒髪を撫でつけ、孫策は満足そうに笑みを浮かべた。
「ちゅっ、ちゅっ……。んむっ、んっ、むっ、んむっ……」
「よぉし。ほんじゃウチも、失礼して……。んれっ、んっ。はむっ、んむむっ……。れちょ、んっ」
根本から舌を這わせる霞の動きに合わせるように、冥琳が亀頭目掛けてどろりとした唾液を垂らす。
興奮が徐々に高まっていく。
赤黒く腫れた亀頭を霞の手のひらがこね回す。冥琳の唾液が、表皮から染み込んでいく感覚が強かった。男根がびくりと脈打つ。気を良くした霞が、さらに激しく快楽を送り込んでくる。
「ふふっ。なあ、一刀」
立ち上がった冥琳が、吐息を感じられるほどに距離を詰めてくる。
萌え立つ草原を思わせる双眸。それが、妖しく揺れている。吸い込まれるように、唇を吸った。霞の嫉妬心でも煽ろうとしているのか、冥琳がしつこいくらいに舌をねぶってくる。普段から見えている乳房の谷間。手を差し込んで上下させると、やわらかさとあたたかさで気が狂いそうになった。
大げさな音をたてながら、冥琳が唇を離す。霞は完全にその気になっていて、自分ひとりで精液を吐き出させようと躍起になっている。こうした部分は、まだまだ余裕がなくてかわいらしいと思えてくる。強烈な吸引に、不意に腰がふるえた。
「ちょっと考えてみたのだが、おまえ、本気で袁術殿を落としてみるつもりはあるか」
「んっ、んあっ……? なんや一刀、ウチがあんたのこと気持ちよくしてあげてるのに、小便臭い女のこと考えて、ご立派なチンコひくつかせてるん」
唾液まみれになった男根に頬ずりをしながら、霞が抗議を声をあげている。
そんなことはない、と言うのも煩わしかった。霞の後頭部に手を添えて、口腔に勃起したものを挿入していく。表情こそ苦しそうだが、内側は歓喜にふるえていた。視線だけを冥琳に向けて、孫策は霞のあたたかさを存分に味わっている。
「おい。そういうことをしている真っ最中だとはいえ、下についているモノで返事をするのだけはやめておけ」
「だから、違うと言っているだろう。まあ、ありかなしかと問われたら、答えはひとつに決まっているが」
霞の耐えられるぎりぎりまで喉奥を責め、快楽を引き出す。
仕合でもしている気分になっているのか、どんな状況に追い込まれようと霞は舌を絡めることをやめようとはしない。こぼれる嗚咽。まだ平気だろうと問いかけるように、亀頭で奥をえぐる。
「袁術殿くらいの年頃の子は、大人の気持ちに敏感なものだ。ゆえに、仮初の態度ではすぐに気づかれよう。だから、一刀」
「俺という男の気の多さ、軍師として利用しない手はないか。いいだろう、冥琳。俺の本気、おまえにも見せてやるさ」
そうと決まれば、善は急げだ。
なにより、無性に気分が昂っている。大きな動きで霞の喉奥に突っ込むと、なにかが弾けたような感覚があった。
「か、かずっ……。うぷっ、んうぅう……♡ んくっ、ごくっ、んっ……。しゃ、射精、すっごぉ……♡ んぷっ、ふうっ、んっ……。むっ、んむっ……」
ねっとりとした霞のあたたかさに男根を包まれたまま、冥琳の唇をたっぷりと味わう。蕩けるような心地よさだ。下手に直接交わるよりも、精液を搾られているような気持ちになってくる。実際、霞の喉は動き続けていて、新鮮な白濁をどうにかこぼさずに嚥下しているのだ。
「うへえ……。一刀のここ、えげっつない匂いになってしもうたなあ。すん、すんすんっ……♡ なあ、冥琳もそう思うやろ?」
「ふふっ。女を狂わせる極上の香りだろう、霞? んっ……、もう少し気合をいれてみせないか、一刀。これでは、隅々まできれいにしてやれん」
つぎなる狩りに向けて、身体は十分に研ぎ澄まされた。
満足しきってだらしなく垂れている男根。霞と一緒になって舌できれいにしている