屋敷の風呂場に、孫策はひとり訪れていた。まだ日中であり、侍女に無理を言って用意させた湯でもある。そんなわがままを押し通してでも、いまは誰にも会いたくない気分だった。
近頃、ひとりになるとどうしても考えごとをしてしまう。くだらないことだ、と笑い飛ばせればどんなにいいのか。弱い自分が嫌になって、桶に入った湯を頭からかぶった。
蓮華が、かわいい妹が、五歳を迎えている。自分に向けてくそったれと呟きながら、孫策はもう一度湯を頭の上からぶちまけた。
妹ができた瞬間のよろこびは、いまでもよく憶えている。家全体がお祭り騒ぎであり、これだけ盛り上がるものなのか、と同時に驚いたものだ。
それまで、孫家の子は自分ひとりだった。大好きな両親のためにも、がんばって立派な大人にならなくては。子供なりにそんな責任感があって、特に剣の修練は熱心にやっているつもりだ。
「オレ、こんなのじゃだめだ。わかってるのに、クソっ……」
孫策の悩みの種は、ほかならない蓮華だった。
街の人たちの雰囲気が、蓮華が大きくなるにつれてちょっと変化してきている。聞きたくない声も、通りを歩いているとたまに聞こえるようになった。
小さな時から、勘がいいと両親から褒められた。嬉しいことのはずなのに、自分の鼻のよさが場合によっては鬱陶しく思えてくる。
ずぶ濡れになった顔を、孫策は手のひらで覆った。
孫権さまが無事成長くだされば、孫家はこの先安泰だ。やっぱり、跡継ぎになられる御方は、血の繋がりがあった方が安心だね。
領民の話していることの意味が、最初はさっぱりわからなかった。自分は孫家の子であり、親と呼べるのは父と母の二人だけだった。そのはずなのに、不安は日毎に大きくなる。言われてみれば、自分は妹と違って髪も瞳の色も孫家の人間らしくない。せめて顔つきくらいは似ていてくれ、と池の水を何度も覗いた。
ひとりで悩んでいても、謎が解けることはない。ついに我慢が限界に達し、両親に直接確かめた。
「ははっ……。だっせえよな、オレって。偽物なのにえらそーなこと言って、ほんと……」
孫策が真実にふれたのは、ほんの三日前のことである。
普段と変わらず、優しくほほ笑んでくれている父。その隣に立っていた母が、特に考えることもなくおまえは他人の貰い子だと言い放った。
手のふるえが止まらなかった。両親の前を、逃げるように去った。知らなかったのは自分だけ。そのことが、余計にみじめに感じられた。その日から、蓮華の顔をまともに見られなくなった。
浴室の扉が開く音がする。反射的に、孫策は声をあげていた。
「雷火です、一刀さま。じゃから、そう慌てめされるな」
そこにいたのは、湯浴み用の白くて薄い衣だけを羽織った雷火だった。女の人の大事なところが危うく見えてしまいそうで、慌てて前を向き直す。まったく意識していないのだろうが、雷火だってきれいな人なのだ。
孫家の重臣であるのと同時に、孫策にとっては歳の離れた姉のような人だった。また、学問の師匠であり、両親とは比較にならないほど叱られている相手でもある。この何年かで風呂にはひとりで入るようになったが、昔はなにも考えずに重臣のみんなと入浴していた。遊びの延長線上のことであり、いまのように複雑な気持ちになることなんて当然なかった。入ってきたのが冥琳だったら、おそらく自分はもっと落ち込んでいたのだろう。
「外では、なにかと邪魔が入りますからな。二人きりになるとすれば、風呂場が一番手っ取り早い」
雷火が背中のすぐそばに立った気配がある。
「座学の時間じゃというのに、一刀さまのお姿がどこにも見えませなんだ。それで事情を聞き回っておったのじゃが、お好きな剣の鍛錬まで投げ出されたそうではありませんか。もしやと思い、侍女をひっ捕まえて居場所を聞き出した所存。どうか、お許しくだされ」
「……許すもなにも、オレは孫家の子供じゃないんだぞ。知ってたんだろ、雷火だって。街の人たちが言ってたんだ。ほんとうの子供じゃないオレは、いつか不要になるんだって。そんなやつが勉強がんばって、なんになるんだよ」
「ふっ、あははっ。なんと、一刀さまはそんなことを悩んでおいでじゃったか」
「……笑わないでよ。これでも、こっちは真剣なんだ」
「おっと、これは失敬をば。ですが、そうじゃのう」
「わっ……。ら、雷火?」
雷火が場所を移し、椅子に座る孫策の前に跪いた。薄い衣の隙間から、見えてはいけない部分が垣間見えてしまう。自分だって、一応年頃の男なのだ。母やほかの重臣連中に言ったら確実に馬鹿にされそうだが、意識してしまうものはどうしようもない。
「血の繋がりが、なんです。姫さまがお産まれになってからも、ご両親はあなたに愛情を注がれているではありませぬか。われらだって、冷たくあしらった記憶はございませぬぞ」
「んっ……。でも、雷火は怒るとすっごくこわい」
「むぅ……。それは、愛情の裏返しでしょう。一刀さまに立派な跡継ぎになっていただきたいゆえ、わしもじゃのう」
静かに、抱きしめられた。雷火の匂いがする。ふれている部分が熱くて、胸がどきどき鳴っていた。
いろいろと悩んできたことが、馬鹿らしく思えてくる。確かに、雷火の言った通りだった。父も母も、小さな妹に時間を取られている時以外は、自分に変わらず構ってくれている。一番大事なはずの家中での出来事を忘れていただなんて、ほんとうに大馬鹿者だ。
「おっ、なんだなんだ。バカ息子がいじけていると聞いて一発ぶん殴りにきてやったのに、おもしろいことになっているじゃねえか」
「なっ……、どうして炎蓮さまが」
「はっはっはっ。抜け駆けとは見損なったぞ、雷火。若殿をお慰めするのに、どうしてわしらに声をかけぬ」
「そうそう。一刀くんだって、どうせならこわーい雷火より、優しいお姉さんによしよししてもらいたいわよねえ?」
「お、おぬしらまで揃いも揃って……。炎蓮さまは、これはどういうおつもりで」
雷火とは打って変わり、肌を少しも隠す気のない三人が、大股で近づいてくる。母に加えて、祭と粋怜の二人だった。
正直、雷火に密着されただけでも頭が変になりそうなのに、三人のいろんな部分を直視なんてできるはずがない。穏やかだった雰囲気が一転、母の吹かせた嵐が浴室で暴れ倒している。
「立て、一刀。おっ? こっちは、すでに元気になっているようだな」
「えっ。あの、母さま……?」
自分でも、よくわかっていない現象だった。ただ、頭の中が変になりそうな時、おちんちんがかたく大きくなってしまう。当然、そんなところを誰かに見られたことなんてないし、それが親しい人ばかりなせいで、恥ずかしさでどうにかなりそうだった。
「許す。責任を取って、貴様が一刀を一人前の男にしてやるのだな、雷火」
「やっ……。炎蓮さまの仰っている意味が、わしにはまったく」
「あっ。もしかして雷火、まだ後生大事に純潔を守っているんじゃないでしょうね」
「ぐ、ぐぬぬ。清らかでいることの、なにが悪い。だいたい、おぬしたちは……」
「わかっておらぬのう、粋怜は。雷火には、若殿ひとりおればそれでよいのじゃ。それゆえ、小さな頃よりこうして自分好みの
「な、ななっ、なにをするのじゃ、祭」
「むっ……? なにごとにも、指南は必要じゃと思ってのう。ほれ。ここをこう引っ張って、若殿の皮をずるりと剥いて差し上げよ」
稲妻に打たれたような衝撃が全身を走り抜ける。大きくなったおちんちんに、雷火の手がふれている。なにかが爆発してしまいそうだった。しかも、四人分の視線が自分のそこだけに集中しているのだ。まさか、これはなにかの拷問なのか。感情が渦巻く。そのすべてが、一箇所から放たれそうな感じがする。
「一刀のことを大事に思っているのなら、早く楽にしてやるのだな。これでは、生殺しだぞ」
「か、一刀さまのことを? うっ、むむむむっ。ええい、ままよ……!」
雷火の指が、先っぽを覆う皮を思いっきり根本まで引っ張った。
真っ赤に腫れた先端が姿を見せた。あまりの刺激で、頭がくらくらしてなにも考えられずにいる。
もうだめだ、という感覚が強かった。視界が一気に白くなっていく。なにも考えられないまま、腰だけがふるえた。
「だっ、だめだっ。あっ、な、なにこれっ。はあっ、あっ、雷火」
「わっ、すごいすごい。一刀くんってば、上手にお射精できたわねー。ふふっ。なんにも知らない男の子を手でいかせちゃうだなんて、雷火もやるじゃない?」
「へっ……? わ、わしはなにも……。というか、あのっ……。一刀さまのここ、まだひくひくって」
「ハハッ。見てくれは完全にガキそのものだが、なかなかいい出しっぷりじゃねえか。そうでなくては、孫家の嫡子は務まらん。この母が、直々に褒めてつかわそうぞ」
「しゃ、しゃせー? あっ……。か、母さま」
いくつもの感情が、ぐちゃぐちゃになって変になっている。
さり気ないことだが、母から嫡子だと明言されたのは嬉しかった。それに、おちんちんの先から出る白いものが、まったく止まってくれなかった。気持ちいい。なにもかもをぶつけて、素直になっていいと思えた。それに、みんなの優しさが肌の熱さを通じて直接伝わってくる。
「小便するみたいに射精しやがって、ったく。母が飲んでやるから、いくらでも出せ。ほら、一刀」
「お、お口でなんてだめだってば……。あっ、んんっ、あっ……!」
「うるせえんだよ、クソガキ。喋る暇があるんだったら、もっと男らしく腰を動かせ。母の喉マンコを、射精憶えたてのガキチンポで立派に犯してみろ」
「やっ、いやいやっ。わしらはともかく、炎蓮さまはよろしいのですか。このような行い、旦那さまに知られたら」
「ああ? いつまでも、小さいことをぐちぐち言う女だな、貴様は。こんなもの、修練の一貫じゃねえか」
白いおしっこをぶちまけているおちんちんが、母の口の中にすっぽり収まった。びくびくがとまらない。
敏感すぎる先端だった。腰が抜けてしまいそうだったが、気合を入れて腰を前に出した。母の表情が嬉しそうに歪んでいる。横から抱きついている粋怜に、えらいえらいと頭を撫でられた。
「言っておくが、貴様ら。一刀の童貞を勝手に奪ったやつは、オレが直々に殺してやるからな。クソガキなりに意地があるんだ。童貞を捨てる穴くらい、自分で選ばせてやらねえとなぁ?」
「ほう。となると、やはり冥琳あたりですかな。まあ、それならそれで構いませぬ。わしらの手や口で鍛えておけば、生娘相手に遅れを取ることはありますまい。どこへ出しても恥ずかしくないチンポに磨き上げ、いつかはそのおこぼれを、ふふっ。ほれ、若殿」
「祭……。んっ、あむっ、んっ、はっ」
「あー。祭ってば、言ってるそばから一刀くんと口づけしちゃってずるいー。ねっ、一刀くん。お姉さんとも、気持ちいいことたくさんしましょうねぇ」
冥琳とも、いつかはこんなことを。ちょっと考えただけでも、おちんちんが熱くなった。
祭と粋怜がかわりばんこに唇を吸ってくる。食べられているおちんちんは相変わらずふるえっぱなしで、正直感覚がほとんどなくなっていた。
「あの、一刀さま。お嫌でなければ、その……」
「うん。オレ、雷火ともしてみたい。だから、んっ……」
「あんっ。雷火ったら、意外と大胆なんだから。はあっ、んんっ。お姉さん、濡れてきちゃうなあ。ねえ、一刀くん。明日か明後日にでもさくっと童貞コキ捨てて、お姉さんともやらしいことたくさんしましょう? おっぱい、好きだもんねー。鍛錬中でも、しっかり見てるの知ってるんだから。かわいい一刀くんにお願いされたら、ここで挟んであげちゃうかも。ほらっ、むにむにっ♡」
「ふふふっ。粋怜の誘惑などに負けてはなりませぬぞ、若殿。ほれ、こうして腕をむっちりと胸の谷間で、んっ、ああっ……♡」
「おっ、んぶっ……♡ ハハッ。精通チンポの味、たまらねえ。次から次へと子種が溢れてきて、んあっ、じゅずずずっ」
全身が、とろけてなくなってしまいそうだった。たぶん、母の口の中は白いおしっこでいっぱいになっている。それだけ、大量に出しているという感覚があったのだ。
唇を吸ってくる雷火の動きが、段々と激しくなっていた。左右からは文字通り胸ではさみ撃ちにされ、ちょっとも身動きがとれなくなっている。そんな状態の中、孫策は必死になって決意を述べた。
「オレ、もっともっと強くなる。誰にも文句なんて言わせない。孫策に任せておけば大丈夫だって言ってもらえるように、オレは強くなってみせる。だからみんな、あっ……!」
また、腰が強くふるえた。涸れ果てる気配が少しもない。あふれる唾液と同じように、熱いものが腰の先にのぼっていく。それを、とめたいとも思わなかった。
腰をふった反動で、おちんちんが口の中からずるりと抜ける。暴発した白いおしっこが、母の顔を思いっきり汚した。
「ハハハッ。貴様は、間違いなく虎の子よ。この世のすべてを喰らいつくしてやれ、一刀。孫策伯符という剣、これまで以上に母が磨きをかけてやる」
けもののように笑う炎蓮に向けて、孫策は大きく頷いてみせた。
どこからきた誰だろうと関係ない。オレは、俺は孫堅の子、孫策だ。
虎となりて、天下を喰らう。心の中で唱えてみると、全身に流れる血が沸き立つようだった。