気分のいい夜更けだった。薄く濁った酒を、ゆっくりと飲み干す。盃を卓に置くと、中央にある小さな灯りがちょっと揺らめいた。
あれから美羽と七乃を連れて風呂にいき、たっぷりと全身を清めた。七乃の奉仕を思い出すと、落ち着きかかっていた情欲の炎が再び騒ぎそうになる。あれで献身的なところのある女なのだ。それだけに、袁家との結託を進言してくれた冥琳には、感謝の気持ちしかなかった。
はじめて男を知ったのである。味わったことのない疲れから、美羽は早々に床に就いてしまったらしい。七乃は当然のように、お嬢さまと添い寝をすると言って一緒に寝所へ行っている。
「ねえー、一刀くんってば聞いてるの?」
「ン……。少し、考えごとをしていた」
密着した状態から、瑞姫が空いた盃に酒を注いでくる。
下心を直にくすぐるような匂い。押し当てられる胸のやわらかさ。洛陽を脱出してからも紆余曲折あったというのに、気丈な女だった。大切にしているという小袋は、いまも首から紐で胸元にぶらさがっている。
部屋にくるまでにも、借りた着物の香りが気に入らないからと、軽く七乃とやり合ってきたらしい。気まぐれな言動には慣れているはずの七乃が、わざわざ文句をぶつけにくる程度に瑞姫は強かなのである。
拾い物はしてみるものだ、と孫策は盃を持ち上げた。
「うふふっ。好きなだけ飲んでくれていいのよ、一刀くん。なんたって、袁家の蔵から出てるタダ酒なんですもの。姉さまなんて、ほら」
「んあー? いま私になにか言ったのかー、れいちぇんー」
「もう。いくら洛陽を追い出されたからって、姉さまは漢の大将軍なんでしょう? だったらもう少し、しゃきっとなさいよね。……こうなったら、私ひとりでもこの男を籠絡するしかないわね」
「どうかしたのか、瑞姫。そんなに、難しい顔をして」
「な、なんでもない! なんでもないから、一刀くんは疲れをしっかり癒やしてちょうだい」
緊張からの解放で、傾は席についた瞬間から単身飲んだくれている。手が届く範囲にいるからと尻や乳房に時々ふれてみるのだが、いい反応が返ってこないものだから、いまいち遊び甲斐に欠けると思っていたのだ。
気がつくと、瑞姫の手のひらが股間のあたりを擦っていた。誘惑するような視線。獲物を狙うけものの眼をしている、と孫策は感じている。
七乃から受けた奉仕を思い出して、男根が半分ほど硬くなっていたところだった。着物のふくらみを瑞姫が指先で引っかく。酒も入っていることで、主導権が自分にあると判断しているのか。しばらく相手になってやるつもりで、孫策は弱々しく声をもらした。
「ねっ。気持ちのいいこと、してあげましょうか。姉さまはあんなだし、二人で愉しみましょう?」
「くっ、んっ、ふぅ……」
「あはっ。一刀くんったら、案外かわいい声で鳴くんじゃない。ほら、もっとかりかりっ……♡」
瑞姫の指が、先端の上を何度も往復する。徐々ににじみ出る我慢汁が、着物に淫靡な点をつくった。それで機嫌をよくした瑞姫の手つきが、より大胆になっていく。
「ああっ、んっ……。私の手、あなたの着物の中に入っちゃった。うふふっ。こんなにかっちかちにしてくれちゃって、えいっ……♡」
「くっ、ああっ、れ、瑞姫」
「ここ、上下に動かされるのが気持ちいいのね。あははっ、いいわよ。たくさんシコってあげるから、その分あなたは私の言いなりになるの。悪くない条件でしょう? ちょーっと言うこと聞くだけで、おちんちん使ってあんあんって鳴かせてもらえるのだから」
気分が乗ってきた瑞姫に向けて、何度も大きく頷いた。実際、冷たい指に包まれていると結構な気持ちよさがある。それも、一度は帝の皇后となった女になのである。子供だった頃から周りに鍛えられていなければ、命じられるがまま瑞姫にのめり込んでいた可能性もあるのか。
そして、それはそれでいい経験ができそうだと考えてしまうのは、たぶん自分の悪いところなのだろう。
「うわっ……。私の手、どうしてくれるのよ。あなたの吐き出したお
我慢汁に濡れた瑞姫の指。いい姿になった人差し指を、迷わず口に含んだ。関節。爪の隙間。愛撫をする要領で、舌を動かす。瑞姫の反応を見ながら、段階的に深く咥えていく。
瑞姫の整った顔が悦びにふるえている。歪ませるのが一段と愉しみになっていることを、孫策は自覚していた。
「ねえ、一刀くん。これ、なーんだ?」
「んっ、んう……」
指を咥えたままの孫策の眼前で、瑞姫が件の小袋を揺らしてみせている。
袋の口をそっと開けて、瑞姫が中身を取り出す。妙な輝きを放つ小さな四角い塊。龍の意匠が、自分を睨んでいるようだった。
「帝を帝たらしめる証。田舎者のあなたにも、さすがにこれがなんだかわかるわよね。どう、すごいでしょう? たとえ転ばされても、タダじゃ起きない女なのよ、姉さまは。想像してみてちょうだい。玉璽を奉戴して、孫家は洛陽に攻め上るの。大将軍と帝の后をあるべき場所に還すための戦なんですもの。誰にも、文句なんて言わせないわよ」
洩れそうになった笑い声を、指を吸うことでどうにか堪えた。
ほんとうに、面白味のある姉妹なのである。玉璽を求めて、いまごろ宦官どもは宮中を総ざらいしているのではないか。いい気味だと思った。なにより、天運は孫家についている。やがてきたる日のためにも、帝たる証を手中に収めておくのは悪いことではない。
「玉無し共に眼に物見せてやらないと、こっちも気がすまないのよ。だから、いまここで誓いなさい。私たち姉妹の刃になるのよ、一刀くん」
静かに立ち上がり、おのれと玉璽に恭順の意を示すように瑞姫が促した。
唾液まみれになった指が抜けていく。卓上に突っ伏した傾の虚ろな瞳が、自分たちのやり取りを映していた。
「玉璽は、ありがたく受け取っておく。ただ、俺はあまり都にこだわりはないのでな。悪く思うなよ、瑞姫」
「へっ……? あ、あなた、なにを言って……。んっ、んむっ、むっ、んふぅ……♡」
瞬時に酒を含み、瑞姫の唇を塞いだ。玉璽を持っている手首を締め上げる。よく耐えた方だとは思うが、瑞姫からこぼれ落ちた小さな塊を孫策は掴み取った。
「んっ、んぷっ……。なにを、あんっ、あっ」
戸惑う瑞姫を壁際に押しやり、強引に股を開かせた。やる気になった股間のモノは、いきり立ったままなのである。予想通り濡れていた瑞姫の秘部に、先端を使って我慢汁を塗りつける。
その間も、舌を深く絡ませ続けた。
「やっ、いやっ……! 放しなさいよ、この下郎……っ」
「仕掛けてきたのは、おまえからだ。前にも言ったが安心しろ。二人の安全は、俺が守る。それに、荊州での暮らしは忌避するほど悪くはない」
「んぐっ、あっ、あーっ♡ な、なにこれぇ……♡ おっ、お゙ーっ♡ おっきいのが私の中に、はあっ、あっ、くふ……うっ……!?」
奥まで突き抜けた反動だけで、瑞姫は達してしまったらしい。締まりのいい肉襞が、嬉々として絡みついてくる。粟立った肌を撫でてやると、瑞姫から熱い吐息が洩れた。
「あっ……♡ こ、これやばっ。またいくっ、いかされちゃう。んっ、あっ、あーっ♡」
「しっかり愉しんでいるんじゃないか、瑞姫も。はははっ。漢の領土は、いずれ孫家が平らげてやる。そのときになって、やはり洛陽がいいと言うならそれもいいさ」
「あっ、お゙うっ……♡ やっ、いやっ。奥ばっかり責めるの、だめぇ。はあっ、んっ。な、なんなの、このチンポ……♡ 気持ちよすぎて、いくのとまんない。んあっ、あっ。そんな、またっ、あっ……♡」
「まだまだ、瑞姫」
体勢を変えて、瑞姫に壁に手をつかせた。
着ているものをめくり、丸い尻を露出させる。肌が波打つように腰をぶつけると、帝の后を蹂躙しているという支配感から、熱いものがぐっとせり上がった。
「だめっ、あっ、んあっ。おっぱい、乱暴にされてるのになんで、んっ……♡ 一刀くんのくれる全部が、おかしくなるくらい気持ちいいの。お゙っ、んーっ、んっ……。やらしい声、とまらない。強引に犯されてるのに、私もっと欲しくなって」
ぶら下がった乳房を後ろから潰し、瑞姫の背中が反るくらい快楽を引き出してやる。入口から噴き出した汁で、床には水たまりができていた。収まりのよくなってきた膣穴で何度も男根を擦ると、動きに合わせて瑞姫も締め上げる力を強くしてくる。さすがに、欲望が大きいだけ順応も早いようだった。
「こだわりすぎるなよ、瑞姫。傾のやつを見てみろ。都で権力をふるっていた時、あんなに幸せそうな顔をしていたか」
「ね、姉さまですって。あうっ、んっ、んっ……。た、確かに、言われてみればそうなのかも……?」
「古い権力には、力と同じだけ面倒事がつきまとう。二人を追いやられたのも、そうだ。時代の流れは、誰にも止められない。だから全力で乗ってやるのさ。俺も、曹操もな」
あの女も、動きを見せている。毛嫌いするような素振りを見せていた袁紹と結んでの動きなのだから、それだけ本気で天下を奪りにきているということだった。
曹操と袁紹は軍勢を洛陽に向けている。考えるまでもなく狙いはつぎなる帝の身柄であり、その意味でも玉璽が転がり込んできたことは自分たちにとって吉兆といえるのではないか。
「心底愉しそうなのね、あなた。ふっ、ふふっ。私はやめるように言ったのよ、小領主に過ぎない孫家を頼りにするだなんて、はっきり言っておかしいじゃない。でも、お゙……っ♡」
瑞姫の示す反応が、一段と素直になった気がしていた。
子宮の手前にまで男根の先がすんなりと入っていく。窮屈さは微塵もなく、ただただ気持ちよさのある空間がどこまでも拡がっている。そうした感覚のある膣穴を、孫策は限界まで反り立つモノで突いた。
「きて……♡ あっ、んんっ、うっ……。ねっ、いいでしょう。私の中に、一刀くんの子種をちょうだい。それで、契約成立よ」
覚悟を決めたような口ぶりだった。
向かい合わせとなり、改めて瑞姫を抱く。積極的な口づけだった。互いの唾を味わい、快楽を貪る。大きくふくらんだものが、ほとんど弾けそうになっていた。腰をちょっと落とし、瑞姫が射精を求めてくる。いやらしい肉の動き。瑞姫の肌の熱を存分に堪能してから、孫策は奥にすべてを解き放った。
「んっ、くふう……っ♡ き、きてるっ。んっ、んあっ……! おちんちんの先から、熱い子種がたくさん、んんっ……♡」
本来ならば交わることなど許されない女体に、好きなだけ精液をぶちまける。文字通り、最高の気分だった。
「ああっ、もうだめっ、またいっ、くうっ……♡ おうっ、お゙ーっ、んっ……。こ、このチンポがないと、私もう生きていけないかも♡ はあっ、ははっ、はふぅ……。しっかり責任とってもらうんだから、覚悟しておきなさいよね、一刀くん……♡」
快楽と今後に対する期待に、瑞姫の顔が歪んでいる。
任せておけと言うように、孫策は赤い唇を再び深く吸った。