超然とした輝きを放つ双眸が、静かに自分のことを見据えてくる。
曹操に叱りつけられた夏侯惇はすっかり小さくなっていて、もはや闘いになりそうはない。面倒事を避けられたのはなによりのはずだが、孫策の心には不完全燃焼となった種火が燻り続けていた。
「わが臣下の働いた無礼、謝罪させてちょうだい。私は曹操。どこぞの野良犬でなければ、そちらの名前も聞かせてもらえるかしら」
「孫策。江東の、孫策伯符だ。朝廷からの命に従い、西涼に蔓延る賊徒を誅滅せんがため洛陽に参上した。道中、曹操殿に用があるという女を拾い、ここまで届けにきた次第でな」
「あら、それは手間をかけさせたわね、孫策。こちらの飼い犬が噛みつきそうになったこと、重ねて謝らせてもらわないと」
「うぐっ、ぐすっ。か、華琳さまぁ……」
曹操が手招きをする。どうやら、喧嘩をふっかけられた穴埋めをしてくれるようで、断る理由もないから孫策は大股で邸の中を進んでいく。
内部の設えは意外と質素であり、主人の性格があらわれている。曹操は権勢を誇った宦官の孫であり、懐具合には余裕があるはずだった。
これが袁紹、袁術あたりの住まいなら、豪華な調度品がそこかしこに置かれているのが普通なのだろう。並みいる貴族に、四世三公の家が遅れをとっていられないという事情はある。それでも金が有限なものであるかぎり、勢力を率いる人間としてはその使い道には心を砕く必要がある。
広さのある私室に通され、孫策は勧められた椅子に腰かけた。冥琳たち陪臣は、後ろで静かに控えている。
「さて。臣下のやらかした粗相の償い、私はどうするべきなのかしら。ねえ、春蘭?」
「む、むぐぐ。この男があまりに怪しかったゆえ、私は華琳さまの御為に……。そ、それに、あちらの猫耳女もよくなかったのですよ? こちらに聴こえる大きさで、あのような場面で馬鹿などと申すばかりに」
「言い訳はもうよろしい。うふふっ。やはりここは、当人である孫策に案を尋ねるのが筋というものかしら?」
憧れている相手の前でなじられたことに腹が立ったのか、荀彧の歯ぎしりが席まで聴こえてくる。隣で直視している冥琳や梨晏からしてみれば、笑いをこらえる苦労をさせられている分、いい迷惑になっているのではないか。
ここまでの会話で、段々と曹操主従の関係性が見えてくる。
たぶんだが、二人には単なる上下関係を越えたつながりがある、と孫策は思っていた。
せっかく指名を受けたこともあるし、燃やしきれなかった思いをちょっとばかし発散させてもらおうか。そのくらいの気分で、孫策は夏侯惇の女らしい肉体に視線を送っている。
「ン……。曹操殿がそこまで仰せになるなら、ひとつ願いを聞き届けてもらってもよろしいか」
「ええ、なんなりと。ここで堂々と言ってみなさいな、孫策」
「お、お待ちください、曹操さま。その男には、まともな常識なんて通用いたしません。ここで下手に譲歩なんてされてしまうと、それこそどんな下劣な願いを言い出すものか」
焦った様子で荀彧が横から口を挟んでくる。
無視を決め込んで、孫策は曹操の眼だけを見つめていた。
尋常ではない鋭さもそうだが、底がどこにあるのかがまったくわからない。口もとには微笑を浮かべていて、謝罪を受けている割にはどこか試されているような気分になる。
「あなたは黙っていなさい。私はこの男と、孫策と話をしているのよ。さあ、早くなんなりと言ってみなさいな。曹操孟徳の沽券にかけて、あなたの望みを聞いてあげる」
「さすがは、世に名高き曹操殿だ。ははっ、それでは……」
「うへっ……!? な、なんだぁ、貴様その眼は。うぐぐ……。そんなじっくりと、私の身体を見るんじゃない」
部屋の片隅。縮こまっている夏侯惇の顔を、孫策は指さしている。
いい怯え具合だと思った。鼻っ柱の強い女が、感じたことのない恐怖に身をふるわせている。しかも申し分ない器量をしているのだから、これは大変に遊び甲斐がある。
「乳を揉ませてもらおうか、女。たったの一度でいい。それで、今日あったことはすべて水に流してやる」
「は……? あ、あはははっ。んっ、ふふっ。いいわね、あなた。この私を前にして、そんな欲に塗れた言葉を吐けるんですもの」
「どうかな、曹操殿。臣下に対する仕置としても、いい落とし所だとは思うのだが」
「いいでしょう、一度だけでいいなら好きになさいな。ほら、春蘭。私からの罰だと思い、孫策に胸を差し出しなさい。ふふっ。これだけのことがあったら、さすがのあなたでも、同じ間違いを繰り返しはしないわよね」
思った通り、曹操は願いを快諾した。
ここで引き下がれば、乱世の奸雄の威信に傷がつく。それはなによりも忌避すべき事態であり、だからこそ曹操は最初に夏侯惇のことを厳しく叱りつけたに違いない。
「そ、それが華琳さまのご命令とあらば、私は受け入れるまで。ぐ、うぐぐ……。いいか貴様、ほんとうに一度だけだからな」
「わかっているとも。ほら、そんなに怯えていてはいつまで経っても仕置が終わらないぞ。俺の膝の上に座れ、女。どうせなら、楽な姿勢で堪能させてもらおうか」
「な、なんたる屈辱だ。はあ、はあっ……。ど、どうだ、これでなにも文句はなかろう。ふう、んうっ……。さっさと私の乳を揉め、孫策」
肉感のある女の身体が、膝の上に乗っている。これだけでもかなりの優越感があり、まともな男なら興奮して当然の状況だった。
左右の手のひらを、ゆっくりと近づける。すぐに触れてしまってはもったいない。曹操と夏侯惇。両方の顔を見比べつつ、孫策は一度かぎりの乳揉みを愉しんでいる。
「うわ。まさかとは思ったけど、ほんとのほんとにそっちの方向でやっちゃうんだ。すごいんだね、一刀って。どう考えたってまともじゃないことを、あんなに堂々と言えてしまうんだもん」
「くくくっ。しかと眼に焼き付けておくのだな、二人とも。孫策伯符という男の持つ欲望の深さの片鱗、おそらく見えるぞ」
「うぐ……。なにがそんなに嬉しいのよ、アンタは。あんな男にぴったりくっついている女が正常であるはずないと思っていたけれど、大概思考がいかれているわね、周瑜公瑾」
「うむ。それは褒め言葉として受け取っておこうか、荀彧殿。さあ、はじまるぞ」
野次馬の言葉を背に、夏侯惇の乳房を手のひらで覆う。
いい張りをしていて、重さも悪くない。柔軟性のある肉に、一本ずつ指を沈ませていく。下腹部で感じる臀部の肉感もたまらない。正直、服の中でモノが暴れる予兆を示していた。
「くふ、んっ、ふあ、あぁあっ……」
あんなに強気だった女が、自分の指のせいで小動物のような声を発している。
曹操はまだ微笑したままで、表情に崩れはない。どちらかといえば夏侯惇が弱々しくなっている姿を愉しんでいるくらいで、そういう趣味の女であることがわかってくる。
「いい柔らかさをしているな、女。曹操殿にも、毎晩こうして愛撫してもらっているのか」
「先程から女、女と失礼なやつめ。わ、私には、夏侯惇という父母からいただいた名があるのだ。どうせならそう、んうっ、ふはあ……っ」
「すまなかったな、夏侯惇。それでは、礼を失した償いにこれはどうだ」
「むう、ふーっ、はっ、くうふ……ぅ。も、もうこれで十分だろう。んあっ、くっ、あんっ、ふうぅ、んっ。貴様は一度乳を揉ませろと言っただけのはずではないか、孫策」
夏侯惇の弱点がわかってきたところで、大きく円を描くように乳房を揉みしだいた。
曹操からの命令という呪縛があるせいで、さしたる抵抗を受けることはなかった。あたたかな肉が、いい具合にほぐれてきている。指が時折突起を擦るのはほんの事故に過ぎず、自分の知るところではなかった。
「どういうつもりなのかしら、孫策。その子の言っているように、あなたの望みはとっくに叶えてあげたはずではなくて? いったいどんな権限があって、わが臣下を必要以上に弄んでくれているのかしら」
「確かに、俺は一度乳を揉ませろと言った。ただし一言も、ひと揉みで終えるなどとは申した覚えはないのだが」
不敵に言い放ちながら、孫策は欲望を解放し指を自由に動かす。
もう少し乱暴に扱えば、際どい衣装から豊かな乳房が飛び出してしまう。そのぎりぎりの線を渡り、女のやわらかさを存分に愉しむ。
曹操の苛立たしげな表情。それがなににも勝る活力となって、燻っていた下腹部に力を与える。
「んふっ、うっ、んうぅ……。あっ、なんだ、くぅ、これぇ。だ、だめだ。こんなの、だめなのに。私は華琳さまの、華琳さまだけの……おっ。あっ、んっ、か、かたいものが、あっ、あたって、くふ、ああぁ……」
熱い吐息と一緒に流れる、艶めいた声。
押し上げられるような格好になっている夏侯惇は、なんとか噛み殺そうとしているものの、どうにも我慢が効いていない。
「ふ、ふうん……。いい度胸をしているじゃない、孫策伯符。いいでしょう。あなたの名前、いつまでも脳裏に刻んでおいてあげる」
「はははっ。これ以上なく光栄なことだよ、曹操殿。さて、そろそろ本題に入ろうと思うのだが」
掴んだ乳肉を搾り上げた状態で、孫策は控えている三人のほうに振り返る。軽く尖った乳首を弾いてやると、いい反応が返ってくるのだ。かなり曹操に遊ばれている証左でもあり、余計におもしろくなってしまう。
なにごともなく佇んでいるのは冥琳だけであり、この女ほど頼もしい友人はいないな、とつい感心してしまう。
「そこなる荀彧と申す猫耳女が、曹操殿に仕官することを望んでいるようでな。どうか、取り合ってやってもらいたいのだ。おい、荀彧。ぼんやりしていないで、挨拶をして差し上げないか」
「ひゃ、ひゃひっ……! 私は荀彧、字を文若と申します。こ、こうして曹操さまに拝謁が叶い、恐悦至極でありまして……。そ、そう、率直に申し上げますと、私をあなたさまの側近にしていただきたいのです。最初は下役からでも構いません。ですが、必ずや曹操さまのお役に……」
「ああっ、んぅ。や、やめっ、あっ、あんっ、うあっ。ち、乳首ばかりそんな、あっ、やめっ、んあっ……」
荀彧の畏まった挨拶を、夏侯惇の喘ぎがあとから吹き飛ばす。
洛陽まで無事にたどり着かせてやった時点で、自分の仕事は完全に終えているのだ。ここから先は、すべてが荀彧次第だといっていい。仕官の夢を叶えるのも自由。抱いていた幻想をかなぐり捨て、ほかの道を選ぶこともまた自由だった。
「ぐぬぬ……。覚えていなさいよ、色情魔と猪女の変態二人組みめぇ……」
「はっ、はーっ、くうっ、ああっ。き、気持ちよくないぞ。こんな男の愛撫になんて、決して私は、わた……しは」
男が愉快になるような反応を何度もくれているせいで、正直やめ時が見つからないでいる。
おそらく無意識にしているのだろうが、夏侯惇の肉づきのいい尻が、隆起した男根をぐりぐりと刺激してきているのだ。
吐息にしてもずっと荒いし、夏侯惇は密かに数回達しているのではないかと思えてくる。
重みのある肉を手のひらで持ち上げ、ぷっくりと浮き出た乳首を指先でこね回す。最高に刺激的で、心地よさのある時間。曹操の投げかけてくる突き刺さるような視線ですら、いまは快楽を彩る一因でしかない。
「わが名は周瑜。こちらにいる孫策の、軍師を務めている者です。何卒お見知りおきください、曹操殿」
「孫策の軍師、ねえ。それでその周瑜が、私になにか用があるのかしら。曹家に乗り換えてくれるというなら、喜んで歓迎するのだけれど」
「これはまた、ご冗談を。荀彧殿と旅の途中話をさせていただいたのですが、さすがに王佐の才と評されるだけのことはある、と思わされたものです。人脈も広くお持ちのようでありますし、曹操殿に相応しい文官であることは私が保証いたしましょう」
手に余る巨乳を弄ぶ傍ら、孫策は親友の言葉に耳を傾けていた。
こんなに背中を押してもらえるとは思っていなかったのだろう。むしろ荀彧は表情を困惑させていて、曹操は値踏みするような視線で二人の様子を窺っている。
「そう? そんなに優秀な子であるのなら、うちで使ってみてもいいのだけれど。それと、春蘭はいい加減下品な声を洩らすのをやめなさい。いい、あなたの主はこの私。それを忘れただなんて、言わせないわよ」
「はひ、は、はひっ♡ それはもちろんですっ、華琳さまぁ♡ んおっ、くっ、んっ、くはぁ……。が、我慢。どれほどの快楽を与えられようと我慢するのだ、夏侯惇元譲よ……ぉ♡」
「うっ……。本気で疑いたくなってしまうわよ、そんなメスの喘ぎを聞かされてしまうとね。はあ……。もう、勘弁してちょうだい。荀彧はこちらで預かることにします。それで私に対する用事は綺麗さっぱり終わりでしょう、孫策」
未来に向けての前哨戦は、こんなところか。
最後にもう一度乳肉のやわらかさを味わってから、曹操は夏侯惇を快楽の罠から解き放つ。
すぐに離れようとはしない身体。発情しているのは丸わかりで、しがらみさえなければ、すぐにでも膣内をかき回してやりたいくらいだった。
「帰るぞ、冥琳、梨晏。いつまでも、曹操殿の手を煩わせるわけにはいくまい。それに俺も、母御を待たせている」
「えっ、ちょっ……。ほ、ほんとにそんな簡単に、えっ……?」
「おまえとの旅、なかなかにおもしろかった。西涼の賊徒の始末を終えたら、また洛陽に立ち寄ることもあろう。それまで、曹操殿のもとでよくよく励むことだ」
惚けたままの夏侯惇を膝の上からどかし、孫策は愛刀を佩き直した。
自分がここまであっさり諦めることを、想像していなかったのだろう。肩透かしを食らった感じとなり、荀彧はうまく感情をあらわせずにいる。
「いこうか、二人とも。梨晏のことを、早く母御に紹介してやらねばならん。それでは世話になった、曹操殿。これから、何度も顔を合わせることになるのだと思う。こんなかたちではあるが、知己を得られてよかった」
「ええ、それはこちらも同感ね」
曹操の心に、疑念の種は植えつけた。あとはそれがどう転がり、どんな結果を生み出すかだった。
二人の臣下を連れ、孫策は悠々と邸の門を出た。
乱世を食らいつくし、最後にはあの覇気に満ちた女を屈服させてやる。
譲れない目標がひとつできた瞬間だった。
曹操は間違いなく、この先強く大きくなる。それを最終的に叩き潰すのが、自分の率いる孫家であればいい。
「おい一刀。澄ました顔をしているが、おまえ股間がすごいことになっているぞ。ふふっ。そこの路地裏で、私と梨晏の口にたまった邪気を発散させてやろうか?」
腕を絡ませてくる冥琳の身体が熱っぽい。平静を装っていたのは、どうやら自分だけではないようだった。
冥琳の黒髪に顔を埋め、孫策は胸いっぱいに息を吸い込む。
「わわっ、ほんとだ。一刀ってば、おちんちんこんなになってるのに、よくおっぱい触るだけで我慢できたね。にへへ、えらいえらい」
顔をにやつかせた梨晏が、服の上からそそり立つ男根に触れてくる。
わざわざ出すまでもない答えだった。手で合図をし、明命にもう少し待つように伝える。
臍を噛んだような曹操の顔。思い返すと、服の中で男根がびくりとふるえた。