※この作品はR-18です。

ハイスクールD×D×M   作:ぷうち☆りん

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敢えてエロありと書かなかったのはアンケートが取りたいから


第17話

「ライザー! これはどういう事!」

 

 新婦として俺が選んだドレスがリアスには実に良く似合っていた。

 

「どうした? 俺が選んだドレスが気に入らなかったのか? だったら謝る。お互いの好みは夫婦になった後ゆっくり擦り合わせていけばいいんだからな」

「そんな話はどうでもいいのよ! 何故イッセーをパーティに呼ぶだなんて真似をよくもぬけぬけと!」

 

 射殺さんばかりの視線でリアスは俺を睨みつけた。婚約が決まったばかりの頃にいたあのリアス・グレモリーとはまるで別人の様な振る舞いだ。

ふうーっ、と俺は溜息を漏らすフリをして深呼吸を一つする。こうでもしなければ俺は発作的にリアスの頬を叩いてしまっていたかもしれん。そんな振る舞いは彼奴等の主として、まして上級魔族として恥ずべきもの。俺はあの旧魔王派(クズ)とは違うのだ。

 

「落ち着けよリアス。キミの晴れ舞台に彼を呼ばないだなんてヒドいじゃないか? 俺はキミのためを思ってだな」

「ウソをおっしゃい! そんなにイッセーが憎いの貴方は! イッセーをあれ程痛ぶりながらまだ痛めつけ足りないというの! 貴方は本当の悪魔よ!!」

 

 ポロポロと涙をこぼして彼女は言った。

 ……リアス。キミはあの転生悪魔をそれ程までに想っているのか。薄々感じてはいたがこうもはっきり形にされると思っていたより心に来るな。まさかこのライザー・フェニックスが間男の様に扱われるとは。

 

「とにかくだ。そんな顔をしないでくれ。キミの御両親やサーゼクス様のメンツが掛かってるんだ。キミの晴れの舞台を台無しにしたとあればこのライザー・フェニックスの面子に関わるんだよ」

 

 俺はハンカチを取りだし彼女の涙を拭おうとするがパシン、と払われた。

 

 すると雪蘭とイザベラの顔が忽ち怒りに染まる。俺に嫁ぐ者でありながらなんたる無礼を働くのかと今にも掴み掛りそうだ。だが、俺は手で制する。

 

「いいかい、リアス? これはキミが俺にお願いした事でもあるんだぜ?グレモリー家とフェニックス家の間で決まった婚約だ。他の誰にもどうする事も出来ないさ」

 

 そう……どうにもならないのさ。

 人も悪魔も流れに乗ればいい。そうすれば平穏かつ無事に繁栄することができる。そう簡単に、俺達はバカにはなれない。

 

「……どうにも居づらい雰囲気になってしまったな。リアス。先に会場で待っているぞ。ハッハハハハ!」

 

 から笑いでもしなければ酒でも飲まずにはいられない位に気持ちが荒んでいるのが俺自身分かっていた。

 

 …………。

 

 リアス達と別れ一人になるや、パーティ会場外であの女、マグダラが待ち構えているかの様に壁に背中を預けていた。しかも妙な男を連れ立っている。フルフェイスのヘルメットじみたものに黒い革のジャンパー、そしてこれまた黒のズボン。

 

 

「随分と荒れていらっしゃいますのね?」

「ほざけマグダラ。悪魔祓い共がよくも冥界のパーティに顔を出せるものだな」

「ええ。私達ははぐれの悪魔祓いですもの。ディオドラ様にもよくして頂いていらっしゃいますから」

 

 ぬけぬけとマグダラは言う。こうなるとはぐれというよりもはや悪性腫瘍の様な奴らだ。

 

「お前達の信仰は一体どんな形をしているのだ? 皆目検討がつかんな」

 

 これは皮肉のつもりだったが、メットの男が懐に手を入れる。まさか仕掛ける気か? 思わず警戒したが男は何か煌めく水晶の様なものを俺に投げて渡した。

 

「何だこれは?」

「俺達にとっての賢者の石……ってヤツさ。アンタらにとっちゃマグダラの血液ばりにヤバい代物だがな、ハハハハハ」

 

 メットの男の声は大分若かった。イヤに好戦的で砂漠の熱風の様に他者を苛む様な声に俺は顔をしかめた。

 

「そんな顔をするなってライザーさんよ。アンタらにとってもおいしい話がガンガン転がり込んでくるご時世になろうってのに」

 

 ……やはりコイツらが望むのは戦乱か。こんな輩をディオドラなんぞが御しきれるとは到底思えん。いや、奴に強大なバックがあるならば話は別か。

『禍の団』。風の噂だがそんな組織の存在を聞いたことがある。秩序に拠らず、混沌にも属さず、中立にして中庸といえば聞こえはいいが汎ゆる組織に牙を剥く狂人どもの集まり。

 

「さあな。今はリアスとの家族計画が精一杯だ」

「羨ましい話だぜ。俺も貴族の家に生まれたかったなァ」

 

 メットの男は肩をすくめて嘯いた。嘘をつけ。お前らが求めるものは貴族も賤民の類も存在しない鏖の荒野だろうに。

 

「この辺りにしてもらえるか。貴様ら悪魔祓いと妙な噂が立つとお互いに不利益を被りかねん」

「カッハハハハ! 違えねぇ」

「それと貴様はもう少し礼節を身に着けた方がいいな」

「そうかね。ならマナー教習所にでも自腹で通うとするかい」

 

 いや、もういい。俺は追い払う様に奴等に手を振って別れを告げた。

 

「そうそうライザーさんよ」

「……なんだ?」

 

 今度はマグダラがメットの男を遮る形で口を開いた。

 

「このまま行くと色々と楽しくなりそうですわね? 彼は来ますわ。例えグレイフィア・ルキフグスやリアス・グレモリー……況してあの女が止めようとも」

 

 ああ、そうだろうな。来るさ。来るとも。

 …………バカは来る!! 

 

 ー

 

「悪いな、レイナーレ、カラワーナ、バイサー。お前らは連れていけなくて」

「ウチは無視ッスか。そうッスか」

 

 何故かミッテルトちゃんが不機嫌になってます。どうしてだ? 

 

「どうしても行くの? イッセー」

「悪いなレイナーレ。俺はリアスを取り戻さなきゃ俺でなくなる。そうなったら死んだのと同じだ」

 

 大袈裟だと言われるかもだが俺にとってはそういう問題なのだ。

 

「……イッセー」

 

 レイナーレが俺の手をキュッと握る。その瞳には涙が溢れていた。

 

「レイナーレ様。我らが愛したのは何があっても変わらないイッセーではありませんか。ここは彼を笑って見送らねば」

「そうね……だけど絶対帰ってきてね! 約束よ!」

 

 ああ、勿論だとも。俺が約束を違えた事なんてないだろう? 

 ……ゴメン! 何度かあった!! 何で俺ってここってトコロでは決まらないんだろう? いや、これが兵藤一誠の持ち味! 時には開き直るのも勇気! 

 

「よし! 行ってくるぜ!!」

 

 俺はありったけの元気を振り絞り、イゼベル様と共にグレイフィアさんの展開した魔法陣の中へと飛び込んだ。

 アーシア、カラワーナ、レイナーレからそれぞれ貰ったモノと俺の切り札で部長を必ず取り戻してみせるぜ! 

 

 ー

 

 転移した先は果てしなく長い廊下。

 俺が一生働いても買えないであろう金の燭台がずらりとならび、壁には何やら高そうな絵画が飾られてある。

 

「う〜む、あまり良い趣味ではないのう」

 

 イゼベル様はむむむ、と腕組みしながら渋い顔をしていた。そうなのかな? 俺は爺ちゃんのそのまた爺ちゃんの代から由緒正しい一般市民なので芸術というのはよくわからない。しかし何だか向こうから

 

「イッセーよ! 何故もがき生きるのか! 

 滅びこそ我が喜び、死にゆくものこそ美しい!」

 

 とか言い出しそうな大魔王が現れかねない廊下だなあ。そんな折巨大な肖像画が目に入った。部長を彷彿とさせる紅髪の男性。

 部長の身内だろうか? 

 

「もうすぐ会場じゃぞイッセー」

「はいっ!」

 

 俺は褌ならぬネクタイを締め直して気を引きしめた。

 扉から中を覗いた先は……何ていうんだろ、体育館みたいな大きさのホールだ。それが三つもくっついている大宴会場って感じ。うわ〜、皆セレブというか上流階級の匂いがプンプンする!俺が尻込みしているとイゼベル様が無言で俺の背中をトンと押した。俺は慌てて姿勢を正し、足を進めた。 横一列に並んだ長テーブルの両端には大勢のお偉いさんと思しき紳士淑女の方々がワイン片手に談笑している。給仕や料理人らしい人が忙しそうにあっちに行ったりこっちに来たりしている。ホールの真ん中はダンスが出来る様にスペースになっており、何人かの男性が楽器を持っていた。

 そして……紅が視界に飛び込む。

 長い紅髪をアップした女性。イゼベル様と同じく赤いドレスに身を包んでいる。

 一目ですぐわかった。当然だ。

 だって彼女は俺の……もがき、生きる理由だからだ! 

 

「部長オォォォォォ!!」

 

 あらん限りの大声で俺は叫んだ。

 ギョッとしたり、なんだアレはと軽蔑の目線があちこちから飛んでくるのを吹き飛ばすかの様にだ。

 そんな中で部長の唇が「イッセー」と小さく動いた。

 

「ここにいる上級魔族の皆様! それに部長の父母兄弟の魔王閣下の方々! 俺は駒王学園オカルト研究部の兵藤一誠です! 僭越ながら部長のリアス・グレモリー様のため押しかけ助っ人として馳せ参じました!」

「いよっ! 兵藤屋!」

 

 取り敢えず歌舞伎っぽいポーズを決めるとイゼベル様がノッてくれた。するとガヤガヤ、と会場が騒然となるなかレイヴェルは衛兵を連れたってやってきた。

 

「貴方! ここをどこだと思っておりますの!」

「黙らっしゃい! リアス・グレモリー様のお気持ちを無視しての政略結婚など喩え魔王閣下が認めてもこの俺は認めない! 俺の全てはリアス・グレモリー様のもので、リアス・グレモリー様の全ては俺のものだ! 解ったか焼き鳥野郎とドネルケバブ女!」

「ど、ドネルケバブ女!? 何を言っているかは解りませんが侮辱された事は解りますわ!」

「な、何だと! なんと恐れを知らぬたわけめが! サーゼクス様! あの愚か者を今すぐ処断なさいませ!!」

 

 セレブの方々、いや連中が俺に劣らず好き勝手な事を言う中サーゼクス様はくっく、と楽しそうに笑っていた。

 

「……っと、いかんいかん。押しかけの口上が天晴なものでつい感銘を受けてしまった。ライザー君、これが君の言っていた余興というものかね」

 

 笑顔からすっとシリアスな顔になる。返答次第では物理的に首が飛ぶ。そう確信してしまう程の覇気を籠めた問いだった。

 

「いかにも、サーゼクス様。あの男はリアスにとって人間界への未練の象徴。跡形もなく打ち砕かねばリアスがいつまでも余計な気を人間界に残すというもの」

 

 白いタキシードを着たライザーがそう言い切った。怒りや憎しみ、哀しみや憧れ、色んな感情が混ざった複雑な表情で。

 

「お兄様! 今すぐライザーを止めて! 

 何でも言う事を聞くから!!」

「……ふむ。今の必死さから見て止めるわけにはいかなくなった。リーアた……リアス。彼に対して本気で……れたようだ」

 

 惚れたなんていうワケがないから絆されたの方が正しいな。

 

「何故そこで日和るかのー。

 全てではなく処女は俺のものだ位に啖呵を切らぬか。そなた、リアスに対しては随分奥手よな」

 

 イゼベル様が何だか愉快そうにそう呟くと会場が一気にどよめいた! そりゃ言い過ぎ!! 

 

「なんて下品な! これだから下々の転生悪魔は嫌いなのですわ!」

 

 レイヴェルがワナワナと拳を震わせながら眦を吊り上げて言った。

「そうだ! ライザー様! あの無礼者を討ち果たされるべきです!」

「あのような者がこの場にいること自体がリアス様の品位を貶めます!」

 

 他の上級悪魔の方々からも俺を責める声が次々と挙がっていく。

 

「まあ、そういう事だ。兵藤一誠。この間のレーティングゲームではリアスの命乞いがあったから中断せざるを得なかったが今度は何の邪魔立てもさせない」

「随分とまあイッセーに対してそこまで拘るものよ。まあ理由は大凡解るがここでは言わぬ」

 

 え? イゼベル様はライザーがここまでブチギレてる理由がわかるのか? 俺にはわからん。ホント、さっぱりだ。とにかく、俺はライザーと決闘を行うこととなった。俺が勝てばリアス部長の婚約は改めてご破産だ。流石に連敗はできない! 

 

 ー

 

「一ついいことを教えてやる兵藤一誠。お前の宿している『赤龍帝の籠手』。それは神や魔王すら葬り去ると言われる神滅具。そしてそれを宿すものは赤龍帝と言われる存在なのだ」

 

 部長の運命を決めるにしてはせこいリングで向かい合う俺とライザーだったがまずライザーが口を開く。

 

「ああ、このケチンボドラゴンから聞いたから知ってる」

「ケチンボドラゴン? 相変わらず妙なヤツだな。まあいい。赤龍帝は様々な時代や国において最強であり、神器の中でも究極と称されている。混乱の世でも、平和な時代でもその武名は天地に鳴り響いた」

 

 まるで歴史の授業の様に淡々とライザーは語る。何のつもりだ? 

 

「しかし、だ。貴様らがどれだけ武名を鳴り響かせようと魔王の血筋は途絶える事はなく聖書の神も未だ天界にある! この意味が解るか? 貴様らは所詮その程度! 神話に至る事のない落ちこぼれなのだ!!」

 

 落ちこぼれねえ。並の悪魔ならガーン! とショックを受けるのだろうが俺はその手の言葉は言われ慣れている。

 

「落ちこぼれねぇ。だからこそ俺は部長の眷属にしてイゼベル様のパートナーになれたワケだ。感謝しなくっちゃな。それによ。落ちこぼれだって必死に努力すりゃエリートを越える事だってあるかもよ?」

「ほざいたな赤龍帝!!」

 

 くわっと目を見開くやライザーの顔が燃え上がり、この間のバトルモードに変化した! 

 

「うおりゃあああ!!」

「クハハハハ! またバカの一つ覚えの突進戦法か! それも良かろう!!」

 

 ライザーは高笑いと共に片腕を発火させマグマじみた状態に変化させた! 

 この間の輝き叫ぶ勝鬨の剛腕(シャイニングフィンガー)ってヤツか! 

 真正面から打ち砕くつもりだな! 

 だが……! 

 

「部長! プロモーションの許可を!!」

『え? ええ! 解ったわイッセー!!』

 

「ハッハア!! 成程! ここは貴様にとって敵地のど真ん中だから確かにプロモーションは使えるが……その前にケリをつければ済む事よ!!」

 

 確かにプロモーションは即座に発動するものじゃあない。若干のタイムラグがある。

 今の俺は『兵士』でも『女王』でもない半端な状態、だからこそ使える技もある! 

 

「グラスホッパー!!」

「何ィ!? 瞬間移動だとォ!!」

 

 グラスホッパーは『相手の背後を取る』技であり、ハイジャンプ以外でもその効果を発揮する。イルちゃん、ネルちゃんに使った時は俺が『兵士』に過ぎなかったから。

 ヤツのシャイニングフィンガーとやらが虚しく空を切りバランスを崩したスキを狙い俺は空孫悟が使ったあの技をパクらせてもらう! 

 

『Boost! Boost! Boost! Boost!』

「瞬間移動ドラゴン・ショットォ!!」

「グフワァァ!!」

 

 ライザーが振り向いた瞬間にドラゴン・ショットが奴の上半身が吹き飛んだ!! 

 

『お兄様!?』

『や……やった!!』

『お見事ですわイッセー君』

 

 木場と朱乃さんの声援は嬉しいが、それはある意味フラグなんだよなあ……。それに、だ。

 

「立てよライザー。5秒経ったぞ」

「……」

 

 果たしてライザーの下半身が燃え上がるやみるみる上半身が復元されていく。よりにもよってドラグ・ソボールの名シーンの再現になっちまった。

 

「ハッハハハハハ!! 恐れ入ったぞ! おそらく俺かサイラオーグ以外のヤツならば間違いなくレーテ川を渡っていた所だろう! しかしこのライザー・フェニックスは不死身! 決して死なぬのだ!!」

 

 

 ライザーが叫び、俺の方に炎の津波を解き放つ! リングそのものを吹き飛ばしかねない凄まじい業火だ!しかし俺は……。

 

「輝きやがれぇっ!! オーバーブースト!!」

『WelshDragon overboost!!」

 

 業火をかき消すかの様に紅いオーラがリング全体を覆い、更にその紅いオーラが俺の身体に圧縮・蓄積されていき、鎧の姿に変わっていく。まるでドラゴンの姿を模した全身鎧。更に6枚の勾玉が肩から翼の様に展開されていく。

 

 ──―13秒だ。

 今のお前にこの力はそれ以上扱う事はできん。

 

 ケチンボドラゴン、もといドライグは俺の腕を喰らった後にそう言った。腕一本で13秒。暴利っちゃ暴利だが……! 部長を取り戻せるのなら安いモンだ!! 

 腕の一本くらい! 

 

「一気に決めさせてもらうぜ! ライザー・フェニックス!!」

「それはこちらのセリフだ!! 赤龍帝!」

 

 俺の拳とライザーのシャイニングフィンガーが激突するやその余波が空間自体を震わせ、パーティ会場まで振動させたらしい。

 シャンデリアが落下した音と騒然とする貴族たちの声がそれを物語っていた。

 

 ズガガガガッ!! と俺の拳の弾幕とライザーの炎の翼から発せられる火炎弾。互いの攻撃が互いを相殺しあい、破壊の波となって辺りを粉々に砕いていく! 

 リングなんて上品なものは今の俺達には不要。これはリアス・グレモリーという存在を巡っての決闘、いや死闘なんだからな! 

 

「ドララララァッ!!」

 

 ゴォン! と爆音が轟き、遂に俺のラッシュが押し勝つ! ライザーのあちこちが衝撃波によって断裂してゆく! だが血肉すら炎に転じさせたライザーはまだ戦う意思を失っていない。

 

『Ⅸ』

 

「不死身なのは伊達じゃねえな!! 

 あちこちぶっ飛ばされても痛みを感じねえワケでもないだろうによ!」

「クハハハハ!! そりゃあ痛いさ! 苦しいささ!! だがな……! 敗北するよりはいい! 敗北よりは!! 

 ハハハハハ!! 妻となるリアスに慕われず化け物めと恐れられながら添い遂げられるのも一興よ!!」

 

 まるで冥府の王の様に、どこか捨て鉢なセリフを吐きながらライザーが叫ぶ! 

 

『ⅷ』

 

「一気にケリをつけてくれるッ!!」

 

 ライザーから吹っ飛んでいた炎の欠片がいつの間にか俺を包囲していた! 

 ダメージを受けながらも仕込んでいたってたのかよコイツは! 

 

『Ⅶ』

 

「もう遅い!! 脱出不可能よ!! 

 貴様はチェスでいう所の『詰み』(チェックメイト)にはまったのだ!! ブラディ・シージ(血の包囲網)!」

 

 炎の欠片のみでなく両手足が炎の塊となって俺の脇腹に手刀、両膝に前蹴りの形となって直撃する! 鎧の中に炎が巻き起こり俺の身体を焼き焦がす!! 

 

『Ⅵ』

 

「ぐわあああーっ!?」

「やはり思った通りだ! 貴様の神滅具や喪神具が無類無敵であろうとお前の肉体は所詮下級悪魔にすぎん!! 並の上級悪魔以上の力があろうとも使い手がお前では宝の持ち腐れよ!!」

 

『V』

 

「負けてたまるか! 悪魔社会のそれらしい理由で部長を未来永劫不幸にさせてたまるかァ!! これは俺と部長だけの戦いじゃねえ! いや、俺達眷属皆の戦いなんだ!!」

 

 俺の怒号が響き渡る。身体は未だ激痛と業火に包まれている。だが心はもっと熱く燃え上がっているんだッ! ここで負けたら俺は一生後悔する……! 俺だけじゃねえ! 皆で守ったものを無くしちまう!! 

 

「成程ォ、下級悪魔にしては随分誇り高いなァ赤龍帝!!」

「そういうアンタだって……家の誇りや部長の婚約者として正々堂々と戦っているじゃねえか! アンタの事は嫌いだけどよ、その誇りには敬意を払うぜ……!!」

「婚約者としての誇りか……! 俺にその誇りを与えたのもリアスなら、奪ったのもリアスなのだ!! 『今までありがとう』も『すまない』の一言もなく! 他の男を選んだんだよ!!」

「甘ったれがァ!!」

 

 リアス部長が心変わりしたのが気に入らないなら何で正直にそう言わねえんだ!! 

 この焼き鳥野郎! お前のそのチンケな嫉妬の炎なんて俺が消し飛ばしてやる! 

 

『Ⅳ』

 

 決意を込めて俺が右手にアーシアから貰った聖水の瓶を持つとライザーは高らかに笑った。

 

「フハハハハ! 今更聖水だと!? そんな物など俺の身体へ浴びる前に気化させてくれるわ!!」

「違ぇよ」

 

 俺は右手に力を込めて瓶を割る。

 多分皆は自殺行為かヤケを起こしたか……と勘違いしているだろう。だが俺の右手は既に俺のモノじゃない。

 

「無傷どころか……何だ!? それは!? 聖なる光のエネルギーだと!? しかも何故十字架と堕天使達のミサンガまで……!?」

 

 アーシアの聖水、カラワーナの十字架、最後にレイナーレの髪で編み込まれたミサンガが悪魔特攻の光のエネルギーを生み出す! 

 

『ⅲ』

 

 そして左手に勾玉から炎を生み出し収束させていく。聖なる水のエネルギーと魔なる炎のエネルギーを俺の右手と左手でもって融合させていく。

 

『ⅱ』

 

『聖と魔のエネルギーが融合だと!?』

『あり得ませんわ! 世界の法則に反した二つのエネルギーを混ぜ合わせるだなんて!! しかもドラゴンの力を宿した赤龍帝ならいざ知らず、ただ一介の転生悪魔がそれを成し遂げるなんて!!』

 

『ⅰ』

 

 外野が何か言っているが時間がない! 

 というか俺は悪魔社会ってしきたりに真っ向からケンカを売っているんだ! 

 この位ムチャの内に入らねえよ!! 

 

「喰らいやがれ! 

 これが俺の……聖と魔を掌握せし覇王(トゥイン・ロード)だ!!」

 

 俺は残りの力全てをライザーに向けて解き放った! 融合した聖と魔のエネルギーが閃光となってライザーを包んでいく! 

 

「おのぉぉれえぇぇぇぇ!!!」

 

『reset』

 

 ライザーの断末魔か響き渡ると共に俺の全身鎧が解除された!部長……! 約束、守りましたよ……! 

 

 ー

 

「ハハハハハ! とんでもねぇな赤龍帝は! しかしあのネタバレは不味いんじゃねえか?」

「ふふふ、そうでもないわ。聖と魔のエネルギーが融合したという事実が上級魔族達の前で披露されたんですもの。いかにサーゼクスと言えども箝口令を敷くことは不可能よ」

「だろうな。旧魔王派はこれ幸いとサーゼクスを弾劾できるってワケだな。聖書の神が死んだって事実をひた隠しにして現政権に都合のいい組織作りをしやがった……とな。まあ事実であろうがなかろうが関係ねえ。内乱だ。これで内乱が起こるぜ……! たまんねえなあ!! このライブ感!」

「内乱もいいけどこれで大司教様の研究も益々捗るというものね」

 

 ー

 

 ……で、あの後はまあ色々ありまして。

 レイヴェルが俺達を逃すまいと衛兵達を連れてきたときはもうダメかと思った。雪蘭ちゃんやイザベラさん、果てはフェニックスの涙でなんとか復活したライザーまで止めに入ったのは意外だった。

 

「よせ、レイヴェル……。そいつらを解放してやれ」

「お兄様……! ですが……」

「約束を違え、果ては誇りまで捨て去っての勝利になんの意味がある……」

 

 と、こんな感じだ。成程雪蘭ちゃんやイザベラさんが身も心も捧げるワケだ。

 う〜ん、タイマン張ったらダチ、というアレだろうか? 

 

「ほーお、イッセーの力で一皮剥けて男前が増した様じゃの」

 

 なんてイゼベル様は評していた。こ、これはまずい! あの焼き鳥野郎にリアス部長やイゼベル様を渡してたまるか! ベッドの上で半死の身である俺は別の意味で苦悶の中にあった! で、今どこかというと冥界の病院である。

 なんでも聖と魔を掌握せし覇王(トゥイン・ロード)の反動ダメージはアーシアの治癒でもフェニックスの涙を持ってしても簡単には治らないのだそうだ……。

 当然エッチな看護も当然お預けだ。

 

『言うなれば最大ヒットポイントが減少しているか、メルトダウン瀬戸際の状態にあるのが今のお前という事だ、相棒』

 

 エロガキから相棒に呼び方を変えてケチンボドラゴンは説明する。って随分メタな説明しやがって! 

 

『まあ、そう言うな。久方ぶりに受肉した身だ。もう少し楽しませろよ。なかなか面白いなこのソシャゲというヤツは』

 

 って俺の右手が勝手にスマホを操作している!? 勝手に無料石使いやがって! あと引きが尋常じゃねえよこのドラゴン!? 

 そういう神引きは自分でやりたいんだよ! 

 

「……大怪我をしていると聞いたから見舞いに来てやったというのにスマホに興じているとは。こんなヤツに敗れた上に情けをかけられただなんて」

 

 俺はまるで邪気眼属性の持ち主ばりに右手を抑え込んでいると雪蘭ちゃんが呆れた様な様子を見せていた。見舞いに来てくれたのか……? 

 

「あ、雪蘭ちゃん! 今日も綺麗だね」

「ん……? その腕は?」

 

 いつの間にやら『赤龍帝の籠手』が顕現している。無論雪蘭ちゃんにどうこうしようって理由で顕現しているワケじゃない。実はライザーとの決闘前にドライグへ俺の右腕を捧げたのだ。誰かが龍の気を吸い出すか俺の欲望を発散させるかすれば納まるのだが……。

 

「ふむ、そうなのか……。って!? 

 な、何をするのっ♥」

「え? 何が?」 

 

 ベッドの側の椅子に座りリンゴを剥いていてくれた雪蘭ちゃんが急に真っ赤な顔になって抗議してきた。

 一体何が、と視線を変えると元に戻った右手が雪蘭ちゃんのスリットからお尻へと手を差しこんでいるじゃねーか!? な、なんてマネをしてやがるんだあの変態ドラゴンは!! し、しかも感覚は遮断されているから雪蘭ちゃんのお尻の柔らかさも張りも全然感じない! なんて悲劇だ!! これが俺の払った対価の重みとは……!!

 

『ほーお、存外尻肉の張りもデカさも飛びきりだな。あのライザーとかいうヤツに相当仕込まれたと見える』

 

 俺の声真似してまでセクハラするなこのクソドラゴン! 俺の名誉に係わるだろが!! うらやまけしからん!

 

『クックック、雪蘭。病院とは言え男の部屋に一人で入っても何もされないなんて本気で想っていたんじゃないだろうな?』

「そ、そんな……事はあ♥」

『こんなにマンコを濡らして下着もつけないで否定されても説得力がないぞ。何が全ての女が俺にひれ伏すなどとは思わない事ねだと言えたものだな』

 

 お前は凌辱エロゲーの主人公か!! ともかくエロドラゴンの手マンと言葉責めによるのかぐちゅ♥ぐちゅ♥と卑猥極まる水音と共にチャイナドレスからでも解る位に乳首が勃起していた。

ゆさっ♥ゆさっ♥とシニョンと連動する様に雪蘭ちゃんのおっぱいが揺れていて眼福……いやいやいや!! 

 雪蘭ちゃんはライザーの眷属! 人のものを取ったら泥棒!! 本当に感触はないのだよ。いや、ないからこそ想像力が妄想を駆り立てて……!ああ! 心が2つある〜!! 

 

「ああ……許して♥許してイッセー♥

 これ以上されたら私……♥♥♥」

 

 間近でパイ揉みのライブ映像が流れているという異常事態に脳がはち切れそうになる……! しかもカラワーナやレイナーレと同じく嫌がるどころか誘う様な流し目をしている!え!? どうしたんだ雪蘭ちゃん!? ひょっとして陥落寸前!? 

 

「イッセー、調子はどう?」

 

 その時リアス部長が入ってきた。あ、終わった……。

その後の結果は言わずもがな。俺の退院がもう少し伸びるハメになったとさ、ギャフン。

 

 ー

 

「ここが駒王市か。見るからに不信心者達が闊歩している街だな」

「まあ、そうねえ……。リアス・グレモリーって悪魔が支配する街ですもの。さながらソドムとゴモラの様な退廃と悪徳の匂いに満ち満ちているわよね。主よ、この者達をどうか見捨てたもう事なかれ……」

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