イッセー視点
「はじめましてリアス様。イッセー様。
某は、アメノトリフネと申します」
待ち合わせ場所に現れたのは黒を基調とした軍服じみた衣装を纏う小柄な女性だ。
髪型は黒の肩にかかる位までのセミロング。トランジスタ・グラマーというやつか? ギチギチに軍服を押し上げる胸が実に素晴らしい。更にハイサイブーツに白の革手袋というややマニアックな出で立ちだ。
う〜ん顔つきは幼い事が更に彼女の色気を際立たせている。いい仕事してますね! (何でも鑑定団)
「お気に入り頂けたならば幸いでありますな」
クスクス、とアメノトリフネ様は朗らかに笑う。何やら春の木漏れ日を浴びるような清々しさだ。
「ほう。一誠殿は武と色事に傾倒しておられる傾奇者との評判でありましたが……。
そうした繊細さも持ち合わせておいでなのですな。あと某の事は呼び捨てで構いませんよ」
いや〜それほどでも……。って俺、喋ってない筈だよな!? リアス部長に確認するかの様に目で合図を送ると部長ははあ、と溜め息を漏らした。
「所謂神通力というものよ。 基本的に心の中は読まれていると思っている方がいいわね」
な、な、なんだってー!?
じゃあ俺のスケベ思考もダダ漏れって事!? ドライグ! なんとかしろください!
『もうやっている。流石に今代の赤龍帝は目も当てられぬ色情狂と明かされてはおちおち外も出歩けん。まあ、実体のない今の俺には関係はないがなワハハハ』
いや! ワハハハ! じゃねえよ!!
俺が困るんだよ! 自業自得なのは否定しきれないけどさ!!
と、こんな心の中のやり取りもアメノトリフネちゃんには丸わかりらしく更に目を細めている。
「面白い殿方なのですな一誠殿は」
「あ、もうイッセーでいいスよ。カッコつけてももうバレバレって事は解ったんで」
気取っても仕方ないと悟り俺は砕けた口調に改める。
「ではイッセー殿と呼ばせて頂きます。某は殿方には敬意を払う主義ですので」
「あ、はい」
『ほほう。これがヤマトナデシコか』
「……仕方ないじゃない。私はイッセーの主でそんなフランクに接するだなんて」
何やら部長が後ろでブツブツと言っている。きっとアマテラス様との会談に関して整理しているんだろう! 流石は部長だぜ!!
『お前も読心術を学んだ方がいいんじゃないのか?』
「え? なんで?」
「ふふ。仲が宜しいのですね。羨ましい限りでありますよ。では某が飛空艇なるものに変化します故お乗りくだされ」
わはは、それ程でもあるかな? ってアメノトリフネちゃんがゲームとかでよく見るプロペラ付きの飛空艇に!!
す、すげえ!! まるでRPGの勇者や主人公になった気分だ!!
「ではアメノトリフネ号、出発であります!」
「おお〜!!」
俺は年甲斐もなく興奮しながら歓声をあげる。そして俺達はアメノトリフネ号に乗り込んだ。
ー
「はえー、ここが高天原かあ」
まるで中世の町並みを再現している様だ。
アマテラス様の趣味なのかな?
「アマテラス様は機械や西洋の文化にあまり良い印象を持っていないのであります」
「は、はあ……でもアメノトリフネちゃんは諸に飛空艇に変化してたよね?」
するとアメノトリフネちゃんの表情が淋しげなものになる。しまった。これは地雷か?
「お気になさらず。閑職には閑職の楽しみがあるのであります」
「あ、うん……」
いや、でもなんか気まずいなあ。 と、そんな俺の気持ちを察したのかアメノトリフネちゃんは話題を切り替えた。
「それよりもこの一角に美味しい団子屋があるのですが、会談の前に一服如何でありますか?」
「あ、うん! いいね!」
「ちょっとイッセー……。私に確認もせずに勝手に話を進めないで頂戴」
『今更相棒にそんな事を言っても無駄だぞ』
ー
「うん! こりゃ美味い! 甘さも歯ざわりも最高!」
両手にお握りならぬ両手に団子のスタイルで俺は舌鼓を打つ。しかし、花より団子という格言があるがありゃウソだね!
なにせ今の俺の両脇にはリアス部長とアメノトリフネちゃんという高嶺の花が降臨しておられるのだから!
「イッセー殿は健啖家であられるのですな」
すっ、と丁度いいタイミングで煎茶が出されてきた。これは読心術ではなくアメノトリフネちゃんの気働きというものだろう。 ヤマトナデシコ最高!
「イッセー。もう少し行儀よくなさい。注目の的よ」
「え? オレまたなんかやっちゃいましたか?」
『ああ、それはもう盛大にだ。さながら迷惑な観光客という位にな。下手をすれば強制送還。冥界の恥さらしと相成るぞ』
うげげ!? それは困る!! ぐいっと温めの煎茶を一気に呷り俺は気を落ちつかせた。
「ご、ごめんアメノトリフネちゃん。
それに部長。俺、つい浮かれちゃって……」
反省反省。しかしチラリと店の貼り紙を見ると『尊皇攘夷』だの『七生報国』とか雰囲気も合わせてすわ幕末の雰囲気……! 俺が襟を正そうとしたその時。
「おいババア! 酒だ!」
え? いきなり鬚ボーボーの山賊じみた連中、もといヤカラがどかどかと店に上がり込んでくる。
「すみません。今はまだお昼なモンで」
「何ぃ!? 俺達国津神が日和見なアマテラスに代わってお前ら高天原の住人を守ってやっているのに酒の一杯も振る舞えねえと抜かすのか!? この店は神に対する信仰心が足りねえ様だな!」
……チョットナニイッテルノカワカリマセンネ。
なんなのこのバーサーカー達……。これが日本の神様ってどうよ? いや八百万の神っていうし、こういう蛮神がいるのもやむなし、なのかな?
「ん〜……誰かと思えば機械油みてえな臭いがするな。アメノトリフネか」
「……」
アメノトリフネちゃんは無視を決めるがヤカラにはそれが気に入らなかったらしい。
「おい! 無視するんじゃねえよ!! 俺達はタケミナカタ様の直属だぞ!」
ヤカラの一人がアメノトリフネちゃんの胸ぐらを摑み上げた。
「おい! テメェ! 女の子相手になにやってんだ!!」
俺は思わず輩の手首を掴んでしまう。
「な!? なんだテメェ! 外人のくせにこの国のやり方に介入するの……かはっ!?」
「ウダウダ煩えんだこのクソ野郎!!」
「イッセー! やめなさい!」
リアス部長が止めに入るが少し遅い。
俺はヤカラの鼻面に頭突きをかました。
まあ、元々男前でもないからいいだろう。
ガッシャァァァン! とテーブルにヤカラが叩きつけられ、物が飛散してしまう。
「あ、すいません! あとできちんと弁償します!」
お婆さんにぺこり、と頭を下げるがお婆さんは俺を怒る事はしなかった。
「いいって事さ。アイツらにはアタシらも実の所迷惑していたんだ。寧ろ爺さんの若い頃を見ている様で胸が空いたよ」
「そ、そうッスか?」
「全く……イッセー! どういうつもり!」
浮かれていた所にリアス部長からビンタが飛んできた。ど、どうして!?
たじろぐ俺に部長はキッと鋭い視線を向けてきた。
「今のは明らかな過剰防衛よ! 腐りきっていても相手はこの国の兵士なの。無闇矢鱈に拳を振るってはダメ!」
「いや、でも……!」
と俺は口を挟もうとするが部長の次の台詞で黙らされた。
「イッセー……あなたは私の大切な下僕なのよ? 私に仕えてくれるんでしょう? なら私の言う事をきちんと聞いてちょうだい。
貴方の軽はずみで聖書同盟の締結が台無しになったらお兄様やイゼベルはなんの為に奔走したというの?」
「うぐ……」
リアス部長の言う事は正しい……。
全く以て正しい……だが、納得できない。
女の子に暴力を振るおうとしたヤツを放ったらかしておくだなんてそんなのグレモリー眷属、いや俺らしくない。
『相棒、やはりお前は面白いヤツだな』
ドライグは愉快そうに言ってくる。
何だよ、俺は見世物じゃないんだぜ。
「そこまでにして貰おうか。トリフネ、何だお前がついていながらこのザマは」
明らかに只者じゃない……。
こっちもこっちで和洋折衷って感じ。白髪のオールバックに小さめの円縁グラサン、黒いスーツと白いコートという出で立ちというヤクザの若頭みたいな感じの兄さんが現れた。腰には独特の鍵みたいな形状の剣を差していた。
あとこのご時世なのにヤニを咥えている。
「面目次第もないであります」
「……兄さん。俺の連れを助けてくれたのはいいがこの国にはこの国のケジメってのがある。ちょいと大人しく捕まってくれ。見た目通り俺ァ平和主義者でな。剣を振るうのは好きじゃねェ」
フー……と紫煙を吐き出すと兄さんはそう言った。この人、強いな……。コカビエルかそれ以上だろう。
「解りました。これで今回の話が治まるなら我慢します」
「イッセー殿!?」
アメノトリフネちゃんがすまなさそうに俯くがここは我慢だ。確かに俺の行動は軽率だったし、責任は取らねばならない。
俺は兵士らしき皆さんに連れられて天岩戸とかいう場所に連れて行かれた。
ー
「暫くその場で反省しろ! ガイジンめが!」
兵士さん達に足蹴にされながら俺は天岩戸の中に転がされる。中は真っ暗で光も差し込まない。音もない。こりゃあキツイな……。人間何十時間も真っ暗な牢獄に幽閉すると発狂するというけど。
「……? なんだか、お日様で干した布団のいい匂いと何か腐った様な匂いが混ざった様な変な臭いがしないか?」
『俺には実体がないから解らんな』
クソ、釣れないヤツだな……。しかし時間の感覚すらあやふやなここじゃ、今が昼なのか夜なのかすら解らないな。部長達は上手く話をつけていてくれるだろうか? いや、俺の身柄云々じゃなくて同盟の立会の話だよ?
ホントだぞー!!
ー
リアス視点
「良く私の前に来れたものだな。魔王の妹」
玉座に座りながらアマテラス様は私に恫喝する様な口調で威圧的に接してくる。その威圧感は並の者なら卒倒しかねない程だ。
黒い腰まで伸ばした髪に、力強い切れ長の目。女性の私から見ても非の打ち所のない美貌は太陽神にして女神たるもの、とでも言える。しかし、私は怯む事無く毅然として言い返した。
「お久しぶりでございますアマテラス様。
今日は折りいってお願いがあって参りました」
「願いだと?」
「はい。この度、三勢力の会談が行われる事となりました」
「その事は知っている。だがそれがどうした? まさか私に口利きをしてくれとでも言うつもりか?」
「はい。アマテラス様にとっても日の本の安寧と我々悪魔や三勢力の同盟は有益かと」
「ふん。悪魔風情が私に交渉か?
戯れに駒王町を任せてみれば堕天使族を跋扈させるそなたの不甲斐なさには溜め息すら出ぬ。その様なたわけ者を御せぬサーゼクスなどに私の力を借りる資格があると思うか? 」
……おかしい。何か妙だ。私の至らなさは私も理解している。レイナーレにコカビエルの件はイッセーがいてくれなければ今の様にうまく解決する事は出来なかった。
それは責められて然るべきだ。けれど、嘗てのアマテラス様は人前で誰かを罵る様な神ではなかった。今のアマテラス様はまるで別人だ。
「それに私は三勢力と同盟を結ぶ気は毛頭無い」
「な!? 何故ですか!?」
「簡単な話だ。日の本の安寧を願うなら、この日本という国を悪魔や堕天使、ましてや天界にすら渡してはならぬのだ。日の本は神の物であり、その民も神のもの。日の本に我以外の神はいらぬ」
「お待ちくださいアマテラス様!
それは天津神と国津神をあまりに軽んじる発言です!」
「余所者が我のやり方に異を唱えるか!」
私の中で違和感が益々膨らむ。
嘗てのアマテラス様に挨拶にいった時は
『よし、解った。かかってこい』と武道着姿で出迎えられて鍛錬場にて散々投げ飛ばされた。滅びの魔力すら通じない輝きに面食らい、手も足も出なかった。
けど『リアス・グレモリー。我らが民をどうか宜しく頼む。何者であろうと日の本に住まう者は全て我が子よ』と手を差し伸べた彼女はまさに母親そのものだった。
それなのに……!
「それに、だ。口をきけと言うならばそれなりの誠意を見せて貰わねばならぬ。タケミカヅチ」
「はい……」
さっきの侠客じみた男が私に書類を渡す。
その内容に私は驚愕するよりなかった。それは私は当然、私の不手際を放置したお兄様への弾劾、神器持ちの人間を拉致、誘拐したというアザゼルへの糾弾、更には堕天使と姦通し不和と災いの種を産み落としたという朱璃さんへの侮辱に満ちた内容だった。
更にはそれらへの賠償と責任を求め、天文学的な賠償金並びにお兄様やお父様の直轄地に国津神の特区を用意しろというムチャクチャな要求だった。これを認めたら堕天使の名誉はともかく冥界の主権は喪われる。
「お、アマテラス様! この内容はあまりに酷すぎます! これは悪魔と三勢力への謂れなき侮辱です!!」
思わず声を荒らげる私にアマテラス様は冷たく言い放つ。
「……リアス・グレモリー。そなたは何か勘違いしておらぬか? 我は日の本の神であり、その民の守護者だ。その我が何故に悪魔や堕天使、ましてや天界の心配をせねばならぬ? 呑めぬならば戦じゃ」
ニヤリ、とアマテラス様は笑う。その笑みに私は背筋が凍りつきそうだった。この方は、もう私の知るアマテラス様ではない!
「お、お待ちを!! どうかお考え直し下さい!!」
「くどいぞリアス・グレモリー」
「っ……!?」
アマテラス様の眼光が私を射抜くとまるで金縛りにあったかの様に身体が動かなくなった。な、何なのこれは!? 神器も発動していないのに!?
「お待ちくださいアマテラス様! 戦となれば民はどうなります! 古今未曾有の恐ろしい戦となれば民も不安に思うであります! アマテラス様のご威光は陰り、勝った所で待ち受けるのは百鬼夜行の世界! ご再考を!!」
私の意志を代弁するかの様にアメノトリフネは平服しながらもアマテラス様に異を唱える。イッセーに助けてもらった事が余程心を打ったのだろう。
「ふふ、それが何だと言うのだ。民草、という言葉の意味を理解していない様だなアメノトリフネ。根絶やしにせぬ限り民草などはニラの様に幾らでも生えてくる。そうではないか」
「あ、アマテラス様……!?」
アメノトリフネの顔が青ざめ、失望の色を露にする。私は絶望に叩き落とされた。
「アメノトリフネよ……。そなたは我を咎めるか?」
「い、いえ! 決してその様な事は!!」
「ならば口出しするでない。リアス・グレモリー。猶予は一日。良き返事を期待しているぞ。フフフ、ハハハハハ!!」
高笑いするアマテラス様を尻目に私達はアマテラス様の宮殿を後にした。
私は……どうすれば……。
ー
イッセー視点
部長が999人……部長が1000人……。
おお……! 天国を超えた天国にして桃源郷を超えた桃源郷!! 最高すぎ!!
『相棒。時々俺はお前のアホさ加減と能天気ぶりが羨ましくなる』
無粋なツッコミにより俺は真っ暗闇な現実に引き戻された。せめて睡眠でも取ろうかと羊の代わりに羊コス姿の部長の数を数えるという妄想に耽っていたのだ。
しかし真っ暗闇というのは想像よりもキツい。精神的に参ってしまいそうだ。
『とうにおかしな変態だろうが』
うるせえな! しょーがねーだろ! 俺の周りには美女ばかりなんだから! 流石に犯罪行為はもうやめたがこればっかりは治りそうもない。思想の自由並びに内心の自由! この間授業で習った! 悪魔にだって人権はあるんだ! いや、この場合は悪魔権か?
『天賦人権論か? 聖書の神から悪魔が権利を賜りたがるとは世も末だな全く』
ドライグも他人事だな! いやまあ、俺が勝手に思っているだけだが……。
それにしても喉も乾いたし、腹も減ったなあ……。ん……。スンスン、と鼻を鳴らすとさっきの匂いが益々強く感じられる。
ヒマすぎて嗅覚が鋭敏になっているのかそれとも一眠りして魔力が回復したのか。
まあ、ここでボサーっとしても始まらない。デビルアイなら魔力を集中すれば暗闇でもバッチリ見えるからな。
なんだか探検みたいでワクワクしながら俺は暗闇の中を歩いていく。奥へ、奥へと進んでいく。不思議な匂いは徐々に強くなっていく。
「う……あ、ああ……」
なんだか女の人の声が!? それも衰弱して今にも消えそうな声だ。更には……。
「ゲヒ……ゲヒヒ……ケガレロ……ケガレロ……」
「オチロ……オチロ……オマエハオデノモノダ……ゲヒ……」
醜悪な鬼や餓鬼が美女に纏わり付き犯していた。明らかに合意に基づくものではなく美女の身体には歯型や爪痕が幾つもつけられている。
「な……!?」
「あ……ああ……」
目が覚める程の美女の目は虚ろ。精神が崩壊しかけているのは俺の様なド素人でも解る。
「このクズ共っ!! その人から離れろぉぉっ!! 俺はスケベのド変態だけど! 暴力で女の子を支配するマネはしねえ!!」
俺は自分でも訳の解らないまま飛び出しひたすら鬼や餓鬼を打ちのめす。
「ゲヒッ……!? コ、コイツハアクマカ!?」
「馬鹿ナ!! アクマノクセニオレタチニカテテルダト!?」
鬼は一目散に逃げて行き餓鬼も恐々と逃げていった。二度と俺の前に現れるな!
「あ……うぅ……さ、さむい……。
つめたい……」
そんな事よりこの人だ。
まるで赤ちゃんの様に身を屈め全裸のままで震えている。
「大丈夫ですか!? 今、人を呼んできますから! そうだ、俺のジャケットを!
汗臭いけどそこは勘弁して下さい!!」
俺は自分のジャケットを着せようと手をかけると彼女は冷たくなった手で俺の手を拒む。
「ダメ……だ……」
「な、何で!?」
「わた、しは……もう、汚れているから……」
此の世の全てを諦めた様なか細く、消え入りそうな声で彼女は答えた。
「な、何を言うんですか! こんなに綺麗じゃないですか!! 貴女は綺麗だし美しい! だから自分を卑下するのはやめて下さい! 太陽だって沈んでもまた昇るし、汚れたら濯いで洗濯すればいいんですよ!
はい! 水飲んで! あと取っておきのチョコレートバーも食べて!」
「ん……んむ……!?」
『それは慰めているのか。その女をモノ扱いしているのか』
うるせえ! しらねー! でもなんだかほっとけない! こんな所に一人にしとくなんてできない!
「ん……」
彼女はゆっくりとだがそれを食べ始めると目に光が戻ってきた。それに顔つきもキリッとしてきた。
「……すまぬ。恩に着る」
な、なんか武家の奥様みたいな口調だな。
ありよりのありだけど。それに精液塗れで土下座ってインモラルなシチュはちょっと……いや、大分萎える。
「止めてくださいよお姉さん! 俺はそんなつもりで貴方を助けたワケじゃないんですから……どっか身を清める泉とか探しましょう!」
俺はなるべく彼女の裸体を見ない様にお姫様抱っこをしながら歩いた。危うく転びかけて彼女がしがみつき、そのぬくもりやおっぱいの感触がダイレクトに伝わってきて俺は煩悩退散とばかりに首を振る。
「悪魔殿。何故夜目が効くのに目を塞ぐ?」
「悪魔殿……? イッセーって呼んで下さいよ。それはなんというか、俺に裸を見られるのは嫌かなあ……と」
「ふふ。そなたは優しく、奥ゆかしいのだな。今のそなたになら私の裸を見ても構わぬぞ?」
今のそなたになら私の裸を見ても構わぬぞ……!?
そんなファビラスな日本語があったとは!!
「そ、そんな滅相もない。俺みたいな下級悪魔が貴女の様な美女となんて」
「ふむ。そなたは自分の事を過小評価し過ぎだ。それに……私はそなたに救われた身であれば……」
ぎゅっ、お姉様が俺にしがみついてくる!?
意外と力が強くない!? や、ヤバい! このままだとエッチする流れになるやも……!? 弱った女の子に漬け込むのは……!
『カラワーナの時はたっぷりと犯して隷属させたくせによく言うぜ』
ば、バカヤロー! ドライグ! お姉様の前でなんてことを!! あの時はカラワーナが瀕死で生きる気力を失いかけていたからやむを得ずだな……!
「イッセー。そこに泉がある様だ。私をそこで降ろしてくれぬか?」
「は、はい! 解りました!」
俺は言われるがままに泉の岸に彼女の足をつける。タオルが無いか探してこよう。
「すまないな」
「いえ、これくらいお易い御用です」
『相棒。この期に及んでまだ紳士を気取るのか?』
何が気取るだ! 俺は紳士だよ! と、ドライグに抗議の意志を伝えようとした時……暗闇の中に光が灯った!?
な、何故!? 俺とドライグの力でも明かりは灯せない筈なのに!?
「イッセー」
お姉さんから呼ばれてつい振り向くと、彼女の浸かる泉から光が満ち溢れ、彼女のシミ一つない艶やかながら、清らかな裸体を照らしていた。
「これは……!?」
「名乗るのが遅れたなイッセー。私の名はアマテラス。この高天原を治める天照大御神だ」
『ああ。間違いない。この清浄な気は彼女から溢れ出るものだ』
ドライグも肯定する。じゃあ、本当に……。
「は、はいいいぃ!? あ、アマテラスってあの!?
日本神話の最高神じゃないか! 威に打たれた俺は思わずアマテラス様に猛虎落地勢を披露してしまう。
「あ、ああ! 日本神話の最高神と聞いておりまするっ!」
「ふふ、イッセー。今の私はお前という益荒男に御霊を救われたただの手弱女。それ以上でもそれ以下でもない」
あ、あれ? ひょっとして俺無礼を働いてしまったか? いやしかし名前で呼ぶのも恐れ多いし……。というかこんな美しすぎる女神様にどう接していいのかわからない!
が、当に泉の女神ばりにアマテラス様は俺を手招きした。一緒に水浴びしろと?
「で、でですが、俺は下級悪魔であるますからして! アマテラス様の如き御方と混浴は果たせぬのではないかと……!」
『キョドり過ぎだ相棒』
するとアマテラス様はしゅん、と寂しそうな顔をする。
「私はイッセーと一緒に入りたい。やはり年増ではイッセーの食指も動かぬか……」
「いやいやいや! その様な事は断じて!! アマテラス様の様な美人に誘われるなんて光栄です!! ストライク! ジャイロ!!」
ああ、自分でも何を言っているのか解らない……!? リアス部長とイゼベル様の顔が思い浮かんでしまうが……セックスしなければ浮気じゃない……! たぶん!!
それにハーレム王を目指すならここで入らぬは無作法というもの!
後のことは後で考える!!
まあ、サマンオサみたいなモンです。
アメノトリフネ→顔色が良くなって背が伸びたあきつ丸
アマテラス→一回り成長した須ノ宮さな
そのうちaiに描いてもらおう。