※この作品はR-18です。

ハイスクールD×D×M   作:ぷうち☆りん

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こういうタイプの敵幹部って少ないからやってみた。



外伝(匙×花戒 本番なし)

「ま、そういうワケでパパッと死んでもらっていースか?」

「よくねえよ!」

 

 ダウナー系死神っ娘の鎌を避けながら俺は『黒い龍脈』にて反撃を試みた。

 カメレオンの舌ばりにアームから伸びる鞭は彼女の首筋に巻き付いていく。

 

「うわー……顔だけじゃなくて趣味も悪いでやんすねぇ」

 

 何だか冷ややかなジト目を向けられているが気にしている場合じゃない。

 このまま締め上げて失神してもらうとするか。あと顔はそれ程悪くないぞ!! 

 ともかくギリギリ、と『黒い龍脈』の舌鞭は音を立てて死神ちゃんの首筋を締め上げていく。 

 

「ああ、もしかして『相手は女の子だから顔を傷つけたらダメだ』なんてチョーシにノッちゃってます? なら……あっしは呼吸の必要はないんで、窒息はしないでやんす」

 

 と余裕を見せると共にぐいいっ、と死神ちゃんがこちらを腕一本で黒い龍脈の舌鞭を掴むと鎖鎌の分銅を振り回す要領で俺を振り回してきた!? 

 あんな小柄な身体にこんなバカ力があるだなんて……!? し、しかし不味い!? 

 

「ブラックアウトってご存じでやすか? 

 戦闘機やらF1やらで物凄いGがかかると脳に血が回らなくなって一時的にメクラになるっていうアレでやんす。

 あんさんが転生悪魔とはいえ、身体の作りは人間のままでやんすからねぇ、ハハハ」

 

 死神ちゃんの言う通り、俺は遠心力のせいでまさにブラックアウトの真っ最中であった。ぐおぉ……し、視界が……何も……見えない!? 

 

「ぽいっとな」

 

 黒い龍脈の舌鞭がついに解除されてしまい

 俺は遥か彼方にふっ飛ばされる。

 ヤバい! この勢いのまま地面に激突でもしたらケガじゃすまないぞ……! 

 

『ふん。どれ程のものかと思えば……。

 所詮色ボケ本体の雀に過ぎなかったか。

 そのまま百舌の早贄の様に死ね』

 

 ヴリトラ様……にそっくりな声が俺の真っ暗な視界の外から聞こえてきた。

 畜生……。俺は『黒い龍脈』を使いこなせていない。

 あんな単調な攻撃じゃ死神ちゃんを倒すことは出来ないんだ……! 

 このままじゃ大怪我じゃ済まないぞ!? 

 俺は本当にここで死ぬのかよ!? 

 ……いやだ! 俺はまだ……!! 

 ソーナ会長とヴリトラ様と授かり婚もしちゃいないんだぞっ!! 

 なら、どうする!? イッセーならこういう時どうする!? 

 何もしないで……死ねるかっ!! 

 

「うおおぉぉぉっ!!」

 

 俺は黒い龍脈をカメレオンから蜘蛛に変化させ、蜘蛛の巣状の糸の結界を背後に展開。ショックを吸収させて……。

 その反動を活かして逆に突撃の構えに移行した。

 

「ハハハッ。見た目で派手でやんすが、

 あっしがなーんにもしないでただボサッとしているなんて思っているでやんすか? 

 甘い甘い。3時のオヤツのプリンよりも甘いでやんすねぇ。 飛び込んできた所を真っ二つにしてやるでやんすよ!」

 

 勝利を確信したかの様に死神ちゃんが鎌を構えた。確かにこのまま飛び込んだら鎌によって俺は真っ二つにされてしまうだろう。

 

 今のままなら……な。

 

「だりゃあーっ!!」

「……なにっ!?」

 

 死神ちゃんがたじろぐのも無理はない。

 視界を封じられた筈の俺が翼を展開して滑空。タイミングをずらして反撃してきたんだからな。

 さっきの糸の結界に『龍脈の目』の効果も付与していたから俯瞰視点で死神ちゃんの様子ははっきり解っていたって仕掛けさ! 

 ショルダータックルからの浴びせ蹴りをまともに食らった死神ちゃんはまるで列車に弾き飛ばされた小石みたいにふっ飛んでいく。踵が相手の顔にめり込む感覚をはっきり感じたからクリーンヒットの筈……。

 

「ん……が……! ヒドいヤローでヤンス。女の子の鼻っ面に踵をぶちかますだなんて……! パパ殿にも殴られたことのないあっしの顔を……死ぬほど痛いでやんす」

 

 ……自分で鼻血を抜きつつ、折れかけた鼻を直しつつ充血しきった瞳でこっちを睨む死神ちゃん。

 ゾクッとしかけたがヤンキー時代の頃から相手にビビったら負けだというのは経験済。

 

「そうか? 殴られもせずに一人前になったヤツはどこにもいないって聞いたけどな」

 

 と減らず口を叩いて相手の出方を見ようとしたその時。

 

「おおっと! そこまでだぎゃあ!!」

 

 今度は肩に女の子を乗せた金髪トゲトゲオールバック髪にキンキラキンの聖◯士ばりの甲冑を着込んだゴリラ系の野郎がやって来た。しかしヤンス、といいだぎゃ、といい語尾でキャラ作りでもしてるのか? 

 しかしあの女の子……黒の革ジャンにへそ出し黒インナー、ホットパンツにハイサイブーツというありがた……いやいや! 防御力に難のありそうなカッコだが、

 なんだがヴリトラ様の面影があるな。

 妹……あるいは娘のような印象の子供だが誰だ? 

 トーンはやや低いこれまたヴリトラ様とほぼ同じ声……どういうことなんだ? 

 

「はあ? ここまでやられて黙って帰れだなんて無茶言うのウマいでやんすねえ」

「まあまあベンニーアちゃん。ここはワシの顔を立てると思ってほしいぎゃ」

 

 カッカと来ている死神ちゃん、もといベンニーアとやらを宥めるキンキラゴリラ。

 ゴツい見た目に反して腰が低いらしい。

 

「で、アンタら何者だ? 何でゴブリン達を酷使して鉱山で働かせてたんだ!?」

「フッ……」

 

 俺の訴えに対して女の子が鼻で笑った。

 なんか俺、おかしい事言ったかな? 

 

「いやあ実はワシも曹操どんに言うとりゃあすが、曹操どんはなかなか生まれついての大将だもんで。いかんせん下のモンの悲哀というのを知っておりゃあせん……」

「いや、木下。あんさんの身なりでそんな事言っても説得力がないでやんす」

「だもんで、適当な所でゴブリンは逃すがね」

 

 まあ……確かにな。しかし木下と呼ばれた

 キンキラゴリラにはこちらに敵対する意思は無いようだ。

 

「バカバカしい。ゴブリンなんぞ死ぬまでこき使えばいいのだ。どうせ奴らは勝手に増える。それに、だ。知らないようなら教えてやる下郎。 富は力だ。 富は兵を養い、力を蓄え、天地にあるものにゆとりを生む。幾百、幾千の参謀やら軍師やら将軍やらが理屈を捏ねようとこれは普遍の事実だ」

「下郎とは言ってくれるぜ。 それに今どきそんな帝国主義的な考えなんて時代に合わないぜ!」

「時代が合わないからどうだというのだ。

 既にして私のある所が玉座にして帝国となる。

 それすら理解できないというのならば貴様に語る事はもはや何も無い」

 

 な、なんちゅー傲慢な考えだ!! 

 純血魔族派にも劣らない唯我独尊ぶり。

 ソーナ様が聞いたら呆れ果てるぜ。

 しかしキンキラゴリラは彼女の言葉に感銘を受けていた。

 

「まさに右府様の気風だで。まあ、見とりゃあせ。ワシはおみゃーさんの城をバッチリ築いたるがね! 尾張名古屋は城で持つ! おみゃーさんはワシの天守閣だぎゃあ!」

「喧しいぞ、猿が」

「キキッ! 明るさと声、そしてガタイのデカさがワシの取り柄だがね!」

 

 女の子の話を聞いて感銘を受けたのかノリノリで木下とかいうゴリラは神輿を担ぐかの様に彼女を担ぎ上げる。

 イッセーとリアスさんのような妙なコンビだ……油断できねえな。

 

「わかった。ソーナ部長やアザゼル先生には俺からお前らに抗戦する意思はないって伝えておく。飽くまでここには特訓のために来ただけだからな……。あと、あんたらの名前を教えてくれ」

 

 

「わかったでやんす。 あっしはベンニーア。そこのでかぶつが木下藤吉郎秀吉。んで、こっちのおチビちゃんが……」

「ヴリトラ・アスラだ」

 

 ベンニーアより先にアスラがそう名乗った。ヴリトラって、この子があのヴリトラ様の分霊ってことなのか? 

 と、考えている間に霧が立ち込めると3人組はそのまま去っていってしまった。

 

 ー

 

「ひ〜、痛い痛い……!」

「もう、元ちゃんってば私が目を離すとすぐにムチャばかりするんだから」

 

 俺は今四つん這いになりながら花戒先輩から尻を擦ってもらっている。

 ご多分に漏れず報告の後に俺はソーナ会長からお仕置きの尻百叩きを受け、ヒリヒリ痛みっぱなしなのだ。

 ヴリトラ様の半身となって耐性が出来たのが痛いものは痛い……。

 いや、これもソーナ会長ばりの愛の鞭なのだ! きっとそうだ……! 

 

「じゃあ次は軟膏を塗ってあげるから、ズボンを脱いでね」

 

 って!? さらっととんでもないことを要求されたよ!? いや、流石に今の状況でそれはマズいのではないでしょうか!? 

 いや、パンイチになればギリギリ……やっぱりアウトじゃないかなあ!? 

 

「ほら、はーやーくー」

 

 先輩に急かされるがままに俺はパンツ一丁になると恥ずかしさもあって腹這いの体勢となりつつ尻を差し出した。

 

「ちょっと染みるかも知れないけど、我慢してね」

「うぐぐっ!」

 

 パンツの隙間から桃先輩の手が入り、冷たくてネバネバとした感触が俺の尻に広がっていく。 染みる〜……!! 

 

 うおおぉ……。 なんか後ろがヌルヌルしてるけど、この先輩俺に何を塗ってるんですか!? 

 しかし今は振り返ることが出来ないのが悔やまれる……!! 

 

「どう……? 元ちゃん。気持ちいい?」

「えっ? ええ……まあ……」

 

 何やら桃先輩の声に艶っぽさを感じるし。

 何だか手つきが怪しい気がするんだよなあ!! 

 

「あの……も、桃先輩?」

「ふふ……もう少しだけ塗らせて貰えないかな? 私、元ちゃんに触れているだけで幸せなの。嫌だったら言ってもいいんだから」

「は、はあ……」

 

 先輩の声を聞いているとなんか蕩けてくると言うか……。これも催眠術の一環なのではと思いつつ俺は為されるがままとなった。

 

「ふふふ……元ちゃんってばこっちも腫れ上がっちゃって……♥」

 

 桃先輩の手が勃起した俺のペニスを包むように触ってくる。

 自分でするのとはまるで違うその快感に俺の腰はびくんびくんと震え上がる中、更に予想だにしなかった刺激がやってきた。

 尻の穴に何やら滑るものが滑りこんできて、じわじわと俺の中に入ってくるではないか。

 

「おほぅ……!!」

 

 これには堪らず俺は変な声を上げてしまった。まるで尻に異物を入れられたかのような感じで違和感バリバリである。

 もしかしたら指? それとも何かの器具? 一体どんな魔法を使ったのか? 

 

「も、桃先輩……な、何してるんですか?」

「えーと……ちょっとした健康法というか治療行為だよ? 男の子の大事な所をこうするとリンパがアレしてアレするのよ」

「そ、そうなんですか……」

「そうだよ〜。だから安心してね」

「わ……わかりました」

 

 よく解らないが俺は桃先輩の言い分を信じることにした。何故なら先輩の言葉には説得力があったからだ。

 

 そして遂に先輩の指が全て入ってしまい……俺は未知の感覚に恐怖さえ覚え始めていた。こんな事をされて平然としてられる訳がないのである。だが同時に興奮も覚えていたのだ。女性に尻の穴を弄られるなど初めての体験であり未知の領域だったため混乱しながらも新鮮味も感じていたのであった。

 

「んっふふ……元ちゃんのこんな姿を見られるのは私くらいのものね……」

 

 桃先輩の声に嬉々としたものが混ざっている。尻の穴を弄られている俺はそんなことにも気づかず翻弄されていた。

 

「あ、ああっ! も、桃先輩……っ!」

 

 桃先輩の指が俺の中で蠢き、もう片方の手が俺のチンポを牛絞りの要領で揉みしだかれる度に俺の下半身に痺れるような快楽が走っていく。

 その快楽に頭がどうにかなりそうだ。

 

 さらに……。 ちろり、と生暖かいものが俺のアナルに這い回っていく。

 ま、まさか……!? 桃先輩が俺のアナルを舐めながらチンポを刺激してくれているとでもいうのか!? だとすればとんでもなくエロティックすぎるシチュエーションである! 

 

(うおぉ……! こ、これヤバいっ……)

 

 俺の脳内は快楽の濁流によって翻弄され、遂に射精に至ってしまった。

 どびゅるるる!! びゅるるーっ!! 

 

「お、おぉぉ……」

「あはっ♥ すっごい♥♥♥」

 

 自分でも驚く量の射精でありながら、桃先輩はドン引くどころか喜んでいるような態度を取ったのである。

 

「もう……元ちゃんったらいっぱい出して……。ほら、お掃除してあげるからもっと出してね……んじゅるるる……」

 

 桃先輩はそう言うと俺のペニスをしゃぶり始めた。まるでアイスキャンディーでも食べるように美味しそうに舐めているのだ。

 俺はと言えばそんな彼女の献身的な奉仕行為に感激しつつも抵抗するつもりは毛頭なく成り行きに任せることにした。

 しかし手持ち無沙汰なのも何なので、俺は桃先輩に一つ提案することにした。

 

「あ、あの……俺のチンポを掃除してくれるのはありがたいのですが……先輩の方も汚れてるので……よければ一緒に綺麗にしたいのですが……」

「ええっ!? い、いいけど……ちょっと恥ずかしいなぁ……」

 

 彼女は少し照れ臭そうにしながらも了承してくれたのである。そして桃先輩が俺の上に跨ってくるシックスナインの姿勢となる。

 

 肉厚ながらもしゅっと筋が入り左右対称の整ったに先輩の局部は俺にとって最も魅力的かつ美しい部位であった。しかしもっとも俺をそそらせるのは項から尻にかけての竜骨のラインである。

 

「んはあぁん……♥」

 

 思わず夢中になって俺は先輩の股座に吸い付いてしまう。柔らかくて瑞々しい太腿の付け根からぷくりと膨らんだ肉豆までを何度も往復して舌で舐め上げていった。

 

「ああぁっ♥ひぃぃんっ♥きもち……いいっ♥」

 

 先輩は感じやすい性格らしく喘ぎ声が大きくなっていき身体も痙攣しているようだった。そしてそのまま俺は先輩の秘部全体を優しく甘噛みしていくことにした。

 

「んん……っ♥あはぁ……っ♥やぁ……っ♥」

「先輩……もっと舐めてもいいですか?」

「はあぁ……っ♥いいよぉ……いっぱいぺろぺろしてぇ……♥♥ あっ♥ おちんちん♥ げんちゃんのおちんちん……♥むくむく〜ってふくらんでる♥♥♥」

「先輩のがエッチだからですよ。こんな可愛い先輩が目の前に居たら男なら誰だってこうなりますって!」

 

 俺はそう答えると再び彼女への愛撫を開始するのであった。

 

「ああっ……すごいぃぃ♥あっ……♥あふっ♥あっ……♥あひぃ……♥」

 

 桃先輩の蜜壷からは大量の愛液が流れ出ておりシーツを濡らすほどになっていたのである。そんな愛液に塗れた肉の割れ目を俺は夢中になって何度も舐め回した。

 

「やだぁ……♥わたしばっかり気持ち良くなっちゃってる……♥げんちゃんのも気持ち良くしてあげなきゃいけないのにぃ……♥」

 

 先輩はそう言うと再び俺のチンポを咥えてじゅぼっ♥じゅぼっ♥♥♥と容赦ない吸い付きをしてくれる。先輩が自分のものを口に含んでいる光景を見ながらクンニをするというのは最高だった。

 俺は先輩のクリトリスを中心に重点的に責め続けると徐々に彼女の動きが激しくなると共に膣口が強く収縮し始めていることに気づくのであった。

 

「先輩……もうすぐですよね?」

「うん……♥わたし……いっちゃうかも……っ♥」

 

 先輩が絶頂を迎えようとしているのを見て俺もラストスパートをかけるべく思い切り腰を動かして彼女の花弁周りと入り口辺りを舌と指の双方を責めたてた瞬間だった。 今まで以上に強い口腔の締め付けが俺のモノを襲ってきたかと思うと次の瞬間熱い液体が吹き出してきて俺の顔にかかる感触がしたのである。どうやら先輩は潮吹きまでしてしまったようであった。

 そして俺もまた……。

 

 ぷっしゃあー♥♥♥

 どびゅるる♥♥♥ どびゅーっ♥♥♥

 

「んむう♥♥♥ んむーっ♥♥♥」

「くおぉ……桃先輩……」

 

 彼女の口内に二発目だというのに大量の精子が吐き出されていく。桃先輩はそれをこくっこくっと喉を鳴らしながら飲み干していった。

 

「はあはあ……。ありがとう元ちゃん……」

「い、いえ俺の方こそ……。すげえ良かったッス……」

 

 尻の痛みもすっかり癒えた俺は桃先輩と並んで横になった。

 先輩は意味深な笑みを浮かべつつ俺の頭を撫でてくれた。やはり優しい先輩だ……。

 

「失礼しますよ」

 

 ぴしゃーん! と落雷、いや襖を開く音が聞こえてきた!? そこに現れたのは浴衣姿のヴリトラ様であった。

 

「わっ!? ヴリトラ様」

「どうしたのです。元士郎。私は怒ってなどいません。普通です」

 

 ……ぜ、絶対怒っている!! 表情筋はピクリとも動かずに怒気だけが滲み出ている感じがビンビンしてるし!? 

 

「あらら〜。元ちゃんのコレ、元気なくなっちゃったわねぇ〜」

「え? ええっ!?」

 

 ふと見れば俺の股間はすっかり萎れていた。いや、この状況でギンギンになったらとんでもないマゾか怪物だと思います! 

 

「それにしても……私の分霊に会った様ですね」

「は、はいっ」

 

 俺はしゅばっと正座の構えとなってヴリトラ様に向き直る。

 

「それで、どうでしたか」

「どう、とは?」

「……私に皆まで言わせるつもりですか」

 

 ぽっ、と頬を紅潮させた事に自ら気がついたのかぷいっ、とそっぽを向いた。

 不傷の龍王の異名を持つ御方ながらこんな可憐なところもあったりするのがヴリトラ様なのだ。

 

「えーと、なんというか、時代錯誤なヤツでした」

「時代錯誤……ですか?」

 

 正直にヴリトラ・アスラに対して思った事を俺は話す。少なくともソーナ会長の眷属としてもヴリトラ様の半身となった身としても、というか匙元士郎という俺個人としてもあの子の考えには賛同しかねる。

 

「そうですか。まあ、予想通りですね。あの子の思想は今の世では邪魔者扱いですし」

「ヴリトラ様としてはあの子のやり方は許せないんですね」

 

 俺の問いかけに対しヴリトラ様は少し目を伏せた。

 

 

「えっ?」

「あの子は私の在りし日の姿なのです。

 人の情愛を忌み嫌い、篤実に唾を吐きかけ、強者の道理こそ全てと豪語し、暴虐と恐怖を以って他を踏み躙ってきたのがこの私です。だから私はあの子を消滅させるつもりはありません。何故なら過去の自分を否定する事になるからです。今の私は人間や魔王の皆に迷惑を掛け過ぎましたから反省していますよ」

 

 その言葉を聞いて俺は何故だか頷きが止まらなくなった。この御方は昔の自分と向き合おうとしているのだろう。

 或いは罪悪感に苛まれているのかも。

 確かにヴリトラ・アスラは時代遅れの考えを持った危険な存在だ。だからといって彼女とヴリトラ様の過去を全て否定するのは間違っているよな。

 桃先輩もそうだそうだ、と言いたげに俺へ寄り添ってくれている。

 

「それはそれとして……寵姫を囲うのは自由ですが、本妻たる私を軽んずるのは腹に据えかねますね」

「あら? 本妻はヴリトラ様やソーナ様じゃなくて私になるって可能性は忘れてない?」

「良いでしょう。お互い頑張りましょう」

 

 何だか話についていけないが、まあ取り敢えず仲良く? やってくれるということで俺は安堵した。と、同時に何だか身体が熱を帯びてきているのを感じた。

 我ながら現金だよなあ……いやホント。

 

 ー

 

 場所は変わってゴブリンの鉱山跡。

 

「不手際だな。藤吉郎くん」

「いやあ、曹操どん。面目ないだぎゃあ。まさかワシがうたた寝していた間にゴブリンどもが発破を仕掛けて脱走するだなんて。これ! この通りだぎゃ!!」

 

 ペコペコと巨漢に似合わず米つきバッタじみた姿勢にて謝り倒すキンキラゴリラこと藤吉郎。そんな彼を軽んずる様に英雄派の主力であるジャンヌとヘラクレスが嘲笑する。

 

「霊銀の鉱石は私達にとって貴重な財力で、戦力の源よ? わかってるのかしら?」

「こりゃあニホンで言うケジメとやらをしなけりゃならねえんじゃねえか?」

 

 まるで猫がネズミを甚振るが如く、藤吉郎を追い詰めていくジャンヌとヘラクレス。

 

「ひえ〜っ、これはこの猿めが悪うございましただで!! かくなる上はあの八坂ちゅう妖狐を調略してこのサルめの汚名挽回とさせて頂きたいがね!!」

 

(……失敗にかこつけて橋頭堡と自身の地盤作りを兼ねるつもりか。この男の望みも天を掴み地に覇をなす……と言った所かもな)

 

 と、曹操は秀吉の一筋縄ではいかない野望を看破してはいたが口に出すことはなかった。それは彼が藤吉郎を高く買っていたからであろう。

 

「まあよい。此度は俺も監督不行き届きの責任もある。今回の件は不問としよう」

「ああ! ありがとうございますだぎゃあ! この上は粉骨砕身、天に唾して曹操どんのために働きますだで」

「口の減らねえ野郎だぜ」

「それに天に唾してどうするのよ」

 

 ぺこりと頭を下げ、曹操の手を取り感謝を述べる藤吉郎。曹操には彼が本心から英雄派のために尽力をしている事も理解していた。それ故に恐ろしい。

 人は理解できないものを拒み、理解できるものを受け入れる。

 曖昧模糊で複雑怪奇な世界に耐えられる人間はごく少数なのだ。

 故に藤吉郎の様にわかりやすく、かつ物事をわかりやすく談じ、断ずるものを好む。

 そしてヴリトラ・アスラが彼を見て呟いた。

 

(まあ、よい。私もあれ以来この藤吉郎なる男に興味がある。奴に我が旗を掲げさせてみるのも一興か)

 

 彼が単なる猿山の猿で終わるのか、或いは雲龍の背に乗って天を駆けるのか、それは誰にもまだわからない。




皆のために行動することと下剋上を行うことは矛盾しない。
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