「あんっ♡あんっ♡♡♡ いいっ♡ 元ちゃんっ♡♡♡」
「桃先輩……!!」
シャワー室の狭い空間に、二つの熱い息づかいが響いていた。窓から差し込む午後の日差しが湿った床に反射し、入道雲ばりに蒸気が立ち上る。
「ああぁん♡元ちゃんの元気なオチンチンビクビク震えてるっ♡私の弱い所に先っちょが当たってブルブルしてるよぉっ♡」
先輩のあられもない嬌声が壁に反響する。テニスコート脇の暑さと草むしりの際に生じた汗が、シャワーの水滴と交わり溶けて、排水口へ飲まれていく。
「ひゃあん♡膝が抜けちゃうっ♡♡♡元ちゃん♡私の事しっかり支えて♡♡♡」
「もちろんです!」
力強く彼女の腰を抱きしめると同時に、さらに奥へと突き入れる。膣壁は収縮し、まるで俺自身を飲み込もうとするかのようだった。
「ふぁあっ♡♡♡奥までぇ……♡♡♡ これっ♡すきいっ♡♡♡」
所謂駅弁スタイルの体勢で互いに結合し合いながら、先輩は腕を俺の首筋へ回す。その指先が優しく俺の首元に触れた時、電流のような感覚が全身を貫いた。
互いに快感を感じ取りながら、より深い場所を目指して腰を打ち付ける。彼女もまた自ら腰を動かし始め、二人の動きが一つになる。その瞬間、何か決定的なものを感じ取った。
「あっ♡そこぉ……♡♡♡ダメッ♡気持ちいいとこ当たってるぅ……♡♡♡」
「ここですか? 先輩……!」
「そうっ♡そこが弱いところだからぁ……♡♡♡やめてって言ったのにぃ……♡♡♡でも止まらないよぉ……♡♡♡」
快楽に溺れる先輩を見下ろしながら、俺はますます興奮した。レーティング・ゲームでは冷静沈着、普段は明るく気さくで美しい先輩が、今こうしてドスケベな表情を浮かべている光景—……これこそが最大の興奮剤だ。
「あぁん♡もう無理っ♡イクッ♡イッちゃうよぉっ♡♡♡」
しがみついてくる桃先輩。更に大きくなったおっぱいの柔らかさと、ムチムチになった桃尻から伝わる振動を感じながら、俺も限界を迎えつつあった。
「ふぁっ♡中に出して元ちゃんっ♡いっぱい出してぇ♡♡♡」
その言葉に背中を押されるように、全ての欲望を解放するべく勢いよく突き上げる。刹那、意識が遠のくような衝撃と共に、今まで溜め込んでいたものが一気に放出された。
どびゅるるるー!!
「はあぁーっ♡元ちゃんの元気な赤ちゃんミルク♡いっぱい出てるっ♡熱いよぉ……♡」
痙攣する膣内へ最後の一滴まで注ぎ込んだ後、ゆっくりと引き抜くと、愛液と共に白濁とした液体が流れ落ちていった。それさえも扇情的に見える光景だが、今はただ彼女との余韻を楽しむことしか考えられなかった。
「ふぅ……」
「ふぅー……元ちゃん♡」
乱れた呼吸の中で見つめ合う瞳には、お互いへの愛情だけがあった。
「元ちゃん♡」
「はい?」
「もう一度……したいかな♡」
先輩は照れくさそうに微笑みながら俺に名は体を表す様な桃尻を俺に向けてくる。水を弾き、ほんのり赤らんだ尻が俺を誘う様にふりふり動くと、とろっとアソコから愛液と精液が垂れてきた。
「先輩……それは反則ですよ……」
「ふふっ♡元ちゃんなら喜ぶと思って♪
さあ、続きをしましょ♡♡♡」
頬を染めながら挑発的な笑みを浮かべる桃先輩はいやらしく、
素敵だ。そんな彼女の虜になりながらも俺は一計を案じた。
「ええ。でもちょっとしたサプライズがあった方が先輩もいいでしょ?」
「なぁに?」
トロンとした目つきで俺の顔色を伺う先輩に軽くキスをして、俺は尻の割れ目に手を伸ばし、彼女のアナルに指を伸ばす。
「ひゃん♡げ、元ちゃん♡お尻でなんてぇ……エッチすぎよぉ♡♡♡」
ぬぷり、と人差し指と中指の第一関節が彼女の内部に侵入する。そしてそこを広げる様に左右に動かしつつもう一方の手で膣穴周りを弄ってやる事にする。どちらもすっかり解れていて、ペニスを余裕で受け入れられそうな位に伸縮、柔軟性に満ちていた。
「いやあぁ♡お、おしりとオマンコ♡ どっちも元ちゃんの指でぐにぐにされて広がっちゃうのぉっ♡♡♡だめえっ♡」
言葉とは裏腹に、明らかに感じている様子だった。彼女の両足が小刻みに震えており、それによって秘部の方にも刺激を与えられてしまっていたからである。
さらに、彼女の胸もまた大きく揺れ動き、その谷間からはシャワーでも流しきれない甘い香りが漂ってきており、それが俺の興奮を促していたのだ。
「桃先輩。アナルとあそこのどっちが気持ちいいですか?」
「あぁ♡わ、わかんない♡どっちも♡いいっ♡元ちゃんにしてもらえる事が全部幸せなのぉ……♡♡♡」
「そうですか、じゃあ両方ともいじってあげましょうね……」
「ひゃあん♡元ちゃんがそんな♡私を辱めるなんて思わなかったぁ♡♡♡ そんな意地悪しないでぇ……♡お、お願いします……アソコに元ちゃんの太くて硬いの下さい……♡」
「ん〜何のことです?」
「もぉう♡分かってるくせにぃ……♡」
拗ねたように頬を膨らませた先輩だったが次の瞬間には再び艶っぽい表情を見せていた。
「挿れて欲しいです……♡お尻の中におちんちん下さい……♡ 実はもう準備済なお尻……ケツマンコにオチンポ入れて欲しいのぉ♡」
恥ずかしがる桃先輩の頬に軽くチュッと唇を触れさせるとそのまま後ろから抱きつき、先輩の形の良い巨乳を鷲掴みにする。すると彼女からまた甘い吐息が漏れ出したのでそれを合図として彼女のアナルに俺のモノを宛てがうとゆっくり挿入していく事にした。
ずぶり……という音と共に亀頭部分まで埋まったところで一旦止める事にする。ここで一気に押し込まず少しずつ慣らしてあげるのがポイントなのである。
「ふぁあ♡きもちいい……♡♡♡やっぱりおしりすごいのぉ……♡♡♡♡♡♡」
その言葉を聞いた途端、一気に最深部まで貫通させるべく激しく腰を動かし始めるのだった。パンパンという皮膚同士がぶつかる音が浴室全体に響き渡り始めると共に俺達の喘ぎ声までも聞こえるようになったのだった。
「んはああぁっ♡♡♡すごおっ♡♡♡おちんちんが私のお尻のなかでビクビク脈打ってるのが分かるぅっ♡♡♡あぁん♡おっきすぎぃ♡おまんこの時よりも太いのが来てるよおぉっ♡♡♡」
「俺のチンポが太くなったんじゃなくて先輩のケツマンコがキツキツなんですよ。
入り口はキツキツなのに奥はトロトロのフワフワ。最高ですよ、桃先輩のケツマンコ」
「んひゃあああっ♡元ちゃんに褒めてもらっちゃったあ♡♡♡ うれしいっ♡」
彼女の嬌声を聞きながら夢中になってピストン運動を行う。初めて知った女性器と肛門では感じる箇所が異なるため別物だと感じるもののやはりどちらもそれぞれ魅力的だと思う。
二回戦だというのも忘れて、いつの間にか俺は夢中で先輩に腰を叩きつけてしまっていた。
「ふあぁん♡おしり気持ち良すぎて壊れちゃうぅっ♡♡♡」
「大丈夫ですよ先輩。壊れてもちゃんと面倒を見てあげますから」
「んんっ♡ほんとうぅ? ♡♡♡
こんな淫乱になっちゃった私を、まだ元ちゃんは好きでいてくれるのぉ……?」
「勿論です! どんな先輩でも受け入れますから安心してください」
「嬉しい……♡♡♡ならもっといっぱい突いてください♡♡♡私が壊れるまで……♡♡♡」
潤んだ瞳で懇願されたら断る事などできないだろう。俺はラストスパートに入るために体勢を変え正常位に戻すことに決めた。そして繋がったままぐるりと先輩の体を回転させて仰向けの状態に戻す。
先輩のケツマンコに挿れたまま、先輩は俺の背中に手を回し、自ら舌を出し始めた。
「あぁっ♡おしりなのに……♡♡♡
S字結腸ごりごりされて♡もうイキそう……♡♡♡♡♡♡」
絶頂を迎える直前なのか、更に食いちぎらんばかりに締め付けが強くなるがそれでも構わず抽挿を続ける。
先輩はもう既に何度達したのかわからないほど身体をビクビクさせていた。
その度に膣内もきつく締まるのだが、それに負けじと激しく動けば動くほど、お互いの性器から溢れ出すカウパー液と腸液により滑りは良くなっていった。
「桃先輩っ! 俺もイキます!」
「きてええっ! 一緒にいこうよぉおおっ♡♡♡」
「出るぞぉおおおっ!!!!」
「ひゃああああんっ♡♡♡♡♡♡」
俺達の絶叫と共に、勢いよく精液が噴出する感覚があった。同時に俺の肉棒を包んでいる腸壁も痙攣しており、覚えたてな蠕動運動を懸命に敢行する。
そのいじらしさに感極まり、俺は最奥へ更に先端をぐりっと押し込んだ。
「はぁ……はぁ……♡元ちゃんの……熱いのが……♡」
「はい……気持ち良かったですね」
「うん……♡」
お互い荒い呼吸を整えた後、ゆっくりと引き抜くとどろりとした白濁色の液体が流れ出してきた。それは紛れもなく先程自分が放ったものであり、それを認識した途端羞恥心が湧き上がってきた。
しかしそれらもシャワーの冷水が洗い流しくれ、俺は我に帰った様に桃先輩を抱き上げた。
ー
結局桃先輩を組み伏せるような姿勢で二回戦を終え、俺は倦怠感と充足感のシーソーに乗せられたまま床にへたり込む。
「うっふふ♡流石元ちゃん♡すっごく気持ちよかった♡といっても私は元ちゃん一筋だけどね♡」
ちゅっ、ちゅっとハミングキスの洗礼を浴びせる桃先輩は下手するとセックスの前より元気一杯に見える。
もしかして転生悪魔は悪魔でも、サキュバスだったりしませんよね……?
「あ、ありがとうございます……」
「どういたしまして♡」
「そう言えば、花戒先輩はなんでソーナ会長の眷属に……?」
今回の庶務活動、テニス部のテニスコートの草むしりは多忙な身である会長の代理としての意味もある。
元はどデカい会社の重役にしてご令嬢の桃先輩が悪魔と契約する理由は何だったのか……?
「実はね、私病気だったの。下手をすると20まで生きられるかどうかって位の。 頬もこーんなにゲッソリして、肌も真っ青。アバラだってバキバキに浮き出てて、白髪もその名残なの」
おどける桃先輩だが、きっと俺の想像も及ばない位暗く、苦しい、救いのない世界に居たのだろう。
「そんな時にソーナ様に会ったの。
私の願いはお金や容姿でもなく、健康。
『私を人並みに健康にしてほしい』って。それで、今の私があるの。
私、この街に来て良かったと思ってる。元ちゃんにも会えたし♪」
にぱ〜っと、太陽のように明るい笑顔を見せる先輩。その笑顔が堪らなく眩しい。
嵐と雨の化身のヴリトラ様の加護を受けている身でありながら心惹かれてしまう。
「そ、そんな俺なんて、先輩の為になりそうな事を何もしてませんよ」!
「ううん、してくれてるよ! 元ちゃんが側に居てくれるだけで、毎日楽しいし、幸せだよ!」
先輩の言葉に思わず赤面してしまう。
そして俺は思った。この人の笑顔を守りたいと。そのためならどんな苦難や修行も望む所だと改めて誓った。
成る程、ハーレム王なんてものを目指すと公言しているイッセーのヤツが強い理由の一端が解った気がする……。
いや、強さを求めるためだけに多人数を愛して憚らないなら論外だが。
「それにこういう草の根活動も次期生徒会長になるには不可欠なワケよ」
伸びをする先輩の美巨乳がぷるるん♡と小気味いい音を立てた。
これが後付だなんてとても見えなかった。
「……え、先輩会長になる予定なんですか……?」
「まぁね☆私、ソーナ様が卒業したら会長に立候補する予定だし!」
「凄いですね! 応援しますよ!」
「なーに言っているのよ元ちゃん。 元ちゃんには副会長をやってもらうんだから」
「ええーっ!?」
「当然でしょう? こんなに頼りになって素敵で魅力的な男の子が近くにいるなんて、最高じゃない!」
桃先輩の無邪気な笑顔が、今度は少しばかり悪戯っぽいものに変わる。それはどこか悪魔らしい狡猾さを含んだものに見えた。しかし同時に、やはり無邪気な少女の笑顔でもあった。
「そ、そう言われても……俺なんかに務まるとは思えませんよ」
「大丈夫だって! 私が保証する!
元ちゃんは誰よりも優しくて思いやりがあって、何より頑張り屋さんなんだから!
ぎゅっ♡と抱きつかれると今は性欲よりも信頼を寄せられている充実感が勝る。
「それに元ちゃんも言ってくれたじゃん!
私と一緒に頑張ってくれるんでしょ?
じゃあ決まり! 今から約束だよ!」
「は、はい……! 頑張ります!!」
もう断る理由など見当たらなかった。俺は桃先輩に導かれる形で、新しい目標に向かって歩み始めたのである。
「で、これからの夏休みの予定は?」
「えーと、ロキ討伐が終わったのでバイト、弟達の世話、バイト、ヴリトラ様のお手伝い、バイト、アザゼル先生の手伝いと神器のパワーアップのための調査とテスト、あとバイトっすね」
「げ、元ちゃん……」
更衣室で着替え終えて退室したあと、俺は桃先輩にこれからの予定を聞かれた。
すると彼女はわなわなと震えていた。
俺、なにか変な事言ったかな……?
「ダメよ元ちゃん! 青春は一度きりなのにそんなシンデレラも裸足で逃げ出す灰色の青春なんて送っちゃ!」
「は、はあ……」
シンデレラは元々裸足になって逃げ出した様な……そんな無粋なツッコミを入れるヒマもない位に桃先輩はスマホを操作し始め、誰かに連絡した。
「もしもしセバスチャン? 私。
今からパパの会社の保養所を一泊二日で押さえて! いいからすぐに!」
『承知しました』
「まったく、元ちゃんはもっと自分を大切にするべきよ! 私がついてないとダメねやっぱり」
うんうん、と一人頷く先輩はそこからはまさに電光石火。俺のバイト先のシフトまで押さえ、弟妹達のスケジュール、果てはアザゼル先生達のスケジュールまで調整してしまった。
「さ、これでOK! 当日は朝6時に迎えに行くから準備して待っててね♪」
「え、ちょ、ま……」
「楽しみにしてて! 今回は私が元ちゃんに『最高の思い出』を作ってあげる番だから!」
その勢いに圧倒されつつも、内心ドキドキしていたのも確かだ。一体何が始まるんだろう……そう思うだけで胸が高鳴ってしまう自分が居たのだから仕方がない。
これは夏休みの頃のお話。
「お嬢様。では私達はこれで」
「うん。ご苦労さまセバスチャン。
明日の朝には迎えに来てね〜♪」
「畏まりました」
白いリムジンとセバスチャンって名前の執事って本当にいたんだなあ……。
と俺、匙元士郎は変な所で感心した。
当のセバスチャンへは花戒先輩が手を振ってるけど。
花戒先輩はお父さんがデカい会社の重役らしく、海沿いに会社の保養所があるとの事。 バイトと弟達の世話にあけくれる俺を哀れに思ったのか、一緒に来ないかと誘ってくれたのだ。
ヴリトラ様は学園長のお仕事のため、一緒には来れなかった。少し残念。
男女二人きりをは花戒先輩のご両親が良く許したなって? 無論二人きりじゃないからな……。
「ほら、お前らもまずは桃先輩にちゃんとありがとうって言うんだぞ」
降りるなりキャッ、キャッと猿ばりに燥ぐ弟妹達を俺は窘めた。全く子供ってのはすぐ調子に乗るんだからなァ。
「「「ありがとうございまーす!!」」」
「あらあら。いいのよ別に。元ちゃんの弟さん、妹さんなら私の弟、妹になるんだもの。ゆくゆくは。
貴方たち、素敵なお姉さんが欲しくない?」
「「「ほしーい!」」」
あれ? さらっと外堀、いや内堀を埋められていやしないか俺? それとも俺の気のせいか?
「まあまあまあ。元ちゃんたら照れちゃって」
あ、ダメだ。気のせいじゃないわ、コレ。
俺にはソーナ会長とヴリトラ様が……。
いやデキ婚狙っている相手が二人もいるってどうなんだよ?
俺も知らず知らずの内にイッセーと同レベルのスケコマシ野郎に成り下がっていやしないか? ああ、自己嫌悪……。
「ふっ、何を悩んでおるか匙とやら。
血の交わり、肉の蠢き、獣の声。
蓋をして鼻をつまんで見て見ぬふりを決め込んで何とするか。
その様なケチな枠などぶち壊す気概を持たずして余のイッセーを超えようなどとは片腹痛いわ!! わっはははは!! ほれ、おぬしらも笑え!!」
「「「「わっははははは!!」」」」
セレブチックなコーディネートをキメたイゼベルが何故か弟達と先輩まで抱き込んで笑ってくる。 なんでついてきてんの?
つーかそもそもどこから湧いて出た?
「ふっ、何故余がイッセーと共にいるのかと不思議で堪らぬ顔じゃな?」
いえ、さっさと帰ってくんねーかな、と思っている顔をしているんですが。
このイッセー以上に傍若無人にして天上天下唯我独尊、我儘の化身である女に通じるワケがなかった。
「ダメよ元ちゃん。イゼベル様は一応私のパパが勤める会社の大株主なんだから」
「おおかぶぬしって何?」
「大株主とは会社の社長より偉い存在のことじゃぞ」
「へー、イゼベル様ってえらいんだ」
「そうとも。余は大いなる7つの丘を統べ、天上天下に覇を唱え、布したもの。並ぶものなき我が名を崇め称えるが良いぞ」
「「「ははーっ」」」
「うむ! 心地よい! そなたらには後でアイスを奢ってやろう」
更に明かされる衝撃の事実。あと弟達に変な事を吹き込まないで欲しい……。
と、あきれていた所に先輩が腕を組んでくる。ウェーブがかった白髪はまるで調度品のブラシのように心地よく肌を撫でる。あとボリュームたっぷりな胸が腕に押し付けられてる感触が……。
「イゼベル様が弟くん達の世話をしているみたいだし、私達は一足先に浜辺に行きましょうか?」
「え、ええ。はい……」
「うふふ。今日は特別に水着の上からラッシュガードなんて着ないであげるから。期待しててね?」
「は、はい」
先輩って意外と肉食系? いや普段からそうか。
ー
そして浜辺にて。
パラソルの下でビーチチェアを敷いて優雅にくつろぐのはイゼべルとウチの妹だ。
妹はスクール水着なのはいいがイゼベルのその赤と黒の交差型のビキニは何なんだ。 目のほ……目の毒だっての!!
「イゼベルさまー、つまんないよー。元子すなはまにいきたーい」
「ふっ、つまらぬか匙妹よ。
じゃが佳き女というものはやたらに動かずじっくりと待ち受けるものじゃて。小事を成すは人にあり、大事を成すは天にありぞ」
「よくわかんない」
オイオイオイ。ウチの妹に変な事を教えんでくれ!! お前みたいなトンデモ女になったらどうしてくれるんだ!!
ちゃっかりサングラスまで貸し与えやがって……!! ちょっと言っておかねば!!
「なあ、イゼベル。何のつもりかは知らんがウチの妹に変な事を吹き込むな」
「変な事とはご挨拶じゃのう。余は貴様の妹に器量良しな女の在り方を教授してやっておるというのに。 まあ、よいわ。
もう少し涼んだら、遊ぼうぞ元子」
「うん!」
本当にそうなのか? 単に暇つぶしの道具にしているだけじゃねーのか?
しかし元子はあまり泳ぎが得意じゃないし、懐いているのも事実だし……。
「元ちゃん! 早くスイカ割りしましょうよー!! 元気くんも元太くんも待ちくたびれているわよー!!」
と、スイカを3つ……いや、イッセーじゃあるまいしナチュラルセクハラな例えは止めよう……。スイカを持った桃先輩がやってきた。
オレンジ色のパレオとオフショルダー付きの健康的な水着が俺を目を釘付けにする。
待たせるのも悪いし、ここはお言葉に甘えて遊んでもらおう。
「……と、いうワケだから頼んだぜ」
「ククク、嘗ては反救世の竜を産むもの、獣の胎として天地に恐れられた余に子供の世話を頼むとは。どこまでも愉快な小童よな。まあ良いわ」
なんかドヤ顔でワケのわからないことを言っているがスルーしよう。 今はスイカ割だ。スイカ割。
ー
「あはは、にいちゃん全然違〜う」
「これで3回目だぜ〜?」
俺は現在、スイカの位置を掴めず悪戦苦闘の真っ只中。
う、う〜ん。神器を使えば簡単だが、それはズルというかシラケるのではないかという気がする。
「にいちゃんがんばれー」
「全く甲斐性なしよ。つくづく使えぬ。
ここぞという時に勘の効かぬ男はピンチは凌げず、チャンスは逃す。とても人の上に立てる器ではないの。所詮青大将に大黒柱を務めよというのは荷が勝ちすぎたか」
イゼベルのヤロー……!! いや、この場合はイゼベルのアマというべきなのか?
カッカと頭に血が登り始めた俺の背中にふにょん♡と二つのスイカが……いや水着が当たる感触が……。
目隠しをされているがたぶん桃先輩が俺の背中にひっついている。更にパレオを外して二人羽織の様な体勢に移行したのか、生地が肩肌に触れるのがわかる。
「私があなたのお手伝いをするわ元ちゃん。二人で力を合わせれば怖いモノなんて何も無いもの。はい、右に3歩。前に5歩。
そして思いっきりばこーん、とね?」
「は、はい!!」
うおおおお! 背中に二つのスイカが当たってるぜ〜〜!!
これがイッセーが以前言っていた水着越しの胸の感触! なんという包容力!
「はい、そこ!」
「はい!!」
俺は先輩の指示に従って思い切り木刀を振り被り……スイカは豪快に割れた。
「にいちゃんすごい!」
「流石!」
「元ちゃん! 今ので分かったでしょう。元ちゃんは一人で頑張りすぎなのよ。だから空回りしちゃうの」
「桃先輩……」
「これからは私ももっと力を貸してあげるわ。だって……私、あなたのお嫁さんになるつもりだから」
と、桃先輩は目隠しの手拭を取りながら大胆な告白をしてくる。
勿論表情は穏やかだがその瞳にふざけている様子は一切ない。
「あ、あの。俺……まだ色々迷っていて……」
「うん。解ってる。答えは卒業まで焦らなくってもいいからね。……って、ちょっと重い女だったかしら?」
「とんでもないです!」
「という事は軽い女って事かしら。ひどいわ元ちゃん」
「そ、そんな〜……」
ふん、と桃先輩は機嫌を損ねた風にパラソルの方へ歩いていった。
慌てて追いかける俺だが、桃先輩は微笑んでいるのでどうやら怒ってはいなかったようだ。
「そう言えば元ちゃん。午後から私、ビーチビーナスコンテストに参加してみようって思うの。応援宜しくね♪」
「ま、マジですか?」
桃先輩が注目されるのは嬉しい様な、不安な様な……いや、態度をハッキリさせずに独占欲を丸出しにしてどうするんだよ。
ー
「いやー、全く青春しとるがね。元士郎どんも罪づくりな男だぎゃ」
「下らん。あんな男のどこに私の本体は価値を見出だし、半身に選んだのやら。店員。アイスのおかわりだ」
「もうありませ〜ん……」
そんな元士郎の一団を海の家にて眺めるのは英雄派の木下藤吉郎とヴリトラの分霊であるヴリトラ・アスラの二人である。
なおアスラの周りには大量の空容器が散乱している。明らかに食事の総量が彼女の体積より多い有様である。
「無いだと?」
ギラリ、と鋭い眼光が店員の心胆を凍結させた。夏の只中だというのに顔は青ざめ、全身を震わせる。
「まあまあアスラはん。ここはワシの顔を立てると思って我慢しとりゃーせ。 ワシが迦楼羅の速さで直ぐに買ってくるがね」
「その必要はないぜ藤さん。ほれ、お姫様の大好きなバケツアイス」
店員に助け舟を出そうと腰をあげた藤吉郎を何者かがスタスタ浜辺から歩いてきながら制し、どこからか取り寄せたかの様にバケツサイズのカップアイスを机に置いた。
その人物は飄々とした顔立ちにして細身。ハーフアップにした髪を後ろに撫でた髪型に対したらりと垂れた前髪はまるで蠍の尾を想起させる。転じて後ろで纏めたお団子髪は蜘蛛の腹、外に跳ねた髪は百足の足の様相。その目は蛇の如き鋭さを秘めた20半ばに入るか入らない男性であった。
「道満か。褒めてやる。痩せ狗には痩せ狗の務めがあるものだからな」
「痩せ狗ねぇ。せめてはぐれ狼って持ち上げて貰えないかな?」
互いの間にまるで雷雲が生じ始めたの様な危険な雰囲気をモロに受けた店員は危うく泡を吹きかけたが、藤吉郎の介抱を受けてはっ、と我を取り戻す。
「ほんだで。世間じゃ犬猿の仲なんて言葉はあるがワシと道満どんは今世での兄弟の様なもんだがね。
おみゃーさんの呪術は日本はもちろん、唐天竺にも及ぶものはおらんせんがね!!ワシが金印の太鼓判を押したるぎゃあ!」
「繰り上げ1位の男を持ち上げすぎだぜ藤さん」
目元を隠して道満は笑った。が、果たして目の表情はどうであったか。 俗に目は口ほどに物を言うという格言がある。人当たりはいいが本心は見せない手合いなのかもしれない。
「繰り上げ1位か。貴様が弱くなったワケでもなし。歯に衣着せた物言いで周りに褒めそやされるのがそんなにイヤか」
「男はプライドで生きていくものだからねぇお姫様。王様になる気なら覚えておいて損はないよ?」
諫士としての忠告なのかそれとも暗君、暴君を嗤う道化の戯言なのか。 昼時に照りつける太陽の光は真実を照らす事が出来ずにいた。
「ま、そんな話は置いておいてだ。 午後からビーチビーナスコンテストってのをやるみたいだよ? お姫様も出てみたら?」
転じてからりとした笑顔になって道満はアスラに提示すると露骨に彼女は顔をしかめた。
「下らん。その手の見世物はあの売女の領分であろう。王は端女を愛で、飼うもの。自らを端女に貶めてどうする」
「お姫様が端女に負けるのが怖いんだぁ~?」
言うのが終わるか終わらないかの内に、にいっと道満は猿が歯を剥く様な挑発的な笑みを浮かべた。
忽ち彼女の手に雹と暴風で固められた片手剣が精製されるや否や横薙ぎに払う。
風の隙間を縫う無音にして凄絶な一閃。
道満の首の皮一枚まで刃先が食い込みかかった。
「おみゃーさんら、落ち着くがね。ここで殺し合いなんぞしてみい。この子に迷惑がかかる上に曹操どんがイゼベルに話を持ちかけるどころじゃなくなるがね」
元士郎や曹操には見せない威厳のある態度で藤吉郎が嗜める。忽ち、場の緊張が緩み、アスラは剣を消した。道満もまた悪びれる様子もなく席につく。
(止めるつもりは無かったが藤吉郎の神器によるものか? 成る程、人の良さと媚び諂いだけの一筋縄で天下を狙う程甘い男ではないか)
(マトモに受けるつもりはなかったがその前に刃が止まった。力みからしてお姫様は手加減はしてねぇ。そもそもそういうタマでもない。
となると藤さんの神器ないし呪術か何かか?
しかし呪力や魔力とやらが反応した様子はなかった。成る程、猿の大将だけあって色々山ン中に隠し玉を持っているって事かねぇ)
互いに牽制しながらも、藤吉郎の意図を酌んで矛を収める二人。
「あ、あわわわ……」
「おっとお姉さん。今のは来週やるマジックショーのデモだから。オフレコで宜しく。あと塩焼きそばお願い。愛情と紅生姜、両方大盛りでねぇ?」
「は、はいっ! ただいま〜!」
軽薄なセリフだが道満は世間一般の水準なら水も滴る美丈夫である。ある意味板についているというか様になっていた。
「ははっ、走って調理場に行ったよ。可愛いねぇあの子」
「イケメンは得でいかんわ」
「よかろう。貴様の挑発と藤吉郎の律儀に免じて参加してやる。王とは蹂躙し、粉砕するものだからな」
果たしてビーチ・ビーナスコンテストはどうなるのか。波乱を予感させつつ幕を開けようとしていた……。
この道満夏油ですよね? 夏油じゃねえって!!
キッショ、なんで解るんだよ。
さては呪術廻戦読んだなテメー。
本家と違ってサルと仲良しだから……。
しかし蠱毒皿みたいな見た目のイメージだな。
なんでイゼベルが付いてきたの?
ヒマだから。