けどレイナーレは救済します。
「カァカァ、と烏が喧しくほざきよるわ。
イッセー、余が許す。そこな降天使に冥界の道理というものをその身にとくと教え込んでやるがよい」
「へ〜え。それがあの御方が言っていた神器というワケ? 半端な下級転生悪魔にはもったいない位ね」
レイナーレは【
何か考えがあるのか? それとも俺をナメているのか? どっちにしろ、やる事は変わらない。カラワーナとバイサーとの訓練の成果を見せてやる!
「行くぜ! レイナーレ!」
「転生悪魔が私の名前を呼ぶな! 穢れるじゃない!」
そう言うと、レイナーレは光の槍を展開する。カラワーナの槍よりも長く、鋭い槍が俺に向かって、光の槍を投げ放つ。俺はそれをかわしながら飛び上がる。
「槍の動きが直線的すぎるぜ!」
「グゥッ! 小賢しい!」
俺は飛び蹴りを放つが、レイナーレはそれを改めて展開した光の槍で受け止めようとした。光の槍は悪魔にとって猛毒。本来は触れただけでも凄まじいダメージを受ける。だが【
そして、俺は【
勾玉が分離して高速回転しながら光の槍に激突する! 激しい火花が飛び散り、レイナーレの光の槍が砕け散る!
「ば、馬鹿なっ!」
その隙をついて、俺はレイナーレに向かって拳を繰り出す。だが、この攻撃は読まれていたのか、それとも俺の拳が遅かったのかレイナーレは俺の拳を受け流し、カウンターで俺の腹に膝蹴りを食い込ませ、更にハンマーナックルを延髄に叩き込んで来た。
「ぐうっ!」
地面に叩きつけられそうになったが俺は咄嗟に着地する。やはり戦闘経験や素の実力はレイナーレの方が上なのか。
「いかんな……」
イゼベル様はつまらなそうに髪をくゆらせながらアーシアを庇いつつも白けた目で俺を見ている。まるで期待外れだとでもいう様に。イゼベル様、どうして……!?
俺が……俺が弱いからですか?
嫌だ! 負ける事は怖くないが、イゼベル様とリアス部長に見捨てられるのは嫌だ!
イゼベル様! 俺が弱いのは判っています。だから、この神器を使いこなして、もっと強くなれというなら精進します! だから、俺をお見捨てにならないでください!
貴方の力だけでは足りないと言うなら!アイツの力を使うしかない!
おい、ケチンボドラゴン! 借りるぜ! お前の力! 俺はあのケチンボドラゴンに呼びかけると俺の頭の中に声が響く。
『随分焦っているようだが……リアス部長とやらに助けを求めた方がいいのではないか?』
煩いな! 元々強いお前には解らないだろうけど弱いヤツは捨てられるんだ! 誰だって結局優しいヤツなんかより強いヤツが好きなんだ! 弱い奴はのけ者にされて、笑われて、捨てられるんだ! 弱さは否定しなきゃ王にはなれない!
『……そうではない。が、論より証拠の言葉もあるな』
俺の右手が赤い籠手に変わっていく。
両手に神器を纏った今の俺ならレイナーレなんて一捻りだ!
「形勢逆転だぜ! レイナーレェ!」
俺は跳躍し、両手の籠手から炎を噴出させつつ、レイナーレに向かって拳を繰り出した。
「舐めるんじゃないわよ!」
レイナーレが光の槍を展開して俺の拳を防ぐ。だが俺の炎は【
「ぐわああああっ!?」
「どうだ!? これが俺の力だ!」
炎の熱波に吹き飛ばされ、倒れたレイナーレに俺は言い放つ。だがレイナーレは素早く体勢を立て直す。こいつも上級堕天使……だがさっきのダメージはでかい筈だ!
「ぐふっ……やるじゃない……」
ニヤリと笑うが明らかにボロボロな様子のレイナーレ。何とも無様で滑稽だ。
《さあ、その女を倒せ》
《そして使い魔にしてしまえ》
《偽善者どもの戯言に聞く耳を持つな》
《この世は力こそが全てだ。力のある奴は何をやっても許されるんだ》
そうだ、そうだよな。俺は王になるんだ。
王になるには力がいるんだ。
「さあ、レイナーレ! さっきの続きをしようぜ! お前には恨みがいっぱいあるんだよ!」
「ひいっ!?」
慌てふためいてレイナーレは逃げ出そうとするが身体に力が入らないのかばたりと転んだ。
「どうした? まるでお前が所有物だってほざいたアーシアみたいじゃないか? 何もない所で転ぶなんてなぁ!」
「いやーっ! 許してぇーっ!」
ミミズの様に這い回る堕天使の姿に胸がすく。楽しい! 愉しい! こんなに気分が晴れ晴れとするのは久しぶりだ!
「何が許してぇー! だよ。散々自分の事しか考えないで、他人を貶めてきたんだろう?」
這いつくばっているレイナーレの頭に俺は足を乗せる。踏みつける足の感触にかつて無い快感を覚える。ああ、やっぱり俺は王になれるんだ!
「お前みたいな人間未満のグズには相応しい末路だな!」
俺の言葉にレイナーレはビクリと震えた。その目から涙が流れ落ちていく。
「ごめんなさいぃ……ごめんなさいっ! 何でもしますから……助けてほしいんです……」
「じゃあ、俺の使い魔になれよ」
俺の言葉にレイナーレは目を見開いた。
「えっ!? そ、そんな……い、いやっ!」
俺の足の甲に冷たいものが流れた。涙か。レイナーレの奴泣いてるよ。いい気味だ! そうだ! もっと泣け! 喚け! 自分の罪の深さを自覚させてやらなくちゃな!
が、その時……。
「やめてえっ!!」
アーシアが俺を突飛ばした!?
な、なんでだよ!? 俺はお前のために……!
だがアーシアの目はさっきまでのものとは違う。フリードやマグダラを見る様な蔑んだ目だ。
「もうやめてください! どうしてレイナーレ様をそこまで責めるんですか!?」
「……なんでだよ? アーシア。コイツはお前を……」
「違います! 今のイッセーさんは他人を踏み躙り痛めつける事を楽しんでいる悪魔です!! そんなの、イッセーさんじゃありません!」
そしてアーシアはレイナーレを治癒する。
そんな、なんでだよ……。なんでだよ! なんでなんだよ!? なんで? なんで?
俺は王になれる力を得たのに……!
なんでアーシアは俺から離れていく!?
その時、バイサーやアーシアの記憶がフラッシュバックした。
二人を踏み躙り痛めつけた人間の皮を被った悪魔にも劣るバケモノども……。
俺はアイツらと同じような事を……!
「う、うぇ……うえぇ……!」
俺の全身から力が抜けていく。涙と吐き気が止まらない。悪魔になって以来、こんなに泣いた事なんてなかった。自分自身の心の弱さに嫌気がさす! 自分の汚さに愛想が尽きる! ああ、俺はなんて弱いんだ……。
「甘いわよねえ! あんた達は!」
治癒が終わった途端、レイナーレはアーシアを翼で包んで転送していった。
「イッセーさん! 私は諦めません!」
アーシアの叫びは俺の魂にしなるムチのように打ちのめす。
ああ、俺は何て馬鹿なんだ! いつだってアーシアやイゼベル様は俺を見捨てずにいるのに……疑ってしまった! 俺の他人を信じきれない弱さが、俺の醜さがアーシアを危険に晒してしまった! 俺は、俺は馬鹿野郎だ……!
ー
「私を逃がす? どうしてですか?」
「さあ……私にも良く解らないわ」
教会の地下聖堂に縛り付けられた私の鎖をレイナーレさんの光の槍が砕きました。
「何だか何もかもバカバカしくなったのよ……」
レイナーレさんの顔は憔悴し、捨て鉢と言いますか、やけっぱちになったのか投げやりな雰囲気になっていました。
「どうなさったのですか? 誰かから叱責されたのですか? なら私に相談してください! 私はレイナーレさんの味方です!」
「アーシア……違うのよ。叱責とかじゃないわ。ただ、私は正しいと信じていたものが幻想だったのが解っただけ」
レイナーレさんは私を見ながら言いました。いつもの、ちょっと失礼ですが邪悪で尊大、それにちょっと意地悪な感じは微塵もありませんでした。
「アンタも薄々解っているでしょうけど、私は降天使の中でも立場が弱くてね。
天使だった頃はこれでも大天使の娘としてやっていたのだけど。私達が天界の秘密を知ってしまって降天させられたの」
レイナーレさんは私の側で膝を抱えながらポツリポツリと語ってくれました。
「追放された先で私達は人間も、悪魔も、天使も欺いてなんとかやっていたけど……それも限界だったのね。疲れ果てた時に出会ったのがあの御方だったの」
「あの御方?」
「堕天使の総督であるアザゼル様。
あの方は私の暗闇にさしこみ、うちひしがれた私の心を震わす光……。けど血筋しか誇れるもののない私にあの御方はこう言ったのよ。『自分の才能を活かせる場所につけば良い。俺の所に来ないか?』ってね」
「それで降天使に……」
少し、いえ……とても意外でした。レイナーレ様は男の人を手球に取るような小悪魔な所もありますけど、根は真っ直ぐで素直だと思います。
「ええ、アザゼル様が私の才能を認めてくださったのが嬉しかった。あの方のためなら生命も惜しくはない。だからコカビエル様やディオドラの協力も仰いだ。けど、それは私の独りよがりだった。あの御方と皆から誉めそやされてすっかり舞い上がって……自分がどんな事をしでかしたかも解らなくなっていたのね……」
イッセーさんに敗けた事で改めて自分を振り返り、心が折れてしまったのでしょうか……。
「じゃあ二人で逃げませんか? 立場が変わっても神は見守ってくださっています。やり直すことに遅すぎることなんてないですよ!」
私が励ますと、レイナーレ様は力なく微笑みました。
「そう、貴方は知らなかったのよね。その神自体がもう……? うぐっ!?」
「レイナーレさん!?」
乾いた銃声がした途端、レイナーレさんは苦痛に顔を歪めます。私をかばって銃で撃たれたのです!
「レイナーレさん! しっかりしてください! すぐに治癒を……!」
「残念ながらそうはさせん」
私の髪を引っ掴み、手首を抑えるのはレイナーレさんの部下だったドーナシークさんでした。
「ドーナシーク! 貴方、裏切るの!?」
「もうお前の命令は受けん。コカビエル様は堕天使側の不始末として今回の事をお目溢ししてくださるそうだが……我々としてはディオドラに累が及ぶのを避けたい」
うぐ、い、痛い……! けど私よりレイナーレさんが……。レイナーレさんの身体をフリードさんが蛇が這いずるように調べました。
「でひゃはははは! 前々からアンタのデカい面にはうんざりしちゃってたんですよねぇ俺ちゃんってば!! まあ、この男をユーワクするメスブタデカパイとデカ尻に免じて命だけは助けてあげますけど?」
「さ、触るな……! この下賤なはぐれ神父くずれの殺人鬼め!」
レイナーレ様は必死に逃れようとしますが、フリードさんが何か首輪の様なものを嵌めると光の力がかき消えてしまいました。
「ば、バカな……!?」
「いんやあ〜、持つべきものは上級悪魔様の上司ですなあ? テメー如きなら力を封じるくれーのマジックアイテム用意してくださるんだからさぁ!」
フリードさんはポケットから小瓶に入った緑色の液体を取り出し、レイナーレ様に無理矢理飲ませようとします。
けど、レイナーレ様は当然ペッ、と吐き出し更にフリードさんの首を締め上げます。
す、凄い。この状況でも強気な態度を崩さないなんて……!
「ぐえっ!? テ、テメー!」
「残念だったわね。そんなもので私を好きにできるとは……!?」
「うふ♥」
いつの間にレイナーレさんの背後に現れたマグダラさん。相変わらず閉じきった目からは表情を伺い知ることはできませんが、その口調は明らかに嘲笑の響きを帯びていました。小瓶を彼女の口ではなく、不浄の穴……つまりお尻の穴に突き刺したのです。
「ひぎっ!? あ、あああっ!?」
「大丈夫セルゼン君?」
「はー……はー……。大丈夫ッス姐さん。これくらい、平気っスよ」
「なら良かったわ♪ じゃあさっそくこの裏切り者におしおきしなくちゃダメね♥」
肩で息をするフリードさんをまるで母親の様になでるマグダラさん。この状況にまるで不釣り合いで禍々しさ溢れる光景でした。
「う、ああ……身体が熱い……!?
ど、どうして……!? 身体が勝手に……?」
更にお尻に小瓶を差し込んだまま、レイナーレさんは汗を噴き出し、私から見ても女性として魅力に溢れる裸体を悶えさせます。
「この薬、神器無効化能力を応用して作ったものだけど……まさかこんなに効果があるなんてね♥」
恍惚とした表情のレイナーレさんを見てフリードさんは嬉しそうに微笑みました。それはとても邪悪な笑みでした。
「テメーみたいな強いメスブタがヒィヒィよがり狂う姿を見たかったんだよねえ!
ほーら、メスブタには御馳走のチンポ様だぞ?」
「い、いやあっ! あ、あああ……! め、メスブタ……?」
自らの言葉に頬を赤らめ息を荒げるフリードさん。そして服を脱いでいき、おぞましい剛直をレイナーレんに見せつけるのです!
「なっ!? な、なにあれ!? 何なのよアレは!?」
ひきつった悲鳴をあげています。あんな大きな……本の中でしか見たことがない男性のアレが……!
「たまんねーだろ? これをテメーの穴という穴を俺色一色に塗り替えてやんよ♥オラァッ!」
言うが早いがフリードさんが火照ったレイナーレさんの裸体を弄り、辱めるのです!
「やっ、やめなさいっ!! 私は貴方なんかに……ヒイイイッ!?」
レイナーレ様の胸の先にある桜色の乳首をグリッと摘まみあげるフリードさん。たちまち甘い悲鳴をあげるレイナーレさん!
「ほお? 乳首がビンカンな上、乳までデカいとはテメーは最高のメスブタだぜ♥」
クニクニと指先で弄びながら罵りまくるフリードさん。涙目になってイヤイヤする様子からは屈辱感で一杯なはずですが、同時にどこか嬉しそうな表情も混じっているのは気のせいでしょうか……?
「やめて! 私に……触らないで! イ、イヤなのに……!」
「何がイヤだよ! このビッチが!」
抵抗むなしく全裸にされ、フリードさんの前に裸身を晒されるレイナーレさん。まるで私達に見せ付けているかのように大胆に足を広げさせられたその姿はとても痛々しく、私はフリードさんに懇願します。
「それ以上はやめて下さい!」
「やーだよー! アーシアちゃんはディオドラさんから『手を出したら殺す』って厳命を受けてしまいましたからして? このメスブタ堕天使に俺ちゃんのイライラチンポを鎮めて頂きますよう〜?」
「そんな! こんなひどいこと、許してください!」。
「ふふふ……お前もこのメスブタ共に随分とやられたからな。お仕置きはしなくてはな……?」
普段の私への態度とは似ても似つかない嗜虐的な笑みを浮かべて私をお姫様の様に抱き上げるドーナシークさん! お、おろしてくださいっ!
「貴様には手出しはせん。ただ、神器は抜かせてもらう」
「その後はディオドラ様が転生させるから安心して死んでちょうだいアーシアちゃん」
ドーナシークさんとマグダラさんは決定事項であるかのように告げます。
「やめて! 許して!」
暗澹たる気持ちと共に私の口が布で塞がれ、意識が沈んでいきます……。その最中にも響き渡る叫び声に私はレイナーレ様がフリードさんに犯されてしまうであろう事を悟りました。
(こんなのって……あんまりです……!)
「ふひひ、たまにはいきなりメインディッシュと言うのもありよりのありですなあ!」
「うあっ!? い、いやあああっっ!?
わ、私初めてなのにっ! こんなのいやああっ!!」
ああ……神様、どうして貴方は……。
ー
パシッと乾いた音がオカルト研究部の部室に響き渡る。リアス部長が俺の頬を叩いたからだ。
「アーシアを助けに行くから契約を解除してくれですって……? バカを言わないで頂戴!」
リアス部長の目からは涙が溢れている。
だが、これ以上部長には迷惑をかけられない。リアス部長の眷属である俺が教会に殴り込みをかけてしまえば避けようのない悪魔と堕天使の全面戦争が起こり、部長どころか部長の兄様である魔王様にも多大な迷惑をかけてしまうからだ。
「それに貴方が契約を解除したらはぐれ悪魔になってしまうのよ!? 嘗てのバイサーのように身も心も醜悪な怪物になるのよ!? そうなれば私はグレモリー家の次期当主として貴方を滅殺しなければいけなくなるの! 解っているの!?」
リアス部長の力ならばはぐれ悪魔になった俺なんて瞬く間に殺す事ができるだろう。
「その時は遠慮なく俺を滅殺してください。そうすれば部長や部長のお兄さんに迷惑をかけずにすむ」
「バカッ!!」
再びひっぱたかれるのを覚悟した俺はギュッと目を閉じたが、俺の頬が叩かれることはなかった。
「二発は余計じゃろ?」
「くっ……! この! 離しなさい! 貴方がどこの何様か解らないけれど家族の間に口を挟まないで!!」
手首をイゼベル様に掴まれたリアス部長は 彼女を睨みつける。あんな必死な部長は初めてだ……それに俺みたいな弱虫野郎を家族と呼んでくれるなんて……。
「余とてイッセーのパートナーじゃぞ?」
「パートナーを気取るなら何故レイナーレがアーシアを攫った時に黙って見ていたの!!」
「必要があったからじゃ。激流の怖さを知るためには敢えて水中に放らねばならぬこともある。甘やかすだけでなく頬や尻を叩かねばならぬ事もあっての事よ。
それをせねばイッセーは半端者で終わる。
余はそう判断した故、手を出さなかった」
イゼベル様の言葉にリアス部長も俺もグッと言葉を詰まらせる。その通りだ……。
俺はあの時龍の手の奥から聞こえる声に惑わされて、力に自惚れて、道を踏み外す寸前だった。けどアーシアが、アーシアの優しさと慈しみが俺をバケモノから人間に戻してくれたんだ! 俺はその恩返しとしてアーシアを助けに行きたいんだ!
「だから、お願いします! 俺が教会に殴り込む事をお許し下さい!」
「…………」
リアス部長は沈黙する。その数秒が今の俺には一時間以上のようにも感じられる。
その沈黙を破ったのはイゼベル様だった。
「しかし、じゃ。余が教会に殴り込めば貴様らは立場上余と降天使の双方を裁くため出向かねばならぬ。そうであろう?」
ニカッ、とパートナーらしい笑みを浮かべてイゼベル様が言い出した。た、確かにそうだけど最初からそう言ってくれれば……。
いや、違う! 初めからそう提案したら俺の心にまたイゼベル様への甘えが生まれる。そうさせないために言わなかったんだ!
「……つくづく貴方って存在が解らなくなるわね」
「わはははは! そうであろう? 己が意のままに結ばれる相手も選べぬじゃじゃ馬に見せかけた箱入り娘すれにそうそう余を理解したと言われては噴飯ものじゃ!」
「……ッ!」
な、何だか暗雲たちこめている気がしないではないが……待っていろよ! アーシア!
ー
ぐちゅ、ぐちゅと私の中がケダモノに穢されていく。フリード・セルゼン。私が雇った飼い犬に手を噛まれるどころかこうして無様に犯されている。私はひび割れ朽ちかけかけた天井をボンヤリと仰ぎながら……。
「ほおら、やっと素直なオマンコになってきたじゃあねーですか!? 中が絡みついてくるのわかります? これぜーんぶテメー自身から出てる液なんですよう?」
「う……ぐっ!」
口の中にフリードの指が捩じ込まれる。
私の愛液と奴が吐き出した精液との混合液をこれでもかと舐めさせられる。
汚い。臭い。苦い。ありとあらゆる負の感情を煮凝りにすればこの様なものになるのではと言う味が口の中に広がる。
そして奴が私を辱める暴言を吐きながら突き上げてくる度に私の子宮を快感が直撃する……! 嫌なのに……嫌なのに。この快感が悍ましい。
「おっ! また締まりがよくなりやがった! テメーやっぱマゾのド変態じゃあねーですか! シリアルキラーの俺ちゃんの相性バッチリじゃ〜ん!」
違う! 私はそんな淫売な女ではない! そう叫びたかった。けれど、私の口は奴の指に塞がれている。
「あはは♥レイナーレさん、あんなに強気だったのにフリード君にヤラレちゃった途端に素直になって可愛いわね。ミッテルトちゃんが見たら泣くんじゃないかしら?」
うっとりした表情でマグダラは楽しそうに私の身体ではなく心を犯す。
牙が折れてしまう。翼が折れてしまう。
光が霧散していく……。もう、駄目……。
「おいおい! 何泣いてんだよメスブタ!!
萎えるだろうが! アザゼルのクソバカからどーいう教育受けてきたんだオラァ!」
ドスッ! と私の腹にフリードの拳が打ち込まれる。何も、もうかんがえられない。
かんがえたくない……。くるしくて、つらくて、こわい。いやだ。いやだ。たすけて。だれでもいいからわたしをたすけて。
「い……いい……」
「ハア〜? 殴られても感じるとかドマゾのクソビッチにも程がありますなあ! 流石は脳漿がマン汁でできてるど淫乱のメスブタですねえ!」
フリードがわらっている。ああ、こうすればなぐられない。つらいこともされなくていいんだ……。もう、なんでもいい。いたいのはいやだ。つらいのはいやだ。くらいのもこわいのもいやだ。
「わたし……私、もう……死んでもいい」
「でひゃはははは!! とんでもねー愛の告白もあったもんじゃあねーの! いいぜ! 犯った後にぶっ殺してやろーと思ってたが気が変わったぜ!! 孕み袋にしてガキはブラックマーケットに売り飛ばしてやる! テメーは堕天使から俺ちゃんの金がなる木にクラスチェンジってわけだ!! ギャハハハハハ!! アッハハハハハ!!」
ふりーど が わらってる
もう なんでも いい わたしは もう
しんでもいいから しんだほうがいいから
どく どく と わたしの なかに ふりーどの せいえきが はきだされる きもちわるい きもちわるいきもちわるいもうなにもかんじたくない……。
ドッカアアン!!
なにか おおきな おとが……?
あれは……兵藤一誠!?
なにかイヤなことでもあったんか?
いや、違くて。悪堕ちははしかみたいなモンで早い内に罹っておいた方がいいって話で。
レイナーレに関しては嫌いなワケではなくてイッセーを弄んだペナルティというか禊的なものが無ければ味方サイドに組み入れるのはちょっとなあ、と感じたので。