※この作品はR-18です。

ハイスクールD×D×M   作:ぷうち☆りん

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まさかのエロなし


第9話

「じゃあ、頼むぞカラワーナ」

「ああ、任せてくれイッセー」

 

イゼベル様と俺が教会に殴り込み、暫く間を置いてリアス部長が割って入る事になっている。とはいえ、俺がぶっ飛ばすべきはフリードとレイナーレ、あとはマグダラ。

この3人以外は出来うるなら戦わずに済ませたい。

多分裏口はミッテルトって降天使が守っているとの事だから、なんとか説得できればいいのだが……。

 

「……まじっスか。まさかアンタが裏切るとは思わなかったッス」

 

ゴスロリ金髪ツインテールの小柄な女の子が信じられない様子でカラワーナへと言う。まあ、無理もないよな。降天使のカラワーナは悪魔、まして下級転生悪魔の味方をしているワケだから。

 

「ミッテルト……すまない。私は今のイッセーを信頼しているし、レイナーレ様のやり方ではいずれ奴らに切り捨てられる。お前もレイナーレ様も救われない」

 

カラワーナは悲痛な表情で言う。その表情や声に策や嘘はない。のは解るが、ミッテルトはそれを受け入れられない様子だ。

 

「はっ!笑わせないで欲しいっス。悪魔に鞍替えした裏切り者が今更何を言っているやがるッスか!」

 

ミッテルトはカラワーナに向かって光の槍を投げつける。それをカラワーナは持っていた槍で払いのけた。

 

「アンタもそうなのかカラワーナ!ウチらを利用して、顎で使う奴らに一糸報いようって声かけしてくれたレイナーレ様に一旦は従いながら!結局アンタは悪魔に寝返りやがったのか!」

「違う!私は……いや、違う。今更何を言っても言い訳にしかならないな」

 

カラワーナはそれ以上は何も言わずミッテルトに対峙する。

 

「すまないイッセー、私ではミッテルトを説得する事はできなかった様だ」

 

その横顔は明らかに苦渋に満ちていた。

そうだよな。昔の仲間とやりあう事になってしまったワケだし……。

 

(私がカラワーナの代わりにあの降天使を相手をしようか?)

(いや……カラワーナには悪いけどバイサーにだってあの光の槍は猛毒なんだろ?相性が悪い以上、無理はさせられない) 

 

俺の影に隠れているバイサーの気遣いに俺はそう返しつつミッテルトの脇を通り抜けるべくロケットスタートをかけた。

 

『boost!』

 

しかし倍化させたとは言えミッテルトの反応は俺の予想より速い。

俺が通り抜けるよりも早く光のツインランサーを作り出し、一方でカラワーナの攻撃を防ぎつつ俺を刺し貫こうと動いた。

 

「通すわけないっしょ!!」

 

が……通させてもらう!俺は咄嗟に『龍の手』を大きく振り上げた。ヒュゴオッ!と一陣の風が巻き起こり上昇気流を生み出す!まあ、上昇気流を生み出したのはバイサーなんだけどそれはともかく!

 

「はあ?この程度の風でウチをどうにかできると思ってたワケ?バーカ!」

 

確かに普通に考えたなら単なる上昇気流、しかも魔力を使っていないものを止める事などできないだろう。だが、悪魔になって倍化した俺の身体能力とバイサーの放つ風は彼女のスカートの裾を巻き上げる!

 

「黒のスケスケパンツか」

「うあああああ!見るなーッ!!」

 

慌ててスカートを押さえるミッテルトだが、もう遅い。既に俺の脳裏にはしっかりと焼き付けた!

 

「この変態!スケベ男!死ねーっ!!」

 

耳まで真っ赤かつ涙目で罵倒しながらミッテルトだがその程度の罵倒にはとっくに耐性を得ている!……いや、全然誇るべき事じゃないんだけどさ!

とにかく俺は教会の中に入るべく裏口に回るがやはりドア周辺に結界が張ってある。

クソ!こうしている間にもアーシアの身が危ういっていうのに!

バチバチッ!と火花が飛び散り火傷するのも構わずに俺はドアノブに手をかけた!

 

「アッハハハハハ! ウチにセクハラ攻撃かましたスキをついたのはいいスけど結界を破る術はないみたいスね!ならウチはここで高みの見物とさせてもらうっス」

 

背中からミッテルトのせせら笑う声が聞こえる。スパークの勢いが益々強くなり籠手の指が吹き飛びそうな勢いだ!だが、この程度の痛みなんてアーシアの苦しみに比べたらなんて事は無い!

根性見せろ!こんなもんじゃ俺は止まらない!止まれない!

 

「うおおおおおおっ!!」

 

するとゴオッ!と激しい音と共に光が発し、結界を壁ごと塗り替えていく。

『大いなる7つの丘』にはこんな力もあるのか……!?

 

「な……結界がこんなにアッサリ!?」

 

俺はドアノブが蒸発して無くなったドアを蹴破り教会の中に入る。そして俺が目にしたのは……。フリードに犯されているレイナーレの姿だった。

 

あちこち傷だらけで、羽根があちらこちらに散らばっている。お腹はフリードに散々殴られたのか赤黒く変色しており、全裸の彼女の全身が所々血で滲んでいる。

 

「……なに、やってんだ?」

 

人間(今は悪魔だけど)痛みがあるラインを超えると痛みを感じなくなるっていうけど怒りの感情もそうらしい。

我ながら淡々とした調子で俺はフリードに尋ねた。

 

嬉々とした顔でヤツは言う。

 

「何ってあーた、見てわかんねえ?

エロ本とかエロアニメでよくあるレイプだよ、レイプぅ!クソ悪魔どもにはちょうどいいオカズだろぉ?」

 

俺はフリードではなくレイナーレの方を見た。感情を失い、あらゆるものを諦めた生ける屍そのものの様な顔だった。その顔を見た俺は何故かはわからないが胸が痛む。その姿を見た何故かはわからないが涙が溢れそうになる。

何故だろう。俺はコイツに騙され、裏切られて一回殺された筈なのに。何故、俺はレイナーレに同情しているんだ?

 

「な〜におセンチになってんだよクソ悪魔くんがさあ!それともアレか?そういうのが好きなタイプ?お前、素質あるよォ?ってかァ? でひゃひゃひゃひゃ!!」

 

粘ついた笑みを浮かべてフリードは高笑いをするなか俺はレイナーレの方を見つめた。その頰には涙が伝い、唇が動いた。

 

「たす……けて……」

 

途切れそうな程小さく、蚊の鳴くような声。しかしそれは俺の耳にしっかりと届いた。悪魔にとって契約は絶対だ。それが誰であろうと相手次第で代わるものじゃない。

 

「バイサー。先に地下室に向かってくれるか。

アーシアを助けてやってほしい」

「はい!」

 

俺の影に潜んでいたバイサーが影から飛び出して教会の地下へ続く階段へと向かう。

フリードは追おうともしない。何か考えがあるのかそれとも……。

 

「追わないのか?」

「追うワケねーじゃん? つーかさあ、テメーみてーなクソ雑魚転生悪魔くんが一対一で俺ちゃんに勝てると思ってるワケ?マジ受けるんですけど!」

 

光の刃を作り出しながらフリードは俺を挑発する。だが、俺は自分でも驚く位冷静だった。光の刃はフェイント……。本命は胸元に潜ませた銃だ。

 

「バッキュン!!」

 

奇声と共に放たれる銃弾。だが銃口が見えていれば避けるのは難しい事じゃない。銃弾を避けた俺はフリードの膝を狙ってトーキックを放つフリをする。

 

「は?……ぐぎゃあああ!?」

 

目線を下に注目させて本命は振り下ろし式のフックがフリードの鎖骨に直撃。ベキボキ、と鈍い音と共に奴の鎖骨がへし折れた。

 

「ぐがっ……!このクソ悪魔がぁ!

タルタルソースの卵みてーに刻んでやるあァ!!」

 

フリードは血走った目を見開きながらビュンビュン、と光刃を振り回すが鎖骨が折れているから無意識の内に振り回す力をセーブしているかの様だ。それに体幹がズレたらしく足捌きもフラフラだ。

 

「何だ?酔拳でも始めたのか?いつも自分に酔ってるお前なら確かに素質があるかもな?」

 

意趣返し、というつもりはないが俺は出来得る限り底意地の悪そうな笑みを浮かべてフリードを煽っていく。

カラワーナ曰く『戦いの基本は相手がいやがる事をする』だそうだ。

 

「あああああ!!うぜえ!うぜえなあ!

なぁんで俺に気持ちよく悪魔祓いをさせやがらねえんだ!!ぶっ殺していいよね?いいよね!答えは聞いてなぁい!」

 

果たして効果は覿面。もうフリードの頭にあるのは俺をズタズタに切り裂く事だけだ。

 

「うひゃひゃ!殺して解して並べて揃えて晒してやるうげぁ!痛ぁい!」

 

だから残心も警戒もない鼻面に素手のストレートを打ち込む。別にいたぶるつもりはない。マグダラの姿が見当たらないのが気がかりだったからだ。少しでも魔力や体力を温存しておかないといざという時に困る。

 

「うげ……ぐげ……ふ、ふざけやがって!なんでテメェみてえなザコ転生悪魔に俺がいいようにやられてるんだあ!?おかしいだろ!!テメェ如きクソ雑魚のカメにも劣る弱小な三下が俺を止められるワケねえだろうがよお!!」

「亀呼ばわりはありがたいぜ。ぴょんぴょんと見境なしに跳ね回るウサギ野郎」

 

鼻を抑えながら血走った目でフリードは俺を睨む。が、少しも怖くない。我ながら不思議だ。この間までは牙を剥いた狼やとぐろをまいた大蛇の様にも見えて怖かったフリードが今は目をギラつかせるだけの醜悪なドブネズミにしか見えない。

 

『たった一度の勝利が猫を虎に変える事もあればその逆もあるということだ』

 

などとケチンボドラゴンが口を挟んでくる中フリードは更にブチギレ始めた。

 

「クソが……クソがクソがクソがクソがぁ!!ディオドラだのコカビエルだのもう関係ねぇ!!テメェだけは許さねぇ!!」

 

というなり煙幕弾を放ち目くらましをして来た。まさか煙幕の中から攻撃してくるつもりか?だが俺は『大いなる7つの丘』に装着された勾玉もどきを高速回転させ煙幕を吹き飛ばす。するとフリードはレイナーレの髪を引っ掴みながら首筋に光刃を突きつけている。人質ってやつか……。

 

「堕ちる所まで堕ちたな、フリード・セルゼン」

「何気安く俺ちゃんをフルネームで呼んでくれちゃってるんだよォ!?序章のラノベで主人公に声がけするモブの生徒かテメーはよお!!」

 

 

妙な所でキレる奴だな。しかし人質か……。

 

「で、どうするつもりだ?」

「どうするつもりだあ?そりゃコイツを殺されたくなかったら武装解除して両手を挙げて床に這いつくばりな!」

 

フリードがそう言うとレイナーレの首筋に光刃を強く押しつけた。ポタポタ、と赤い滴が俺の足下に落ちる。

 

「アホかお前。人質は俺にとって大事な奴でやらなきゃ意味がないぞ」

「でひゃはははは!!くだらねーハッタリはやめなあ!テメーみてーな脳味噌お花畑なヤローはタスケテーって言われりゃバカヅラ下げてホイホイと助けようとするんだろ!クソザコのミジンコ並みにカスなオメーらしい考えだよなァ!!恥知らずなクソアマに相応しいバカ悪魔がよォ!」

「う……ぐ……」

 

レイナーレは苦痛と羞恥に顔を歪めている。

まあ、クソアマ……は言い過ぎだと思わなくはない。

 

「……何だその目は」

「いや、お前は昔助けてーって叫んでも誰からも助けてもらえなかった可哀想な人生を送ってきたんだろうなって。だからマグダラみたいな女に縋らないと立っていられないんだろうなってさ。そう思うと……可哀想でな……ハハッ」

 

半笑いは流石にやりすぎたかと思ったがフリードはブチッ!と何やら血管の切れる音をさせながら顔を真っ赤にさせた。

 

「上から目線で憐れんでんじゃねえぞ!!ホンっとうぜえぇぇ!!」

「……ウザいのは貴方の甘ったれた根性」

 

激昂したフリードの上から小猫ちゃんがステンドグラスをぶち破りながらまさかのニードロップを放った!

 

「へぶし!」

 

あ、フリードが鼻血を噴きながら白目を剥いてビクンビクンと痙攣している。小猫ちゃんって意外に重量系……?

 

「……物凄く失礼な事を考えていませんでしたか?」

「そ、そんなコトないよー?」

 

な、なんというカンのよさ!ジト目で小猫ちゃんに睨まれてしまうと俺はネズミの様に縮こまるしかなかった。

 

「……その堕天使を助けるのかい?」

 

と、駆けつけてきてくれた木場が尋ねてきた。

 

「んー……まあ、な。助けてって言われたからなあ。悪魔にとって契約は絶対だ。無視はできないだろ?」

「相変わらず妙な所で真面目だね」

 

木場は呆れた様に笑う。けど俺を見下したりバカにする様な笑みではなくちょっと好感を持った笑いだった。

とりあえずフリードの奴は縛るとして、バイサーからアーシアの状態を確認しないとな……。

 

(どうだバイサー、アーシアの様子は)

 

しかし返事がない。まさかアーシアを護衛している誰かに傷つけられたんじゃ!?マグダラかそれとも他の堕天使か?兎に角二人が気がかりだ!

後詰めは木場と小猫ちゃんにお願いして俺は地下堂へと向かった。

 

 

「バイサー!?」

 

地下堂にいた彼女はまるで処刑前の罪人の様に十字架へ磔にされていた。アーシアはともかく使い魔のバイサーにこの処置は拷問に等しい。言うなれば灼熱の鉄板に縛り付けられている様なものであちこちに火傷が生じている。なんて酷い真似を……!

即座に駆け寄り俺は彼女を縛る鎖に手をかけようとしたがぞわり、と背中に怖気が走り飛び退いた。

 

「マグダラか!」

「あら、意外に抜け目がないのね♥」

 

ザザ……と映像が乱れるかの様にバイサーの像が歪み、さっきまでバイサーのいた場所にはマグダラの姿があった。

 

「アンタには酷い目に合わされたからな。匂いで解った」

「まあ、女性に匂うだなんて。イッセー君ってば意外にオジサンみたいなのね♥」

 

くっくっとからかう様に笑うマグダラだがその目は閉ざされたままだ。

 

「それで、また私を倒しに来たのかしら? それともアーシアを助けに来た?」

「……両方だよ。二人は返してもらうぜ」

 

とはいったものの、マグダラの身体は悪魔にすれば触れただけで大ダメージを受ける

聖水の塊みたいなもの。迂闊に手は出せない。と、考えていた矢先マグダラの方から一足飛びで距離を詰めてきた!咄嗟に俺は四枚の悪魔の翼を展開し、マグダラの目潰しを防いだ。ドジュウゥ、と薬品をかけられたかの様な煙が発すると共に熱さと鋭い痛みが皮膚に走る。

 

「ぐぅっ!?」

「わざわざこんな所に誘い出したのだから、キミの身柄を手土産にするのも乙でしょう?神滅、いえ神器を2つも持っているなんてレア中のレアですもの」

 

シャキィン!と甲高い金属音と共にマグダラの肘から指先にかけてトンファーと銃剣を合体させた様な武器が展開される。たぶんあれも神器なのだろう……もう形振り構っていられない!

 

「うおらあああ!!」

『Boost!』

 

俺は『龍の手』の倍化を発動させ思い切り拳を振るった! トンファーで受け止められるがそれは解りきっていた。だから俺はすぐに次の行動に出る!

 

「はああああ!!」

『Boost!』

 

女性に対してするべき技じゃないのは承知だが下っ腹に思い切り前蹴りを放つ!

マグダラは膝で前蹴りを防ぎ、彼女の呼気や汗により靴の中なのに俺の前足が焼け爛れていく。め、メチャクチャ痛い!痛いが……!

解っている痛みや想像できる痛みなら……我慢できる!!

 

「これで終わりね!貴方の首を掻き切ってアーシアの前に投げ飛ば……!?」

「まだまだあ!!」

『Boost!Explosion!』

 

マグダラがトンファーを振り上げ、一瞬できた動線に俺は起死回生の頭突きを放った! マグダラの鼻血により俺もダメージを受けてしまうが向こうの方がダメージは大きい筈!しゅうしゅう、と煙があがり髪の毛が何十本か抜けてしまうが俺は木場と違いイケメンじゃないから大したダメージにはならない!

 

「ふ、ふふ……。流石『赤龍帝の籠手』。

使い手も含めてサイコーじゃない」

 

鼻に詰まった血を吹き出しマグダラの目が開いた。マグマにヘドロを混ぜたみたいなリアス部長に色彩こそ近いが月とスッポンの違いがある。

 

「本当ならここで食べたいちゃい所だけど残念ながら時間切れね。ドーナシークがうまくやったみたいだし、私はセルゼンちゃん共々一旦失礼するわ♥」

「逃げるのか!?」

「ふふふ、可愛いわね。仕事は果たしたんだから帰るに決まっているじゃない♥」

 

言うだけ言うと転移の魔法陣がマグダラの周囲に発動した。リアス部長の展開する魔法陣にそっくりと言う事は……コイツ、悪魔払い師なのに悪魔とも契約しているのか!?節操がなさすぎる!!

だけどここはマグダラを倒すことよりアーシアを救出する方が先決だ。

 

 

更に最奥に進むとそこには裸にされて鎖に繋がれたアーシアとドーナシークの姿があった。

 

「テメェ!アーシアに何をしやがった!」

 

俺はドーナシークの返答も聞かずにいきなり殴りかかると奴はよけようともしない!

ナメるなっ!!

 

バキィ!と小気味良い音と共にドーナシークは壁に吹っ飛ぶ!何だコイツ、見かけ倒しか!バイサーがどこに行ったか気になるが今はそれよりアーシアの救出だ!

 

「……」

 

アーシアは裸に剥かれているのに目が虚ろで生気がない。よく見れば胸元にエメラルドグリーンの光が弱々しく瞬いている。

「アーシア!しっかりしろ!」

アーシアの頰を軽くはたくとゆっくりと目蓋が開いた。焦点が合っていない虚ろな瞳が俺を捉えると涙の雫がこぼれ落ちていく。

 

「……イッセーさん?」

「そうだぞ、俺だ。迎えに来たぞ」

 

だが目の焦点は合っていない。明らかに様子がおかしい。

 

「……夢なら、覚めてほしくないです」

「何言ってんだよ!アーシアが無事でなきゃ俺は嫌なんだよ!」

 

聞こえていないかの様に虚ろな瞳のまま涙をこぼす。これは一体……。

 

「無駄だ。神器を抜き出された人間は死ぬしかない。今は貴様の使い魔がそこの搾りカスに影の中で魔力を注いで魂を繋ぎ止めている様だが、それもいつまで持つやら」

 

ドーナシークが口元を拭うとアーシアと同じエメラルドグリーンの光が生じ、傷を癒していく。ドーナシークは酷薄に笑うがそんな事よりもアーシアの事だ!クソッ……どうすりゃ良いんだ!?

 

「なら、神器を返せ!」

「バカめ。奪ったものを何故返す必要がある?」

「そうかよ!なら奪い返させてもらうぜ!」

 

フリード、マグダラ、と続いて身体のあちこちが悲鳴をあげているが構っていられない。もう少しだけ持ってくれよアーシア!

絶対助け出してやる!

そして皆と笑って過ごすんだ!




次回でレイナーレ編は完結。
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