「で?壬生さんとの逢瀬は楽しかった?」
「お前までそんなことを言うのか。」
達也の研究室でCADの定期メンテナンスをしてもらった後、楓はそんなことを聞いてみる。
壬生と会ったのは知っていたし、話の内容も聞いていたが、彼女が頬を染めて慌てるような何かがあったとは知らなかった。
だからそんな意地悪なことを言ったのだが、達也は拗ねたように顔を背けている楓を背後から抱きしめる。
ぎゅっと自分とは違う堅く安心する腕に抱かれて、怒りも一瞬にして消えてしまいそうになるのを必死に止める。
「壬生さん、美人だよね・・・」
顔を背けたままふてくされたような物言いをしてしまうと、背後の達也が目の前の白い項に唇を這わせて耳元に囁く。
ちゅっと音をたてて軽く吸われ、びくっと楓の肩が揺れる。
声が漏れてしまいそうになるのを飲みこんで、達也の腕の中から逃げようとするが彼が楓を離すはずがなかった。
むしろぐっと更に身体が近づいて、その拍子にお尻に見知った堅い何かが当たっているのに気づいて動揺してしまう。
「俺がこうなるのは、楓だけだと知っているだろ?」
当たっているのは達也の身体の一部、高ぶった欲望の証。
熱を持った声で耳元に囁かれてしまえば、楓はあっと言う間に陥落してしまうのだ。
ずるいと思いながらも振り返った楓の瞳は潤んでおり、一瞬視線が交わった後、濃厚な口付けが始まる。
引き寄せ会うように唇を重ね、自然に楓が薄く唇を開き達也の舌を迎える。
奥で待っていた楓の舌に辿りつくと、達也は甘い彼女の舌と体液を味わうように絡みつく。
二人の舌と唾液が絡まるくちゅっぴちゃっといういやらし水音が聞こえてくる。
気がつけば向かい合った状態で、隙間をなくすようにしっかりと抱き合った状態で角度を変えて何度も互いの唇を味わう。
「ん、ちゅっ・・達也、だ、めっ・・・シャワー浴びない、と・・・」
「はっ・・・そう、だな・・・」
まだシャワーを浴びていないからという楓に、唇を離して頷くとそのまま抱き合った状態で寝室に備え付けてあるシャワールームへと入った。
この司波家には風呂場が二つある、一つは主に深雪が使うものであり、もう一つは達也と楓が使うものだった。
遅くまで作業をしているので時間が不規則になってしまうため、深雪の眠りの邪魔にならないようにというのが理由だ。
だが、それだけではなく本当の理由は今回のように二人で入る場合や、情事の後に身体を清めるために入ることが多々あったからだ。
「はぁ、あっ・・・ん、くっ・・・」
「っ、そのまま腰を下ろして・・・はっ」
すでに発情してしまっている二人は、性急に互いの身体を洗いあって湯船へと一緒に入っていた。
向かい合うように浸かり、我慢できずに楓は腰を落として達也自身を受け入れていた。
十分すぎるくらい潤っていた秘花は、ぐぷぷっと抵抗なく怒張した達也を奥へと飲み込んでいく。
自分でというのはやはりどうしても遠慮してしまうのか、まだ途中までしか入っていないのに腰が止まってしまう。
一息にというのは難しかったので一度休憩を、と考えていた楓だがその細い腰を達也の堅い手が掴み容赦なく一気に引き落とした。
「ひっ・・・ぁああっ!!」
あまりの衝撃にばちゃっと身体を震わせた楓の動きに合わせて、湯船に溜まっていたお湯が大きく跳ねる。
ごりごりと柔い内壁を引っ掻きながらいきなり最奥まで達也の先端が届き、弱い場所を強く抉った。
ばちばちと火花のような快感が瞼の裏で弾け、目を見開き声もなく喘ぎ背をしならせて達也の肩を手で掴む。
挿入した衝撃で楓が軽く達してしまったのは内壁の締め付けでわかっていたが、達也はそのまま腰を動かす。
「ぁ、あっ!待っ・・・達、ゃ・・・あぅっ!」
「楓っ・・・はっ・・」
敏感になっている中を激しく刺激され、強すぎる快感に苦しむ楓を欲望のままに責め立てる。
湯船に浸かっているからかふわふわと揺れる身体をしっかりと掴んで、引き寄せては下から突き上げる。
浮力でいつもより力が必要ないこともあり、達也の動きはいつも以上に軽快だ。
弱い箇所を堅い亀頭で突き、目の前でふるりと揺れる形のよい乳房に吸いつきながら楓の身体を貪る。
達也が楓を突き上げる度にばちゃばちゃと水面が跳ね、結合部分にはお湯が入ってきて胎内をじんわりと焼かれているような感覚になる。
「ん、ぁ・・・たつ、ゃ・・・ふぅっ」
容赦なく知られているイイポイントを突かれて、楓は恥ずかしい声を溢しながら目の前に座っている達也の顔を見る。
いつもは澄ました表情が苦しげで色っぽく、熱気の籠った吐息が扇情的だった。
その姿が愛しくて、胸がきゅっと締め付けられる。
「っ・・・楓・・・」
自分を見ているのに気付いたのか、達也は楓の顔を見て彼女が求めていることを察して顔を近づけると唇を重ねる。
呼吸は苦しいのに、互いの息を貪るような口付けが心地よかった。
力無く寄りかかり身を委ね、積極的に舌を絡めてくる彼女に達也は欲情で熱くなっているにも関わらずどこか安心感を覚えてしまう。
この温もりを、想いを離したくないと強く願ってしまう。
もっともっと楓とひとつに、深く繋がりたいという願望が湧き上がるのを止められない。
「ふぁ・・・あ、のぼせ、ちゃぅ・・・」
舌が痺れ、飲み下せないどちらのものともわからない唾液で口のまわりを濡らしながら、唇を離して楓が苦しげに呟く。
事実風呂場の蒸気と情事の熱気に苛まれ、このままでは間違いなく楓はのぼせてしまうだろう。
その声が聞こえたのか、達也はざばりと繋がったままで湯船から出ると水気も取らないまま寝室へと戻りベッドに楓を押し倒す。
少しだけ涼しくなったのを感じて、ぼんやりと楓が瞳を開くと、目の前には餓えた野生の動物のような色を浮かべた達也が見えた。
肉食獣に襲われ、咀嚼されるような恐怖を感じながらも、達也にそれほどまでに求められているという事実が愉悦感を誘う。
「達也・・・き、て・・・」
「あぁ、楓・・・愛してる。」
力の入らない手を差し伸べて受け止める楓の姿に、達也は沸き上がる思いのままに真上から激しく腰を打ちつける。
風呂場とは違う、堅い肌のぶつかる音が連続的に聞こえてくる。
達也の首にしがみついてくる楓の呼吸さえも奪うように口腔を貪り、心地よく絡みつき包み込んでくれる胎内で暴れる。
そこからは言葉もなくただ夢中に互いの体を貪った。
まるで一つの人間になったと思えるくらいどろどろに解け合った瞬間、二人は同時に絶頂を迎える。
絶頂の嬌声は達也の口腔に飲み込まれ、奥が彼の熱によって灼かれる。
互いに絶頂の痙攣を繰り返し、落ち着いた頃にやっと二つの体へと戻る。
まだ余韻から冷めやらない楓の額にかかる髪の毛を払い、口付けを落として優しい声で囁く。
「楓、お前と深雪は必ず俺が守る。」
包み込まれるような優しい声に気づいて、楓も嬉しそうに笑みを浮かべて答える。
「うん。私だって、達也を守るから。」
もう一度ぎゅっと抱きしめあって、心地よい気だるさのまま眠りへと落ちて行った。