新人戦が本格的に始まり、達也は多忙を極めていた。
一日に何試合もある中、早歩きで移動し、最終調整を行う。
いくら達也でもかなり疲労が溜まっているようだった。
楓も心配にはなっていたが、一つの所で止まっていない達也を捕まえるのは難しく、結局すれ違ってしまい話す機会がなかった。
そのため達也の疲労が本当にピークになっていたとわかったのは、雫が優勝したスピードシューティングが終了し、アイスピラージで深雪のインフェルノが大きな騒ぎになった日の夕食後のことだった。
『今夜俺の部屋で』
そうメールが来ているのに気付き、楓は私服に着替えると達也に言われた通り彼が一人で使っている部屋へとやってきた。
白いブラウスに薄い水色のスカートは細い体の楓によく栄えており、どこかのお嬢様だと言われても信じてしまえるような気品があった。
目を惹く姿ではあったが、今は夜なのでその姿を見るものは誰もいない。
「達・・・きゃっ!」
ドアを叩いて中に入れて貰おうと声をかけた次の瞬間、突然ドアが開き中から延びてきた腕に捕まり強引に引かれる。
状況を理解出来ない楓は、そのまま部屋の中に入れられ、閉められたドアに押さえつけられる。
背中が堅いドアにぶつかる痛みに顔を歪める。
捕まれた腕はそのまま拘束され、動けない状態で誰かの体温に包まれ、唇を塞がれる。
「んっ・・・んんっ!」
唇を食べられてしまうのではないかと思ってしまうような強引な口付け。
油断していた唇を割って入って来た舌は、口腔を舐め回し奥にあった楓の小さなそれを捕まえて啜る。
突然の行動に驚きながらも、覚えのある温もりと口付けに目を開ければそこには見慣れた達也の顔があった。
いつもとは違う強引な彼を不思議に思いながらも、特に抵抗はせずに性急な口付けを甘受けする。
「ふ、ぁ・・・はぁ・・・っ」
性急な口付けは、達也が楓を強く求めていることを表しているようだった。
確かに九校戦に来てからすっかり二人はすれ違い、二人きりですごす時間がなくなっていた。
しかも、ここ数日は新人戦の忙しさに翻弄され、会えない日さえあったくらいだったのだ。
よく考えてみれば、初めて会った7歳の時からこんなに長く会えなかったのは今回が初めてだったかもしれない。
そうなれば、いつも夜を一緒に過ごしていた温もりから離れ、不安になってしまうのも仕方なかった。
現に楓も寂しく、今この瞬間が嬉しくて仕方なかったのだから。
だから楓は強引な達也に答えるように、捕まれていない方の手を達也の首に回してもっとと口付けを強請る。
「はっ・・・あっ・・・んんっ」
ぴちゃぴちゃと舌と唾液が混ざりあう嫌らしい音が響き、角度を変えて二人は欲望のままに深く唇を貪る。
時には楓の口腔へ、時には達也の口腔へと舌を移動させて唾液を交換する。
夢中になって口付けを続けていると、達也の手が水色のスカートを持ち上げ、白い太股を撫でながら中心部へと向かう。
たどり着いた場所の下着はしっとりと濡れており、指を這わせるとくちゅりと音が鳴る。
すぐさま下着の横から指が入り込み、愛液で潤う秘花を撫でてからぐちゅりと音を立てて中へと埋め込まれる。
「ぅんっ!ぁ、う・・はっ」
敏感な中を指で触れられ、楓は声を漏らして快感に耐える。
自分のとは違う男らしい太い指で狭い膣内を広げられる感覚に、下腹部がぞくりと震える。
達也がいつもくれる優しくも心地よい愛撫に身を任せようとしたところで、突然彼が指を引き抜く。
え?と不思議に思った楓だったが、達也の次の行動に驚愕する。
「待って、達・・やぁっ!!」
「・・・ぐっ」
視線を落とした楓が見たのは、ズボンからすでに勃起した性器を取り出し秘花に宛がう姿だったのだ。
まだ十分に解していないにも関わらず挿入しようとする達也に、楓は声をかけようとした。
だがそれは間に合わず、太い亀頭がみちりと音を立てて狭い入り口を押し開いて中へと押し込まれていった。
まだほとんど慣らされていないところへの突然の猛烈な圧迫感に、楓は息が詰まる。
しかも体勢が悪いせいで、一気に達也が奥へと入ってきたのだ。
「ぁ、う・・苦、しっ・・・きゃあっ」
あまりの苦しさに呻く楓を、眉を顰めて見ていた達也はお構いなしにそのまま下から突き上げ始めた。
痙攣する細い片足の膝を腕で持ち上げて安定させ、激しく奥を抉る。
容赦なく動く達也に、楓は悲鳴を上げる。
逃げようともがくが、右手は扉に縫いつけられ、左足を持ち上げられており身動きが出来ない。
ひたすらに達也の暴挙を受け入れるしかない。
「やめ、達也っ・・・ん、ふぅっ・・ぁあっ!!」
いつもとは全く違う達也が怖くて、楓は涙をこぼしながら目の前の彼の名前を呼んで制止させようとする。
しかし、彼女の弱いところを知り尽くしている達也は、押さえていた手を離して結合部分へと触れる。
達也を受け入れいる狭い入り口のすぐ上にある女性の性感体である芽を、指先で軽く摘んだのだ。
痛みを伴う寸前くらいの絶妙な強さでそこを摘まれた瞬間、楓の体を強い快感が走る。
「ひぅ・・ぁああっ!そこ、やめっ・・てぇっ!」
きゅっと強弱をつけて愛撫されると、楓の強引な挿入の律動に痛みを感じていた身体はあっという間に快感に落とされてしまう。
どっと最奥から愛液が分泌され、膣内と蹂躙する達也自身を濡らす。
堅かった内壁もうねうねと柔らかく締め付けるように脈動し、奥へと誘うようになる。
入り口はひくつき、もっと欲しいとばかりに絡みつく。
「っ・・・は・・・」
痛みから快感へと移り変わったのが如実にわかった達也は、一瞬持って行かれそうになり息を詰める。
どうにか沸き上がった射精感を押さえて、更に硬度を増した亀頭を奥に押し当てたまま腰を回してこね回す。
同時に敏感な芽も摘んで、楓を絶頂へと導く。
「だ、めぇ・・奥と、そこ一緒にされた、ら・・・っ!」
感じる奥と敏感な芽を同時に責められ、楓はあっと言う間に絶頂を迎える。
達する瞬間唇を塞がれ、悲鳴を飲み込まれながらびくびくと身体を痙攣させて達する。
ぎゅうっと中の達也を締め付けて、高いところから一気に落とされたような感覚に耐える。
数回の痙攣ののち、余韻でぼんやりしていた楓だったが、ふとまだ自分の中にいるものが達していないことに気付いた。
まだしっかりと硬度と熱を持ったままの達也に、楓はさあっと顔から血の気が引いていく。
「きゃっ!」
そして、楓の予想通り達也は抱きかかえたままで部屋のベッドへと押し倒した。
どさりと倒され、ベッドのスプリングで身体が弾む。
横向きの状態で抱えられていた左足をそのまま肩に乗せると、達也がぐっと腰を押し込んできた。
達してとろとろになっている中は、それを抵抗なく受け入れる。
だが、楓は達したばかりで敏感になりすぎていた。
「あぅっ・・ひ、ぁ・・待っ・・・まだ、イった・・ばっかりっ」
少し休まなければ敏感なところに更に快感を与えられ、辛くなってしまう。
それを知っているはずなのに、達也は自分勝手に律動を開始してしまったのだ。
スカートはめくれ、腰あたりに溜まっており下着が丸見えになってしまっている。
上半身は前ボタンがはずされ、下着もずらされており乳房が剥き出しになっている。
一方で達也はズボンをくつろがせているだけで、ほとんど服装を乱していない。
なんでこんなことになっているのかわからず、楓は困惑と悲しみで涙を浮かべて達也を見上げた。
「達、也・・・・?」
だが、そこで見たのは欲望に濡れた瞳ではなく、懇願と苦しみを含んだ瞳だった。
苦しいのも悲しいのも楓の方なのに、達也の方こそ今にも泣いてしまいそうな顔をしていることに戸惑う。
達也のそんな顔が見たくなくて、慰めるように手を頬に伸ばすと彼が目をつぶってすり寄ってくる。
「楓・・・お前は誰にも渡さない。」
「俺だけのものだ・・・」
「ずっと俺の側にいてくれる、そうだろ?」
瞬間、楓は達也がなぜこんな風に暴走してしまったのかを理解した。
彼は誰から聞いたのかはわからないが、仁岡のことを知ってしまったのだ。
達也と出会う前の楓を知る存在のことを。
いつもならばこんな風に疑心暗鬼に駆られることなどあるはずがない。
普段の状況なら仁岡と再会した場面で達也も居合わせているはずだし、楓が見向きもせず達也にしか意識を向けないことを確認出来たからだ。
だが、今回初めて長くすれ違い会うことが出来なかった。
そのせいで不安定になってしまい、不安に心が揺れてしまったのだ。
もちろん、達也も楓が自分の傍を離れたりしないことをちゃんと理解しているのに、わずかでも不安になってしまった心は彼女からの言葉を、そして態度を強く欲していた。
「達也・・・・・」
達也の気持ちが伝わった瞬間、楓はきゅうっと胸が締め付けられ嬉しくなってしまった。
つまり彼は、嫉妬していたのだ。
自分の彼女に近づく他の男の存在に。
沸き上がる衝動のままに楓に暴挙を働いてしまうくらいに。
彼の強い想いが、自分への愛が楓を喜ばせる。
楓はふっと微笑んで、優しい声で言い聞かせるように言う。
「大丈夫。私はいつだって達也の隣にいるわ・・・」
「楓・・・・っ」
聞きたかった言葉が貰えたとばかりに、達也が目を開いて楓を見つめる。
小さな子供が母親を求めてさまよっているかのような不安な瞳を見つめて、楓は達也の顔を引き寄せてそっと触れるだけのキスを落とす。
「これからもずっと。だから、私を離さないで?」
「・・・ああ、絶対に離さない。」
達也は沸き上がる強い想いに戸惑う。
昔ならばあり得ない強い気持ちに苦しみながらも、この感情をまた手放したいとは思わなかった。
いや、手放したくないと強く願った。
この感情も、想いも何もかもが楓からもらったものなのだ。
だから何一つ失いたくない。
「愛してるわ、達也。」
「俺も愛してる。」
ああ、愛しいとはこんなにも心地よく、優しい気持ちにさせるのか。
達也は包み込むように抱きしめてくれる楓を抱きしめ返した。
「すまない・・・その、乱暴にして・・」
日が昇ったばかりの部屋、一つのベッドに寝転がっていた達也がぐったりとしている楓を抱きしめて謝る。
二人は全裸で、身につけていた服はベッドの下に散乱している。
体中についた鬱血と眠そうな表情を隠しきれない楓の様子から、昨夜の情事がどれだけ激しいものだったのか想像出来る。
情事終了直後は二人ともどちらのものともわからない体液でどろどろになってしまったが、一応最低限の処理だけはした状態だ。
自分でも無理をさせた自覚があるのか、達也は労るように楓の華奢な肩を撫でる。
「ん、大丈夫・・・私も達也に抱かれたかったから。」
達也の身体にすり寄りながら、楓は掠れた声で答える。
昨夜は久しぶりの情事であったことと仁岡への嫉妬でかなり大変だったが、彼に抱かれたかったのは楓も同じだった。
温もりを感じて、どれだけ自分も不安だったのか自覚したのだ。
だから謝らないでという楓が愛しくて、達也はぎゅっと抱きしめる。
髪の毛に、額に、瞼に、鼻先に、頬に、唇にと口付けを落とす達也に擽ったそうに身体を揺らす。
このままもう一戦始めそうな雰囲気の達也に、楓はくすくす笑う。
「ん、もうだめだよ。そろそろ戻らないと。」
同室の子に達也の部屋に行くことを伝えてあるから問題はないとはいえ、そろそろ出なければ他の生徒に見られてしまう。
そうなればやはり風紀的にあまりよくないので、皆が起きる前に部屋に戻りたかったのだ。
そう訴える楓だったが、達也の手は不埒にも胸な足を撫で始めている。
「楓、もう一度・・・」
「達也・・・」
結局二人は、再度シーツの海へと溺れたのだった。