ユウカのおかげで業務が進んだのはいいが……本日の当番はそんなユウカの親友、ノアだった。
明らかにユウカとの関係に感づいてるノアに冷や汗を出しつつ、本日の業務を終えた先生はシャワーを浴びることにした――が、そこにタオル姿のノアが乱入して……
溜まりに溜まったシャーレの業務は、先生とのセックスによってブーストしたユウカのおかげでたった2日(実質1日)で大分減らすことができた。
この調子で残りも目に見える形で減らしていきたいが、それはどの生徒が当番として来てくれるかによるだろう。生徒によっては書類仕事を手伝ってもらうより、治安維持など戦闘を優先して一緒に外出することもある。
未だ“慈愛の怪盗”アキラによる混乱が継続している現在のキヴォトスのことを考えれば、中央地区から仕事のできる優秀な生徒が来る確率は低い。先日のユウカはある意味で例外。
なので、今日は昨日ほど進まないだろうけど仕方ないよな~と諦めていた先生にとって、本日の当番として来てくれた生徒は予想外に優秀な人物だったので非常に喜んだ――のはいいのだが……同時に、非っ常~~~に気まずい生徒でもあった。
――その生徒は、
「あら? 昨日までの2日間で終わったシャーレの業務が予想の1.5倍は多いですね。さすが先生とユウカちゃんです。たくさん
ミレニアムサイエンススクールの2年生、セミナー所属、
セミナーでは書記を務め、その記憶力の良さから普通の人なら気に掛けないことまで細かく記憶し、いつも持ち歩いている日誌には観察した対象の行動を秒単位で記載するなど、本人の前では下手な行動が出来ない……そんな人物である。
そして、これが最も重要なことだが――同じセミナー所属のユウカとは親友同士である。
そう。昨日まで先生と性欲発散+たくさんの“初めてをあげる”という名目で何度もセックスした早瀬ユウカの親友!
(絶対、いろいろ察してる~~~!)
余りの気まずさに悶える先生。
さっきの“たくさんがんばった”ってセリフも(意味深)が後ろに付く感じのイントネーションだった気がするし!
先生自身、経験があることだが……ノアに小細工は通用しない。
相手の動揺を誘おうとすれば何倍にもなって自分に返ってくるし、何なら問題が起きた時にそれが致命的でないならわざと気付かない振りをして、その問題に四苦八苦する相手の反応を楽しむというちょっと――いや、少しだけ腹黒い一面もある。
(問題は“どこまで”予測して感づいているかだけど……)
正直言って、ノアなら「全部です♪」と言っても信じてしまう。
この際ユウカとお互いに話し合ってセックスしたことはバレててもいい――本当は良くないが。
数日前に行われる予定だった、先生の童貞を手に入れるための大会に出ることになってたというユウカ。経緯なども少しピロトークの中で話していたが、ノアに後押しされたり買い物(勝負下着など)を一緒に買ったりしていたらしい。ついでにアキラに童貞を奪われた日の夜はノアと共にベッドにいて、事の経緯を知った途端に隣に親友がいるのも忘れて泣いてしまったとも。
(ぐ、具体的なことを何も聞いてこないのが逆に怖い……!)
これで何か探るようなことを言ってくれれば会話の糸口にもなるし、何より今感じているストレス軽減されるのだが、ノアは今のところ事務的なことしか言わず普段通りの落着いた表情をしているだけだった。
(これは……まさか、試されてるのか? オレの方からノアに聞いてくるのを待っているのか……?)
心の中で人生の選択肢カードを広げてみるが碌なものが無かった。
「先生?」
突然の声掛けに方を大きく揺らす。
見ればニコニコとした顔のノアが書類を手にこちらを覗き込んでいた。
「こちらの方の確認をお願いしますね?」
「う、うん。任せて、すぐ片付けるよ……!」
「本当にすぐできますか? 先程から集中しきれていないように見受けられますが?」
何故だろう? ノアのニコニコが増した気がする。
「そんなことないと思うけどなー!」
「では確認してみましょう♪」
そう言って取り出したのはノアが持ち歩いている見慣れた日誌で――
「【09:01:54】私を見た先生が目をキョロキョロさせる
【09:05:23】先生が視線をこちらに向ける
【09:35:06】エアコンが効いた室内で何故か先生が汗を流す
【10:07:00】先生がこちらに視線を向ける
【10:19:41】先生がこちらに視線を向ける
【10:30:27】先生がこちらに視線を――」
「すみませんノア様。集中しきれていませんでした。なので、それ以上は――」
「ふふ、素直な先生は好きですよ?」
やはりノアを相手に言い訳など通用しないことが判明。
それどころか、完全に手玉に取られていた。
「お疲れなら休憩しますか?」
「いや、大丈夫だk――」
「遠慮しなくてもいいですよ先生。
「…………急にやる気が出たなー! 今日も仕事がんばっちゃおうかなー! 書類仕事が得意なノアもいることだし集中しちゃうぞー!!」
「さすがですね。そのまま集中力を維持してください♪」
素早く書類を片付けていく先生。
しかし、内心は冷や汗ものであった。
(バレてる! 絶対にユウカと体の関係になったのバレてるって! 分かっててこっちの反応を観察してるって! 何? 「先生は私の親友とエッチなことを何度もしてますよね? 私、分かっていますよ?」ってことを遠回しに言ってるのか!? 精神衛生上良くないって! ちょっとイタズラのレベルが高くありませんかね!? どうしてこんなことするの!? ……オレが親友に手を出したの知ったからだよ!! 完全に自業自得だチクショウ!!)
これ以上、自分を弄るための隙をノアに与えてはならないと仕事に戻る。
その様子を見て自分の席に戻ったノアは普段通りの表情だったが……その目だけはほんの僅かに悲しげに揺れていた。
* * * * *
「も、目標分……終わった……」
あれからお昼休憩を挟んだ後もずっと集中して書類と睨めっこしてた先生は、ノアの力を借りればここまでは終わらせられると定めていた範囲まで終えることができた。書類のエベレストも普通の山ぐらいの量まで減っており、難しい案件も先日の当番であるユウカと、今日の当番であるノアが優先して処理したので、残った書類は比較的簡単な――ある程度書類仕事ができる生徒であれば問題なく処理できるものばかりとなった。
「お疲れ様です先生。ようやく一息付けたようですね」
「何とかねー……ノアもお疲れ様。暗くなってきたし、もう帰っても大丈夫だよ。おかげさまで仕事がすごく進んだ」
「ありがとうございます。でも……」
ノアは日誌を開き、少しだけ考える素振りをしてから閉じてコートに仕舞う。
「私もいつもよりがんばったので、ちょっと疲れてるんですよ」
「そうなの?」
「えぇ、午前中に少々先生のことをからかいすぎましたから」
「自覚あったんだ……」
最後の最後でどっと疲れがでてしまう先生。
このタイミングで言い出すのも計算の内だとすればユウカ以上に計算高い。
「そういうわけですので、少しだけここで休ませてもらっても?」
「もちろん構わないよ。落着くまでいくらでもいて。コーヒーを飲んでもいいし、仮眠室を使ったっていいから」
「ありがとうございます。……先生はこの後どうされるのですか?」
「夕食前にお風呂でも入ろうかな~って」
「…………そうですか」
先生は気付いてなかった。
「風呂に入る」と言った瞬間、ノアの瞳が怪しく光るのを……
* * * * *
「ふぅ~~、仕事の汗と変な汗の両方が洗い流される~」
先生は早速シャワーで体を洗い始めた。
シャワーの水音が浴室に響き、湯気が天井へと登ることで蛍光灯の光をボンヤリと滲ませていた。
(結局、ノアから直接ユウカのことは聞かれなかったなー……)
午前中のからかいを除けばごく普通の世間話や仕事のことしか話さなかった。
気が緩んだところでドストレートに何か言われる(「ユウカちゃんは気持ちよかったですか?」など)と思っていたので肩すかしを食らった気分だった。
(実際に聞かれたら何て答えればいいんだろうな……)
決してあり得なくないことだけに今の内から考えた方がいいかもしれない。
馬鹿正直に「ユウカとのセックス、超気持ちよかった。またしたいです!」なんて言えるわけない。2人も生徒を抱いている時点で先生としての威厳など地の底に落ちているが、人として少女たちにドン引きされることはしたくない。
ちなみに、イオリは例外だ。
あの褐色肌と健康的な脚に加えて弄りがいのある性格が悪い。
「夕食、何がいいかなー? 戻ってもノアが休んでいるなら、口止め料も兼ねてどこかで夕食を奢るのも手だし……」
打算的な計画を立てつつシャワーを浴びる先生はリラックスしていき――
――ガラッ
「先生。お背中を流しに来ました♪」
胸元にタオルを巻いただけのノアがいきなり浴室へ入ってきた。
「ノ、ノノノノノノ……ノアーーーー!!!??」
咄嗟に股間を隠す先生。
だって素っ裸だもん! 何も身に付けていない!
「ちょ、本当に何してんの!?」
「先生がお疲れなのは午前中に私がからかいすぎたことも原因ですので……その埋め合わせに先生が喜びそうなことを考えた結果です」
「確かに男としては嬉しいけどオレ先生! ノアは生徒!」
「知ってますよ♪」
「ならオレが今、かなりヤバイ状態だっことも分かってるよね!? 霊薬の効果が続いてるのノアが忘れるはずないし!!」
自分が裸の時に、ノアのような美少女が裸にタオルだけの姿で風呂場に入ってくるなど心臓に悪すぎる。タオル1枚のノアは白磁のような肌を晒しているだけでなく、身に付けたタオル越しでも分かるほど出るところは出た華奢な体つきをしている。大事な所は見えてないとはいえ、逆にそれがエロさを増していた。
そして問題なのは発情の件だ。
ユウカのように裸を見たわけじゃないとはいえ、性的にムラムラすることで下半身に血が集まってしまうので、先生の股間は現在大変なことになりつつある。この発情が自慰行為で発散できない以上、1番近くの生徒に処理してもらうしかないわけで――
「安心してください。何も心配は要りませんので」
「安心できる要素が1つも無いんだけど!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
先生のすぐ側まで来たノアは一旦シャワーのお湯を止めると、容器からボディソープを数回ほど押して手に取る。
その際、必死に股間を隠している場所に目を向けたのはどういう意味か。
ノアは先生の背中の真ん中から洗い出す――素手で。
「ひゃっ、ノアさん!? スポンジはそこにありますが何で素手!?」
「こちらの方がより先生の体の形が分かるからでしょうか?」
クスっと笑うノアは艶めかしく背中を這うように洗っていく。
円を描くように動かして泡立たせていた細い指は、背中の中央から肩甲骨の辺りを滑って肩へと向かい、そこから少し外側のルートを通って下へと向かい腰を洗う(お尻との境界線ギリギリを攻めてきた)。
「どうですか先生? 私、上手くやれていますか?」
「うっ……――っ、……ん!」
ノアの泡だった手の平が背筋をなぞれば、先生の呼吸も乱れる。本人が何を考えてここまでしてるのかは予想の域を超えないが、吐息が首筋に掛かるほどの近さでノアの落着いた声が耳に入り込んで来ると、先生の理性のメーターが振り切れそうになるから堪ったものではない。
(あ、これダメ。ノアの手が背中を滑るたびにゾクゾクしたものが……! めっちゃ良い声が耳から侵入して脳が蕩けるし、股間も完全に臨戦状態になっちゃったし!)
「先生……私、これから大胆なことしちゃいますね?」
「これ以上を……!?」
ノアの右手が先生の腰をなめらかに滑る。余りにも自然な動作で移動した手は……スルリと先生の肉棒を掴んで、しなやかな指はそのまま先端を優しく包み込んだ。
「――っ」
「これが……想像していたよりもずっと堅くて、熱くて……」
ノアの胸がタオル越しに先生の背中と触れ合った。
心配になるぐらい心臓の鼓動が早くなっているのが分かるが、……これが先生の心臓の鼓動だけなのか、自分の心臓の音まで一緒に聞こえているせいで余計大きく聞こえるのか。正解はノアにも分からない。
「ノア……そんなことされたら……!」
ノアが自身の勃起した肉棒に触れているという事実は先生の興奮度を一気に高めた。発情の件がなくても我慢できたか怪しいだろう。
「ここも、綺麗にしてあげないといけませんよね?」
泡まみれの細い指が完全に勃起した肉棒をゆっくり上下する。
ヌルヌルとした感触が直接伝わり、先生は浴槽の壁に手を付きながら体を支えるしかなかった。ノアの小さな手は、霊薬の効果なのか一回り大きくなっている肉棒を根元から先端まで丁寧に指を這わせていた。
「先生。私、上手くできてます? 気持ちよくなっていますか?」
「き、もちいい……。ノアが、あのノアが……オレのを、優しく手コキしてくれてるなんて……!」
「良かった……本当に、凄く堅いですね。……先生? こんなすごいモノで――ユウカちゃんをヒィヒィと鳴かせたんですか?」
「ノア!?」
“このタイミングで切り込んできた!?”と先生は気持ち良さを忘れそうになるぐらい仰天する。
ノアが耳元で囁く声はどこか楽しげで、同時にどこまでも蠱惑的だった。
親友を“女”にしたであろう肉棒を愛おしげに触り続ける。手持ち無沙汰になっていた左手が先生の腹の前に回り、指先が亀頭の裏側をクリクリと刺激する。
「ノア、それ……ヌルヌルが気持ちよすぎて……っ!」
「これまで……いろんなことを記録してきました。ユウカちゃんの好きも、先生の好きも……たくさん」
手の動きは止まらない。むしろ、肉棒の先端を中心に指を這わせてる。
「ユウカちゃんを先生の元に送り届けたのは本心です。私も……先生のことは慕っていますが、親友ほどではないと思っていました。先生に対して行動を起こすのも、機会があったら程度で構わないと……昨日まで思っていたんです」
ノアが体に巻いていたタオルが落ちる。何も遮るものがないユウカより少しだけ大きな胸が先生の背中へと当てられる。堅くなった2つの突起が自己主張していた。
「昨日の夜、シャーレから戻ったユウカちゃんは――“女”として、本当に綺麗になってたんです。お化粧をしたとかそういうものではなく、ただただ……綺麗になってました。私は……そのユウカちゃんを記録するのを躊躇ってしまいました」
――普段なら親友の変化を余すことなく記録してたはずなのに。
そう呟いたノアの表情は先生から見ることはできなかったが、声のトーンから非常に複雑な表情をしているのが窺えた。
「いつもの調子ではない震えた声で、この2日間で先生とどんなことがあったのか聞いてみたんです。もちろん、具体的なことは話してもらえませんでしたが……ユウカちゃん、ずっと顔を真っ赤にして可愛かったです♪ そして――恥ずかしそうにしながらも……幸せそうでした。それに、ちょっとだけ……そう、初めてユウカちゃんに……嫉妬しちゃいました」
肉棒を這う手の動きが少し速くなった。手の平全体で包み込むようにヌチュヌチュと音を出しながら扱き上げる。
「私の親友と……たくさんエッチしたんですよね。それなら……
その声には普段の余裕ある微笑みで言うときとは違う、切実な響きが混じっていた。
親友と同じ男性を好きになったからこそ、同じ体験をしたい。同じ快楽を味わいたい。同じように……一時でも愛して欲しい、と。
「うぇっ!? そ、それは……!」
予想外にノアが積極的だしこのまま流れに身を任せてもいいんじゃないか?という気持ちと、昨日まで散々ユウカとシていたのに翌日にはその親友とスるのは人としてどうなんだ?という気持ち。その両方が先生の中でせめぎ合っていた。
中々望んだ答えが得られないことに思うことがあったのか、ノアが肉棒を擦る手に力が僅かだがこもる。
「答えないなら……先にこちらをイかせますね♪」
先端を中心に小刻みに手が動く。先走り汁とボディソープが混ざって淫靡な音を反響する浴室に奏でていた。親指の腹がカリ首を集中的に擦り上げ、緩急を付けながら射精を促した。
「ノア、それ、刺激がつよ、っ……!」
ノアが先生と、より密着する。
少女特有のしなやかな脚を、生徒共に戦場を駆け回ったことで鍛えられた筋肉質な男の脚へと、まるで絡めるかのように擦り付けだす。白い髪は水に濡れて先生の体に引っ付き、快感を伴う荒い息づかいが耳をくすぐる。
射精の限界はすぐそこまで来ていた。
「出したいなら出してもいいんですよ、先生? 以前先生は……私の手が綺麗だと言ってくれましたよね? そんな手を、自らの欲望で穢したいと思いませんか? 全部、受け止めてあげますから、どうか、このまま……」
肉棒への刺激、そして一種の言葉責めによる興奮で白い欲望が下から登ってくるのを先生は感じた。
「限界……もう、出る……!」
――どぴゅ! びゅるるるっ!
びゅるびゅると、白濁した精液がノアの白い手を汚していく。1度だけでは収まらず、2度、3度と脈打つように肉棒の先端から噴き出していた。
「……すごい、量ですね。それに熱い」
ノアの手の平から溢れた精液が指の間を伝い、タイルの床にボトボトと落ちていく。
「は、ぁ……」
好きな男性が自分の手で興奮し、吐き出した欲望の液体。
精液塗れとなった自らの手をうっとりとした目で見つめ続けたノアは、おもむろにその指を口元へ運び、舌先で舐め取る。
「……ん、ちょっとだけボディソープも混ざっているからでしょうが、しょっぱいですね。でも……先生のものと思えば、嫌いじゃありませんよ。この味♪」
「ノ、ア……」
先生は荒い息を抑えながら振り返る。
先程まで見ないようにしていたノアの裸体。芸術作品のようにバランスが取れた肉体と、巨乳ではないが平均より大きいだろう胸が隠されることなく晒されている。ノアの瞳はお風呂場の湯気越しでも分かるほど潤んでおり、頬がほんのり赤く染まっている。ちょっとだけ開いた口元からは、小さな舌の上で精液の粘ついた糸が一本だけ引いていた。
そこにいるのは普段の完璧な書記の仮面が剥がれ、好きな男の精を味わう1人の少女だった。
「先生……まだ、終わりじゃありませんよね? もう1度だけ言います。――私にも、ユウカちゃんにしたのと同じことをしてください。今、ここで」
蠱惑的な表情をしているノアは先生の目を見つめていたが、その瞳は不安で揺れていた。声も、親しい間柄でないと気付かない程だが震えている。
“ここまでして、もしも……断られてしまったら……”と心から不安がっている姿を見て、何もしないなどあり得なかった。
「…………ノア、そこのガラスドアに上半身を押しつけながらお尻を突き出して」
ノアの目が一瞬見開かれ、とろけるように細められた。
「抱いて……もらえるのですか?」
「あぁ。今からノアを抱く。だから、言う通りにして」
「ほんの少し命令口調の先生なんて、とても珍しいです」
「今からスるのは……例え誘惑の結果でも、オレの意志だから。
「~♡」
幸せそうな顔をしながら、ノアは指示に従う。
脱衣場とを仕切るガラスドアに両手を付く。本来なら風呂場にいる人を見えなくするためのドアの表面に、白い裸体が押しつけられる。脱衣場側から見れば、少しだけガラスに押し潰された胸が見えたことだろう。表面に加工がされた浴室のガラスドアも、密着した状態のものはほとんど効果なく見える場合が多い。
ノアが尻を突き出すと、すでに愛液でてらてらと光る秘所が無防備に晒された。白く滑らかな脚は、これから起こることへの期待と不安で微かに震えている。
「こんな体勢になって、大切な場所が丸見えの状態というのは……想像以上に恥ずかしいですね。しかも、こんな風に胸をガラスドアに押しつけて……向こう側に人がいたらと思うと、羞恥心が倍増しちゃいます」
「オレからのほんの細やかなお返しさ」
ノアは先生が後ろからじっくりと秘所を見ていることに気付き、顔をさらに赤くした。
「たっぷりと……ノアの大事なところを観察してるよ」
「本当に……珍しく意地悪ですね……」
「嫌ならやめようか?」
「……やめないでください。私の大切な場所、胸でも……性器でも……お尻の穴だって……どれだけ見てくれても構いませんから、先生だけが……私の全部を記録してください♡」
「この光景を忘れることは一生ないだろうね」
「見るだけで満足ですか? ぁ…」
腰を僅かに揺らして、先生を誘うように尻を左右に動かすノア。ドアに押しつけられた胸の形がさらに歪み、乳首が擦れて小さな声を出す。
「ノアはお尻も綺麗だね。待ってて。今……入れるから」
勃起した肉棒を秘所にあてがう。先端が入り口に触れた瞬間、クチュリという音と共にノアの体がビクンと跳ねた。
「っ……ぁ、当たってる。先生のが、私のに……」
「触れただけで熱さが伝わってくるよ」
振り返ろうとしたノアの横顔は、コレまでに先生が見たことのないものとなっていた。目尻が下がり、口が半開きになっている。
「先生、お願いです。ひと思いに突いてください。焦らされるのは、その、慣れていないので」
亀頭はぬるりとした愛液に半ば包まれ、膣口がひくひくと収縮して肉棒を咥え込もうとしている。ノアの声は平静を装うとして失敗してしまったような震えがあり、ガラスドアに置いた指には力が入っている様子だった。
「……いくよ。――ぅっ!」
「ひゃあぁっ…!」
ずぶっ、と肉棒は膣内へと根元まで突き入れられる。
ノアの口からは甲高い悲鳴が上がり、背中が弓なりに反った。
(中、思ってたよりもキツイ……)
先生の方はそのキツさに驚く。
狭い膣内は異物を追い出そうとするようにきつく肉棒を締めており、様子を見ながら徐々に入れていこうとしていたらかなり苦戦していたかもしれない。
しかし同時に、奥へと引きずり込もうとする動きも見せていた。
それはまるで、ノアの
変な話だが、そのギャップに先生はむしろ興奮してしまう。
「だいぶキツいけど、無理してない?」
「平気、です……っ、から。体が少し、驚いているだけですので……。はぁ、はぁ、動いてください。先生……私を、気持ちよくして」
「分かった。少しずつ動かしていくから」
初めてのセックスに、ユウカよりも少し苦しそうにしながらも気持ちよくなりたがっているノアのため、ゆっくりと出し入れを始める。
腰を引くと、ずるりと肉棒が膣内から姿を現す。そして、抜け掛けたところで再び奥へ押し込んだ。ぱちゅ、ぱちゅと控えめな水音が浴室に響く。ノアの表情は苦しさと快感が入り交じった複雑なものとなっていた。
「あっ……ん、ぅ……すごい、中が……押されて……っ♡」
何度目かの抽挿でノアの声から苦しさが薄れていった。代わりに甘い喘ぎが混ざり始める。内壁の抵抗が和らぎ、じゅぷ、じゅぷと粘着質な音へと変わっていった。
「あ、あぁ……先生、気持ちいいです♡ ……もっと、奥、突いても大丈夫ですか…んっ♡ 先生のが、欲しい……」
白い髪を振り乱しながら、自分から腰を後ろに突き出し始めた。先程まで苦しげにしていたとは思えない貪欲さだった。理性の手綱が外れだしたノアの声には、いつもの余裕さがなくなっていた。
最初こそ抵抗感が強かった膣内も今や肉棒の形に広げられ、受け入れて、先生を気持ちよくさせるためだけの膣内へと変化している。
「ノアの中、キツさがなくなってきて、どんどん気持ちよくなっていくよ……!」
「ああぁっ♡ 先生の形になっていくのが分かります。私の中、先生のためだけの形になって……嬉しい♡」
ぱんっ、ぱんっ!と肌がぶつかり合う音が大きくなる。ノアのお尻は先生の突きに合わせて波打ち、結合部からは白く泡立った愛液が太ももを伝って流れ落ちている。
「んっ、そこ……奥の、上のところ……そこに当たると……頭が、真っ白に……っ♡」
子宮口を小突く角度に反応したノア。ガクガクと膝が震え、もはや自力で立つことも難しくなっているのかドアに上半身を完全に預けている。涎が唇の端から糸を引いて、白かった肌は首筋まで紅潮している。いつもの冷静沈着で、たまに先生をからかう書記はどこにもいない。ただ快楽を覚えだした1人の“女”がそこにいた。
「ノア、そろそろ限界だけど、どこに出してほしい?」
先生は腰の動きを緩めず、むしろ少しだけペースを上げた。子宮の入り口を何度もノックしながらの問いかけに、ノアはイタズラっぽい笑みを浮かべる。
「そんなに、1番奥を突いといて……そのようなことを聞くんですか? はぁん♡ 後で、覚えておいてくださいね♡ ――中に、中に出して……ください! 全部私の中……先生の精液、好きなだけ……注いで構いませんから♡♡」
振り返ったノアは先程までの表情を隠して、涙と涎でぐしゃっとなりながらも……笑っていた。あの、いつもの笑顔で。
「出すよ。ノアの1番奥に、子宮に中だしするから……! 好きなだけ、イっていいよ……!」
最後に一際深く突き上げた。
肉棒が子宮口をこじ開けるように密着して、
――ビュルルルルルルルッッッ! ビュル! どぴゅっ!
熱い精液がノアの最奥へと注ぎ込まれ、その全身が痙攣する。
「ひゃっ♡ 来てる! 先生のが、絶対に届かないはずの場所に……♡♡ イく! イきま――あぁぁぁぁぁ!!♡♡♡」
「おっと!」
脚が崩れ落ちそうになるのを先生が腰を掴んで支えた。膣内がぎゅうっと絞り上げるかのように収縮し、一滴も精液を逃すまいと肉棒に吸い付いている。
びくっ、びくっと断続的に体を跳ねらせながら、ノアの意識は半ば飛んでいた。ドアに預けていた上半身はズルズルと落ちていき、紅潮した顔で息を荒げる。
「はぁ、はぁ……あつい……お腹の中、信じられないほど熱いのに……幸せで、もっと感じたくて、これが……好きな人とのセックス……」
「ノアとのセックス、気持ちよかったよ」
肉棒を膣内から引き抜けば、秘所の入り口からごぽっと音を立てて精液が垂れてきた。先生はノアの体を支えながらゆっくりとタイルの上に座らせる。
「……すみません先生。う、ふふ……自分から逃がさないような誘い方をしておいて、事が終わった瞬間に足腰が立たなくなってしまうなんて。ご迷惑をお掛けします」
「いいんだよ。ビックリしたけど……嫌じゃなかったから」
先生は座り込んでしまったノアの目線に合わせて、自身も座る。
しばらく沈黙が続き、耐えきれなかったノアが口を開いた。
「もっと、色々聞かれるのかと思ってました。“いつからなの?”とか、“どうして?”とか……“ユウカのことはいいの?”なんて、そのような質問をされてしまうのではないかと。内心ではちょっと怖くて……」
「あー……うん。確かに考えはしたよ?」
――でもね、と先生は続ける。
「例え先生と生徒の関係だからって、極端な話エッチするような間柄の男女だったとしても……疑問に思ったこと全部を明らかにすればいいって訳じゃないと思うんだ。自分の心の中を完璧に把握してる人なんて中々いないし、中にはどうすればいいのか、どうしたらよかったのかって、悩んで泣いちゃう子もいる」
先生はノアの目尻に残った涙を指で拭く。
「聞かれたくないことは誰にだってあるし、無理に聞き出すつもりはないよ。
両手がノアの頬を包み、顔を近づける。
「ノアの望みに応えられたなら……キスしてもいい?」
「………………はい」
2人の唇が重なる。唇が離れた時、お互いにもっと長くすれば良かったかなと思ったのは、それぞれ口に出すことはなかった。
「キス、しちゃいました。普通は順番が逆なんですよね……」
「確かに」
特に何かを言うことなく2人で体を洗い、それが自然であるかのようにノアと先生は湯船に浸かる。
先生に抱きつく形で入ったノアの髪が湯船に広がった。
「後でちゃんとお手入れしないと髪が傷んじゃいますね」
「そういえば、どうして髪をまとめなかったの? 長髪の女性は皆そうするイメージなんだけど。良く見たらヘッドセットも付けたままだし……」
「何故と言われたら……タオルだけの姿で浴室に向かうので緊張していたと言いますか、これから私は先生にエッチなことをするのだと、気が回らなかったんです」
「ノアもそういうことあるんだね。……ノアの髪はすごくサラサラで綺麗だから、シャーレにあるもので足りれば、いくらでも髪のケアをしていいよ。それに、まだ足腰が覚束ないでしょ? 気にせずゆっくりしていいから」
「ありがとうございます。……そうなると、この後はここで夕食を頂くことになりますね。髪のお手入れも時間が掛かりますし、帰るにしても遅い時間になっちゃいそうです」
ノアは先生の耳元に口を近づけて、艶めかしい吐息を当てる。
「今晩、泊まってもよろしいですか?」
もはや兵器と言ってもよいノアの声が、先生の耳奥から入り込んで脳を刺激する。この状況でその言葉はズルすぎた。ヤバい脳内物質が大量に作り出された錯覚さえ覚える。
「も、もちろんさ!」
「うふふ♪ 体は正直ですね。先生のおちんちん……全然萎えていませんでしたけど、ピクッて反応してるのがお腹で分かりましたよ」
「勘弁して。本当に困るぐらい性欲が異常になってるんだ……」
「それでは――」
ノアは上体を起こして、正面から先生の顔を覗き込む。
「少し休めば大丈夫かと思いますし、寝る前に……この場でできなかったこと、
「いろいろ、て」
「ちゃんと言った方がよろしかったですか? 例えば、胸で挟んであげたり……お口でおちんちんを……なんて」
「は、はは……それはまた、魅力的な提案で」
実際にお風呂から上がった後の2人がどのように過ごしたかは……語るまでもないだろう。
* * * * *
「先生、おはようございます♪ 今日はとても良い朝ですね」
翌日の朝。
先生が起きれば、見計らったかのようなタイミングでノアが出来たてのコーヒーを入れてくれた。何で起きるタイミングが分かるのだろうか?
「おはようノア。体は大丈夫?」
「ええ、問題はありませんよ。……強いて言えば、お腹の中にまだちょっとだけ異物感があることでしょうか?」
「…………コメントは控えさせてもらうよ」
「賢明な判断ですね♪」
ここで変に反応したらからかわれること間違いなしだ。
「そういえば……お風呂で言ったことは覚えてますか?」
「お風呂って、昨日の? たくさん会話したけど……どれ?」
先生は忘れていた。ノアに何かすると倍ぐらいになって返ってくることを。
「『後で、覚えておいてくださいね』って部分です」
「ゑ?」
先生の脳が高速で情報処理を行う。
昨日、浴室でのセックスの際に子宮の入り口を突きながら“どこに出してほしいのか”とちょっと意地悪しながら聞いた。その時……確かに喘ぎ声を出しながらもノアが言っていた。
「な、何をするつもりなんだ」
「そうですね……そろそろ、でしょうか?」
何が?とは言えなかった。
何故なら、先生のスマホから着信を知らせる音楽が鳴ったから。
電話を掛けてきた相手は――ユウカ。
ノアを見る。相変わらずのニコニコ。
スマホを見る。ありきたりな着信音だけが鳴り続ける。
覚悟を決め、電話に出た。
「もしもs――」
『せ~~~ん~~~せ~~~い~~~!!』
聞こえてきたのはある意味で聞き慣れたユウカの声。ちょっと前に聞いたような悲しさと不安を滲ませた声でも、幸せいっぱいといった感じの声でもない。
まだ金銭的余裕が少なかった頃に、無理してメタリックモデルの玩具を買ったことがバレた時の思いっきり叱りつける声だった。ただし、今回はそこに怒気が含まれパワーアップしている。
「ど、どうしたのユウカ? こんなに朝早くから……」
先生の声は震えていた。嫌な予感がし過ぎるから。
『今朝、スマホを確認したら……ノアからモモトークが来てました』
ノアをガン見する! 優雅にコーヒーを飲まないでほしい。
『寝た後に来てたのかなと思いながら確認すれば……』
ノアはこれから何が起こるのか分かっているかのように、自分の耳を指で栓する。先生? スマホを耳に当ててるので防げないぞ。
『……「これで私とユウカちゃんは(竿)姉妹になれましたね♪ 同じ人を好きになった者同士、今後も仲良くしてください」って、どーーゆーーーことですかーーー!!!!?』
ユウカによるスマホからの音響攻撃。
先生の左耳と精神に甚大なダメージが!
『ノアのスマホには繋がりませんし! (竿)ってそういう意味ですよね!!? 先生が他の生徒を抱くだろうことに関しては、見て見ぬ振りをしましたが――よりにもよって! わ、私と、あんなにシた翌日にノアと……!? 先生! 説明を求めます!!』
先生は泣きそうになる。
説明と言ったって、どうすればよいのか……?
涙目で
ユウカの怒声を聞きながらも、可愛いと思ってしまった。