前二作と同じで展開ベタベタですが、恋愛ゲームのエンディングはすべからくこんな感じがいいなと思います。
「美沙、これ……」
クリスマス・イブ。
夜の駅前でデートをしている時のことだった。
「この間二人で見た時、気に入ってたみたいだったから」
俺が縦開きにしたリングケースを手渡した時、美沙はしばらくきょとんとした顔で俺と中の指輪を見比べていた。
「え……?」
ちくしょー、腹立つな。
そうだよな、俺が贈り物だなんて。あるわけないと思うよな。
夏にお前に告白した時からこっち、どうかしてると自分でも思うよ。
「うそ……私に……?」
「やっぱり返してくる」
ふてくされた顔で回れ右をしようとした俺の手を、美沙は慌ててつかんだ。
「やだ! だめ」
いいの? と美沙が上目遣いに訴える。
俺はケースから指輪を外して、美沙の左手の中指に通してやった。ゴールドの多重螺旋のようなデザインで、少し派手にも思えたけど、勝ち気な美沙にはよく似合っていた。
「ありがとう、たくろう」
「似合ってるよ」
「うれしい」
美沙はしばらく街灯に左手をかざしていたが、急に俯いて動かなくなった。
「やだ、どうしよ……」
「どした? 腹でも痛いのか?」
「違うわよ。もう……」
肩が震えている。
涙がアスファルトの地面に染みをつくる。
あぁ、もう。しょうがないな。
俺は咄嗟に、美沙を深く抱き寄せた。
通行人が好奇の目で俺たちを見てくるが、知ったことか。今夜はクリスマス・イブだ。
「泣ぁくなよ、なぁ?」
「だって、うれしいだもん」
「ホントはさ、なんか縛りつけるみたいで、カッコ悪いなとは思ったんだけど」
「ううん。そんなことない」
「お前は、俺のもんだからな?」
「うん」
俺がぶっきらぼうに言うと、美沙はうれしそうに頷いた。
「ほらぁ、じっとしてないとダメだってば」
「へいへい」
すっかり日常となった美沙との入浴。
俺の背中を洗いながら、美沙は細かくこれからのことを確認していく。
「私がいなくなっても、ちゃんと背中を洗えよ」
「当たり前だ」
「御飯もちゃんと食べるんだぞ?」
「食べなきゃ死ぬだろ?」
「お洗濯は私が日曜日に来てするから……ね?」
「……うん」
「え~と、あと何か言っておく事は……」
「あのな、まだ美沙が寮に入るまで1ヶ月あるんだぜ」
「だって……さ」
「平気だよ、3年生になったらまた一緒に住めるんだし」
「……ごめんね」
「え?」
「私が体育大学なんかに行かなければ、別々に暮らす事にはならなかったのに……どうしてこんなくだらない規則があるんだろ」
「それだけ美沙が期待されてるって事さ」
「私、期待されるよりあんたと一緒にいたい」
「おいおい、あれだけ悩んで出した結論じゃないかよ」
「なぁ……本当に一人で大丈夫なの?」
「ああ、たった1年ぐらい我慢できる」
「浮気もしない?」
「……する」
「あ~~~~っ!!」
「いててててっ!!」
「しないって言え」
「し、しない……冗談だよ」
「はぁ……何か心配だなぁ」
1ヶ月後、俺と美沙は八十八町駅のホームにいた。
「……」
「美沙、次の電車には乗らないと」
「いや……もう1本遅らせてから行く」
「あのね、次がもう最終なんだけど」
「じゃあ……明日に延ばす」
「おいおい」
「だって……」
「美沙、元気で頑張れよ」
「そんな言い方をしないで」
「じゃあ、何て言えばいいんだよ」
「また今度ね、とか……」
「また今度ね」
「あんた、私と離ればなれになれてうれしいんでしょ?」
「ば~か、こう見えても俺は無理してるんだぞ」
「本当に?」
「あの部屋に残される俺の気持ちになってみろ。部屋に戻って、何かある毎に美沙の事を思い出すんだぜ……はぁ」
「いっぱい、思い出してね」
「ちぇっ、馬鹿野郎」
《3番ホームに卯月町駅経由、葉月町駅行き最終電車がまいります。危ないですから白線の内側に下がってお待ちください》
「あ……」
「……」
「……」
「たくろう……」
少し背伸びをした美沙のくちづけが、俺の唇に触れる。
美沙の唇は、震えていた。
「……」
「美沙……」
「……大好き」
「うん……俺も」
「たくろう……」
「え?」
「私ね……」
美沙はある言葉を俺の耳元でささやいた。
《八十八町駅~、八十八町駅~……この電車は最終電車です》
電車が走り去った後、美沙はもう俺の前にはいなかった。
「……行っちゃった……」
美沙を乗せた列車を見送りながら、俺はポツリと呟いた。
「さよなら……美沙」
〇
「ただいま、たくろう!」
「あれ……?」
「って、おいっ!」
嚙みつきそうな勢いで、美沙は呆けた顔をしている俺を睨めつけた。
「あんたねぇ、一年ぶりにようやく彼女が帰ってきたっていうのに、うれしくないわけ?」
「いや、だって、週に一回は来てくれてたわけだし」
「なんか怪しい……」
通勤ラッシュの時間を過ぎた朝のホーム。
少し大人になった美沙が、俺の目の前にいる。
「実は今朝がた、変な夢見てさ」
「なに、突然?」
「いや、なんかな。天の声だかなんだかに、『これはオリジナルのDOS版だから安心せい』とかなんとか言われるだけの夢だったんだけど……」
「なにそれ?」
「実はいろんなバージョンの俺と美沙が存在してたりして。いわゆる平行世界ってやつだな。超ひも理論だよ、美沙」
「そのどす? でぃーおーえす? ってなに?」
「多分、ディスク・オペレーティング・システムの略」
「ますます訳がわからない……」
「ほら、くるみちゃんも俺たちの同級生だろ?」
「当たり前じゃない」
「ところが、あの子が下級生の世界とかもあるらしいんだな。そうすると、そっちの世界線では別の可能性の美沙がいたりするらしいって、夢の中で言ってたぜ」
「たくろう、あんた頭大丈夫?」
そのうち、美沙はむぅ~と唸り出した。
「まさか……浮気の言い訳じゃないでしょうね?」
「なんでそうなるんだ」
「前科がある」
「いつの話をしてるんだよ。そりゃ、高三の夏までは遊び呆けてたけど、今は美沙一筋に決まってるだろ」
「いーや、怪しい。舞とかさとみに手ぇ出してないか、美穂に確認しておかなきゃ」
「なんで美穂ちゃん?」
「たくろうが町中でいかがわしい行動をしてないか、美穂から定期的に連絡もらってたんだよ」
無茶苦茶だ。
「俺だって泣くことはあるんだぞ」
「ていうのは冗談だけど。まぁ、無事に寮生活が終わってよかったよ」
「やっと、また一緒に暮らせるな」
「……いいの?」
「そのために帰ってきたんじゃないか」
「うん」
美沙はうれしそうに俺の腕に自分の腕を絡めた。
足元の重そうなボストンバックを、空いた方の手で持ってやる。
「どうでもいいけど、そのスカート、短かすぎないか?」
「たくろうが穿いてくれって言ったんじゃない」
そういえばそうだった。
しかし、よくよく考えると少し転ぶだけでパンツが丸見えになってしまうような気がする。俺のお気に入りの美沙のベージュのパンツが。
「それ穿くの、俺の前だけにしてね」
「当たり前だろ」
「今日はこれからどうする? 荷物部屋に置いたら、外に飯食べに行くか?」
うーん……と悩んだふりをしているが、美沙が何を考えているかはすぐにわかった。
俺も同じことを考えていたからだ。
「ご飯は途中で買って帰って、部屋で二人でゆっくりしたいな」
「ゆっくりするだけ?」
「……馬鹿」
俺が頷くと、美沙は目を伏せて頬を赤らめた。
俺と美沙の指先が絡む。
「おかえり、美沙」
「ただいま、たくろう」
並んで歩き出そうとした時、妙なことが起こった。
突然、視界が傾いたのである。
あれ?
「たくろう?」
美沙が斜めに見える。
あれれ?
「たくろう!」
美沙の声がやけに遠くに聞こえる。
気づくと、俺はアスファルトの上に真横に倒れ込んでいた。
ベッドの脇に腰掛けた美沙が、泣き腫らした顔のまま俺を睨みつけていた。
「ごめんな、美沙」
ベッドから上体を起こそうとした俺を、美沙が眼圧を上げて抑え込む。
これで三度目だ。やっぱり相当怒ってるな。
「起きるな、馬鹿野郎」
「了解です……」
夕方の自宅アパート。
これからまた美沙と暮らすこの部屋で、初日からこんな険悪な雰囲気になる予定ではなかったのだが……。
駅のホームで倒れた俺は、救急車で病院へ運ばれる事態になった。
失神した理由は、過労と睡眠不足と軽度の栄養失調。
頑丈だけが取り柄なので、点滴だけ受けて帰宅したのだが、おかげで美沙はカンカンである。
ただ、彼女は予定が狂ったことを怒っているわけではなかった。
「……それで? そろそろ理由を話したらどうなの?」
取り調べをする刑事のような口調で尋問してくる。
「いやぁ、俺っていつも過剰に元気だろ? 特に股間とかさ。だからちょっとぐらい食べるのも寝るのも控えた方がいいかなと思って」
「キャバクラだな?」
「え?」
「それとも風俗か? お金使いすぎて切り詰めてたんだろう!?」
美沙の推理はほとんど間違っていたが、金を切り詰めていたという部分だけは正解だった。
俺はベッドサイドのテーブルの引き出しに視線をやった。
情けなくて、こんな状況では渡したくない。
「浮気……やっぱり浮気してたんだ」
美沙の目からまたぽろぽろと涙が流れ始める。
……やっぱり、ふたつとも隠し通すのは無理か。
「通帳」
「え……?」
「机の上にある通帳、見てくれ」
美沙は立ち上がって机の上の銀行通帳を手に取った。
開いた美沙が、驚いた顔でこちらを振り返る。
「なんでこんなに貯金あるわけ!?」
それ以上説明したくなくて、俺は寝返りを打って美沙に背を向けた。
美沙とのこれからのことを考えてしゃにむに働いてただなんて、恥ずかしくて言えるわけがない。
ましてや、このたくろう様が、美沙が戻ってくるのが嬉しくてオーバーワークをしてしまっただなんて、口が裂けても言えるわけがなかった。
「必要だと思ったんだよ、金。二十歳過ぎて、俺たちもう子供じゃないんだし。これからも美沙と一緒にいたいなと思ったから。貯めとくなら今しかないと思って……」
しょうがないので、ぼそぼそと言い訳をする。
そういえば、高校最後の夏も前半はしゃにむにアルバイトで金を貯めてたな、俺は。
「……」
美沙からの返事がない。
やっぱり、まだ怒ってるのかな?
振り返った俺の唇に、美沙のくちづけが重なった。
「んむ……っ」
「……」
美沙からキスをしてくれる時は、決まって機嫌がいい時だ。
彼女から舌を絡めてきて、俺は少し口を開いてそれを迎え入れた。
「ん……」
「ちゅ……」
くちゅくちゅと唾液が絡む。
息が続かなくなって顔を離すと、美沙はまだ泣いたままの顔でほほえんだ。
「バカ……そんなんで体壊したらしょうがないじゃない」
「ごめんな、美沙」
「ホントに、もう……」
ようやく機嫌を直した美沙が、俺の頬をなでた。
しばらくなんでもない会話を交わした後、俺と美沙は二人でベッドに腰掛けながらカップ麺を食べた。美沙と一緒に買い出しに行けばいいやと思っていたから、冷蔵庫にろくな食材がなかったのだ。
でも、しょぼくれたカップラーメンはなんだか俺たち二人によく似合っていて、美沙は「うまいうまい」と食べてくれた。
食べ終えてから、俺の膝の上で手をつなぐ。美沙が肩に頭を預けてくる。
なんでもないしあわせを、俺たちは久しぶりに噛みしめていた。
どれくらいそうしていただろう。
そっとくちづけを交わし、俺の首筋に頬をすり寄せながら、美沙は俺の顔を下から覗き込んだ。
「しばらく家事は私がやるけど、他に何かできることある?」
「あるよ」
俺は美沙の手を俺の下半身へと導いた。
怒られるかと思ったけど、美沙はそれに触れた瞬間、まんざらでもなさそうに頬を緩めた。
「もう……しょうがないなぁ」
「痛く、ない?」
膝の上にある俺の顔を覗き込みながら、美沙は恥ずかしそうにささやいた。
お互い生まれたままの姿で、俺は横から膝枕をしてもらっていた。
美沙の右手の指先が、硬く屹立する俺自身をやさしくしごき上げる。
俺はその甘美な刺激を味わいながら、眼前に垂れ下がった彼女の乳房の先端へ舌を這わせていた。
「気持ちいいよ、美沙」
返事をしながら、左の乳首をレロレロと舌先で転がす。
「ん……たくろう」
口全体でしゃぶりつき、ちゅぱちゅぱと口内で吸い上げる。
「あ……バカ……」
美沙は吐息をもらしながら、さらに滑らかな手つきで俺の先端を上下させた。
「美沙……」
乳首を解放して、美沙を見上げる。
目が合った彼女が、今度は俺の唇に吸いついてくる。
「ん……ぁ……」
「ちゅ……ん……」
美沙は積極的に舌を俺の口内に挿し込みながら、せつなく目を細めた。
唇を好きにさせる代わりに、俺は正座をしている美沙の股の間を縫って、彼女の恥部へ右手を伸ばした。
「あっ……たくろ……」
美沙は両脚を少し開いて俺の右手を迎え入れた。
すでによく濡れている。彼女の希望にお応えして、中指と薬指をゆっくりと挿し込み、上部をなでるようにかき乱す。
「んっ……だめ……」
くちゅりといやらしい音を立てながら、美沙の中からさらに愛液がとろりと溢れた。
「あ……い、イキそう……美沙」
まつ毛が触れ合うほどの距離で、俺は懇願した。
「うん……いいよ、たくろう」
美沙が俺の頭を膝枕から解放して、俺の股の間に移動した。
さらに手の動きを速めながら、彼女が俺を上目遣いで見つめてくる。
「はぁ……あ……」
俺の呼吸が荒くなる。
美沙はうっとりとした表情で俺自身を口へ含んだ。
両手を俺の内ももへ添えて、ねっとりと口を上下させる。待ち望んでいた快楽が俺の先端を包み込んでいく。
「あっ……」
ビクッと腰を浮かせながら、俺は射精した。
「んんぅ……!」
どぴゅ、どぴゅ。
「あっ……あー……」
放出が収まるのを待ってから、美沙は先端から口を離し、当然のように精液をコクリと飲み下した。
「ん……すごい量」
「ごめん。だって、久しぶりだから」
「我慢してたの?」
「美沙が帰ってきたら、いっぱいするつもりだった」
「うれしい……たくろう」
ベッドサイドのテーブルに用意しておいたペットボトルのミネラルウォーターを一口含んだ後、美沙はもう一度俺の下腹部に跪いた。
「きれいにしてあげる」
一度果てたくらいではまったく衰えない俺自身を、美沙は再び口へ含んだ。
ちゅぷちゅぷと淫美な音が響き、俺自身はあっという間に硬度を取り戻していく。
「欲しい、美沙?」
「うん……」
「もう少し、おっきくして」
美沙は夢中でフェラチオを繰り返した。
「ん……ん、ふ……」
「あー……いいよ、美沙」
上体を起こした俺に、美沙が飛ぶように抱きつき、激しくキスを交換する。
お互いに求め合っていることがはっきり伝わってくる。
「もう、我慢できない……たくろう」
「俺も……美沙」
右手でペニスを直立に固定してやる。
美沙はかわいらしく頬を紅潮させ、両手を俺の肩に添えた。そのままゆっくり腰を落として、俺を自身の中心へ迎え入れる。
くちゅ——。
「あ……たくろう」
濡れそぼった美沙の入口が、卑猥な音を立てて俺を咥え込む。甘い快楽と共に、亀頭が美沙に包まれていく。
「あぁ……!」
美沙の秘所が俺自身を根元まで飲み込んだ瞬間、彼女の顔が上向きに跳ねた。恍惚とした表情のまま、俺にしがみついてくる。
愛おしい。
俺もまた、美沙の肩と腰に両手を回してしっかりと抱きとめる。
「わかる、美沙……?」
「うん。深い……たくろう」
お互いを最奥に感じながら、俺たちはしばらく甘いくちづけを交わし続けた。
俺の全ての場所が美沙とつながっている。離れていた分だけ、余計に美沙を深く感じる。
これ以上、美沙を離したくなかった。
「美沙」
動こうとする美沙を制止する。
「たくろう?」
ベッドサイドの引き出しに手を伸ばして、俺は中から小さなリングケースを取り出した。
「え?」
驚く美沙の口をキスで塞ぎ、舌を絡めながら、彼女の左手の中指から昔プレゼントした指輪を抜き取る。
「ん? ちゅ……ぁ……たくろう?」
代わりに、先ほど取り出したリングケースから新しい指輪を抜き取り、それを美沙の左手薬指に通した。
シンプルなシルバーのエンゲージリング。
本当はこれを買うための金が欲しくて、仕事を増やして生活を切り詰めていたのだ。
「うそ……」
美沙がおっぱいを揉み始めた俺と左手の指輪を見比べている。
親指と人差し指で乳首をソフトにつまみ上げる。桜色の突起をぴちゃぴちゃと舐め回す。
恥ずかしいから、少しでも美沙から考える余裕を奪いたかった。
「なんで? なんでこんな時に渡すんだよ? あっ……」
「言葉遣いが昔に戻ってるぞ、美沙」
顔を見られるのが嫌で、俺は両方の乳房を口と指先で弄びながら、美沙を下から突き上げ始めた。
「こ、こらっ、たくろう! あっ……やっ……!」
ベッドの軋む音がやさしく部屋に響く。
「たくろうの……あっ! あぁっ! バカっ! 最低っ!」
「知ってるよ。俺さ、こんな奴だけど、これからも一緒にいてくれる?」
抱きしめながら、やさしく突き上げる。
「よく寝坊するから、毎朝美沙のキスで起こしてくれたらうれしいんだけど」
「バカっ!」
美沙が俺の動きにあわせて腰を振り始めた。
「ずっと! ずっと一緒に……決まってるじゃない」
美沙は涙を浮かべながら俺の首の後ろに両手を回した。
「大好き……たくろう」
「俺も、大好きだよ……美沙」
美沙に押し倒され、俺は背中からベッドの上へ倒れ込んだ。
「してあげる」
美沙が前後に腰をこすりつけ始めた。
「んっ……あっ……!」
美沙の中は、よく濡れていた。
今度は腰をしならせながら、美沙がいやらしく腰を上下に振る。美沙の恥ずかしい部分が俺の亀頭まで迫り上がり、愛液をこすりつけながら飲み込んでいく。
「ん……は、ぁ……気持ちいい?」
「う……ん……すごいよ、美沙」
眼前に広がる美沙の乳房を両手で揉みしだき、右の乳首に吸いつく。甘くかみつき、円を描くように舌を這わせる。
「あんっ……たくろう……っ」
我慢できなくなった俺は、彼女の内ももに両手を添えた。
「俺も、してあげる」
「いっぱい、して」
美沙が両脚をM字に開く。
彼女の腰が落ちるのにあわせて、俺はペニスを下からいやらしく突き上げた。
「あッ! たくろう! たくろう!」
唸るように突き上げる度に、美沙の中から俺の竿を伝って愛液が滴り落ちてくる。
「はぁ……はぁ……だめ……」
しなだれかかってくる美沙を受け止めると、彼女は懇願するようにだらしなく舌を伸ばした。
お望み通り、俺は美沙の舌先をクリクリと舐め、吸いつき、角度をつけて口全体をキスで覆ってやる。
「ふ……みゅ……たふろ……ん……」
「美沙……」
俺は美沙の背中とお尻へ両手を回した。特にお尻をわし摑みにしながら、下から斜め手前に腰を打ちつけてやる。
密着して見えない分、美沙の中を俺が卑猥に擦り上げているのが快感として伝わってくる。
「んん……ッ!」
たまらず、美沙は俺にしがみついたまま顔だけをのけ反らせた。
「あッ! これ、すごい……たくろうッ!」
「気持ちいい?」
「あぁ、だめ! イク……イッちゃうッ!」
一度美沙に抜いてもらったにもかかわらず、俺の先端は美沙の奥にたっぷり中出ししようと腰の動きを速めていた。
——まだ、ダメだ。
俺は自分に言い聞かせた。
「はぁ……はぁ……」
「あっ! あぁッ!」
ぱちゅ、ぱちゅ、と俺と美沙の恥ずかしい部分が逢瀬を繰り返す。
「美沙……!」
「たくろう! あぁッ!」
強く突き上げた瞬間、美沙の全身が大きく跳ねた。
ドプ……と彼女の愛液が俺自身を包み込む。美沙の奥が俺を抱きしめるように収縮して、危うくもっていかれそうになったが、俺は歯を食いしばって耐えた。
「あ……ぁ……」
恍惚とした表情で美沙は俺にしがみついた。
美沙の恥部と俺自身の隙間から漏れ出た愛液が俺の股を滑り落ち、シーツまで流れていった。
「美沙……」
「たくろう……?」
美沙を抱きしめたまま、上体を起こす。
そのまま、今度は美沙の背中をベッドの上へ押し倒した。
「美沙……!」
俺は美沙の中に挿し込んだままのペニスを激しく律動させた。
「たくろう⁉︎ ま、まだ……敏感になってるから! あぁ!」
美沙の吐息をくちづけで塞ぐ。
舌で口内を犯し、右手で乳房を揉みしだきながら、深く速く、凶暴な欲望を美沙の中へ何度もうちつける。
我慢できなかった。
美沙の全部が欲しかった。
「美沙……美沙……!」
「たくろう! あ! あッ!」
喘ぎ声に合わせて、俺と美沙の視線がせつなく絡む。
どうしても、この距離で、顔を見ながら伝えたかった。
「美沙」
「たくろう?」
まっすぐ美沙を見つめながら、一年前、八十八町駅のホームで美沙が俺にささやいた言葉を、俺は返した。
「愛してる」
刹那──。
美沙の奥がビクンと跳ねた。
「私も……愛してる」
あぁ、ほら。また泣く。
俺の視界まで歪んだが、美沙は両手を俺の頬にあててそれを拭ってくれた。
「ん……」
「美沙……」
深いキスで、お互いを確かめ合う。
「きて……たくろう」
「あぁ……」
美沙が大きく両脚を開いて、俺は彼女の膝の裏に両手を通した。
斜め上から、激しくピストンを繰り返す。
「あっ! あッ!」
「はぁ……はぁ……!」
二人の中心は、泡のようになった愛液で白くまみれていた。
「たくろうっ! たくろうぉッ!」
「美沙ッ! 美沙ッ!」
限界が近い。
俺の全部を、美沙の奥深くにぶちまけ、注ぎ込みたい。
「イクよ、美沙……!」
「いいよ、たくろう! 出して……いっぱい、出して!」
獣のように激しい往復だった。
快楽と幸福が絶頂に達し、美沙が俺に向かって泣きながらほほえんだ。
瞬間──。
俺は射精した。
「……ッ!」
ビュッ! ビュルッ! ドピュッ!
「あ……たくろう……」
「美沙……」
射精し、射精し、射精した。
とてつもない量の精液が、美沙の最奥に溢れているのがわかる。
「は……ん……」
「く……ぁ……」
「……いっぱい、出たね」
「ごめん……」
美沙がうれしそうに首を横に振る。
美沙が帰ってくるまでのこの一ヶ月、ほとんど禁欲生活に近かったのだ。
困ったことに、これだけ出しておいてなお、俺の先端は固く勃起したままだった。
「すごい、たくろう」
「ホントに、ごめん……」
我ながら節操がない。
ペニスを引き抜いた後、美沙の恥部から大量の精液と彼女の愛液が溢れて滴り、シーツを汚した。
美沙はそれを気にも止めず、俺に向かって右手を伸ばした。
「きて、たくろう」
「え?」
「口できれいにしてあげる」
俺は美沙の顔のあたりに移動すると、シックスナインをする時のように彼女の頭の上に回り込んだ。
片膝をつき、ペニスを顔の前に差し出す。美沙は顎を上向きにして、その先端をうっとりとした表情で口の中へ迎え入れた。
「う……ぉ……!」
さっき放出したばかりで、フェラチオの刺激がいつもより倍に感じられる。
き、気持ちよすぎる……!
「お、ぉ……!」
「ん……ちゅ……たくろう」
射精感はあっという間に込み上げてきた。
「おおおっ!!」
「んぐんぐんぐんぐ……」
「おおおっ!!」
「んぐんぐんぐんぐ……」
「おおおっ!!」
「んぐんぐんぐんぐ……」
「も、もう駄目だぁっ!!」
「いいのよ、このまま出して……」
腰を前に突き出して、俺は美沙の口内に勢いよく射精した。
「あ……!」
どぴゅぴゅぴゅぴゅっ!!
「ん……んん……」
どぴゅっ! どぴゅっ……!
「ん……ん、ん……」
美沙の口からペニスを引き抜く。
俺の精子を飲み下した後、美沙は見せつけるように空になった口を開いた。
「はぁ……はぁ……」
「このままもう一度してあげる……」
「美沙って、上手だよなぁ……どこで覚えたの?」
「馬鹿……たくろうが教えてくれたんじゃない」
「もっと、すごい事教えてあげようか?」
「もう……」
まんざらでもなさそうに、美沙が俺を見上げてくる。
「……教えて」
その後、座った状態で美沙に横から咥えてもらい、俺は四つん這いになった彼女の秘部を指先で愛撫した。
美沙がイッたタイミングで、俺も口内に射精する。
それから俺が美沙の股の間へ移動すると、美沙はまた両脚を開いた。
美沙の体を横へ向け、左足を肩へ担ぐ。
「いい、美沙?」
「うん。もっと、してほしい……」
潤んだ瞳で俺を見つめる美沙の中心に、俺はもう一度、なおも屹立したままの俺自身をゆっくりと挿入した。
これまでの時間を取り戻すように、俺と美沙は交わり続けた。
身も心も。
二人同じ気持ちで──。
ほっぺたのあたりがくすぐったくて、俺は目を覚ました。
「たくろう……」
先に起きていたらしい、美沙が俺の頬をなでている。
朝起きて、美沙が隣にいることの心地良さにまどろむ。
起きているのか寝ぼけているのか、俺は薄く目を開けたまま微動だにしなかった。
美沙はしばらく俺の頬をなでた後、左手を窓から差し込む朝日にかざして眺めていた。
前のめりすぎただろうか。嫌がられていないかと今頃不安になる。
「ふふ……」
美沙はいろんな角度から指輪を眺めては、うれしそうにほほえみをもらしていた。
ツンツン、と彼女のお尻のあたりをつつく。
「おはよ、美沙」
「起きた、たくろう?」
美沙は変な表情でにやけていたが、また殴られそうなので言わないでおくことにした。
「朝ご飯、どうする?」
昨夜は二人共盛り上がってがんばりすぎてしまった。
時計を見ると、すでに十時を回っている。
「さっき見たけど、冷蔵庫に何もないじゃない」
「しょうがないだろ。ホントは昨日一緒に買い出ししてから帰ってくるつもりだったんだから」
「デートついでに食べに行こうか?」
「そうだな……」
頷く俺の手がすでに美沙のおっぱいを揉みしだいていて、美沙は呆れた顔で俺を睨めつけた。
「たくろう……あんたねぇ、昨日あんなにしたのにまだ元気なの?」
「だって、朝日に照らされた美沙の裸、きれいなんだもん」
むくむくと下の方が元気になる。
「もう……しょうがないなぁ」
美沙はため息をひとつついた後、けれど頬をピンクに染めながら、横になったままの俺の乳首へちろちろと舌を這わせた。
目が合って、笑顔を交わす。
美沙は俺の下腹部へ移動すると、四つん這いになりながら俺の先端を口に含んだ。