屋上から逃げ出して、ひたすら走る。
階段を数段残して飛び降り、覚束ない足取りで廊下を走る。
錦戸たちに追いつかれないかハラハラして、全身に緊張が走る。女の身体に慣れていない為、男のときと比べれば走る速度が遅く、焦りが募る。
とにかく隠れられる場所をと、女子トイレに駆け込んだ。
個室に飛び込んで様子を伺う。流石に錦戸たちも女子トイレに堂々と入ってくることはないだろう。
走った後の為、激しい息切れで喘ぐ。動悸が収まるように呼吸を整えつつ、錦戸たちが入ってこないか音を頼りに警戒する。自分の呼吸で周りの音が聞こえにくいのがもどかしい。苦しく喘ぐ胸を必死で手で抑えて静まるのを待っていた。自分の息遣いが外に聞こえないか不安だった。
何分経っただろうか? 流石にもう追いついているはずの時間は経過している。
錦戸たちが上から覗いて居ないだろうかと、上を確認したり、またそっと個室のドアを開けて、外の様子を伺ってみる。
錦戸たちの姿は見当たらない。こっそり隠れているようにも思えなかった。
便座に座って、ほっと一息つく。
本当に危なかった。危うく錦戸に処女を奪われるところだった。元男ではあるが、せっかく女になったのだから、処女は大切にしたかった。好きでも何でもない男に乱暴されて奪われるなんて屈辱だ。
そっと股間に手を伸ばして、触られたところを確認する。傷がついていないか? 出血などしていないかと心配になったからだ。痕が残ったりしたら嫌だったし、傷を見るたびに思い出す様な事はしたくなかったからだ。
乱暴にいじられたクリトリスは、少し腫れているのか、触ると凄く刺激があった。指で触れた瞬間にびくんっと身体が跳ねる。痛みはなかったが、何とも言えない快感が走った。
ここ一ヶ月の間、自分でもいじったりしていたからこの快感は初めての経験ではない。しかし、その時は、ここまで敏感に感じた事はなかった。今感じた快感はその数倍はあった。やっぱり他人に触られるとこんなにも感じてしまうものなのだろうか? これはただ単に触れた刺激で気持ちいいのではないと思う。明らかに僕の気持ちが快感以上に興奮しているのだ。
男に無理やりいじられて乱暴されているさっきの状況を思い浮かべながら自分の指を動かす。すると刺激が増して、快感と興奮が高まっていくのを感じた。あまりの気持ちよさに、自分の手を止める事が出来ずに、無心でいじり続ける。より気持ちいい場所を求めて指が自然に動く。そして気持ちいい場所を見つけ、そこを集中的にこねる。それだけでは足りずに、ブラウスのボタンを乱暴に開けて、自分の手をブラの中に滑り込ませる。男のごつい手を想像しながら、指を既に固くなっている乳頭に触れる。
びびんっという刺激が胸から身体の脇を通り股間へと響く。
さっき、あのまま続けられていたら、こんなふうにされていたんだと思うと、興奮が増した。
乱暴に乳首を捏ねくり回す。
「ふっ、あ、ん、っくぅぅぅ」
声が堪えきれずに漏れた。
左手で右の胸を、右手でクリトリスを無心でいじり続ける。
男の手で触られている事を想像して、乱暴に、いやらしく触る。身体に感じる快感に合わせて、身体がくねくねと勝手に悶え始める。
「ああ、ぁ、あふぅ、あふん、あ、ん」
喘ぎ声が漏れる。僕の声が、女の子の喘ぎ声で聞こえる。それがまた興奮を増長していく。
乳首をこね、押しつぶしたり、摘んだり、引っ張ったりして感じるところを探す。乳輪の周りを指でなぞって刺激を与える。
段々と激しく、荒く、大きく手が動く。それに合わせて身体も激しく悶え始めた。下腹部が熱くなりそこを中心として身体全身に快感が伝わっていく。
そしてとうとう、身体全体が快感で震える。上体が前後にびくんびくんと跳ね上がる。男の時とは違い、身体全体から快感が放出される。意識がその放出と一緒に何処かへ飛んで行ってしまったのか頭の中が真っ白になった。
「あ、っっっああああああぁぁあ」
自分の意志とは無関係に絶叫する。まるで真っ白な空間で時間が止まった様に感じた。
しばらくすると足がびくびくと痙攣して意識が戻ってきた。
口が開けっ放しになっており、涎が垂れていた。慌てて手で拭う。
呼吸がまだ落ち着かなかった。
やってしまった。気持ちよさに負けて、逝くまでやってしまった。何か凄く悪い事をしたような、取り返しのつかないことをしたような気になった。
冷静さが戻ってくると、自分が女として、男に犯される事を想像して自慰をした事に動揺する。なんでそんな事を僕はしてしまったのだろうか。
そっと個室のドアを開けて周囲の様子を伺う。今度は錦戸たちを警戒してだけではない。逝くときに絶叫してしまったので、誰かに聞かれていないか気になったからだった。
特に誰かが様子を見に来るような感じはなかった。
急いで股間をトイレットペーパーで拭き取り、ショーツを履き直して、ブラとブラウスを整える。
長いは無用だった。早く此処を出るに越したことはない。
廊下の様子を見て誰も居ないことを確認して、外へ出る。
そしてそのまま、何喰わぬ顔で教室に戻った。