性夜っすねェ~~~
「おっはよ~!よく眠れた?朝だよ~!!!」
「お、はよ……、も、そんな時間……?」
あたしが地下に放り込まれて、10日。
「睡眠不足で肌がっさがさじゃん、そんなだからクロム取られたんだぞ?」
「お前が、寝かせて、くれないから……でしょ……。そのテンション、やめろ……頭に、響く。」
―――あたしが寝そうになる度ムリヤリ叩き起こされ続けて、1週間。
最初の三日間は思いつくままにリョナ同人の再現をされた。
角材を胎に打ち込んでムリヤリ引き摺り出したり、焼鏝を雑に押し付けられたり、死なないギリギリまで内臓を潰してみたり、食道まで押し込んだ布を勢いよく引き抜かれたり。
過去……いや、未来?で結構実験してたらしい。
治癒の杖と合わせて、どこまでヤッても死なないかキッチリ把握している。そもそも死んだところで蘇生もできる。
愉しそうに笑ってたアタシだったけど、壊して治しての繰り返しはすぐに飽きたらしい。
あたしが痛みに慣れてきて、拷問中に寝落ちしかかってたのも悪かった。
『そうだ、世界記録に挑戦しよう。』
……方向性を変えてから、責め苦は緩くなった。
「ただ寝かせてもらえない」なんて楽かも。
そう思ったんだけど、ちょっと甘かった。
「あたしがテンション低いからテンション高くしてあげてんのに!負け犬になると性根も暗くなるの?」
キンキンと頭に響く、女の声。
あたしの全身を齧っていた蟲が離れていく。その一瞬で意識を手放しそうになるけど、もちろん許してもらえない。
「は~い、次は気持ちよくなる番だね~、嬉しいね~?」
ここからは一切痛みを伴わないで性感のみを与えられる時間。
痛みで冴えわたっている肉体は、淫虫が身体を登ってくる感覚だけで快楽を拾う。
「ひぅ……ッ♡ほんと、サイテー……!あっ♡ん、ぅ……♡」
「ホント人体って面白いよね、継続的な刺激には慣れても、別の刺激に切り替えたらまた最初っから!
杖とかいうガバマン対策にうってつけのアイテムもあるし、剣と魔法の世界最高!」
およそ性感帯と言われる場所は全てこのクソ女に開発された。
『こうされたら気持ちよかったんだぁ!』なんて自慢しながら、開発されるの、惨めだったなぁ。
「一回もクロムに抱いてもらえないまま、全身開発されちゃってさ……今どんな気持ち?クロム絶対ドン引きだけど、今どんな気持ち?」
「そ、れ……最高、じゃん…!ンッ♡クロムに、身体、疼いて、とまらないの、みないで……って言って、きっとひどい顔、してくれ、んぐぅっ♡♡」
話してる途中に、不意打ちで乳首を抓りあげられて不覚にもイッてしまった。
「うわっ……これだけでイクの?我ながらざっこ……」
「クロムの顔、想像したらあッ!気持ちよくも、なるでしょっ、んあっ、またイッちゃうっ♡クロムぅッ♡」
ちょっと嘘。さっきのは普通に乳首抓られただけでイッた。
でも、馬鹿正直に言うのは癪だったのでクロムのせいにしちゃった。ごめんねクロム、二回目はクロムでイッたから許してね♡
クロムのことを考えるだけで、気持ちよくなれるのは本当。
あたしの姿を見て、絶望してくれるかもなんて、考えただけで脳イキできる。
―――だけど、今まではクロムの顔なんてすぐ思い出せたのに、難しくなってきてる。
多分、睡眠不足のせいだ。根性論じゃなくて物理的に限界が近いんだ。きっとそう。
「親友だと思ってた半身に全裸土下座でハメ乞いされるクロム、確かに見たい……うーん、どうしよ。アタシがやろっかなぁ……」
「あんたにぃ、譲るワケっ、ないじゃん、ん、ひぅ♡」
「はー……蟲ごときでそれだけ喘げるなら、クロムじゃなくてもいいでしょ?
自警団のみんななら誰でも助けてくれるわよ。なんならそこらのモブでも引っ掛けてきたら?」
クロムじゃなくても。その言葉は聞き捨てならない。
「やだ、ぁ、クロムが、いいっ♡クロムにやってほしいのっ♡」
「そのチャンスを不意にしたのは自分でしょうに……。あー不快だわ。アタシもう行くから。また明日ね~」
「えっ、ちょっと、待って!?やだ、このまま一日『こっち』は嫌!」
クロムじゃないと嫌だ。これは本当のキモチ。
だからこそ、快楽だけを与えてくるこの時間はいやだ。
―――クロムと、結婚したかった。親友とか半身じゃなくて、『女』として愛してもらいたかった。
クロムならきっと痛くしないだろうなって、優しく抱いてくれるだろうなって。そう思っていた。
今あたしを気持ちよくしているのは、クロムじゃない。
だって、クロムと結婚したのはあたしじゃないから。
自分の惨めさが、何よりも痛くて、つらい、な。
…………たすけて、クロム。