その日の朝のことだ。
ゼム=ガルテナーハは、目の前の汚れた服をまとう男から手紙を受け取った。つい今しがたやって来た者だ。手紙というより紙の束である。何十ページもあった。
その1枚1枚に、黒い墨で鳥の印が押されてあった。嘴が下に向いて曲がっている。この地方の伝説にあるメラク鳥である。
この印は今、ある人物しか使えないことになっている。南の大陸の勇者・バーフレアだ。この手紙は本人が書いた重ものだった。この手紙を書いた当時の、中央大陸での事細かな戦況を記してあった。
「……押してはいるが魔光王の底力は断然上。表面を削った程度に過ぎない、ということだな?」
魔光王は多くの民衆を、恐怖と不思議な魅力とで従わせている。洗脳ともいうべき教育を施してもいたりと。『メティオック=ブレイブ』の末裔の1人という威光も利用してだ。
「そうさ。中央大陸の大衆は……豚だ。ベイオルブに不満があるくせに立ち上がろうとしない。怯えながらも息子を軍に送り、娘を慰安婦にさせる。俺達や骸兵団、いや、バーフレアさんがどんなに頑張ってもな。食料や武器だって、タダとは言わないが安値で売ってもくれない。値を吊り上げたりするんだ」
その男は空賊だった。単なる下っ端ではなく幹部のうちの1人だ。ほうれい線が目立つが端正な造りの面を向けたゼムは、薄く微笑んで体臭がにおう男の肩を抱いてやった。
「遠路はるばるこの手紙を運んでくれて感謝しているよ。必ずガルテナーハの本家に伝えよう。このルデアの街の長にも渡るだろう。少ないだろうが、軍資金や援助物資も送ってくれるように働きかけておこう」
ゼムがいるルデアの街は、南の大陸の東側最北端にある貿易都市だ。ここはまだ魔光王の手が伸びていない。この地方は各都市の統治がしっかりとしていて、付け入る隙が無いからだ。
「遠い旅で疲れただろう。風呂を用意してある。ゆっくりと漬かって休むといい」
「ありがてえ。ゼムさんは思いやりが深い人だ。商人なのに珍しいよ」
「いや、もともとは薄情者だよ、私は。ものをたくさん売る為につけた義理や情だ。狡猾と評してもかまわんよ」
嫌味を感じさせない笑顔を向け、ゼムは召使いにその男と随伴の男たちを沐浴場に案内させた。
廊下の窓からは、朝日に照らされるルデアの港町が広がっていた。この街は朝や昼は静かだ。夕方から賑わいだす。南の大陸の真昼は、人を殺す光が照っていると聞いた空賊達は、このあたりもそうなのかと召使に尋ねた。
「ここはまだ穏やかな方です。日にあたっても肌が火膨れすることはありません」
しかし夕方まで蒸し暑いので、漁民を除く大抵の住民は家に籠もっていることが多い。この街は夕方から活発になりだす。
「ですが、南西の草原地帯は、中央大陸よりも空気が涼しいと言われておりますが、陽の光が厳しすぎる。ガルテナーハ御一門の好敵手たる、デュライご一家がおられるところですよ」
南の勇者・バーフレアの出生地でもある。そしてデュライの当主はとんでもなく優れた才を持つ、幼き術法の使い手を婿にしたと聞いたことがある、と召使は言った。
「そうかい。その若き天才の名は?」
「デイリタ、という名前だそうで。まだ12ですがデュライ殿の次女様との間に、子を為したようで」
「南の大陸の者は気が早い。まあしかし、俺も14で父親になったよ。それから11人の子の父親だぜ」
この空賊は汚れたいかつい顔とヒゲで老けて見えていたが、まだ30にもなっていなかった。他の男たちも皆が20歳になっていなかったが、1人や2人の子の親である。
空賊になる者は大抵、親になるのが早い。何故なら死ぬ可能性が高いからだ。飛龍や怪鳥に乗って空を駆る彼らは、不慮の事故で死ぬことが多かった。
沐浴場の入口の前で、屋敷の召使は「ここで待っております」と告げて入るのを促した。空賊達が扉を開くと、湯浴み用の薄衣をまとった5人の若い娘が膝を付けて待っていた。
「……あんたたちは?」
右端にいた、大きい乳房をたゆんとさせていた者が答える。湯浴みから寝床の添い寝まで、あるじ様に仰せつかっておりまする。
空賊らはつばを飲み込んだ。どの娘も美しい。顔のつくりがはっきりしている、南の美人は魅力的だ。
その中でも取り立てて、真ん中にいる背の低い娘が一段と際立っていた。胸こそ無いが、顔立ちといい身体のバランスといい、違和感なく作られていると人に思わせる均整さがある。
しかしその娘を見て、空賊の幹部が目を疑った。若すぎる。いや、幼いにも程があった。まだ11か12ぐらいだろうに。
「……真ん中のお嬢ちゃんは、出ていってくれねえか?」
娘のうち、彼女の左隣りにいた、一番年嵩の娘が言った。
「わたくしたちはガルテナーハ様の真心、そのものでございますよ」
「ここにいる皆すべてが、魔光王の追ってをかいくぐりながら、遠路はるばる来られた皆様への、せめてもの心尽くしが我らでございます。おいそれと下がるわけにはいきませぬ。もし1人でも引き下がれば、だんな様はきっと、お悲しみになられることでしょう」
空賊達は互いに目を見合った。どうしようか。幹部の男が仕方ない、と言って服を脱ぎだした。彼にはこの女たちの中で一番胸が大きな娘が付き添った。他の男たちも彼に続いた。
まずは洗体台にうつぶせになって寝そべり、娘の手で垢をこそいでもらうこととなった。幹部の男は娘の身を任せた。
湯をかけられ、肩から足の裏までまんべんなく熱した石鹸水をかけられる。この先は大抵、干したへちまかブラシでこすりあげられるのだが、そうでは無かった。
「……おい?」
右を見ればいたはずの女いない。上に柔らかくて重いものがのしかかって来た。彼の相手の娘だ。彼女は彼の背中に大きな乳房を押し付け、上下に動き出す。悪くはない感覚だった。
娘の吐息を耳にする。そのうちに血が集まりだしていた陰茎に手が伸びてきた。娘は石鹸でぬめった手でそれをさする。皮がめくれると亀頭を撫で始めた。
「こいつは、あまりやらんでいい。垢だけこそいでくれれば」
「もっと、心を尽くさせてくださいませ?」
「……勝手にしろ」
吐き捨ててやったが悪い気はしない。むしろ身体が嬉しくてたまらない。南の大陸の女は中央の大陸の女より気が強い、と言われているが、こうしたことになると積極的だ、と彼は聞いたことがあった。
乳房で背中を撫でられ、細い指で優しくされているうちに高まりがきつくなり、腰が浮いてしまった。彼の呼吸が荒くなり、娘の手の中で精を放ってしまった。
「ふふ。尻穴が嬉しそうに、ひくひくと動いておりますわ」
「そ、そうか。すっきりしたからもう十分だ……」
精を放っても男根は
「お……」
肛門がなんだか熱さを感じる。それから会陰を伝って、陰嚢に重い快感を覚えた。女は指を引っこ抜き、自分の身体につた石鹸水で窄まりをぬぐった後、乳房を寄せ、ついていたぬめりを舐め取って口に含み、彼の肛門に口をつけた。
「おおう……おおお……」
シワ穴の奥にある、敏感な粘膜を舌でくすぐっていた。やり馴れたアニリングスに身悶えする。女が口で尻穴を愛でる行いを受けるのは、今日が初めてだった。こんなにも素晴らしいとは。
(ゼム=ガルテナーハは、こんなにも淫らな侍女を抱えているのか!)
これが、平和な大陸というものか。これほどまで心を狂わせる行いは、中央大陸では決して味わえなかった。
抑圧され、疲れ切った下々の者の男女の交わり方は、挿れて放つだけ。生殖さえすればいいという、きわめてぞんざいな行為だった。それしか知らなかった。彼自身も。
ただ、この高ぶり方はこの娘の愛の技術だけでは無かった。石鹸水に媚薬が混ぜられていたのだ。淫蕩なことで名高いゼム=ガルテナーハが作り出した、色街用の石鹸水である。
アヌスへの愛撫を受けながらの手でのしごきで、この男はまたも放ってしまった。それでも陰茎は抑えがきかなかった。猛り狂うそれは女を欲していた。つい、口に出してしまう。
「おさまりきらねえ……頼むよ」
娘は艶然と微笑んだ。男は娘に脚を広げて寝てもらうように頼んだ。大きな乳房が天井を向くと、彼はそれに顔をつけながら股の奥に入り込んだ。
ぬちゅりと音が立つ。潤いのある温かみが奥に進むものを撫でて喜ばせる。娘が心地よさげなため息をついて男の背に手を回すと、彼は力強く動き始めた。
「おおっ。あったけえ……たまんねえよ……」
久しぶりに味わう、女の股の奥の感触だ。限界まで膨張したそれで小陰唇をたわませる行いに、彼は夢中になる。もっと、もっと、と相手がせがむのをいいことに、その中に3度も4度も放ってしまった。
それでようやく落ち着きを取り戻して周囲を見る。部下達もあてがわれた娘に夢中になった。しかしその中でもひときわ、肉の交わりに狂っている様子のがいる。あの一番背が低くて幼い娘だった。
相手の上に乗り、小さな身体を揺らしながら彼女は叫んでいた。
「あっ! も、もっと乱暴にしてっ! このままじゃ、気が狂いそうっ!」
相手の若者は彼女の腰をしっかりと抱え、台をガタガタと鳴らしながら激しく突き上げていた。
「いーようっ! いいいっ!」
そう叫んだ後に娘の身体がのけぞった。薄い胸とややぽっこりとした腹が激しく上下していた。乱れ方と喘ぎ方をみれば、相手を喜ばせるための演技とは到底思えなかった。
心から愉しんでいる。彼女は絶頂の余韻に耽っているのを待ってくれていた相手のために、形の良い尻をゆっくりと動かし始める。
2人の性器が交わるところは、精液が水たまりをつくっていた。他の者達が疲れた身体を休ませる為、相手の娘を伴って湯に浸かっても、その2人の交合は続いていた。
「……あの娘、とんでもなく激しいな?」
小さな体がまだ激しく揺れるのを眺めながら、幹部は相手を努めた娘に尋ねた。あれは誰だ?
「お名前まではお伝えできませぬ。決まりですので」
「そうかよ。でも、この家の侍女や召使いなんだろ、あいつは?」
「いいえ。もっと大切になされておられますわ。あるじ様の秘蔵っ子、ですの」
こうした心尽くしや貴人への饗応で、必ず役を頼まれる。指折りの美少女で、とんでもなく淫蕩だからだ。
「それと、口や手での行いや、あちらの具合もたいへん評判でして……」
彼女を抱いた男は、その甘美な時を二度と忘れないという。同じ年頃の娘がいるのに、幹部は興味を持ってしまった。この港町への滞在は、荷船への物資の詰め込みが終わる、半月先まで続くことになっている。
そうして次の日、彼は付き添いの娘が言ったことを確かめる機会ができた。その娘は素肌が透けて見える、薄布の下着姿で彼の部屋に現れた。午睡の添い寝掛係りとしてだ。
近づいてきた。間近で見ると、普通とは違う美貌の持ち主だとわかった。汗ばんだ小さな体が放つ甘い匂いは、征服欲と独占欲をかきたてた。
「相手をしてくれ」
男根を見せつけると、娘はそれを咥え込む。よく仕込まれた舌使いだった。娼婦をしていたのかと尋ねると、違う、と言われた。
「たくさんの男の人として、仕込まれたの」
「無理やりにか?」
「ちがう。元からいやらしい子だからから」
性に興味があり過ぎで、淫乱に片足を突っ込んだ子どもだったというわけか。そういう子どもは中央大陸でもたまに見かけた。彼自身、10代の頃にそういう娘の世話になったこともある。
「あたし、こういうことをしたいの。」
朝昼晩、毎日したい。娘の口と指の遣い方を考えれば、本当のことなのだろう。
「しないと、気が狂っちゃう……」
フェラチオをやめさせた。自分の腕の中に抱え、どれほどのものかを確かめた。細いのにとても柔らかい。肌はもっと良かった。
寝台に寝かせて股を広げさせる。指でかきわけて確かめた。周りが黒ずんでいる。酷使しているせいか、形が醜く崩れていた。しかし、発情のにおいを放つそれは、挿して胤を仕込みたいと思う魅力があった。
彼は欲望の赴くままに抱き込んだ。幼い少女のものにしてはひどく使いまわされた外見の女性器だったが、締りと起伏は男根を必ず喜ばせて惑わせる、素晴らしいつくりをしていた。
覆いかぶさって喘がせる。それが2時間も3時間も続いた。子宮に精液を限界まで飲み込んで、娘はやっと落ち着いた。空賊の幹部にしなだれかかって笑みをみせた。疲れ切っているのが伺えたが、満足しているようだった。
「幼いのにすげえな……持って帰りてえぐれえだ」
腹を上下させ、股から精液を押し出して笑みを浮かる少女に言った。
「名前だけ教えてくれねえか?」
「……エムラ」
そう告げた後、彼女は重い身体をゆっくりと起こした。
「もう、行かなくちゃ」
「どこにだ? もう少し休んどけ」
「あるじさまを起こしに行くの……あるじじゃなくて、本当はだんな様だけど」
彼女は、ゼム=ガルテナーハの妾でもあった。