枕を高くして頭を持ち上げ、寝台に横たわっていたゼムは呟いた。
「ははは。良い眺めだ」
視線の先にはエムラの尻がある。白くて小ぶりだが、臀部はしっかりと肉をつけている。出産して骨盤が広がれば、男を魅了する豊満となるだろう。
尻は大きく、ゆっくりと動いていた。使い込まれて周囲が黒々となり、形状が
彼はエムラの両足のかかとをさする。くすぐったがりのこの娘はふくらはぎを揺らした。やめて、とは言わなかった。己の下腹を占めている快楽のせいで言葉を失い、うめくことしかできなかったのだ。
「いつ見てもみっともない。まだ子供だというのに、お前の尻の穴は年増の娼婦の様だ」
肛門も周囲が崩れていた。彼女はこちらの穴でも男達と乱交を繰り返した。それと、便所での排便の後に指を2本も3本も突き込み、指を糞まみれにしながらの自慰を繰り返していた。
みっともなく広がってしまったそれは、動くたびに、にゅぱっ、きゅう、にゅぱっ、と開け締めを繰り返している。
「おあ……あっ。おっ、おっ、おおおおっ……」
顔は見えなかったがエムラの表情はとろけきっていた。ゼムはこの幼い側室には毎日起き掛けに、このようにして起こさせるようしつけてある。妾達の中で、膣の具合が一番良いからだ。
この娘はまだ子どもだが、愛撫の技術と下半身は仕上がっていた。嫁入りした時から既にこうだった。数えきれないほどの交合を経験しないと至れぬ、ほぐれ具合と濡れっぷりが、この娘の臍の下にはあった。
「んあっ! あっ! あっ! あっ!」
前のめりになり、ぐちゅっ、ぐちゅっ、と音を立てる彼女の会陰は、砦に籠もっていたのを魔物に襲われ、なぶられてから下半身の抑えが効かなくなった。
気が狂ってしまい、寝床でも便所でも自慰を続けた。食べるのもそっちのけで、朝から晩まで己の会陰をさすり、呻き声をあげ続けた。
でもそれではこらえきれなかった。7歳の終わりにこっそりと街に繰り出し、男に抱かれた。それから毎日、この家に嫁に入るまで知らぬ顔の下々の男達に、尻を向け情をせびった。
肉の竿で奥までほじくられると、心と身体が『飛ぶ』そうだ。彼女の肉体はそれほどまでに感じやすく、淫らなことをしたくてたまらぬ、交合する為の道具と化していたのだ。
事実、彼女は涙を流し、口からよだれをこぼしていた。熱い身体と呼吸は、何度も絶頂に至った証であった。
「はあっ……はあーっ……」
「エムラ、尻が止まっている。動かせ!」
ゼムは小さな尻を何度も打擲した。そのたびエムラは「あひいっ!」と叫んでのけ反った。尻が動き出し、射精に向けて硬度を増していた陰茎の先を奥に衝かせて悶え狂った。
エムラは燃え上がる欲情の赴くまま、腿を上下に早く動かした。そしてゼムがうめいて、先端から精を押し出すと、彼女はそれが奥を当てる感覚を覚えつつ、もう一度絶頂に至る為に腰を動かし続けた。
交合が終わった。ゼムは自分の肉茎を膣に咥え込ませたまま、右足の親指をしゃぶるエムラの身体を、蹴って退けた。
「エムラ、しゃぶるのはそっちではないだろう?」
「は……はい……」
立ち上がったゼムの腰にしがみつく。だらんと垂れた陰茎に舌を這わせ、付着していた粘液をこそぎとりだした。
「おお……いいぞ……」
口遣いも申し分ない。ただ、下腹の奥の欲求を満たすだけでなく、相手の男を悦ばせる術もエムラは学んでいた。
悦を与えてくれたそれを美味しそうにしゃぶり、頬張る姿からはもう、デュライの家の秘術を会得しようとする、自信家で真面目で高慢な少女の姿は、もう見いだせなかった。
「エムラ、しゃぶりながら聞け」
亀頭にむしゃぶりつく幼い妾の、淫蕩な目つきをにらんで言う。
「お前はずっと、あの空賊の方々に従え。世界を救わんとなされる義士である。お前の情けない『女』でもって献身しろ」
咥えながら、こくりとうなずくのを見た。しばらく、この毎日のおつとめをしなくていい、とゼムは伝えた。
彼はこの娘に飽いていた。嫌に思ってもいた。淫蕩で具合の良い身体ではあるが、求め方が激し過ぎた。赦すと気を失うまで交わろうとする。若々しい美男子とはいえ、もう50に近い。この娘の好きにさせると、数日は身体の疲れを覚えてしまうほどだった。
エムラは滞在する空賊達が港を出るまで、その淫乱さを与え続けた。数日もすれば彼等全員から可愛がられるようになった。その様子を見たゼムはほくそ笑んだ。
(空賊達はいずれ、バーフレア殿と共に魔光王を倒し、英雄となられるであろう。その未来の為にもエムラを用いねば。)
(あの中の誰かと子を為してくれたら、良い絆を結べるだろうな。あの娘はそれしか役に立たん。)
あの幹部の妾にでもしてもらえれば好都合なのだが。しかしそうなると、デュライ本家はどう出るか。そう思ったが杞憂だと断じた。
(何故ならデュライは、厄介払いをしたわけだからな。ふん、あんな淫乱でも息女としての価値があるなら、それこそ、デイリタという小僧の妻にすれば良かったものを。阿呆だ。)
出航の日、エムラの姿が館から消えた。彼女は自分に魅了されていた空賊達に頼み、中央大陸へ向かう荷船に乗り込んでいたのだ。
それから胎には命が芽生えていた。ゼムではなく、空賊の誰かが父親だった。
しかしその船は空賊たちの隠れ湊にたどり着くことは無かった。航海の途中、時化で1隻だけ航路を外れたそれは、巡航中だった魔光王の警備艦隊に拿捕されてしまったのだ。
□ □ □ □ □
彼は子供達を抱きあげた。嫌がる長女と喜んで甘える次女。長女は泣き出してリアザに引き取られてしまった。年上の妻が少しだけ怒った素振りを見せると、彼は屈託の無い笑みを浮かべた。
「中央大陸では戦乱が続いているというのに、僕は幸せ者だよ。リアザと子供達と……これから生まれる赤ちゃんに囲まれている」
ここ5年、デュライの家は平穏だった。魔光王の手の者と思われる盗賊や野良の幾度かの戦いはあったが、砦の時の様な激戦は無かった。
その中でだが、デリタはデュライの入り婿として、数々の戦いで名を上げた。若き英才として近隣に知られている。賊の中には魔物を使役するのもいた。
けれどもデリタは、『磨丸』などの術法とは違う、別種の力で難なく倒して来た。魔物を思い出し、心の中の『前世の己』がつぶやく。
(むしろ、やりがいを感じられない相手ばかりだったのだがな……。)
魔物はどれも、前世で習得した魔を斬る剣の術で一閃だった。あの砦の淫獣の様な恐ろしさは感じられなかった。敵も魔光王の配下だという、あの術法師とは比べ物にならない小物ばかりだった。油断はしなかったが。
弱い敵とばかり戦い、美しいリアザと愛を貪って子を為し、ぬるま湯につかる今の自分では、勝てないだろうと恐れている。鍛錬は続けていたが、魔光王の配下となると情報が入って来ない。恐ればかりが巡って来る。
「どうしたの?」
一瞬だけ、デリタの表情が険しくなったのを見たリアザが尋ねた。
「どうもしないよ。ただ、中央大陸のことが気になったんだ。あと、エムラお嬢様のことも」
「エムラは貴方の義妹よ。様をつけるのはやめて。あの子はあの子なりに、ゼム=ガルテナーハのところで幸せに暮らしているはずよ?」
嫁に送り出されてからまだ一度も顔を合せていなかったが、ゼムからの手紙にエムラのことは書かれていた。元気に過ごしている。もうそろそろ子を産むのに適した歳になるから、子供が産まれるかもしれない。
ただ、中央大陸についてはリアザも不安を覚えていた。魔光王に抗う勢力と手を組んだ南の勇者は、いまだ北の聖者と会えていない。空賊の幹部が何人か死んだとも聞いた。
それと、魔光王も勢力を盛り返しているらしい。南の大陸でも、ベイオルブに従う賊も減っていなかった。噂によれば、北部の沿岸のいくつかの港町が、侵攻があった時の密約を結んでいると聞いている。
「きっと、バーフレア様がなんとかしてくれるわ」
「だといいのだけど……」
かすかにあった悪い予感が的中した。4日後、ガルテナーハからの急使が、デュライ本家の館に飛び込んで来た。
「ベイオルブの軍勢に、ルデアの街を落とされました!」
三元帥の1人、アルルーマが率いる大艦隊によって陥落した。その知らせを聞いてデュライの当主とデリタは驚愕した。
「西の海域は空賊が制していたのに、なぜだ?」
「空賊の御大将、ルッツ=ウォージリス様がお討たれになられた後、あの海域の制空権を奪われた様子!」
ルッツ=ウォージリスはゼム=ガルテナーハの手を借りて、南部大陸の物資や戦士を援助してもらっていた。3年前、バーフレアの親書を持って訪れてから続いていた。まだ30と少しの歳だった、13人の子だくさんとも当主は伝え聞いている。
「そうか……ルッツ殿は空賊団の幹部でも、特に優れていたと聞いている。海を奪われても仕方が無かったのだろう。しかしルデアには、ゼム=ガルテナーハ殿がおられただろう?」
消息は?
使者は残念そうに答えた。ゼムは成人した3人の子息と共に街の防戦に加わった。勇猛果敢に戦ったが、討死。とはいえ、まだ幼い子供達や孫たち、数多くいる妾達は戦闘の前に街から逃げたという。
ガルテナーハは周辺の領主に使者を遣わし、ルデアの街の奪還を呼びかけ、万に近い兵をまとめた。それと庶流とはいえ、一門を討たれたから復讐心に燃えている。
「そこでデュライご一門にもご加勢をお願いしたい! ご本家様からの血判状も預かっております!」
「義父様! ここは私にお任せください!」
申し出たのはデリタだった。
「ベイオルブが海を越えたとなれば、この大陸の西側にも軍勢を寄越すことでしょう。そうなると守りの要となるデュライのご当主様が不在だと、まとまることができません!」
敵はきっと二方面作戦に出るかもしれない。ここは加勢をほどほどにし、デュライ本家はもしもの時の為に、万全の防備を固めるべきだ。
「……そうしよう。但しデリタ、名代はシビラとする」
デリタは承知した。シビラの武名ならガルテナーハにも届いている。彼女を大将にした1000の軍勢に加わることとなった。
そのことをリアザに伝えると、彼女は涙ぐんでデリタの手を握りしめた。
「エムラのこと、お願いね。生きて戻って来て……」
それから1週間後、デリタはガルテナーハ救援の軍に加わり、ルデアへ向かった。凍えそうな風と刺し殺して来る様な日の光を受けながら、デリタはエムラのことを思っていた。
(無事でいてくれ、エムラ姫。)