※この作品はR-18です。

輪廻   作:洗濯屋チャコちゃん

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 翌々日の朝のことだ。デリタは砂浜で彼等に魔力の底上げの訓練を施していた。

 

「まずは考えるな、感じろ」

「それから魔法が無い世界を想像してみろ」

「さすれば汝は、己が魔の力を強く意識するだろう」

「そして、己が力になすがままになれ」

 

 『前世』の世界で学んだ精神統一の為の呼吸と瞑想。その効果はこの世界でも充分あった。幼い頃からデリタはこうやって、己の魔力を高めていたのだ。

 

 彼は目の前にいてまぶたを閉じているオベリアと、十数名の空賊に呼びかけ続けた。

 

「祈れ。念じろ。言葉でも、心でも構わない。その力が欲しいと炎の霊に語りかけろ」

 

 南の大陸の術法の大家・デュライ家の入り婿であり、魔族の血を引く者しか扱えぬという魔法も知ることを、空賊達に知られてしまっていた。

 

 それを言い広めた張本人こそが、真剣な顔をしてデリタの呼びかけに耳を傾けているオベリアだった。

 

「デリタ=デュライさんは魔法が使える術法の使い手です」

 

 魔族の子孫しか扱えぬ魔法を、俺達にも教えてほしい。デリタはこの世界の魔法が、魔族が持つ根源の力では無く、精霊に力を借りるものだとわかっていたから引き受けた。

 

(魔法が使えるのは魔族うんぬんかんぬんとリアザが言っていたのは、己の魔力を感知できるか否かのことだろうな。)

 

 魔の者の血筋の者は、そこが優れていた。例えば、目の前のオベリアがそれである。

 

「では、手をかざし、頭の中で炎の精霊に呼びかけてください」

 

 精霊の力を借りるには少々の呪言が必要な者とそうでない者がいた。オベリアは淫魔の末裔だったが前者のほうだった。

 

「……その明るく熱き輝きを、我に示せ」

 

 右の掌を上に向けてオベリアが唱えると、彼女の目の前でいきなり熱気が漂い出した。小ぶりのスイカぐらいの大きさの炎の玉があった。デリタは何の感動も覚えず、それを見た。

 

(オベリアの魔力であれば、このぐらいの火の玉なら、子どもの遊びに等しいだろう。)

 

 他の面々は彼女と比べるには程遠かった。マッチを擦って灯す程の火か、あるいは一度焔が起こって、すぐに煙となる有様だった。

 

 だが、オベリアに負けず劣らずの魔法の火の玉を起こし、そのままを保っている者が2人いた。

 

 赤茶けた髪で、胸が目立って膨らんでいる顔がよく似た2人の少女。デリタとバーフレアが『種付け』を行ったあの2人だった。

 

 彼女たちは双子だった。姉はバマで妹はフラ。歳はまだ13だという。オベリアよりも子を産むのに適した身体つきなのにだ。

 

 だが、空賊たちから聞いたことだが、彼女ぐらいの歳で嫁になり、初産を迎える娘は当然だという。もしもの時の為と数を保たせる為に、できるだけ多く子を産んでもらうのだ。

 

(空賊の妻は平均でも7、8人の子を産むそうだが……バマとフラはいささか勿体ない気がするのだがな?)

 

 3分経った今も、魔法で作った火球を保たせている2人を見て、デリタは残念がっていた。こういう才のある者はまだ若い時期は、小さな実戦を経験させてみっちりと鍛えるべきだ。

 

 男と恋愛や情交を愉しんでも良いのだが、妊娠と育児で貴重な時期を費やしてもらっては困る。子を産むなら、せめて20を過ぎてからが良いのではないか、と思っていた。

 

(がしかし、彼女たちは子孫を多く殖やすことを、親達から強く求められているのだろうな。)

 

 彼女達は普通の人間ではなかった。オベリアと同じく魔族の血を引いていた。そういった者たちによる特殊な氏族に属していた。『魔女』と呼ばれる一族なのだそうだ。

 

 『魔女』はカシャ家による王国時代に、王家や戦士を補佐する役割を与えられていたそうだ。その歴史の中で一番有名なのは、リーノアという名の魔女だ。『メテオティック=ブレイブ』たちとともにエイヌオ討伐に力を尽くしたそうだ。

 

(さすがにこの姉妹は、そのリーノアとやらの末裔、なわけが無いだろうが。)

 

 その人の才を血筋で判断するのはよろしく無い。先祖外大でも子孫は無能だったりする。その逆も当然ある。デリタはそう自戒していた。淫らな肢体で本能を魅せてくれた2人に、必要以上のことは聞かなかった。

 

「魔法を維持している人たちは、それまで。解いたら気を楽にしてください」

 

 オベリアとバマとフラの目の前から火球が消えた。目を開けたオベリアは「どうだった?」とデリタに訊いた。

 

「君は既に合格点だよ。詠唱の手間を考えて動けば、並の術法士に遅れを取らないはずさ」

 

 いいや、少なくともリアザよりも実力は上のはずだ。才能も。

 

「ほんと! アルルーマが使えた炎の魔法ぐらい、今のワタシでもできるかしら?」

「あれは今の実力じゃ、無理だと思うよ?」

 

 どんな魔法か知らないが、一度に数百名を焼き払えそうな魔法など、そうそう覚えられるものではないだろう。

 

「じゃあさ……鍛錬の後でワタシと付き合ってよ? 他の方法で魔力の底上げをしたいの!」

「……」

 

 他の方法とは、つまりは情交だ。セックスによって五感を高めることは、魔力の底上げもできるのだ。

 

 彼の『前世』でも現世の『中つ国』でも、魔法が使える娼婦というのがたくさんいた。占いや性に関する病の治癒といったものばかり覚えるのだが、彼女たちは市井の女より多くの魔力量を持っている。

 

 沢山の男と浮名を流し、魔光王の妾とも噂されたアルルーマは、性交によって魔力を高めていたのかもしれなかった。あの女がかつて、傾国と言われるほどだったと知ったのは、つい最近のことである。

 

(あのデブ女、まだスカートの中から男どもの精虫の死骸のにおいをぷんぷん漂わせていている時に殺せていれば良かったのだがな。そうであれば俺の武名も、今よりもうなぎのぼりだったろうが……。)

 

 何かと煩わしいこのオベリアと、実の親父ぶっているバーフレアを畏まらせたはずだったのに。デリタは誘うオベリアを無視して皆にこう告げた。

 

「ここからは自主練習でお願いします。今の魔法をせめて10回繰り返してください。僕はちょっと用事があるのでここを離れます」

「デリタ、ワタシは別だよね? 裸になってお互いに高め合いましょうよ?」

「疲れているからまた今度に。じゃあ、オベリア様。僕は急ぎますんで……」

 

 そっぽを向いて歩き出すと、オベリアが付いてこようとしたので、空賊達に困っているのだと目で示した。彼等は素直にオベリアを止めてくれた。

 

「ちょっと、デリタ! 置いてかないでよ!」

 

 多淫でしつこい女の声を無視である。どうせ夜中に他の男のにおいをつけながら迫るはずだ。デリタは自分の部屋に戻ると机の上に置いていた書類を取った。大陸から戻ってきた空賊が、朝一番で彼にくれた諜報達の報告の写しだ。

 

 このような報告書だった。空賊の版図と隣接する、ベイオルブ側の諸都市の情勢。世界征服を目論み遠征を繰り広げる国の民が、どれだけ圧政と困窮に喘いでいるかを知りたかったのだが、

 

(餓死者はおろか、貧しさゆえの道の物乞いも、街を追い出された浮浪者もいない。だったらそうした貧民は知らないうちに殺されているのかと言えば、そんな話は全く無い、か。)

 

 どの街も、民の生活はある一定の水準を保っているそうだ。健康で動ける年齢の男子や女子は徴兵されるが、一家に1人か2人ぐらい。3人目以降は街や周辺の村々の防衛隊に属するという。

 

 食料生産と供給も問題が無い。この30年近く不作や凶作の年は無く、より多くの作物が取れるように、魔光王は魔道士達に品種改良を命じているそうだ。

 

(民草を扇動する方法は、無理だろうな。)

 

 だから赴く。島を出るのにちょうどいい頃合いでもある。デリタは夕方、食料や資材を届けに来た『浮遊船(ハバル)』に乗り込んだ。バーフレアには既に言ってあった。ついでにあのじゃじゃ馬(オベリア)は、男達のたくましいナニでごまかすようにもだ。

 

 そして初めての『浮遊船(ハバル)』での航海に、彼は『円盤』以上の感動を覚えた。重い荷を積み人を乗せて空を飛ぶこの船のことを知りたくて、空賊達に話を聞いたり中の機関室を見たり、船の隅々を探検した。

 

 魔法科学が発達した『前世』でも見たことが無い、驚きばかりがこの空飛ぶ船にはあった。あちこちを見学し終え、すっかり興奮してしまったデリタは、寝床用にもらった空き倉庫の中で、船員からもらった夕飯代わりの焼き菓子に手を付けられないほど心を揺さぶられてしまっていた。

 

(これが、この船が、この世界の技術の『頂点』なのか。)

 

 しかしこうも考えていた。『前世』で一番愛した女が教えてくれた、異界の空を飛ぶ乗り物の話を思い出しながらだ。

 

(じゃあ、アイツが言っていた『ひこうき』とどっちが優れているのだろうな? この船だと100人ぐらいを乗せられるらしいが、『ひこうき』はどうなんだ? 凄まじく長い距離を飛べる『ゼロセン』や、大きな街1つを消し飛ばす爆弾を積んだ『エノラゲイ』というものがあったそうだが……。)

 

 この『浮遊船(ハバル)』で、どんな戦い方ができるのだろうか。

 

 あれこれと考え続けていると、明かりに照らされていない暗がりから聞いたことがある声が聞こえてきた。

 

「デリタさまは食べないの? だったらわたしに頂戴?」

「だめよ、フラ。それ1枚でまる一日お腹が持つのよ。太っちゃうわ」

「君たちも乗っていたのか?」

 

 そうよ、と言って姿を現したのは、バマとフラの姉妹だった。彼女達はバーフレアの部屋でまとっていた、乳房の形と陰毛とが丸見えの、薄手の衣の羽織るだけの格好だった。

 

「おい。その格好でこの船に入ったわけじゃないだろうね?」

「これは寝る時の服よ。着替えは畳んで置いてあるわ」

「乗ったのは君たちの意志でかい?」

「バーフレア様に頼まれたの」

 

 確実に『1年の猶予』にするように。つまりはデリタの子を産めと2人に命じたわけだ。

 

「デリタさんと両思いの姫様とはしばらくお別れだけど、わたしたち姉妹で我慢して?」

 

 バマはそうささやくと衣を脱いだ。隔てるものがはがれた生身の大きな乳を、デリタの右耳に押し付けた。

 

 妹のフラは皿の上に置いてあった焼き菓子を手にとって咥えると、デリタの唇にあててせかした。

 

「ちゃんと食べないと、あたし達のお腹の中に、しっかりと種汁を出せないよ?」

 

 デリタは菓子を受け取った。ゆっくりと咀嚼するとフラが抱きついてきた。デリタは促されるがまま腰に履いていたものの紐を解いた。

 

「バーフレアには、感謝しなくちゃな……」

 

 バマの固くなりだした乳首がデリタの頬をくすぐり、フラが裾を広げてデリタの下腹の上に腰を落とした。血が集まっていたそれが裂け目をくぐると、受胎を強く望む、生暖かくて潤いきった肉が絡み込んできた。

 

「デリタさん、一昨日よりも、すごく大きくなってて、硬いよ……?」

 

 フラの瞳は欲望のせいで潤んでいた。彼女は腰を浮かし、強く押し込んだ。屹立から伝わる甘い悦に理性が蕩け、もっと激しくとデリタは彼女にせがんでしまった。

 

 空飛ぶ船は好奇心をたっぷりと魅了し、満たしてくれた。そのせいかデリタの本能は、魔女2人に肉の魅力に感じやすくなっていたのだ。

 

「お互い、我慢しないで楽しもうね?」

 

 フラがささやき、バマが微笑む。デリタはフラの乳房を吸い、仙骨をゆすりだした。

 

 何度も生命の喜びを姉妹の股の奥に奔出させ、あたりが己と姉妹の汗のにおいで息苦しくなるまで、命を作るための肉の交わりは終わらなかった。




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