(ちいっ!)
気づかれたようだ。デリタの横、叢から矢が飛んできた。しかし彼は剣でそれを弾いた。
相手は射程の範囲内にいる。仕返しだ。素早く印を切ると相手の喉元に激しく回転する風の刃が現れ、その喉笛を掻き切った。とりあえず1人だ。
段々と城が見えて来る。朝焼けの様に見えたのは盛大にあがる炎だった。黒煙がようやく見えたのは何故だと思ったが、曇り空のせいであまり目立たなかったからだろう。
(いや、徹夜をして暗視魔法を使っていたから、目がおかしくなっただけだな! ぼやけて見えたりもしていた!)
デリタはいよいよ、グロッグ城の警戒網の中に入って行った。大抵は飛竜がお空で泳いでいるはずなのに1匹もいなかった。ヴァーリンデンにこっそりと説得されたからだろう。事実、飛竜達は乗り手らを捨てて湖の向こうに渡っていた。
(お膳立て、まことにもって感謝するといいたいところだ、ヴァーリンデン!!)
城がこんなひどい目に遭っている。であるならば平野はもっと酸鼻きわまる光景が広がっているというわけだろう。
(面白い。)
デリタはすっかり『前世』の自分に戻っていた。血なまぐさい謀略に手を貸し、死肉をついばむ烏の様に死と戯れるかつての己が蘇っていた。
殺戮のせいだ。ルデア攻めでも戦う時に戻りかかっていた。相手を効率的に殺す方法ばかりが頭にあった。
そして今は、血の匂いがする場所への好奇心も頭にもたげていた。城の惨状を見て理性が言う。想像がつくから引き返せ。まだベイオルブ軍は残っているはずだ。
どのくらい生き残っているのか。見つかったら自分1人で逃げ切れるのか。死体を見て何を得られるのか。死体を見てお前はうれしいのか。何もかもが悲しいだけだろうと、心の中の『デリタ』が言う。
(……だがな!!)
彼はこの世界の母と姉を殺されたことを思った。それからエムラを廃人にしたこと。それとルデアでの侵攻。平和だった南の大陸を戦乱に巻き込んだ罪は万死に値すべきことだ。
なら、そのお先棒を担いだ連中の無残な骸を見ることの何が悪い。デリタは飢えた。敵の血と死と屍にだ。
またも側面から伏兵。既に索敵魔法で察知していた彼は、飛んできた数本の矢を魔法の風で吹き飛ばした。馬から飛び降りるとそちらへ駆ける。叢の中を颯爽と。そして顔は人食い鬼とも言わんばかりの悪相をたたえてだ。
「速い!」
「こいつがヴァーリンデンの従者か!」
突っ込んで来たデリタが間近に迫り、弓手たちは剣を抜いた。餓狼とごとく襲い掛かったデリタは最初の1人の首を刎ね、もう1人には兜割りの一撃でのぞいた顔を脳漿まみれにさせた。
「ひ、ひいいっ!!」
怯えた顔で悲鳴をあげるのは女兵士だった。デリタは逃げようとするその女の背中を剣で貫いた。同時にもう1本を鞘から引き抜くと上段に構えて応戦しようとする最後の1人に斬りかかる。が、彼の一撃を相手はすり抜けた。
相手は大声をあげながら、勢いをつけて向かって来たのを利用しようと彼の左胸に向け、真っすぐに突きを入れた。それがデリタの目論見だ。柄から手を離すと剣を素手で払い、左手で相手の手首をつかむと右手で印を切った。
「おお……!!」
兵士は口を開いた直後、バチっというけたたましい破裂音と共に手首をつかまれた先が黒焦げになって全身から火を噴いた。一瞬で黒焦げになっていた。電撃の魔法だった。
「フン。この程度の雷霆術式しか見せられなくてすまんな。本当なら『紫電砲』を見物させてやりたかったが……」
その魔法なら一度に数十人を高圧電流で焼き殺せる。『前世』の彼ならそのぐらいはできた。但しこの世界では、その半分の威力も出せないだろう。
死体から剣と弓矢を回収する。やって来た馬の鞍に乗せて今朝がたの戦場の跡地へ再び向かった。
城の横を通り過ぎ、いよいよそれが見えた。死臭が風に運ばれてデリタの鼻孔に入って来た。5000は超えるとされるグロッグ城の軍勢はもういなかった。
(本当にやりやがった、あの勇者は!)
恐るべき男だ。絶対に敵にまわしたく無い。猫をかぶり通すべきだったと反省もすれば、ところどころにある、この世を呪詛しながら逝った死者たちの痕に興奮もした。
「あれだ! あいつがヴァーリンデンの従者だ!!」
その声は南東から聞こえた。見れば騎兵が。およそ10。デリタは手綱を引っ張り突っ込んで行った。ここであれを使ってやれ、と考えた。
(南の大陸人の恨みを、これで思い知らせてやる!!)
手綱を持つ手を左手だけにして、右手の人差し指を突進してくる騎兵たちに向けた。つかの間の精神統一。そして発動。
(
その殺気と共に、先頭を走っていた三騎がはじけ飛んだ。鎧の破片と肉塊とを散らすのを見て、騎兵たちは驚いて手綱を引いてしまった。デリタはまたも殺気を指先に込めた。激しい炸裂音がまたも轟いた。
□ □ □ □ □
それを指揮官の生き残りたちの中で間近で見ていたのは、ヴェーダだった。
ミルスをけしかけた手前、彼女は先に向かうべきだと自分に言いきかせて彼に後備えを頼んだ。従者もつけずに争いの声がする方に馬を走らせたのだ。兄からだいぶ離れてしまっていた。
見たのは恐ろしい気配を放つ奴だった。黒い肌で鎧は身に着けていない。そして血を好む者のにおいをぷんぷんとさせていた。戦士の中では悪党の類だ。
デリタも遠目で彼女を見ていた。鎧をまとっていたがなかなかに愛らしい顔立ちだ。殺せば敵の憤激を買えるだろう。戦場の『かわいい女』は愛玩動物だ。男達の目の保養の役に立つし、あわよくばという期待も抱かせる。
だが、その敵方にとっては最高の餌でもある。デリタの『前世』では美しい女戦士や女領主を利用した戦術が沢山生み出されていた。
それを最も多く多用した有名な梟雄がいた。覇王と呼ばれた『暗黒卿』という仇名の男だ。その王の物語は、デリタの『前世』の教科書となった。悪辣な手口のである。
ヴェーダとデリタの目が合った。彼は歯を出してにっ、と笑った。さわやかさなど一つも見られぬ厭らしい笑みだった。それに激しい嫌悪と敵意を抱いた彼女は抜刀した。
それは刃紋がくっきりと浮かんだ細身の剣。何度も鍛えなおされた上に、魔道士が加護の力をつけた名剣だ。そして彼女は念じながら空を切ることで特別な力を起こすことができる。
「……邪悪なる者を破る力を我が剣に!」
切っ先をそれに向ける。目の前に光が生じ真っすぐに伸びて行った。聖剣魔法と呼ばれるものの1つ、聖王滅光撃という名だ。直線状の敵を焼き尽くす光を放つ。並の魔法抵抗力では防ぎきれない、きわめて強力な魔法である。
それをデリタは土の壁で防いだ。光が失せると馬から降りる。魔法合戦で巻き添えを喰らったら帰り道が困難になる。
相手の魔力を探る。なかなかにできる奴の類。女のようだ。魔力は男より女のほうが多い。この世界でも。
(貴様のことは捕捉した。存分に殺りあおうじゃないか。)
相手が回り込んで来た。また詠唱。デリタは伏兵がいないことを探りながら印を切った後、左足で一歩前を踏む。特殊な魔法を仕掛けたのだ。ヴェーダはそれに気づかなかった。デリタは弓矢を構えて退いた。挑発する為にだ。
ヴェーダはデリタの行動を少し疑ったが、徒歩の彼を見て好機と思い馬の尻に鞭を入れた。仕留めて見せる。矢を向けるデリタに、詠唱を終えた彼女は剣を向けた。今度の光は途中で幾筋にも分かれて拡散し、前と左右と後ろとでデリタに襲い掛かった。
(今だ!)
デリタは矢を放つ。足元にだ。光の筋が貫く直前に爆発が起こり彼の身体は弾き飛ばされた。いくらか肉と骨が悲鳴をあげたが彼はその途中で治癒魔法を自分にかけていた。
「くそっ! あんなやり方で防ぐとは!」
面倒な奴だとヴェーダは苛立った。でもデリタは倒れたままだと見てとると、彼女は馬を走らせた。間近に来てとどめを刺す為にだ。仮に倒れたふりをしたとしても彼女には自信があった。剣術もできる。士官学校では上位にあった。
爆発に驚いてミルスが部下を送って来るだろうが、その前にケリをつけてやると意気込み、無我夢中で走らせた。土壁の近くに進んだ時、突如としてけたたましい音と共に土埃が待った。
彼女は馬ごと弾き飛ばされた。馬は壁の反対側に倒れ、乗っていた女の左足は重い身体の下敷きになった。悲鳴を上げた彼女の目の前にそれがいた。デリタだった。
「少し黙って貰おうか、小娘」
彼は思い切り彼女の胸を蹴った。骨が折れ彼女は喀血する。デリタは彼女から細剣を奪い、それに付与の力を注ぐと、彼女の右脚を無理やりこじ開けた。
「今すぐ出してやる。感謝しろ」
剣がヴェーダの左脚の腿のところを叩いた。いや、切り離した。喀血で絶叫もできぬままヴェーダは激しい痛みにこらえきれず、その場で失神した。それをいいことにデリタは彼女の両手首を斬り、そして止血の為の治癒魔法を施した。馬にもだ。
起き上がった馬にヴェーダの身体を乗せた。
「お前にはしばらく生きてもらおう。さあ、救援が向かう前に逃げようか」
デリタは戻って来た乗り馬の背のあがると、縄で結わえた馬と共に走り出した。北西ではなく北東にだ。ヴァーリンデンにはちょっと遅れるだろうと心の中で言い訳しながら、彼は捕虜を連れて追撃から逃げ切った。
□ □ □ □ □
ヴェーダは目を開けた。どうやらどこかの小屋のようだ。背中がひんやりとして肌寒く感じられたのは何も身に着けていなかったからだ。土を薬剤で固めた床の上で無造作に置かれていた。
「気づいたか?」
黒い顔の若者が覗き込んでいた。あの男だ。ヴァーリンデンの従者。姑息な魔法罠を仕掛けるような外道だ。
「ここはどこだ? 私に何をしようという?」
「魔法を使おうとしても無駄だ。魔封じを施している。それとお前のもう1本の脚も斬らせてもらった」
ヴェーダは両脚の感覚が無い事に戦慄した。切断面はすでに塞がっているが、両の腿についた血は乾いてそのままだった。
それと両方の手首から先も無かった。完全にやられた。ヴェーダは死を覚悟した。
「さすがに疲れた。ひと眠りさせてもらったよ。30分だけだがな」
「……なんて奴だ!」
「そう言うな。俺は『前世』じゃ治癒魔法の大天才だと皆に担がれたぐらいの腕はあったよ。それは現世でもだいぶ有効のようだ。感染症は心もとないがな」
しかしきれいに脚を斬れたとデリタは喜ぶ。ヴェーダの愛用の剣を手に取ってだ。なかなかに良い切れ味と魔力付加を掛けやすい剣である。
「こんな剣はあの貧民どもから出た騎士じゃ手に入らんだろう。お前は何者だ? どうせもう後は無いからこの場で吐け」
「魔光王様に仕える三元帥の1人、ダイスダックのその一子、ヴェーダだ」
「そうか。フフ……」
笑うとデリタはベルトに手をかけると靴とズボンを脱いだ。彼の陰茎は激しく勃起していた。厄介な魔法戦士という所以外、愛らしい顔立ちの目の前の女の裸を見ていたからだ。
脱がせていた時、その身体の隅々も確かめたりもした。鍛えているが女の滑らかな肌と柔らかい肉がついていた。
デリタはそそり立ち小便のにおいが強くにおうものを掴みながらヴェーダに迫る。その目は情欲で
何せ久方ぶりの女の身体である。バマとフラの姉妹に1日たりとも休まず奉仕させられて喚起させられた性欲に、彼は常に苦しめられていた。つまらぬ欲を忘れさせてくれるヴァーリンデンとの出会いで、少し和らいだ程度だった。
「凌辱か! どこまでも卑しい奴め! 心構えなら既にできている!」
ヴェーダは罵る。しかし逃げようとはしない。行為が始まったら一糸報いてやるつもりだった。まだ腕があるし。噛みつくこともできれば体当たりも。腿でも蹴ればいいだろう。
デリタはヴェーダの身体にのし掛かった。彼女が腿を閉じようとすると拳で脇腹を殴った。股が開き欲望を促進させる、濃くてくさいにおいを放つ女の陰があった。
しかし見たのは再びだった。彼女が失神しているうちに情欲にかまけて尻の穴ごとしゃぶりつくしてもいた。
気を失っている上半身とは違い、下半身は意識を持っていた。膣襞と皴穴が絶頂を示す動きも示してくれた。その汚らしい臭気と味は、最高の淫薬だった。
「そういえばお前は、処女だったな?」
「見たのか……!!」
デリタは激しく硬直したそれをヴェーダの入り口に突き挿れた。彼女は奔る痛みを覚えた。しかし血をこぼしたその奥は驚くほどにほぐれて柔らかく、濡れていた。あまりにも潤滑でもあった。
「くっ! 私に媚薬を盛ったな!!」
「盛ったのではない。舌を使って仲良くしてやったのだ。頭が眠っている最中にな」
「どこまでも汚わらしい奴!」
デリタは腰を停めた。ヴェーダの口は敵意に満ちていたが、下半身の口は親し気だった。膣肉が締まり込んできて味わおうとしている。何せ3度も垢だらけの女襞を舐めて果てさせてやったからだ。女の生殖器の細胞は、彼のことを甘い記憶として刻んでいたのだ。
「これがあの、ヴァーリンデンの従者がやることか!」
「ふふ。俺は従者ではない。同行者だ。それとだな……貴様の下半身はとても親し気だったぞ。それはもう、陰核から肛門まで俺の舌を喜んで迎えてくれた。自慰を好まぬ女のそれではないと思ったよ。相当、1人で楽しんでいたようだな……?」
ヴェーダは恥ずかしさと怒りで我を失い、両腕を振り回そうとした。しかしデリタに押さえつけられてしまった。ぎゅっと縮まって膣淫に適した狭さになると、ぬめりきったその中でデリタは欲望をゆっくりと動かした。
「ぐっ……! ぐっ……!」
思いのほか、自分の下半身が喜んでいることにヴェーダは悔しかった。何故こうも相手にあわせて腰が動いてしまうのだろう。早く終わらせたいと思う理性のせいか。あるいは、こんな危機でも楽しもうとする本能のせいであろうか。
「ふふ……貴様のここは欲しがっていたようだな。とっても喜んでいるぞ?」
「言うな……ッ!」
腕の力が抜けてくると見るや、デリタはヴェーダに覆いかぶさった。小ぶりの柔らかい乳房の感触があった。尻を上にあげ、ヴェーダの肛門も真上を向けさせると激しく上下しだす。膣がまた締まり込んで来た。それに己の茎を絞らせた。
「ううっ……こんな奴に……こんな奴の手にかかるとは……!」
「でも身体は楽しんでいるようだぞ? 至極気持ちがいい」
ヴェーダの女陰の入り口は蜜だらけになっていた。どろどろとしたそれをにじませながらデリタを楽しませている。この服従されての享楽を喜んでいるようだった。
「ついでに、貴様の身体は、こういう癖があったのも教えてやるよ」
「言うな!」
抗うヴェーダの小さな耳に向け、デリタはささやいた。
「皴穴がぽっかりと開いて、糞のにおいを放つのさ」
デリタは乱暴に奥と手前をこね、捕虜の女の女陰に刺激を与えた。彼女の皴穴がとうとうそれを示した。絞られていたものが口をぽっかりと空けてその奥のにおいを放ったのだ。
ヴェーダは嗚咽し、めそめそと泣き始めた。人生の最後がこんな凌辱で終わるとは。一思いに殺して欲しいと呟いた。
「フン、そう言うな。お前には女の喜びをたっぷりと味わってもらう。だがヴァーリンデンじゃなくて残念だったな。俺のこのナニよりもデカかった。それこそ武人の貴様が雌の顔をするぐらいにだ。くくく……」
泣きじゃくるヴェーダを面白がりながら、デリタは強いひと突きを入れてぐっと力を込めた。その子宮に溜まっていた精液を流し込んだ。
粘り気がきついそれをあらかた注ぐと、まだまだ硬い陰茎でもって女捕虜の女陰への虐待を再開した。とうとう観念して雌の顔になりさがった彼女を見て、デリタはほくそ笑んだ。
(俺が満足しきったら、望み通りに来世への引導を送ってやるよ。)
無理やりに犯すのは興奮する。自分は本質が直っていないのだと彼は思った。蹂躙を最も好む性質だ。『前世』のそれよりも太くて長く、そして硬さが段違いのものでヴェーダの膣を穿ち掘る。
「うぐっ……うぐっ……」
「どうだ、俺のコレはとんでもなく気持ちいいだろう? 感じている顔がとても可愛いな?」
「……殺して」
「まだ駄目だ。またせりあがって来た。受け取れ」
貫く快感が股間の根元から起こった。けれども彼は押し付けて退くのを止めなかった。精液が溢れた捕虜の女性器の馴れ方が良くなったからだ。ヴェーダは確かに感じていた。死の前のひと時の生命の輝きがあった。
だが、彼女に待っているのはデリタの性のはけ口として生きながらえ、彼の子を産む未来では無かった。
(生きる喜びを楽しんでおけ、小娘。俺に殺されるまではな。)
ヴェーダの心の臓が動きを止めたのは、デリタの欲望が飽ききった直後だった。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。