食事の準備を終えた私は、一足先にテーブルの席についてフリーレン様を待っていた。
無意識で緊張を誤魔化したいためか、妙に落ち着いていてよく回る頭で思考にふける。
フリーレン様と過ごしてかれこれ4年以上経つが、私はあのような姿のフリーレン様は見た事がなかった。
フリーレン様は今やはり身体になにか異変が起こっているのか?
突き放すような対応を取られてしまったのは何故?
前者は聞き出せなかったのでわからない。
しかし後者に関してはどうだろう。少しばかり落ち着いて改めて考えてみて浮かんだのは、フリーレン様のあの対応はこれまでの私の普段からの態度が原因だったのではないか?というものだ。
私はフリーレン様に将来の自立を促すべく、日頃からある程度の生活管理を強いるようおこなっていた。
魔導書を読み込んで夜更かしして、そのまま朝まで起き続けていそうなフリーレン様を寝かしつけたりなど。
普段は温厚なフリーレン様だが、そんな私のお節介に対し内心ずっと煩わしく思っていたのかもしれない。私は今世ではハイター様以外と関わる機会が殆ど無かったので、人との適切な距離感での接し方を見失なってしまっていたのではないだろうか。
フリーレン様のためだと思いながら、実際は私の方がフリーレン様に甘えていたのかもしれない。
そもそもの話、今フリーレン様になにか問題が起こっているのだとして、私に何ができるのだろうか。フリーレン様が解決できない問題を私がどうにかできるとも思えない。
フリーレン様の魔法使いとしての実力は弟子の私が1番よく知っている……いや、1番ではないかな。フリーレン様と一緒に10年間を戦った勇者パーティの方々には及ばないだろう……
とにかく、無理に聞き出そうとせず、フリーレン様のペースを尊重しようと思う。
フリーレン様が自分から話してくれるまで待ち続けるのだ。
そんなふうに考えていると、控えめな足音が耳に入ってきたため思考を終える。
「おはようございます。フリーレン様」
「フェルン……おはよう。遅くなって悪かったね」
軽い挨拶だけを交わしてフリーレン様が椅子に座る。
向かい合ってテーブルを囲んだ私達は、いつもより静かに食事を始めた。
……気まずい。私もフリーレン様も、おそらく同じ想いを抱いているだろう。
フリーレン様は私とほとんど目を合わせようとせず、会話も他愛もないものが二言三言あっただけ。
自分がフリーレン様に嫌われてしまったのではという自分の考えがどんどん信憑性を増していく。
実は全部私の杞憂で本当はまるでそんな事ないとかないかな……
どうしよう、フリーレン様から拒絶される今の状況に私は相当なダメージを受けている。
親は死んで孤独の身だった私にとって、その後をずっと共にすごしたハイター様とフリーレン様は家族同然か、あるいはそれ以上に心を占める存在だった。そんな大切な存在の片割れは亡くなってしまい、更にフリーレン様にまで心を閉ざされてしまっているこの状況。
こんな時にハイター様が居てくれたならば……
そういえばいつだったか、チンチンを作る魔法の開発のために人体に関する魔法についてフリーレン様に尋ねまくっていた時期があったのだが、ハイター様を延命させるために私が魔法の勉強をしてると思われていたのを知った時は、あまりの罪悪感に流石にその場で自害したくなったよ。恥ずかしすぎる……
私は決してハイター様の存在を軽く思っていたわけではない。今でもハイター様の事はずっと大切に思っている。
両親を失い、ろくな生活手段も社会的地位もなかった私はずっとハイター様の世話になり続けてきた。そんな御方に恩義を感じない訳が無い。
でも確かにフリーレン様の言う通り、私がチンコへと向けていた情熱をハイター様のために向けていたならば、もしかしたら今でもハイター様が生きていられた可能性もあったのでは。
そんなことを考えていると、とっても胸が痛くなってきた。
思考がナーバスな方向に向かっていて気分がどんどん暗くなっていく。
違うことでも考えて沈んだ気分を変えよう……
胸が痛い……胸といえば。今の私は実に男の欲望を詰め込んだかのような肉体をしている。
少し目線を下に向けるだけで視界に飛び込んでくる大ボリュームの乳。
ちょっと激しめに動くだけでばるんばるん揺れ動き服をパツパツに引き伸ばして布を痛めつけるうえに、手の動きの邪魔をして身体の前での作業の妨害までしてくるけしからん奴だ。
実際今も食事がし辛い。内心いつもフリーレン様を妬んでいる。羨ましいなぁ……身軽そうで。
……今日に限っては全然食事が進んでいないみたいだけれど。
更に残念な事に私の身体的成長は胸だけに留まらず、それなりに引き締まった腰から続くお尻は椅子の上からはみ出してしまう特大サイズ。
それはもう見事な曲線を描いていて、全身で見たときに綺麗なひょうたん型体型を形成している。
弾力溢れるたっぷり実った尻肉は、椅子に乱暴に腰を下ろしても衝撃を吸収し痛みをもたらさない。椅子が壊れると嫌だからわざわざそんな事はしないが。
そしてそんな重量感満点な二箇所の部位を支えるのに、肉がたっぷり実った太ももまで備わって、完璧なボンキュッボンボディが出来上がってしまったというわけだ。これっぽっちも嬉しくない。
一体いつ頃からか急速に成長していく私の身体にハイター様もフリーレン様も共に微妙な顔を浮かべていたのを覚えている。私だって同じ気持ちだったのだが。
私はムチムチえちえち女子を好き放題する側になりたいのであって、私自身がそうなりたかった訳では決してない。
自分の身体を弄くり回しても……そりゃあ気持ちよくはなれるけど……
いずれ自分と同じようなドスケベなボディの持ち主と事に及べたとしても「いろいろ苦労するよね」という労りの感情が性欲より先に来そうで複雑な気持ちになってしまう。夢を詰め込みたいのは未だ見ぬ我が男根の方であって、自分のちちしりふとももでは無いというのに……
「あ」
おかしな方向の考え事に浸っていたせいか、それともやはりこの胸が悪さをしたのか、私は持っていたスプーンを手から落としてしまった。
テーブルの下、フリーレン様の足下に転がっていってしまったようだ。
「すみませんフリーレン様、失礼致しますね」
「あ、うん……」
一言断りを入れてから、床に手を付き四つん這いの体制になってテーブルの下に潜る。
「っ!!!」
「……?」
なにやらフリーレン様が息を呑む音がしたが気のせいだろうか……そんな事を思った矢先、突然ガタンと大きな音がした。
テーブルの下だからあまりよく分からないのだが、椅子の音を立てフリーレン様が立ち上がった様子。
テーブルから這い出して見てみると、フリーレン様は私に背を向け部屋の出口あたりに移動していた。
「あ、えっと、ごめんねフェルン……」
「え……フリーレン様!?」
そう言い残したフリーレン様はドタドタと足音を立てて、食事を残したまま何かから逃げるように部屋から飛び出して行ってしまった。何故。
……え、もしかして私が近づいたから?? それだけであんな反応?? 嘘でしょ?????
「はぁっはぁっ……」
思わず飛び出して戻ってきてしまった自分の部屋の中でフリーレンは悶えていた。
(どうしよう……)
心臓がバクバクとうるさい。
(フェルンのお尻、すっごい大きかった……)
自分が少し手を伸ばすだけで触れる事ができてしまう距離にやってきた極上の女体を前にし、飢えている中ご馳走を目の前に放られた獣のように股間は瞬時にいきり立った。目の前の雌を貫けと硬く大きく膨張し、存在をアピールしてきている。
盛り上がった服の上越しに男性器へ手を当てるとドクドクと力強く脈打っているのが伝わる。
「……ううっ♡」
そのまま手の平で撫でると強い刺激に襲われ、快楽への期待と興奮に自分が支配される感覚に身体が打ち震え、思わずフリーレンは身を捩る。
そして思い出していた。1000年以上の人生での初めての性的な快楽を味わった、射精を体験した昨晩の事を──
一区切り着いたので今度こそ絶対フリーレン様視点になります