そしてこの小説のフリーレン様の持ってる性知識ですが、授業で知識は習ったものの、あんまり実感的に理解してはない小学生ぐらいです。それでいてネットとかで色々詳しく知ってるクラスメイト達の猥談をよく分からないながらも多少耳に入れている感じをイメージしてもらえばいいんじゃないかな……
フリーレンが魔法を使った日から、数日が経過していた────
この数日間、フリーレンは食事などの最低限必要な行為を除いて自室に殆ど籠りきりになり、魔法の解除の方法を探し最善を尽くした。
その結果、フェルンからはかなり怪しまれてしまったように思われた。ただ魔法の研究にのめり込むだけならこれまで何度もあった事のため、フェルンも多少小言を言うくらいで大して気にとめなかっただろう。
しかし今回のフリーレンは、可能な限りフェルンとの接触を避けるようにしていた。理由はもちろん、フェルンと顔を合わせてしまうと、男性器が大きくなってしまうためである。魔法を使った事をフェルンに知られたくないフリーレンは、フェルンから勃起を隠さなくてはならず、そのためにはフェルンとの交流を最小限に控える必要があった。
しかしそれでも、食事などではフェルンの事を意識せざるを得ない時がある。その時は、なるべくフェルンの身体に意識を向けないように努めなければいけないのだが、ついつい無防備に揺れ動く大きな胸やお尻に目がいってしまい、その度に力強く直立するペニスを必死に隠し、落ち着くのを待たなければならなかった。
そんなフリーレンにとっては危険に満ちたフェルンとの関わりだったが、だからといってそれらを全く断ったりするのも流石に気が引けた。突然そんな事をすれば怪しまれてしまう可能性が高いし、それにそもそもこの事態は魔法を作ったフェルン自身ではなく、厳重に管理されていた筈のそれを勝手に使ったフリーレン自身の不用意さに殆どの原因がある訳なのだから。
そんな考えのもと苦労しながらも数日の間魔法の解除に専念したフリーレンだったが、その数日の努力の成果は全くもって芳しくないと言わざるを得ないものであった。
(全然駄目だ……)
そもそも、勃起した状態になると大きくなったペニスが服に擦れて動きづらいし、まともに思考も働かなくなるしで何も手につかなくなる。フェルンの事を意識するのは不味いと分かってからも、理性とは裏腹にどうしてもフェルンを思い浮かべてしまう。しかも、フリーレンの中にその度に生まれる強烈に何かを求める衝動は、着実に蓄積され大きくなっていっているような気がしていた。
(なんでこんなに分からないんだろ……やっぱりあの変な文字で書かれた魔法だから駄目なのかな……)
やはり魔法を発動させたあの時と同じく、解除にももう一度フェルンのノートが必要で、それ無しではもはや不可能なのではないか。そんな諦めに近い感情が、漠然と自分の中でどこか限界が迫ってきているように感じているフリーレンの中で沸き起こっていた。
しかし、ノートを覗き見た事を隠すために再びノートを覗き見るというのは、なかなかに馬鹿げた話ではないのか。そんな風に思ってしまい、その方法はフリーレンは最後の手段のように考えてしまっていた。
結局の所、事態の解決のため取るべき最善の行動はフェルンに打ち明ける事であるのだろう。
しかし、自分の中の欲求が強まっていくにつれ、これまた漠然とではあるがフリーレンにはひとつ、解決手段となり得るかもしれない方法が浮かんできていた。それも、魔法をわざわざ解析せずとも効果を損なわせる事ができる可能性があるもの。
そもそも魔法に限らず技術というものは、何らかの目的を達成するために生み出されるのだ。だから、魔法の目的を達成させてやればよい。そうすれば、手間のかかる解除という方法を取らなくて済む。
では、フェルンの魔法の目的とは一体なんなのだろうか? それがフリーレンにはどうしても分かりそうになかった。
とはいえ、ペニスという産物が実際に現れているのだから、そこが問題になるとは限らない。フェルンの考えを推し量れずとも、男性器の持つ役割を実行させられれば、それで良いのだから。
即ち、フリーレンの持つ解決法とは、『射精を行えば役目を終えたペニスは消滅するのではないか?』という発想である。
夜、フェルンが既に眠りについたであろう時間。フリーレンは自室のベッドの上に腰掛けると、下着を下ろした。脚の間にはここ数日で見慣れてしまった逸物が鎮座している。既にフリーレンは、ペニスが持つ本来の機能、射精を行う事を決めていた。
そもそもフリーレンの持っている性知識は非常に曖昧なものと言ってよい。
しかしなんとなく男女がこっそりと触れ合い、互いの生殖器を出し入れすると赤ちゃんができるらしい事くらいは理解している。そして、自慰行為なるものを行う事で、擬似的に性行為のような感覚が得られるらしい事もどこかで聞いたことがあった。フリーレンはそれを自分でした事はなかったが、千年も生きていれば、ある程度下世話な会話を耳に入れる事もあり、実際にその目で射精を見た事があるわけではなくとも、断片的ながら大まかな理解は持っているつもりだった。
(これでフェルンに頼らずに解決できるんだったら、それで全部丸く収まるよね……)
フリーレンは自分の持つ曖昧な知識を脳内で必死で掘り起こしながら、ペニスをそっと手のひらで包みゆっくりと上下させ始めた。
「んっ……くすぐったい……?」
少しの間動作を続けてみたが、こそばゆい感触があるだけで特にこれといって自分の中に変化は見られない。
(たしか、精液?がオチンチンから出てくればいいんだよね……これで合ってるのかな)
(……もっと大きくしなきゃ)
魔法に熱心だったフェルン、おいしいご飯を作ってくれるフェルン、よしよししてくれるフェルン……
いつの間にか大きくなっていたフェルン。身長も迫られて、胸もお尻もムチムチに成長して……
毎朝布団を抱きしめて起きるのを渋るフリーレン。それを引き剥がすためにフェルンに抱きしめられ、立派な胸をぎゅうっと押し付けられて起こされるのだ。
(フェルン……)
普段は特別意識する事もないはずの行為が、今は胸を締め付けてくる。
「でっか……」
この数日でドキドキしてしまった弟子とのあれこれを考え出したとたん、ペニスがみるみる剛直と呼べる姿に変化した。巨大になったそれをしっかりと握り直すと、上下の動作を再開させる。
(そっか…えっちな事を考えればいいんだ……)
よくよく思えば当然の事だった。擬似的にえっちな感覚を得るのだから、心の中でもそれに即したイメージを持つのが重要。魔法使いとしては気づくのが遅かったと少し悔しい気分だった。
そうしてフリーレンは、興奮を維持したまま自慰をしばらくの間続けていく。
「んっ……ふっ……」
すっかり太ましく立派に勃起したペニス本能の赴くままに扱き続けると、フリーレンのペニスに変化が現れた。
「うわ、もう何か出てきた……」
恐る恐る指先ですくい取ってみると、ここ数日で既に何度も目にしていた滑りのある透明な液体だった。
「精液とは違うんだっけ……?確か、白っぽくて、もっとドロドロした奴なんだよね…」
これが精液だったのなら、とっくにペニスが消えていないのはおかしい。そう判断して、フリーレンは手を動かし続ける。すると、透明な液とペニスが絡み合い、くちゅくちゅと動きに合わせて水音が混じり、フリーレンに少し痺れるような、心地よくもある刺激がやってきた。味わった事のない感触に少しゾクっと総毛立つような思いだ。
「なんか……ぞわぞわする……」
フリーレンは少しずつ手を速度を速めていった。
「んっ……ぁ」
このまま擦り続けてどうなるのか知りたい。ただ本能と胸に宿った情熱の赴くままに従い、搾り上げるようにペニスを握る力を強め、行為は激しさを増していく。
「あっ……あ、あっ……♡」
すっかり息が荒くなって、次第に声が溢れるようになった。
(なにか……上がってきてる……熱いのが……)
数日間、極上の身体を持つ雌を前に悶々と溜め込み続けた、強烈に奥から込み上げてくる何か。
「フェルン……フェルンっっ♡♡♡」
自分でも意識せずに、フリーレンは本能的に弟子の名を呼んでいた。
胸がぎゅうっと締め付けられ、身体の奥底から湧き上がってくる未知の感覚に、期待感と恐怖感に同時に襲われ、しかし勢いに身を任せたフリーレンは手を緩める事はもはやない。
(来るっ……凄いの来ちゃう♡)
限界まで注がれ続けた水が入れ物から溢れ出すように、蓄積された興奮と快楽が絡み合って──────
─────遂にフリーレンにその時がやってきた。
「あ゙ぇっ♡♡はぁ゙うぅっ♡♡♡♡お゙お゙ぉっっ♡♡」
びゅうううっと音が聞こえるのではという程の猛烈な勢いで、フリーレンの男根から大量の精液が噴射された。
眼前をチカチカと星のような光が飛び交ったと思えば、痛みとも熱さとも、痺れとも快楽とも判別のつかない感覚身体中を駆け巡っる。腰をガクガクと跳ねさせ、噴水のように溢れ出る精液を手で抑えようとするが、小さな手ではとても勢いを抑えきれない。
「あ゙っ……ああ゙ぁ……♡♡」
早々に精液があたりに飛び散るのを諦めたフリーレンは、千年の生で味わったことのない濁流のように襲い来る快楽に、腕で掛け布団を固く抱き締めて、ひたすら耐え続ける。皺無く手入れされていた掛け布団が、力を加えられてぐしゃりと形を歪めた。何日も弟子の身体に対して発情し、溜め込んでいた特濃の精液はもはや一部が固形で、ビクビクと跳ねる肉棒から弾力に溢れたゼリー状の白濁液の塊が尿道からひり出されるたびに、脳にバチバチと強烈な刺激が送られ、性を知らない無垢だったフリーレンの身体に雄としての快楽が刻みつけられていく。
思考がまともに働かない。もう何も考えられない。
快楽に呑まれた意識のどこかでフリーレンは、それから数分の間自分の性器からずっと精液が噴射され続ける光景を、呆然として眺める事しかできなかった。
やがて射精を終え、尿道から精液を最後の一滴まで出し切られた瞬間、フリーレンの身体は力尽きるようにベッドへと沈み込んだ。部屋にはただ荒い息遣いだけがうるさく響いている。倒れ込んだフリーレンは、酷い姿だった。視点は定まらず、涎と涙を零し、あまりにも情けない有り様。
「う……ぁ…」
辺り一面にベッタリと飛び散った自分のザーメンに囲まれ、グッタリと倒れ伏し余韻に打ち震える事しかできないフリーレン。しかし突き動かされるように、気づけばフリーレンは再びペニスを握りしめていた。やや萎んではいるものの、まだまだ力を保っていたペニスは数度擦っただけで先程の快感を思い出し、硬さを取り戻す。
もっとこの気持ちよさを知りたい。味わいたい。
そんな思考に突き動かされ、手コキは先程よりも荒々しさが増して、一心不乱に手を上下させ始める。
「はぁ…はぁ…っ」
この時フリーレンの頭の中に魔法の解除の事など無くなっており、先程味わった快楽を再び求める浅ましい欲求のみに支配されていた。自分自身でも、もはや何をしているのか理解していない。ただフリーレンの頭の中にあったのは、弟子の姿だった。
「フェルン……」
名前を呼ぶだけの変哲のなかった筈の行為が、フリーレンの胸にどうしようもない熱を宿らせ、途方もなく甘美な行いのように思わせた。そしてフリーレンは、再び手を上下させ始める。フリーレンにとっての、長い夜が始まった。
「おひゅっ……あっ……でりゅ……っ♡♡んぅ゙ゔゔゔっ♡♡♡」
濁流のように溢れ出す精液に布団の中が満たされていく。フリーレンは現在、身体の全面の掛け布団に上から抱きつくような体勢で、腰を押し付けていた。身体の下敷きにした布団の折り重なった部分にペニスを挟み込み、布団の上から自分の体重を乗せ圧迫して腰を振る行いは、まるで擬似的なセックスのような形に見える。性知識に疎いフリーレンにそのような考えは無かったが、弟子の柔らかく肉感的な肢体を思い浮かべるうちに、いつしか掛け布団を弟子の身体に見たてて抱きしめる形での射精を繰り返すようになっていた。
「はぁ……はぁっ……フェルン……♡♡」
力強く抱かれ続けた掛け布団はグシャグシャに皺がついて、内側は粘性の強い精液で満たされ、あんまりな有り様だった。しかしそんな苛烈な自慰を何度繰り返しても、まだまだフリーレンの欲求が治まる様子はない。
(あ、ぁ……おちんちん……気持ちぃ……♡♡ こんなに気持ちいいの、知らないっ……♡♡♡)
「あっ……♡腰っとまんないぃぃ゙♡♡」
もはや理性などなくフリーレンは夢中で腰を振り、布団を犯し続ける。身体の熱が抜け切るにはまだまだ時間がかかるようだ。
「あっ……ぅ…」
窓から入り込む強い日差しを浴び、変わり果てたベッドの上でフリーレンは目を覚ました。
あれからもはや思い出せない程の回数、何度も射精を繰り返した末にフリーレンは気絶してしまっていたらしい。
フリーレンの部屋は、目を覚ましたフリーレン自身が思わず言葉を失う程に酷い惨状であった。
「うっ……ひどい臭い」
部屋中にむせ返るような性臭が充満している。恐る恐る見回せば、ベッドの上をはみ出して壁や床などにまで大量の白濁液がベッタリと飛び散っていた。
一晩中に渡って自慰行為を繰り返した事で、流石にフリーレンの中からは性への欲求はかなり小さいものとなっている。
しかし下半身に残るジンジンとした痺れのような感覚が、何度も繰り返し体感した快楽をフリーレンの身体に思い起こさせた。
「あ……」
そして、その快楽を散々生み出した逸物のあった場所に目を向けた時、フリーレンの心には絶望が浮かんだ。
(あんなに出したのに……)
当初の姿と異なり力なく垂れ下がっているが、そこには消滅せずに変わらずしっかりと鎮座しているペニスがあった。
途中からは頭から抜け落ちてしまっていたものの、肝心な当初の目的であった男性器を失くす事は完全に失敗だった。
(…………身体重い……)
とはいえ、いつまでもじっとしていられる状況ではなかった。昼になれば、フェルンが寝ているフリーレンを起こしにやって来てしまう。もはや自分一人での事態の解決は不可能であると突きつけられたような状態ではあるが、とはいえフェルンに打ち明けるかどうかはともかくとしてこの惨状を放置しておいて良い事にはならない。できる限り早くどうにかして後始末を付けなくてはならなかった。
「なんとかしないと……フェルンが来る前に……」
既に外はかなり明るくなっており、昼にまではまだ余裕はありそうだが時間にそう余裕はないと判断する。力を振り絞り魔力を使い果たした時のように重たい身体を必死で起こすと、自分の魔法をフル活用してどうにか昨晩の行為の証拠を隠滅に取り掛かった。
無心に近い気持ちでひたすらに魔法を発動しながら、フリーレンは思考する。自分は一体なにがしたいのか。どうしたいのか。この数日でフリーレンは、自分がこれまでの生で重ねてきた自分が全く別の自分になってしまうかのような感覚を抱いていた。昨晩などまさにその最たるものだろう。今はかなり落ち着いているが、今後は果たしてどうなってしまうのか予想がつかない。
そしてもう一つ大きな気掛かりであるのが、弟子の存在。
(私はフェルンと、どうなりたいんだろう……)
しかしフリーレンは、それ以上を明確に考えてしまえば取り返しのつかない事になってしまうと本能的に直感し、思考を切り上げると部屋の清掃に専念する。
しかし弟子についてを意識した瞬間、フリーレンの身体の奥底には再び熱が籠っていた。
あの後、大急ぎで清掃や脱臭の魔法を何十回も発動して、フェルンが部屋にやってきた時にどうにか誤魔化す事ができた。しかしフリーレンは、フェルンの尻の大きさに思わず再び興奮してしまい、朝食(時間的には昼食)を残して部屋に逃げ帰ってしまった。相当に欲求が落ち着いたと思われたのに、フェルンをいざ目の前にすると性欲が底無しかのようにペニスが反応してしまう。
それに、食事だけでなくフェルンがフリーレンの部屋に起こしに来た時のやり取り。フリーレンに密着した際に顔にかかる艶やかな紫の髪の色、クリっとした瞳、愛らしい唇の質感。心配げにフリーレンの顔を覗き込んできたフェルンの姿を思い返して、フェルンの全部にフリーレンは股間を硬くしてしまう。
思わずゴクリと息をのむ。
私はフェルンと性行為が、したい。
頭の中で言葉に起こすと、自分ではよく分からないままぐちゃぐちゃに渦巻いていた欲望が確固たる方向性を得て、より確かで強烈な欲求へと変貌していく。男性器が今までにないほど強固に力強く張り詰めたものとなった。
「あ、ぁ……っ」
フリーレンの我慢は限界に近かった。しかしそんな時、部屋のドアを背にしてヘタリ込んだ体勢だったフリーレンの後ろからトントン、ドアが突如ノックされた事に驚き、フリーレンは思わず身を跳ねさせた。
『フリーレン様……お話させていただきたい事があるのですが、宜しいでしょうか?』
「フェルン……?」
それは、フリーレンが突然席を外して食事を切り上げた事を心配してやってきたフェルンだった。
(この扉1枚隔てたすぐ向こうに、フェルンが……)
そう意識した途端、フリーレンはそっと自分の服の中に手を潜り込ませて、ペニスに触れていた。
「あっ…ん」
(何、やってるの……気づかれたら、駄目なのに…)
今朝あれだけ重たく力尽きていた筈の嘘のように手の中の男性器はみるみる活力を取り戻している。
(こんな事してるのバレたら……)
布擦れの音がフェルンの耳に届いてしまうかもしれないにも関わらず、ペニスを扱く手の動きは止まらない。いけないとわかっている状況が、フリーレンの興奮をエスカレートさせた。
(フェルン……フェルン…………♡♡)
手の届く距離にフェルンが居る。
少しの厚さの板1枚越しに、鎮めようと思いつつも漏れてしまう息遣いの音も、手を動かし続けて発生する僅かな布擦れの音も、フェルンの耳に届いてしまうかもしれない距離。そんな状況と頭では分かっているのにペニスは自重する様子はまるで見せず、逆に固さを増して命の源の生成に勤しみ、強烈な生命的脈動に脳が支配されていく。
『フリーレン様……私にひとつだけ教えていただけないでしょうか……』
扉越しのフェルン言葉はもはやフリーレンの耳に入らない。
(もう……限界……)
「はーっ……はーっ♡」
これは仕方がない事だ。魔法を解除するために手を尽くした。それでも駄目だった。もう、一人で解決する事はできない。この込み上げる熱情も、胸が苦しい想いも、全部全部魔法のせいだ。
だから……許されてもいいのではないか。
そもそもフェルンが作っただろう魔法なのだ。
今はただ、張り詰めた感触から解放されたい。それ以外の事は考えられない。
フェルンが欲しい。
でも…
それは…
様々な言葉がフリーレンを押し留めようとするフリーレン自身の理性により投げられたが、それらを自分で切り捨てていった。理性の糸がひとつひとつ切れていって、完全に身を堕とそうとした。
内なる衝動を解き放つべくドアを開けようとしたその時、フェルンの発した意外な言葉により、フリーレンの行動はすんでの所で妨げられる事となった。
『フリーレン様は、私を嫌いになってしまわれたのですか?』
「………え?」
一体なんの話しをしているのか? 完全に予想外の質問をフェルンから受けて、フリーレンの思考が一瞬停止する。
(私がフェルンを嫌いに? なんで……?)
そして、一体なぜフェルンはそんな考えに至ってしまったのか。湧き出た疑問によって、邪な感情に支配されていたフリーレンは少しずつではあるが我に返り、落ち着きを取り戻していった。フリーレンはひとまず、一番の疑問であるフェルンの発した言葉の真意を尋ねる。
「えっと、フェルン……一体どうしてそんな事を思ったのかな」
『だって……フリーレン様はここ数日、ずっと私の事を避けていますよね? ついさっきだって、私が近づいただけで離れていってしまいました……』
「そ、それは……」
誤解だ、と言おうとするが、では何故なのかと理由を問われた時の言い訳が思いつかず、言葉に窮してしまった。そんなフリーレンの様子に余計に声を沈ませたフェルンの話が続く。
『それに、それ以外でもフリーレン様のご様子がおかしいように見受けられました。その……フリーレン様はあまり具合がよろしくないのかと思い……それについて私に仰ってくださらなかったのは、フリーレン様の私に対する信用が損なわれてしまったからなのだと……』
「あ……」
確かに、ここ数日はフェルンから何度も身を案じる言葉を貰っていた。しかしフリーレンは勃起を隠すのに必死で、そうした自身の態度がフェルンを思い詰めさせてしまっていた事にようやく思い至った。
『私、この数日の間考えていました。これまで私はフリーレン様の気持ちを軽んじていたんじゃないか、私の身勝手な押しつけで窮屈に思わせてしまっていたんじゃないかって……』
「べ、別にそんな事ないよ……?」
更に悩んだフェルンは自身の日頃の態度にも原因があったと思い込んでしまった。
確かにフェルンはフリーレンに対し多少厳しい態度を見せる事もあったが、自分の自堕落さに問題があるのはフリーレン自身も認めるところであるため、それを咎められたとしても不快になど思う事はなかった。
まぁ確かにこの数日フェルンの影響で、フリーレンの身体の特定の部分が物理的に非常に窮屈だったかもしれないが。
「だから、私がフェルンを嫌いになっちゃったって思ったの?」
『……はい』
「そっか……」
フリーレンにそんなつもりは毛頭なかった。しかし、自分の軽率な行いが原因で
波及してしまった。
『フリーレン様……私は怖いのです。覚悟していたとはいえ、ハイター様が亡くなってしまって…誰かと離れ離れになるのが、怖くて堪りません。ですが、フリーレン様は違うと思っていました。長命で魔法使いとしても私よりずっと上のフリーレン様が、私の前からいなくなってしまう事はないと……』
『でも、そんな想いがいけなかったのですね。死以外の他の理由でも、誰かとの関係が切れてしまうなんて全然有り得る当たり前の事なのに……勝手な考えが驕りに繋がって、フリーレン様に嫌な想いをさせて……』
『フリーレン様、私に改善できる事がございましたら、遠慮せず仰ってください。悪い所があったのなら直してみせますから……』
「フェルン……」
(私のせいだ…)
フェルンの気持ちを軽んじていたのは寧ろ自分の方だった。
ハイターの死で不安定になっていた事に気づいてあげられなかった。年に見合わず大人びた子だったけれど、フェルンはまだまだ子供なのだから。自分が支えになってあげなければいけなかったのに。
上手く喋る事ができない。どう言葉にしていいのか分からない。この時フリーレンにできたのは、ただ自分の一番伝えたい事を伝える事だった。
「フェルンを嫌いになんてなるわけないよ」
『……ありがとうございます……私がお力になれる事があれば、なんでも言ってくださいね。フリーレン様』
フリーレンには、自分の言葉にフェルンがどんな顔をしたのかは見えない。確かめる勇気もなかった。フェルンは少しの間その場に留まっていたが、どちらも会話は無く、その内足音が遠ざかっていくのがフリーレンに聞こえた。
(なんでもって……言われても…)
フェルンが去っていった後で、ドアを背にしたままのフリーレンには様々な感情が渦巻いていた。
フリーレンのペニスはとうに威勢を失い、先程の邪に支配された状態ではなくなり理性的な思考が可能となっていた。そして、フェルンの言葉に自分がどう応えるべきなのか、フリーレンは考えるが、しかしその解には窮してしまう。
ここに来てまでまだフェルンを頼らない選択は、まさしくフェルンの気持ちに足を向ける所業ではないのか。今からでも、フェルンに全てを打ち明けるべきなのでは。
しかし、フリーレンには大きな懸念が存在した。
今はもうフリーレンは先程までの欲望に支配されていた状態ではなく、落ち着きを取り戻していた。そして改めてつい先ほどの自分を振り返り、激に背筋が冷たくなっていく。
”私はフェルンに一体、何をしようとしていた?”
今のフリーレンが下手にフェルンと関わっては、抑えが効かなくなってしまう可能性が高い。扉越しに存在を意識するだけで、あんな風になってしまったのだから。あの快楽を体験する前なら問題はなかったのかもしれないが、それは今考えてもどうにもならない事だった。
(どうすればいいんだろう……わかんないよ)
フリーレンにとって何よりも恐ろしいのは、次に欲望に支配された時の自分がフェルンを傷つけてしまう事だった。
そんな不貞を働いてしまった暁には、フリーレンはフェルンは勿論、かつての仲間達にも永遠に顔向けできなくなってしまうだろう。そうした懸念が、フリーレンの歩み寄りを踏みとどまらせていた。
「私だって、失いたくなんかないよ……」
考えた末、フリーレンはフェルンにはまだ自分の状態を隠し続ける選択をした。
(最後にもう一度あのノートを見るんだ……それで、解呪の方法を探そう。もう一度だけ自力での解除を試みて、それで無理だったのなら、全部フェルンに打ち明けよう)
(全部とはいえなくても、それで丸く収まる筈だから……)
次回、本番えっち。