多輝の渡した工具の中から細いドライバーを選んで由梨佳が作業を再開する。多輝はまるで子供のように由梨佳の手元を覗きこんでいた。ヒューマノイドの女性器部分のメンテナンスは別に珍しくはない。特にメイドタイプと呼ばれるヒューマノイドについては女性器部分のメンテナンスは頻繁に行われる。なのに多輝はまるで初めて見るような新鮮な気分で由梨佳のすることをじっと見つめていた。
内陰部のカバーを外したところで由梨佳が顔を上げる。多輝は言われるままに手の中に小さなビスとはめ込み型のクリトリス部分を握りこんで目を上げた。露出した女性器ユニットをまじまじと見つめる。由梨佳が指で膣口部分を探る。どうやら合成愛液を分泌させるためのバルブの調整がきちんと出来ていなかったらしい。そのことを知った多輝はそうか、と内心で呟いた。確かに由梨佳の陰部は少しも濡れていなかった。指先で小さなバルブを回してから由梨佳がにっこりと笑う。
何で気付かなかったんだろう。いつもしてた筈なのに。そう思いながら多輝は手の中に大事に握っていた部品を一つずつ由梨佳に手渡した。ドライバーを器用に操って由梨佳がカバーを留めていく。きっちりとカバーがついたところで多輝は言われるままに残っていたクリトリスの部品を指定箇所にはめ込んだ。
相手がどれくらい感じているかを確かめている余裕がないくらいに夢中になっていたのだ。そのことに多輝はこの時点でようやく気がついた。
「ありがとう……」
恥ずかしそうに由梨佳が言う。ううん、と首を横に振ってから多輝は由梨佳に笑みかけた。いそいそとクリトリスにカバーをはめ込んだ由梨佳が続いて大陰唇の部品を股間にはめ込む。最後に小陰唇の部品を嵌めてから由梨佳がクリトリスを指先で弄る。するとそれまで乾ききっていた膣口から透明な愛液が滲み出した。
「あ、片付けてくる」
多輝は広げたままだった工具を一まとめにしてベッドを降りた。チェストの引き出しにそれをしまいこんでからベッドに戻る。
「あの、おかしくなかった?」
いつの間にかベッドに正座していた由梨佳が消え入りそうな声で言う。多輝は不思議に思いながら首を傾げた。
「何で」
向かい合う格好で胡座をかいてから多輝は由梨佳の顔を覗き込んだ。
「その……感じたり、濡れたりする仕組みを、多輝くんに見られて、私は凄く恥ずかしかったから。結構単純なメカなんだなあとか」
頬を染めながら由梨佳がおずおずと告げる。それを聞いた多輝は困惑に顔を歪めた。もしかして不躾に見すぎてしまったのだろうか。
「あの……もしかして、見ない方が良かったか?」
不安になりつつ訊いた多輝の声は尻すぼみになった。すると慌てたように由梨佳が首を横に振る。
「そんなことないわ! 凄く恥ずかしかったけど、多輝くんとても楽しそうだったし。恥ずかしいのと嫌なのとは違うから!」
勢い込んで言われた多輝は目を丸くした。どう応えればいいのか判らずええと、と言葉を濁した多輝を由梨佳が真剣に見つめる。しばし答えに困ってから多輝はぼそぼそと小声で言った。
「……由梨佳が嫌じゃないんなら……見たいかも」
恥ずかしさに俯いてしまった多輝に由梨佳がにっこりと笑みかける。多輝は恐る恐る目を上げたそこに由梨佳の笑みを見つけてほっと息を吐いた。だがすぐにまた俯く。
慣れている筈なのにどうしても照れくさい。多輝は消え入りそうな声で続けた。
「あの、そろそろ続き、していい?」
裸で向かい合っているだけでたまらないものがこみ上げてくる。多輝は無意識にペニスの張りつめた股間を手で覆い隠していた。由梨佳がそんな多輝の手元を見つめて慌てたように頷く。
「ええ。もちろんよ」
焦った口調で言ってから由梨佳がベッドに横になる。先ほどと同じように大きく足を左右に開いた由梨佳に多輝はじりじりと這い寄った。股間を覗き込もうとしてからふと気付く。
「あ。まだキスしてないな」
そう言ってから多輝は由梨佳に手を伸ばした。だが頬を手で包んだところで硬直する。赤く薄い唇を間近に見たところで動けなくなった多輝に由梨佳が不思議そうに声をかける。
「どうしたの?」
「あー……ええと」
呻くように言ってから多輝は続けて早口でまくし立てた。
「キスしていいか!?」
勢いよく言った多輝をしばし呆気に取られたように見つめてから由梨佳が吹き出す。多輝は真っ赤になって唇をへの字に歪めた。
「もちろん、いいわよ」
膨れた多輝とは正反対に由梨佳が冷静に言って目を閉じる。多輝は覚悟を決めて由梨佳に唇を寄せた。これまでに口づけくらい散々に交わしている筈なのに、何故か手が震える。軽く触れるだけの口づけをしてから多輝は急いで顔を上げた。由梨佳が不思議そうに瞬きをしている隙にさっさと身体を屈める。照れた顔を見られたくなくて多輝は急いで由梨佳の股間に頭を寄せた。
「もう、多輝くんってば」
由梨佳の小さな笑いを耳に捉えて多輝はうるさい、と小声で言い返した。どうしてこんなに恥ずかしいのか、自分でもよく判らないのだ。多輝は仕返しのつもりでまじまじと由梨佳の股間を覗きこんでから目を見張った。
「わ。凄い濡れてる」
思ったままを口にしながら多輝は恐る恐る由梨佳の陰部に指で触れた。さっきまで乾ききっていた陰唇部分はすっかり濡れそぼっている。愛液にぬめる陰唇を多輝は指先で軽くつついた。その度にぴくりと由梨佳の肌が震える。
この2人のシーンは長くなる傾向がある気が……。
修正はしていませんが、ざっと読んでは青くなる作者。