一応、これでもラスティは女なので……男女のエロです。
外ではのどかに小鳥が木に止まってさえずっている。家のすぐ傍を流れる小川のせせらぎもとても穏やかだ。この時期は特に小動物がさかんに森の中を動き回る。ほのぼのとした景色が外には広がっている筈なのに、とラスティは歯軋りした。
「だから何でいつもお前は俺を縛るんだよ!」
裸でベッドに拘束されたラスティは声を裏返らせて喚いた。眠っている間にいつの間にかベッドの支柱に手をくくりつけられていたのだ。ベッドのすぐ傍に立っていた常磐が縄を手の間で張る。
「お前が暴れるからだろう」
きっぱりと言い切って常磐が手にした縄で手早くラスティの足をくくりつける。止めろと喚いたラスティは反射的に自由になる方の足を蹴り上げた。だが常磐があっさりとそれを避ける。
「俺は寝てただけじゃねえか!」
膝で折られた格好で縛られた片方の足を睨みながらラスティはそう喚いた。
「確かに、寝て、いたな」
低い声で答えて常磐が嗤う。その嗤いを見止めたラスティはぎくりと肩を竦めた。頬を引きつらせたラスティを常磐が冷ややかな目で見下ろす。
「いや、あの、あれは……」
札を使ったゲームに興じながらラスティは昨晩、機嫌よく酒を飲んでいた。周りにたかっていた女の一人がラスティに誘いをかけ、興味を覚えたラスティはその女について行った。酔っ払っていたラスティはそのまま女とベッドに入ったのだ。
「俺は別に構わん。しかし、二藍を泣かせるのはやめろ。遊ぶなら見つからないように上手くやれ」
「待て! 俺は女と寝ただけだろう! 何でそこで二藍が関係するんだよ!」
しかも俺はめいっぱい女だ! そうラスティは思ったままに喚き返した。すると縄を手にしたまま常磐がぴくりと眉を跳ね上げる。それを見取ったラスティはぎくりと首を竦めた。
「あれは既にお前無しでは存在できない。お前がそういう風に不用意な一言を洩らすだけで、あれの存在は揺らぐ」
「うっ」
無表情に言われてラスティは思わず言葉に詰まった。その間に常磐がさっさともう片方のラスティの足を縛り付けてしまう。両足を縛られ、あられもない格好をさせられたところでラスティははっと我に返った。
「い、いや、今のは俺が悪かった。謝る。だけど何で常磐が俺を縛らなきゃなんねえんだよ!」
常磐と夫婦になってから随分と時間が経つ。それまでに子供も出来て既にその子供は独り立ちもしている。見た目には二十代の若さを保っている二人だが、実際には長い年月を生きているのだ。
ここは龍宝珠界。龍神と呼ばれるものたちの持つ、龍宝珠が生きる世界だ。
「先ほど、一つ目の理由を言ったな。あと二つ理由がある。聞くか?」
ラスティの両の膝をベッドの支柱にくくりつけながら常磐が淡々と言う。ラスティは引きつりながら嫌だ、と呟いた。だがそんなラスティの言葉を無視して常磐がそうか、聞きたいかと勝手に頷く。
「お前、縛られたほうが感じるだろう?」
「うっ!」
言葉に詰まったラスティの顔が真っ赤になる。ラスティは唇を噛んで常磐を睨んだ。誰のせいだと思ってやがる、とぼそりと呟く。だがそうしつつもラスティは焦れたようなものを感じていた。
「三つ目の理由は簡単だ。単なる俺の趣味だ。暴れるお前を抑えるために縛っているうちに、縛ることが趣味になってしまったからだ」
胸を張って常磐が言う。それを聞いたラスティは真っ赤になって怒鳴った。
「結局、てめえの趣味なんじゃねえか!」
続けて常磐を詰ろうとしたラスティは急に口を噤んだ。美しい翠色の髪と目を持つ常磐につい見入ってしまう。常磐はベッドにくくり付けられたラスティに静かに近付いた。
「不満なら。別にやめてもいいぞ」
囁くように言いながら常磐がラスティの胸に手を乗せる。ラスティは息を詰めて軽く眉を寄せた。
つい最近までラスティの身体は身長や体重以外、つまり性的な女性としての特徴がまるでなかった。女性特有の乳房はなく、陰部も男性を受け入れる形をしていなかったのだ。が、漸くラスティの胸もささやかではあるが膨らんできている。僅かなその膨らみを優しく撫でられてラスティは思わず吐息を漏らした。
「お前の抗議に免じて、ここまでで許してやろう」
そう言って常磐が屈めていた腰を伸ばす。ラスティは慌てて常磐を見た。
「えっ、な、なんで途中で止めるんだよ!」
思わず本音の声を漏らしてラスティは慌てて口を噤んだ。これではまるで自分が縛られてするのが好きといっているようなものだ。
「なんだ、続けて欲しいのか? お前が文句をつけるからてっきり止めてほしいのかと思ったぞ」
わざとらしくしれっとした顔で常磐が言う。ラスティは歯軋りして唸るように言った。
「生殺しだろうが、これじゃ」
感じ始めて疼きだした身体を持て余してラスティは常磐を睨みつけた。
ラスティの胸にはささやかな膨らみ始めの乳房がある。だが本当にささやかなので服を着てしまえば外からは全く判らない。触れたところで恐らく誰もそれが乳房だとは思わないだろう。その程度のごく小さな膨らみをラスティは自分で見下ろしてみた。淡い桃色の乳輪の真ん中にぽつんと小さな突起がある。まだ育ちきっていない乳首だが、それでもそれなりに勃っている。
ラスティはそのまま視線を落としてあられもなく剥き出しにされた自分の股間を見た。まだラスティの股間は無毛のままだ。つるんとした肌の間には包皮に隠れたクリトリスがある。その下の秘裂の潤いを感じ取ってラスティは思わず身震いした。ついつい熱っぽいため息が出てしまう。縄で手足を縛られたラスティはもどかしさにぎこちなく身じろぎした。
ラスティ視点だと自分で自分を観察させないと書けない件。