「多輝くんって、もしかして、あの吉良瀬財閥の関係者なの?」
「ええと」
どう言えば判り易いのだろう。そう思いながら多輝は吉良瀬の当主の娘なのだと言った。だが今の男性をとった多輝の姿を見た由梨佳には今ひとつ実感出来なかったのだろう。首を傾げている。多輝は不安になりながら自分は女にもなれるのだと言った。
「私の体内データベースにはインプットされてなかったけど、性別の変更ができるのは龍神の特性のひとつなのね?」
「そう。おれの場合は突然変わることもあるんだ。まあ、だからって別に性格とか変わる訳じゃねえし……」
もしかしたら由梨佳に嫌われてしまうかも知れない。そんな不安から多輝は小声でそう説明した。由梨佳は記憶を殆どなくしているのだ。何も知らない由梨佳に説明するのは多輝にとっては勇気のいることだった。いつ、どんなことをきっかけに由梨佳の記憶が戻るか判らない。もし、下手なことを口走ってしまったら由梨佳はまた倒れてしまうかも知れないのだ。それだけは絶対に避けたい。
だが多輝の不安とは裏腹に由梨佳は明るい表情になった。
「私はべつに多輝くんが男でも女でもかまわないわ。ただ、体内データベースに記された組織図では女性となっていたから、びっくりしちゃって」
どうやら疑問が解けたという爽快感があるらしい。嬉しそうに微笑む由梨佳に多輝はほっとしながら頷いてみせた。ついでに手を伸ばしてずれかかった毛布を由梨佳の肩に引き上げてやる。どうも剥き出しの乳房を間近に見てしまうと股間が反応してしまうのだ。
「あっ、やだ。私ってば……」
多輝が何気なく自分の股間に目を落としたところで由梨佳もそのことに気付いたのだろう。真っ赤になる。多輝もつられて赤くなりながらええと、と言葉を濁した。だが上手い言い訳が出てこない。
「あの、フェラチオしてもいい? 身体のほうは修理が必要だけど、フェラチオなら大丈夫だから」
真っ赤になった由梨佳が上目遣いに多輝を見る。恥ずかしそうではあるが艶を帯びた視線で捉えられた多輝はぎこちなく頷いた。由梨佳が手を伸ばして多輝の手からカップをさらう。自分のものと揃えてカップをテーブルに置いてから由梨佳は肩にかかっていた毛布をベッドに落とした。
何も着けていない由梨佳の身体が露になる。多輝はそれを見てごくん、と生唾を飲んだ。自然と股間が盛り上がる。手招きをされて靴を脱いでベッドに上がった多輝の足元に由梨佳がちょこんと座る。
「それじゃあ、多輝くん、いくわよ」
そう宣言して由梨佳が身を屈める。服越しに股間を撫でられた多輝は思わず身震いした。開いた足の間に由梨佳が膝で寄る。されるがままに服を解かれた多輝のペニスが露にされる。慈しむように先端に口づけをされた多輝は熱い息をついて由梨佳の頭を撫でた。
「あんまり頑張らないでくれよな。すぐ出ちまいそうだ」
苦笑しつつそう言って多輝は由梨佳の顔を覗き込んだ。由梨佳がにっこりと笑って頷く。顔を伏せた由梨佳の口にペニスを含まれた多輝は目を細めて息を殺した。
「んうっ、くふっ」
吐息を漏らしながら由梨佳が多輝のペニスを静かに愛撫する。舌と唇でゆっくりと愛撫されるうちに由梨佳の頭を撫でていた多輝の手が止まる。堪らないものを感じた多輝の呼吸は自然と荒くなった。由梨佳の口にされているというだけで強い快感がこみ上げてくるのだ。
唇の環で優しくペニスを撫でながら細くした舌先でくすぐるように男茎を舐める。そんな由梨佳のゆっくりとした愛撫に多輝は思わず小さな呻きを漏らした。激しい刺激を与えられている訳ではないのに衝動がこみ上げてくる。多輝は自然と身を屈めて由梨佳の頭を両手につかんだ。
「ご、ごめん。もう、出る」
掠れた声で言って多輝は身震いした。由梨佳がペニスの根元までを大胆に口に含む。喉で扱かれた多輝は微かな声を漏らして射精した。熱いものが何回か由梨佳の喉に迸る。由梨佳は多輝のペニスを咥え込んだまま、精液を喉を鳴らして飲み下した。その様を目の当たりにした多輝の股間がまた熱を帯びる。きりがないな、と苦笑して多輝は由梨佳をそっと引き起こした。
「さんきゅ。すげえ気持ちよかった」
まだ射精の余韻の残るペニスに由梨佳が音を立てて口づける。こらこら、と笑って多輝は由梨佳の頭を撫でた。
「うふ、美味しかった」
ため息混じりに呟いて由梨佳が唇を舐める。多輝は恥ずかしさに赤くなって頭をかいた。射精したというのにペニスはまだそそり立っている。多輝はいそいそとペニスをズボンの中に押し込んだ。
「多輝くん。もういいの?」
不安そうに言った由梨佳に多輝は苦笑した。
「おれって底無しだしさ。やってたらきりがねえし」
気持ちよくて好きなんだけどな。そう付け足してから多輝はテーブルに手を伸ばした。カップを取って残っていた紅茶を飲み干す。
「龍神、ですものね」
にっこりと笑った由梨佳に頷いて多輝はカップをトレイの中に戻した。胡座をかいた足の上に由梨佳を抱きかかえる。
「多輝くん。データベース上では、私は多輝くんの侍女となっているわ。そして私をどうするか、その管理は多輝くんに委ねられている。これは間違いないわね?」
「恋人じゃまずいのか?」
多輝は真顔で由梨佳に問い返した。うっすらと赤くなった由梨佳が困ったように微笑む。
「組織図にそう書くつもり?」
くすりと笑いを零した由梨佳に多輝は少し拗ねた顔をしてみせた。唇を尖らせた多輝の額を由梨佳が指でつつく。
「私は多輝くんのものよ。多輝くんが私の事を恋人とだと言うなら、その通りよ」
「うん」
多輝は素直に頷いた。そうしてみるとこれまで随分と自分が肩肘を張っていたことが判る。由梨佳に対する時、素直でいるととても楽なのだ。
「さあ、身体を直さないといけないわ。まず、多輝くんは私の身体をどうしたいのか、教えてちょうだい」
多輝の腕の中で身体を丸めた由梨佳がにっこりと微笑む。多輝は由梨佳の髪を指で梳きながら頷いた。
由梨佳が居直った感じに見えますが、記憶がぶっ飛んでるから、ともいうか……。