エロシーンは……これはエロシーンなのかな?
機械的にはエロなんですけども(汗)
あ! 百合警報です!
ドアが小さく鳴る。渚の声に応えて姿を現した道代は真っ先に深く一礼した。
「ただいま、もどりました」
そう言って目を上げた道代が渚の脇にあったベッドを見て硬直する。渚はごめんなさい、と素直に詫びた。
「抱きたいのでしたら、きちんと申し出てからにしてください!」
そう渚に声を飛ばして道代が慌てたようにベッドに駆け寄る。
「眞子!」
だが眞子は道代の呼びかけには応えない。渚はすっかり萎縮してしまい、俯いてしまった。欲求に負けて眞子を壊してしまったという強い罪悪感に駆られる。詫びる以外のことを思いつけず、渚は再度、ごめんなさいと謝った。
「謝罪するのは眞子にお願いします。もし、直ったらですけど」
感情の完全に失せた顔で言って道代がどこかに電話をし始める。渚は所在無くベッドの傍らに佇んでいた。彼女たちは生身ではない。壊れれば二度と戻らないケースもあるのだろう。渚はそのことに改めて衝撃を受けた。眞子の申し出通りにしておけば良かったのだ。
「ええ、そうよ。……既に停止しているわ……協力? させるわよ! とにかく、すぐに回収に来て!」
慌ただしく電話をしてから道代が渚に向き直る。渚は戸惑いつつ道代を見つめた。
「波絵を、エンジニアタイプのヒューマノイドを呼びました。眞子の修理につきあってもらいます」
「でも、私、居ても何も役に立たないわよ?」
壊した責任をとって傍に居ろ、と言うのなら別に構わない。が、実際に傍に居たところで渚はヒューマノイドのことに詳しくはない。渚はそのことを戸惑いながら道代に説明した。すると道代が険しい顔で言う。
「場合によってはマスター登録してもらうかもしれませんが、かまいませんね?」
「私が?」
以前、水輝をマスターとして登録された時のことを思い出して渚は口を噤んだ。だが、それで眞子が直るのなら特に問題はないだろう。そう考えて渚は頷いた。
「渚さん、あなたは自分が何者か、わかってて行動してらっしゃいますか?」
「運命の扉、さだめを決める者。罪を裁き、浄化を担う者。……と言ったところかしら。だけれど」
渚はそこまで言って目を細めて道代を見つめた。
「判ったわ。彼女に関しては素直に詫びましょう。マスター登録すれば助かる、とあなたが言うのであればそれに従います。ですが」
風もないのにふわりと渚の髪が広がる。
「嘘はないのね?」
静かな声で渚は問い掛けた。扉が開き、慌ただしく一人の女性が駆け込んでくる。渚はちらとそちらを見てから道代に目を戻した。
「必要無いかもしれません。すべては眞子しだいです」
「判ったわ」
そう言ってから渚はベッドに横たわる眞子をじっと見つめた。自分の行動は軽率だったのだろう。今後はヒューマノイドには近づかない方がいいのかも知れない。ぼんやりとそんなことを考えていた渚の視界の隅で見知らぬ女性が作業を始める。
「もう、眞子ったら幸せそうな顔しちゃってぇ! と、渚さま始めまして。吉良瀬トータルソリューション健康保健室長の多野波絵です。よろしくおねがいしまぁす」
快活に喋った波絵がにっこりと笑う。渚はこちらこそ、と頭を下げた。ベッドに飛び乗った波絵は大胆に眞子のスカートをめくり上げて股間を覗きこんだ。まじまじと股間を観察しつつベルトポーチからドライバー等の道具を出していく。
「けっこう熱のダメージがあるわね。中はショート寸前だわ。気持ちよかったろうなあ。ってこの子もしかしてショーツ穿いてた?」
そう言って振り返った波絵に渚は無言のままで頷いた。ついでにバスルームで自分が脱がせたのだと告げる。ずり下がった眼鏡のつるを押し上げながら波絵は困ったような顔で笑ってみせた。
「道代。この子たちにショーツ穿かせて渚さんの前に出すなんて、壊れてくれって言ってるようなものよ。あんたみたいな高級品と違って機械式のユニットは熱に無茶苦茶弱いんだから」
黒縁の眼鏡の奥でくるくるとよく表情の動く波絵の目を見つめて渚は可愛い、とつい言ってしまいそうになった。慌てて口を手で押さえて何とか言葉を飲み込む。大き目のつなぎを着込んだ波絵は実際より小柄に見える。華奢な波絵がそういう服を着ていると妙に愛らしく見えるのだ。おまけに波絵の造作はこれまた渚の好みだった。
……水輝の節操のない部分が伝染したのかしら。心底、己の性癖を呪いながら渚はひくりと頬を引きつらせた。
「渚さんの前で、合成愛液垂れ流して足に伝わせるわけにはいかないと思ったのよ」
淡々と話をする道代をちらりと横目に見てから渚はこっそりとため息を吐いた。道代は先の二人と比べて可愛いというよりは綺麗な顔立ちをしている。すらりとした手足とめりはりの利いたプロポーションをしている辺りも、何故か渚の好みなのだ。ああ、と渚は内心で気弱なため息を吐いた。どうしてこう、ヒューマノイドというのは殺人的に人を悩殺してくれるのだろう。
「機械式ユニットは人工筋肉式の数倍はデリケートなのよ。あたしたちがどれだけ苦労してるか知らないからそんな無茶な指示が出せるのよ。あたしだって、保冷スティック挿してなかったら今ごろどうなってるか」
「はうっ」
波絵の言ったことをストレートに想像してしまって渚は力ない声を漏らしてその場によろけた。一度は落ち着いていた筈のペニスがショーツを破りそうな勢いで勃起しているのが判る。
「そうね。保冷スティックの使用は指示すべきだったわ。ごめんなさい」
渚の動揺に気付かないのか、道代が淡々と詫びる。渚はそこで我慢ならなくなって二人に制止の声をかけた。
「あの、申し訳ないんだけど、ストレートな表現、やめてもらえる? その、想像しちゃって落ち着かないから」
まるで高校生のようだ。そんなことを思いながら渚は力なく二人にそう告げた。波絵と道代が不思議そうに顔を見合わせる。渚は呻きながら額を押さえ、言葉を継いだ。
「それに私に気を遣わないでちょうだい。あの、別に足が濡れていても気にならないし、問い詰める気もないから。第一、何故私の前に出るのにわざわざそこまで気を遣わなければならないの」
つらつらと言ってから渚はため息を吐いた。やっぱり、早くここから出て行くべきだろう。
直接表現みたいになってるのは仕様です。