※この作品はR-18です。

狩りの終焉 一部   作:伊駒辰葉

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優一郎が最初はぐるぐるしますが……w


醒めない夢の始まり 1

 ベッドに横たわった水輝の服を全て脱がせたところで優一郎はため息を吐いて腰を伸ばした。水輝の肌には人の目には見えない鎖が絡み付いている。背中に生えた羽根もそのままに、水輝は穏やかな寝息を立てている最中だ。

 

 優一郎との激しい交わりの最中に水輝は快楽の果てに失神した。それから眠りについているのだ。優一郎は水輝の器の中に力を這わせてその特性を何とか探ろうとしていた。桜に言われたことも気にかかる。

 

「座位は明らかに変わっている。だけど、力は低下していない。どういうことなんだろう」

 

 水輝は青龍神としての力を今は持っていない。少なくともその座位は奈月のものになっている筈だ。が、不思議なことに水輝の所有する力は大きさだけは以前とほぼ変わりがないのだ。この世界に戻った時も力を発動させたのは水輝だ。

 

 唇に指を当てて優一郎はじっと水輝を見下ろした。仰向けに横たわる水輝の胸は一定感覚で上下している。水輝が倒れた時のあの疲れた様子は今はない。器的には健康そのもので、特に異常も見受けられない。人間用の検診を受けさせたところで、やはり問題は一つも出ないだろう。

 

 考えを巡らせながら優一郎は検査用のベッドの縁に腰掛けた。客室とは異なり、この部屋には多くの器具が設えられている。元々はヒューマノイド用の検査室だからだ。金属製の棚が壁際にずらりと並び、その中にはヒューマノイドに用いる道具が種々詰められている。端末やディスプレイも複数置かれていて、検査用の部屋としてはこの施設の中では一番に広い場所だ。

 

 記憶をなくしているために澱みを読む気になるかどうかは疑問だが、水輝にその気があれば以前のように澱みを斬り捨てることも可能だろう。

 

 今の水輝の座位は夢魔のみだ。が、力の大きさなどを考えると夢魔の座位しか持たない状況は危険すぎる。いつ、何がどう転ぶか判らない状態で無作為に力を放った結果、座位が耐え切れず内部から崩壊するという可能性だってあるのだ。

 

 このままの状態の水輝を放り出す訳にはいかなかった。だから優一郎は水輝をとりあえずは自分に服するよう、命令を下したのだ。少なくとも自分の目の届く範囲であれば水輝に何事かがあっても出来るだけフォローすることが可能だ。だがこの状態を維持し続けるのは難しい。一刻も早く水輝に青龍王としての座位を取り戻す必要がある。

 

 だがその方法が判らない。優一郎は頭をかいてため息を吐いた。座位の変化を見るのは初めてではない。先の事件の折、紫の座位は地上の王から紫龍神へと変化している。同じ器で座位が変動するというケースはさほど珍しくはないのだ。

 

 が、座位が戻るというケースは極稀だ。いや、下手をすると前歴がないかも知れない。考えながら優一郎は沈んだ表情になった。

 

 もしかして、紫さんの時と同じような現象が起こっているのかも。そう考えながら優一郎はちらりと水輝を見返った。水輝は穏やかな寝顔をして横たわっている。思惟を読む限り、特に夢は見ていないようだ。そのことを再度、確認してから優一郎は前を向いた。

 

 だが力の減少が伴わないのは妙だ。紫の場合は圧倒的にその力は減少した。力が減った上で地上の王の時と同じことをしようとしたために、あらゆる弊害が起こったのだ。なのに水輝に関して言えば青龍王の力は奈月に移っている筈なのに、水輝自身の力の大きさだけは変わっていないのだ。

 

「座位を戻せないなら、力を減らすしかない。だけど、どうすれば……」

 

 夢魔として、誰かに何らかの力を植え付けるたびに力が減るのなら判る。それなら水輝は力を使っているうちに夢魔としての属性を失うだろう。だが自分の時といい、紫の時といい、事後に水輝の力が減った気配はない。

 

 不意に水輝が小さく呻く。考え事に耽っていた優一郎はその声にぎくりとして振り返った。水輝が寝返りを打って優一郎の方に身体を向ける。その手が頼りなく台の上で動き、優一郎の白衣をつかむ。そこで安心したのか、水輝はまた寝息を立て始めた。優一郎はそんな水輝をぼんやりと見つめた。水輝の肌にはまるで刷り込んだように鎖が刻まれている。胸から腕、そして背中に続く鎖の刻印を優一郎は目で追いかけた。背中に生えた透明な四枚の羽根は、水輝が眠っているからなのか力なく台に広がっている。

 

「水輝さん……」

 

 そっと囁きかけて優一郎は手を伸ばした。水輝の髪を指で撫でて、その指で耳と首筋をなぞる。水輝が軽く呻いてくすぐったそうに首を竦める。優一郎はそのまま指を水輝の背中に這わせた。傷跡や鎖の刻まれた背中をゆっくりと上から下になぞる。腰までなぞったところで水輝は小さく吐息をついて身体を震わせた。萎えきっていたペニスが少しだけ首をもたげる。その様を優一郎はぼんやりと見つめていた。

 

 桜は水輝を力の複合体だと表現した。思惟を読んだ限りでは恐らく桜の言葉に嘘はない。本来の水輝には特性らしいものは何もなかったのだと桜は言っていた。今の水輝の夢魔としての属性は外から刷り込まれたものだとも言っていた。水輝がどういった理由でその属性を取り込むに至ったのかは判らないが、いま表面化している属性は水輝本来のものではないのだろう。

 

「んー……」

 

 眉を寄せて呻いた水輝が身震いする。身体が揺れたと同時に水輝の背中の羽根が震える。羽根をむしってしまえば飛べなくなるのだろうか。ぼんやりとそんなことを考えながら優一郎は水輝の腰を手でそっと撫でた。感じ始めているのだろう。水輝の呼吸は不規則になっている。




一生懸命に考えてはいるんですよ。
いるんですけどね……w
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