※この作品はR-18です。

狩りの終焉 一部   作:伊駒辰葉

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機械なので!(汗)
あ、ここではエロシーンはありません。


多輝はマザコンなのかも知れない 3

「反対はしたの。というよりもほとんど半狂乱だったかもしれない。わたしに懐いているあなたを取り上げられて、絵美佳のほうをわたしの子供として育てるというプランに納得がいかなかった」

 

 由梨佳の声に多輝ははっと我に返った。慌てて見下ろすと泣きそうな顔をしている由梨佳が見えた。もういいよ、と多輝は掠れた声で由梨佳を止めた。だが由梨佳が多輝の胸に頭を乗せて首を横に振る。

 

 何で急に記憶が戻ったのだろう。多輝は由梨佳から漂っている後悔の念を読みながら肩越しに街の明かりを見返った。

 

「立城さんに電源スイッチを押されて、気付いたら点検台の上だったわ。その時にはもう、記憶も感情も書き換えられていたの」

「もういいってば。由梨佳に罪はないだろ。立城は記憶を好きに出来るんだしさ」

 

 慰めるつもりでそう言ってから多輝は目を見張った。そう。地上の王と言われていた立城は人間だけではなく、対象の記憶を操作出来るという特質を持つ。そのことは蒼からも聞いたことがある。

 

 もしかして術が解けているのか。多輝は慌てて背後を振り返った。煌びやかな街の明かりが目に映る。急に動いたことに驚いたのだろう。由梨佳が顔を上げて多輝と同じように夜景を振り返る。

 

「どうしたの?」

「あ、ああ。悪い。何でもない」

 

 取り繕うために笑おうとして多輝は自分の顔が緊張に強張っていることに気付いた。どうも嘘を吐くのは苦手だ。由梨佳にもの問いたげに顔を覗き込まれて多輝は諦めのため息を吐いた。

 

「由梨佳の記憶が戻ったのっていつだ?」

 

 余りにも強大な力を持つ故に、その存在は地上の王の名で呼ばれる。蒼から聞いた説明を思い出しながら多輝は慎重に訊ねた。

 

「段階的に、ここ一ヶ月ほどよ。電源が切れている間、見るはずの無い夢を見ていたの。ある時目覚めたら、あなたに対する口調を元に戻したでしょう? あなたに関する事を思い出したのはあの時よ」

 

 それを聞いて多輝は苦しい気持ちを堪えて目を閉じた。

 

「……あいつらの結婚式の日だ」

 

 その日のことは良く覚えている。その日の朝、多輝は男性をまとっていた。が、式に出席するために優一郎に強引に性別を変えられたのだ。多輝は吉良瀬の姫と別名呼ばれている。娘であるところの多輝が男性で式に出席する訳にはいかなかったのだ。

 

 表面的には立城は水輝に器を破壊されたあの時にこの世から消えている。が、本当はすぐに消えた訳ではないのではないだろうか。徐々に、ゆっくりと消えてしまったとして、完全に消えたことで由梨佳の記憶が戻ったとしたら。

 

 伏せていた目を上げて多輝は街を見た。広々とした夜景は見方によっては青白い風景画に見える。そこに描かれているのは美しい湖面と木々、青い空と白い雲、そして太陽の光だ。

 

「あっ、んっ……やっ!」

 

 不意に間近で小さな声が上がり、多輝は驚きに目を見張って由梨佳を見た。由梨佳は苦しそうに顔を歪めて股間に指を這わせている。ヒューマノイドが自慰をするのはさして珍しくはない。が、何故か由梨佳は酷く苦しそうだ。それにストレス値が上昇するような状況ではない。

 

「だ、大丈夫か?」

 

 多輝は慌てて由梨佳をしっかりと抱きしめた。多輝の腕の中で身を震わせて由梨佳が弱々しく声を漏らす。

 

「だめっ、おかしい……わ。エラーがこんなに……一度に、どうして……あふっ!」

 

 苦しそうに状態を報告する由梨佳の唇の間から薄い煙が上がる。どういう訳かは判らないが、機体に異常が発生しているのだ。多輝は由梨佳を抱き上げてバイクの後部席に下ろした。

 

「もう少し我慢できるか? ここじゃメンテしようにも明かりがないし」

 

 焦って言いながら多輝は暗い道の先を見た。ここから少し走ったところには小さなホテルがあった筈だ。苦しそうにうなだれて頷いた由梨佳に多輝はヘルメットを被せた。急いでバイクに跨ってエンジンをかける。走っている最中に由梨佳が吹き飛ばされてしまわないよう、多輝は目に見えない力を織って自分と由梨佳の身体をくくりつけた。

 

「途中で跳ぶからしっかりつかまってろ!」

 

 まともに走っていては間に合わない。多輝はバイクを発進させてしばらく走らせてから転移の力を展開した。由梨佳とバイクを一緒に転移させる。二人の乗ったバイクは道から唐突に消え、ホテルの近くまで瞬間的に移動した。愛らしい作りのホテルの地下に慌ただしくバイクを入れる。エンジンを切って荷物を背負ってから多輝は由梨佳を抱えてホテルに駆け込んだ。

 

 小さなロビーには誰もいない。置かれた大きなモニタに直に指で触れて部屋をセレクトするシステムらしい。腕の中で身を震わせている由梨佳に大丈夫か、と度々声をかけて多輝は急いで部屋を選んだ。ほどなくモニタの下に設えられた取出し口に鍵が滑り落ちてくる。それを引っつかんで多輝は指定された部屋に走って向かった。明るい光の下で見るとよく判る。由梨佳は口や耳から薄煙を上げている。機体に酷い負荷がかかっているのだ。

 

 部屋に飛び込んでドアを閉め、急いでベッドに由梨佳を横たえる。

 

「痛っ! やっ! あああっ!」

 

 自身の機体を腕で強く抱きしめて由梨佳が悲鳴を上げる。多輝は真っ青になって由梨佳の着衣を急いで剥ぎ取った。由梨佳を全裸にして目を見張る。由梨佳は口からだけでなく、股間からも煙を上げている。




由梨佳が無茶をしたせいでこーなりました。
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