※この作品はR-18です。

狩りの終焉 一部   作:伊駒辰葉

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紫視点です。
エロシーンがあります。


関係が崩れていく音がする 1

 空港近くのホテルに到着したのは現地時間の午後六時だった。予定より時間がかかったのは途中で車が何度か立ち往生したからだ。道中のことを思い出して紫は深々とため息をついた。通りすがったドライブインで悉く、しかも凄まじくタイミングよく車が調子を悪くしたのはきっと水輝の仕業だろう。チェックインのためにフロントの女性と話をしている水輝の後姿を見つめ、紫は少しだけ眉を寄せた。離れているために会話は聞こえないが、女性の顔色を見れば水輝が何を話しているのかは大体見当がつく。紫はロビーのソファに座ったままでこちらに背を向けている水輝を睨みつけた。だが水輝は女性との話をやめようとしない。しばし水輝を睨んでから紫はやがて諦めのため息をついて目を逸らした。

 

 近くに飛行機の離着陸する空港があるというのに、広々としたロビーはとても静かだ。ロビーの一角には観葉植物に仕切られた喫茶店がある。そこでかけられているのだろう。紫の耳にも静かなクラシックの弦の音が聞こえていた。紫はささくれだった気分を落ち着けるために、意識をして弦楽器の音色に集中した。低音の深い響きから高音の艶やかな音色までを聴き取った時、紫の視界が急に暗くなった。

 

「待たせたな。ほら、行こうぜ」

 

 いつの間にか傍に来ていた水輝が紫の足元に置かれていたスーツケースを取る。寄ってきたホテルマンに荷物を手渡したところで水輝が振り返る。紫は差し出された手を取って立ち上がった。

 

 さすがの記者達も疲れきっているらしい。部屋までは追って来ない。紫はたどり着いた部屋の中で大きく伸びをしてソファに腰掛けた。車にずっと乗っていたせいで身体が痛い。それは水輝も同じだったのか、部屋につくなり水輝はベッドに飛び乗って全身を伸ばした。

 

「あー……腹減った」

 

 ふとそんなことを水輝が口にする。紫は苦笑して立ち上がり、水輝の横たわったベッドの縁に腰掛けた。繋ぎとして確保したホテルの部屋は今朝までいた部屋より狭い。おまけに部屋も一部屋だけしかない。紫は落ち着いた色彩でまとめられた部屋を見回してから水輝に目をやった。仰向けに転がっていた水輝が手を伸ばして紫の髪を撫でる。

 

「さっき食べたばかりじゃない? もうおなかが空いたの?」

 

 苦笑しながらそう告げて紫は首を傾げた。何だったらルームサービスを取るか、という紫の申し出に水輝が首を横に振る。もしかしたら水輝は聞かせるつもりで空腹を訴えた訳ではなかったのかも知れない。ちょっとまずかったかな、と思いつつも紫は何気ない素振りで判った、と頷いた。

 

「それよりさ。ほら」

 

 口許に薄い笑みを浮かべて水輝が紫の腕を引く。小さな悲鳴を上げて水輝の上に倒れこみ、紫は呆れた笑みを浮かべた。元気だね、と笑う紫の首をつかんで水輝が唇を寄せる。されるがままに口づけを受けて紫は目を閉じた。水輝が片手でするすると紫の服を解いていく。慣れた手つきに苦笑しつつ紫は口の中に滑り込んできた水輝の舌に自分の舌を絡めた。

 

 ふと、水輝が手を止める。さりげない動きで手を押さえられた紫は薄く目を開けて身体を起こした。触れようとしていた紫の手を水輝がしっかりと握っている。

 

「なに? わたしだけが脱ぐの?」

 

 目をしばたたいて紫は水輝を見つめた。困ったように笑っていた水輝がいいじゃん、と言って中途まで解けていた紫の服を一気に剥ぎ取る。ブラジャーに包まれた乳房を捕まれた紫は小さな声を上げて仰け反った。水輝の服をつかもうとしていた紫が自然とベッドに手をつく。斜めに身体を傾けた紫は胸の膨らみを揉んでいる水輝の手に目を落とした。触れられた場所から痺れるような感覚が沸き起こってくる。触れられた快感だけではない。水輝が意図的に絞った力を手から紫の器に送り込んでいるのだ。

 

 熱いものがショーツに滴る感触に紫は身震いした。熱を帯びた肌の間で下着が湿り、下腹部にじれったい感覚が生まれる。思わず腿をすり合わせた紫を水輝がにやにやと人の悪い笑い方で見る。視線を感じたことで余計に焦れ、紫は鼻にかかった甘えた声を上げた。

 

「お前だって元気じゃないか。ほら」

 

 くすくすと笑いながら水輝がホックを外してブラジャーのカップの中に指を入れる。直に乳首を撫でられた紫の腕から自然に力が抜け、水輝の上に倒れこみそうになる。だがその直前に水輝は片手で紫の肩を押さえた。

 

 なに。急速に感覚が戻ってくる。紫は出来るだけ訝りを顔に出さないようにして水輝を伺った。視線に気付いたのだろう。少しだけ顔をしかめて水輝が紫を押し戻す。そのまま強い力でベッドに倒されて紫は慌てた声を上げた。

 

 水輝が大胆に紫のスカートを跳ね上げて手を伸ばす。唐突に敏感な部分を擦られた紫は、水輝に何事かを訊ねることも出来ないほどの快楽を覚えて悲鳴じみた声をあげた。

 

「きゃはっ! んっ……あはあんぅっ!」

 

 どんどん溢れてくる愛液に濡れた下着越しに水輝が指先でクリトリスを捏ねる。急に強い刺激を与えられた紫は嫌がるように首を横に振ってかたく目を閉じた。水輝が指先から力を送り込んで強制的に強い快楽を与えているのが判るのに、あまりの気持ちの良さに抵抗することが出来ない。

 

 されるがままに欲情しながら紫は心の片隅で考えた。いつからだろう。水輝がこんな風に一方的に触れるようになったのは。疑問に思うことすら許されないほどに強い快楽ばかりを与えられ、互いの存在を確かめるような優しくあたたかい交わりは最近はずっとしていない。

 

 まるで義務のよう。ぼんやりと考えながら紫は空気を求めて口を開き、浅い呼吸を繰り返した。仰け反った紫の陰部を弄っていた水輝がふと手を止める。その途端に紫の下腹部には耐え難いじれったさが生まれた。痺れるような感覚に欲求が更に強くなる。水輝は手を退けてただじっと見つめている。紫は全身で荒い呼吸をしながら震える手で濡れそぼったショーツを引きおろした。足を抜いてショーツをベッドの下に放り、膝を立てて陰部を水輝の目の前に露にする。指で陰唇を左右に割り広げながら紫は涙に濡れた目で水輝を見つめた。

 

「お願い。挿れて」

 

 我慢出来ないの、とねだった紫に水輝が判ったと頷く。手早くシャツのボタンを外し、下履きを脱ぎ捨てながら水輝が紫に覆い被さる。

 

「別に義務的にやってるんじゃねえよ」

 

 軽く紫に口づけてから水輝が低い声でそう吐き出す。思考は筒抜けらしい。そのことを改めて理解して紫は淡い笑みを浮かべた。出来るだけ何も考えないようにして身体から力を抜く。そうしなければ水輝はたぶん、自分を捨てていくだろう。そんな気がした。なのにそういう時に限っていらないことが次々に頭に浮かんでくる。




このあたりからぎくしゃく……というか、前からなんですけども。
相変わらず水輝は女好きというかー。
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