「ねえ。凄く硬くなってる……あっ!」
苦しみに喘ぐ水輝を咥え込んだ膣壁が大きく脈打つ。紫は小さく笑いながら絶頂感に浸った。同時に水輝の腹に食い込ませた指を動かす。人差し指の根元までを水輝の体内に埋め、紫はまた腰を振り始めた。器の中に隠されたものを指先で何度も探る。
「た、つき、やめ」
「んふ」
苦しそうな水輝の声に紫はうっとりと笑った。水輝が力なく手を伸ばして紫の右の手首をつかむ。だがそれでも紫は水輝の腹から指を抜かなかった。中指を人差し指に沿って肉の中に潜らせる。掠れた声を上げて仰け反った水輝のペニスが熱を吐き出す。熱い精液に膣奥を叩かれて紫はぶるりと身を震わせた。注がれた精液が瞬く間に力となって身体に染み込んでいく。紫は熱いため息をついて右手の指を動かした。肉を裂いて食い込ませた指でまるで膣にするように抽迭する。そうしつつ腰を振って膣内でペニスを扱く紫の顔に浮かんでいた冷たい笑みが愉悦の笑みに変わる。
「わたしと彼なんかを見間違えた罰だよ」
ほら、と囁きながら紫はぐっと上体を前に倒した。腕に力をこめて支えた分、指が水輝の腹により深く食い込む。大事に隠されたモノを指で乱暴に探りながら紫は勃起したクリトリスを水輝の下腹に擦りつけた。全身に汗を噴き出させた水輝が苦しみの表情で掠れた声を漏らす。深く傷を抉られたことで意識が朦朧としているのだろう。水輝がはっきりと目覚める様子はない。やがて水輝は紫の腰を両側から握り、腰を動かし始めた。下から激しく突き上げられて紫は思わず甘い声を上げた。
「あふっ! あっ、あっ! あああんっ!」
指先に触れたモノから不気味な何かが身体に染み込んでくる。それはやがて紫の意識を覆い始めた。情欲が次々にこみ上げてくる。紫は夢中で水輝の傷を指で何度も突いた。艶やかな官能の声を上げて水輝が大量に射精する。その勢いに絶頂に達した紫は狂ったように頭を振った。桁違いの快感が襲ってくる。紫は身体をしならせて背を大きく反らした。その拍子に指が水輝の腹の傷から離れる。血に濡れた指を紫はとり憑かれたように舐めた。力のこもった水輝の血を舐めながら立て続けに達してしまう。
「……っくしょ……やりやがったな」
不意に低い声が聞こえ、紫は目を見張った。いつの間にか水輝が目を開けている。水輝は歯を食いしばって腹に穿たれた深い傷を手で押さえていた。
「退け」
厳しい表情で吐き出して水輝が紫を払う。紫は放心したまま水輝の上から退いた。水輝が腹を両手で押さえてベッドに横倒しになる。苦しそうな呼吸を繰り返す水輝を見ているうちにようやく紫は我に返った。
「……水輝?」
「うるせえ。触るな」
紫の伸ばしかけた手をまるで見ているかのように水輝が言う。背を向けた水輝を見ていた紫はごめんなさい、と詫びて手を引っ込めた。しばし低く呻いてから水輝が身を起こす。その時にはもう、水輝の腹の傷は綺麗に塞がっていた。ぼんやりとベッドに座った紫を水輝が鋭い目で睨む。それだけで紫はその場から動けなくなった。
水輝が血だらけの手を紫に伸ばす。紫は怯えてびくりと首を竦めた。殴られると思ったのだ。だが不思議といつまで経っても衝撃が襲ってこない。恐々と目を開けた紫は水輝が難しい顔をしているのを見止めて息を飲んだ。水輝は単に血だらけの手を紫にむけてかざしているだけだ。
「くっそ、取り込みやがったか」
厄介だな、と言って水輝が紫を頭からつま先まで眺め回す。その目はまるで実験動物でも観察するかのように冷ややかだ。水輝がかざしていた手を下ろし、何事かを口の中で呟く。
「浄化する訳にもいかないし……かと言って焼く訳にも……」
「あの、水輝?」
ぶつぶつと何事かを言っている水輝に紫は恐る恐る声をかけた。すると水輝が何だ、とぎらりと紫を睨む。その視線に怯えながらも紫は言った。
「あの……ごめんなさい。でもわたしは大した事は」
水輝が心配している理由は何となくだが判る。どうやら水輝は隠していたモノに紫が触れたことを問題にしているらしい。だが怯えながら言った紫に即座に水輝が言い返した。
「そんなに簡単なもんじゃねえんだよ!」
怒声を浴びた紫は思わず目を閉じて首を竦めた。だがすぐに悪い、と水輝が詫びる。
「いや、八つ当たりだな、これは。悪い。おれのミスだ」
そう言って水輝はベッドを降りた。破れて汚れた服をその場に脱ぎ捨てる。何事かと目を見張った紫に手を伸ばし、水輝はため息を吐いた。
「ほら、来いよ。血まみれのまま寝る気にはなんねえだろ」
紫は言われるままにベッドを降りて服を脱いだ。シャツを脱いで何気なく胸元に目を落として絶句する。白く傷一つなかった紫の胸には黒い不気味な紋様が表れていた。それが何を意味するかを理解出来ないまま、紫はその場にへたり込みそうになった。よろけた紫を水輝が横から支える。
「心配しなくてもすぐにどうにかなるもんじゃない。それにお前に移ったのはちょっとだけだからな」
説明しながら水輝が軽々と紫を両腕に抱え上げる。紫は恐々と水輝の胸に頭を寄せた。
「判ったら大人しくしてろ」
機嫌の悪い顔で言われて紫はもう一度詫びた。バスルームに連れて行かれて身体を洗って貰う間も紫は落ち着かなかった。水輝は何かを考えているのかひと言も口をきいてくれない。
左の胸の膨らみの上にあるその紋様は見覚えがある気もする。紫はガウンを着て水輝と一緒にベッドに入ってもずっとそのことを考え続けていた。
紫が気の毒w