※この作品はR-18です。

狩りの終焉 一部   作:伊駒辰葉

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そういうことは繰り返される……。
エロシーンはありません。


天空の城、○ぴゅた? 5

「多輝、ちょっと痛いかもだけど我慢して!」

 

 唐突にそう言って祐が腰を上げる。いきなりその場に倒された多輝は悲鳴を上げる間もなく腹に手を突っ込まれた。痛みに目を見張って息を飲んだ多輝の腹を祐が探る。多輝は歯を食いしばって痛みを堪えた。

 

 数十秒ほど多輝の腹を探ってから祐が手を引っ張り出す。祐に馬乗りになられたまま、多輝はかたく閉じていた目を開けた。

 

 京紫の美しい珠が祐の手に握られている。

 

「やっぱり育ってる……。こいつの属性、雷だっけ」

 

 しかめ面で言って天輝がため息を吐く。多輝は咳き込みながら身体を起こした。珠を握って何事かを考えているらしい祐をそっと畳に下ろす。

 

「そうよ。……そっか、なるほど」

 

 一人で何かを納得したらしい祐が頷いて元の席に戻る。多輝は訳が判らずにしかめ面で何事かと二人に問い掛けた。自分の器からそんなものが出てきたのも不思議だが、二人が勝手に納得してるのも疑問だ。

 

「あのね、そもそもあんたってそれを産むように出来てないわけ」

 

 さらっとした口調で天輝が言う。何だそれは、と不機嫌な声で返した多輝をしばし呆れたように見てから天輝はこたつの上に指を乗せた。

 

「属性っての、知ってるわね? 宝珠に代表される色の他に五種、龍神の全てはこの十三種類の属性に振り分けることが出来るの」

 

 そう言いながら天輝がこたつの上に指で線を引く。指でなぞられた部分には淡いブルーの線が生まれた。その左端を指先で押さえて天輝が言う。

 

「この位置がここ。天上の城と言われる白。で、こっちが」

 

 天輝が指を動かして今度は線の右端を押さえる。

 

「冥界の門って言われる黒妖牙がここ。力の属性ってのはこの白から黒に示される両極の間に振られているわけ」

 

 もちろんこれは力の一面に過ぎないけどね。そう言ってから天輝は左端から少し右に寄ったところを指で押さえた。

 

「あんたの属性はここ。正式名称ってのもあるらしいんだけどあたしは知らないわ。でね」

 

 そこから天輝がするすると指を線の左側にずらす。左端から少し右に寄ったところを押さえて天輝は言った。

 

「さっきの珠に示される力の属性の位置はここ。ね? あんたのとっからここまでおもっきり離れてるでしょ?」

 

 言われるままに多輝は頷いた。ちなみに、と呟いて天輝が線の中心部を指す。

 

「ここが祐ちゃん。輝くもの、闇のもの、そのどちらの力も受け、また受けない位置はここだけ」

 

 段々と言われている意味が判らなくなる。多輝は額を指で押さえて呻いた。つまり天輝はさっきの珠を多輝の中に入れたままにしておくのは危険だと言いたかったらしい。

 

「だめよ。こいつの頭の中には二つ以上の事柄は入らないから」

「……意外と容量小さいわね」

 

 祐の言葉に天輝が淡々と言い返す。多輝は俯きかけていた顔を上げて何だと、と声を荒らげた。だがそんな多輝を無視して天輝は話を進めた。

 

「で? こいつって水輝と誰の化合物なの?」

 

 多輝はふて腐れてそっぽを向いた。この手の話をされるとまるっきり意味が判らなくなる。優一郎と話していてもそうだ。多輝は機嫌悪い顔のままでこたつのみかんを取り上げた。皮を手早く剥いてふさを口の中に放り込む。

 

「立城さん、のはずなんだけど」

 

 困ったように頭をかきながら祐が告げる。天輝はこたつを手のひらで撫でて線を消すと、あっさりと言った。

 

「あり得ないわよ」

 

 それを聞いた多輝は目をむいた。それまでの話は少し理解し難いが今のは判る。

 

「どういうことだよ、それ」

「あんたばか? だからあり得ないって言ってるのよ」

 

 そう言って天輝がみかんを剥こうとする。多輝はそれを制して自分の剥いたみかんを天輝に渡してやった。さっき、皮を剥こうとした天輝がみかんを握り潰してしまって大変だったのだ。

 

「多輝、ちょっといい?」

 

 そう言って祐がまた多輝に馬乗りになる。多輝は慌てた声を上げて手を振り回した。今度は祐が多輝の胸に狙いをつけて手を沈める。痛みに思わず呻きを漏らし、多輝は目をかたく閉じた。

 

 身体が内側から組み変わって行く。特有の感覚に多輝は深い息を吐いた。やがて祐が多輝の胸から手を抜く。多輝はうう、と呻いて身体を起こした。強制的に女性に転じられたために服がまるで合わない。

 

「何なんだよ、一体。急にこんなことしやがって」

 

 呆れたため息を吐いて多輝はベルトを締め直した。

 

「これのせいだったのね。見誤ってたわ」

 

 手の中の珠を見下ろしつつ祐が口の中で呟く。多輝はしかめっ面をして祐を横目に睨んだ。天輝はのんびりとみかんを頬張って二人を静観している。

 

「多輝。良かったわね。あなたが求めてやまない相手と感動のご対面よ!」

「はあ?」

 

 多輝は言われた意味が理解出来ず、訝りの声を上げた。

 

「あなたの本当の父親は、先の金龍神よ。そして」

「まあ、母親?」

 

 そう言いながら天輝が軽く片手を上げる。それを聞いた多輝は硬直した。思考がいっぺんにフリーズする。その間に祐と天輝は楽しそうに笑いながら話し合った。

 

「変だ変だって思ったのよねー。そもそも立城と水輝混ぜるなんて無茶でしょ?」

 

 笑って天輝が言えば祐も納得顔で頷く。

 

「そうなんだけど、立城さんならやりかねないとか、思っちゃったり」

「いやあ。それやったら世界崩壊するから。割とまずいわよ」

 

 うんうん、と腕組みをして天輝が頷く。多輝はそこでようやく正気に戻った。がば、と立ち上がって天輝を指差す。




誰が誰の父親とか母親とか、割とルーズなんですよ……w
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