段落が長すぎるので細切れにしてアップしてます。
「今、水輝さんは旅行中だよ。それに最初から罪龍として覚醒する変異体が発見された話もしたよね?」
「うあ、ごめん。その辺の話、わかんねえ」
即座にそう断りを入れつつ多輝は優一郎に背を向けたまま、横歩きをした。たんすの隣に置かれたチェストの引出しを開ける。引出しの中身を見下ろしながら多輝は腕組みをした。どうも今、身につけている下着が合わないのだ。
「どうしたの?」
「あー、うん。通販でこのブラジャー買ったんだけどさあ。どうもサイズが合わないらしくて」
眉を寄せて言いながら多輝は背中に手を回した。
「悪いんだけどさ。ここにあるタグ、見てくんねえ?」
確かホックの傍にサイズの表示が入ったタグがつけられている筈だ。そう多輝が説明すると優一郎がソファから腰を上げた。伸びた髪を胸の前に垂らして背を優一郎に向ける。
「C70と書いてあるけど」
「あれー? 変だな。サイズは合ってるのか」
優一郎が言うのを聞いて多輝はしかめ面になった。おかしいな、と首を捻りながらブラジャーを外す。自分の目で確かめてもやはり表示されたサイズは合っている。
「やっぱ、ちゃんと店行って買わねえと駄目かな」
折角買ったのに。そう言いながら多輝は頭をかいた。そこではたと気付く。多輝は片手にぶら下げたブラジャーと優一郎とを見比べ、慌てた声を上げて胸を腕で押さえた。
「ごっ、ごめん!」
焦って喚いてから多輝は屈んで引き出しの中に手を突っ込んだ。とにかく何でもいいからブラジャーを着けないと。だが焦っているためなのかどれにするかが一向に決まらない。
「多輝、胸大きくなったんじゃないの? 君はもう機体じゃないし」
優一郎が平然と言うのを聞いて多輝は耳まで真っ赤になった。
「お前、おれの実年齢は二十弱だぞ!? んな、でかくなるかよ!」
しどろもどろで返してから多輝は何となく自分の胸を見下ろした。ついこの間までは多輝もヒューマノイドの機体だったのだ。龍神という存在だからなのか、多輝は女性でいる時にはずっとヒューマノイドの姿だった。だが冬の一連の事件の中で多輝の女性体は男性の時と同様に生身になった。
「龍神だし。そのあたりは関係無いんじゃないの?」
慌てる多輝とは正反対に優一郎が冷静極まりない声で言う。多輝はうろたえながら自分の両の乳房に手のひらをあてがってみた。軽く握ると弾力のある乳房が指の間に柔らかく浮き出す。
「そっかなあ……。握った感じはあんま変わんねえけど」
そう言いながら多輝は何度か乳房を手で握ってみた。それから視線を感じて目を上げる。優一郎は困ったように笑って首を傾げていた。
「多輝。もしかして、誘ってる?」
「へ!? い、いや! そ、そんなことはまったく!」
笑い混じりの優一郎の言葉に多輝は慌ててそう言い返した。勢いよく手を振ってみせてから慌てて胸を覆い隠す。多輝は恥ずかしさに真っ赤になって片腕で胸を隠したまま、チェストの引出しの中から適当にブラジャーを取り上げた。
「僕と、したくないの?」
人の悪い笑みを浮かべて優一郎が言う。多輝は慌てた声を上げて手にしていたブラジャーを落っことした。口の中で言葉にならない文句を言いながら床に落ちたブラジャーを取り上げる。
「べ、別にしたくないとかそんなんじゃないけど」
言い訳しながら多輝はぐるりと優一郎に背を向けた。着け慣れたブラジャーのストラップに腕を通す。両腕を上げたところで多輝の背後から優一郎が抱きつく。間近に優一郎の気配を感じた多輝は真っ赤になったまま俯いた。多輝の胴に回っていた優一郎の手がするりと動き、両の乳房を柔らかく握る。
「絶対大きくなってるって」
多輝の耳元に囁きながら優一郎が優しい手つきで乳房を揉む。多輝は平然を装ってぎこちない笑みを浮かべて告げた。
「そ、そーかな。じ、じゃあ、やっぱ、買いなおさないと駄目かな」
そう言ったところで多輝は声を飲んで仰け反った。優一郎が指の間で乳首を擦ったのだ。多輝は襲ってきた快楽を懸命に抑え込んで途切れ途切れに告げた。
「も、もういいから。わかった、判ったってばっ」
上ずった声で言いながら多輝は乳房を揉む優一郎の手をつかもうとした。だが多輝の声を無視して優一郎は今度は指の先で乳首をつまんだ。感じてかたくなった多輝の乳首を指の腹で捏ねながら優一郎が小さく笑う。抵抗するために身を捩ろうとしていた多輝は、ぞくりとしたものを感じて微かに声を上げた。力なく落ちた多輝の腕からブラジャーが抜け落ちる。
「多輝、可愛いよ」
笑い混じりに言いながら優一郎が片方の手を乳房から下に向かってゆっくりと滑らせる。指先で胸から腹部に触れられた多輝は息を飲んで身を強張らせた。自然と前屈みになった多輝のショーツを優一郎がなぞる。布越しに股間に触れられた多輝はその瞬間にびくりと身体を竦めた。
「あ、だ、駄目だって、ば! また、判んなく、なるからっ」
優一郎と交われば交わるほど快楽が深くなり、多輝は近頃では自分でも訳が判らなくなるほどの気持ちの良さに襲われるようになった。優一郎の手を避けようと多輝は腰を引いて首を横に振った。だが背後に優一郎が立っているために遮られて逃げられない。
「僕とセックスするのはいや?」
それまで執拗に多輝の股間を弄ろうとしていた優一郎が手の動きを止めて言う。その声に含まれた悲しそうな響きを聞き取って多輝は慌てて顔を上げた。肩越しに振り返ると声の通りに悲しそうな顔をした優一郎と目が合う。
「ち、違うってば。感じすぎて、すげえ恥ずかしいから」
正直にそこまで言ってから多輝は真っ赤になって目を逸らした。
「恥ずかしいのは、いや?」
「嫌に決まってんだろ!?」
小さく笑って訊ねた優一郎に多輝はすぐさま喚いた。焦りすぎて声が無意識に引っくり返る。感じすぎて気持ちが良くて、交わっている最中はとても満たされるのだが、後で思い返すともの凄く恥ずかしいのだ。そのことを多輝は不器用に説明した。
「僕にでも、見られるのはいや?」
寂しそうに優一郎が呟く。多輝はそれまでの勢いをなくして口ごもった。
「い、いや、あの、それは」
しばし意味のない言葉を重ねてから多輝はぼそりと言った。
「……優一郎が見たいんだったらいい」
恥ずかしさに耳朶まで赤く染めて多輝は俯いた。それを聞いた優一郎の顔から寂しい表情が消える。多輝は真っ赤になったままで恐る恐る顔を上げた。いつの間にか優一郎の顔には見慣れた穏やかな笑みが浮かんでいる。
バカップル……w