捕食者サキュバスさんの食べ歩き日記 作:仮面紳士
「ああっ♡♡♡ お姉様、イッちゃう♡♡♡ イッちゃうッッ♡♡♡」
「いいよ。逝っちゃえ!」
「イグぅぅぅぅううううううう♡♡♡♡♡」
素朴ながらも美しい少女が、レミーの唇にクリトリスを吸われ、指で膣肉をほじくられ、ガクガクと痙攣しながら潮を噴いた。
それをゴクゴクと飲み干しながら、レミーは思う。
(うーん。腹0.01分目足らず……)
足りない。
この程度では全然もの足りない。
彼女は色欲系の悪魔であり、その糧となるのは人間の性欲だ。
つまり、エロい感情を吸収してエネルギーに変えているのだ。
彼女が最も満足できるのは、命すら燃やし尽くすほどの情熱的なパッション。
ちょっと魔法で魂と肉体のシンクロ率を上げてあげて、英雄と呼ばれる者達が踏み入っている領域に連れて行き、精神に肉体を超越させて限界の限界までエッチさせる。
そうすると、悪魔を作るほどに罪深い感情の中では最も軽く薄い『色欲』であっても、十二分に腹が膨れる。
というか、行き過ぎた欲望でなければ『色欲』じゃなくて健全なエロスだ。
そんなもんで悪魔の腹は膨れない。
(でも、今回は……)
「はぁ……はぁ……!」と幸せそうに息を切らす少女を見て、レミーは貪り喰らいそうになるのを必死で堪えた。
彼女は心に傷を負った被害者であり、自分はそんな彼女を救い出した冒険者だ。
家の外にはこの子の家族もいるし、カイルやメルもいる。
失踪対策の準備もしていないのだから、いなくなれば隠蔽のしようがない。
普段好き放題に食い散らしている、死ぬのが日常な冒険者や盗賊とは違うのだ。
「ん?」
と、その時、誰かが家の中を覗きに来た。
まだ小さな、七〜八歳くらいの少女だ。
確か、今幸せそうに失禁している子の妹だったか。
ついさっきは姉を心から心配して不安そうにしていたのに、今は熱っぽい目で姉とレミーを見詰めている。
「おいで」
「!」
この子も姉と同じ理由で喰らい尽くすことはできない。
それでも自宅のミルク係くんのように、アッサリとした風味のオヤツにはなるだろう。
まあ、人間の食事で例えれば、飴玉一個分ほどのエネルギーにもならないだろうが……。
「ぁ……」
そうして、レミーは小さな女の子の唇を優しく奪い、その服に手をかけた。
◆◆◆
「本当に、ありがとうごさいました!!」
「いや、それで良いんですか!?」
数時間後。
赤い顔でモジモジする姉妹と共に、彼女達の父親が勢い良く頭を下げた。
下げた頭の先にいるのは、困惑気味のカイルと、姉妹以上に真っ赤な顔のメル、多少は満足した様子のレミー。
彼らに何があったのかと言うと──
「いいえ、感謝してもし切れません! この子がゴブリンの群れに拐われた時は、もうダメかと思った……!
こんななけなしの金で依頼を受けてくださり、助け出してくださっただけでも感謝に堪えないのに、その上、心の傷まで癒してくださって……!
あなた方こそ、真の勇者だ!!」
「いや、その……」
間違ってはいない。
間違ってはいないのだが、どうしても納得がいかない。
カイルはそんな顔をしていた。
何があったのかと言えば、概ね彼の語った通りだ。
彼らは森に住まう狩人の一家であり、今日もいつも通りに狩りを行っていたのだが、途中で大量の魔獣ゴブリンが出現。
一体一体は弱いとはいえ、凄まじい物量に加えて何体もの上位種まで含む大規模な群れはどうにもならず、姉の方があえなく捕まってしまった。
彼女は父に妹を連れて逃げろと叫び、父は断腸の思いで小さな我が子を抱えて逃走。
そのまま近くの町に駆け込み、冒険者ギルドに直行して助けを求めた。
敵が推定数百体+上位種複数体と知って大多数の冒険者は首を横に振り、唯一、レミーのパーティー加入手続きのためにギルドを訪れた彼らだけが依頼を受けて急行したというわけだ。
だが、圧倒的な力でゴブリンを殲滅して囚われの少女を救い出し、メルの治癒魔法で傷を癒やしたとしても、心の傷までは消えない。
そこで名乗りを上げたのがレミーだ。
彼女は自分に任せろと豪語して、彼女達の家で被害者と二人切りになり──行為に及んだ。
圧倒的なテクニックで、ゴブリンにトラウマを刻まれた性行為を、幸せな記憶に塗り替えてみせた。
これにて一件落着。
めでたし、めでたし。
「納得がいかない……」
「全くです……」
「何が?」
「「方法!!」」
帰り道。
とぼけたように首を傾げるレミーに、残る二人が大声でツッコミを入れた。
「何をやってるのかと思えば、あ、あ、あんなことを……!?」
「しかも、妹さんまで巻き込むなんて……!」
「あ、二人も交ざりたかった? 帰ったら一発やっとく?」
「「なっ!?」」
茹でダコのような顔で蒸気を噴き出すチェリーボーイ&ガール。
思わずといった様子でお互いの様子を見て、すぐにバッと顔を背けた。
実に面白い。
「アッハッハ!」
「笑うなぁ!!」
「というか、レミーさんはなんなんですか!? いつもあんなことをしているのですか!?」
「そうだよー。別にいいじゃん。エッチなことしないと人類は絶滅するんだよ? それを大罪だなんて酷いよねー」
「それは聖剣教会への宣戦布告と受け取りますよ!? 信者として相手になります!!」
胸元から剣の形をしたロザリオを取り出し、レミーに向けて構えるメル。
ちょっとだけ肌がピリピリする。
どうやら、ちゃんと悪魔に効果がある本物のようだ。
「ほほーう! 色んな意味で経験の無い新米神官が、Sランクの魔法使い相手に生意気ではないか! ほれほれ〜!」
「あっ、やめっ!? 胸、ダメ……!?」
「お、慎ましやかだけど感度は良好」
「何言ってるんですか!? カイル様は見ないでください!!」
「ご、ごめん!!」
実に可愛くてからかい甲斐のある二人だ。
レミーは思う。
この二人を捕獲してペットにできたら、毎日楽しそうだと。
(まあ、なんだかんだで勇者。あんまり油断していい相手でもないんだけどねー)
レミーは先ほどの戦いを思い出す。
数百体のゴブリンの群れに、高ランク冒険者に匹敵する上位種が十体以上。
それが、一撃で薙ぎ払われた。
水の聖剣から打ち出された、津波のような一撃によって。
しかも、そんな強烈極まりない一撃だったというのに、薙ぎ払われたのはゴブリンだけ。
仲間や拐われた少女はもちろん、森の木々にすらダメージは最小限。
聖剣の性能はもとより、勇者に選ばれるだけあって、それを扱うセンスも一級品。
これで経験まで積まれたら、とても厄介だ。
(立場を捨てていいんだったら、今すぐにでも狩れるけど……。でもなぁ、Sランク便利なんだよなぁ)
今この場で二人が失踪し、レミーだけが無事だったりしたら、間違いなく疑われる。
適当に暴れて上位悪魔襲来的な感じに偽装することもできるだろうが、それで即逮捕を免れても、疑念が残って後で調査されれば同じこと。
さすがに、聖剣教会の高位神官にじっくりネットリ調べられたらボロが出る。
(ま、経験積まれたら絶対勝てないってわけでもないんだし、焦ることないか)
チャンスなんて、この先いくらでも来る。
焦らず、貪欲に、勇者捕獲も立場維持も両取りしてやろう。
欲深くてなんぼの悪魔にそうろう。
「ちょっ!? どこに手を入れてるんですか!?」
「パンツの中。ちょっと濡れてるね〜。素質あるよ、メル」
「ッッッ!!!」
「俺は空、俺は大地、俺は空気、欲望など持たない高次元の存在……」
セクハラが過ぎた魔法使いが、とうとう引っ叩かれた。
この先、何がどうなるかはわからない。
だが、現時点の勇者パーティーは平和だった。