※この作品はR-18です。

終末世界であべこべ   作:ピザ暇膝

9 / 10
3

 動悸が激しい。

 身体に当たる冷たい風。

 視界が開けた。

 人間の域を超えた戦闘で、屋上は爆撃が落ちたみたいに、破壊の痕跡がいくつも刻まれている。鉄条網は完全に外れ、屋上の端は変形し、岬のように切り立っている。なにをどうすればこうなるんだよ。

 

「ちょっと待ったぁぁぁぁ!!!」

 

 2人の前に裸体を晒す。覚悟を腹に据えた俺は無敵だった。

 

「な、な、な、なんですの、あれ……」

 

 股間に視線が注がれている。

 金髪の令嬢。唇がわなわなと震え、白い肌を紅潮させていた。

 カメラ越しでは窺えなかった表情だ。

 一時的に混乱(フリーズ)しているな。

 よし……! ひとまず、すぐに殺されることはないと見た!

 拳を握りしめ呼吸を整える。

 少女に駆け寄ると、彼女は泣きそうな顔で喘いだ。

 

「若、その姿は……!」

「全員で助かってここを出るためだ。今は目をつぶってほしい、文字通りね」

「あなたは、また……」

 

 目眩を起こしたように、足元がふらつく。

 その肩を支える。輪郭が儚い彼女の、華奢な肩。

 肌に走る傷が痛々しい。人形のような彼女も、血は赤いらしい。

 悄然と息を切らし、見上げてきた。

 

「なぜ、ここに」

「いまはただ、俺に助けられてよ」

「あ──」

 

 説明する暇はあんまりない。

 狼狽している女性──エマが、冷静にならないうちに、交渉を始めなければならない。

 カナデさんが去り際に言い含めてきたのだ。

 

『場の緊張感を握り、要求を簡潔に告げて必要以上に語らないこと』

 

 要するに、優位を保てと。

 俺はいま、全人類が欲してやまない『繁殖』という切り札(ジョーカー)をひっさげて現れた。

 垂涎の的だろう。いかに有利な条件を引き出すか、分水嶺だ。

 最低でも、身の安全を確保する。脱出については、みんなに任せた。

 エマは、政府の役人だという。交渉するに値する人物だ。

 彼女が今回掲げた目的(ラベル)は、侵入部隊の制圧・吸収……の、はず。

 俺はあくまでも、目的を達成することで自動的にもたらされる景品にすぎない。

 彼女達に取って代わるだけの『利』を、吐き出す必要がある。

 

「だからまず、真価(せいのう)を示す」

 

 エマを睨み、銃を天に掲げた。

 

 響く銃声は、くぐもっていた。

 

 空に向けた銃口。巻き付けた枕が、発砲の熱でぐずぐずに溶けそうだった。

 銃身が跳ねた反動で肩が痛い。

 耳を劈(つんざ)く音。

 続けて発砲。

 薬莢が転がる。硝煙と焦げた化学繊維の臭い。

 焼け落ちた枕の布地が、火の粉をはらんで舞う。

 

「なんの、つもりですの。女同士の逢瀬に横槍を入れて、無粋ではなくて」

  

 注目の視線に、警戒が混じる。

 ニヒルに笑い、彼女の目を見返す。裸だから気が大きくなっていた。俺は勇者(キング)だ。

 

「はじめまして、俺はハル。見ての通り、勃起ができる」

「エマです。被検体No.15、ここは貴方(おとこ)の出る幕ではありません」

「いいや、生憎だけど幕引きにきた。アンタ達の学説だと、人間の男が勃起する条件は『瀕死状態で刺激される生存本能の作用』だっけ?」

「学説もなにも、それが万民の理──」

「──だが、俺は逆だ」

「なんですって?」

 

 眉を寄せる。

 見てろ、世界がひっくり返る、その瞬間だ。

 俺は笑みを深めて股間を突き付け──

 

「あれ?」

 

 へにゃん、と垂れ下がっている。

 血の気が引く。

 そうだ。全力疾走+緊張で、勃起が維持できなくなったのだ。

 勃起は目撃されても、その先はまだだ。

 すぐに全集中(フルカウル)しなくては……!

 

「ちょっと、待って、スタンドポジションがズレちゃって……!」

「……やはり、眉唾でしたか」

 

 エマが吐き捨て、赤面したまま槍を持ち直す。

 気配が変貌した。

 強烈な意思が風を纏い、全身を襲う。 

 嫌な汗をかく。血が冷え、寒さを感じる。

 

 これが、殺気……!

 

 というか普通に裸のせいで寒いわ。

 気圧されるな。まだ危害を加えには来ていない。

 値踏みされている間に、話をつける。

 

「若、ひとまず服を!」

「ぁあっ」

 

 顔を合わせられない、といった具合で少女が目を背けていた。彼女は、自分のシャツを手渡してきた。

 汗ばんだ白い首筋が目に映る。

 細い肩だ。とても、刀を自在に振り回していたとは思えないほど。

 青色のブラだ。谷間だ。上品な胸の大きさで、目が吸い寄せられる。

 ……少し、元気が取り戻される。

 ただ、まだ足りない。もっと、刺激的な煩悩がいる──

 

「若、お早く!」

「ぉす」

 

 彼女の血汗がにじんだ制服を羽織る。

 ちょうどいいサイズ感だ。

 袖を通す。なんか、女性の服を着るのって新鮮な気持ちだな。

 律儀にも、エマは仏頂面で待機していた。

 ただ、ボタンを留めている間もしっかり視線は固定してたな。

 

「……! 貴方、肝心なところが隠せていないじゃありませんの……!」

「ごめん! とにかく話をしよう!」

「くぅ……! 女性用のシャツを着たから、ボディラインが克明に強調されて……! おまけに、なんですか。覆うべきところを覆わないことで、無限の美的視点をかぐわせる……! 魅せるべきところと見せないところとの複雑なコントラストは……こんなの、センシティブです……オティンティブです! 真に目するところは彼(あ)のイデアです! わたくしの調律(かいたく)され尽くした性癖(クリオネ)を歪めないでくださいまし!!」

「ひょっとしておもしれー女?」

 

 一文字も理解できない罵声を滔々と並び立てられた。

 首を傾げる。人前に裸で失礼とは思うけど、なんて激昂っぷりだ。礼節を重んじるひとなんだな。

 少女は真横で何度も頷いてた。お前はわかんのかよ。

 

「交渉しよう。協力関係を結ばないか?」

「大きく出ましたね。貴方の身柄は、政府のものです。今更、決定を覆すことはありません」

「提示するのは『俺の提供する役務』だ』

 

 政府の方針では、俺の自我は剥奪される見込みだ。

 生殖器官と、生命維持に必要な最低限の器官だけを残されて、ほかは余剰分として処理される。

 その取り除く予定の部分に、本当は価値があるのだと。

 

「役務のなかには、もちろん精子提供だって可能だ。条件さえ守ってくれるならな」

「条件とは、貴方の安全?」

「俺だけじゃない。彼女と、レティちゃんと、マツリカ……カナデさんを含めてだ」

「なりません。今回の襲撃を水に流すほどの価値が、いまの荒唐無稽な話にはありませんもの」

「行動で、価値を証明するよ」

「会話を交わす低い声……腹の底で、欲望を胎動させるこの感触に……慰安としての利用価値が一定数はあると認めましょう」

「……それはつまり、俺をどう思っているんだ」

「尊厳ごとぶち犯したいに決まってます」

 

 会話のなかで、この世界の違和感……つまり、俺の俺自身に対する認識と、周囲の常識との齟齬に、迫る感覚があった。

 

 もしかして、と。

 

 俺を助けた少女達の童貞っぽい反応と、絶滅危惧種扱いの男。

 俺に対する視線。あれらは、そう。

 性欲が載っていた、はずだ。

 ありうるのかもしれない。

 

 俺の空想が正しければ……

 

「貞操観念が、逆転しているのか……?」

 

 だったら。

 そうだ、エマの反応が、これだったら。

 俺がいまから提示する要求は、確(・)実(・)に(・)通(・)せ(・)る(・)──!

 

「御託を並べたところで──貴方を含め、総取りすればよくってよ」

 

 

 思考を引き戻す。

 もらった。

 彼女の目的に『俺』が明確に加わった。

 もうエマの中で、俺を排除する思考は生じにくい。

 あとは、彼女の優先順位をあべこべに狂わせてしまえばいい。

 俺の価値を絶対的なものと据え、ほかのものなんて考えられないくらい、ぐちゃぐちゃに価値観をぶっこわしてやる。

 

「若っ!」

 

 声が奔る。

 瞬きの間で、俺と少女の体は、空中に踊り上がっていた。

 月を背負って翻る影。光に寄り添い、ふたりだけの空間で世界を見下ろす。

 少女は俺を抱えたまま、一蹴りで数十メートルも跳び上がっていた。

 

「たっ、か──!?」

 

 恐怖のまま、彼女の首を掻き抱く。

 浮遊感。

 眩むほどの酩酊だ。

 不自然に、時間が引き延ばされる感覚。

 至近距離には、寄り添う少女の表情。

 俺の体のために、名前も、命さえも捧げた少女。

 夜のただ中。

 月光を呑み、彼女の瞳が複雑な色彩をなぞる。

 

「若──離れてしまい、申し訳ありません」

 

 俺の知らない悔恨。

 胸の奥を掬(すく)う。

 空っぽで、指の間をすり抜けるだけのはずだったのに。

 掌の中に、宝石のような思い出が浮かび上がった。

 断片的な記憶(シーン)。

 

 少年と少女。

 

 黄金色の原風景の中で、俺であり、俺じゃない誰かが、彼女の名前を呼んでいた。

 自然と、その名前は自分の口をついて出る。

 

「いいよ、君は来てくれただろ──アリス」

 

 腹に落ちる。

 それが彼女の名前だ。

 経緯はどうだったか。

 アリスは、俺を護るために政府と戦っていた。

 ただ、単身で護りきれるはずもなく。

 俺が、自分の身柄を政府に引き渡すことを取り決めたんだ。

 自治体(シェルター)の安全と引き換えに。

 

 俺(・)の自我が溶け込む前の話。

 目を閉じれば、霞みの奥へと消えていってしまう。

 

「アリス……俺、まだこの世界のこと、何も知らない」

「ええ、あなたは箱入りでしたから」

「だから」

 

 彼女の頬に指を添える。

 涙がこぼれていて、アリスの顔はしっとりと湿っていた。

 

「まずはアリスのことを知りたい」

「────」

 

 顔を寄せ、唇を落とす。

 鉄の味がした。不思議な柔らかさがあった。

 ほんの一瞬。

 夢の瞬きに消えるだけの、2人っきりの逢瀬。

 ああ、すっきりした。

 ようやく、彼女の名前を呼べた。

 

「ハル、様……?」

「アリス──君の前に絶望だけしかないなら、間違いだ」

「はい、はい……!」

 

 魔法の時間は終わる。

 接近する屋上。

 

「──待ちくたびれました」

 

 着地の瞬間、エマが大ぶりに槍を振るう。

 一瞬の閃光に、アリスの刀が衝撃を差し割るのを目撃する。

 

「──っ!」

 

 片手では十分に威力を殺しきれず、アリスの刀が吹き飛んだ。

 俺を抱えたまま、彼女は転身する。

 瓦礫の脇に足をつき、焦燥のまま口走る。アリスが油断なく、俺の体に密着していた。

 

「アリス、なんとか時間を稼いでくれ! なにか、興奮に火をつけるための妄想がいる!」

 

 集中する時間がほしい。また、話し合いの場を作るだけの衝撃がいる。

 

 ──と。

 

 凝視する。

 アリスは、苦し気にスカートをめくっていた。

 白い太ももにきつく巻き付いたベルトに、ナイフが収納されている。

 

「しかし、手持ちにはもうこの暗器しか……!」

「え」

 

 黒(クール)と、白(エロス)とのコントラスト。

 ベルトで締められた太ももと、タイトに脚を包むストッキング。

 どんだけ欲張ったら属性をそんなに盛れるんだよ。

 まあ、その、なんていうか。

 

「──そういうの、大好きです」

 

 時はきた。

 起(た)ち上がる。

 体の芯が熱を通す。

 血流が巡り、下腹部が持ち上がる感覚。

 銃をかなぐり捨てて、己の銃を包む。

 

「待たせたな、エマ──」

 

 俺には、特別なものはなかった。

 特技、趣味、経験──

 だけど、ただひとつ。

 何回も、積み重ねてきたことがあった。

 

「しみったれた世界を、ひっくり返してやる」

 

 淡く微笑した。

 そうだ、やることは変わらない。

 いつも通り、己を磨く──!

 

 証明しろ、己の性能を──!

 

 屹立する自分の竿を、一定のストロークで上下する。

 興奮を助長する素材を、薄目で眺めた。

 

「ぅ、ぁ……アリス、アリス、アリス……!」

 

 呻きながら、快感を絶頂に導くべく擦り続けた。

 アリスを見る。

 不安そうな表情のなかで、爛々と輝く瞳で俺の痴態を観察している。前に屈むように、脇を内側に寄せることで、綺麗な胸が少しつぶれていた。その、唇。さっき、触れた感触。

 エマを睨む。

 猛追の手を止め、俺の行為に足を縫い留められている。

 優雅な眼差しには、下卑な好奇の色があわさる。

 指を舐め、無意識だろうか、自分の太ももを擦り合わせている。

 そうだ。

 この世界の貞操観念が逆転しているのなら、彼女達にとっては、うら若い乙女が目の前で突然自慰行為をはじめたのと同義なのだ。

 戸惑いが生まれるのは、必然だった。

 

「ぅ……!」

 

 情けなく切れた声が漏れる。

 同時に、身体の熱が抜け出る感覚。

 迸る白濁。屋上の床を汚す。

 どろりと、粘性の高い液体が何回かに分けて体の奥からのぼっていった。

 なんてことはない。

 いつもと、同じ事。

 自分磨きだ。

 頭の裏がチカチカと明滅する。充実と倦怠が同居し、胸を激しく上下させた。

 やってやった。

 

「ぁ……ふぅ」

 

 視界が冴えわたる。微睡みの疲労のなかで、状況が俯瞰できた。

 ドン引きしているかと思ったが、放蕩の笑みで、エマがごちる。

 

「認(・)め(・)ま(・)し(・)ょ(・)う(・)、貴方には、女性に興奮する自我がある」

「……よせやい」

「な(・)ら(・)ば(・)、わ(・)た(・)く(・)し(・)で(・)も(・)代(・)替(・)は(・)効(・)き(・)ま(・)し(・)ょ(・)う(・)?」 

「はっ、そんなわけ──」

 

 ──あるか。

 言葉は紡げなかった。

 白衣(ドレス)をはだけさせ、エマがプロポーションを晒すと、身体の芯がピクリと反応していた。とんでもなくエッチだぞこの女……!

 

「まじかよ……」

 

 平常時ならばまだしも、射精の直後に勃起の余力があるなんて……!

 笑みを貼り付ける裏で、必死に自分の性欲をかき乱す。

 

「わたくし、自分の体には自信がありますの」

「……………………ごくり」

「ご覧なさい。貴女の主は、誰にでも興奮してしまう下種ですわ!」

「若、なりません、そんな……!」

 

 白衣の下には、黒いコルセットと、ストッキングの姿。

 魔性の白い肉体は、佇まいだけで俺の魂を奪う。

 指で白衣(ドレス)をつまみ、彼女は1枚ずつ、見せつけるように脱ぎ続ける。

 下着を丁寧に脱ぎ、俺の反応を愉しむみたいに彼女は唇を舐める。

 羞恥がほんの少しでも残っているのか、ぎこちない仕草が節々で混じる。

 妖艶かつ、愛らしい。

 絶対に勃起なんてしちゃだめなのに。

 男の根底を揺るがすだけの、魅力。

 

 くそ、くそ、なんのご褒美タイムだよ……!!!

 くっ、犯せ……!!!!

 

「ほら、ほら……わたくし、こんな、あられもない姿になってしまいました……」

 

 肢体を伝う透明な液体。

 唾を飲む。

 美しい隆起だ。いますぐにでも、その体を味わいたい。

 エマは自ら割れ目に指を添わせ、張り詰めた太ももに情欲を滾らせた。

 

「昔は語ります。元来、女は男と交わって子を為した──わたくしと、子を造りましょう。わたくしのはしたなく疼くこ(・)こ(・)に、貴方の精子をくださいまし」

「あ、ぁ……」

「あなたは、どこまでも下劣な……!」

「ええ、ええ! わたくしは理想のためならば、どこまでも堕ちましょう──ですが、お分かりになって。彼からその身を擲(なげう)ったのです。その献身に免じて、貴女も──まぐわうための寝台くらいには、躾けてあげてもよろしくってよ」

「うぅぁああああ!」

 

 頭を抑える。なんだあのエロ漫画でしか見ねえチン媚びは!!!

 

 呼吸が荒くなる。眩暈でくらくらと視界が揺れた。

 獣の目で、俺は前方を睨んだ。

 ここで欲望に流されるのは簡単だ。

 けれど、初志は貫徹できない。

 

「男は……貫いて、なんぼだ」

 

 人は、自分では抗えない超常的な事象に信仰を見出す。

 どうしようもない存在に、助けてくれと祈るのだ。

 俺は今まさに、信徒と化す。

 気を鎮めるために、脳の奥底から偶像を引きずり下ろす──

 

 ──あれは母ちゃんの裸、ばあちゃんの裸! ……ひいばあちゃんの裸ぁ!

 

 とにかく、あの極上の身体に反応してはならない。妄想で、己の芯を制御する。

 

 はたして。

 静けさが、冷たさを伴って屋上の底を撫でていた。

 

「……どうして」

「格付け完了、だな」

 

 愕然と、女は口を開く。

 

「どうして、わたくしには興奮なさらないの……?」

 

 その、自信を喪失した顔を見て、唇を歪めた。

 条(・)件(・)を(・)限(・)定(・)的(・)に(・)し(・)ろ(・)──自分にしか判別つかない基準を、持ち込んでしまえばいい。

 俺は、その答えを口にする。

 

「続きだ、ビッチ。俺は、性的興奮で勃起する──ただし、興(・)奮(・)す(・)る(・)の(・)は(・)、愛(・)し(・)合(・)う(・)相(・)手(・)だ(・)け(・)だ(・)」

「そん、な……!」

 

 愛は世界を救う。それは、きわめて行き詰った世界でも同様に。今回はだいぶ保身に対して効果を発揮してくれた。

 エマがうなだれる。

 アリスが脇で顔を真っ赤にしながら俺を見てくる。初心な反応でたまらなくかわいかった。ごめん、いま言ってるのぜんぶ出まかせ。

 薄い唇をわななかせ、血走った目でエマが俺を見据えた。

 お? 穏やかじゃないな。

 

「認めましょう……」

「よしよし」

「わたくしを下し、端女に貶めた、この屈辱を……!」

「まってまって!」

 

 たまらず静止する。

 裸のまま突貫してくる。アリスは間に合いそうもない。

 ええい、ままよ!

 両手を広げ、豊満な体を抱きとめる。

 

「────あ」

 

 耳元で、切なく息が漏れた。

 暴れないよう、力いっぱいに抱きしめ、刺激しないように言葉を紡ぐ。

 

「役務ってのは、その、つまり──」

 

 

「──俺は、愛を売るよ」

 




人物紹介

・ハル
 愛にエロとルビを振る

・アリス
 しばらく唇を自分の指でなぞることになる

・エマ
 いろいろ頑張って終末世界を救おうとしてたひとたちのひとり。
 男性の生殖能力を治療する方面から、女性だけの単為生殖に方針がシフトしつつあったものの、ハルに抱きしめられたときの腹部に触れた精液の感覚で目覚めた。

・レティ
 複雑な感情でカメラを注視してる

・マツリカ
 レイプシーンが一話お預けになっちゃったかわいそうな子

・カナデ
 やりやがった! ってテーブルをたたいてる
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。