ここだけミカの幼少期に幼馴染が2人いた話。R17.5〜18版 作:今井綾菜
新年を迎えるまで残り1時間程度。
高校2年生の終わりの年末をミハネの寝室で過ごすことにしていたミカとミハネは寝巻きに着替えて年末の特番を眺めていた。
ほんの少しだけ薄暗い室内と窓から見下ろせる年末の舞踏会はいまだに続いていた。
いつも通りに年越しをするための時間、だというのにミカの心臓は早鐘のようにうるさかった。
(……な、なんでミハネちゃんそんな透けたネグリジェなの……!?)
ベッドに腰掛けるミハネは見えてはいけないところは隠れているものの美しくスラッと伸びた生脚は惜しげもなく晒されていて、透けたネグリジェの向こうには扇状的なヘソがミカの視線を釘付けにしていた。
(なんでなんでなんで!?ミハネちゃんの裸は見慣れてるのに何だか今日のミハネちゃん、なんでこんなに色っぽいの!?)
「……どうかした?」
「ッ〜〜〜〜!」
ミハネの笑顔がいつもの数倍は色っぽく、思わず赤面したミカは視線をミハネから逸らしてしまう。
「……?どうしたの、私の顔に何かついてる?」
「うひゃっ!み、ミハネちゃん……ち、ちかいぃ……」
鼻と鼻がくっつきそうな距離、もう後1センチでもその距離が縮まれば唇が触れてしまいそうな距離。
「ね、ミカ」
「な、なに……?」
「どうして目線逸らすの?」
スカイブルーの瞳が真っ直ぐにミカの金色の瞳を覗き込む。
薄暗い部屋の中でミカの頬が紅潮していく。
「な、なんか今日のミハネちゃん……色っぽくて……」
「……ふぅん?」
ミハネの指がミカの頬に触れる。
ビクリと肩が跳ねて翼が落ち着きなくパタつく。
「だ……だめ……我慢……出来なくなっちゃう」
「我慢……?ミカは、私としたいことがあるの?」
怪しく誘うような瞳がミカの理性の鎖を揺らす。
大事な幼馴染で大好きな女の子で、いつでも自分を気にかけてくれるヒーローで……今日の舞踏会では王子様でもあった。
ここで、キスをしたらこれ以上ないほど幸せな気分になれるだろう。
夢にまで見た自分だけの王子様との甘い甘いキスはきっと蕩けてしまいそうで痺れてしまいそうな刺激が得られるに違いない。
でも、それが許されるのだろうか。
ただでさえ女の子同士で、自分は彼女に隠している秘密があるのに。
大好きな人とキスをするような幸せな日があってもいいのだろうか。
それでもミハネは自分が何かを言うまでその優しく、蠱惑的な笑みと瞳で自分を待ち続けるだろう。
きっと優しく、幸せなキスが出来る。
絶対に幸福で……この瞬間、間違いなく世界で一番愛されていると実感できるはずだ。
「………………ぃ」
「聴こえないよ、ほら……ちゃんと教えて」
「…………す……し……ぃ」
こんな近くの距離なのに伝えられない臆病な自分に、素直に伝えられたら絶対に受け入れてくれるのに伝えられない口がもどかしい。
「ミハネちゃんと……その……」
勇気を振り絞れと自分に言い聞かせる。
ここで行かなければ、いつ行くんだと自分を奮い立たせる。
だって、この機会を逃したら……次はないかもしれないんだから。
「キスが……した……ぃ」
「ふふっ、よく言えました」
今までの人生で一番勇気を振り絞ったその願望は、満足げな彼女の声が聞こえた瞬間に叶えられた。
まずはついばむ様な刹那的で優しいキス。
唇と唇が触れ合って、優しい水音がベッドルームに響く。
「……んぅ……はむ……ちゅ……」
「……どう?ミカ?」
「───ぁ、し……しあわせぇ」
トロンとふやけた表情のミカを見て、元々ダンスの時からムラついていたミハネに更にスイッチが入る。
再び、2人の距離が近づいて……ゼロになった。
今度は、先ほどとは違ってしっかりと唇同士がくっつくディープなキス。
「……ちゅ……ふっ……んん……」
舌と舌が絡み合う。
互いの唾液を交換して、その存在を刻み込む様に快楽を貪るようなキスをする。
「……ぷはっ、ミハ、ネ……ちゃ……」
「かわいい、私の、私だけのお姫様」
「……ゆめ、みたい。わたし、いま……いちばんしあわせ」
ミカの腕が、ミハネの首の後ろで組まれる。
それに返す様に、ミハネの手がミカの腰を優しく抱きしめる。
「ミハネちゃん……翼の根本……触って」
「いいの……?」
「うん、ミハネちゃんになら……いいよ」
「……じゃあ、遠慮なく」
抱きしめるために組んでいた手を離して、ゆっくりと優しくミカの翼の根本を触れる、ビクンとミカの身体が跳ねて溢れそうな声を我慢するその唇を、また自分の唇で塞ぐ。
「んんっ……くちゅ……きもち……ぃぃ……ふぁ……」
「……んっ……やさし、く……きもちよく……して、あげるから」
優しく、愛撫する様にミカが気持ちよくなれるように撫でていく。
くちゅ、といやらしい水音が先ほどとは違い大きく室内に響き始める。
「んっ……んんっ…ふぁ……だめ、ミハネちゃん……なんか……きちゃう……」
「いいよ、そのまま私と快楽に身を任せて……」
翼を撫でていた手を背中に回して互いに強く抱きしめ合いながら、激しく求め合うくちづけの音と快楽を我慢できないミカの嬌声が次第に大きくなっていく。
「……ミハネちゃん、すき……だいすきっ!」
「私も、好きだよ。大好きだよ!」
「うれしい……!しあわせ……!しあわせで……きもちいいよぉ……!」
腕で抱きしめるだけでは足りなかった。
2人の翼が自分の大好きな相手を抱きしめるように包み込む。
「はぁ、んっ……らめぇ!もう……むりぃっ!」
「いいよっ!そのままっ……!」
「ッ〜〜〜〜〜!」
ビクンッ、ビクンッとミカの身体が大きく跳ねた。
脱力して倒れそうになるミカの身体をミハネの腕と大きな翼が支える。
離れた唇と唇の間にほんの僅かに銀の糸が垂れて、すぐに切れてしまう。
「きもち……よかったぁ……キスって……こんなに、きもちいいんだぁ」
「私のファーストキス、ミカにあげちゃったね」
「私のファーストキスも、ミハネちゃんにあげちゃった」
心地よい脱力感が2人を襲い、堪らずベッドに抱き合ったまま沈み込む。
「濃厚なファーストキスも悪くないでしょ?」
「はじめてであんなの覚えちゃったら……普通のキス出来ないよぉ」
「私以外の子とする予定があるの?」
「そんなのないもん、私の唇は……ミハネちゃんだけのものだよ」
「……もう、ほんとうに可愛いんだから」
「……んっ」
今度は軽く優しいキス。
ほんの少しだけ触れ合う唇は若干の物足りなさと寂しさを覚えて離れていく。
「ミハネちゃん……その、お願いがあるんだけど……」
「なぁに?」
「えっと……その……もういっかい……」
「……いいよ」
ベッドの上で2人の距離が再びゼロになる。
新年を告げる鐘が鳴っても、2人の距離は離れることなく……数時間に及び貪りあうようなキスを続けたのだった。