※この作品はR-18です。

賢者探偵ボナパルト フランス探偵書院の事件簿   作:馬門戒明/輪島ライ

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第2話 勃起つ(そりたつ)

 探偵ボナパルトは車が好きである。隣に人を乗せて走るのは特に。

 

「うーむ、車の窓から手を伸ばして空気を触ると女性のおっぱいを揉んでいるのと同じ感触がするというがそうでもないな。都内のアトモスフィアはうさたんの下品な乳には遠く及ばんぞ」

「ははぁ、先生今日は手つきがすっごくエッチですー。揉まれてる所写真に撮ってインスタに上げちゃお」

「先生こんなことで俺に運転させないでくださいよ! 姉ちゃんもそういうことしてPV稼がない!!」

 

 自分で運転するとは言っていない。

 

 

 オートマ限定免許を取って約2年になる風切が運転する国産車でドライブを楽しんだボナパルトが途中行きつけのモスバーガーで3人分の昼食を買って帰ってくると、探偵事務所「フランス探偵書院」の門前で城築警部補が待っていた。

 

「突然申し訳ない。福山にちょっと相談したい事件があってな」

「公務中でなくともボナパルトと呼べと言っているだろう。まあいい、このモスバーガーでも食べながら話を聞こう」

 

 プライベートの会話なので敬語を使っていない城築警部補に自分用に買った海老カツバーガーを渡すと、ボナパルトはアシスタント2名を加えた合計4人で事務所に入った。

 

「はぐはぐ、先生これでいいですか?」

「ああもちろんだ。やっぱりカゲキヨ君の食べかけのチーズバーガーは旨いな、かわいい弟子にはこうやってセクハラをするに限る」

「いつもながらお前は気持ち悪いな……。本題に入るが、今回協力して欲しい捜査は電車内での痴漢事件だ。ここ最近東京メトロの車内で若い女性を狙った痴漢が頻発していて、手口としては女性の臀部(でんぶ)にしつこく勃起した男性器を押し付けるというものらしい。しかしこれまで痴漢と通報された男性のズボンにはいずれも女性の衣服の素材が残されていなくて、捜査は手詰まり状態にある。この事件をどうにか解決してくれないか?」

 

 城築警部補が話した事件の概要に、ボナパルトは風切が飲みかけのコーヒーシェイクをずずずと吸い込むと表情一つ変えずに答えた。

 

「任せておけ。幸いここには下品なまでにでかい乳をしたうさたんがいるからおとり捜査には何も困らん。今度3人で東京メトロに乗るぞ」

「ちょっと待ってくださいよ、いくら先生でも姉ちゃんを痴漢の被害者にするのはひどいですよ! そりゃ俺がやる訳にもいきませんけど……」

「悪いが私は女体は好きだが女は嫌いだ。まあ世の中の男が全員バイならカゲキヨ君にエッチな服を着せる所だがな」

「私それぐらい全然いいですよー。先生とカゲちゃんの目の前で勃起したおちんちんをすりすりされるとか興奮しちゃう……」

 

 城築警部補が変態たちに頭を抱えながら事務所を後にすると、ボナパルトはAmazonで適当に見繕った露出度高めの衣装をお急ぎ便で注文した。

 

 

 そして翌週の朝、ボナパルトと風切は童貞を殺しそうなセーターと童貞を飲み込みそうなスカートを身にまとった宇佐子を護衛するようにして東京メトロの電車に乗ろうとしていた。

 

「復習だがカゲキヨ君はうさたんのすぐ近くに立って、うさたんの背後に男が立とうとしたら上手く邪魔すること。当然女性なら邪魔しなくていいからな」

「全然やれますけど本当にいいんですか? それだと犯人も警戒しちゃって逮捕できないような……」

「全く問題ない。うさたんは誰かがその下品なまでにでかい尻にペニスを突き立ててきたら即座にこの人痴漢です! と叫ぶんだぞ」

「分っかりましたぁ~。できるだけでっかいといいなあ」

 

 おとり捜査にわくわくしている宇佐子と怪訝な表情をしている風切から少し距離を取り、ボナパルトは東京メトロの車内に乗り込んだ。

 

 乗車からしばらくして車内は通勤ラッシュで満員になり、ボナパルトは宇佐子と風切の姿を目視できる位置に立っていた。

 

 これほど混雑している車内で風切は宇佐子の背後に立とうとする男性を自然にシャットアウトしており、しばらくすると宇佐子の背後には女性しか立たなくなった。

 

 しかし……

 

 

「んん……んあっ……はぁぁ……」

 

 背後に女性しか立っていないはずの宇佐子は得(え)も言われぬ表情で小さなあえぎ声を上げ始め、ボナパルトはこれから起こる出来事を注視した。

 

 宇佐子の背後には茶髪ロングヘアの美しい女性が立っていて、頬を赤らめて鼻呼吸をしている。

 

 

「んんっ……この人痴漢ですっ!!」

「ぬぐあっ!?」

 

 宇佐子は突然叫ぶと右手で自分の尻に押し付けられていたものを掴み、彼女が振り返った先には美しい女性がいた。

 

「えっ……?」

「いきなり何を言うんですか、私が痴漢だなんてああ痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!」

「きゃーオネエさんだー!! ごめんなさーい!!」

「ちょっ、まさか痴漢って女性だったんですか!? いや女性なの!?」

 

 ロングヘアの女性と宇佐子と風切の叫び声で車内は騒然となり、ドアが開くとボナパルトは宇佐子と風切を先導するようにして電車を降りた。

 

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!! お願いですから掴んだまま動かないでくださいー!!」

「やはりそうだったか。東京メトロを荒らす痴漢の正体はペニスが付いた美女!! これは誰も思いつくまい」

「オネエさん、このおちんちんすっごくでっかいですね! ちょっと挟んでみたいかも……」

「姉ちゃん人前でそういうこと言わない! まあ証拠掴めたからいいですけど」

 

 女装して痴漢行為を行っていた犯人はその後警察に通報され、宇佐子はおとり捜査を行っていたという前提とこれまでの事件については証拠がないことから厳重注意の処分となった。

 

 

「はあぁ、やっぱりすっごくでっかい……輪切りにして先生とカゲちゃんのおちんちんと比べてみたいぐらい……」

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!! もう痴漢なんてしませんから皮を引っ張るのはやめてー!!」

「カゲキヨ君、今ちょっとうらやましいと思ってるだろう」

「ええ」

 

 謝罪と賠償の意味合いで先ほどの痴漢犯を探偵事務所に連れ込んでペニスをいじり回している宇佐子に、風切は股間を勃起させながら見惚れていたのだった。

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